TERROR [i]

1.KAKINAGURI i
2.怪談

葵楓扇さんの話

 とある外国、とある街・・・そんなところに、とある外国人の、建築関係で働いている男Tが居ました。
 ある日Tは、とある古い学校を取り壊す、という仕事に携わりました。
 その学校は、昔なにやら事件があって、廃校になったとか・・・・・・
 数日後Tは、相棒のKと一緒にその学校へ行ってみました。
 その学校はとても白く、まるで何かを隠すかのように塗られていました。
 こんなに綺麗な学校を壊すのに少し気が引けつつ、TとKは設計図を広げ、どうするか考え出しました。
 とりあえず、実際に壊すのは自分たちではなくクレーンやら専門的な人たち。自分たちは何処からどう壊すか考える役。
 とりあえず中に入ってみよう、と言うことになり、TとKは校舎内へ入っていきました。
 設計図はあまり詳しくなく、どこからどう壊せばいいか、実際に見て回ることになりました。
 TとKは一時別れ、別々に校舎内を見て歩くことになりました。
 校舎内は本当に何もなく、白くてとても綺麗なところでした。
 途中、Tはトイレに入りました。すると、まだ水道が使える。
 トイレの中はまだ実際に使われていた頃と全く変わらぬ様子。Tはちょっと手を洗いました。
 すると、背後に気配・・・・・・
 ちょっと頭を上げると、すぐ其処には当たり前の鏡・・・其処に映る、一人の子供。
「おいおい坊主。ここは危険だぞ、よそで遊びな」
 そう言って、Tは後ろを振り向きました。
 其処には誰も居ない。
 人に見つかったから逃げ出したのかな? とTは思い、再び校舎内の探索を始めました。?
 しばらくうろちょろしていると、背後からくすくすと子供の笑い声・・・・・・
 さっきの子供、まだ居たのか・・・そう思い、注意しようと後ろを振り向くと・・・・・・
 其処には誰も居ない。
 大人をからかいやがって・・・見つけたら説教してやる。
 どこかに隠れていると思ったTは、少し怒りつつ、再び辺りをうろちょろ。
 しばらくして、一つの教室に入りました。机も椅子も棚なく、ガランとした所。
 すると、隣の教室から・・・痛々しげな、子供の泣き声。
 もしかしたらさっきの子供が、何か事故に・・・!?
 Tは慌てて、その教室から飛び出て、声が聞こえた教室へ。
 其処には誰も居ない。
 もしかしたらもう一つ二つ隣かも、と近くの教室をほとんど見て回ったけれど、子供は居ない。
 その教室から一歩出ると・・・扉が鎖で封じられた、一つの教室。
 其処の扉だけ、何故か傷だらけ・・・刃物で切られた痕。
 ふと、耳を澄ますと・・・其処から、泣き声。
 その教室には、足下に小さな小窓。しかも、開いている。
 もしかして、中から出られなくなったのでは・・・・・・とTは思い、万が一の時や印を付ける時用に持ってきていたやすりで、鎖を壊しました。
 扉を開けようとしたら、誰かに殴られたのか、溝から少しずれていて・・・動かない。
 ガタガタと、かなり無理をして扉を開けると・・・・・・
 中は、机も椅子も棚もそのままで・・・・・・乾いたような茶色・・・血の色。
 辺り一面、本当に一面、血の色だらけでした。
 辺りには、刃物で切ったような痕と、殴ったような痕、それを爪を突き立てた痕・・・・・・
 コレは一体どういうことか、建築会社の上層部に聞こうと思い、Tが戻ろうと後ろを向いた直後・・・・・・
 再び、背後から・・・沢山のしくしくという泣き声、たった一つの笑い声・・・・・・
 冷静沈着と言われてきたTもさすがに慌てて、校舎から駆け出てきました。
 すると、Kも泣き声や笑い声を聞いたとか・・・・・・
 TとKはその後、何処をどうするなど考えず、ただあの紅い部屋から壊すように言いました。
 その後、Tはこの学校の関係者から、この学校で起こった真実を聞き出しました。
 この学校の生徒だった、とある知能の障害児が起こした、そのクラスの生徒全員の殺人事件、という話を・・・・・・

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