TERROR [i]
1.KAKINAGURI i
2.怪談
星影さんの話
東京の北東部に、北千住ってまちがあります。
雑誌で美味しいコーヒーやさんがあると知って、地図で道を調べて、友達と一緒にいってみました。
駅の前は、汚いロータリーと、その周りに昼でも閉まっている陰気な商店街がありました。何か嫌な雰囲気です。
私は、ここが昔で言う鬼門だと思いだし、早くここを立ち去りたいと思いました。
急ぎ足でロータリーを回って、ごちゃごちゃした商店街を抜けると、なんとまた、元のロータリーに戻ってしまいます。それが2.3回も続きました。
どうやら迷子になってしまったらしいです。
私が迷子になるのは珍しくないのですが、連れの友達は、おうちが測量技師をしているので、道に迷うはずはないのですが、
彼女が、道が解らなくなったとゐって、凄くおびえ出しました。
なんだか誰かが私たちをここに、引き留めようとしているみたいでした。
私たちは不安になって、何が何でも、ここを立ち去ろうとしましたが無駄でした。
5回ぐらいロータリーを回ったところで、ほかの人にすれ違いました。
その人達も迷子になっているみたいでした。
少し頭を冷やそうと、ロータリーの芝生に腰を下ろしました。
すると、後ろに石碑があるのに気が付きました。
その石碑を見て、私はぞっとしてしまいました。
その石碑には「骨が原刑場跡」って書いて有ったんです。
骨が原刑場は、江戸時代から、明治時代にかけての処刑場で、処刑された人の骨がるいるいと折り重なっていることからこの地名が付いたのです。
そんなところに来てしまっていたなんて。
もしかしたら、ここの無縁仏達が、通行人を引き留めているのかも知れません。
私たちは無我夢中で、今度はロータリーを反対側に向かって、急ぎ足で突っ切りました。
そうしてようやく、迷路のような商店街を切り抜け、コーヒーやさんのある通りに出ました。
私たちは、コーヒーやに逃げ込んで一息入れましたが、とてもコーヒーの味なんか覚えている余裕はありませんでした。
それから半年して、駅前は改装されたそうです。あまりに迷子になる人が多かったからなのだそうです。
しかし改装しても、あの霊たちが居る限り、いつまで立っても、通行人を引き留めるだろうなと思います。
私はもうあそこには行きたくないです。
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