第1話  百物語の恐怖語り手: ハイドラントさん
 付けっ放しで地面に置かれた懐中電灯が闇を照らしている。
月の失われた夜。僕らは近くの神社の境内にある広場にいた。皆で百物語をやろうとしていた。
 メンバーは中学校二年生の僕と、江神先輩、吉敷先輩、クラスメイトの二階堂、後輩の木更津の五人だ。
 僕以外の四人は全員、なぜか推理小説の探偵みたいな名字と名前をしているが、皆そちらの方面にはあまり興味がないらしい。
「百物語って面倒だよな」
「百個もやるしか?」
 江神先輩と、吉敷先輩はダルそうだ。
「なら五個で充分じゃないですか。どうせ蝋燭も百個もないですし」
 すると木更津がそんな提案をした。
「おおっ良いね。木更津君。それ良いよ」
 吉敷先輩は木更津に笑顔を向けた。
 こうして僕ら五人の、百物語ならぬ五物語が幕を開ける。
 五本の太めの蝋燭が用意される。蝋燭は火をつけて土の上に倒れないように置いた。
 懐中電灯の明かりが消えた。


 まずは江神先輩からだ。


百−九十五物語の恐怖
 ある日の深夜。
 その日は妙に月が明るかった。
 俺は散歩をしていた。
 静かな夜の町は太陽がないだけなのにまるで別世界だ。
 生暖かい風が吹いて来た。
 俺の肌に染み込んで来る。
 俺は今、異邦の地を旅している。
 そんな気分になった。
 それから俺は綺麗な女に出会った。
 後姿しか見ていないが、綺麗な女だと確信した。
 俺は女を追いかけていく。
 女は俺を誘うようにゆっくりと歩いていった。
 だがいつの間にか女を見失っていた。
 気付けば俺は墓場にいた。
 無気味な墓場だった。
 俺が引き返そうとした瞬間、墓場から無気味な声がした。
 俺は一目散に逃げた。
 あれ以降、俺は夜の町に出たことはない。
「どうだ。恐かったかエルフ?」
 江神先輩は僕に言葉を向けて来る。ちなみにエルフというのは僕のあだなだ。
 もし本名を当てるぞ、という方がおられましたら挑戦してみてください。ヒントはこれ以上出ませんが。
「恐い? 俺の方が恐い話出来るぞ」
 僕の代わりに答えたのは、次に話す役の吉敷先輩だった。


――蝋燭弐:吉敷潔(よしき・きよし)の怪談――
 あれは夏休みの頃。
 俺は自転車に乗って遠くまでいった。
 隣町の隣町、思いっきり遠くの方までいってみた。
 だが夕方になっていざ帰ろうとしたが、道に迷って帰れなくなった。
 それも不思議なことに同じ道ばかり通るのだ。
 断じて方向音痴だからじゃない。
 俺は焦った。
 焦っていると当然、怪しげな坊主――坊さんが現れて話し掛けて来た。
「お困りですか」
 夕暮れ時の坊主は妙に無気味だった。
 それでも俺は勇気を出して、道に迷って帰れないということを告げた。
 すると坊主は一回頷いた後、無気味な呪文を唱えた。
 それから坊主は小声で俺に何かを呟いた後、踵を返して去っていった。
 その後は不思議なもので、いつの間にやら家についていた。
 実はこの話には続きがあるんだ。
 翌日起きてみると俺の自転車がなくなっていた。
 そして自転車があるはずの場所――玄関の外のすぐ脇――には、「確かに御代は頂きました」と書いてあったんだ。
 そういえば坊主はあの時小声で、「御代は必ず頂きますよ」と言っていた。


――蝋燭参:木更津獅子丸(きさらづ・ししまる)の怪談――
 僕が親と喧嘩して部屋に閉じこもっていた時です。
 部屋の外からノック音が聴こえました。
 しつこくしつこく聴こえました。
 夜になっても朝になっても聴こえ続けました。
 トイレも我慢してずっと閉じこもっていたんですが、そろそろ限界で、僕は扉を開けました。
部屋の外には女の幽霊がいました。
 あれから僕は、部屋で寝るのが嫌になったんですが、幽霊はあれ以来出ていません。
 事実、あの幽霊のお陰で親と仲直りすることが出来たので、本当は感謝すべきかも知れません。
 次は二階堂の番だ。
 二階堂は僕と同じであまり喋らないタイプだが、おどおどしている僕と違い、彼はしっかりとしたタイプだ。
「まずあらかじめ言っておきますが、このお話は実話です」
 二階堂は言った。


 ――二階堂紗杜瑠(にかいどう・さとる)の怪談――
 これは姉貴の話だ。
 俺とかなり歳が離れていたことは、ここの全員は知っていることだろう。
 

 あれは去年の夏。
 姉貴の結婚が決まった。
 だが俺はあまり嬉しくなかった。
 姉貴に執着しているわけじゃない。
 ただ相手の男の悪い噂をどこからか聞いていたのだ。
 姉貴は俺の話なんて相手にしなかった。
 俺もそんなに強引に言いはしなかった。
 そんなことをすれば、間違いなくからかわれる。
 俺は夕暮れの街を一人で歩いていた。
 ただぶらぶらと適当に彷徨っていた。
 すると見たこともない場所に出た。
 だがそんなことはどうでも良かった。
 あの男に会うまでは……。
 あの男はすぐに現れた。
 黒ずくめの怪しい男だった。
 男は自分を殺し屋だと名乗った。
 名刺をくれた。
 『殺し屋:血村 幽吉』
 殺して欲しい人間はいないかと訪ねて来た。
 俺は冗談半分で姉貴の婚約者の名前を言った。
 翌日、婚約者の男は変死していた。外傷はなくただ魂が抜けたように倒れていたという。
 姉貴は泣いた。
 本当のことは言えず、逃げ去るように家を出た。
 それからまた殺し屋と出会った。
 俺はあのことを後悔していると言った。
 意外に聞き上手だった殺し屋に、すべての事情を打ち明けた。
 だがそれこそが真のあやまちだったのだ。
 翌日、姉貴が婚約者と同じ死に方をした。
 あの殺し屋の餌食になったのだ。
 殺し屋にはそれ以来会っていない。
 殺し屋の名刺を後になって見てみると、白紙だったはずの裏側に「君のお姉さんは可哀相だったので殺しました」と印刷されていた。
 それを見たことで、許せないという気持ちが強まった。
誰もが沈黙した。
二階堂の姉が死んだというのは全員が知っていたことだ。
だが彼の口からこんな話が出て来たのは初めてだ。
二階堂は事故死だと言い張っていたのだが、実はこんな真相が隠されていたとは。
……まあ、作り話かも知れないけど。
「次はエルフの番だぞ」
 二階堂が囁くように言う。
「あっ、その前に僕、ト、トイレ……」
 この言葉は皆の失笑を買った。
 僕は神社の裏手側に回ることにした。
 誰もおどかしには来なかったので安心した。


さあて「僕」の名前が分かった方はいますか?
「僕」はここにいる皆様ならほとんど知ってらっしゃると思う作家さんとなぜか同姓です。 名前は動物の名前で確かひらがなの名前でした。


――蝋燭滅:最後の怪談――
 付けっ放しで地面に置かれた懐中電灯が闇を照らしている。
 月の失われた夜。五人は近くの神社の境内にある広場にいた。皆で百物語をやろうとしていた。
 メンバーは、江神英生を始めとする男子中学生五人。
「百物語って面倒だよな」
「百個もやるしか?」
 江神英生と吉敷潔は、どうにもやる気がなさげだった。
「なら五個で充分じゃないですか。どうせ蝋燭も百個もないですし」
 すると木更津獅子丸がそんな提案をした。
「おおっ良いね。木更津君。それ良いよ」
 すると吉敷潔はその案を持ち上げ、こうして百物語ならぬ五物語が幕を開けた。
 五本の太めの蝋燭が用意される。蝋燭は火をつけて土の上に倒れないように置いた。
 懐中電灯の明かりが消えた。
江神英生、吉敷潔、木更津獅子丸、二階堂紗杜瑠の四人による四つの物語が語られた。
そして今、最後の怪談が……


蝋燭はすべて滅した
 やっと用を足し終えた。
 皆は待ちくたびれているかも知れない。
 僕は皆の元へ歩いていった。
 神社の裏側は、表とはまた違った恐ろしさを持っている。
 さながら樹海。
 四方八方に邪なものがいるような気がして仕方がない。
 ガサゴソ。ガサゴソ。
 ああ恐い。
 僕は足早に森を抜けていった。
 変だ!
 そう思ったのは表の世界に帰って来た時。
 蝋燭の明かりがないのだ。
 広場は真っ暗闇。
 そして話し声も聴こえない。
 僕はゆっくりと近付いていった。
 だが反応はない。
 誰もいないの?
 皆で僕をおどかそうとしているのか?
 いや皆いる。
 寝ているのか?
 僕は懐中電灯を付けてみた。
 すると……


あなたはこれでも百物語を続けますか?


第2話  語り手: ユア・ファンティンさん
さて、私がこれを体験したのは、四歳の春
思い出したのが、今年の3月のことです

あれは・・・・・・
その頃、入院していて、小児科の待合室でよく絵本を読んでいました
数日するうちに、1人の男の子と仲良くなりましたが・・・・
今でも名前はわかりません。
便宜上、ま−君と呼んでいたようです
ま−君と話せる昼休みがとても楽しみでした。
でも、2時間は、矢のように過ぎていきます
そして、春が、終わり、初夏になろうとしていた頃・・・・。

忘れがたく・・・そして忌わしい出来事が起こりました
その日は、晴れていたと思います
その紐、2人で絵本を眺めていました
その時、誰か待合室に入ってきました
3人組の男女のようでした
隣りにいる看護婦さんの気配もしません
3人のうち、背の高い男性がこう言いました
『さがしたぞ、ユアンの魂を持つ者よ』
この当時は、もちろん、今も心当たりはありません
次の、背の低いほうの男性がこう言いました
『我らの計画に邪魔なものよ。』

最後に女性がこう言いました
『我らの悲願が為に、命も捧げなさい』
当時の私は、もちろん
『いや、何でそんなことしなくちゃいけないの?』
背の高い男性はまたこう言いました
『これは、必然なのだよ、ユアンの魂を所持する者よ。』
ま−君は、そこで無謀にも、3人に向かっていきました
私は、その場から動けません
『ユ−ちゃんは、連れてっちゃだめ!!』
でも、これが、あの悲劇に繋がったのでした
ま−君は、弾かれました
『ま−君!!』
『ユ−ちゃん・・・』
『美しいことだねえ。』
女性が、嘲笑とともにそう言いました
背の低い男性は
『だが、愚かなり、静かにしていれば良いものを』
背の高い男性は
『必罰だ、我が愛玩動物の餌となれ』
と、それぞれいいました
少し、ここの合間は思い出せていませんが
気が付いた時には、剣歯虎らしきものに・・・・・・
ま−君は、足から喰われていました
私は、動けません
助けたいのに、動けません
ただ・・・見ている事しか出来ません
「ユ−ちゃん、泣かないで・・・・・・笑ってて・・・・・。」
「ま−君・・・・・どうして。」
女性が、こう言いました
「貴女が、悪いの。
 私達と行かないから、その子供はそうなった」
そのときの私は、無力だった。
ただ、悔しさに涙する事しか出来なかった
やがて・・・・・・
やがて、完全に食われる前に、ま−君はこう言った
「またいつか、きっと会えるよ。
 ・・・・・・だから待ってて・・ユ−・・・・・」
こうして、ま−君は食われてしまった。
3人は、去り際にこういい残した
「貴女が、私たちの計画を邪魔するのなら
 これからもこういうことが起きるわよ。」
私は、こういい返した
「私は、何もしらないのに・・・。」
「貴女が知らなくても、貴女の中のユアンが悪いの
 恨むなら、私たちじゃなくて、自分をうらみなさい」
これで、この出来事は終わったかのように見えた
しかし、私はその記憶を最近取り戻したのは、
その時に精神的な傷によって、生まれた人格の栄達の働きによる物らしい
それが、解けた今、私は、この出来事を良く夢で見てうなされている


                           −終−


第3話  記憶に無い会話語り手: 遙 琥珀さん
一昨年の正月のことだった。
私は、親族一同が宴会を続けている広間から退出し、パソコンをいじっていた。
メールボックスの中をチェックしていると…妙な事に気付いた。
友人からのメールの中に、『この間のことだけど』という書き出しで始まっているのがあったのだが…その内容が、全く私の身に覚えが無い事なのである。
なんとなく、送信トレイをチェックしてみる私。
その友人宛に出したメールを、上からチェックしていく。
その中にひとつ…変なものがあった。
異様にハイテンションな語り口。多用される『v』や『♪』。間違いなく私の書いた文。
内容からして、友人がこのメールを見て返事を打った事は明らかであった。
だけど。
だけど、私、こんな文面書いた記憶無〜いッ!
自分の書いた文なんて、自分で見りゃ解る。間違いなく私の文。なのに、その内容に覚えが無いのである。
続いて、送信日時をチェックしてみる私。
そのメールの五分前と五分後、私は、違う友人にメールを出している。
その、五分前と五分後に出したメールの内容は、しっかり憶えているのだから、さっぱり訳が解らない。
三つのメールの送信時刻は、十二月三十一日の十一時五十分前後。時間から言って、親族に引き回されて酒呑んでいた時刻である。
『飲み過ぎじゃないの?』とか言われればそれまでだが…それだと、前後のメールを憶えている説明が付かない。
考えた結果、こう思うことにした。
『パソコンの中に優しい精霊さんが住んでいて、メールの返事が間に合わなくて困っている琥珀の為に代わってメールを書いてくれたんだ』
ンな訳ないのだが…こう考える事にしたのである。
以後、送信トレイに謎のメールが出現することは無かったが…今でもこの出来事は、琥珀と友人の間での語り草となっているのであった。
結局、これって本当になんなのだろうか。


第4話  語り手: れいさん
これは、私の身におこった出来事です。
その頃、祖母が亡くなったためか、私の身にやたらと金縛りがおきたりしていました。
そして、ある寝静まった夜のことでした。
私はその夜、夢を見ていました。内容は詳しく覚えておりませんが、殺される夢だったと思います。
確か銃で撃たれる夢だったと思います。
その時、私はこの夢を夢だと自覚していました。
なので打たれた瞬間に、夢から覚めようと思い、起き上がりました。
・・・と、思ったのですが。
実際には、起き上がっていませんでした。
目を開けようと思ったのですが、開きませんでした。
どうやら、金縛りにあってしまったようでした。
また金縛りか、と思って、金縛りが収まるのをじっと待っていました。
しかし、かなり待っても、金縛りは収まりませんでした。
それどころか、金縛り特有の、身体のむずがゆさは酷くなる一方でした。
そして、急に身体がふっと、浮いたような感じがありました。
浮いた瞬間、目が開いたので見てみると、目の前が天井でした。
いきなりのことにびっくりして、私はすぐに目をかたく閉じました。
すると、今度はゆっくりと下に引っ張られるような感じがありました。
引っ張られるような感じもなくなり、むずがゆさも消え、金縛りも収まったので、私は目を開けました。
そんな私の目にうつったのは、遠い天井だったのでした。


第5話  肝試し語り手: 薫さん
これは実際に私の中学のときの後輩が経験した話です。
すでに相手もこちらも社会人として働いているのですが、あるときちょっとした世間話に花が咲きました。
それで季節はちょうど夏。というので「あ、先輩、そういえばね。」・・・・という感じで相手が話し出しました。
「この前、友達と有名な○○トンネルにいって肝試ししてきたんだよ?」○○トンネル、それは結構有名な幽霊トンネルです。
「だ・・・・大丈夫だったの?」思わずそう問いかけました。何しろそこでは必ず何かが起こる、そういわれているところだからです。
「大丈夫だからここにいるんじゃん。幽霊がでるって有名だから肝試しにいったんだけどね?」
何でも話しを聞けば友達同士などが集まって、のりでそこにいってみよう!ということになり、そこにいったそうです。一台の車で。
人数はちょうど四人。(軽自動車でいったらしい)運転していたのは彼女の友達の男の子。
それで話に聞くそのトンネルにたどり着きました。はじめは見るだけ。という話だったのになぜかはいってみよう。ということになり、よく『トンネルの中で数回クラクションを鳴らしたら必ず何かがある』
といううわさは有名すぎるものだったのでそれを実行したらしいです。
「・・・・何・・・・何なかったよね?(汗)」私は怖い話は好きですが、そういうところには面白半分でいくべきではない、というのはわかってます。思わず心配して質問しました。
「うん、表紙抜けするほど何もなかった。」けろっとしていっているその子。
でも・・・・・・・・・・
外は完全に晴れているのにトンネルの中は水浸し、まあこれは山水、というので話しはつくかもしれませんが。車に当たる水の音がうるさかった程度だったよ?ということでした。
「そ・・・そう、あまりそー言うところには面白半分でいかないほうがいいよ?何かあってじゃ遅いし。事故とかあってからでも・・・・」私がそういうと。
「あ、それならなりかけたよ?何もなかったんだけどね。しいていえばいきなりカーブでブレーキがきかなくなってハンドルも自由がきかなくなったとかで二人係でハンドルまわしたけど動かないで。対向車線に・・・」
ちょっとまてぃ!私は思わず心で叫びました。それでどこが何もなかったといえるのよ!?と。
「もう少しで対向車にぶつかりそうになってがけにおちそーになったけど、何もなかったし。少し車を山でかすったくらいで。でも何もでなかった。」さらっといっているその子。
「い・・・いや、それどう考えてもおかしいでしょ?(汗)」私がいうと。「・・・そうかな?そういわれみれば?」などと首をかしげ。さらにはとんでもない一言が。
「そーいや、後からなんか車の上に何か手形みたいな汚れがついてたとかいってたけど。やっぱり何かあったのかな?」などといっているのです。
どう考えてもそれは・・・。
「お・・・お払いいったほーがいいよ・・・それ・・・・」私がいうと。「そーいえばしばらく原因不明の高熱出して寝込んだけど、運転していた子。やっぱりあれって関係あるのかな?」「関係あるもなにも!そー言うところに面白半分でいったらだめぇぇ!」
「うーん、ま、多分。」「多分じゃないの!」そんな会話をしつつ、とりあえずその会話は終わりました。何でも時間がないからとかいう理由で。
運がよかっただけなのかはたまた偶然なのかそれはわかりませんが。できればああいう場所には興味本位いでいかないことをお勧めします。・・・・何かあってからでは遅いのです。


第6話  語り手: 李 杏蓮さん
たしか、僕が小4か小5のころだったと思います。
祖母の家で夕食を食べたあと、家の二階に上がりました。
そこには、姿見の鏡があります。
今はもう場所が変わりましたが、当時は階段が映るような場所においてありました。
僕は電気をつけようとして、電灯の紐を捜しました。
そこは、ちょうど鏡の前でした。
電灯をつけようとして、ひもをひっぱった時・・・
蛍光灯の点滅する光のなかで、鏡に映った開けっ放しになった階段へ続くドアのすきまから、
白い、手のようなものがみえていました。
びっくりして振り返ったときにはもう蛍光灯は点いており、
その手も、もう跡形もありませんでした。
あとで調べてみましたが、ドアのすきまにも、鏡にも、手と見間違うようなものはありませんでした。


第7話  肩を叩く人語り手: レナさん
これは私のホームマザーの話なんですけど
昔彼女は夜古い教会で掃除の仕事をしてたらしいんです
彼女も留学生だったらしく生活費を溜めるためにがんばってたらしいんですよね…
ある日彼女が教会の講堂を掃除しているときに首筋の辺りを風が通ったような気がしららしいんです…
その日から何かいつも誰かからの視線を背中に感じるようになったらしく
怖くなったのでもう少し早い時間に掃除をさせてくれと神父さんに頼んだらしいんです
でもその神父さんは早めに来ることはだめだというんです。。。
しょうがないので彼女は次の日もその次の日も同じ時間に来て掃除をしていたそうです
その掃除する間中やはり視線を感じるらしくある日窓拭きをしながら「誰か私を見てる人がいるならでて来なさい」と言ってみたらしいんです
すると磨いていた窓がだんだん曇ってきて人の姿が浮かんできたそうです…
その日は彼女も怖くなって家に帰ったそうなんですけど。。
次の日から誰かに肩を叩かれてるような感じがすっとするようになってしまったらしく…
神父さんに相談したらしいんです「何かが変ですよと。。。
そうしたら神父さんは霊安室(で良いんでしょうか に彼女を連れて行き
小さな棺を見せたそうです。。。
それはある日の夜8時ごろに火事で死んでしまった女の子のお墓だったそうです。。。
その子は現場からは抜け出すことが出来たらしいんですけど火事の恐怖で言葉を失ってしまった子らしく
何か訴えたいことがあると人の肩を叩いていたそうです。。。
その話を聞いてホームステイマザーはその子がかわいそうになったらしくもう一回その子に向かって話しかけてきたそうです
そうしたら一人では寂しいから何かを彼女のお墓に添えてくれと言ったそうです
それを聞いて彼女は神父さんに事情を説明してぬいぐるみをお墓に備えたそうです。 それからはもう肩を叩く気配はしなくなった。。。


第8話  月に願いを 語り手: ハイドラントさん
絵画の中の世界にでも、迷い込んだのだろうか。
荒れた大地を微かに照らす蒼白い天の輝き。
途方もなく美しい。闇に飲まれた世界を今支配する冷たい満月。
幻惑的。今にも妖怪(あやかし)どもの舞い踊りが始まるのではないだろうか。
風が吹いた。冷気を孕みまどろむ者の目を覚ます。
いいや、ここは現実だ。我に還る。
津崎英介が今いるこの岩山は、古くから多数の伝説が伝わっているという。たとえば月から使者が降りて来るなどというものだ。
津崎はそれを自宅にある書物から知った。
津崎はそのようなものには大して興味を示さない人間だったのだが、根っからの登山好きである彼には、そんな神秘的な山は妙に魅力的に思えてしまった。
そこで津崎は、十年前に母を失って以来ずっと彼に心を開かないでいる十六の一人息子の雄太を無理矢理連れて、その山に向かった。
その翌日、二〇〇三年八月一日に始まった登山は順調に進んだ。
重い荷物も苦とならず、一日目で中腹辺りにまで到達した。
適当な洞穴を見つけ、その中で一夜を明かした。
夜が明けるとすぐに起き出し、朝食をとってすぐに出発した。雄太はおとなしく着いて来た。
標高が高くなるにつれて、気温も少しずつ下がっていったが、夏という季節にはむしろ涼しいほどであった。
冗談も言えなくなるほどの寒さは訪れず、この日もなかなか順調に進めた。
危険な場面も少しはあったが、日没前には山頂付近までいくことが出来た。
夕食をとった後、いい加減疲れの出て来たらしい津崎は早々に床に就いたが、雄太はなかなか眠る気にはなれなかった。
前日泊まった場所と同じような洞穴から、世界が夜の色に浸食されていく光景を眺めていた雄太は、やがて導かれるように外に出た。衣服を着込むことさえ忘れて……。
絵画の世界にでも迷い込んだのか。
満月が綺麗だった。全貌をさらけ出すように光る月。
それにしても蒼い月など本当にあるとは知らなかった。薄黄金色の普段の輝きよりずっと綺麗だ。
雄太は切り立った崖の上にいた。
外は寒い。だが不思議と気にはならなかった。
そろそろ十七歳を迎える雄太は、こんな月の下で母に誕生日を祝ったもらえたらと、無性に思った。だがその母はもういない。
母の死の瞬間はあまり覚えていないが、あの時のショックは凄まじかったと思う。
父とあまり話さなくなったのも、母が他界してからだ。
父は母を殺したのだから。
雄太は視線を空から大地へと落とした。
地面の岩や石ころ達をぼんやりと眺める。
心は母の死のことでいっぱいだ。十年も前のことなのに……。
(父さんも死んじゃえば良かったんだ)
しばらく地面を見詰めていると、突然視界に光が差し込んだ。薄く淡い光だが、急に現れたので随分驚いた。
雄太は視線を空に戻した。そしてひどく仰天した。
何ということだろうか。月の光がただ一点に集中し、月とこの崖とを結ぶ橋を築いている。
淡い光彩を放つ蒼白い光の橋は、あたかも雄太を誘うようにすぐ近くにあった。
引き込まれるほどに美しい。そう思った時すでに、雄太は橋に近付いていっていた。
勇気を出して第一歩を踏み出す。橋をすり抜けて、落ちてしまうことなど考えもしなかった。
光の橋に魅入られたものは、常識などすでに捨て去っているのだ。
そして雄太は橋から落ちることなく、渡ってゆくことが出来ていた。
一心に月を目指して歩く。
光の橋に乗ることが出来ただけでも不可解であるが、さらに不可解なことに、月との距離があっという間に縮まった。
月はもうすぐそこだ。
眩いほど蒼白い輝きを耐えず放っている一つの星。
雄太はその輝きの中に飲み込まれていった。
そしてそこで、一人の少年と出会った。
「こんばんは」
 少年が言う。
「……こんばんは」
 雄太は挨拶を返した。表情にはあまり現れていないが、雄太の動揺は尋常ではなかった。
「驚いた?」
 雄太は答えなかった。
 少年は微笑した。雄太は少し恐くなった。
「まあ良いや。……それで君は何が望みなんだったっけ?」
「……望み?」
「そうだよ。望みがなければ、ここには来れない」
 言ってごらん――と、少年はそう促がした。
 雄太はしばらく考える。望みといきなり言われても、簡単には浮かんで来ない。
 大きすぎることは躊躇ってしまうし、小さなことも意外に言い難いし、それに勿体ない。
 小さく唸りつつ、一所懸命思考を回転させた。
 沈黙が重い。威圧感のようなものが、ひしひしと圧し掛かって来る。
 何でも良いから言わなければ――と、そう思っていると不意に、
「じゃあ代わりに僕が言ってあげようか?」
 雄太は戸惑った。
 少年は微笑みながら、さぞ嬉しそうにこう言った。
「君は家庭に不満があるんだよね。確かお父さんが……お母さんを……」
「君は……一体?」
 すると彼は、
「君の……夢の世界の住人さ」
 少年は、そんな言葉を堂々とした態度で発した。
「夢の……世界?」
「そう。君の望む世界の住人だよ」
 何だか意味が分からない。雄太の頭は混乱の境地に達しようとした。
 それでも少年は遠慮もせずに、
「君の望むような世界に、この僕は住んでいるのさ。まあ別に分かってくれなくても良いんだけどさ」
 少年は言葉を切って、息を吸い込み、
「……つまり僕と君が入れ替われば良いんだよ。僕の世界は君の望む世界だから、君はそこへいけば幸せになれると思うよ。僕は代わりに君の世界にいく。
 僕と君は姿が同じだから、それで良いんじゃないかい?」
 つまり……少年は人生を交換しようと言っているのではないだろうか。そして少年の住む世界は、雄太が望むような世界なのだろう。
 姿は全く一緒なのだから、入れ替わっても問題ないだろう。
 少年の言う言葉がすべて真実なのだとすればの話だが。
 午後十時頃。津崎は誰かに揺さぶられて起こされた。
「……雄太か?」
 重い身体を起こし上げて、手元に置いてあった懐中電灯を手に取って、自分を起こした者を強く見据えた。
「……誰だ?」
「やだなあ。僕だよ」
「誰だと訊いている」
「ユウタだよ。ユウタ」
「お前は雄太じゃない!」
「ユウタだよ」
「違う!」
 そこにいたのは、津崎の息子である雄太と瓜二つの少年であった。
 だが彼が持つ雰囲気は雄太とは全く違った。
 津崎には分かる。雄太……ではない。
「……お前は……雄太じゃない……」
 さらに恐ろしいことに、その少年は右手にナイフを持っていた。それに気付いた津崎は急に脅え始めた。
 津崎の態度が変わった瞬間、少年はナイフを翳して、
「……ふふっ、お父さん。これも雄太君の望みですからね」
 そして一振りした。


