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◆−Going under 1−CANARU (2010/3/31 11:44:54) No.35072
 ┣Going under 2−CANARU (2010/4/1 11:53:28) No.35073
 ┃┗お久しぶりです!−P.I (2010/4/1 23:52:53) No.35074
 ┃ ┗ありがとうございます〜〜!−CANARU (2010/4/2 00:44:14) No.35075
 ┗Going under 3−CANARU (2010/4/3 23:27:02) No.35077
  ┗ライバル登場!−P.I (2010/4/3 23:55:31) No.35078
   ┗またまたありがとうございます〜!−CANARU (2010/4/4 10:52:33) No.35079


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35072Going under 1CANARU URL2010/3/31 11:44:54


お久しぶりの連載です(汗)
「トリスタン・イズー」伝説のガウリナパロディ小説です♪
・・・多分ノリは軽いながらも所々シリアス・・という感じで進んでいく話になると思います。
原版伝説読みながら・・なのでゆっくりな進行になるとは思いますが。
お時間が有りましたらよろしくお願い致しますね〜〜〜!



昔々、ゼフィーリアに栗色の髪の立派な君主がおりました。
「彼」は遠い国・・・・サイラーグがカタート王国に侵略されているのを見るにいたり。
見事単騎、馳せ参じてカタートの軍勢よりかの国を救い出し・・・。
国王から友情の証とし、彼の妹でもある王女、ブランシュを妻として賜り・・・。
2人はゼフィールアに帰国し・・幸せに暮らしました。

そのて、その数年後。


我が子よ、私はどのような女子とて抱いたことの無いような貴方をいま抱いている。
このときをどれほど待ちわびたことでしょう?

貴方はこれほどにない悲しみを私に与え生まれ出でた。

貴方の名前は・・・「トリスティナ」と致しましょう。

そっと・・夫と同じ栗色の髪の赤ん坊を彼女は抱き寄せました。


「彼」のコレほどまでの説得も・・今は敵軍の謀略によって処刑された・・賢明なる君主の奥方の
生命を一日永らえただけの話でありました。


「まずいな・・・」

このゼフィーリア城とて、いつまで敵の攻略に持ちこたえられるか分かったものではありません。

ましてや。

このままこの国が陥落したそのときには、生まれたばかりのこの小さな君主の遺子の生命は保証されるものではありません。

「ブランシュ様の産み落とされた子供のはオレの次女として国中に伝達しろ!!!このお子はオレの長女の
ルナと一緒に娘として育てることとする!!」

・・・生まれたばかりのトリスティナ(哀しみの出生)の名を背負った赤ん坊。
あまりにも不憫すぎるその名前。

「リナと呼ぶことにしよう」

火のついていないタバコを捨て去り、このゼフィーリアの有力人物、インバース卿は呟いたのでした。

その後・・・インバース家に引き取られたトリスティナ姫、改め「リナ」は・・と申しますれば。


「ぎゃああああああああ〜〜〜!ね・・・姉ちゃん・・・勘弁・・がんべんぢてぇぇぇぇぇぇ!」

「のぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぎゃあああああああうgちょおおおおおおおおお〜〜〜(絶叫)!」

「とーー・・とーーーちゃん・・・かーーちゃん・・・だ・・・だぢげてえええええええ!!」


いずれはこの国を背負うことになる(かもしれない)「リナ」は。

自身の出生の秘密、これからなさねばならないことを知らぬまま・・。

インバース卿夫妻の愛情と、「姉」であるルナの躾で・・・・。


「さっさとお宝を渡しなさい〜〜〜!ファイアー・ボール!!フレア・アロー!オマケにバースト・フレアー!!!!!」

「ひいいいいい!盗賊キラーのドラまたリナかあ!何で海賊いびりなんかしてやがるんだよおお!!!」

「やかましい!最近盗賊が居ないからこーして海にまで遠征してやってるのよ!さっさとお宝を渡しなさい〜〜〜!!」


小柄ながら男装の凛々しい、騎士兼魔法使いとし、立派に成長を遂げていたのでした。

「って・・・お宝ザックザックは嬉しいんだけど・・・・」
気がついたら深追いをしすぎた為か、何処か知らない土地に来てしまったようです。

さて・・どうしモノかな・・とリナが考えていたその時でした。

バキ、バキ・・・ボロボロ・・ボロボロ・・・。
どうやらリナと同じ「魔道」を扱う人間らしいのですが・・・。
どうやらリナのお得意の「ジュエルズ・アミュレット」を作ろうとしているらしいのですが・・。
その手つきの覚束ないこと。

「駄目駄目、そんなんじゃマトモなジュエルズ・アミュレットは作れないわよ?あんた、何処の魔道師?」
サっと自分の持っていた自作アミュレットを見せ付けながら伝えるリナ。

「私はここ、サイラーグのシルフィール姫にお仕える魔道師です。貴方様のアミュレットは素晴らしいお品のようですが・・。
よろしかったら姫君にお会いなさっては如何でしょうか?」

確かに。暫く(姉であるルナから逃げる意味合いも含め)知らない土地に滞在するのは楽しいかもしれない。

「それもいいかもしれないわね」

そう決心し、リナは魔道商人と一緒に歩き出すのでした。

そして、暫しのこと。

「立派なお城ね〜〜。名をなんと言うのかしら?」

「フラグーン城と申します」

嗚呼、なんと言う運命の皮肉でしょう?
かのゼフィーリアの勇者であるかの君主がこのサイラーグをカタートより救出し。
喜びの中でリナの母、ブランシュを娶ったのはこの城だったのですから。



「まあ、何と素晴らしいアミュレット!ゼフィーリアの皆様はこのような品を扱っていらっしゃるのですか?」
商人より差し出されたアミュレットを交互の眺め。
この地の女性君主にして・・今は亡きブランシュの兄である先代サイラーグ王の娘・・シルフィールは嘆息いたしました。

しかし、それ以上に。
このアミュレットを作ったという、その他にも歌声に秀で、魔法、剣術もつかえるという清々しい姿をした男装の少女から彼女は目を離すことが出来ません。
何故なのでしょう?

