TERROR [i]

1.KAKINAGURI i
2.怪談

葵楓扇さんの話

 それは、昔のことでした。すごく、昔のことでした。
「もー良いかいー?」「もう良いよー」
 今日もみんなは、いつも通り学校でかくれんぼをしていました。
 鬼は木に頭を伏せ、友達は木造校舎の陰や、木の陰や、様々な所に隠れていきます。
 みんなからOKを貰った鬼は、友達を捜しに行きました。
「さーて、みんな何処に行ったかなぁ?」
 うきうきしながら、鬼は木を離れました。
「あっ、○○ちゃん、見ーつけた!」「あ、△△くんだ!」鬼は、順調に友達を見つけていきました。
「さーて、後はB子ちゃんだけだ!」
 鬼はそう言って、校舎の周りを探し回りました。
 けれど、何処にも見つかりません。
「おかしいな。校舎の中は入っちゃダメなんだけどな」
 と思いながら、みんなで校舎に入り探しに行きました。
「B子ちゃーん!!」
 みんなで叫びましたが、返事はありませんでした。
 いつもなら、「は〜い」と言って出てきてくれるのに。
「B子ちゃん、もう降参だよ。出てきてよ!」
 けれど、出てきてくれませんでした。
 そうこうしているうちに、日が暮れてきました。
「B子ちゃん、僕らもう帰るよ!」
 そう言って、みんなは帰っていきました。
 まだ、B子ちゃんは見つからないまま・・・
 翌日、B子ちゃんは学校に来ませんでした。家にも帰っていないそうです。
 それから、警察が捜しに来ました。沢山の人が、B子ちゃんを捜しました。
 それから、何年も経ちました。何十年も経ちました。
 お世話になった母校・・・あの木造校舎が壊されることになり、生徒が何人か学校にやってきました。
 大人になった自分たちに驚き、昔を思い出し、みんなで和気藹々と話をしました。
「みんなで、よくかくれんぼをしたよね・・・」「うんうん」
「ああ、昔が懐かしくなってきた・・・」
 その中の一人が言いました。昔、『あの』かくれんぼで鬼をやった子供でした。
「じゃあ、あの時みたいに呼んでみようか・・・・・・」
 ほそぼそと、誰かが言いました。
 全員が声をそろえて言いました。
「B子ちゃーん!!」
「は〜い」
 そう言って、一人の少女が木の陰から出てきました。

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