 夜の闇の中に叫び声が響き渡った。
 眩い月の光の中で、雄太はただ立っていた。
 あの少年にしばらく待っているように言われたので、おとなしく従っているのだった。
 やがて少年は帰って来た。
「準備は出来たよ」
「……そう、なの」
「さあ来た道を帰るんだ。僕の世界に通じているよ。君の望んだ世界だ。幸せに暮らしてね」
 雄太は軽く頷いて、光の橋の方へ向かって歩き出した。
「僕の住む世界では、父さんも死んじゃえば良かったんだ、という望みが、ちゃんと実現されているからね」


第9話  鍵穴の向こう・・・・・・語り手: 闇鬼神フィアさん
あるタクシードライバーが深夜の路上で一人の女性を乗せました。
「どちらまでですか?」
と聞くと何も言わず住所が書かれた紙を差し出して後ろの席に静かに座りました
白い帽子を目深にかぶり、服装は白いワンピース。
どう考えても夜間動くような格好ではないけれどドライバーは何の詮索もせずにその住所の場所に車を発進させたのでした。 着いたのはアパートでした。
それも今にも倒れそうなほど古いぼろアパートです。
その女性は「中には入らないでください」
とだけ言ってそのアパートの中に入っていったのでした
しかし、流石にそんなアパートではドライバーは心配だったので女性が中に入り、一つの部屋の電気がついた後に車から降り、その部屋に向かいました。

廊下は静かで時々床が軋む程度でしたがドライバーは静かに足音を消して歩きそのドアの前に立ちました
鍵穴は昔のような鍵穴で中の様子が見られるようなものだったのでドライバーはその穴から中をのぞき込みました
そして・・・・・・
中を覗いたドライバーははてと思いました。
中は真っ青だったのです。
おかしいと重いながらも何か本能的に危険だと感じたドライバーは急いでタクシーに戻るとタクシーを急発進させて後ろも見ずに自分の会社まで戻りました
翌日、同僚にその話をすると同僚は笑って
「ああ、あの青い目の女性のことだろ?」
と笑って応えました。
鍵穴から見えた青い部屋・・・・・・いえ、本当はその女性の眼だったのです。
もちろん人間の眼のような瞳があるはずなのですがそれが無かったのです。
それから後そのドライバーは何度もその住所の場所を通りましたがそこにはただの空き地があり、アパートの影も形もありませんでした。
それから数日後、そのドライバーは突如ショック死という方法で永遠の眠りにつきました。
ただ、その死ぬ直前にたった一言口走ったのです。
「青い眼が・・・・・・」
と・・・・・・


第10話  どこにでもいる語り手: エモーションさん
授業を終えた後、A先生(新任、女性)はある生徒からメモを渡されました。
「何だろう?授業の質問かな?」と思いつつ、A先生は受け取って職員室で読んでみました。たまに、こんな形で質問する子がいるからです。
メモには可愛らしいペンの色と字でこう書いてありました。
 「先生、さっき授業中に窓の上の方で、透けてて浮いている女の子が覗いていたのですが、気が付いていましたか?」
「気づくかあああああっ!! つーか、知りたくなかったああああっ!!」A先生は心の中で絶叫しました。
その後、給食時間に「視えてもいいから、報告しないでほしかった」と他の先生に愚痴るA先生に、ベテランの他の先生方は言いました。
「ああ、そう言う子はどこの学校にも必ずいるから。ま、気にするな」
どこにでもいるんかい……。
普通の人には視えてはいけないはずの方々より、その事実の方が怖い……。
しみじみとそう思った、A先生でした……。


第11話  夜のドライブ語り手: 薫さん
これは父の同僚から父が聞き、というか私も聞いた話です。
うちにはたまに父の同僚が以前遊びに来ていました。
そして、そんな中で、なぜかテレビで怖い話をつけてしました。
そのテレビをみつつ、怖い話か、いろいろとあるけど周りにはないよね。と私がつぶやくと。
なぜ私がそこにいたかというと、それは父たちが出しているお菓子目当てです(笑)
季節はちょうど夏、そんな会話をしていると、やってきていた二人のうちの一人が。
怖いというかいまだに現実なのかどうなのかわからないのならあったぞ?というので私は何何!?とせがんで話を引き出しました。
私のせがみに負けたのかまたは多少すでによっていたがためか。彼は話し始めました。
彼の話によるとこうでした。
ある日彼は飲みに出ていてそしてその帰り。妻に電話をして迎えに来てもらったらしいです。
そしてそのまま車・・・彼は助手席、妻は運転席。それで家に帰るために車を走らせていたらしいです。
彼が住んでいる場所はとある道路を進み、その道路は四つのトンネルが続いています。
一つ目は短いのですが、問題は一番最後のトンネルです。
このトンネル、やけに長いんです。私が通るたびに思うことですけど。しかもトンネルだからか当然薄暗い。
そして、いつものようにトンネルに差し掛かり・・・そこまではいつものことです。ですが。
・・・・うん?ふと違和感に気づきました。トンネルのようやく中心に差し掛かったくらいでしょうか?
トンネルの中に・・・時間は真夜中、しかも、そのトンネルには当然歩道何てものはありません。なのに。なぜか白いものがゆらゆらとしているのです。
「何だ?」彼がそう思いそちらに目を向けた瞬間に、それが後ろが透けている白い女性だ、とすぐに理解ができました。
理解したその瞬間に、彼と目があったのに気づいたのかどうなのか。いきなりその女性は彼の方・・・つまりは彼の車の方にと向かって突進してきました。
その瞬間、彼の妻がいきなりアクセルを全快にし、いきなりスピードが上がりました。そう思ったその瞬間、その白い影は。
一瞬のうちに車の前に立ちふさがり・・・そして、ふわっと。すり抜けたのです。
しかも、すり抜けた・・・とどうしてわかったの?と私が聞くと、・・・助手席と運転席、つまりその間を・・・すり抜けるようにその女性は移動してきたらしいです。
そのまま後ろを振り向くことなく、やがて車は無事にトンネルを抜けました。
「よってたんじゃないのか?」もう一人のその突っ込みに。「自分一人ならそれも納得するけど。奥さんも見てるんだぞ?」
その言葉にもう一人も黙り込みました。確かに彼一人がみたのならそれは酔っていた。ですまされることでしょう。
しかし、それはまったく酔っていない彼の奥さんも見ているらしいのです。
でも、彼の奥さんがアクセルを踏み込んだのはいるはずのない白い女性と目があい、彼女がにっと笑ったから怖くなり無我夢中でアクセルを踏み込んだ・・・のだと。後に彼は奥さんから家に戻り震える奥さんから言われたそうです。
その言葉をうけて周りは一瞬静まり返りました。
彼の奥さんいわく、その道は通りたくない!としばらく運転を拒否したらしいです。
しかし、彼の住んでいるところからはどうしてもそのトンネルを抜ける以外に道といえばかなりの遠回りの道しかありません。しばらくその道をとおって出ていたらしいですけど。後日。
再びその道を通ったときに、また白い影に、今度は奥さんだけが出会いました。今度はトンネルの出口で。
そのときには車の方にやってくることなく、その白い影は山の方にむかって消えていったそうです。結局その白い影が何だったのかはわかりません。ですけど、私はその話を聞いてさらにそのトンネルを通るたびにいまだにびくびくしております。


第12話  語り手: 白羅さん
この物語は、5月の終わりから6月の14日までのお話です
今は亡き・華鏡累さんの体験談です
彼女は、体が弱くよく入院していました
そのせいなのか、よく人であらざるものを見る性質のようでした
また、私のようなものでも優しく接してくれていました
私は、ユアさん以外に心を開いていなくてもそれを溶かすぐらい優しい人でした
彼女が最後に入院したのは、5月の半ばの頃でした
私も、お見舞いに良く行きました・
ときどき発作を起こしているようでした
大きなのが後5回あると危ないといわれてから数日後のことでした
「ねえ、白ちゃん。」
「何、累姉様。」
「ユア先輩とのリンクを切ってくれないかしら・・・少しの間・・。」
リンクとは、ユアさんと私たち・人格を繋ぐ回線のようなものです
「なんで?」
「白ちゃんにだけ、話したいことがあるの。
 ユア先輩に話すと、力ずくで止められそうだから。」
しばしの逡巡後、私はこう答えた。
「いいわ。」
リンクを切る間、雑談をしており、
「話しても良いよ。」
そして、彼女は語り始めた
「私、6月の14日・・・死ぬわ」
「・・・・・・なんで?」
驚きを隠せずに、私はそう聞いた
「眼鏡を外して・・あとカ−ドもベットの上において。」
言われた通りにしてみると・・・・・・・ 彼女のベットの側。
私の反対側に彼はいた
パ−マの金髪
青い水晶如きの瞳
白い肌。

これなら、外国の幽霊かな・・・と思えたのですが

彼は、黒いロ−ブに、三日月の大鎌を持っていました
「・・死・・・神・・・・・」
「そうよ、皐月参って私は呼んでいるわ。」
彼は、ただ微笑んでいた
「俺は、藍蓮だっつってんだろう?」
「いいじゃない、もうこの一週間で慣れてしまったもの。」
私は、声を絞り出してこう言った
「で、話って?」
「あのね、姉様凄く霊力あるから、気付いてしまうと思うのよ。」
「それで・・・・・。」
「・・・・・残酷かも知れないけど・・・姉様からこの人を隠して欲しいの。」
私は大いに迷った・・・・・。
≪累さんには、世話をしてもらったこともある・・・・・
 でも、彼女がいなくなったら、ユアは哀しむ≫
十分ほどして私は口を開く
「・・・・・・・・どうすれば良い?」
「俺の側に、お前がいれば、お前の波動で隠れる」

私は、結局受けることにした
彼女が死ぬ2週間前。
6月に入った頃だった。
「ねえ白ちゃん。」
「どうした。」
「私ね、今更だけど怖いんだよね・・・・死ぬの。」
彼女は、少し震えた声でそう言った
「当たり前だ。
 俺のように、自早津をしたりする奴らとか以外は怖くて当然だ。」
「・・・・・・・・・・。
 わたしね、軌跡に乗らなかったらどんなことしてたかなあって最近よく考えるの」
 私はなんていってよいのかわからなかった
「・・・・あんたのここ数週間の口ぶりからすると
 累姉様・・・・・予定者じゃないですね」
「・・・・・・・・」
死神も、彼女も押し黙っている
「彼女の天数はまだ大分残っている。
 勝手な真似は、規則違反のはずですよ?」
「・・・・・俺みてぇな。
 下っ端には詳しいことはまわってこねぇがな・・・。」
死神が話したのは、次のような話だった。
「上のお偉いさんがきめたことで、規準はわからないけどよ。
 ・・・・・心の面が問題らしい・・・・・・・
 早い話が生きる気力がないって判断されちまったみたいなんだ」
「生きたいと、今望んでいるわ。
 累姉様は・・・・・・≪サトリ≫でも叫び声になるぐらいに望んでいるわ。」
「第一に、俺は、こんな理不尽なことに従うつもりはない。」
「・・・・行動で示して・・・・・・。」
それから、ウンメイの日

私は適当に理由をつけて、病院に心だけ残した
皐月は、反抗することにしたようだ
「いいの?」
「いいさ。
 ・・・・・それより、お嬢。
 偽装の遺書・・・・・俺がお前の命を刈ることになったということを書いたか?」
それを確認し、私と彼は、屋上へ上がった
≪裏切者ヨ
 アノ娘ヲ今殺セバ、許ソウ≫
「だってさ。」
「はん、従うかよ。」
課長と私たちが2人が戦い始めた頃
累姉様の最後の戦いが始まっていた
戦い始めて数分後。
私を庇った彼が後ろに転移してきた同僚に何かを打ち込まれた
「・・≪いやしも・・・・・・ぐっ」
私も何者かにのどを潰されました
その中で、彼の瞳が濁っていった
意思のない空虚な瞳に完全になったとき
彼は、累姉様の病室へ向かった。
『皐月になにをした?』
≪操リ人形ニシタダケダ≫
私は、踵を返し病室に向かおうとした
しかし、皐月の同僚・2人に押さえつけられる。
そして、すぐあと。
・・・・・・累姉様の気が消えた
『・・累姉様ぁぁぁぁぁ』
私は声にならない声を上げた。

しばらくすると皐月が戻ってきた
手には、姉様の気と同じ色の玉を持っていた
『皐月の馬鹿。
 薬ぐらい跳ね除けなさいよ。』
彼は、それを無視し、玉を課長に渡した
彼は、向き直った時には、涙を浮かべていた
≪ごめんな・・・・・ごめんな・・・≫
繰り返し・・・思念で謝る皐月。
≪オイ、退却ダ≫
課長は、薬の小ビンをほおり、部下を連れて去った

薬を飲ませると。彼は自我を取り戻す。
「すまない・・・・。」
『・・・・・落ち込むなよ。
 私の力も足りなかった。』
「ユアとやらには、話すのか?」
『話さない・・・話せない。
 敵討ちの為に、万魔殿まで敵に回しそうだしね』
こうして・・・ユア姉様達は、累を失った。

備考;死神は、私のところへよく来るようになった
   先日、死神業をやめたらしい


第13話  語り手: リナ&キャナさん
皆さんは、首酒というものをご存知ですか?
ある男が、酒が大好きで、珍しい酒をいくつもいくつも収集していました。
しかし彼は、自らの酒好きから家族を振り返る、という大切なことを見失い、妻や子の心は徐々に離れていきました。
ある夜のことです。男は、いつものように酒好きの仲間たちと語り合い、そして自分のコレクションをここぞとばかりに自慢していました。
そんな時。がしゃん、という重い音が家の中で響きました。
何事かと音のほうへと向かった男が見たのは、妻が手を滑らせ、自分が大切にしていた酒のビンを1本落としてしまったというものです。
男は・・・妻を殴り、蹴り、散々罵倒を浴びせかけました。
子供や仲間の制止も聞かず、ただただ妻に虐待を続けました。
その数日後のことです。
行きつけのバーで一人飲んでいた男に、うす汚い老人が声をかけました。
「御主・・・首酒というものをご存知かね?」
男は、見たことも聞いたこともありません。そのことが、彼の収集本能に火をつけました。『自分が知らない酒があってはならない』。
「知らない・・・教えてくれないか?」男は、老人のことをやや疑いながらも、酒への好奇心で問いかけます。
老人は、にまりと笑って言いました。
「首をな・・・人間の首を、酒に漬け込むと・・・美味いのだそうだ・・・知らぬのか?」
男は薄気味悪くなって、平静を装いながらバーの主人に金を払い、急いで店を出ました。
帰ってみると、起きているのは長男一人。まだ幼い娘はまだしも、妻が台所にいないことに、男は憤慨します。
が、長男は言いました。「母さんは、しばらく帰って来れないって。それから、これを父さんに渡すようにって」
長男が指差した先には、大きな鈍色の壷が一つ。
「何だこれは?」「父さんが好きなお酒だって」
おやすみ、と言って寝室へ帰る長男をよそに、男はうれしそうにグラスを取り出し、酒を少々すくって飲んでみました。
・・・それは、男が今まで飲んだこともないほど、最上の美味さでした。彼にとって、これほどうれしいことはありません。
すでに夜中の2時を回っていましたが、男は急いで仲間たちに電話をしました。「美味い酒が手に入った。すぐに飲みに来い」、と。
呼ばれた仲間たちは、嫌々ながらも男の家に集まりました。それも当然でしょう。数日前の惨事を目の前にしていれば。
男はうれしそうに、仲間たちに酒を振舞います。その酒の色は、極上の赤ワインのような深紅でした。
薄気味悪さを感じながら恐る恐る口をつけた仲間たちは・・・
そろって、その酒を吐き出しました。
「何が最上の酒だ!!これは血生臭いだけじゃないか!!馬鹿にするのも程々にしろ!!!」
仲間たちはそろって家を出て行きます。男は、呆然となりながら、酒に口をつけます。美味い。
しかし・・・男は気になりました。だったら、あの酒はいったいどういうものなのか。
台所へと踵を返し、改めて深紅の酒の中を探ってみます。
すると、そこには何か大きな塊が。
・・・もうお分かりでしょう。そこに入っていたのは、妻の生首だったのです。
男は、呆然となって膝をつきました。
ひそかに一部始終を見ていた長男は、小さな声でつぶやきました。
「家に来たおじいさんが言っていたよ。
 首酒は、首の持ち主が深く愛している人ほど、美味く感じるんだって。
 母さんは・・・
 父さんに、わかって欲しかったんだよ」
そして長男は、ゆっくりと箪笥を開け・・・
そこにある、首のない彼の母親の姿を、もう一度呆然と眺めるのでした。


第14話  かごめかごめ語り手: 遙 琥珀さん
かごめ かごめ

かごのなかのとりは いついつ でやる

よあけのばんに つるとかめがすべった

うしろのしょうめん だぁれ? 

この歌を知らないひとはいないだろう。
古くからの童謡である。
しかし…不思議な歌詞だと思った事は無いだろうか。
『カゴの中の鳥』『夜明けの晩』など、意味をどう取ればいいのかわからない言葉も多い。
今現在でも、はっきりとした意味の解っていないこの歌詞だが…
ひとつに、こういう説がある。
躰を固定したまま、貴方は真後ろが見れるだろうか?
…見えるひとがいるとしたら…アンタ人間じゃない。
『後ろの正面』を、躰を固定したまま見る為には……どうすればいいだろうか?
答は簡単である。
躰と首を切り離してやればいい。
そういうワケで…説の一つが…
『罪人囃し歌』である。
カゴの中に罪人を入れ、処刑場まで運ぶ。
鶴と亀…『めでたいもの』の象徴が『滑る』事により、『死』を表している。
罪人の首が切り落とされ…地面を転がり…後ろの正面…自分の首を切り落とした処刑人と向き合う形になる。
そういうこともあっただろう。
この歌が出来たのは、江戸時代のあたりだと言われている。
江戸時代と言えば、放火で死刑、スリでも四回捕まれば死刑。
百万円盗めば死刑…という時代。
死刑に処せられる罪人、というのはそう珍しいものでも無かった。
罪人がカゴに乗せられて行くのを見た人々が…この歌を歌い、罪人をからかった、というのである。
この他にも…姑が、子供を産まない嫁をいびった歌だとか…
男が遊郭から女を連れて逃げ出すが、見張りに見付かってしまう、という歌だとか…
取り敢えず、ロクな由来の無さそうな歌である。
では…歌はひとまず置いといて…あの『遊び』は何処から来たのだろうか?
『かごめかごめ』の遊びは、東北地方で始まったといわれている。
東北地方では、冷害が多かった。
冷害に襲われると、その年の食べる物に困るだけではナイ。
種が取れないから、次の年も、また次の年も飢えに苦しむことになるのである。
しかし…もし、冷害…または台風の来ることを、事前に知ることが出来ればどうだろうか?
苗に藁を被せるなどすれば、少しでも被害は抑えられる。
では、どうすれば、冷害の到来を予知できるのだろうか?
お決まりの……神頼み、である。
所謂『イタコ』。神を呼んで口寄せするのだ。
当時の人間にとって…神は『絶対』である。
偉い。とにかく偉い。ひたすら偉い存在。
そんな存在がほいほい出てきて自分達に都合のいいことべらべら喋ってくれるワケ無いのである。
そういうわけで人間は考えた。
少しでも『神』に近い人間を選び、その人間を『器』にして降臨願おうと。
そういうわけで…『かごめかごめ』の登場である。
目を瞑ったまま、『後ろの正面』を当てるというのはナカナカ難しい。
当然ナカナカ当たらない。
しかし、たまに当てる子がいる。
そうすれば、その子は、『神が入った巫女』として…『預言』をするハメになるのである。
しかし。
ホント―――――――――に神が降りているのなら問題はないが…
大多数が『テキトーに言ったら当たっちゃったぁ』な子である。
なんとかテキトーにお告げを言うが…
当たってるかどうかは時が過ぎればわかってしまうこと。
それでも…適当に言ったことが当たっていればいい。
だが…大体が外れる。
『今年は台風も来なくて豊作です』と言って…
外れればどうなるか……
それは全て、巫女となった娘の責任とされる。
どうなるか。
言わなくても解るだろう。
殺される。
そして…冒頭で述べたような事になる。
転がり落ちた首が、『後ろの正面』を見ることになるのである。
現在ではそういうこともなくなり…『かごめかごめ』は、子供の遊びとなった。
しかし、歌の背景には、色々な怨念が隠っているのである――――――……


第15話  死の行軍を続ける人達語り手: 栄さん
あれは、中学3年の(ユアがだ)ことだった。
修学旅行で沖縄に行ったのだった。
そこまでは、良かった。
選択学習で、ユアは≪平和≫コ−スを選んだことが原因なのかも知れない。
波長がたまたま合ったのかもしれない。
原因はわからないが、『それ』は2日目の夜に泊まったホテルで起こった。
布団とベットの部屋でユアは、布団を選んだ。
すること・・・昼間のヒメユリ資料館や塔見学のレポ−トを書き、ユアは眠りにつきました
それから、2時間もたったでしょうか?
ユアは、トイレの為にか、置きました
足元が壁になっていました
そこをスクリ−ンのようにした白黒の映画のように、
ぼろぼろの軍服を着た兵や女学生が歩いては、消えていった
校章バッチから推測するに白梅や沖縄師範など計4校、3部隊が居たようだ
その一行は、皆疲れ果てているように見えた
途中で倒れてしまう方もいた。
ユアは、金出地張りにあったかのようにそれを凝視しつづけた
貴方は、ユアがどうしたのかわかるだろうか?
金縛りのような物が解けると同時に、トイレに行った。
『行って帰ってくれば消えているかなぁ』って思ったそうだが、現実はそう甘くはなかった
そう、まだその場にいたのである。
正確には、流れつづけていたのであった。
そこでユアは、彼らに声をかけた
「何がしたいの?」
ユアは、布団に足をもぐりこませ座りそう言ったのだった
彼らは、そう問われると。
兵士達は口々にこう言いました
「生者が居る」
「引きずり込み、鬼畜米英を我らとともに戦うのだ」
ユアは、それを聞き某書に従ったのか
「ふざけんな。」と強気に出ましたが。
それが良くなかった。
兵士や女学生は、無言で布団の中のユアの足を引っ張ったのだった
足がどんどん引っ張られる感覚がする
隣りの友人に助けを求めようと思っても声も出ない。
ユアはしばらくもがいていた
30分もそうしていたのだろうか。
ユアの意識はそこで完全に途絶えた
「○さん。朝だよ、起きないと朝ご飯に間に合わないよ。」
という声でユアは目を覚ました。
(昨日の事は夢かなぁ)
と思いいつつトイレに入り、ジャ−ジズボンを下ろすと・・・・・・・・。
足の付け根から、足首までびっしりと無数の手形がついていた
(夢じゃなかったのかな・・・・・・・)
寝ぼけた頭でそう思ったようだった
制服はスカ−トだったが、クリ−ムで隠したようだった、
ちなみにいくつかは、まだ残っている
余談が1つある・・・・・。
あの例を同じ霊道に戻したのは、
俺と白羅を含む4人と守護霊の人である
(ほとんど、守護霊がやったようなものが)