元々慈悲深い性格ながら、この孤独な立場の女性のうちから湧き出してくる温かなこの感情。
それこそ血縁のなせる業。

かつて、サイラーグの国王が。美しい妹・・ブランシュに注いだ温かな感情そのものなのでした。

「トリスティーナさんと申しましたわね?この国に留まり、私の友人となっていただけないでしょうか?」

「仰せのままに。シルフィールさま。そしてどうか、私をリナとおよびください!」

そして、リナがこのサイラーグ王国に留まるその間。

彼女の出生を唯一知るインバース氏の親友である隣国のフィリオネル国王の命令により。

「分かりました!私がリナさんの場所を命にかえても探し当ててみせましょう!!!」

彼の娘であるアメリア姫が、従者のゼルガディス卿とともにリナ探索の旅に出たのでした。

その間、彼らは紆余曲折を経たことはいうまでもありませんが。


「私はリナさんの友人でセイルーンの王女、アメリアと申します!そして・・このサイラーグの王家の紋章入りの柘榴石の
指輪こそシルフィール陛下。貴方様の叔母上に当る、リナさんの本当のお母様。ブランシュ様がゼフィーリアに嫁いだ際に。
貴方様のお父上である先代の国王がお渡しになられたものなのです!!!」

フィリオネル国王より、リナ出生の秘密を聞かされていたアメリアは高らかに(シャンデリアから飛び降り、そして着地に失敗しつつも)
そう女王の前に宣言をしたのでした!


「まあ、私とリナさんは従姉妹どうしでしたのね!!」

ひとしきりリナとシルフィールは血族同士の再会を喜んだのでした。

やがて。
シルフィールよりサイラーグの軍勢を借り受けたリナは。

「ドラグスレイブーーーーーー!!!!!!」

と・・アッサリ前ゼフィーリア領主を謀殺した敵を(軍勢の力を借りる必要も無く)一撃でぶち倒したのでした。
まあ・・これで(あんまりにもあっさりとしすぎている印象は拭えませんがね)敵討ちは終わったことですし。

「・・・・ゼフィーリアは育ててくれたインバースのとーちゃんとかーちゃんに任せるわ。で、後継者はルナねーちゃんって事で!!」

これでインバースの家の恩義にも報いることができました。

そんなわけで。
リナは再びシルフィールに仕えるべく。「社会勉強」と称して一緒することになったアメリアとゼルと一緒にサイラーグに戻るのでした。



そして・・サイラーグに戻ったリナを待ち受けていたことといえば。
困り顔を、シルフィールを取り囲んでいる家臣の一団の姿でした。

「エルメキア帝国が・・貢物の要求をしやがったですって!!?」
超大国エルメキア。
そんなものににらまれたら、豊かでこそあるものの小国であるサイラーグは一溜まりもありません。

「ええ。ですが・・エルメキアの戦士に勝利することが出来たら・・。私達に対する理不尽な要求は撤回すると彼らはいっているのです」

苦悶に満ちた表情でそっと状況をリナたちにシルフィールは伝えました。

「ならば!!私がそんなモノはやっつけてやります!!!」
「何を言っているのです!相手は歴戦の勇者、魔竜王の異名をもつガーヴなのですよ!!!?」

シルフィールや家臣一同が止めるのも聞き入れず。
リナは魔竜王が待ち受ける決戦の場所へ船を漕がせるのでした。

人々は己の不甲斐なさを罵りながらも・・尚もリナに対して僅かな希望を抱いたのでした。

そして・・・・・・・・・・・。

暫し、お互いの決戦の様子が遠巻きながらも聞こえてきました。
やがて。


「ラグナ・ブレーーード!!!!!!!!!!!!!」


ずしゃあああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!

リナが勝利した事は疑いの無い事実でした。

「このリナ・ド・インバースが勝利をしたわよ!実際にガーヴの脳天にはアタシが放ったこの「ラグナ・ブレード」の欠片が残されているわ!
さっさとガーヴを連れて、国に帰ることね!!」
高らかに宣言をし、リナは人々の歓声に包まれ・・・そしてフラグーン城への帰路へとつくのでした。

が・・その直後・・・・・・・・・。

「リナさん!!!!!!!!!!!!!??」

肩口から血を流し、リナはシルフィールの腕の中で倒れこんでしまったのでした。

「これは・・この血の色は・・恐らく魔竜王の使った槍に毒が仕込まれていたのだろう!!」

ゼルガディスはそう判断して告げるのでした。
その毒には、シルフィールの献身もゼルガディスの知識も、アメリアの治療も訳には立ちませんでした。

そして・・その頃。


「ニャラニャラ♪ニャラニャラ♪ニャーーラニャラ♪」
黄金の髪の毛をピョコピョコっと震わせて。
一人の青年が楽しそうに歌っていました。
確かにその歌声は人々をひきつけるものがありましたが・・・・・。
今ひとつ、洗練された様子は見受けられません・・・(さもあらん・・ですね)・・・。

「今日はガーヴがサイラーグから帰ってくるな♪」
彼こそはこの国の王子、ガーヴの妹にしてこの国の妃であるダルフィンの息子・・。
「黄金の髪のガウリイ」でした。

彼の野性の直感にかかればどんな傷でも簡単に癒す薬草を見つけられるという特殊な能力をもち。
もしも叔父に怪我でもあればまた薬になる草を持ってきてあげよう。

何はさて置き、お土産のニャラニャラは楽しみだなーー♪
そんな事を考えながらガウリイが歌っていたその時でした。

「ガウリイ様!大変です!ガーヴ殿が!サイラーグの騎士に倒されてしまいました!!」
不意に家臣のであるミリーナが何時に無い慌てた様子でガウリイに捲くし立てる。

「な・・なんだって!!それじゃ・・・それじゃ・・・」

「ああ。名は・・・リナ・ド・インバースとか言いやがったかな?まだ年端もいかないガキだったそうだ!」
今度は別の家臣ルークが告げます。

「・・・そ・・それじゃ!!お土産は!!ニャラニャラは〜〜〜!!?オレの大好きなお菓子はあああ!!??」

「阿呆かああああ!!!ンなモンあっかーーーー!兎に角、俺たちは忙しいんだ!てめぇには付き合っていられるか!!」

バタンっと吐き棄てながらルークはミリーナを伴い去っていきます。

「お土産・・楽しみにしてた・・・・叔父のお土産・・・・・!
うおおおおおおおおおーーーーーーーー!許さないぞ!リナ・ド・インバース!!!!!!!!」

かくして。
この「黄金の髪のガウリイ」は激しく「リナ・ド・インバース」を憎むのでした。

そして、その頃。
「お願い・・アタシをドレス姿で海に流してくれないかしら・・?出来れば・・竪琴ももたせて欲しいの・・」
もしかしたら。
誰かアタシを治せる人物に出会えるかもしれない。

かすかな希望を抱き、リナは海に自分自身を小船に乗せて流して欲しいと訴えるのでした、

やがて・・・それは波に揺られ・・・・・・・・・・・。

瀕死の中、リナは美しい竪琴を奏でながらエルメキアの海岸へと流れついたのでした。

「怪我人だ!!深手を負った若い娘だ!!!!」
「早く・・ガウリイ殿にお見せすれば助かるかもしれないぞ!!!!」

ガーヴを倒した「リナ・ド・インバース」。
その名はエルメキア中に知れ渡っていましたが・・・。

あくまでソレは「凛々しい姿の年端の行かない少年騎士」としての姿であり。

今の深紅のドレスをまとったリナを誰がそうであったと気づいたでしょうか?

