TERROR [i]

1.KAKINAGURI i
2.怪談

八極さんの話

 当初の予定を変更してNZで体験した嫌な思い出を語らして頂きます。


 あれは七年前、まだ僕がこちらに来たばかりの時も事です。・・・・
 当時僕が通っていた中学校は僻地中に僻地にあり、当然居候していた家も山の中腹にありました。
 そしてその学校に続く通学路は二種類在ったのですが、何故か一方の道は立ち入り禁止になっていたのです。
 不思議に思い、友人や先生に聞いてもまともな答えは聞けず、封鎖された道の方が明らかに近道なのに何故誰も通らないのか不思議に思っていました。・・


 それから暫くして演劇部に入部していた僕は偶々夜間の練習が遅れてしまい、気が付けば夜の十時を過ぎていました。
 居候させて貰っていた家族はイギリス人なので時間に煩く。門限に遅れそうになった僕は迷わず封鎖された道を行きました。

 元々田舎なので電灯等が整備されている筈も無い山道を歩くのは気味が悪く自然駆け足で道を下っていると、急にぽっかりと広がった小さな広場に出ました。
 真ん中に何か汚い棒切れが立っていたのですが、特に気にもせずそのまま山を下っていると、後ろから

   ザッ・ザッ・ザッ・ザッ・ザッ

 と足音が聞こえて来るのです  びっくりして後ろ振り向いて見ても何も見えません。
 怖くなってさっきよりペースを上げて下りはじめると、また

   ザッ・ザッ・ザッ・ザッ・ザッ

 と足音が響いて来るのです。
 てっきり誰か大麻でも吸った変質者かと思った僕は
 立ち止まり「一体誰なんだ?」と呼びかけて見ると・・・・・

   ザザーッ!

 と何かがこちらに懸けて来るのが解かりました。
 足音は迫って来るのに姿が全く見えない事に恐怖した僕は一目散に逃げ帰りました。
 幸い足音の主も家までは追って来ませんでした


 次の日気味悪くなった僕は英和辞書片手にしつこく聞き込みした結果、あの道の広場には教会が在ったのだが、変質者に焼かれ牧師共々焼け落ちた過去が在ったそうです。
 僕が目撃した棒切れは当時のまま焼け残っている十字架の残骸でした。
 そんな事知ってたら間違っても通らなかったのにと青くなる僕に友人はただの変質者だったとかも知れないと言いました。
 僕としても、そっちの方が有り難いのですが・・・・結局その道は二度と通りませんでした

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