第16話  日常に起こりえること語り手: 薫さん
これはとある女の子の体験です。
彼女がすんでいるのは俗にいう田舎。彼女は高校にと通うのによくいうところのローカル線を利用していました。
田舎に通っている電車のこと、一時間に一本、もしくは二時間、三時間に一本。というような電車です。
別に高校までの距離的には十キロと少しなので自転車でもいけないことはないのですが、それでは危ないというので電車で通っていました。そして電車で高校に通いはじめて一年が過ぎそして二年目も中ほどに差し掛かったころ。
いつものように電車に乗り込み通学をしているとその時間帯に乗っている人とは顔見知りになります。そして、ある日いきなりまったく知らない人から話しかけられました。
田舎の電車です、別にこれといって問題もなくそれでもまったく知らない人なのではじめは無視していました。それでもしつこく話しかけてくるのです。周りに人がいなかったからなのかはたまた少女が学生だったからなのかとにかくその男性・・老人はしつこく話しかけてきます。
少女もさすがにあまりにうっとうしいので話しを聞くくらいなら・・・と思ったのがそもそもの間違いでした。
少女が話し相手をしてくれたのがうれしかったのか勝手に一人でいろいろと話してきます。少女も彼女自身おしゃべりが好きなので相手に話をあわせました。
そして、その老人と数回、同じ電車の中で出会い話しをしたでしょうか?ある日のこと。
少女が学校にて授業の最中、といっても休み時間。呼び出しがかかりました。至急来てくださいという内容です。何ごとかと少女が呼ばれた玄関にと向かうと。
・・・・なぜかそこに電車の中で数回話したことのある老人が。
こちらは名前も何も話してないにもかかわらず・・・どうやら名札をときどき取り忘れていたためか、名前を知られていたようです。
「何か用ですか?というか私今忙しいんですけど?」といって少女はほとんど怒り寸前でどうにか抑えて話しかけました。
何しろそのときは二時間連続したとある授業の最中、当然休み時間といっても授業中とほとんど代わりがないのです。
「あ、別に用事はないんだけど、ちよっとこれ渡そうとおもって。」なとどといってどうでもいいような紙袋を私に手渡してきます。というか何なの!?この人!?少女の頭中はパニックというかすでに切れかけ。それでなくても授業が詰まっているのです。
「意味もないのにこないでください。というかこんなものもらう道理はありません。」とそれをつっかえしました。が、相手はあきらめません。そうこうする攻防しばらく。やがてチャイムが鳴り始めます。
しかし相手はチャイムがなっているというのにあきらめる気配はありません。「もう、わかりましたから、私は授業がありますから!」というと老人は袋をまたまた少女に手渡してきます。すでにチャイムは終盤。もうどうにでもなれ。という形でそのままとにかく授業に間に合わせるためにそのまま話もそのままにしかたがないので受け取りました。
そのまま私が走って教室に戻ってもしばらく老人はいたようですがそんなの少女の知ったことではありません。
そして授業も終わり、とりあえずこれ返さないとと思って一応中身が気になるので見ました。何でも老人いわく旅行にいったからそのお土産。といって無理やりに手渡してきたそれです。
・・・・・ですがどうみても、その中にあるのはすでに色がすけたような使い古しのシャプペン。どこにでもあるようなタオル・・そしてかなりぼろけたようなノートが・・・。何!?これ!?思わず少女が思ったのは言うまでもありません。
「とにかくあの老人にこれ戻そう。」そう思いその日帰りにたまに出会うこともあるのでそのときに返そうとそれをもって帰路につきました。がその日は老人とは会いませんでした。少女は家に戻りすぐに母親に事の顛末を話しました。
「あんたは、誰でも話すからでしょうが!というかその人どこの人!?」さすがに学校にこんなものをもってくるなど常識とは思えません。それは少女も同感です。「というか何で学校はそんな人と取り次ぐのよ!」と少女の母親は怒りました。
「電車に乗っているということくらしいか知らないというか数回話しかけられただけなんだけど。」少女がいうと母親は対応はすばやいです。すぐにそこの電車を経営している場所にと連絡を取り、そして運転手などから話を聞きだしたようです。
するとすぐにその老人の住まいはわかりました。そして「とにかくこれは私が返してくるから。あんたはともかくもう電車に乗ったらだめ!これからは私が学校に連れて行くから!」とすごい剣幕です。
どうやらその老人は・・・前にも同じようなことをしていたらしく学生に話しかけては迷惑をかけていたようです。ですが学校まで・・というのは少女が始めて。どうやらそれまで誰にもほとんど話し相手にされてなかったようです。
そのためにどうやら話を聞いた少女にターゲットを絞ったようですが、少女の前にも付きまとわれていた女性徒がいたらしいですけど。
そしてその品物を返しに老人が住んでいるというさらに奥にといき、しぶる父親を連れてそこにたどりつきそこの駐在さんに話をしたところ。
「ああ、あの人か。娘さんもやっかいな人に目をつけられたね。このあたりではあの人有名だよ?」・・・・・といわれたそうです。
何でもその人は娘さんと奥さんがいたらしいですけどかなり前に奥さんと娘さんは老人を捨てて家をでていき、それから学生などにいろいろと迷惑かけたりうそなどついたり・・・とそのあたりでは有名すぎる人だったそうです。ちなみに定職にもついていなくて生活保護をうけてしたらしいです。
何回も駐在さんなどから注意が飛んでいる・・・そんな人物だったそうです。とりあえず「これは私から戻しておくから。おたくの娘さん、二度とあの電車に乗せないほうがいいよ?」といってその荷物を駐在さんはうけとってくれました。
一応荷物のことに関しては駐在さんに任せて、「あんたは、そんな変な人と誰とでも話しをするからこーなるでしょうが!学校にもいわないと!」といってそれが住んで、学校にも母親はいいにいったそうです。
学校は急ぎの用だから、といわれ、しかも少女の叔父というか血縁者。と説明され・・・で受け継いだらしいです。
何か家族に何かあって大変なこととかなのでは・・などと思って受け継いだらしいですけど、そんなのはしったこっちゃありません。とにかくまったく知らない人なのですから。
そしてその日から少女は自転車でいく、というのですが、とにかく少女は自分でも親でも友人でも認めるほどに・・・・どこか鈍いというかどじです。そのために自転車なんかでいったらあんたは絶対に事故にあう。といってその日から少女の母親は少女を学校に車で送り迎えをし始めました。
それで老人ともう出会うことはないので、一安心・・・とはいかなかったのです。
その日から毎日のように・・・家に無言電話がなるようになりました。それも当然、少女が降りる駅名のところには・・・少女の苗字の家は・・・たったの一軒・・・調べればすぐに判明することなのです。
母が出ても父が出てもすぐに切れるのです。すぐに相手はわかりました。あの老人しかありえません。
しかも一日に・・・十数件以上。多いとこには五十件以上。さすがに母親も家族も参ってきました。しばらく電話線などを抜く・・などといった対応とかもしていましたがそれだと本当の電話に困ります。
当時少女の家は留守電・・というものなどはありませんでした。そのために留守電機能がついた電話を購入し。相手が何かを話したらそれから出る・・・という方法をとるようにしました。当然留守電のはじめには苗字などはいいません。用事があれば相手が何か言うはずですから。
それが数ヶ月続きました。ようやく無言電話が収まってきたかと思うと・・今度は女性から、声の感じからどうやら中年女性のような感じの人の声で留守電が入るようになり娘さんに用事があるから取り次いでくれ。ほぼ毎日のように電話が入るようになりました。
それでもしばらく無視を決め込んでいると・・・ようやく半年が過ぎ一年が経過し始めるころ無言電話も収まりかけ。しばらくすると一週間に一度・・やがてそれもなくなってきました。
少女が三年に上がるころようやくその無言電話もなくなりました。その電車を利用している別の子からうわさで聞いたところによると。どうやら電車を変えて・・・違う学校の子に目をつけた・・といううわさ聞いたよ?ということでしたが。
どうやら少女の一件があってからそのローカル線にのるのに注意を受けたらしく老人は別の電車を理由するようになったようです。詳しくはしりませんけど。
少女が三年生になりしばらくして、やっとまったく無言電話の類もなくなりました。
少女の母いわく。「あんたは誰でもかれでも話をするからでしょうが!今回はどうにかこの程度だったけど下手したらとんでもないことになるかもしれなかったのよ!反省しなさい!」・・・とこっぴどく少女がしかられたのはいうまでもありません。
ですが・・・・老人にしかもしつこく話しかけられて・・・・少女はちょっと話を聞いただけなのです。それなのに・・・・。
結局少女は卒業まで母親の送り迎えで学校を卒業しました。時間がないときには電車を利用せずにバスなどを利用して。
とにかく、いえることは、「話しかけられたからといってあいてが老人であろうと何であろうと。油断は禁物」ということです。
少しでも相手をしたら・・・とんでもないことになる可能性があるのです。少女はこの一件でそれを実感しました。いまだにもう社会人になって車があるので電車などは利用しませんが、それでも当時のトラウマというものは残っています。
いまだに少女の母親もあのときのことをいってきて注意をしてきます。確かに少女はどちらかというと少女の友人や母親いわく人を疑うことをしない。らしいです。本人はそんな自覚ないですけど。
とにかくいえることは、人をみたら泥棒と思え・・・ではないですけど。やはりこういうこともあるのだという現実が。何よりも怖い現実である。ということです。
これは別に少女だったから巻き込まれた・・というわけではないと思います。たまたま少女がそうなっただけで・・・皆さんもそういう可能性があるかもしれない、という現実の怖さがある。ということを知っておいてください。


第17話  消えない着信音語り手: 凰月 麗さん
携帯電話が普及する昨今。
『迷惑メール』というものが多発しているが、
私の場合、迷惑メールならぬ、『迷惑着信』である。
それがどうした。メールも着信もかわんねーじゃん。
と思われるかもしれないが、
これが私の場合、まったく違うのである。
事の起こりは高1のとき。
私が父から携帯を譲り受けてから数ヵ月後でした。
「あ。着信鳴ってる。」
カバンから音楽が流れてきたので、とーぜん私は携帯を見る。
誰からだろ?
そう思い携帯を見ると、なんと非通知。
『知らない人からの電話は取っちゃいけません』と親から言われていた私は、その言葉に従い、その電話を取らなかった。
1切りの類かとおもい、ほかっとけばすぐ消えるとおもった。しかし
電話はいっこうに鳴りやまない。なおも着信音が鳴り響く。
1分近くなったところでやっと鳴り終わる。
ほっとしたのもつかの間、また着信音が鳴り響く。
しかもまた、『非通知』。
うわ。しつこ!
私はそうおもいながらうるさく鳴り響く着信音を消すために電源を切った。
次の日、私が学校について電源をつけ、いつも通り授業を聞きそして放課になって
携帯を見て、私は仰天した。
また着信があったのだ。それもまた、『非通知』で。
しつこいぞ、こいつら!
私は激昂した。当たり前である。
たった1時間か2時間の間に6つか8つの着信があったら怒らないほうがおかしい。
でも、だからといって、この着信を取りはしなかった。
とってなんか変なところに勝手に契約されたらいやだとおもったからである。
それからしばらくたったころ、わたしは奇妙な事に気がついた。
それは、私が家に帰ると、ぴたり、とその着信がやむということだった。
それに気づくと同時に、私はぞっとした。
まさか、どこかで私を見張っているのか?
そんな思いがむくむくと頭を持ち上げる。
それから数日間、学校にいる間中着信が鳴り続けたが、私は無視をしつづけた。
それが効いたのか、着信はこなくなった。
私はほっとして日々を過ごした。
しかし、話はここで終わらなかった。
数ヶ月ぐらいたち、この事を忘れかけたある日、着信音が鳴った。
「誰からだろ?」
そう思い、携帯を見て、私は息を飲んだ。
勘のよい人ならもうお分かりだろう。
そう、またあの『非通知着信』。
うあああああああ。うっとおしいいいいいいいいい!!!!(激怒)
怒りに燃えた私は最終手段として、非通知着信『拒否』を設定しました。
「よし!これでもうかかってこないぞ。」
私はうきうきして学校へ行き、そして携帯電話の画面を見ました。
私は一瞬、我が目を疑いました。
なぜなら、そこにはあるはずのないことが起きていたから・・・。
あるはずのない・・・・・。そう。
そこには拒否したはずの『非通知』の着信が・・・・・・。
私の携帯が悪いのかはたまた相手の携帯がすごいのか。
それはわかりませんが、とにかく、いくら拒否しても電話はかかってきました。
そして、また、前と同じようにしばらくしたらかかってこなくなりました。
「この分だとまたかかってくるなぁ。」
私はもうあきらめモード。
またつぎかかってきても無視しつづけよう。
わたしはそう心に固く誓いました。
そして今日もまた、着信音が鳴り響く・・・・・・・・


第18話  幽霊チャット語り手: ハイドラントさん
 文字には不思議な力が宿っています。
 そしてその力は悪い方に働く場合が多いのです。


僕には霊感があった。
僕には霊達が見えた。
霊は様々な場所にいた。
あまりに数が多すぎて、恐怖というものは感じなかった。
それどころか、霊に対して哀れみという感情を持っていた。
そうだ。霊というのは実に哀しい存在だ。
ただ存在し続けている。不特定多数の人間に、極稀に発見されるだけのために……。
僕は、霊達と触れ合ってみて分かった。
僕は、彼ら彼女らを成仏させてあげなければならない。
だがどうすれば良いのだろうか?
僕は思い悩んだ。
 私はお気に入りのリストを開き、「幽霊チャット」と書かれた場所をマウスでクリックする。
 一瞬にして、私は世界の果てに辿り着いた。
 入室というパネルが見える。
 私は勇気を振り絞ってそこをクリックした。
 すると……
 あっ……
 名前を入れるのを忘れていた。
 ブラウザのバックを使い前のページに戻ると、名前入力欄に「在神葉月」と入力した。本名のなのにおかしな名前だ。
 だが入力して気付いたのは本名ではなく、ハンドルネームを使った方が良いのではないかということである。
 少し迷った私は、「八月の幽霊」と入力した。
 そして私は入室した。
 「幽霊チャット」とは、チャット参加者達が集って、交互に怪談話をしていくという類の場所であるという。
 ちなみに怪談の集いは、毎週土曜日の午後九時におこなわれるらしい。
 私はチャットや掲示板を利用したことが一度もない。しかしやり方ならば分かっているはずだ。マナーも大体は守れると思う。
 すでにチャット内には何人かの人がいた。
 「佐藤小路」「メルカトル山田」「凍城秋彦」「海山川流」の四人。これはハンドルネームなのだろうか?
 「はじめまして」と私は打った。まずはそういうのが常識のはずだ。
 「はじめまして、こちらこそよろしく」と「佐藤小路」が返事をした。
 それから他の三人も続いた。
 「八月の幽霊と申します。よろしくお願いします」私は次にそう打った。実はタイピング速度ならば自信がある。
 それからしばらく会話が続いた。
 怪談話が始められたのは、九時三十分になってからだ。
 結構良い場所だと思った。
 怪談話は恐かったが、訪れる人達は皆、凄く親切だった。
 色々教わることが出来たし、何より会話は楽しかった。
 そういえば、長い会話をするというのは久しぶりだ。
 私はこのチャットにまた来たいと思うようになった。
 思えば、それがいけなかったのだと思う。
 夏もそろそろ終わりが近い。
 私、在神葉月(ありかみ・はづき)は内向的な女子高生である。
 テレビゲームをし、漫画を読み、河原に寝そべってホラー小説を読む。そんな毎日を繰り返している。
 だがそんな私にも一つ、楽しみというものが生まれた。
 「幽霊チャット」である。
 まだ怪談話を話したことはないし、話つもりはないが、怪談好きの私は話を聞いているだけで充分なのだ。
 最初の四人の他にも、友人と呼べるほどの人物はたくさん出来た。インターネット上では、内向的な私でも言いたいことがうまく言える。
 「幽霊チャット」は私にとって最高の場所だ。
 毎週土曜日欠かさず通っている。
そんな「幽霊チャット」には二つの噂話があった。どちらもチャット参加者から訊いたものだ。
 一つは、その年に話した物語の数が合計で百になるとあることが起こるというものである。
 ちなみに現在は合計で八十話に達したらしい。
 もう一つは、管理人についてである。
 チャット内に一度も姿を見せない管理人は、実は幽霊であるという噂である。
 根拠はないが、そんな噂は確かにあった。「幽霊チャット」という名称から生まれたものなのかも知れない。
 当然そんなものは信じてはいなかったが、私はお遊びで恐がった振りをしてみたりした。
 ここはただのチャットだ。そんな噂は虚偽に決まっている。
 だがその噂のことが、ずっと心に沈殿していたのは事実である。
 それから数ヵ月後、ついに今年百話目の怪談話が話されるのではないかという日が訪れた。
 その日の黄昏時、私はお気に入りの河原から帰還し、家族と夕食を摂った。いつもと変わらない一日であった。
 私は九時少し前に幽霊チャットにログインした。
 そういえばこれも聞いた話なのだが、このチャットはその年で百話目の怪談話が語り終えられると、一時的に消え去るらしい。
 どう消え去るのかは分からないが、とにかく消えてなくなるらしい。
 それは正直、残念な話である。ここが消えるのは実に寂しい。
 ここ以外のチャットにもいったことはあるのだが、ここ以上に居心地の良いチャットはどこにもなかったのだ。
 最後の日、最初に出会った四人がいた。
066 八月の幽霊:こんばんは〜
067 佐藤小路:こんばんは>幽霊さん
068 メルカトル山田:ハロー幽霊
069 凍城秋彦:どうも幽霊さん
070 海山川流:こんばんは〜
 私以外の人数は四人。残る怪談話はあと五つ。
まず始めに、「メルカトル山田」さんから、川に流された少年の幽霊の物語が語られた。
それから「佐藤小路」さんから引き篭もりの青年が騒霊(ポルターガイスト)の犠牲となった物語が九十七話目となった。
 九十八話目は「凍城秋彦」さんの凶悪殺人鬼とその犠牲者達の霊の話。
そして最後から二番目のお話は「海山川流」さんの飛び降り自殺者の霊の話だった。
 思えば、私が今まで聞いて来た話には、どれも「霊」と「死」というキィワードが含まれている。
 いや、そんなことはどうでも良い。次は私の番になるのだ。
 四人は親切な顔をして、私に最後の話をしろと迫って来る。
 だが怪談話など浮かばない。
 「少し待ってください」……そう言って、私は思考を巡らせた。
 どうすれば良い。
 どうすれば良いのだろう。
 そうだ!
 まず「霊」と「死」というキィワードを浮かべてみた。
 これのキィワードから何か浮かばないだろうか。
 単純な話で良い。とにかく一作創れば良いのだ。
 私は考えた末に、一つの物語を創り上げた。
 ――河の魔物――
 聞いた話です。
 ある日、少女は河原へいきました。
 そして河原に寝そべって、怪奇小説を読みました。
 その話が恐かったのか、少女はしだいにソワソワし出しました。
 でも面白かったのでしょうか、少女はその本を読み続けました。
 やがて陽が暮れ、夜が訪れる頃。ようやく本を読み終えました。
 本を閉じた少女は立ち上がって、駆け出しました。
 しかし!
 大股で三歩ほど進んだ途端、何かにガシっと片足を掴まれました。
 それからもの凄い力で、河の方へ少女を引きずろうとしています。
 逃れられそうにはありませんでした。
 少女は恐る恐る後を振り向いてみました。
 しかし、誰もいません。
 続いて、掴まれた足に手を伸ばしてみました。
 すると何かに触りました。ですが何もありません。
 そして恐ろしいことに、触れたものは見えないのにも関わらず、ひどくヌメヌメしているのです。
 少女は大声で助けを呼びました。
 しかし誰も助けには来ません。
 ありったけの声で叫んでも無駄でした。
 どんどん河のほうへ引きずられ、そして最後に強烈な力によって、河の中へ落とされました。
 以来、その河では日暮れ時になると少女の霊が姿を現すらしいのです。
 河原には少女の読んでいた本だけが残っていました。
 その本には、人を水の中に引きずり込む魔物の出て来る話が書かれていたそうです。
 この話はそこそこ好評だった。
 多分お世辞だろうが、とても面白かったとか、非常に良い話だとか言われた。
 私は嬉しくなった。
 物語を語り、それを褒めてもらえるのはこれほどまでに素晴らしいことなのだろうか。
 その時、私は有頂天になっていた。
 全員に感謝の言葉を言い、舞い上がって下に降りていった。飲みものを補充するためにだ。
 そして戻って来た時、「ついに終わりましたね」という発言が見えた。
 その瞬間、明かりが消えた。
 私は暗闇の中に放り込まれてしまった。
 恐怖と驚きによって声を失った私も、しばらくして停電だということに気付いた。
 原因が分かると、人は安心感を得るものだ。
 私は復旧の時を待った。
 それから私は再び「幽霊チャット」に向かった。
 しかしその出て来たのは「ページが見つかりません」との文字。
 「幽霊チャット」は消えてしまったのだ。
 それから一週間後、私は河原にいた。
 今日は土曜日。しかし「幽霊チャット」はもう存在しない。
 本当に幽霊のように消えてしまった。思えば、何かが起こるというのは、このことだったのかも知れない。
 とにかく深く考えるのはやめて、私は古本屋で買ったホラー小説を読み始めた。アンソロジータイプの短編集である。
 まだ最初の話を読み始めたばかりだが、なかなか期待出来そうだ。
 時を忘れ、私は本を読み耽った。
 風が心地良い。
 ページがどんどん捲られていく。
 爽やかな空とは対照的に、暗く無気味な作品世界、二つの世界の境界に立つ私は、妙に得した気分になった。
 だがそんな風に思っていられるのは、たった一、二時間のことであった。
 恐い。私は本気でそう思った。
 この本を甘く見すぎたのだろうか。
 身体が震えている。
 そろそろ日が暮れる。
 帰ろうか。
 しかし読書の呪縛はあまりに強い。
 恐怖に魅入られた瞳は、そこから目をそらそうとはせずに、ただ紙面で繰り広げられる第二の現実に戦慄している。
 ページを捲る手も止まろうとはしない。
 本を読み終えたのは、闇の帳が降りて来ようとしているような頃であった。
 私は駆け出した。
 自転車の場所までダッシュせねばならない。でなけれが追いつかれる。
 ……何に?
 とにかく私は逃げようとした。
 だが……
 何かに足を掴まれた。
 その瞬間にデジャヴが発生する。
 いや……これはまさか。
 これでは、私の創った物語と同じではないか。
 恐る恐る後ろを振り返った。
 だが誰もいないし、何も変わったものはない。
 次に私は、それ以上の勇気を振り絞って、何かに掴まれた足に片手を伸ばしてみた。
 すると、ヌメヌメした何かがある。何も見えないのに関わらず。
 私は思わずもう一方の手に持っていた本を落としてしまった。
 そのヌメヌメした何かは、見えないにも関わらず私を放そうとはしない。
 それどころか、河の方へ引きずろうとして来る。
 まさか!
 これは夢に違いない。
 なぜならば、私が「幽霊チャット」で話した物語とそっくりなのだ。
 そうだ。夢に違いない。
 すぐに覚めてくれるはず。
 だが、そんなむなしい幻想は潰え、私は絶叫とともに河の中へ引きずり込まれた。
その時、私はさとった。百の物語が語られると、ある何かが起こるというのは本当だったのだ。そして、それは私が考えていた以上に恐ろしいものだったのだ。
031 八月の幽霊:こんばんは、はじめまして>皆さん
032 闇坂光:はじめまして>幽霊さん
033 沢山無限:はじめまして♪
034 八月の幽霊:今、お二人だけなんですか?
035 闇坂光:まだ九時になってませんよ。>幽霊さん>034
036 沢山無限:これから来ると思いますよ。
037 八月の幽霊:そういえばそうですよね。>闇坂さん>035
038 八月の幽霊:仲の良い友達出来るかな……。
039 沢山無限:楽しみですね。
040 闇坂光:きっと出来ますよ。幽霊さんって何か良い人に見えるし>038
041 八月の幽霊:すっごく楽しみです。>039
042 八月の幽霊:でも私って結構、内向的な人間ですよ。>闇坂さん>040
 ちょうど九時になった頃だろうか。僕は今、僕のホームページを見つめていた。
 まだ三人しかいないのに、随分会話が弾んでいる。……今年も期待出来そうかな。
 今年、「幽霊チャット」を利用する予定の人は全部で三十四人。
 その内の三十二人が、死んでしまったけれど、成仏出来ず、霊になった人達の中から抽選で選ばれている。
 それから残りの二人の内の一人は、去年このチャットに参加したために亡くなってしまった八月の幽霊さんだ。彼女は特別待遇になっている。
 この三十三人には二つのノルマが課せられることになる。
 一つは、一年以内に全員で九十九の怪談話を創ること。
 もう一つは、最後の人の利用者に自分達やこのチャットの正体をさとられないようにし、かつ最後の一話を話させること。
 この二つである。この二つの条件を満たせば、三十三人の霊は成仏出来る。出来なければ永遠にこの世に繋ぎ止められたままだ。
 ちなみに、その最後の一人とは、やがて犠牲となり、こちらの世界に引き込まれることになる生きた人間のことだ。
 そう、八月の幽霊さんみたいに……。
それはもしかすると、あなたかも知れない。
 僕がこのホームページを設立して五年が経った。
 僕はどれだけの霊達を救えただろうか。


第19話  さっちゃん語り手: 遙 琥珀さん
『さっちゃん』の歌は聴いた事があるだろう。
バナナが半分しか食べられなかったり、何処か遠くに行っちゃったりする女の子の歌である。
…この『さっちゃん』に関連する怪談というのは多い。
普通に暮らしていても(ワタシの様にネタ集めに奔走しなくても)、この歌に関する奇談の一つや二つは知っている筈だ。
よくあるのが………
さっちゃんが、夜中に鎌持って脚を切断しに来る、というもの。
バナナを半分食べられない(小さい時に死んでしまった)さっちゃんは、しっかり成長した私達に嫉妬しているとかいうのである。
この怪談を聞いたヒトの家には、夜中さっちゃんがやってくる……しかし、バナナの絵を枕元に置いておけば助かる……
とかいうヤツである。
以前この話を某友人に聞かせた所、彼女本気で怯えてしまったようである。
翌日確認してみた所、本当にバナナの絵を用意し、延命のお守りまで用意したらしい。御苦労様である。
(因みに、語った当人はさっちゃんの事なんぞキレイに忘れてすかぴー眠りこけていた。
 大体、そんな事で嫉妬される方が迷惑である。基本的に怪談を信じないワタクシ。)
……このテの怪談は皆様御存知だと思うので……
私は敢えて、この怪談の元になる『さっちゃん』の、生きていた頃の話を語ってみよう。うん。

数年前…
確か、私にこの話を教えてくれたヒトは、年数まできっちり教えてくれたのだが、私はそんな事憶えていないので…
取り敢えず、『数年前』とさせてもらう。
北海道に、『早智子』と言う名の少女が住んでいた。因みに中学生だったらしい。
彼女は、スポーツ好きな、元気な子だった。
その日も、部活で遅くなり…暗い中を、帰路へと赴いた。
…それが、不幸だった。
彼女は、帰路にある踏切を渡ろうとして……
線路に、足を取られたのである。
転び…身を起こした時には…電車がすぐ傍まで迫っていた。
運転手は、気付かなかった。
そして…
彼女の躰は、電車の車輪で、真っ二つに切断されたのである。
本来なら即死。
しかし、これは冬の日のこと。
寒さで、血管が瞬間的に収縮、彼女は即死を免れた。
彼女は、数分後、力尽きるまで、自分の足を捜して這いずり回っていたそうな。
ところで。
いつの時代にも…悪趣味なヤツというのはいるもんである。
例えば…
この早智子さんのクラスメイトの男子とか。
早智子さんが死んで一年経たない内に…アホな替え歌を作りやがったのである。


さっちゃんはね

ふみきりであしをなくしたよ

だから おまえのあしをもらいにいくよ

こんやだよ さっちゃん

…とかいうもの。
『やめなさいよ』と怒る女子を無視し…男子の集団は面白がり、その歌を歌い続けた。
数ヶ月後…その男子達の集団が、遺体で発見された。
全て鋭利な刃物で切り裂かれており、目撃情報もナシ。犯人はわからず終い。
集団で殺害されていた男子生徒…
共通点は…皆…両足が無かったこと。
近所を捜索しても、結局切断された脚は見付からなかった。
「……み、つ、か、ら、な、か、った……と……」
カタカタカタカタカタ。
私は、メモ帳に、『さっちゃん』検察を打ち込み終え…ふぅ、と、溜息を付いた。
「あー、終わった…」
パソコンを閉じ、立ち上がる。
冷蔵庫に行き、ドアを開けようとして―――――――――――――――――
「…え゛」
足下が。
滑った。
足下は、濡れてもいなかった。
滑るはずが無かった。
なのに滑った。
……今……
パソコンに向かっている、私の脚には、ギブスがはめられていたりする……
病院に行った結果……『骨折』。
関係があるのかどうかは解らないが―――――――――――――――――
こんな話を書き終えた後の骨折。
ものすごくイヤな気分に陥っている私である―――――――――――――――――


第20話  霊障語り手: ユア・ファンティンさん
今現在。
私の両手足には、無数の引っかいたような傷跡が残っています。
事の起こりは、去年の2月の半ばでした。
高校2年の冬でした。
寒くて、腕を組んで寝たいた日のことでした
寝てすぐですから、12時半過ぎのことでしょう。
足元に誰かがいました
それは、数人いました
それから、二日後の午前2時ごろでした
『彼ら』は、全員で足を引っ張ってきました。
それだけならば、よくある事。
で済ませようと思えば、済ませれることです
しかし・・・・・・・。
2月の終わりのある日。
その日も寒くて、腕を組んで寝ていました
そして、午前3時。
彼らは、10人前後に人数を増やして再びやってきました
彼らは、腕と脚を掴んで引っ張ります
彼らの爪も食い込んできます。
(どうしよっかぁ〜)
と考えるうちに、意識は一度消えました
それから、数時間後でしょう
私は、覚醒しました
「夢だったかな。」
と思いましたが、袖やズボンを捲ると血のかわいた傷が無数にありました
(夏服になったらどうしよう)
と考えつつも、その日は学校に行きました。
それで終わった方が本気に嬉しかった。
ところが、カミサマという奴はとことん理不尽だった
≪災いは忘れた頃にやってくる≫
それを地でやれるとは、タロットにもわからなかった
5月の連休の頃の夜だった・・・・・・・。
その日も呑気に寝ていたのだが・・・・・
感じ覚えのある気配がしたので目を覚ましてしまった
そう『彼ら』が足元にいたのである。
(またか・・・・・・)
再び、同様に引っ張られ、傷つけられ、気絶しました
当然、傷も残りました
それから、二カ月おきに『彼ら』はやってきた
そして、今年の2月。
多分『彼ら』が来るであろう日。
私は徹夜することにした。
<てめぇら、なんで、あたしんとこに来るんだ、ええ?>
と強気に対応しました
『彼ら』は、それをニタニタと(影みたいな奴らでしたが口だけは赤い三日月でした)見ていました
そして。
≪あんたの存在がいけないんだ≫
『彼ら』はそう接触して以来始めて言葉を残して消えました
『彼ら』は、その後も二カ月おきに来ている
傷を残すときと残さないときもあった

『彼ら』は、あの3人・・・・・ま−君を滅ぼした3人に関係しているのだろうか・・・・

それは、今現在も続く現象からは知ることは出来ない


第21話  異次元トンネル語り手: 飛鳥さん
何処の学校にも、『七不思議』といわれる類の物があります。
それは、私が小5まで通っていた某小学校も例外ではありませんでした・・・・・・
彼是、私が小二の頃の話です。
その頃、その学校では、怪談とか、七不思議などの話を実際に体験してみよう。
などという事がはやっていました。
その小学校は、怪談の数が半端ではありませんでした。
東京大空襲の時に、焼けて、彼是500名の命を奪ったなどという実績(?)もあり、
実際問題、肯定を掘り返すと、被災者の骨が埋まりまくっている。
などということも関係あるのでしょう。
戸頃で私は当時、罷り間違っても魂喰いなどではありませんでした。
感覚とかは鋭かったけど、比較的普通の女の子でした。
異次元トンネル・・・
数多い学校の会談の中に、そう名前が付けられた話がありました。
学校の東階段。一階と二階の間の踊り場。
其処に、4時4分(4秒も付いたかも)に、異次元へのトンネルが開くという内容です。
(大まかに言えば)
うちの学校は、ありふれた階段がオおっ買ったのですが、その分条件付けも細かかったので。
ある日、生徒数名で残って、怪談話をしておりました。
下校時刻が来て、担任の先生がもう帰りなさい。と、言いに来たので帰ろうとした時です。
「そういえば、異次元トンネルが開くのってそろそろじゃないか?」
と、ある男子が言いました。
(異次元トンネルも怪談話の中でした
何が問題って、私たちは普通に其処を通るのです。
男子数名は面白がって確かめるといって飛び出して行っちゃいました・・・・・・

因みに、実際其処に染みはあるんですね。
女の子数名が怖がって、一人なんか半泣きになっちゃたりしました。
いやだって行ってるのに、男子が無理やり連れて行こうとしたからですがw

結局一部の男子が飛び出していってしまい、
中心人物(霊感とか少しはあったので)だった、わたしとGさんが彼女を慰めていました。
条件付けが色々ややこしかったのですが、運悪くそのときは、
総ての条件がそろってしまっていたのです・・・・・・
私とGさんでその子を慰めていると、担任の先生が見回りを終えて戻ってきました。
(週番だった)

先生はなぜその子が泣いているのかを聞いて、私とGさんで事情を説明しました。
先生は、笑い飛ばしてくださって、その子に、
そんなに怖いなら私も一緒に行ってあげるから。
大丈夫だよ。うちに帰らなくっちゃならないでしょう?