「何て酷いことをするヤツがいるんだ!!!」
リナの傷を見るに至り。明らかに怒りの顔を見せるガウリイ。
元々本来は慈悲深い人物なのです。

「アタシは旅の楽師で、船でセイルーンへ行こうとしていたんだけど・・。海賊に出会って・・・
咄嗟に逃げてここに辿り着いたのよ・・・・」

ガウリイによって探し出された薬草で回復したリナは、自身が敵地に居ることを悟りそうとだけ答え。

傷が治ると同時にそっとその土地を逃げ出したのでした。


ガウリイに忘れ得ない印象をのこしたそのままに・・・・。



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35073Going under 2CANARU URL2010/4/1 11:53:28
記事番号35072へのコメント

さてさて。
小国でありががらもこのサイラーグは豊かな国でありました。
無論、独身の女王であるシルフィールの婚姻問題に関しては。

内の貴族との婚姻をすれば一つの門下が莫大な権力を握ることとなり・・。

かといって外国との政略を望めばこの国が併合されることとなりかねません。

「ならば私は・・・」

生涯独身を通し、最愛の従姉妹であり・・・。
このサイラーグの恩人である若年のリナ・・そして後々生まれるであろうその子孫へ。
王権を継承させることを彼女は真剣に思い始めたのでした。

しかし・・・。
それを良しとはしない、リナを憎む4人の貴族達が王宮で権力を握っているのでした。

一人は「ヘルマスター」の異名を持つフィブリゾ。

もう一人は(これこそ運の悪いことに)リナ同様、シルフィールの従兄弟にあたる神官ゼロス。
その証拠に、彼はシルフィールとよく似た黒髪を持っているではありませんか。

乱暴ものとして有名な将軍ズーマ。

そして・・愚か者で有名なヌンサでした。

彼らはこのままシルフィールが領土をリナ、ひいてはその子孫に譲るようなことがあってはならない。
そう強行に主張し。万が一主君が進言を受け入れなければ領地に引き上げ、叛乱を起こす構えとシルフィールに詰め寄りました。

が・・・リナとてありもしない野心を疑われるのは心苦しいこと。
「是非ともご結婚を考えてください!シルフィール」
さしもの最愛の従姉妹であるリナを窮地に陥れるつもりはシルフィールにはありません。

「わかりました。ただし・・私の要望を2つだけお聞き入れくださいますか?」
口では「結婚する」と言いながらも釈然としない気持ちの彼女は「バーレスク(茶番劇)」の形だけ・・。

そんなつもりで進言を受け入れる素振りをし、条件を2つ出しました。

ひとつめは。
「『かりそめ』の結婚の『後(のち)』、私の夫となる方がどのような野心を抱くとも限りません。
『この国のため』・・・1年間の『婚約期間』を設ける『白紙の結婚』であること」

この提案にはしてやられたと諸侯も顔をしかめつつも頷くのです。

ふたつめは。
さて・・どうしたものでしょう・・・??
そのときです。不意に海軍のかき鳴らしたラッパの音が当たり一面に響き渡りました。
それと同時にです。

驚いた燕が巣の材料に運んだ黄金の髪の毛が部屋に・・シルフィールの目の前に舞い降りてきたのでした。

「私は・・この、黄金の髪の方と結婚を致します」

ただでさえこのような見事な黄金の髪を持った人物など・・・居るはずがありません。
これまた諸侯はしてやられたりっと顔をしかめるのですが。

「分かりました。私がこの髪の人物を必ずつれまえします」

そう答えたのはあろう、リナでした。
そう・・リナには・・・心当たりがある人物があったのです。
自身の名前こそ彼に告げなかったものの。
「黄金の髪のガウリイ」と人々に呼ばれていた王子でした。

「直ちにエルメキアに出発します。つきましては・・・アメリアとゼルガディスの同行をどうかお許しください」

一度言い出したら聞かないリナの性格を熟知するシルフィールは別れを惜しみながらもリナの出発を許可するのでした。



そして、エルメキア。
「えらく寂れているけど?何があったの?」

見事な船から単独で上陸したリナは、数ヶ月前に訪れたこの場所に比べて様子が変わっていることに気づきました。
早速、手近に歩いていた人物を捕まえて話を聞いてみることにしました。

「ほんの数ヶ月前からです。この先の森に、恐ろしいドラゴンが現れるようになったのは!
かの獣は人々を襲い、この街を荒らすために数日に一度は舞い降りてくるのです。さしもの国王様も心を痛め。
この国は元よりも各国にお触れを出しました・・」

「へえ・・それはどんな?」

「ええ・・。『黄金の髪』のかの方を・・ああ・・その美しさゆえに『女装』させ・・・。
『娘』の『ララァ姫』を妻としてドラゴンを退治したものに与える・・っと・・・」

よよよっと崩れ落ちるように通行人は咽び泣きました。

「・・・・ドえらく・・難儀なことしたもんねぇ・・・(汗)ってか、真に受けるヤツいるの?」

「いるんですよ!それがあ!!ええ。もう私たちも・・。かの高貴なる王子が哀れで哀れでもう・・ドラゴン被害以上に悲しんでいるのですよ・・・」

それはまあ・・国民としては泣きたくもなる事でしょう。

ですが、これはかなり丁度いい話かもしれません。
「とりあえず。ドラゴンを倒して・・・」
「女装」していようがしていまいが「黄金の髪の王子」は「王子」です。
彼をサイラーグに連れて帰る大義名分はできました。


リナは通行人に聞いた場所に一人歩みを進めていきました。
見れば・・・・・・・・・・・。

「うわあああああああーーーー!」
一人の大男が逃げ出していくのに遭遇いたしました。
「一寸、貴方。ドラゴンはあっちの方向にいるの?」
カクンと大男は頷き「ララァ姫様ぁぁぁ」などと叫び・・、そしてさっさと逃げ去っていきました。

この男、ララァ姫と称したガウリイ王子に恋慕し、毎日ドラゴン退治にやってくるものの。
その声を遠方から聞いただけでも逃げ出すというボランという臆病者でした。
やがて・・・。



しゃーーーしゃーーしゃあーーーー!!!!
しゃーーーしゃーーー!!!

