TERROR [i]

1.KAKINAGURI i
2.怪談

葵楓扇さんの話

 昔、とある学校にコックリさんが流行っていました。
 コックリさんって言うのは、紙に平仮名五十音全てと、鳥居、そしてYESとNO(場所によっては『はい』と『いいえ』のとこもあるらしい)を書きます。
 その鳥居の上に10円玉を置いて、その上に数人で指を置きます。
 そして、言うんですよね。「コックリさんコックリさん・・・」そして、『あれは本当にああなのか』とか『それは何処にありますか』などなど、色々と質問します。
 あ、質問の前に、「本当に貴方はコックリさんですか?」と聞くんですよね。
 コックリさんは、質問に何でも答えてくれます。
 そのとある学校でとある生徒達数名が、コックリさんをやりました。
 男子生徒二人・・・AとBとします。そして、女生徒三人・・・C子D子E子とします(安直)
 C子D子E子の三人が、面白がってコックリさんを始めました。
 すると、男子二人がやってきました。
「何々、コックリさんやるの? ガキみてーな」
「何よあんたたち、そんなこと言って、本当は怖いんでしょう?」
 売り言葉に買い言葉、E子が言い返しました。
「んなわけねーよ。なぁ?」「ああ、もちろん」
 男子達は、「なら俺たちにやらせろ」と、強引にやっている最中のコックリさんの紙と10円玉を奪いました。
「ああっ、ちゃんとコックリさんを帰さないうちに止めちゃうと、祟られるんだよっ」
「なんだー、お前そんなこと言って、お前の方が怖いんじゃねーのか?」「そんなことは・・・」
 男子二人は10円玉の上に人差し指を一本ずつ置いて、10円を鳥居の上に置きました。
「コックリさんコックリさん、いらっしゃったなら返事をして下さい」
 しかし、10円玉は動きませんでした。
「なんだ、コックリさんなんてやっぱり、居ないじゃないか」
「まだ分からないわよ。貴方はコックリさんですか、って質問してみたら?」
 C子に言われて、Bは言いました。
「貴方はコックリさんですか?」
 10円玉は示しました。
 NO
「お、おい、どうする!?」「ど、どうするって言ったって・・・・・・」
 一同は慌てました。
「あ、貴方は誰ですか!?」
 Aが聞きました。10円は動きません。
 10円玉が、勝手に動き出しました。
『こ・ん・や・は・ち・じ・さ・さ・れ・る』
「今夜八時刺される・・・・・・!?」「誰が!?」
「誰が刺されるんですか!?」
 10円玉は動きません。
「や、止めるぞ、こんなのっ!!」
 Aが指を離そうとして・・・・・・止まりました。Bも異変に気づきました。
「ゆ、指が離れない!!」
「くそっ!!」
 Aが力を入れると、べりっと嫌な音がして、10円から指が離れました。
 その指先は、火傷の痕のようになっていました。
「誰かは分かりませんが、お帰り下さい!」
 Bが10円玉を社の元へと導くと、指を離しました。
 その指先も、やはりAのようになっていました。

 チキチキチキチキ・・・・・・
 耳元で、嫌な音がする。
 今日は早めに眠りについたE子は、もうろうとする頭の中で、それを認識しました。
 うっすらと、目を開けてみました。
 チキチキチキチキ・・・・・・
 E子は、それを見て目を見開きました。
 目の前で、宙に浮いたカッターナイフの刃が出ている!!
 チキチキチキチキ・・・・・・
 カッターの刃は、どんどん出て行きました。
 そして、それがE子へと向かって、すごいスピードで迫ってきました。
 E子は、ベッドに寝っ転がったまま、動けませんでした。
 リリリリリリリリリリン♪
 電話が鳴りました。
 E子が辺りを見回すと、カッターはありません。
「夢・・・・・・?」
 呟くと、E子は枕元に置いてある電話を取りました。
「はい、どちらさま?」
『私、D子!』
 電話の相手が、焦ったように言いました。
『あのね、Aが刺されたの・・・猛毒を持ってる、なんとかっていうハチに。今、救急車で病院に向かってる!!』
 時計を見ると、8時を少し過ぎただけでした・・・・・・

 その夜、女生徒三人は、学校の入り口に集まりました。
 使用後は燃やさなければならないコックリさんの紙、すぐ使わなければならない10円玉を持って。
 女子三人は、その二つに火を付けました。
 全てが燃え尽きるのを見ていました。何故か、躰が動かなかったから。
 その間、三人は、遠くに人影をずっと見続けていました。

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