などという風に説得しました。
で、その子も泣く泣く結局は先生の服の裾を掴んで教室を出たのです。
その際、ぢつは私とGさんが、
早く出ないと最終お化け(別の怪談)に取り付かれちゃうよ。
って行ったのが理由なきもしますがw
で、でも、流石に二階の踊り場の直前まで来て、
彼女は足をすぼませました。

ので、しょうがないので『私が先に見に行ってくるよ』
といって、見に行って大丈夫だといいました。
一応他にルートもあるんですが、正しい道は其処なので。
其処を使うって言うのが決まりな物で、
先生が居ましたからね・・・・・・
で、いざ踊り場に言っても、実際何も起こりませんでした。
その時点でその子がぐだぐだやってるうちに、時間を過ぎてたって言うのもありましたしw
その子も拍子抜けして、一介まで普通に降りていこうとした・・・そのときです。
物音がして、びくっとして見ると・・・・・・
先に降りた男子のうちの一人でした。

そこで一人が、
「もう、脅かさないでよ」
とか言ったのですが。
彼は言いました。
「あれ?先生?OとH(男子の名前)、上行きませんでしたか?」
彼の説明によると、Oが忘れ物をして上に取りに行ったそうで、
Hは一緒についていったそうなのですが・・・・・・

全く擦れ違いもしませんでした。
ですが、それはありえません。
彼はOとHが階段を上っていった所まで見ているし、
教室までは一本道なのです。
流石にちょっと焦る面々。
そんな仲、先生が兎に角上を見に行こう。といいました。

馬鹿げた話だけど、ひょっとしたら3階以降に上がって遊びに行ったのかも知れない。と。
実際、OとHはそれをやりかねないような奴でもありましたし。
まず、大慌てでGさんが
「私、見てくるっ!」
といって昇っていきました。

しかし、暫くしてもどっちも帰ってきません。

先生は、Gさんに居なかったなら直ぐ帰って来い。
といったにも拘らず、です。
あまりにも遅かったので、
先生と私で上を見に行きました。
見に行こうとした時・・・・・・・
二階の踊り場の所で、OとHに遭遇しました。
OとHに、先生は何処行ってたんだ!!!と怒りました。
如何考えても、忘れ物を取りにいったのだけなら、
時間的にも、降りる途中会わなかったことからも、おかしかったからです。
しかし、OとHは、普通に教室にいって忘れ物を取りにいっただけだといいました。
先生が何で怒っているのかも分からず、可哀相に理不尽に怒られてましたw
所で、場所は二階の踊り場。
私はそのとき、はっきり言ってヤバイと感じていました。
何時までも先生が説教をしてそうな感じだったので、
私はGさんの事を持ち出して、兎も角上へと上がっていきました。
上得あがっている最中、わたしは後ろ向きで上がりつつ、
じっとそのシミを見つめていました。
単なる染みの筈なんですが・・・・・・はっきり言ってなんかやばかったのです。
うまくはいえない。
しかし、何事も起こらず、ほっとして目を離した瞬間・・・・・・

寒気がしました。
動けませんでした。声もでませんでした。
ヤバイ・・・・・・そう思いつつ、固まっていたそのとき・・・

「水島〜!!!G、いたぞ〜!!!」

との声で、体が動くようになりました。
Oが、何故か途中から来ていない私を見にきたんですね。
で、私の目の前にO。
後ろに謎の染み。(と、気配)

Oは、霊感とか皆無な感じで、特に何も感じて居ないみたいでした。
「水島、如何したんだ?」
そういってOが近づいてきましたが、はっきり言ってヤバイと思いました。
離れろって言った方がよさそうだったんですが、
離れられたら私の身が危ないしw

で、逡巡していると所に、ふつうに先生とHとGさんが来ました。
ところでGさんは、かなり霊感とか強い方で。
当時の私の師匠だったんですが。
Gさんの顔色が変わって足を止めたのとは裏腹に・・・・・・・

なんと、先生とO,Hは、
その危険地帯に歩いて行っちゃったんです!!!
いや、たしかに帰るためには通らなくちゃいけないんだけど。
ところが、一歩踏み出した時に、OとHの顔色が変わって。
俺、中央階段で帰る!!と、言い出しました。
そして実際、言うが早いが走っていっちゃいましたw

ところが。
Oは消えちゃったんだけど、Hの方は先生に首根っこ捕まえられて。
ちゃんと東階段で帰りなさい!と。
先生は踊り場に向かっていき、Hも引きづられて・・・・・・

で、上から見ていると。
二人が近づくごとに、マジで染み(?)が黒さを増してるんですよ。
ヤバイって感じもどんどん強くなるし。
で、もう後はアイコンタクトというか。

Gさんが私の耳元で、「行くよっ!」って小声で言って。
私も頷いて。
そのまま階段を駆け下りて、先生たちを抜かして、
私とGさんで染みに向かって走って、
体当たり・・・てか、手をついたんですよ。
何でそんなことをしたのかは謎で、
もう、何かに動かされ手って感じだったんですけど。
私とGさんが手をついた瞬間に、
その染み(?)がそこら辺の邪霊(?)かどうかは当時の私には其処までの判別能力ないんですが。
兎に角『力』を吸い込んで。
吸い込まれた奴らの唸り声まで聞こえました(汗)
で、一瞬で吸い込んじゃって・・・・・・
後は普通の普段の染みに戻って。

先生が呆れた顔をして、
「何やってるの?」
って・・・・・・確かにw
なんかもう、その瞬間に力を使い果たしたというかなんと言うか。
私とGさんはへたり込んじゃって。
で、Hが滅茶苦茶嬉しそうに、
「G,水島有難う!!!」って。なきそうなくらいな勢いで。
Gさんが、微妙な顔で、
「・・・・・・気づいた?」
H:「う〜ん・・・・・・微妙に。まあ」
先生:・・・・・・だから何一体ふざけて・・・(以下略
で、其処に一階のほうから、逃げやがったOが.

O:・・・・・・アレ?お前ら大丈夫だったわけ?

・・・・・・オイ!!!
で、翌日その染み見てもなんともなかったんですが。
でも、数年後、その壁塗り替えた時、
塗り替えた数日後には、もう染みが出来ていました(汗)
ちなみにGさんは、やっぱり普通に上に昇って行ったらしいですね。
誰にも会わなかったと。

で、降りようとしてみたら、凄くヤバイ感じがして、降りるに降りられなかったと。
先生にすら分かる問題点:

1、忘れ物を取りに行ったO,Hは、何故降りる私たちと擦れ違わなかったのか。
2、忘れ物を取りに行ったO,Hは、なぜ探しに行ったGさんと会わなかったのか。
後、Gさんが別の階段を使わなかった理由として、
別の階段もそれぞれヤバイ怪談があるんで怖かったらしいけど、
じゃあ、それもそれぞれマジなんだろうか?(汗)


第22話  昔あったこと語り手: 李 杏蓮さん
僕が住んでいるH市にはM川という川があります。
もう十年以上前、僕が保育園に行く前は、僕と母、双子の姉の三人で川沿いの道路を散歩するのが僕らのお気に入りでした。
ところで、このM川、結構水があふれたり人が流されたりしているんです。
で、その日も僕たちはいつものように散歩をしていました。
とくに何があったわけでもない、いつもと変わらない散歩です。しかし・・・
僕の足が、ぴたりと止まりました。前方に、あるモノを見て。
しかし、母と姉には見えていないのか、先に進みます。
「○○(僕の本名)どうしたの、おいで」と母は呼びましたが、僕はいきません。
「いやだ。帰る」僕はそういいました。
「どうして」と母と姉は聞きましたが、僕は「いやだ」としかいいませんでした。
そのときの僕には、見えたモノ・・・赤い、というかオレンジがかったもやを示す言葉など、もっていませんでした。
僕はそのもやの横を通って母と姉の横にいくことがどうしてもできず、「いやだ。帰る」を連発しました。
ついに母と姉が折れ、そこから引き返すことになりました。
そのときは、それで帰ったのですが、後日、また行ってみると・・・。
僕がもやをみた場所には、小さなお地蔵様がありました。
母に聞いたところ、それは、昔川に流された子供の供養のために建てたそうです。
中学生となった今では、もうもやを見ることはなくなりましたが、そのお地蔵様は今でも同じ場所にあります。
さらに、もうひとつ、この話とは関係ありませんが、僕と姉の小さい頃のはなしがあります。
僕の母方の祖父は、僕が三歳くらいの頃に他界しました。
お葬式が終わってしばらくたった頃
僕と姉が、家の廊下の、だれもいないところに向かって「おやすみなさい」と言っているのを、母が聞きました。
母が「誰に言っているの」と聞くと、僕らは口を揃えて、
「おじいちゃん」と言ったそうです。


第23話  語り手: 猫楽者さん
友達から聞いた話です。
怪談好きの友達は、ときどき幽霊が出る、と言われている場所に出かけて行きます。夜中に車に乗って、数人の怪談が好きな仲間たちと一緒に行っているのです。今回は、男2人と女の子2人の4人で、1台の車で出かけて行きました。
人型の影が浮き出ているトンネル。そこで車を止めて、浮き出ている人型の影と一緒に記念撮影をして。さて、まだ時間も早いし、どうしよう。と・・・4人は相談しました。早いと言っても、既に午前1時近い時間でしたが・・・・。
彼らは、昔、花魁(おいらん)が自殺したとか殺されたと、言われている湖の畔の塚へ行ってみることにしました。
花魁(おいらん)の塚のそばの駐車場に車を止めて。彼らは、塚まで歩いて行きました。
塚のそばに、花魁(おいらん)の幽霊が出る。そう噂されているので、幽霊を見るつもりでした。ところが。
塚のそばに着いてみても、一向に幽霊は出てきません。待つのに飽きた彼らは、塚のそばで車から持って来ていたロケット花火をしたり爆竹やネズミ花火をしたりして、思いっきり騒いで、自分たちが飲み食いした空き缶やゴミを、そのままにして帰ることにしました。
車に乗って、走り出し、何か食べに行こうとか話していたとき、後ろに乗っている女の子2人から、返事が返ってこなくなりました。
『なんだよ。眠くなったのか』。助手席の男が、そう言いながら後ろの席を振り返ってみれば。
1人の女の子は、今にも泣きそうな表情で真っ青な顔をして、震えていました。もう1人の女の子も、真っ青になっていましたが、どこか虚ろな表情で、右手を伸ばして前を指さしました。
助手席の男も思わず前を見ましたが、街灯ひとつ無い山道を車のライトが照らしているだけ、何も変なものは見えません。
『おいおい、脅かすなよ、なにも・・・・・』、話しながら、助手席の男は気付いてしまいました。
綺麗に白粉をぬり、薄紅色の唇を歪ませて微笑んでいる。日本髪を結った女の顔が・・・・バックミラーの中から、なにか言いたそうな目で、じっと見つめていることに。
『なんだよ。お前まで、どうしたんだよ』、助手席の男まで様子がおかしくなって。運転していた男が話しかけますが、助手席の男は、震える指でバックミラーを指さすだけ。
バックミラーを見た運転していた男も事態に気付き、『な・・・・』、一声呻いたとき。
バックミラーに映っている女の人の目が、運転していた男の方へ動きました。
バックミラーに映っている女の人の目が、自分から離れたとき。助手席の男は、右手を伸ばしてバックミラーを、もぎ取りました。
もぎ取った勢いで反転し、見えたバックミラーの裏側にも。鏡の面に映っていた微笑んでいる女の人の顔が、映っていました。
女の子は気を失い、男2人で必死にお経を唱えながら、それでもなんとか走り続けて、町中に入ったときに気付くと、女の人の顔は消えていました。
その後、この4人は、幽霊が出ると言われる場所には、二度と行かなくなりました。1人、またひとりと、父親の転勤などで次々と生まれ育った町から離れることになり、花魁(おいらん)の塚にいった4人は、遠く離れた場所に別れ別れになりました。


第24話  通りゃんせ語り手: 遙 琥珀さん
通りゃんせ 通りゃんせ

ここはどこの細道じゃ……




母の話によると、私は、このメロディが聞こえてくるたびに泣きじゃくり、やめてくれと懇願したそうである。
五歳くらいにはもう泣かない様になっていたらしいが……
私は今でもその事について母にからかわれていたりする。
私の『他の人には平気なものにやたら怯える』という性質は、家人の語り草になっているらしい。
『黒い服を嫌がって泣いた』と同列に今でもからかわれている。
で、私がこの年になり…そういう民話、民謡に興味を示し…
この歌詞の『意味』を知った時思った。
よっしゃ私が怖がっていたのは間違ってなかった。
というか…怖がる方が普通である。
結論からキッパリ言おう。
一説によるとこの歌は、『子殺し』の際に歌われたものだということだ。

  通りゃんせ 通りゃんせ
  こゝは何處の細道ぢゃ
  天~さまの細道ぢゃ
  ちっと通して下しゃんせ
  御用のないものァ通しゃせぬ
  この子の七つのお祝ひに
  お札を納めにまゐります
  行きはよいよい歸りは恐い
  恐いながらも
  通りゃんせ 通りゃんせ

…というのが実際作詞された時の歌詞そのまま。
川越城内の「三芳野天神(みよしのてんじん)」をテーマにし、「七五三」のお参りに出かけて帰る参道の様子を描いていると言われている。
今回、いつものように結末を隠しながら行っては始まらないので単刀直入に行こう。
昔々そのまた昔。
この歌ができたのは江戸時代の頃と言われております。
当時の世界的に見りゃ日本は裕福な国でした。
だけどそれはあくまでも他国と比較しての話。
やっぱり飢えに苦しむ農民やら何やらはわんさかといた訳です。
…で…よくあるのが『口減らし』。
年頃の娘さんなら売りに出し、売れない様な子なら殺スしか無いわけで。
この『娘売り』の様子は同じく童謡『はないちもんめ』に描かれていますが…まぁそれはそれとして。
これは、育てられない子供と一緒に神社にお参りに行って…神社の境内で子供を殺す様子を描写したものだそうな。
何で境内で殺すかというと、『こっちのほうがカミサマに拾ってもらいやすいだろー』という事だそうな。
神社の境内で殺すのは、せめてもの親心というわけです。
そこで問題。
『天神様』って誰のことか解る人挙手ー。
歴史をちっとでもかじったことのあるひとなら知ってるはず。菅原道真公。
祟り神なんですよねぇ。このひと。
どんな神だろうと、自分の領域内で子供を殺されればまず怒る。
あの祟り神様なら尚更。
『親心』と言う名の偽善で境内で子供を殺した親…
これは、親にとってもかなり勇気のいったことだろうと思われる。
で…親にとってこの場合、一番怖い事はなんでしょう…というと。
怒った天神様が子供蘇らせるのが一番怖かったとか。
『ヒトならぬ者』として蘇った子供が襲ってくる…のが怖かったそうです。
つまり、『逝きはよいよい蘇りは怖い』…という訳だ。
一説によると天神様は時を操ることさえできたそうな。
時間操作ができるくらいの実力があるのなら、子供一人蘇らせるくらい簡単であろう。
そういうわけで。
親は、子供殺すとその後、後ろ見ずにダッシュで逃げたそうである。
……………………と。
そういう説もあるが。
別の一説に、こーゆーのがある。

むかしむかし、あるところに、天神さまのじんじゃがありました。
そこはそこらのひとたちにものすごくにんきのあるじんじゃでした。
(お子様口調停止)広い神社で、山一個丸ごと神社だったのだが…
世の中、ヒトの迷惑顧みない輩とは存在するもので…
そこらへんの大名サマがいきなりあほぅを言い出したのである。
つまり…『そこに俺の城を建てるッ!!』
で、建てる…と誓ってはみたものの、
取り壊すとなると人民の反感は買いまくりだし、祟りも怖い。
そこで…山の中に神社と城があるというめちゃめちゃな状況。
しかし、困ったのは大名よりも近辺の住民。
お参りに行きたいが、周りに城がある。警備も凄い。
城の方もまさか神社に参るなと言える訳もない。
結果。

『オラ、服の中に何か隠してないかッ!?』
『そっちの袂怪しいぞッ!』

お参りから帰ってきたヒトとっつかまえて身体検査。
……と、これが、『いきはよいよいかえりはこわい』の真相だとも言われてたりします。
元々神社のあるところに城を建てる大名。
城の中にあるのに無理矢理にでも…身体検査があると解っていても通う人民。

…………………………………………………………………………………
『どっちもどっちだろう』と、しみじみ思ったのは私だけ?


第25話  花嫁行列語り手: エモーションさん
これは、私が子供の頃……少なくとも小学校か幼稚園に入る前に体験した話です。
いつ頃の季節だったのか、はっきりとは覚えていませんが、それは良く晴れた日のことでした。
父の実家に来ていた私は、妹と二人、父の実家から少し離れた堤のある場所で遊んでいました。
父の実家は周囲に田圃がある、所謂田舎です。
地元の人間以外がいるとやたらと目立つ、そんな場所です。
滅多に車など来ない(来たら充分すぎるくらい見通しがよい)のを良いことに、
堤近くの、その辺りそれぞれの家に向かう別れ道で遊んでいた私は、ふと、
たくさんの人が道に入ってやって来るのに気が付きました。
「何だろう?」そう思って見ていると、やって来たのは、赤に金の刺繍の花嫁衣装に白の角隠しを被った花嫁さん。茶色の肌と、つやつやした黒い鬣の馬に乗っていました。
花嫁さんの周囲には、黒い着物……今だから分かるのですが、留め袖を着た女の人達が、ついて歩いていました。
そう、花嫁行列だったんです。
妹は気が付いていないのか、興味がないのか、せっせと草を摘んでいましたが、
私はとにかく「花嫁さんだ〜」と、そのままその行列に見入っていました。
花嫁さんたちはそのまま、私と妹がいる前を通り過ぎ、父の実家の向かいの家へ行く道に入っていきました。
その時は、「花嫁行列をみた」とそれだけのことでした。
父の実家へ戻ってから、私は母や従姉たちに「馬に乗った花嫁さんを見た」と話したのですが……誰も信じてくれませんでした。
「あの道は○○さんの家にしかいかない道だよ。でも、○○さんの家に、
今日、花嫁さんが来るなんて聞いていないよ。まだ子供も結婚する年じゃないし。
第一、いくらここが田舎でも、今時馬に乗って来る人なんていないよ。
私(母)だってタクシーに乗ってきたんだからね」
……何分にも田舎です。自分の家もご近所も、ほとんど勝手は分かっているようなもの、
まして結婚などほとんどイベントですから、確かに、周囲に知られないわけ、ないんです。
でも、確かに私は見たのです。そこで、妹に聞いてみました。
「お馬さんと人がいっぱい通ったよね」と。
すると妹は……
一言、きっぱり言いました。
「そんなの見てないよ」
「……あんた、キツネにばかされたんじゃないの?」
呆然とする私に、母は一言、そう言いました。
その後、あんまり私が「違う、絶対見た!」と言い張るので、母や従姉達と
問題の場所へ行ったのですが、そこには本当に馬が通ったのならあるはずの、
蹄のあとが、残っていませんでした。(まだ、舗装されていなかったので、
本当なら残るハズなんです。土もやわらかいし)
以来、そこを通るたびに「○○(私)がキツネに化かされた場所」と言われています。
……自分では「絶対、ちゃんと人だった!」と思うのですが。
ただ、今思い出すと、不思議なことがひとつだけあるんです。
確かにあれは、花嫁行列でした。それは確かです。
ただ、何故か行列について歩いていた人達は、全員女性だったんですよね(汗)
花嫁さんの乗った馬を引いている、御者さんでさえ。
そんなことってあるのでしょうか……(汗)
この点が、今になって疑問だったりします。


第26話  謎の武者行列語り手: 水島飛鳥さん
先ず、この話をする前に。
私の幼い頃の、特殊な家庭・・・じゃないw
霊的環境について話す必要があります。
私に霊的能力があったのは、それこそ生まれたときからだった様で、
赤ん坊の時からそういうものが見えて夜泣きしまくったそうです
・・・って、当然覚えちゃいませんがw
しかし、私の記憶にある限り、私は本当に最初から、『妙な物』が普通に見える少女でした。
私が二歳の時。家の中に『滅茶苦茶美人なお姉ちゃん』
がいるのに気が付きました。
成長と共に力が失われる・・・と言うのは良くあることだそうですが、
私は成長とともにもつちからの性質が色々と変わってきました。
変質している最中は殆ど力がないに等しい状況だったのですが・・・
その頃は、未だ一回目の変質も迎えてない頃で、『見る力』のみに物凄く長けていました。
幼かった私は、何も考えずに彼女に話しかけました。
彼女は私が自分の姿を見えたと言う事に、本当に驚きました。
彼女は、まあ・・・なんなのかは今の私にも不明なのですがw
暇つぶしにある日死神の真似事・・・と言うか手伝いをして。
そして私を見かけて面白い子だと思って付いてきたそうです。
え〜と、その少し前に、私の叔父が事故死して、その葬式に出たんですね。
何故か知らないけど、意気投合・・・と言うか、当時の私が彼女に懐きまして。
彼女は結構何だかんだ言いつつも面倒見が良いタイプで。
私は・・・まあ、ある意味すさんだ家庭環境・・・
基本的に、親に放っておかれてたと思ってください。
当時の私の能力として、見る事には物凄く長けていました。
あと、こっちが『見える人間』だと言うのがそこらの雑魚霊には分からない、
一種の防御幕(?)のような物が常に貼られていたらしいです(彼女によると
しかし、攻撃力や防御力は、全く皆無だったと思ってください。
それまで、私が『見えている』と、悪意ある強い相手に気がつかれなかった方が奇跡だったそうです。
で、話の流れ・・・って、そんなもんがあったのかも謎ですが。
彼女と彼女の仲間数名が、連続で私を守ってくれる事になりまして。
そんな訳で私は、霊的には至極守られまくった安全な状況に置かれたわけです。
ところが、第一回目の変質を迎えた(当時はそんな事知ったこっちゃないが)私は、
当然のごとく力が弱まって。
意識的に使おうとすれば使えなくはなかったらしいんですが、そんな事出来ませんでしたし。
幼いと言う事も手伝って、彼女たちの存在を成長と共に忘れていってしまったのです・・・・・・
そして。彼女たちの存在など、遥か彼方に忘れ去った、幼稚園年中の時の事です。
私は、風邪をひきました。
単なる風邪ではあったんですが、高熱が出て、何時まで経っても治りません。
子供ですので体力もそんなになく、結構危険な状況に置かれました。
しかも当時、母は身ごもっていて、年齢1歳の妹もいまして、
幾等大変だろうと私だけにかかずら割る事が出来る状況ではありませんでした。
其処で、母の実家(近い)に行きまして。
途中私が病院に救急車で運ばれたり色々とあったんですが、
何とか熱もおさまって、元気になったんですが、心配性も祖母の所為で、
ずっと寝てたんだから遊びに行きたくてたまらないのに、寝かされていました・・・・・・
そこで。更にそれよりも問題があったのです。
時期は夏。真夏。暑い。
暑いから汗をかく。
しかも布団は風邪引きだった頃の名残で冬用掛け布団。
マジで暑い。汗をかく。
なのに・・・・・・
人を病人扱いする祖母は、真面目に人を風呂に入らせてくれない。
当然ながら暑い、痒い。
しかし、祖母は十分に一回は見に来て、私が布団に入ってないと、寝かしつけてしっかり布団をかぶせて、私が寝付いた(と思う)までずっといる。
祖母がいる間は、寝返り打つ頃すら出来ない。
どれもこれも、4歳の子供には苦痛・・・・・・・其処で、苦肉の策として、
冬用掛け布団の中で、冬用パジャマを脱いでたりしたんです。
ところがそのうちそれが祖母にばれまして。怒られました。
しかも、あの祖母の常として、子供を脅すんです・・・・・・
なんて言われたか正確には覚えてませんけど、大まかに言うと、そんな事やる悪い子は
なんだったかにさらわれるっているんです。
私は年齢的には以上に聡いこで、普通そんな戯言に付き合っちゃいなかったんですが、
あの祖母は、なんと言うか流石何十年ものキャリアがあるというか・・・・・・
子供に恐ろしげな事を言って、それを信じ込ませて怖がらせる事にかけちゃ、
天才的な技能を持っていたんです(TT)
祖母に騙された(爆)私は、
心底怖がってその日の(夜の)眠りにつきました・・・・・・。
内心びくびくもの。
そして。次の日の早朝。
誰に起こされたわけでもないのに、私はふと目がさめました・・・・・。
時間、時に5時30分前。
前日の夜、怖くって眠れなかったにもかかわらず・・・・・・です。
そして、起きた時。
やっぱり暑かったのでしょう。
眠りながらパジャマを脱いで。
布団は完璧にあらぬ方向。上もボタンを全部はずして前がはだけた状態。
ズボンも足まで下ろして、あまつさえ・・・・・・パンツも下ろしてました(爆
昨日の話は私の脳裏に刻まれています。
如何考えても攫われます。
大慌てで、パジャマを直そうとして・・・・・・異変に気が付きました。
祖母の話を完全に信じていたわけではありません。
しかし、それでも怖いものはあります。
しかも実際からだが動かない・・・・・・金縛りとなれば更に。
声を出そうともしましたが、やっぱり出ません。
横には、母や祖母が寝ています。
頭の上(隣の部屋)には祖父がいましたし、足の下(単に寝相が悪い)には妹もいました。
しかし、その誰もが、ぐっすり眠っていました。
状況把握すると、少しは落ち着いてきます。
喉がヒリヒリ渇きまくっているとこにも気が付きました。
体が動かずとも、目(眼球)は動きましたので。
そして・・・・・・窓が開いている。という事に気が付いてしまいました。
その窓って言うのは、網戸があって、ガラス戸があって、そして障子があるつくりなんです。
確かに昨日、窓まで全部閉まってたはずなのに・・・・・・
毎日其処の窓は閉めてる筈なのに・・・・・・
あいてるんです。
網戸からガラス戸から障子まで全部!!!
其処で、祖母の話を思い出します・・・・・・
祖母の話では、寝ている時そんな格好をしていると、窓のところから空を歩いてお迎えがくるんです。
それには、今まで攫われたという子供たちがお供についていて。
そのこだけ目が覚めて、他はけして目が覚めない。
そして、そのこが金縛りで身動きが取れないでいると、
お迎えが何故か開いた窓からやってきて、そのことめをあわせる。
目を合わせると『お迎え』は近づいてきて、その子の部屋に入ってきて
その子の手を取る。
その瞬間、その子は『行列』の中に入って、
新たな犠牲者を迎えに行くんです・・・・・・・・・・・・