毒を吐きながらドラゴンが当たり一面を荒らしまわっている姿がめにつきました。

「先手必勝ーーーーー!ドラグスレイブ〜〜〜〜〜〜〜!!!」

ぎゃあああああああああああああああああああああ!!!!!
ドラゴンの断末魔の声が響き渡ります。

並大抵の騎士や魔法使いですら扱えないことのワザ。
アッサリとリナはそれによってドラゴンを倒します。

「さしあたっては・・・」
ドラゴンを倒したという証拠が必要となります。

其処で、リナは先日ガーヴを倒したときに刃こぼれをた愛用の剣「ラグナ・ブレード」を抜き。

チャキっとドラゴンの鋭い爪を切り取るのでした。
さて・・それをもち「ガウリイ王子」を貰い受けに・・・・。

そう彼女が考えたその矢先でした。

キラリと光り輝くものが彼女の視線に入り込みました。
嗚呼・・・なんと言うことでしょう!

「そういえば。ドラゴンって光物を集めるのが大好きな習性があったわねえ・・♪」
多分、このドラゴンの巣は近くにあるはずです!!

「おったから♪お宝♪お宝〜〜〜!」
成功報酬として少しくらいの道草は許されるでしょう。

そう判断し、リナはそそくさとドラゴンの巣を探し、その場をさっていくのでした。
不用意にも地面に愛用の剣、「ラグナ・ブレード」とつきたてたままに・・・。

そしてその頃。
少しは慣れた場所でドラゴンの断末魔を聞いたボランは恐る恐るその場に引き返してきました。
見れば、ドラゴンが倒されているではありませんか!?
そして・・・。

「恐らくコレを倒した人間は・・・」
どこかで息絶えている。勝手にそう判断をし。
そそくさとドラゴンの鱗を切り取り、王宮に持ち帰り。
「ドラゴンを倒し、ララァ姫を貰い受けるのは自分である」と主張を繰り返したのでした。

「冗談じゃねえーーーー!何でオレがあんな臆病者っと・・ってぇ!!それ以前に!男と結婚しなくちゃならないんだあーーー!!!!」

そもそも。ドラゴンなんて(退治することに越したことは無いけど)放っておけば勝手に何処かに行ってしまいます!
なのに。
冗談大好きな父王がガウリイを女装させ「王女をやる」なんぞとたわけたこと言うからこんなことになったのです!
ガウリイ自身の剣術の腕を持ってすればあんなドラゴンなど・・・!
しかし・・・。

「漢字ドリル100冊、計算ドリル200冊、ついでに世界文学全集読み終わるまでお外に出しません!!」
と、いう母王妃・・・ダルフィンの教育方針により。

「・・・お外に出してもらえなかったんだ!!!!」
オマケに国王が一度言い出したたことを撤回するわけには行きません!

「絶対にボランはドラゴンを倒しちゃいないはずだ!ならば・・」
俺自身が倒して・・・・・・・!!!

そんな希望を抱きながらガウリイがドラゴンの巣の附近に歩みを進めて目に付いたものは。

既に黒焦げになり、倒れ付したドラゴンの姿でした。
真坂。あのボランが?いいや・・これは世に言う「魔法」の形跡だ!

不審に思いふと辺りを見回すと、黒い刃こぼれした剣が目に留まりました。
鋭いものではありましたが、大きさからして女性用のものに思われました。
しかし・・・この刃こぼれ・・。
「まさか!!!!!」

ガーヴの頭蓋骨に深々と突き刺さっていたあの刃の欠片とピタリと一致する形状です!
加えてあの猛者であった叔父を倒したという「リナ・ド・インバース」ほどの力量であれば。

ドラゴンを倒すなど、容易いことは容易に想像がつくのでした。



「おったからーー♪おったかーーら♪おったかーーら♪」
嬉しそうにドラゴンのかき集めた光物を袋に詰めている少女の姿が目に入りました。
この国には珍しい・・・・そして見覚えのある栗色の髪。
今にして思えば、あの時彼女が負った傷も・・ガーヴが好んで使用してた特殊な「経皮」で吸収されることにより
独特な効力を発揮する毒によりものだったのでしょう。

「リナ・ド・インバースか!!!!叔父の敵だ!!!!」
リナめがけて剣を振り上げようとしるガウリイに対して、その殺気に先程から気づいていたリナでしたが・・。

「成る程、貴方にはその権利はあるわね。私は怨まれて当然よね?」

一度は成り行きとはいえ傷ついた自分を助けてくれた人物です。
堪忍したように言う彼女に対してガウリイは。

「ああ・そうだ!!楽しみにしていたお土産!!!ニャラニャラ・パイに、フラグーン城饅頭!!
オマケにゼフィーリア名物ワインも買って来てくれるっていってたのに!楽しみにしてたのに!!怨むぞ〜〜〜!!」
エグっと涙ぐみながら言うガウリイに。

「・・・道中食おうと思ってもってきたニャラニャラ・パイVSO(限定品)に・・・。
フラグーン饅頭・・滅多にお目にかかれない白餡バージョン・・・・。船に戻ればいっぱいあるんだけど?
ゼフィーリアに頼めばワインなんていくらでも送ってくれるんだけど・・・・・・???」

サっとポケットからリナが取り出したこれまた限定「フラグーン・クッキー」を目にするに至り。

パタパタパタパタパタ・・・・パタパタパタ・・・♪

ガウリイの(見えない)尻尾がゆらゆらと軽快に揺れました。
そして・・それは、2人の仲直りの印となるのでした。


かくして。
「いかなる罪を犯していても、ドラゴンを本当に倒した人物を許して欲しい」
という事前になされたガウリイの要望をエルメキア皇帝は聞き入れて。

リナを「客人」としてエルメキアの宮殿に招き入れるにいたりました。

そしてエルメキアの貴族もリナ自身、彼女に同行したゼルガディスとアメリアの気品に魅了されて。

「大体、ガーヴみたいなオッサンよりも」

「若い少女のほうがよっぽどもいーーよな」

と、宮廷の人々も完全に納得してくれたのでした。(まあ、そんなモンでしょう)。

「では、ガウリイ王子を貰い受けて、是非とも我が君主。シルフィール様の下へお連れさせていただきたいと思います。
かつてはいがみ合った両国にも・・これで平和が訪れるものと存じます」