状況、一致しすぎ!!!(泣
怖くって、慌てて窓から目を逸らしました。
特に見るものも無いので目線を時計に合わせます・・・・・・
どんどん時間が経っていきます。
そして、約15分・・・・・・・私は、恐ろしい事に気が付きました。
私、そういえば、今まで瞬きしてないっ!!!
15分瞬きなし・・・意識的なら兎も角、普通におかしい。
そして、すぐさま気が付きました・・・・・・
目を閉じようとしても、閉じられないという事に・・・・・・・・・・
あまりもことに恐怖を覚え、幼い子供の常で助けが求められないと分かりつつ、
私は横で眠っている母の方に目線をやりました・・・・・・。
そう、すなわち・・・・・・『窓のほうへと』
そして、見てしまった窓の外・・・・・・
『子供が、沢山いました。』
絣の着物とか、そういう感じの着物を着た子供達。
年齢は私と同じくらい。
男女は同じ位の比率。
二列になって・・・・・・・あれです。
小学校とかで、真ん中に卒業する先輩たちの通る道とかになる、
あの二列向かい合って・・・・の格好です。

戸頃で、此処は二階。
しかも、ある程度の空間はあるんですが、精々数メートルで隣の家の壁があるんですが、そんなもんはなしで、子供たちが、こうずらっと・・・・・・・・・・・・・
延々列が続いているんです。
遥か、点になって見えないくらいに。
一旦見てしまったのは失敗でした。
其処で、最早目線を動かす事すら出来なくなっていたのです。
そして、私の耳に、太鼓の音が聞こえてきました・・・・・・・・・・・・
ドンッ、ドンッ、ドンッ、ドンッ・・・・・・
等間隔で、ゆっくりと聞こえてくる太鼓の音・・・・・・・・・・・・
そして、子供たちの列の間、
何故かやたらと青い空が広がった空間。
・・・・・・家も、木も、雲すら見えず、なぜかひたすら続く青空に・・・・・・
黒い点が浮かび上がり、だんだんと大きくなってくるのに気が付きました。
当時はそれを形容できなかったんですが、
今言うと、丁度『意空間への道』
ある意味、ブラックホールっぽいそれ。
ただ只管黒いそれの中心に、また別の黒がうかびあがってきました・・・・・・
『誰か』が近づいてくる・・・・・・
そして、子供たちは、列をあけ・・・・・・(左右に広がった
それは、ゆっくり、しかし確実に近づいてきます。
そしてそれの全貌が見えました・・・・・・
黒い甲冑でその身を固めた、黒い馬に乗った、
黒尽くめの鎧武者・・・・・・・・・・・・
マジで近づいてきて。
窓には落ちないように鉄柵があるんですが、それを無視してすり抜け・・・・・・
今、まさに部屋に入ろうとしたそのとき・・・・・・・・・・・・
唐突に、母がとびおきました。
母はいきなり立ち上がり、先ずは窓をぴしゃりと閉め。
それでもお囃子は聞こえていたんですが、
そのまま私の服をちゃんと着せて、布団もかぶせて。
そのまままた、布団に入って眠りました。
感謝間隙雨あられ〜って状況ですが、黒い影は暫くいたんですが・・・・・・
やがて、消え去り、私は安心して、その後(時間的に30分)眠りに付きました。
しかし、此処から後日談。
昼おきて、母に感謝〜・・・の前に、なきつきに(怖かったって)言ったんですが。
全く覚えてないんです。
寧ろ、夢でも見たんだろうって一蹴。
祖母なんかは、ホレ見たことかと全然本気にしないで・・・・・・
逆に夢だと思った上で脅しますし。
そして6年。
私は、2度目の変質を迎えました。
一度目の変質のけっか、感知能力系は皆無になったんですが、
二度目で視る・・・というか、感じる能力を手に入れました。
その結果、怜奈様、その他の方々ともご対面と相成った(そのときお姉ちゃんじゃ不便なんで名前付けた
んですが・・・・・・
手っ取り早く言うと、そのとき守ってくださったのはあの方々だったんですね。
いた・・・と言うより。
仕事とかもあったそうで、一応監視の網みたいなものを張って、
ときどき顔をだしてたそうです。
怜奈様が母の体を使って私をまもって。
窓の外では瑠璃様が『アレ』をたいじしてくださったそうです。
そして。
更に恐ろしい事。
怜奈様たちの網は、それ自体が結界となって私を守っていたそうで、
そこんじょそこらの雑魚は勿論、かなりの大物でも手出し不能だったそうで。
祖母の話は完璧に祖母としては作り話だったそうですが。
実は、あの鎧武者(かその仲間か何か)が、祖母に言わせた(深層意識に刷り込んだ)はなしだったのです。
網はあくまでも私を守っているのであって、まあ、私の近くには近寄れなかったらしいですが、
大物なら力を少し送りこむことは可能で。
で、私のそのはなしへの恐怖心を媒介に、
網をすりむけたそうです・・・・・・・・・・・・
瑠璃様は、あくまでも追い払っただけで、って、かなりダメージあたえたっぽいですけど・・・・・
完全消滅させたわけではないので、今でも、あの鎧武者は、
何処かで私を狙ってるかもしれない・・・・・・・・・・・・
鎧武者の持つ子供たちも魂は、あの武者の力そのものになる。
子供ばっかりだったのは、アイツが純粋なる力・・・
用は良くとかに染まってない魂のみを好むため・・・・・・
(力を持っている(潜在的にでも)子供のみが対象
私は、かなりの上質な餌らしくって、今でも色々と狙われてるらしいです・・・・・・
先ず、私が会う前に退治されちゃってるけどw


第27話  視線語り手: エモーションさん
妹が中学卒業後進学した学校は、国立ですが所謂専門系の学校です。(無事に卒業すれば短大並みの卒業資格になる)
また、どちらかと言えば理系の方々の進学する学校です。
そのため、先生方もどちらかと言えば、「教師(勿論資格は持ってますが)」というより、
「科学者」に近いノリがあります。
これは、当時、妹が所属していた部の顧問の先生が体験した出来事です。
まだその先生……T先生が、その学校で教師になった年のことです。
その日の部活も終わり、生徒達は全員帰宅しました。
元々はどこかの企業の研究室にいたT先生は、自分の研究室(あるんです、あの学校には)で、
遅くまで実験をしていました。
その夜、学校に残っていたのはT先生だけでした。
不思議なことに、他の先生方は余程のことがない限り、遅くまで学校に残ろうとしないのです。
ですが、さすがに科学者気質といいますか、T先生はその理由を気にもせず、残っていました。
軽く夜中を回ったであろう時刻になり、T先生はさすがにもう宿舎(敷地内にある)に戻ろう、と思い後かたづけを始めました。
ある程度片づいてほっと一息ついたとき、T先生は後から強烈な視線を感じました。
「見ている」
確認したわけじゃないのに、何故か、そう思ったそうです。
誰かが、窓の外から見ている、と。
「誰だろう?」
T先生はそう思いつつ、ゆっくりと振り返りました。
振り返った先、窓の外から見ていたのは……一匹の豚でした
「………………豚………………? 何でこんな所に豚がいるんだ?」
窓の外から、じっとこちらを見ている豚を見て、T先生はそう思いました。
「まあ、いいか」
特に気にせず、再び帰る準備を始めたT先生は、カバンを持ってからようやく気が付きました。
「……この部屋……二階……(汗)」
もう一度、今度は急いで振り返えりましたが、すでに窓の外から覗いていた豚はいなくなっていました。
何かされたわけじゃない。ただ、それだけのことです。
ですが、何故かT先生はゾッとしたそうです。
少なくとも、科学者としての自分にとっては、あってはならないはずのことだったので。
T先生が急いで宿舎に帰ったのは、いうまでもありません。
後日、この話を他の先生方にしたところ、この学校の敷地が、もともとは屠殺場だったこと、
そして他の先生方も同じように夜中まで残っていて、いるはずのない豚や馬を目撃していたことを知りました。
だから、先生方は残ろうとしなかったことも。
それ以来、T先生も夜中まで学校に残らなくなりました。
そして、遅くまで残っている生徒を、こう言って追い出します。
「馬と豚の幽霊が出るから、さっさと帰ろう」と。


第28話  八月二十五日の出来事語り手: 白羅さん
皆さんは自殺した人間・・・天寿をまっとうできなかった人がどうなるかご存知ですか?
私はふとしたことでそれを知りました

あれは―――――――。
昨年の夏。
私が生まれて数日経った頃のことでした
ユア姉様は、その日の補習の時に忘れ物をしました
それに気がついたのは、草木も眠る丑三つ時のことでした
友人を拝み倒して、付いてきて貰い、学校に忍び込みました
(鍵がバカになっている所があるので)
忘れ物は、四階の空き教室にありました
それで終われば、世話ありませんでした
友人・・便宜上・アミスと呼びます
アミスがこんなこと言い出しました
「そういえば、ユアさ、こんな噂知っている?
「この教室、十五年前に自殺した人いるんだって。」
「へえ、何で。」
「いじめっ子もいたらしいけど、わけわかんないようだよ。」
「ねえ、ついでに怖い話しない?」
「・・・フツ―するか?」
「いいじゃん、フツ-の霊は近づけないでしょ?」
「ま、そうだけど」
それで、怖い話をし始めて小1時間
「ねぇ、変な音しない?」
「やっだ―。
 雰囲気盛り・・・・・じゃなさそうね。」
「いっせいのでいく?」
「そうね。」
「いっせいので」
『そこにいるもの姿現しなさい』
<わぁ―、ごめんなさい、ごめんなさい>
「そんなに驚かなくても、消しはしないよ。」
<何してらしゃるんですか・・・えっと。
 ・・・お名前は?>
それぞれ名乗った
<僕は、マナブって言います。
 それで、普通の人間が何してらっしゃたんですか>
私たちは、事情を話した
「貴方は、どうして此処に?」
私は、怖いのを我慢しつつそう聞いてみた
<自殺したんですよ>
「明るく言うようなことか?」
<事実なんで。>
私は彼に軽いめまいを覚えた
「何で、自殺を?」
「ちょ、アミス!!」
<ああいいんです。>
彼が話したのは、次のような話だった
【自分は、15年前の今日学校に忍び込んだ。
 窓を開け流れ込んでくる夏草に身を任せて、飛び降りたということ】
<・・・・ようは全てが窮屈だった
 自分を取り巻く全てが自分を押し潰そうとしているみたいでさ。>
そう語る彼の顔は寂しそうだった
プツン

「くぉら―、おんし何あまいこといって命自分で捨てたんか」
アミスが学ぶのはなしを聞いてキレてしまいました
それから20分ほど
「わかった、次ではそんなことしないのよ?」
「望むなら送るからさ」
<いいえ、僕が今日出てきたのは、理由があるんです>
彼ははっきりとこう言いました
<僕が此処にいるのはさ、
 此処・・・・現世に残した未練があるから残ってんるんだ。>
私たちは静聴する
<君らの認識じゃ、
 此処にいるだけって感じだろうけどちょっと違うんだ>
「?」
<・・自ら命を絶ったものは
 毎年巡り来る命日に自らの死を繰り返すんだ>
「それ、本当?」
<嘘を言っても仕方ないよ>
<もうすぐ、長針が12時をさす
 その瞬間にお別れだよ>
そう彼・・・マナブが死んだのは、その日の午前4時半
「マナブ!!」
<僕が死んでも、クラスの皆は・・先生も僕が死んでも何も変わらなかった
 でも・・・・・・・・・・>
「また、逃げるのか?」
<いいえ。
 あの時は止めてもらえず、それが悔しくて
 2度と戻れない此処を見つづけた時とは違う。
 僕は、今自分自身の意思で追い出されるわけでもない、逃げるわけでもなく
 此処を・・・・・此処を出て行けるんだ
 何時まで掛かるかわからないけど
 また此処に戻ってくる
 君たちの命も尽きて生まれ変わるだろう
 その時はマブダチになろう          >
マナブは、微笑みました
【また何時か会えるから
 今は笑顔で別れよう】
そう言っているみたいでした。


第29話  マラソン語り手: エモーションさん
これは、昔、クイズ番組のネタにもなったという、T波大学の学生寮に現れるものの話です。
それは、その学生寮では有名どころか、ほとんど名物となっていました。
何故なら、目撃者も多数どころか、寮生はみんな見ているのではないか、
というくらい、ほとんど毎日のように現れていたからです。
そう、それは夜中になると、何故か学生寮の中を、廊下だろうが部屋だろうが関係なく、
そしてさすがに幽霊だけあって壁の存在もものともせず、ひたすら一定のスピードで
走っていくのです。
どうやらそれは、マラソンをしているようでした。何故、学生寮の中を走っていくのかは、
分かりませんが。
いつしか、それは「T波大のマラソン幽霊」と呼ばれるようになりました。
ある日、さすがにいい加減、毎日走り回られてうんざりした者が、どうにか止めさせる方法はないかと、考えました。
……ちなみにこれが、クイズに使われた部分です(笑)
そして、考えついたのが……ゴールテープ。
それが通過する場所に、だいたい胸の部分が当たる場所にゴールテープをはったのです。
その結果、マラソン幽霊はテープを通過したことで満足したのか、それ以来、現れなくなりました。
ところが……
しばらくしてからのことです。
悪戯好きな者、というのはどこにでもいるので……
「もしかして、これを鳴らしたら、また走り出すかな」と、
ふざけ半分におもちゃのピストルを鳴らしました。
「位置について、用意、ドン!」と……。
…………再び、それは走り始めました。
さらに、どうしようもない事をする人はいるものです。
再びテープを貼ればすむのに、よりにもよってマラソン幽霊の足が引っかかる位置に、
紐を張った者がいたのです。
マラソン幽霊は……見事に紐に足が引っかかり、転びました。(汗)
それでも、根性があると言いますか、マラソン幽霊は走り続けました。……足を引きずりながら……。
実は……このあと、どうなったのか、私も知りません。
ただ、それ以来マラソン幽霊は、足を引きずりながら走っているそうです。
……誰か、ゴールテープをはっていると良いのですが……。


第30話  そこにいた何か語り手: 薫さん
昔私はまだ幼いころ県営住宅に住んでいました。これはそのときの話です。
その県営住宅は全部でA棟からD棟までがありました。
そしてその棟の前にはすべてにおいて芝生が設置されておりました。これはそんな場所でのお話です。
ある日、いつものように私は住宅の外にある蓮田の用水路で遊んでいました。そんなとき。
何やらフェンスの内(フェンスを乗り越えて遊んでいた)が騒がしくなり、何があったのかとおもい、用水路から出て騒いでいる子供たちにと話しかけました。
「ねえ?何かあったの?」そんな私の言葉に
「D棟に!」とだけいってかけてゆく子供たち。
?当然それだけではわかりません。とりあえず家の下にパケツとアミをおいて私も子供たちがかけてゆくほうにと走っていきました。すると。
駐車場をはさんで芝生があります。その芝生に。なぜか大きい子供や小さい子供。中には大人らしき人も数名。なぜか芝生にと集まっています。
そしてとある一点を囲むようにぐるりと半分の輪になっているのです。
「何?何があったの?」当然まだ私も子供。好奇心の方が強いです。一人が無言で全員の視線の先にと指を示します。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
おもわず私も沈黙。そこにいたのは。
・・・・・なぜかそこには芝生の木の根元。そこにドグロを巻いている少し黒味のかかっている・・・蛇がドグロを巻いていました。・・・・が。
問題はその蛇です。
ガラガラガラガラ・・・・・・。
トグロをまき鎌首をもたげ、そして・・・あろうことかその尻尾の先を・・・振っています。
尻尾と共に聞きなれない音が辺りに響きます。
そう、それはどうみても、ここにいるはずのない絶対に。どう見ても・・・俗にいうガラガラヘビそのものです。
よく擬態とかも効きますけど、だけどもそんなものこの日本にいるはずもありません。
しかもその尻尾は・・・どうみてもよく本でテレビで見たことのあるとおりに・・・分かれています。どうみても・・・ガラガラヘビ・・・そのものです。
「・・・・何でんなところにガラガラヘビがいるの!?」当然私は叫びます。「・・・やっぱりそーみえる?」周りの子供たち・・・そして大人などは汗かいてそのまま突っ立っています。
一人の大人がそのほうに近づこうとすると。「しゃぁぁ!」鎌首もたげて・・飛び掛ってきそうになります。あわてて退くその大人の男性。
周りに人間がたくさんいるせいか・・・どんどんそれが興奮しているのがわかります。音もどんどん大きくなってきています。そして・・・鎌首もかなりもたげ始めていきます。
一人が少しでも動くとそれに反応して・・・こっちにこようとするのです。
さすがに騒ぎはどんどんと大きくなっていきます。普通の蛇ならばよくみること。ですけど。見た目どうみても毒蛇であるそれをどうにかするなど。・・・普通の精神ではできるはずもありません。
どうにもできないまま・・・・時間などはわかりませんでしたが。かなりの時間が経過したでしょうか。
一人の大人の男性が、近くの建設現場から。とてつもなく長い木の板をもらってきました。
一人では抱えられないほどの大きさの長さです。
そして二人がかりでそれをもち。その板の先にその蛇をひっかけ。
蛇がその板を上ってくるよりも早くに。
・・・・・ぽい。
『・・・・・・・・・・・・・・・・』
その光景に全員が一瞬沈黙します。
「はいはい、もう大丈夫だから、みんな家にもどってね。」そういっておそらく冷や汗なのか油汗なのかわかりませんが。とにかく汗だくになって回りにいる子供たちにといってくる大人。
「・・・・いや、大丈夫・・・って・・・」思わず誰かがそれに対して突っ込みをしています。そう。彼らは蛇ヲフェンスの外。すなわち・・・外にある蓮田にと投げ捨てたのです。
しばらく無言の後にやがて野次馬たちは(私を含む)はそれぞれに散らばっていきました。
私といえば友達と家にもどり・・・動物図鑑を開き・・・蛇の確認をしてみました。やはりどうみてもあれはガラガラヘビそのもの。それ以外の何ものでもありません。
「・・・・とゆーか・・・あれで大丈夫なわけ?」「・・・・D棟の辺り・・いかないようにしない?」「・・・・賛成・・」まだ私たちは小学生。どうこうできるものではありません。
その後。しばらく蓮田の外やD棟付近で遊ぶ人の姿は見えなくなりました。あの蛇がどうなったのかは・・・・わかりません。
しばらくして冬が来たので死んだことを祈るのみです。
どうしてそこにそれがいたのかはわかりません。今だに十数年以上経過しても。あの出来事は不思議のひとつとなっています。
ちなみに投げ捨てておいてからしばらくして。その当の本人たちが「警察とか呼んだほうがよかったんじゃない?」「・・・あ、頭になかった。とにかく子供たちとかの無事が優先で・・」などと話していたことを述べておきます。


第31話  風鈴語り手: 闇鬼神フィアさん
これは僕が小説打ち込みをしているときに起こった現象です
いつもの通り夜1時ごろになってようやく一区切りついたときです
窓の所につるしてある風鈴がいつもの通りチリンチリンとなり、『ああ、風流だな〜』なんて思ってたときです
僕は寝る為に一旦扇風機の電源を消してさて、コンピューターを切ろうと思ったときでした
違和感を感じたんです
その日はクーラーを他の部屋で入れていたので窓を閉めていました
その冷気をよぶ為に扇風機を通路に置いておき、その風で風鈴がなってました
では、なぜ扇風機を消したのに風鈴が鳴ってるんですか?
『・・・・・・え?』瞬間的に僕は風鈴のある方を向き・・・・・・
白い何かが窓の外に消えていったのを僕は見てしまいました
唖然としている僕を放って置いてその何かは外に消えていってしまいました
あの何かは僕に何かを伝えたかったのかもしれません


第32話  トントン、トン語り手: エモーションさん
妹の先輩の体験談です。
妹の先輩Aさんは、他県から来ているため、学校の敷地内の寮に入っている寮生でした。
その日、Aさんは流行っていた風邪にかかり熱を出したため、
学校を休んで寮の部屋で眠っていました。
 ひとねむりして、Aさんは目を覚ましました。
頭は熱で朦朧としているものの、意識ははっきりとしています。
今、何時だろう?
そう思いながら枕元の時計で時間を確かめていると、目の前の、ベットの横の壁が
トントン、と叩かれていることに気が付きました。
……隣の部屋にも休んでいる奴がいるのか? まあ、風邪、流行っているもんな。
Aさんはナチュラルにそう思い、同時に自分だけじゃないんだ、とほっとしたそうです。
その相手は、相変わらず壁をトントン、と叩いています。
……隣の奴はよっぽど暇なんだな。
Aさんは、そう思いながら、しばらくその音を聞いていました。
 音は、一定のリズムで叩かれています。
トントン、トン、トントン、トントン、トン、トントン、トントン、トン、トントン……
黙って音を聞いているうちに、Aさんはついつい頭の中で、その音をこの間授業で習ったモールス信号に変換していました。
トントン、ツー、トントン、トントン、ツー、トントン、トントン、ツー、トントン……
……S、O、S、S、O、S、S、O、S…………………………SOS? 
何がSOSだよ。しかもモールス信号かあ? よっぽど暇なんだな、こいつ。
Aさんはそう思いながら、顔を上げて……愕然としました。
Aさんの部屋は、二階の一番端の部屋です。そして、Aさんのベット脇の壁の向こうは……外。
隣の部屋との仕切の壁は、同室の者が使っている反対側のベットの方だったからです。
窓の外に木などありません。風も吹いていないので、ぶつかったとは思えません。
何よりそれがモールス信号みたいになるなんて……。
後日、Aさんは海外で仕事をしているOBが、乗っていた船が沈没し、亡くなったことを知りました。
そのOBは在学時、寮生でした。
そして、OBの方が亡くなったのは……ちょうど、Aさんが風邪をひいて休んだ日の、
その音を聞いた時間(日本時間)だったそうです。


第33話  幽霊よりも怖い物語り手: 水島飛鳥さん
ある日の事だ。私は妹に『もう一度例の幽霊屋敷に挑戦したいので付き添って欲しい』と頼まれた。
例の幽霊屋敷。思い当たる節が、無いでもない。
妹の、幼稚園時代からの親友で、Kという子がいる。
二年ほど前のことだ。
Kちゃんの小学校で色々な怪談などを実際に確かめてみる。というのが流行ったそうだ。
その際、妹とKちゃんとの共通の友人であるTという子が言い出した幽霊屋敷探索へと、
妹も一緒に行って・・・散々な目にあってきたらしい。
以前の保護者は、Kちゃんの友人の近所のお姉さん、的な人がやってくれたらしい。
しかし、Kちゃんは此処に年で既に遠くに引っ越してしまっている。
其れで私へとお鉢が回ってきたのだろう。
幽霊。などというものを信じるわけではない。
否定する訳でもないが。
以前実際に霊体験にあったらしいという場所に行くというのだ。
当然止める。
しかし、妹の反論は滅茶苦茶だった。
『大丈夫。今度はMちゃんって言う子もいっしょについてきてくれるから。』
Mという子の名前に聞き覚えは無かった。
聞くと、何でもKちゃんが通っていた学校・・・
―いや、Tちゃんの学校というべきか。―
に通っている少女でKちゃん、Tちゃんの共通の友人。
何でもその子は・・・・・・『霊能力』を持っているらしい。
散々止めろといったが、妹はついに私の話を聞いてはくれなかった。
私が付いて行くまいが行くという。
ならば・・・しょうがない。
私は妹たちの愚行としか言いようがない行動に付き合うことにした。
メンバーは、私、妹、Tちゃん。
そして『霊能力がある』的な触れ込みのEちゃんとMちゃんという子。
メンバーで主導的な立場にいるのはGという子らしい。
『私がいるんだから大丈夫』というような態度をとっている。
Gという子に力があるかどうかは知らない。
ひょっとしたら本当にあるのかもしれない。
しかし・・・だ。
其れで自分は兎も角他の子を守りきる事が出来るのか?
もし何かあった場合、どうする気だ???
私は、Gという子に腹がたつのを抑えられなかった。

そう・・・私は気が付いていなかった。

これから行くという幽霊屋敷が、『本当に幽霊屋敷だ』と言う考えを、
すでに自分が何の疑いも無くすんなりと受け入れているという事に・・・・・・
しかし、1番不気味だったのはMという子だ。
いや、何が不気味だといわれたも困る。
ひょっとしたら、それこそ私は第六感で彼女が普通の子供ではないことに気が付いていたのかもしれない。

見た目は普通の子だ。
外見も、可愛らしいといってよい。
ただ、年齢に比べると・・・異常にしっかりしているように思えた。
話してみると、彼女もこの計画には反対らしい。
私と同じく、しょうがなく付いてきた。といった風だ。
そして、彼女と話して更に不安要素が増える。
Eという子は、以前、二年前の計画の時も一緒に行ったらしい。
というか、二年前も今回も、彼女が立案者だそうだ。
しかもMという子は、口を濁して話してはくれないのだが・・・

前回『霊を怒らせた』のは、そのEという子らしい。
不安は消えぬまま、バスから降り、暫く歩く。
歩くこと20数分・・・・・・
菊にたがわぬ・・・いや、聞いて想像していた異常の襤褸やだ。
それこそ作り話に出てきそうな『いかにも』な荒れ果てた洋館。
学校の終了時刻の関係で、時は夕方。
オレンジ色の空。
・・・・・・早い話が降魔が刻。
以前も着たというから覚えているのだろう。
E、T、そして妹は、何の迷いも無く中に入ってしまった。
M,私がそれに続く。
窓から差し込む夕日。懐中電灯の明かり。
本気で今にも幽霊が出そうだ。
しかし。
詰まんない。だとか、そういう馬鹿なことを言い出す妹たち。
私は基本的に会話に入っていけない。
そんな中、Mが言った。
「ホラホラ、これで満足したでしょ。
 妙な事考えて無いで、さっさと帰ったほうがいいからね。
 てか、帰らないと本気で酷い目にあっても私は知らないわよ?」
Eという子は兎も角、Mという子は本気で霊能力がある。
そこらの化け物なんか退治できる。
強力極まりない奴が出ても彼女と一緒なら問題ない。
それが妹たちの共通認識のようだった。
しかし。
何故甲までMという子を信用できるのだろう?
不思議に思って私は妹を小突いて聞いてみた。
妙に言うのを渋る妹。
そしてようやく聞き出すと・・・・・・今までもこういう危険な事をやっていたらしい。
そして。
つい先週、Mという子に実際助けられたとか何とか。
思わず突っ込む。
「お前はっ!何て危険な事をしてるのっ!!!
 しかも其れでMちゃんに迷惑かけてるとか、そういうことを考えたりはしたっ!?」
・・・そう。
その時点で私は、どっちかというと否定側だった霊現象を信じ、受け入れ、
おまけに来る前はペテン師呼ばわりだったというのに、
Mという子が正真正銘の『霊能者』だという事をなぜか受け入れていたのだ。
「でも、Gさんが大丈夫だって・・・・・・・」
GはEの名字である。
「あのねっ。
 それを信じて付いていくお前は大馬鹿者よっ!
 大体前回Eちゃんが一緒で酷い目にあったんでしょ?
 それにあの子、感じる事が出来て、精々ちょっとの防御力がある程度で、
 碌な力を持ってはいないわよっ!!!
 正直、Mと同列に並べる事が馬鹿みたいな程度の力よっ!!!」

明らかに、妙な科白だ。
そのときは気が付いてなかったのだが・・・
何故私がそんなことを分かるというのだろう?


その時だ。
「すみません、Sさん・・・・・・」
心底困ったような表情で、Mが私に話しかけてきた。
「皆、先に行っちゃったんですけど・・・・・・」

・・・気が付くと確かに。その場に居るのは私と妹、そしてM。
E,Tの二人は居ない。 
Mを攻めたが、Mはおどおどと只管謝る。
確かに。
Mは押しが弱く、妹たちの中で立場が弱かった。
反論しようとはするのだが、
強く言われるとその場で自分の意見を引っ込めてしまう。

此処数十分の付き合いで、充分それが分かるほどに、Mの立場は弱かった。
Eがいくというのをむりやりとめろというのは不可能に近いだろう。
とりあえずMに事情を聞くと、大体思っていた通りだった。
Eが大したことは無い。とか言い放って
「前回霊が出現した場所」に向かったとか言う。
妹に案内させて、その場所に向かう。
途中で階段を上る。
いかにも古めかしい洋館的なものを想像していたが、
普通の・・・寧ろ会社のビルか何かのような事務的な階段に安堵と、少し失望を覚える。
Mによると、なんでも此処は一種のイベントホール的なものだったらしい。
それなら寧ろしょうがないのかもしれないが。
階段を上る順は、妹、M、私。
昇る途中、足をとられる。
そして階段の下に転げ落ち・・・・・・
そう思った瞬間、すぐ前のMが私の手を取って何とか無事だった。
しかしだ。
私は確かに誰かに足を引っ張られた覚えがした。
恐る恐る靴下をめくって足を見ると、確かにつかまれたと思った部分が赤くなっている。
怖がり、泣き叫ぶ妹。
私は無性に妹に腹がたった。
自分できといてそれはなんだ?と。
腹が立つと、逆に恐怖は紛れる。
泣き喚いて使い物にならない妹をおぶり、再度出発しようとしたそのとき。
「キャアァァァァ〜!!!!」
悲鳴が聞こえた。様な気がした。
其処から先は、信じるかどうかは読者の判断の任せようと思う。
悲鳴に、早急に反応したのはMだった。
無言で駆け出し走り出す。
慌てて妹を背負ったまま、私はMを追った。

何故かは分からない。
私の完成は、そのとき物凄くときすまされていた。
目の前を走るMが・・・
なんというのだろうか。
気・・・オーラ・・・言葉は何でも良い。
兎に角、実際「何か」に包まれているのが見えた。
其処の空気が、空調の問題ではなくどんよりしている事も。
そして・・・Mの向かう先、悲鳴の聞こえた方に向かう事に、
本能的に恐怖を覚えた。
透明。
まさにそうとしか言いようが無かった。
Mの纏った気は、攻撃的な赤などの色でもなく、勿論防御のための物でなどあるはずも無かった。
純粋な気、そのもの・・・
何故自分がそれを分かるのかなど考えもしなかった。
ふと気が付くと、妹は最早泣き喚いては居ない。
ただ、恐怖に身を震わせて私に身を押し付けてくる。
『守らなくっちゃ・・・』
心底、そう思った。
ドアの前に来てMが立ち止まる。
それに続く形だった私も、当然の事だ。

低級な邪霊が押し寄せてくるが・・・・・・
そんなものは問題ではない。
私たちに触れるまでも無く、Mの気に弾かれ、阻まれる。
Mは暫く私を見つめて・・・・・・
服の中・・・胸に手をやった。
そして、何かごそごそとしてから、手をグーで差し出した。
握ったMの手。
しかしだ。そのときの私ははっきりと分かった。
Mが何かを手に握っている事。
そしてその何かが、間違いなく『霊的に強力な何か』である事に。
「・・・・・・分かります?」
少し困った様な顔でMが聞く。
無言で頷くと、Mは手を開く。
その中にあったのは、綺麗な、でもそこらに転がっていそうな白い小石。
「え〜と。見ての通り単なる小石です。
 ただ・・・私が幼稚園の頃から・・・
 此処6年。ブランク抜かして3年半ほど使っています。」

確かに、その小石の輝きは、Mのそれと全く同じだ。
受け取ると、間違いなくその石が力に溢れている事が分かる。
しかし、それはあくまでもMの力。
私にどうこうできる物でもない。

無理やり力で抑えようとしても、当然だが無理。
それを見て、その辺にいた邪霊が私に集団で突撃してくる。
焦る。が、どうにもならない。
しかし・・・・・・唐突にそれは私と妹とを護り、襲い掛かるものどもを蹴散らした。
しばし唖然として・・・気付く。
「Mが何かをやったんだ。」と。
当然だが、この時点でMが間違いなく強力な霊能者だと納得する。
そして、この場を切り抜けるには、確かにMの力が必要不可欠なのだろうということも。
Mは髪を留めていたピンを抜くとしたの床板に円を書く。
それが、簡易結界になっているという事に、私は気が付いた。
そこで妹を円のうちに下ろす。
其処で暫く作戦会議となった。
しかし、腑に落ちない点がいくつかあった。
先ず一つ目。何故妹は落ち着いてこそ居ないものの疑問をはさまないのか。
これは簡単な事だった。
単にMの力を知っていた。実際に経験があった。
其れで終わったからだ。
二つ目。
私の身に何が起こっているのか。
しかし、Mにもそれは分からないようだった。
いや、分からないというよりは、不用意な発言を避けている、といった感じだ。

取り敢えずは『危険に直面して眠っていた力が目覚めた』との説明で納得する事にした。
確かに、それも嘘ではない筈だからだ。
三つ目。
今、何が起こっているのか。

これは碌に説明してくれなかった。
というより、真剣にMにも把握できていないようだ。
とりあえずMの『私の手に負えない相手ではない』
との発言を信用する事にして、私は1番聞きたかったことを聞いた。
1番聞きたかったこと・・・それは簡単だ。
「Mさん・・・・・・貴女は、一体、何?」
私が心の底から真剣に行なった質問。
それに対する反応は、無様な物だった。
Mは暫く私の目をじっと見つめた後・・・・・・

唐突に投げやりな口調で言った。
『○○小学校、四年二組出席番号42番 M.K』
・・・・・・確かに。それは事実だろう。
だが、私は当然、そういうことを聞いたのではない。
「そうじゃなくってっ!」
「じゃあ、華道部。」
「・・・・・・いや、そうでもなくって・・・・・・」
「○○区○○4の・・・・・・」
と、其処で妹が一声。

「Tちゃんたちは如何したの?」
確かに。正直それをすっかり忘れていた。
慌てる私に、しかしMは一言。
「大丈夫。」
おまけにだ。
「そろそろ少しは思い知ったでしょうし、迎えに行くとしますか♪」

・・・・・・ハイ?
実を言うと、その後何があったのか、正確には私は知らない。
簡易結界の中に私と妹を置いて、護り石を置いてMはドアの向こうへと足を踏み入れていった。
襲撃にこそあったものの、多くが結界に弾き飛ばされ、残りは護り石から出る光の槍のようなもので倒されていった。
耳を済ませていると、唐突にこの世の終わりのような悲鳴が聞こえ―妹は聞こえなかったそうだ―
暫くすると、憔悴したTとE、そしてMが戻ってきた。
「じゃ、帰りましょ〜か」
Mはそういってすたすたと歩いていく。
しかしだ。
すでに差し込む光はなく、時間は夜。
冬なので、最早日はとっくに沈んでいる。
懐中電灯を持っているのはE.
それを全く気にせずMはすたすたと歩いていく。
雑魚の襲撃すらなく、屋敷を出ようとした瞬間。
違和感を覚える。
いきなり意識がフェードアウトする。

そして、私は暗闇の中にいた。
目が慣れる。いや、感覚がなれてくると、此処が暗闇ではないと気付く。
自分が、意識だけでいるということも気が付いた。
遠くに光がいくつか見える。
そのうちの一つは、確かMの光だったと思う。
其方に向かって歩いていく。
途中で立ち止まる。
其処に居たのはMだけではなかったからだ。
・・・考えてみれば当たり前だが。
Mは戦っていた。
戦っているという言い方は適切ではなく、後方援護。という感じだが。
そして、見るのもおぞましい化け物。
・・・化け物とMの間に立ちはだかる、私には姿が知覚出来ない『何か』
化け物は私に気が付き、何か攻撃をしたようだった。
「死ぬっ!」
そう思った次の瞬間、私は目の前に、いつの間にかMがいて庇っている事に気が付いた。
そして。
意識はゆっくりと闇に落ちていき・・・・・・
気が付いた時、私は病院のベッドにいた。
何でも、Mにおぶられて家に帰ったらしいが、
その後私は三日目を覚まさなかったそうだ。
目が覚めた後、私の「力」は完璧に消えていた。
夢・・・・・・そう思うことも出来る。
そう思い込んでいた。いや、思い込もうとしていただけだったのかもしれないが。
あれから、4年経つ。
私は、ほんの偶然から、Mと再会してしまった。
そして私は・・・Mにあの「白い石」を返した。
その石。それこそが、私が必死で無視してきた、
「あれは事実だった」
という証拠の一つだ。
Mに渡した瞬間、石は砕け散ってしまった。
私は恐縮して謝ったが、Mはやけに達観した表情で
「まあ、こうなる事は分かりきってたしねw」と言う。
私は恐縮して謝ったが、Mはやけに達観した表情で
「まあ、こうなる事は分かりきってたしねw」と言う。
しかし、石が割れた瞬間、私は見てしまったのだ。
石が光を放った事を。
Mに吸収されたことを。
石の精のようなものを。
それが、Mに受け入れられなく、消滅してしまった事を・・・・・・
これを如何説明しろと言うのだろうか?
私は、正直Mが怖い。

何故。と言われても困る。
本能的な恐怖。としか答えようがないからだ。
今日も今日とて、わたしはMを遭遇する事を恐れつつ、
Mも通う、塾へと通う・・・・・・
因みに、先日、わたしはまたMの力を目の当たりとすることになった。
ついに否定が出来なくなった訳だ。
それは、機会があったならば、いつの日かまた、書き記そうと思う。


第34話  悪魔と私 語り手: ユア・ファンティンさん
このお話は、信じ難い内容であるが、真実であることをここに宣言する

私は今奇妙な背後霊(?)といる
今もキ−ボ−トの横に居るやつだ。

私が彼と出会うきっかけになったのは、祖母のお土産である
彼の主な寝暮らになっている骨董品の指輪入れを
私が高校一年の頃・・・4年程前に買ってきたのだ

古めかしいデザインであったが、私をそれを気に入っていた
・・・入れていたものが良くなかったおだと思う
入れていたのは、オキニスとラピズの指輪だった
その2個が影響したのだろう(本人談)
彼と接触したのは貰ってから1ヵ月後だった

その頃劇のほうの研修会で忙しく家に帰るのは8時ごろになっていました
ですので、少し休もうと布団に横になりました
疲れも手伝ってうとうとしてしまいました
(また、いつもの刺客さんかな?)
と思いました
≪そんなんじゃないよ
 覚えてないか、俺のこと?≫
(生憎記憶は戻ってない)
≪なら、すぐに起きてくれる?
 俺の事話したいからね
起きてみると、布団の近くの文机に置いてあった指輪入れの上にそいつはいた
彼は、銀髪・碧瞳、白い肌、黒いロ―ブの二十四歳ぐらいの極普通の青年だった
ある一点を除いては
角が生えていたのだ。
そう山羊の角が一番近いだろう
『やっほ☆
 あらためて久し振り、ユアvvvvv』
「だから、誰?」
そう言った途端私のお腹は鳴ってしまった
『さきご飯食べてくれば?
 ここで待ってるからさ。』
「一時間後に来る」
そして―――――――

「で、名前は?」
『ブ−ルだよ、ユアvv』
「ブ―ル・・・・・?」
私は何か引っかかっていた
勘の良い方ならご存知だろう・・・・・・・。
そう彼は、ブエルの関係者らしい。
本人曰くこういう関係らしい
【その御方の部下の家来です】
そう彼は、ブエルの関係者らしい。
本人曰くこういう関係らしい
【その御方の部下の家来です】
「・・・・・・・・・・・」
私の思考は、一瞬停止した
私でも知っているような奴の部下がきたのだ
当然だろう
「・・・ちょっといい?
 何で、同じ様な名前なの?」
『昔の戦争の功績でですよんvvv』
そう言われたが深く考えないことにして、改めてこう聞いた
「用件は?」
『だから、ユアに会いに来たんです』
「・・・ユアンさんの関係者?」
『正解でスvvv』
それから、その指輪入れに取り憑いた彼は
タロットたちと私が住んでいる家にも来たし、結構仲良くしていた
それが去年までの話
今年の4月
私がある程度記憶を取り戻した頃のことだった(遠い目)

彼は、いつもどおりにタロットたちのいる家に来た・・・・・・・。
そして、いつもどおりに≪月≫の作ったお菓子を食べつつ茶を飲んでいたときに彼は行動を起こした。
『ユア、好きだよ。
 ずっと一緒にいない?』
ブッ――――――――――
「なななな(何を言っている?)」 
『だから、君のことが好きだからずっと一緒に居たいって言ったんだよ?』
「なんで?
 力もろくにない私に?」
『だから、君のことが好きだからずっと一緒に居たいって言ったんだよ?』
「なんで?
 力もろくにない私に?」
『・・それに、魂の匂いも良くなってきてるし。
 他のに取られたらいやじゃん。』
そこで抱き付かれ・・・・・30分、私は凍っていた
「止めとく。
 せめて、人として死にたいから」
『そう、
 でも俺は諦めないよ。』
それから。約一年(現在)
比喩抜きに24時間一緒にいる
そして、『すき好き』言われている


第35話  語り手: くれつきさん
これは他人から聞いた話です
まぁ、色んな方の亡くなり方というのはよく聞くんですけど・・・
孤独死というのも、何回か聞いたことがあります
今回のはそのうちの一つです
とある老人が、マンションを借りたそうです。
身寄りはまったくなく、週に確か2回、介護の方が来られる、ということでそのマンションに入られたそうです
そしてその老人は、家賃を銀行から払い落としにしたそうです。
そして、数ヶ月がたちました。
秋ぐらいの季節だったそうです。近所の人が、何か匂う、とそのマンションを管理している人に連絡したんだそうです。
連絡を受けた人達が、その老人の家を訪ねました。
玄関を開けると、確かに何か匂います。
けれども、部屋にはその老人の姿はありません。
狭いマンションの中、あちこち見て、その人たちは老人を発見しました。
老人は、トイレの中でミイラの姿になって座っていたのです。
ここで、この管理人達は、なぜ、この老人がミイラになっているのかびっくりしました。
そして、考えて、その原因がわかったのです。
老人は春にマンションを借りました。
そして初夏の暑い日、老人は冷房を入れたまま、トイレに入ったところで何かの病気が原因で死んだらしいのです。
問題はここから先です。
週2回だか様子を見に来ると言ってたはずの看護の方は、結局一度もこの老人の所に来なかったそうなのです。
そして、老人は家賃を銀行から落とす形にしていました。
まぁ、ここまで話せば大体分かるとは思いますが・・・
つまり、老人は何ヶ月分かの家賃などを先に払っていたのです
老人が死んでからも、部屋の中には冷房がついたまま・・・
そして、家賃は払われているということで誰もその死に気付かなかった・・・
そして、秋になり、支払いの去さなかった電気がとめられ、冷房が消え・・・
やがて先に払っておいた家賃もそこをつき、
そして匂いに気付いた近所の人の連絡によってその老人は発見された、という話?です。
ちなみに、ミイラになっていたのはひと夏冷房のかかっているところに死体があったからだとか聞きました。


第36話  横切ったもの語り手: 薫さん
これは親戚、というか母のひとつ上の姉の話です。ちなみに母は女三人、男一人の三女です。
以前もいいましたけど。うちの母の母。つまりは私にとっては祖母。
祖母はある意味、『力』がある人でした。前にもいいましたけど某お寺さんから修行しない?と誘われるほどに。
そしてそのせいか。母たちにはそれぞれに変わった力があったりします。
ちなみに以前にもいいましたけどうちの母の力は『人の死期、死が近い人の時期を言い当てる』といったものです。
そして長女は何かといろいろな面で勘がさえています。
そして、これは二女の話です。
彼女、仮にAとします。Aは性格的にはのほほんとしています。
そしてまあ少しちょっと常識はずれのところも・・・。
Aは免許を持っていません。その理由は。今からあげられることによるためです。
仕事をはじめ免許が必要。そう思ったAは講習所に通い始めました。
そして講義などをうけ、そしていざ車に乗り始めて、数日が経過したある日のことの話です。
先生の言うとおり車を動かし、教習所の中の施設をぐるぐると回ります。
そして教習所の中での運転が慣れてきたそんなころ。
それは起こりました。
いつものように車にのり、慎重に車を操作します。そしてしばらく走ったとき。
目の前をなぜか白い服を着た、子供が車の前を駆け抜けました。
当然のことながらあわててAはブレーキを踏みました。ですが。先生いわく。
「何いきなりブレーキ踏んでるの!?危ないよ!?」と叱られました。
「え?でも今子供が・・・」そういいかけてはっと気づきます。ここは教習所の中。しかも今は授業中。
「そんなのどこにもいないよ!いきなり踏んだら危ないでしょうが!」先生はかなり怒っています。
あわてて回り、子供が駆け抜けていった方向をみても当然そこには子供の姿など見えません。隠れる場所などは皆無だというのに。
そう、Aが見たのはほかならぬ、子供は子供でもそれは生きてはいない子供。
Aの目にははっきりと子供の表情、顔立ち、そして服、などどうみても子供の姿がみえていたのにもかかわらずに、横にのっている先生には見えていないのです。
「まったく、気をつけてよね。」「はい。」いわれてそのまま授業を再開します。
ですが。
一度だけのことならAもあまり気にはしなかったでしょう。何しろAは性格的にか、霊を見てもあまり動じない。そんな性格なのです。
ちなみに子供によくあの人なにやってるんだろう?と聞いて「?母さん何いってるの?」と言われることもしばしばだったようです。
ですがこの日より、必ず。Aが車にのると決まってその少年は姿を現すようになります。当然見た目はただの子供。ブレーキを踏むのは仕方のないことでしょう。
さすがにそれが続くと教官もかなり怒ります。そして。「君、運転にむいてないんじゃない?」そういわれ、はっとAはなりました。
すでにもう教習時間はかなりオーバーしております。そして。もしかしたら。
これは自分が車を運転するべきではない。という何らかの警告なんじゃないかな?となぜか思ったそうです。
そしてそのことを夫に話すと、「Aは運転に向いてないんだよ。それにその性格だと絶対に危ないよ」そういわれます。
何しろバックするのにもバックミラーすらみずによくバックして、教官にほとんど怒られる。そんなAであったからです。
夫の心配ももっとも。そして勿体ないとおもいつつ、Aは仕方なしに免許を取るのはやめました。
そして。ある日のこと。夫とそして息子と、夫の運転で出かけていたとき。目の前を白いものが横切りました。
「え?」その姿は教習所でみていた少年とまったく同じ姿。「ちよっととめて、お父さん!」そういって無理やりに車を止めさせます。
しばらくすると。
キキィィ。ドン!
車を横にずらしとめたその先で・・・追突事故が発生しました。
そのまま走っていたら間違いなく巻き込まれていた、そんな間隔で、です。
対向車がこっち側の斜線に突っ込んできて、その割にはあまり大事故ではなかったようですけど。
目を見開きふと気配を感じ横を何となくみると見覚えのある白い姿が。
そのままにっこりと微笑んで少年の姿は消えたそうです。
それがいったい何だったのかいまだにわからないそうですが。
とにかくAはその少年がもしかしたら自分が事故をするかもしれない、というのと事故から守ってくれたのでは。そう思っているらしいです。
私も詳しくというか正確なことはわかりませんが。ですが。あのままAが運転免許を所得していたら、何となくとんてもないことになってしまう。というのは目にみえてます。
ですからおそらくは守っているのでしょう。そしてその子供すらも・・・。
予断ですが子供もかなりの確立で衝突事故、しかもぶつけられています。ですがいまだに大怪我は一度もしたことがありません。
その少年はあの家族を守っているのでしょうか?


第37話  ティディベア語り手: エモーションさん
このお話は、結構知っておられる方もいると思います。
何故なら、そのお店自体がそのエピソードを、チラシにしたのですから……。
 1995年のイギリスでの出来事です。その百貨店では、新しく中央エスカレーターを作るため、
古いエレベーターがいくつか撤去されることになりました。
 最後の一つを運びだそうとしたときでした。工事現場のおじさんたちは、
そのエレベーターの中で、何かが動いているような音を聞いたのです。
 確認のためにドアを開けてみると、中にはロイヤルブルーのボウ・タイに
ワインカラーのチョッキを着た、可愛らしいティディベアが入っていました。
 お客様の忘れ物かもしれない、と、おじさんたちはすぐに遺失物係に連絡しましたが、
ティディベアをなくしたという届け出はなく、そのティディベアは、工事現場で
おじさんたちのマスコットとして、置かれることになりました。
 ところが、しばらくしてそのティディベアは、忽然、と姿を消してしまいました。
 そして数ヶ月後、バーンズにあるその百貨店の倉庫を見回っていた警備員さんは、
何か物音が聞こえたように思いました。
 その音は、数ヶ月前に店から取り外され、保管されていた、古いエレベーターの一つからしたようでした。
 そこで警備員さんは、懐中電灯をそちらの方へ向けてみると……
 まるでエレベーターのドアが開くのを待っているように、ドアの前に小さな可愛らしいティディベアが、
ちょこん、と置かれていました。
 警備員さんによって、遺失物係へ届けられたそのティディベアは、
数ヶ月前、工事現場のおじさんたちによって、捜索願が出されていたティディベアでした。
 そして、このティディベアは、「バーンズ」と呼ばれるようになりました。
 後の調べによって、昔、バーンズに住んでいるお客様から、この「バーンズ」と
全く同じ特徴のティディベアをなくした、という届け出が、遺失物係に出されていたことが分かりました。
 その日付けは……あの古いエレベーターが、運転を開始した、まさにその日でした……。
 この話を聞いた百貨店の社長は、翌年の、1996年のクリスマスベアを、
このティディベア、「バーンズ」にそっくりなティディベアに決めた、と言うことです。
 エレベーターに隠れていたティディベア、として。


第38話  セミナ−ハウスの死神さん☆語り手: ユア・ファンティンさん
この怪談は 今年の8月23日の朝方に会ったことである
私は、高三2回目で本来ならば出なくて良かったのだが
興味本位で 部活(演劇部)の合宿に出たのだった
夕食後に、エチュ―ド(即興劇)をやり台本をまとめ
1・2年生は、恒例行事に出て、3年は2回で寝る準備をした
そして 午前3時ごろのこと・・・・・・・・・
「トイレしよ・・・・」
そうしてこうして、戻ってきても下級生はいませんでした
「まだ、行事中か・・・・・・
 寝よ・・・・・・・」
足元に床の間があるんですか(二階和室が寝る場所)
そこに何かいました
そこの灯りだけつけていたんですが
その下に黒い物がいました
(・・・・・死神・・・・・・かな・・・・・・・?)
寝ぼけていたので、呑気にそう考えました
『彼』は、タロットカ−ドによくあるような後姿でした
(タロットのほうはいるし・・・・・・)
「アンタ、誰?」
『我が、見えるのか?』
「で、部員にてぇ出すなら、殺される前にいけ」
『あると言ったら?』
「ほろぼ・・・・・・・・・・?????」
無言の圧力というか瘴気というか
そんな感じのものでその場所に私は縛られてしまった
(・・・・・・ふむ、これじゃあ手の出しようないね)
『目的は、貴様の助手の元死神に用があるのだ』
(何で?)
『裏切者には滅びだ』
(直接行けよ(by心の声)
 あたしは関係ないね
 行き倒れてたあいつを拾ったあたしがあいつの飼い主だ)
『だから、貴様のところへ着たんだ』
(それに、あのバカ3人に命令されて、
 あいつを操ったアンタ達のせいでしょう?)
『すみません、僕のせいで迷惑かけて、プロフェサ―』
(遅い)
『あ―、××(人間にはわからない発音)さん、悪いですけど、
 制裁は僕だけにしてくれません?』
『いや、かくまったその女も同罪だ』
・・・・・・神はやはり不条理だ
その後喧喧囂囂の話し合いをしていたようだが
そもそも、無理矢理そこに縛られていた私のこと、意識がやっぱり消えました(笑)
「○先輩」
「あ、おはよ・・・。」
「先輩、床の間の前でなんで寝てたんですか?」
「トイレ行ってそのまま力尽きたんでしょうね」
そうは誤魔化したが、
恐らく、彼女たちが来るのを察した向こうの死神が引いて、こっちのも向こうに行くったらしい
その後、セミナ−ハウス・2階和室には黒い死神が何回か目撃されている
どうやら、私を待ち伏せているらしいとのこと・・・・・・・