「・・・・えええ・・・!オレ・・・・・・・」
リナと結婚するんじゃないのか?
さしものガウリイも、歓喜する民衆をよそに愕然とした事実をつきつけられるのでした。


その日の夜。
王妃ダルフィンは森にいたり、様々な仙薬、ハーブ、不思議な効力を持つ木の実を摘んできました。
そして・・・・。
ぐつぐつとソレを煮込み、瓶に詰めて。

「私の見たところ。ガウリイはシルフィール女王にではなく。あのシュヴァリエ(騎士)・リナ・ド・インバースに恋をしています。
このままではあまりにも不憫な事となるはずです。この秘密の薬サイラーグに到着し次第、をシルフィール女王とガウリイに飲ませなさい」

「これは一体?」
怪訝に思いながら尋ねるルークに。

「2人が決して離れることが出来ないくらいに惹かれあう・・秘薬です」

そして。
ガウリイはルーク、そしてミリーナを伴ってサイラーグへと向かう船上の人となったのでした。


その後。

「ガウリイの様子はどうなの?」
何が不満なのでしょう?ガウリイはあの日以来、船室に篭ってちっとも出てきません。

「ええ・・相変わらずです・・・」
困ったようにリナに伝えるアメリア。

「ったく!!船に引き篭もって・・・アタシが買い込んだ菓子をヤケ食いするヒッキー生活・・これで
1週間目よ!」

「しかし・・。アレだけ馬鹿食いしてよく太らないものだ。人体の不思議を感じるぞ・・・」
はあ・・っと此方も溜息をつきながらゼルガディスが続けます。

「何はともあれ。もうすぐ陸地に上がって休憩する予定だし。その間アタシは彼と話をしてみるわ」
少なくとも。シルフィールほど美しい女性はリナが知る限りいないというのに!
そうこうしている間にも船は陸地に辿り着き・・・・・。


「ミリーナ♪ミリーナ♪」

「・・・・・・・・・・・・・・・・知りません・・・・・・・・・」

ミリーナを追い掛け回し、王妃から渡された小瓶を不注意にも置き忘れ陸地にルークは上がります。


「・・・なんだよ・・リナのヤツ。エルメキアからオレを貰った途端、棄てるなんてさ・・」
女々しいとは分かっていますが。
やっぱりガウリイとしては釈然としない思いに駆られていました。
嗚呼、自分を運ぶ船よ!!海よ!呪われてしまうがいい!!!!!

ふと、渇きを覚え船室の端に視線を移せば其処には葡萄酒の小瓶がありました。

大き目の杯に、昼間からなみなみと注ぎ・・・。

グイっと半分ほど飲み干したたその刹那!!!!!


「一寸!何昼間から飲んだくれてるのよ!!!」
彼の心をかき乱す、件のリナが現れたのでした。
必然、憎しみの視線でリナを睨みつけるガウリイ。

「何よ!その目・・・・。ああ。頭にくるわね!こんなモン!!!」
その手から杯を引ったくり、グビっとリナも飲み干したその瞬間でした!!!


「ああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!
て・・・・・てめぇらーーーーーーー!!!!!!!!!
なんつーーーーーーーー事してくれやがったんだあああああああああああああああああ!!
おい、それ!一回飲んだら死んでも相手に恋焦がれるっていう恐ろしい秘薬だぞ!
何度オレだってかっぱらってミリーナと半分ずつ飲んでって・・・・いや!!!!
兎に角!お前らが飲んだのは死だぁぁぁぁぁぁ!!死ぃぃーーーーーーーーー!!!」


己の管理ミスを棚に上げてなにやら勝手なことを絶叫するルーク!!!!

「飛躍だか非役だか、詩だか詩だかしらないけど!!!!!!
アンタのご主人様!少なくともシルフィールの前では無礼な態度を取らないようにして欲しいわね!!」
ルークの話を聞いているのかいないのか。

ドンっと杯を置いてさっさと船室から甲板にリナは去っていきました。
だ・・・肝心のガウリイはといえば。

「おい・・ルーク!それは本当か・・・!!!!」
「ああ・・お前の母上である薬草の使い手たる王妃がいってたんだから間違いは無い」

っと、言うことは。
「ナンだ〜〜。リナもオレのこと好きになったって事なんだな〜〜♪」
「いや・・そーゆー問題じゃねえ・・って・・・!あああ〜〜!もう!大いなる死も、大いなる愛も大歓迎だぁぁぁ!」
それはルークの言う台詞ではないのですが。


そして、彼らは知りませんでした・・・・。

成る程、確かに「経皮」(皮膚から体内に浸透する)ガーヴの使った特殊な毒には耐性の無かったリナですが。
今回の「経口」(口から体内に浸透する)の一般的には効果てき面ながら有る程度オーソドックスな「秘薬」の毒(?)成分に関しては。

姉であるルナから散々「体性」をつけられた経緯もあり。

リナにはまったく効力がなったという・・・その恐るべき事実を・・・。


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35074お久しぶりです!P.I 2010/4/1 23:52:53
記事番号35073へのコメント

CANARUさん、こんばんは!
こちらではお久しぶりです〜(^0^)

ガウリナでトリスタンとイズー・・・、あまりシリアスにはなりよーがない気がしますね(^^;)
さて、ろくな従兄弟がいないシルフィールも、女装させられてドラゴン退治の賞品にされたガウさんも、どっちも哀れすぎて笑えますが(マテ)、一番面白哀しいのはやはり頭にラグナ・ブレードの刺さったガーヴさんでしょうか。想像すると痛そうなのに・・・(大笑)しかも人望ないし・・・(爆笑!)
惚れ薬の全く効かなかったリナちんと惚れ薬で余計にヒートアップしたガウさん、サイラーグに着いたら一体どんな騒動を起こすんでしょうね?続きを楽しみにお待ちしていますよ〜!

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35075ありがとうございます〜〜!CANARU URL2010/4/2 00:44:14
記事番号35074へのコメント

早速の感想、ありがとうございます〜〜!
人望ないガーヴ(笑)
社会的にも「若い女の子の方が所詮人望ある」という私の学んだ事実から結局こんな形になってしまいました(苦笑)
頭にラグナ・ブレード・・・。
伝説以上に痛そうですね!!(苦笑)

次回、ますまるリナちゃんはガウリイに振り回され&絶叫する予定です〜!
伝説も読み進めていきますね!

ありがとうございました〜!

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35077Going under 3CANARU URL2010/4/3 23:27:02
記事番号35072へのコメント

サイラーグに上陸を果たしたガウリイを一目見るなりに。
シルフィールは喜び勇んで「婚約」を決意したのでした。

無論、彼女とて気がつかないわけは無かったのです。
後々、そのことがサイラーグ4悪人に利用されることとなってしまうのですが・・。
その話はすぐにに語ることとして。

「リナ!あれはナンなんだ?」
「フラグーン城よ。勇者であったあたしの父親が・・。シルフィールの父上の妹だった
あたしの母親を娶ったところ」

「で・・これは?」
「あら。目が高いわね。アタシの父親の彫像よ。この町に現れた敵軍が連れていた・・。
『ザナッファー』という獣をアタシの受け継いだ『ラグナ・ブレード』で倒したときの姿よ」

「へえ・・じゃ、リナは俺の国のドラゴンをやっつけたし。同じだな〜〜♪」
「・・アンタだってやろうと思えば倒せたんでしょう?それに・・。アタシの父ちゃんと母ちゃんと
姉ちゃんはゼフィーリアのド・インバースよ。あたしはあくまで・・シルフィールの家臣なんだから!」

小突くように話しかけてくるガウリイをシルフィールの方向にリナは顔を向けさせました。
それなりに(事前にリナに言い含められていることもあり)彼女には礼儀正しく振舞うものの。
明らかにリナに対する態度のそれとは違います。

「よろしいのですか?マダム!」
ここぞとばかりに悪人の一人にし、シフリィールの従兄弟であるゼロスが話しかけてきます。
「リナさんはガウリイ様をこの国へと連れてきた人ですし。偏に私がガウリイ様と出会えたのもリナさんのお陰ですわ。
2人が親しいのは当然の事でしょう?」

シルフィールは後々までに2人に・・自分の心を僅かに殺しながらも斯様な寛大さを示すのです。
心無い作家はこう書き立てました。

「シュヴァリエ・リナ・ド・インバースと黄金の髪のガウリイが飲み干した杯。
処罰を恐れたルークがこっそりとその残りを小瓶からかき集め。
シルフィール女王に飲み干させた。従い、彼らの間には奇妙な親愛が芽生えたのだ」と。
しかし、シルフィールの真心は・・・。

リナに対する真の愛情からよるものなのでした。

「何となく、きな臭い感じがしますね・・・」
こそこそと話し合いをしている4悪人をクイと顎で指し示しながらミリーナが呟きました。
「ええ・・右からシルフィールさまの従兄弟でもあるゼロスさん。リナさんとは血は繋がってはいませんが・・。
そして・・・その隣が愚か者で有名なヌンサさん・・・」

アメリアがこそこそっと説明する言葉の間に。

「えらく美味そうなヤツじゃないか・・・???」
このルークの言葉も後々、この悪人に対して現実のものとして降りかかることとなるのでした。

「そして。その隣がズーマ、最後の一番左がフィブリゾだ」
アメリアに続き、ゼルガディスが説明をします。

「私たちは。あの人たちからガウリイ王子を。そしてリナさんを守らなければならないでしょうね・・」

「ええーー・・出来ればオレは係わり合いにはなりたく・・・」

「貴方の不始末です!ルーク!」
「えぐぐぐぐぐ・・みりーなーーーーー!死だ〜〜!やっぱり連中が飲んだのは死だー!!!
呪われろ!やつらが薬を飲んだ日を〜〜〜〜〜〜〜!!」
「・・・貴方が生まれた日こそ呪ってください。ルーク」

ミリーナの言葉にルークはただただ、哀しみの涙を流すのでした。


さて。(リナにそのつもりはまったく皆無だとしても)4悪人達はといえば。
「明らかにあのリナ・ド・インバースと女王の夫となる予定のガウリイの関係には怪しい物がある!」
と。
2人を貶めるべく、その決定的な証拠を掴み取る作戦に出るのでした。
そこで、フィブリゾが口を開きました。
「僕の知っている人物にあやしい妖術を操る『レゾ』という人物が居る」
かの人物ならば。
星の動きを読み、魔術を操り、リナとガウリイを放逐させる徹底的な証を得る手助けをしてくれることでしょう。

早速4悪人は大喜びでレゾを彼らの集まる屋敷に呼び寄せるのでした。
やがてレゾはなにやら金星とオリオンの星の運行を算出し・・・・・。
水面に映し出された残像を眺めながら4人に告げたのでした。

「今宵、丑の刻。リナ・ド・インバースとガウリイ王子が。フラグーン城の中庭で・・・・。
密会を果たす場面が見受けられます」

これぞ徹底的な証拠にほかならぬ!
4悪人は喜び勇んでその事実をシルフィール女王に密告をし・・・。
気乗りしない女王を中庭の一目のつかない場所に強引に連れ出して彼らを待ち受けるように告げたのでした。


「・・・・・・・・・起きているヤツは居ないわね・・・」
夜半。
リナの詰める部屋は女王の寝室のすぐ近くにあり、必然警護に当る騎士も近隣の部屋に大勢詰めては降ります。
だが・・今日は運良く全員が寝入っている様子です。
それもそのはず。

アメリアの姉にして・・・セイルーンの隣国、ルヴィナガルドの第1王子に嫁いだグレイシアがアメリアに会いに北という名目でこの城に訪れたのです。
リナの立場は「シュヴァリエ」(騎士)であり、アメリアの姉君と話す機会には恵まれませんでしたが・・・。

「あの4悪人が私を陥れるため。シルフィールに迷惑を掛けることがあるならば・・・」
かの大女王の嫁ぐルヴィナガルドに仕官してみるのも良いかもしれません。

何はともあれ・・・いまはそれどころでは有りません。
ただただ・・・情熱に駆られるままにリナは中庭に向かいます!!

そう・・そこには・・・・・・!!!!!!


「・・・・・・・・・・・・・・・・どうしても・・・どうしても・・・・・」

そう・・そこには・・・どうしても・・情熱が求めるままに向かわなければなりません!!!


バタンと扉を開け放ち、中庭に至ったリナは真っ先にそこへと走っていきました!


「果物〜〜〜おおーーーーーーーー!!お腹すいて眠れなかったじゃないのよおおお〜〜〜!」
そうなのです・・・・。

「グレイシア様をお迎えする御席」にあり・・・。

「マナーマナーで!いつもみたいに・・・」
「いっぱいご飯食べるなんて出来なかったもんなあ・・・・・」

この季節。たわわに実った美味しい果実が中庭にはたっくさんあります!
恐らくガウリイも目的は同じだったのでしょう!

「リナ〜〜♪この桃、美味しいぞ〜〜」
「こっちの梨だって美味しいわよ、ガウリイ。ラ・フランスもなかなかいけるわねえ〜〜♪」

と、偶然同じ目的で出会ったリナとガウリイはむさぼるように中庭の果物を食べ荒らしました。
そして・・・・。
その姿をそっと見つめるシルフィールは安心したかのように微笑みました。
「リナさん。ガウリイ様・・。明日の朝ごはんはたっくさん用意するように伝えておきますわね♪」
つい先程。グレイシアにも食事の量が少なかったと抗議を受けたばかりということもありますが。

何よりも本当に楽しそうに笑いながら・・まるで邪心など無い2人をどうして罰することが出来るでしょう?