第39話  語り手: 遙 琥珀さん
私が初めて『金縛り』なるものを体験したのは、小学校五年生の秋であった。
友人が金縛りに逢った、ということを噂で聞いたその日。
しかも、授業中うたた寝しててヨダレ垂らしつつ、というかなり情けないものだった。
その日から私にとって『金縛り』は日常茶飯事と化した。
一週間に二、三回なるかならないか、のペースだが。
そんな日常が続くある日。
友人がパソコン目当てで私の家に遊びに来た。
友人がパソコンいじってる傍で、私はうつらうつらと居眠りを始めた。
そして……いつも通りの金縛り。
もう慣れてる私は『あぁまたか』程度にしか思わなかった。
普段なら解けるのを待つのだが、友人がいることだし、助けて貰おうとした。

金縛り…という現象は科学で説明が付く。
『脳が起きているのに躰が眠ってる』…レム睡眠ノンレム睡眠の関係。
だから、友人に少し揺さ振って貰えば解ける……はずだった。
私が声を出そうとした瞬間。
全くなんの脈絡も無しに…
耳元で、『はははははは』と、すっげぇヒトをバカにした様な笑い声が。
声は大人のもの。
だけど、『笑い方』は、子供の笑い方。
『怖い』というよりなんかムカッと来る私。
次の瞬間、金縛りに掛かっていたハズの躰がすんなり動き…がばっ、と身を起こす。
その次私が何をしたかは大体想像付くと思うが……
友人に喰って掛かった。
「何笑ってんだよ!助けろよ!」
「はぁ!?」
「今笑っただろ!?」
……ちょっと考えれば友人じゃないことはすぐ解ったハズなのに。
頭がパニクっていたのであろう、私は友人の所為と思いこんだのである。
その友人はかなり声域が広く、大抵の声が自由に出せるから、である。
「知らないよ!大体私パソコン触ってただろーが!」
「あ、そう。そうだよねぇ……?」
ようやくここで我に返る私。
迷惑そうな友人さておいて、首を傾げる。
変だ変だと一人首を傾げる私が一番変であった。
…結局、この時のことは謎のまま。

だけど、私はあの声に少し感謝している。

この世に科学で証明できないものがあることを、はっきりと私に教えてくれたのだから……。


第40話  呪い返し語り手: 水島飛鳥さん
昔々。ある所に理沙(仮名)という女の子がいました。

彼女は、何事も自分が中心にいないときがすまないようなタイプの子でした。
一人娘でしかも親は小さいながらも会社をやっています。
甘やかされて、とはいっても親は家にいつもいるわけではないので、罪悪感を覚えて更にちやほやする。
外見もそこそこ可愛かったので、クラスの女王様として君臨しているようなタイプ。
ところで彼女は、性格はかな〜り女王様はいりまくっていましたが、成績は中・・・寧ろ悪い位。
一々挙げてもどうしようも無いのであげませんが、要は・・・

性格は女王様。でも特に成績などを始め威張り腐るだけの根拠は無い。
辛うじて言うならおこずかいの額(自分の自由になるお金)。
しかし、親が別に大きな会社を経営したり家柄が良かったりするわけでもない。
あくまでも、至極普通の小さな有限会社
こんなのが何時までも女王様はってられるわけがありません。
取り巻き連中は一人減り、二人減り・・・・・・
いつの間にか、一人もいなくなっていました。
ところで、彼女が小6のときです。
隣のクラスにある少女が転校してきました。
外見を一言で言うなら『おとなしそうな女の子』。
まあ、別のクラスのこと。大して如何と言う事はありませんでした。
しかし。縁というのは奇妙な物で。
それから数ヵ月後、理沙はその少女とマトモに話す機会を持つことになります。

少し付き合ってみるだけで分かりましたが、その子ははっきり言って
『自分の取り巻きにするにはかなり都合の良い子』でした。
先ず、気が弱い・・・というわけでもないんですが、今ひとつ押しが弱い。
人の話を最後まで聞く、癖とも言うべき物があるようで、どんな無茶を言おうがとりあえず口を挟まず最後まで話を聞く。
基本的に、約束は破らない・・・破れない性格。
これは彼女自身が確固たる信念があって『絶対破らない』というか『破っちゃいけない』と自分に架しているようで、
一方的に自分で何時に何所何所に来い。みたいなことを言って、
挙句が休み時間のチャイム等を理由に向こうに口を挟ませないまま有無を言わずに切り上げても、
結局は付き合ってくれる。

一言で言うなら、根本的なところで人が良い。
少女を、仮にAとしておきます。
そんなAの性格に漬け込んで、彼女は少女を自分の手下のように使っていました。
Aは成績も良く礼儀正しくしっかりしていて自分の親に信頼されている。
其処でAの性格に漬け込んでAさえ連れ歩いていたならば、
どんな悪所に行っていようが親はAと一緒にいることさえ告げていれば何一つ、何所に行ったのかさえ聞かない。
Aの方は寧ろ途中からは諦めてどうも保護者のような気分で実際問題面倒を見てくれる。
自分の不始末さえAが世話をしてくれたりする・・・なんて便利なんでしょう(笑)
ある時のことです。理沙はほんのつまらぬ意地を張って、
Aを怒らせてしまいました。
一見少女の方が彼女に頼っているようにも見えますが本当に依存しているのは彼女の方。
しかし、実際に不自由しているというのに性格が邪魔して
「Aが悪いんだから向こうが頭を下げてくるまで許してやるものか」
と、思・・・ってはいませんが、そう公言してしまいます。

関係ないのではしょりますが、この件は一方的に彼女の方が悪いのにも関わらず、です。
Aの方は・・・別に彼女がいなくなったからといって如何という事ありません。
と、いうか、少女はある意味『時制』の観念にかけていた・・・というかぶっ飛んでいましたので
その二人の関係の修復は結局理沙が自分から動かなくてはなりませんでした。
幾等待ってもAが動く事など無く、寧ろ自分の方が忘れ去られる可能性すらある。
という事が、流石に彼女にも分かってきたからです。
いや、本当は分かっていた事を認めたくなかっただけなのですが。
ところが、Aは、実はかなりの曲者でした。
自分の意見を言わなかったり、何か言いかけようとしても結局引っ込めてしまったり。
弱気に見えたそういう態度は単に相手を下に見て話しても無駄だと切り捨てていたからです。
―下というのは『精神的に餓鬼、理解力不足』などの意味です―
唯々諾々と相手にしたがっているように見える態度も、
1、相手を本当に下に見て、寧ろ小さな子供か何かのように扱っているだけ
2、相手を馬鹿だと判断して自分の意見を通すために尤も有効な手段を使っているだけ。
  つまり相手の気に入るように動いてやっておだてて動かす。
のどちらかだという事も分かってきました。
寧ろ、少女は本当に中の良いー自分が認めた人間相手には、全然そういう態度はとっていませんでした。

更に言うと、Aのその判断は先ず正しかったりして、しかも殆ど無自覚でそれをやっていました。
で、彼女は上記の一番の態度をとられていたわけです。

理沙は、少女の態度の意味に気が付いていました。
いや、Aが敢えて気が付くような態度をとったんですけど。
A的には、これは理沙を少しは認めたということでしたが、理沙はそれに腹を立てたわけです。
Aが理沙に気がつかれる態度をとったのはある意味計算づくのことで。
相手が気が付かないならそれは現状維持で全く関係ない。
気が付いて、その後の態度によっては認めてもいいし、離れていくならそれは其れでよし。
牙を剥けば叩きのめせばいい事。

・・・・・・勿論、ここまで深く考えていたわけではありません。
無自覚、というか、息をするのと同じレベルでそういうことを考えていただけです。
・・・・・・やな奴ですね(笑)
兎に角。色々あって数ヶ月、結局彼女は折れました。
しかし、折れるのもやだったので、とっくに別の中学になって交友関係も無いAの家に唐突に電話をかけ、
普段、学校であっている相手と全く同じに遊ぶ予定の相談を持ち掛けました。
普通、ツッコミが入ったり、相手も絶対いい気はしない・・・というか、怒りそうなやり方だったのですが・・・
Aは無頓着にOKしました。
勿論元々そんな細かい事は気にしてなかったからですw
その後も、結局理沙はAを取り巻きのように使い、
実質とりあえずは面倒見の良い少女がそれについていく。
というような事を続けていたのですが・・・・・・
ある時、微妙に盛り場に行って、理沙は不良に絡まれました。
結構そういう場所を甘く見ていたのです。
学校の先輩に連れられて2,3度いったことがあるだけの場所。
悪ぶっていたというか、強がりたかったのか。
理沙は止めろというAの再三の発言を聞かず、『そういう場所』にAを連れて行ったのです。
しかも、自分が勝手にちょろちょろ動き回った所為だけど、Aは居ない。
結構絶体絶命のピンチ。と、そこでAがやってきて一言。
「やめれ、おのれら。一応それ、私の友人らしいから。」
と、ナイフまで持ち出してきた不良どもは、背筋をピンと張って大慌てで敬礼してコソコソ消えるではないですか
いや、別にイメージ的な話で、敬礼しちゃいませんがw
感謝すればいいようなものを、彼女はとことん素直じゃなかった。
危険だから行くなと止めていた場所に、Aを連れてきたのは、自分がお姉さんぶりたかったから。
そういう場所に足を突っ込むのが大人っぽいとか思っている時点で餓鬼なんですが、
兎に角、Aが何故かその辺で結構な『顔』らしいというのが、とことん気に食いませんでした。

そして、Aに結構な暴言を吐いて、勝手に帰っちゃいました。
Aが心底心配してかけてきたらしい電話も即切る。
其処で止めておけばよかったのです

理沙ちゃんは・・・・・・何考えてるんだか知りません。
Aに、『呪い』をかけました。
御呪いの本に書いてあるような軽い物です。
本気でかかると思ってかけた訳でもありません・・・実際、何も起こりませんでした。
そこで、悔し紛れにもっと効力の強い呪いをかけました。
所詮、おまじないの本のものです。どうこうなりはしません。

要するに、いんちきの呪いをそうと知っていて自分の腹いせに使っていた。という事でしょうか。
しかし、どこにも妙な奴はいることで。
そんな彼女に『本格的な呪い』とやらを注進してきた少女がいました。
理沙の学校の子で、『霊感少女』とか言われてる類の人種ですね。
とはいっても、流石にそんなものを使う気にはなれません。
しかし。そんなある日、彼女は、偶然Aの正体を知りました。
正体・・・っていうか、なぜ、何時ぞやの不良があんなにAを怖がったのか。
流石にこの辺個人情報の流出になるので言いませんが、
某大組織のTOPだったと思ってください。
組織とか言っても、要は暴走族だとか、そういうような感じの集まりです。
言っときますけど、中学生ですので暴走族ではありませんよ?
で、腹立ち紛れに・・・・・・本気でその呪いかけちゃいました。
この呪いは、渡された際、『別の相手に使ってマジで効力発揮した』との注釈つきのほんまもんです。
流石に心配・・・というか、罪悪感を覚えて少女の様子を尋ねてみると、
驚いた事に、別に何一つ妙な事は無いのです。

ところで。彼女は、基本的に呪いにしろなんにしろ信じてない性質でした。
じゃあ其れで済ませておけばいいようなものの……
いや、逆に信じていないからこそ。でしょうか?
偶にいるじゃないですか。
なんか気に喰わない事があったらやたら呪いとかかけてみたりする奴。
つまりその時点で彼女は本当にやたら呪いをかけていたわけです。
で、ちょっと怪我してみたりとかその程度の簡単な効力が出てた訳です。
しかし、その少女一人何も起こらなかったのが気に喰わなかったのでしょう。
そして……彼女は、禁断の呪法に手を出したのです。
禁断の呪法。
言ってることは大げさですが……実は、本当に大げさでした。
例の『霊感少女』様が理沙に教えた物のうちの一つ。
但し、使うなと言われていましたが。(じゃあ教えるな)
それは……本当に、力あるものが使ったなら相手の命を奪えるほどの呪術でした。
しかも。『力がなくては効力を発揮しない』類の物ではありませんでした。
そして。偶然の条件が幾つか・・・・
かなりの数で揃いました。
その呪いの要となるアイテム・・・
理沙は渡されていたのですが、それに本気で『念』が篭っていたのです。
理沙が力を持っていない分は、その小箱の中身が補いました。
そして……と、ある朔の日。
呪い、効力発揮。
と。次の瞬間。
理沙は金縛りにあいました。
そういう事やっといてなんですが…基本的に頂上現象を信じていない、彼女の事。
「んな阿呆なっ!!」
体を動かそうとするのですが、動きません。
あと、たった一つの動作で呪いは完成される(という説明)のそのときに、です。
流石に…遅すぎますが、怖くなりました。
心底恐怖を覚えて逃げ出そうとします。
その瞬間、金縛りは解け……彼女は、後ろにひっくり返りました。
ガタン。
何か、音がしました。
「何っ!?」
音のした方を見て、理沙は青ざめました。
倒れた際、足が当ったのでしょう。
呪法は・・・・・・完成されていました。
その時点で、金縛りがあった他に・・・・・・
要は「恐怖」を感じていたんですね。
畏れの方が近い気もしますが。
金縛りという実際にあったことより、寧ろその方が怖かったのです。
つまり…呪いというものを頭から馬鹿に出来なくなっていたんでしょうね。
「キャアァァァァァ〜!!!」

・・・・・・ガタンッ!!!
「理沙?理沙、如何したの!?」
彼女の部屋に踏み込んだ母親が眼にしたものは…
部屋の真ん中で倒れている自分の娘・・・
顔面蒼白で、見るからに具合が悪そう。
しかも。どんなに揺すっても起きません。
そして結局、彼女は救急車で病院に運ばれたわけなんですが……
当然、当の理沙は意識がないわけだから、そんなことは知らないわけです。
倒れた瞬間―彼女の意識はブラックアウトしたわけですが。
暫くして……意識がはっきりしてきました。
闇の中・・・といった感じでしょうか?
暗く、明かりはない。
しかし、何故だか「暗い」といった感じは無く、
光源も無いのにちゃんと見える。
「何所よ、此処・・・」
未だ意識のはっきりしない頭で呟いた瞬間。

ゲインッ!

後頭部に、鈍い衝撃が走りました。
「相模理沙〜っっっ馬鹿か、お前は〜〜〜っ!!!!」

本気で腹を立ててるらしく怒っているのは、
微妙に見慣れた顔・・・・・・・

「っ!?Aッッ!?」
「ちょっ、Aッ!何所よ、此処っ!(命令口調)」
長年の習慣、とでも言うべきでしょうか・・・・・・
この期に及んで、反射的に命令口調になる理沙w
「いいから来なさいっ!」
有無を言わさず、強引に理沙をどこかに引っ張っていくA。
「……『ソレ』が、相模、理沙?」
後ろからそう声が聞こえたので振り返ってみると、
心底呆れたような眼で、理沙を見ている女性が一人。
「あ〜・・・・・怜奈様。何でこんな所にきてるんですか?」
「何でって・・・おまえ、瑠璃に協力求めたでしょう?」
「怜奈様に知られると事だから態々めんどくさいのに瑠璃様に頼んだんですけど・・・」
「いや、瑠璃に私に隠しておけって言うのが無理だって。」
二人で何だか話しこみだして、理沙は置いてきぼり状態。
当然ですが、不安になります。
しかし、口を挟むのも怖くて出来ない。
何だか全然理解できない単語ばっかり飛び出して、
もう理解するのも諦めて隅でいじけていた頃。
もう一人、別の女性が現れました。
……理沙の頭上(本当に踏んでる)に。
「ラピッ来るのが遅いっ!」
「瑠璃様っ!何で怜菜様に知らせてるんですかっ!?」
と、その女性は怒られています。
「いや、礼菜に隠しておけって言うのが(中略)
 大体だからわざと遅れて・・・・・・(後略)」
と、二人に弁解している最中も、さり気にこう、
理沙を踏みつけたまま、何だかぐりぐりしています。
抗議したいんですが、動けないし声もでない。
そして。
ようやく三人でなんだか決着が付いたらしく。
『瑠璃』と呼ばれていた女性は理沙の上からどきました。
「怜奈」と呼ばれていた女性が、無表情のまま、
「相模理沙。だな・・・?私は怜菜と言う。」
と言うと、
「私は瑠璃よ。一応この件を任された人間で・・・
 ま、怜菜の相方ね♪」
「(呆れた表情で)人間じゃないだろう・・・
 と、言うか、『相方』と言うのは何だ・・・・・・?」
と、二人で何だか漫才を始めてしまいます。
漫才・・・そう、あれはまさに漫才w
理沙があっけにとられていると、Aが理沙をつつきます。
「ホラッ。ちゃんと自分も自己紹介してっ。
 で。ちゃんとお二方にお礼言いなさいっ。」
で、おそるおそる
「あ、あの…怜菜さん、」
とまで言ったら
「様付けしなさい。」
と、「瑠璃」の方にほっぺをつねられてみたりとか色々あって。
話は全然すすまないんですが。
真面目一辺倒だけど意外と天然ボケの怜菜様。
どっちかと言うと突っ込みがたなのに分かった上でぼけたおす・・・
と言うか、怜菜をからかって遊んでいるらしい瑠璃。
しかもそれに怜菜のほうは一々真面目に反応するわ、
Aは黙って見物しているわ・・・・・・
話は殆どすすまないんですが、
三人の間ではそれでもすすんでいるらしく、突然どこかに移動しました。
移動した場所は今までと違って普通の場所。
自分たちが宙に浮いてさえいなければ、ですが。
何だか分からず(しかし発言するのも怖くって)Aに視線を向けると。
Aは無言で、ベットに寝ている人間を指差しました。
「……ッ!!」
そう、其処のベットにいたのは、間違いなく「自分」でした。
Aに聞こうとするより早く。
「瑠璃」が、杖を取り出しました。
そして其れを理沙に当て、序でに何だか杖から青い光が出てきて理沙に降り注ぎました。
「……分かった?」
無表情で、そう聞くAに。理沙は力なく
「分かった……」
そう、こたえました。
その光が降り注いだ瞬間、理沙はいろいろな事が分かったんですね。
例えば。
Aは呪いの事を全然知っていて、今まで黙認していた事。
今までAにだけ効果が無かったのは、Aの方で無効化していたこと。
そして……自分に『呪法』を教えた、『霊感少女』の目的。
しかし、唐突に大量の情報を得ても、
脳(?)はそうそう処理できません。
混乱しているまま、また、どこかに跳びました。
来た場所は最初と同じような闇の空間。
しかし、何と言うか最初の場所とは違って
『おぞましくどろどろした雰囲気』が肌に纏わりついて離れない。
そんな、重苦しく、というか息苦しい空間。
『何だ。失敗したのね。態々『アレ』まで与えてやったって言うのに…
 やっぱり所詮、『役立たず』は『役経たず』ね。』
エコーのかかった声でそう呟いたのは、
当然例の『霊感少女(今後B)』でした。
「一応言っておくが、私もいるんだが?」(怜菜)
「そんなことで止める様な奴ならハナからこんな暴挙に出ないでしょうよ。」(瑠璃)
「まあ、其れもそうだろうな。
 証拠は挙がってるんだ。見苦しいぞ。さっさとでて来たら如何だ?」
Bの上に重なるようにして実態を表したのは、異形の少女。
どの変が異形って・・・・・・羽が生えてる辺りとか、まあ色々あるんですが。
相も変わらず置いてきぼりのままの理沙。
「お久方ぶりです。我が主。」
少女の口から聞こえてきたのは、しかし、男の声。
「久しいな。籐瑛。随分とまあ、馬鹿なまねをしている用だが。」
「こっちには挨拶は無いわけ?フェイル?」
「瑠璃様も。ご健勝そうで何よりです。」
「……特に口挟む気は無いんだけどさ…
 その子、まさかシュレイアの部下だった子じゃないの?」
Aがそういった瞬間、Bはなにかを理沙のほうに投げつけました。
「籐瑛っ!ふざけるなっ!!」
そう言って怜菜がどこかに消えた次の瞬間。
Bの悲鳴が上がりました。
「そ、そんなっ!」
さっきまで籐瑛、フェイルと呼ばれていた少女が崩れ落ちたようにどさっと倒れ、
Bはと言うと、だんだん薄くなっていきます。
視界がだんだん歪んできて、かなりの眩暈を覚えます。
「と、シュレの部下だって言うなら、一応これは拾って言ったほうがいいわね。」
そういい、瑠璃は崩れ落ちた少女を抱えあげ、
呆然としてみている理沙の腕をいつの間にか剣を手にしたAが引っ張りました。
そして、次の瞬間。おそらく、最初の空間だろうとオもわれる場所に、
A,理沙、瑠璃。そして、瑠璃の抱えた少女がありました。
「い、一体・・・・・・」
そう呟く理沙に、答える声がありました。
「説明するのも面倒なんだがな。
 おまえは、どこぞのボケの駒にされたんだよ。」
「B・・・だったっけ?あいつは、契約をしてたんだよ。
 悪魔の契約とかあるだろ。其れと同じような類の物だ。
 Aに呪いをかけただろう?
 本当は、あんたは其れを返されて死ぬ予定だったんだよ。」
瑠璃:「・・・お前か。何所から話している?」
?:「お前らんちだ。レイを止めてやったんだぞ?少しは感謝したら如何だ?」
A:「その子。…名前は知らないんだけどね…
  さっき、籐瑛とかいう奴がいたでしょ。
  正確は、そのこがそいつに操られていたんだけど。」
「Bさん・・・だっけ?あの子が契約したのは、
 飽くまでも「投影が操った状態のその子」だった訳で。
 だから怜菜様が籐瑛やつけちゃったかなんかしたから、
 籐瑛とか言うのはその子を操れなくなって・・・
 で、契約が無効化されたんで、Bは力が無くなって、あの空間は崩れた訳ね。」
無表情で其処まで言って、
「で、そもそもっ!理沙っ!あんたが誘いにのったりなんかするからこんなややこしい事になったんだけど?自分の身を護るだけなら結構簡単だったけど、その後のろいを返した後にあんたが死んだりしないよう、工夫しなくちゃならなかったんだからね!?(怒)」
「うっ・・・・・・」
事情を説明されても良く分からないが。
「自分のやったこと」についてなら、ある程度は理解できる。
「で、でも・・・・・・(弱気)」
瑠璃:「でもも何もあったものじゃないでしょ?
    こっちだって、Aの命がかかってなくちゃ、こんな事やったりしなかったけど。」
そういう瑠璃の手には、あの「箱」があります。
「コイツはね。色々すって呪具として成長するのよ。
 邪気とか、人の無念とか呪いの気持ちとか妬みとか嫉妬とか…
 人の、命とか。」
 
?:「で、要はそいつがお前の命を吸ったら…
   まあ、ちょっと…要は向こうの戦力アップになる、と言うか・・・
   Aとかに少なくとも攻撃有効になるしな。」
瑠璃:「一応言っておくけど。あんたのやった呪いの力は、
    少しはこっちで吸収して、分散もして。
    でも絶対量が多いからね。
    効果は弱めといたとはいえ、あんた、暫くこのまま死に掛け状態よ。」
A:「んじゃ、ま。そのうち後で。」
そういってAがおすと、
理沙はそのままさっきの病室で、自分の体に吸い込まれていきました。
「・・・・・・っ!?」
眼を覚まして、飛び起きようとしたけれど・・・
体が、動きません。
「此処は・・・・・・?」
「先生っ○○の患者さんが眼を覚ましましたっ!」
ってない地幕があったかどうかは知らない・・・
そう、その場所は病院・・・・・・・集中治療室かなんか。
理沙が眼を覚ました時、世間様は既に数年が過ぎ去っていましたとさ。

この昔話の教訓:無闇に人を信じないようにしましょう。
        人を呪わば穴二つ・・・っと。 


第41話  バイト語り手: ライジさん
中学校の時に理科の先生から聞いた話です。
微妙に当時の先生の年齢とかあたりは覚えてないんですが・・・
昔先生が若かった頃、まだ教師の資格も持って無くてバイトをしていたそうなんですが。 そのバイトが死体沈めというものだったらしいです。
一昔前に聞いた話なのでちょっと記憶があいまいになっているのですが、
死体の全部を昔は冷凍保存による手段が上手くいかないので、
ホルマリン漬けのようなプールの中で死体を保存していたそうです。
その死体が浮いてくるらしく、棒みたいなもので押して沈めるという・・・
さらに職場が1人だったなんていう余計に嫌なシュチュエーションで。
でも、時給がかなり良いからという理由でバイトを続けていたらしいのですが・・・
ある日
先生がバイトに行っていつもどおり沈めていたらしいのですが、
そのバイトのシステムがどうなっているのかは知りませんが、
バイトを終えて次の人が来たのを確かめるために、
ちょろっと部屋から顔を出して覗いたそうなんですが。
まだ来てなかったみたいなので、また部屋の中へと視界を戻してみると・・・
さっきまでは無かったはずの死体が1つ・・・
ごろん
と、プールサイドのようなそこに寝転がっていたそうです。
先生の強い所は・・・「今まで無かったじゃねーか」と思って、
死体をまたそのプールの中に放り込んだらしいのですが、
その死体は目を開いていたそうです。
(それも閉じて放り込んだぜーとか言ってましたが。)
その後はそんな変な現象も起こらずに済んだそうですが、
普通だったらそんな対応とらんぜ先生?という話でした。