「・・・まったく・・・」
年上のクセに。「弟」がいたらこんなカンジなのかしらね?
果物を頬張るガウリイを見ながらリナは現段階ではそんな優しい愛情を感じてただただ苦笑するのでした。
そして・・・。
それと同時にある決心を固めたのでした。


そしてその頃。
レゾの星読みによって悪人達は己の企みが見事に失敗したことを知ったのでした。
だが、そんな事で彼らは諦めるようなことはありませんでした。


「どうかアタシを、ルヴィナガルドのグレイシア大女王にお仕えする事をお許しいただけないでしょうか?」
翌日の朝。
たっぷりと出された朝食を頬張った後、リナはシルフィール女王に直接のお願いをしにあがりました。

「それは・・何故ですの?リナさん・・・!」
「私自身の見聞を広げるためにです。どうぞお許しください!」
クイっとリナはシルフィールにだけ分かるように『悪人たち』の方向に視線を走らせるのでした。
そうです。
昨日リナは隠れていたシルフィールを・・そして・・・。
影でコソコソと何かを企んでいた悪人達の気配にも(ルナの特訓によって)気がついていたのでした。
そして何よりも・・・。
まるで「弟」のように思っているにせよ・・・・。
(所詮「姉」では・・「弟」に最終的に愛情だけで幸せは与えられるものじゃないものね・・)
少しだけ寂しい思いを抱きながら・・視線には出さずその場に居るガウリイのことを思い描くのでした。

「分かりました。どうかリナさん。蔵に入って好きなだけの品をお持ちください。けれども・・・。
このサイラーグと私自身の身が。危機に瀕したときは戻ってきてくださると約束してくださいますか?」
すがりつくようなシルフィールの視線に。
「お約束いたします。近日中には発たせていただきますが・・。貴方のことはわが身に変えてもお守りいたします」

無論その言葉が。
永久的にリナを追放したい悪人どもが何かを仕掛けてくることは明らかだとしても。

「・・・・なんだよ・・・リナのヤツ!」
唯一人、やはりガウリイは釈然としない思いでシルフィールに頭をたれるリナを眺めていました。
・・・今日はオレは狩に出かけて・・・。
思いも寄らない手傷を負って血を流しているというのに・・・・・!
それを、自分で何とかできるでしょう?さもなけれシルフィールに治してもらいなさい。
そんな冷たい言葉で済ませてしまうなんて・・・。
けれども考え直してみれば・・・・。

「やっぱり、寂しい思いでお分かれるのだけはイヤだよな・・」
いずれリナは帰ってくるにしても。それだけは辛すぎます。
さて、リナが喜ぶことといえば・・・・・・・・・?????


さて。このとき。
レゾは町のパン屋にいたり、大量の小麦粉を購入するにいたりました。
それを。
ガウリイとリナの部屋の間の廊下に・・夜間には見えなくなることを見越してばら撒くように零していきました。
「今夜でリナ・ド・インバースはサイラーグから旅立ちます。ならば・・ガウリイ王子は彼女の部屋を訪れることでしょう!
その時、ここにその足跡が浮かび出ているはずです!」
かくして・・・・・。

「なんだよ!この小麦粉!ばっちぃなあ〜〜〜!よいっしょっと!!!」
夜目の聞く上、運動神経の抜群なガウリイは自室からリナの部屋に至るまでにばら撒かれた小麦粉をいとも簡単に飛び越えたのですが!

そのときでした。
意地を張って治療しないまま放っておいた、狩りで受けた傷から鮮血がほとぼりだし小麦を赤く染めたのは!

こんこん!!こんこんこん!!!

「はい・・・って!どうしたの?ガウリイ!」
ドアの外に立っているガウリイを無論リナは自室に招き入れるハズがありません。
「いやな・・今日でお前とも当面お別れだろ?だから・・・」

見ればガウリイは大きな風呂敷包みと弓矢を背負っているでは有りませんか?
不審そうな表情で問いかけるリナにガウリイはがさごそっとと大きな風呂敷包みを開け放ち。

「『コレ』を一緒に食おうと思って!今日行った狩で弓矢で射止めてさっきまで焼いてたんだぞ〜〜♪」
「ををををををををを!!性格は兎も角!美味しそうじゃないの!ガウリイ〜〜〜〜♪」

ガウリイが風呂敷包みから取り出したもの!ソレは!!!
「4悪人」の1人(?)、ヌンサの美味しそうに変わり果てた姿のなのでした!!!!

確かにリナはガウリイを自室に招きいれようとせず・・こそれは密会の証拠にはなりませんでしたが。
しかし・・・!

「ああ!ヌンサ殿!道理でこの話を書いているヤツがリナ・ド・インバースがシルフィール様にルヴィナガルドに行かせて欲しいと御前会議で言ったとき!
『悪人たち』としか表記されていなかった訳ですよ!!」
「ガウリイ王子が狩に出かけて帰ってきた時点から姿が見えないとは思ったが!!」
「まさかあんな変わり果てた姿になっていたとはね・・僕達、コレから『3悪人』って訳?」
「だが!!これでガウリイ王子を『ヌンサ殿謀殺罪』・・・強いてはリナ・ド・インバースも同罪として裁きにかけることが出来るではないか!!?」

その動かぬ証拠に彼らの部屋の前の廊下にまかれた小麦粉にはガウリイの血痕が垂れ流されているではありませんか!

ヌンサを食していたリナとガウリイは飛び出してきた『3悪人達』に『ヌンサ謀殺罪』とその共犯者としてその場で取り押さえられることとなってしまったのでした。

こうなってしまっては!
さしものシルフィールにも彼らを助け出す力は残されては居ませんでした。


茨を大量に積み上げた美しい刑場でリナは縛り上げられ・・・。
「共犯者」として火あぶりの刑罰に処される運命をただただ享受するのみ・・・かと思われましたが・・・。

「まあ、やろうと思えば何時でも脱走は出来るけれども・・・」

「力の無い私を許してください!リナさん!!!!」
縋り付いて泣いてくるシルフィールを見ればどうしてもそんな気分にはなれませんでした。

第一、この孤独かつ、辛い地位に立たされた女性には・・・。
「絶対に彼女を支えてくれる存在が・・・必要だモノね・・・・」
それが「弟」のようであるガウリイであると思えば・・・・・。安心は出来ます。
内には3悪人達、外には豊かなサイラーグを狙う国々・・それを守らねばならぬのは賢明ながらも非力な彼女1人なのです。
守って差し上げたい。
そう思うと同時に、それは自分の役割ではなくガウリイであると思うとなぜかリナの胸は軋みを上げました。
自分の無実は脱走することによって自分で勝ち取れますが。
あくまで公衆の面前でガウリイの冤罪を晴らさなければなりません。