第42話  誰もいない土地語り手: 薫さん
はじめに。これは実話です。あしからず。それを頭に入れて置いてください。
それは私が物心ついたころからそこにありました。
そこは、近くに駅、そして国道、かなり交通手段がいいところです。しかも近くに銀行などもあります。
そして、ある時、その真横に近い位置に、大手のスーパーができました。
当然まだ小さかった私もそのスーパーにいきます。そして、それに気づきました。
新しくできたスーバーの周り。当然人や車がごった返してます。そんな中。道の横に、ぽつんと。広い土地が。
そしてその土地の中ほどには一軒の家。人なと゛すんでいる気配はまったくありません。
まだ幼い私はその場所に入ろうとしました。すると、母が。「かお、そこには絶対にはいっちゃだめよ?」と真剣な表情で言い聞かせてきます。
「?何で?」私が聞くと。「寂しくなるから。」「?」
それ以上は母は説明してくれませんでした。が、絶対に入ってはだめ。といってきます。まあ親のいうことですので一応は守って入らないようにしてました。
しかし、そのスーバーができて周りが年月を得てどんどん開拓、開発されてゆくにもかかわらずに。その家と空き地はずっとそのままです。
土地的にはかなりいい場所のはずです。それなのに。誰もそこに住んでもいません。
さすがに中学のころには不振に思い、母に聞きました。
すると。
「あそこは得に女性は絶対に入ったらだめだから、だから売れないんじゃない?」とのこと。
???
まったく意味がわかりません。しばらく何度もしつこく問いかけると。
その土地に一歩でも入った女性は意味もなく死にたくなるそうなのです。
事実母もちょっと車をよけるのに以前足を踏み入れて無償自殺したくなったことがあったとかなかったとか・・・
「あの家壊そうとするたびに何かその業者とかに何かがあって、そのままになってるらしいから。気にしたらだめ。絶対に足を一歩でもいれないように。」と真剣な面持ちでいってきます。
男性は死にたくなる、ということはないらしいのですが。やはり怪我とか何か絶対にあるそうです。
そこで以前何があったのかは母も人づてで聞いたらしいのですが何でも男性に捨てられた女性が自殺したとかしないとか。
そして、その家を取り壊そうとするたびに絶対にその業者に事故とかいろいろと起こって、そのままになっていたそうです。
―が。
近年、数ヶ月前。ふと見ればそこの家が取り壊されてました。だが、やはりというべきか。
その取り壊しをした業者はその月のうちに倒産。社長は事故にあい重態。
従業員も何でも行方不明になった人が数名、自殺者も出たとか出ないとか・・・
そして。
今。
その場所は今はもう家はないものの、整地され、その先にあるとある企業の駐車場、として解放されているらしいですが。いまだにそこには誰も車すらも止める人は当然いなく、ただぽつんと。
周りがどんどん発展してゆく中でその土地のみ、取り残されています。
そして、今もその土地は、茶色い地面をそこに表したまま、スーバーの横手に存在しています。
ちなみに余談ですが。その土地に知らず入って衝動的に自殺未遂した人は・・・わかっているだけで(私が聞いただけで)軽く十人以上を超えているらしいです・・・・。
その土地にいったい何があるのはわかりません。わかりませんが。
皆さんも不自然な空き地を大手スーバーの横手にみたら、入らないほうが懸命でしょう・・。勇気を出してあなたははいってみますか?何が起こるかは私は責任もちませんが・・・・


第43話  訪問者語り手: 闇鬼神フィアさん
これは実際僕が体験した話です
ちなみに、ちょうど今年の夏の、百物語を終えた直後に起きました
いつものとおり百物語を終えて、ワードを閉じて・・・・・・
とんとんとん
なぜか窓をたたく音がします
しかし、僕は「ああ、またか」と思って相手にしません
なぜかというとその窓はベランダに続いていて、ちょうど昼間に母がたたいていたからです
気にせずに僕はコンピューターの電源を消し、暗闇の中で布団をかぶり・・・・・・
とんとんとん
またしても窓をたたく音・・・・・・
「うっさいな〜」と思いながら僕はそのときになってはたと気づきました
百物語終了後・・・・・・つまり時刻は十一時過ぎ頃・・・・・・
母はちょうど一時間前ごろ・・・・・・つまり十時ごろに寝室に行ってるのです
妹も父ももう寝てるのでその時点で起きているのはたった一人・・・・・・つまり僕だけです
その僕が部屋の中にいて、窓をたたいてないのにたたく音がする・・・・・・
「え?」いまさらのように驚き僕は電気をつけました
当然のごとく窓の外には夜の暗闇しかありません
「・・・・・・聞き間違えかな?」そう思い、僕は再び寝ようと電気を消そうと立ち上がり・・・・・・
とん、とんとんとんとんとん
再びあの音・・・・・・
急いで窓に近づき、最初にとった行動は・・・・・・
『ばきっ』・・・・・・一応自分を殴っておいて夢でないことを確認して窓の外を見て・・・・・・
蝉が飛んでいました
つまり、こんこんとは蝉が窓にあたる音だったのです。「な〜んだ。さっさと寝よ寝よ」
そういって僕は布団に潜り込みました
しかし、この話には後日談があります
次の朝、目覚めた僕に母は聞きました。「昨日窓か壁かを叩かなかった?」と
「うん?僕はたたいてないけど・・・・・・」
「ふ〜ん、二時ごろっていえばあんたしかおきてないと思うんだけど・・・・・・」
「・・・・・・え?二時?」「ええ、トイレでおきたらあんたの部屋のほうからとんとんとんって音がしたんだけど・・・・・・」
無論その時刻では僕はぐっすり夢の中。けりを入れたとしたらとんとんとんなんて器用なことはできません。
そこから推測される答え・・・・・・もしかして、もしかしたら最初の二回のとんとんとんは蝉ではなく別の何かではなかったのか・・・・・・
その日から、いつ窓がとんとんとんとなるかを確かめようと、夜更かしをよくするアホがここにいます


第44話  路上教習語り手: エモーションさん
これは、車の免許を取るために教習所に通っていた時の、妹から聞いた話です。
その日は雨が降っていました。無事に路上教習の段階にまで進んでいた妹は、
鬱陶しいと思いつつも、「雨が降った日の運転の練習になるから」と、
教習所へでかけました。
ところが、雨はどんどん激しくなっていきます。
妹も教官も、「視界が滅茶苦茶悪くなる〜」と思いつつも、路上教習を開始しました。
土砂降りの雨の中でしたが、妹は順調に車を運転していました。
そして、山の中の、開発されたばかりの道路に入りました。
その道は、普段ならとても見晴らしの良い道ですが、雨のためやはり少々視界が悪かったそうです。
妹は、そのままのスピードで車を運転し、水たまりの水を大きく跳ね上げました。
途端に教官が声を上げました。
「おいっ! 今、通行人に頭から思いっきり水をかけたぞ!!」
「……………………通行人……ですか…………?」
言われて、妹は慌てて確認しましたが、ミラーには誰も映っていません。
また、通るときも、誰も通っていなかったはずです。
妹は、恐る恐る教官に言いました。
「……あの……さっき、この道には誰もいなかったんですけれど……」
妹の答を聞いて、教官は驚いていましたが、ふと、改めて思い出したように呟きました。
「……そういえば……傘をさしていなかったな……」
妹と教官は、何もなかったことにしたそうです。


第45話  語り手: 水島飛鳥さん
ある時Mは親の仕事の都合で、遠くに引越ししました。
全く知らない所でしたので、道を覚えようとそこら辺をぶらついていると、
肩をぽんっと叩かれました。
戸頃でMは引っ越したばかり。
夏休み中に引っ越して二学期から学校に通うという黄金パターンだった為、
はっきり言って知り合いなんぞまだ一人もいません。
びくっとして後ろを振り向くM。
其処に居たのは、案の定、全く面識のない青年。
「よっ!Kっ!久しぶりだな。高校以来か?」
言うまでもありませんが、MはKなどという名前ではありません。
しかもMは高校生ですし。
(ひ、人違い・・・・・・?)
事態に思い当たり、私はKさんと言う人ではない。と言おうとしたMでしたが、
青年は、のべつ幕無しに喋り続け、結局誤解を訂正できないまま去ってしまいました。
その翌々日。Mが路地を歩いていると、向こうの方からやってきた女の人が
「け、Kさんっ!!??」と驚きの声を上げました。
しかし、昨日の今日のこと。
『K』というのが珍しい名字だった事もあって、直に事態に思い当たり、
今度はちゃんと誤解を解くことが出来ました。
因みにその大学生のお姉さんは、近所のコンビニでバイトをしていて、
Mの向こうでの友人第一号となりました。
しかし。其れから道を歩く度…とまではいいませんが、
「け、Kっ!?」等と叫んで逃げていく人が続出。
何なんだ一体…と思っていたある日の事。
Mは路地裏で自転車で転び、荷物をばら撒き足を怪我してしまいました。
困っていると、「如何したんですか?」と、後ろから声をかけてくれた女の人が。
後ろを振り向くと……どこかで見たような顔が。
(っていうか私っ!?)

世の中には、自分と似た人が三人は居るとはいいますが…
そう。女の人こそ、Kさんだったのです。
結局二人は意気投合して、KさんはMの家まで自転車を押していってくれて。
その他にも色々話したりしました。
翌日。コンビニに行った際、Wさん(さっきのお姉さんの事です)に
「Kさんに会った。」という内容のことを話しました。
しかし、Wさんは信じてくれず…押し問答の末、とんでもない事を言い出しました。
そう………………
実はKさんは、Mさんが引っ越してくる約一ヶ月前、交通事故で死んでいたのでした。
第46話  染み語り手: 風碧陽月さん
これは私が小学校の五年生の時に実際あった話なのですが。
『七不思議』というのは古い校舎の学校には大抵存在するものだと思います。その小学校にも、七不思議とは呼ばれませんでしたが、いくつかの怪談がありました。
その怪談、全部は覚えていませんが、ひとつだけ強烈に印象に残っているのがあります。
それが、三階本校舎の東側の女子トイレにある天井の染みでした。
トイレの怪談と言えば、花子さんでしょう。現に、その天井の染みも正面を向いた少女の顔に見えるため、どうにも名前がつけられなかったのか、『花子さんの顔』と呼ばれていました。
そのトイレは本館の反対側にあるトイレより狭く、個室も三つのみでした。そして、その『染み』は一番奥の個室の真上にありました。
その個室に入ると、『染み』に見られているような不気味さがあるので、混んでいても誰も入りませんでした。
ある夏の日、運動会の予行練習の日だったんですが、本番と同じように競技を進めるというだけあって、始まれば本番同様校舎には入れません。グラウンドのトイレは嫌だと言うことで、せめて始まる前に!とトイレに女子が殺到しました。
私も行進前に行ったほうがいいと思って、人込みに便乗してトイレに向かいました。因みに、他にもトイレはいくつかありますが、どこも混んでると思ったので、教室から一番近い染みのトイレに行ったんですが。
トイレの前まで行くと、何やら騒動が起きていました。
近くで蒼白な顔をしていた友達に何があったのか聞くと、
「……いいから……自分で見てみなよ……」
とだけ言って、友達は逃げるように去って行きました。
不思議に思いながら、人込み掻き分けてトイレの中を覗くと(トイレの中には誰も入っていませんでした。外に殺到してるだけで)、
「顔がないし……」
「違うよ! ちゃんとあるよ! ほら!」
これまた近くにいた友達の指差す(震えていました)先には、いつもは正面を向いているはずの『染み』が、横を向いた少女の顔に変わっていました。
それどころか、向いている方にゆっくりと移動していました。
どうしてそういう現象が起こっていたのかはわかりませんが、それを見た瞬間、学校に伝わる『動く染みの怪談』というのを思い出しました。それまではあまりにも非現実的な話だったので忘れていたんですが。
その日、運動会予行練習が終わってからそのトイレを恐る恐る覗くと、『染み』は元の形で元の位置に戻っていました。
本当にどうしてああなったのかはわかりませんが、その日以降、そのトイレを使用する女子は激減しました。


第47話  減る少年語り手: 遙 琥珀さん
今回は久々に童謡解析である。
『十人のインディアン』という歌を知っているだろうか?そして、疑問に思った事は無いだろうか。
あの歌では、十人いるインディアンが、一人二人と減っていく。何故減っていくのだろうか、と。
その理由は、あの歌の元となった…マザーグースに書かれている。

十人のインディアンの少年 食事に出かける 一人がのどを詰まらせ そして少年は九人になった
九人のインディアンの少年 夜更かしをする 一人が目を覚まさず そして少年は八人になった
八人のインディアンの少年 デボンを旅行 一人がそっちに残って そして少年は七人になった 
七人のインディアンの少年 薪を割る 一人が自分を叩き割り そして少年は六人になった
六人のインディアンの少年 蜂の巣を触る 一人が蜂に刺されて そして少年は五人になった 
五人のインディアンの少年 訴訟を起こす 一人が逆に捕まって そして少年は四人になった 
四人のインディアンの少年 海へ出かける 一人がニシンに呑みこまれ そして少年は三人になった
三人のインディアンの少年 動物園を見学 一人が大熊に抱きしめられ そして少年は二人になった
二人のインディアンの少年 ひなたぼっこ 一人が日干しになり そして少年は.一人になった
,ひとりぼっちのインディアンの少年 最後に彼は結婚し そして誰もいなくなった

ほぼ全員が、死んだか大怪我をしたか、の減り方をして、結局幸せになれたのは最後の一人のみ。
これは一体どういうことなのだろうか。
マザーグースにおいて、この様な、死やケガを連想させる作品は珍しくない。
『誰が駒鳥殺したの?』などが良い例である。
何故その様な作品が多いのか…これは簡単に想像が付く。
これが、『子供』を対象にしたものだからだ。
子供というのは、精神的に未熟で、『死』を深刻に受け止めていないフシがある。
色々な物に興味を抱く。
『死』もそのひとつ。
この歌は、実話を、子供に興味を抱かせる為に『残酷さ』を際だたせた物なのでは無いだろうか。
…と、連想していけば…
簡単に、ひとつの出来事が思い浮かぶはずである。
ヨーロッパ人たちの、アメリカ移住。
これは、ヨーロッパ人たちによるインディアン迫害の歴史を描いたものなのかもしれない。
考え方の違いも、生活の違いもあっただろう。
時に、大きな諍いに発展することもあっただろう。
武具設備などで圧倒的に劣る先住民達が沢山死んだに違いない。
他にも…ヨーロッパから、今まで無かった病気が持ち込まれたり、捕まって奴隷にされたり…
色々な要素で、先住民達は減っていく。
『悪魔などは、自らの生存の為に人を殺す。
 だけど、人間は、自らの欲望で人を殺す』
この世で一番恐ろしいもの…は、もしかすると人間自身なのかもしれない。


第48話  もう一人の自分?語り手: 薫さん
これは、私が働きはじめてしばらくしてからのことです。
高卒でそのまま就職し、二年ほどしてちょっといろいろと事情があり、今の場所にと会社を変わりました。
そして、その会社とはまあいわゆるコンビになのですが。そこのお客さんが一言。
「あれ?久しぶりですね。」といきなり声をかけてきます。
「・・・・・・・・・・は?」その人は私のまったく知らない人。
「ほら、○○で勤めてた子でしょ?」
「・・・・・あの、そんなところ勤めてませんが・・・・」私がいうと。「あれ?じゃあ人違い?ごめんなさいね。あまりにそっくりだったから。」
まあ人違いというか勘違い。というのもはよくあることです。この話はこれで終わり。・・・・・だと、私は思っていました。
が、しかし、それはそれから約数ヶ月に始まる?の日の始まりを告げる合図でもありました。
しばらくして。また、お客さんに。「あら、あんたここに勤め始めたの。××でバイトしてた子でしょ?」「・・・・・はぁぁぁ!?」
当然、私はバイトなんてしたことはありません。したとしてもそれは高校が許可していた郵便局のバイトのみ。
私がいっていた高校はバイトは禁止だったがためにしているはずもなく、またそんな場所すらも聞いたことはありません。
「・・・・あの?私そんなところでバイトなんてしてませんでしたけど?人違いじゃないですか?」「またまた、とぼけて。」「・・・いや、本当に違うんですけど・・・・」
話をきくとよくその子と話していて話し方とか顔立ち、すべてが私そっくり。ということで。なかなか人違い、というのを信じてはもらえずに。
まあとにかく人違い、というのをどうにか理解してもらったのはしばらくしてからのこと。
ですがさすがに二度目です。不気味にも思えてきます。
まあ、一度あることは二度はある。というし。それですませていたその矢先。
「あ、かお、この前何で呼んだのに返事してくれなかったの?」よく遊ぶ友達と電話で話しているとそんなことをいってきます。
「・・・・・・はぁぁぁ!?」その最近は私は家からまったく出ていない、出ていてもまあ本屋ていど、くらいで。話をきくとそれも何やら二日前。
しかもそれが駅前で出会ったとのこと。「・・・・・私その日、仕事だよ?」
・・・・・あれ?そーいやそーだよね。・・・・・あれ?じゃ、あれだれ?」
・・・・いや、だれって言われても。私の方が聞きたいです。「・・・この前からお客さんにいわれてるんだけど・・そんなにそっくり?」
「うん。まったくかおそのもの。」「・・・・・・」よく遊ぶ友達にはっきりきっぱりそーいわれて、私は思わず無言になりました。
何でも呼びかけても無反応でそのまま前の方をすたすたとあるいていった。とのこと。
「まあ、世の中には似た人三人いるっていうけど、あんなにそっくりとはねぇ。もしかしてドッペるだったりして。」「・・・・やめてよ(汗)」
まあ、そんな会話をしつつも、そのときにはそれで話は終わりました。
それからもたまにお客さんで私を知っている。という人がたまにやってきます。しかも私の知らない場所の名前をあげて。
まあそのたびに人違いか、またはどこであったかわからない。という人には父と勘違いなのでは?といっておきました。
私ははっきりいって関係ないですけど父親と瓜二つだからです。父は郵便局員、それゆえに家などの配達にも赴いているからです。
そして、そんなことがしばらくつづいたその矢先。
「あ、かお、あんたどこいこうとしてたの?きのう?」「・・・・・・・・・・は!?」ふと母がそんなことを聞いてきました。
「ほら、昨日車ですれちがったでしょ。あんたと。こっちがクラクションならしてもあんた気づいてなかったし。」などと母はいってきます。
「・・・・・母さん、私昨日・・・・仕事・・・・」「・・・・・あ、そーいやそーだったっけ?」・・・おーい。思わず絶句。
「でも車もあんたと同じだったわよ。」「・・・前からよくいわれてるんだけどそんなにそっくり?」「うん。そっくり。」
聞くところによるとその子がのっていた車も私と同じ車種だったそうで。
私と同じく前をしっかりと見たまま運転していたとか何とか。
「そんなにそっくりなんだったら怖いけど見てみたいかも。」何しろ母や友達までもが間違えているのです。そんな私のその言葉に。
「もしかしたら父さんの隠し子だったりしてね。」などと冗談まじりで母はいってきます。
「あ、逆にそれならうれしいかも。」などといった冗談半分、本気半分。そんな会話を母としてしまいた。
結局それから二度ほど、母はその子をみたらしいですけど。しかもいつも車で。
しばらくそれから私そっくりな人をみたとか、話しかけたけど返事がなかったとか。理解不能な電話がたまに友達とかから入ってきていましたが。
それもまあ大体三ヶ月経過するころにはぱったりとやみ。それから私のそっくりさんをみた。という話はまったく聞かなくなりました。
・・・・・いったいその子が何だったのか・・・・今だになぞです・・・・。本当に私そっくり(しかも髪型もで一緒だったらしい・・)のただの他人なのか、はたまた本当に父の隠し子(だったら姉妹ができてうれしいけど)なのか。
それとも、考えてたくはないけど、本当にドッペルゲンガーだったのか。
あれからしばらくたちますが、あれから後、そっくりさんを見た。という話は聞きません。
なぞを残したまま何とも後味が悪いままにその一件は終わりを迎えました。


第49話  しのぶちゃん語り手: エモーションさん
大阪に来ていたTさんが、ある路地裏を歩いていたときのことです。
話をしている3人のおばさんたちの横を通り過ぎようとしたとき、ふと、おばさん達の会話が耳に入ってきました。
「○○(このおばさんの子供らしい)が、しのぶちゃんの夢を見たって……」
重苦しい表情で、おばさんの一人がそう言うと、他の二人の顔色が変わりました。
「えっ……」
「……しのぶちゃんの……?」
一気に重苦しくなった空気の中、おばさんはやはり重苦しい表情で言いました。
「……〃話したらあかんよ〃って……言っておいたんだけど……」
おばさん達はひたすら沈黙しています。
そして、ひとりがぽつりと言いました。
「……迷うてはるんやろか……」
横を通り過ぎながら、Tさんはひたすら思ったそうです。
会話の流れから察するに、この「しのぶちゃん」は亡くなっている可能性が高い。
しかも、普通の亡くなり方ではなさそう……。
夢に見たことを「話したらあかん」と言われる「しのぶちゃん」
「迷うてはるんやろか」とまで言われてしまう「しのぶちゃん」……。
い、いったい、「しのぶちゃん」に何があったんだ?
でも、単なる通りすがりでしかないTさんが、詳しく聞き出す訳にもいかず、ひたすら気になりつつ、通り過ぎていくしかなかったそうです……


第50話  恐るべし……(汗)」 語り手: エモーションさん
ネットで読んだお話です。
Aさんは時折、見えないはずのもの、が見えてしまうタイプの人です。もっとも、極たまにしか見えないし、普段彼女が見ているのは、人の形はしておらず、白いもやのようなもの、なのだそうですが。
それでも、一応普通の霧や煙などとは違う、というのだけは分かるそうです。
そのAさんは、仕事の都合などもあって、時折、池袋の某ホテルに泊まります。
夜、ホテルの窓から外を見ていると、いつも近くのお寺&お墓の近辺に、白いもやがかかり、動いているのが見えるそうです。
ある日のことです。その翌日に某イベント(笑)があるためか、ホテルは満室でした。
Aさんは「あ〜、イベントがあるんだ〜」と思いつつ、外を見ました。
外には、宿を確保できなかった人や、最初から徹夜で並ぶつもりだった人達が列を作っていました。
2〜3階のホテルの窓からみても、並んでいる人達が、かなりハイテンションになっているのが分かります。
ふと、Aさんはあることに気が付きました。
いつも道の当たりを覆っている白いもやが、何故か一ヶ所に固まっているのです。
その脇を、ちょっと太めの、そしてハイテンションな男の人たちが歩いていきました。
すると……
白いもやたちは、まるで逃げるようにさささささっ! と彼らを避けて行くのです。
一瞬、彼女は目を疑ったそうです。
ところが、並んでいる人達が、トイレやコンビニなどへ行くたびに、白いもやは明らかに嫌がって逃げていくのです。
そして、白いもやたちは本当に並んでいる人達から、かなり離れた場所で、まるで身を寄せ合うように固まっていたそうです。
Aさんは、思いました。
「恐るべし! 萌萌パワー!!」
……人が思う力って、強いですね(汗)……という話でした。


第51話  そこにあるもの語り手: 薫さん
皆さんは、岩国市、その名物、観光名所、と聞かれれば何をまず思い浮かべるでしょうか。
まず山口といえば秋吉台、とかいろいろと出てくるとはおもいますが、やはり岩国といえば錦帯橋。それがもっともポピュラーでしょう。
近年ただいま橋の架け替え工事でちょっとした有名になっていたりもしますが。
錦帯橋とは五連からなるアーチ型の橋のこと。そして。今はその橋はライトで夜も明るく照らされています。
だがしかし、その橋のかかる錦川。そこで毎年必ずといっていいほどに死者が一人以上はでている。という事実を知っている人はあまり多くないと思います。
そして、また。その錦帯橋の近くに知る人ぞ知る、とある「もの」があります。それは・・・
それは今では整備され、整っている道とは反対側。つまりは吉川公園がある側の道。
かつてはそこがメインの道だったのですがとある理由でそこはあまり利用されていません、というか知っている人などは利用していますが。
その道をずっと先に進むと、そのうちに大きな道路に出るのですが。そこにいくまでに。
道はいきなり二車線くらいあった幅からいっきにその幅は激減します。
ちょうど横に流れる錦側がうねりを迎えている、そんな場所。そこにあるちょっとした広い空間。そこを拠点として、車二台がすれすれに通れるか、通れないか、というくらいの幅に道はなります。
そしてその広い空間の、川の横にはなぜか稲荷神社が。そして。その空間も広いはずであるにもかかわらずに、道は、やはり狭いのです。
その空間の中央にあるのはぼっかりとある巨大な木。
しめ縄がされて一応祭られている、という見た目には感じられます。―が。
そもそもどうして道のど真ん中に木がのこったままなのか。それは当然の疑問ですが、あまりそれには地元の人々は深く突っ込みません。というのも。
かつて錦帯橋を観光名所として整備していたときに当然、道をきれいよしよう。という話がでて、当然その木も邪魔になります。
ですが、まあよくある話、というか実際にこんなことがあるのか。というべきか。
お払いとかを行っても事故はなくならず、結果として反対側、そちらに道をつくり整備する。ということでことはおさまったそうです。
けっきょくそんな理由から、いまだに道のど真ん中にぼっかりとその木はいまだに存在しています・・・
そして、その木もさることながら、その目の前にあるお稲荷さん、その前にある川のよどみ。
そこには知る人ぞしる、水死体が流れ着く有名なところでもあったりします。
以前、本当にあった怖い話の闇の検証で錦帯橋が取り上げられ、とある霊能者がそれを指摘していたりもしましたが。まさにそのとおり。
一説にはそのお稲荷さんも水死した人々を慰めるためにそこにつくったとかつくらないとか。今ではもはや誰もその事実は知りません。−が。あの場所にはあまり近づかないほうがいい、というのは地元ではかなりいわれていることです。
錦帯橋、という有名な橋の近くでそのようなことがあるのは。おそらくは知られていないことでしょう。
ちなみに私は母にあんたはあの場所は絶対に危ないから通らないように。といわれてます。
・・・・・道が狭いから?と聞き返すとそれ以外にも拾う確立がたかい。といわれました。・・それっていったい・・・(汗)
何はともあれ、皆さんも錦帯橋にお越しの際にはぜひとも、その木をみてみませんか?道の真ん中にぼっかりと大きなしめ縄のかかった木が存在してるのは、あるいみ不思議ですよ。


第52話  語り手: 水島飛鳥さん
其の日も何時もの如く、奴は私の読書の邪魔をしにきました。 何時もの如く、私は無視して読書を続けました。 何時もの如く、奴は私が無視するのも構わずに話し掛け続けました。 あまつさえ本の上に手を翳したりしましたが、 何時もの如く私は無視して読みつづけます。 戸頃が其の時、定例を破って、私はその本を読み終えてしまったのです。 どっちにしろ無視して、次の本を取り出しましたが・・・ しかし。 そこで奴は言ったのです。 「あっ、俺、その本知ってるぞ。」とか何とか。 因みにその本とは・・・ 泣く子も黙るスレイヤーズSP21巻「汝、その名はスイートポテト」 因みに神坂先生のサイン入り。 しかしながら、その時点では読書中なんで、特に意識に上らない。 やがて読書を終え、読書中の外部からの情報整理をはじめるまで、 私は異常に気がつきませんでした。 待て。何で奴がスレを知っている!!!??? 奴はこう言っていた。 「〜その本知ってるぞ。〜この間、図書室にあった〜」 しかし、それは可笑しい。 うちの高校には、本編はあるけどSPは一冊も無い。 しかも、其の時開いていたのは、手前のイラストページ。 その中の、化け物リナw ふとした疑問は、暇な時だと結構細かく調べだすものだ。 私はまず、図書室にSP21が入ってないかを調べた。 序に、図書委員長権限を利用して、まだ並んでない本に無いかも調べた。 何処を如何調べようと、やっぱり無かった。 因みに、態々職員室に足を運んでまでして、奴に聞いてみた。 図書室にあった。奴はそういった。個人の本というわけでもない。 ちゃんと図書室のバーコードやシールも貼ってあったそうだ。 ちゃんと、スイートポテトを持っていって、確認もした。 間違いなく、この本だといった。 例のイラストを指して、大体この絵じゃ間違いよう無いじゃないか。 とかもいった。 しかし、どんなに調べても、やっぱりうちの学校の図書室に、 「汝、その名はスイートポテト」が入ったという事実は無いのだった・・・・・・






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