このままでは彼はシルフィールを守るどころか、車裂きの刑罰を言い渡されることでしょう!
ならば・・・・。

「アタシ自身の無実も含めて!ガウリイには神聖裁判を受けてもらうことを提案したいわ!!」
ザワリっと裁判官、3悪人を始め。
茨の柱に括りつけられたリナを哀れと思いながら眺めていた群集たちがざわめきました。

神聖裁判とは。

スィーフィードの名にかけて。
無実ならば炎で熱した鉄を手にしても焼けど一つせず、傷つかず・・皮膚が綺麗なままである。
逆に、大罪を犯したのであれば。手は焼け焦げ・・・得も知れない苦痛を味わうという神に裁きを委ねた裁判方法なのでした。


「ならば!!リナ・ド・インバース対する感情。そしてシルフィールさまへの裏切りの感情を含め!!!
ヌンサ謀殺の件についてガウリイ王子に対して神聖裁判を要求する!」
3悪人の1人、ズーマが高らかに要求をするのでした。

「分かった!受けてたつ!証人は其処に居るアメリア王女にその従者であるゼルガディス!必要であるなら彼らの父上ににして君主のフィリオネル殿下の
名前にかけても構わない!・・・・第一!オレはリナが本当に好きなんだ!それの何処がいけないんだ?シルフィールに対しても敬意を持っている!
彼女はこの国を一生懸命守っているし!絶対にそれにはリナは不可欠な人物だ!そして・・・ヌンサに関しては・・・」
はあっ、とここでガウリイは一息ついて・・・・。

「アレに関して言えば・・・。なあ・・ダレが何といおうと・・・『食い物』だろ・・・???」

そっと焼け焦げた鉄を握り締めたガウリイ。
そして・・・・・。

その手には・・一切の傷跡は見受けられず、無実を指し示す美しい皮膚が見受けられるだけなのでした。


やがて、リナは茨の柱から解放されました。


けれども。リナはやはりサイラーグを離れてるヴィナガルドへと向かう決意を固めたのでした。
そして・・そのためには・・・。

「やっぱり軍資金が必要よね!!世話になったシルフィールの蔵からお金を貰っていくもの悪いし!!
と・・ゆーわけで!!!ファイアー・ボール!!フレア・アロー!!ちゅっど〜〜〜〜〜ん!!!」
運良く(?)最近サイラーグに現れた盗賊を撃滅し、お宝を頂戴すべくリナは最後の大暴れをこの国の森でするのでした!

「はあ〜♪おったから〜おったか〜〜ら!ざっくざく!!!今日は色々有って疲れたわね・・・」
さしものリナも今日一日の災難を思い返すに至り、疲労困憊でその場で眠りについてしまいました。

やがて。
リナの放った攻撃呪文を目印に疲れ果てた身体を引きずりながらガウリイもその場に到着しました。
そして・・・。

「まったく・・・本当に行っちまうのかな・・こんなにお宝溜め込んで」
すやすやと眠るリナに苦笑しながらもガウリイ自身不意に疲れを感じて・・・・。

世間一般的にこの思いが駄目だというのなら。そして・・リナ自身を窮地に陥れてしまうとするならば。

ズシャっとリナの腰に帯剣していた「ラグナ・ブレード」を借りて地面にガウリイは突き立てて。
その剣を隔てる形でゴロシっとリナの横に寝転んで高いびきをあげるのでした。

そっと、城を抜け出してその光景を眺めていたシルフィールの心は複雑ながらも和むものでした。
彼女はそっと、リナのラグナ・ブレードを二人の間から抜き取り。
神聖な宝物でもあるかのようにそっと手にとって眺めるのでした。
刃のかけたリナさんの剣。この国を守ってくれた剣。最愛の従姉妹の剣・・・・。

やがて彼女はそっと自分の指輪を抜き取って2人の頭上に置きました。
「欠けた剣では不便なことでしょう・・・」
リナのために。かつて彼女の父にしてこの国の勇者であった人物が所有し・・・。
今ではサイラーグの守り刀となったザナッファーを倒した剣、「ゴルンノヴァ」をそっとリナの傍らにシルフィールは置いてその場を去るのでした。


目を覚ましたリナは傍らにゴルンノヴァが。そして・・頭上にはシルフィールの美しい指輪があることに気がつきました。
そのて、改めて覚悟をするのでした。
「やっぱりシルフィールには貴方が必要なのね・・」
何処となく寂しい思いを引きずりながらもリナは眠るガウリイを残し、「ゴルンノヴァ」とお宝を引きずりながらサイラーグからグレイシア大女王の下に向かっていくのでした。


その頃。グレイシア大女王が嫁いだルヴィナガルドはかつてのサイラーグの敵国、「カタート」の残党に攻め込まれ危機的な状態に陥っておりました。
「おーほほほほほほほ!ふ!きてくれて嬉しいわ!リナ・ド・インバース!!」
ふっと黒い髪を掻き揚げながらグレイシア女王は言い放ちます。

「喜んで嬉しいけど・・。何でカタート残党は貴方の国に攻め込んできたのかしらね・・?ナーガ?」
(それなりに)仲良くなったグレイシア女王に対してリナは愛称で問いかけました。

「おーほほほほほほ!ふ!この私の美しさに嫉妬してに決まっているじゃなくて!!」

「・・・・・そーなの・・・・・????」
「そーーーなの!!!!!」
まあ、このヘンは不問にすると申しまして。

「何はさて置き。私の夫の家族を紹介するわ!此方はお姑さん、でもって、此方が先代の国王!」
隠居をした元国王夫妻をいかにも気軽な感じで紹介するナーガにさしものリナも苦笑します。

「で、これが・・夫の年齢の離れた弟よ?」
ナーガが続いて指し示した人物にリナの目は釘付けになってしまいました。

そんなリナを知ってか知らずか、ナーガはなおも気楽な調子で続けました。

「御覧なさい!この可愛らしい手を!人は彼の事をね・・『白い手のガウリイ』と呼んでいるのよ!」
白い手の・・・ガウリイ!!!?
その名前にリナの心は跳ね上がるような衝撃を覚えました・・・。

それって・・それって!!!!












「きゃあああ〜〜〜〜ん♪可愛い、可愛い♪可愛い〜〜〜〜〜!!!」
ひしっと!!
「白い手のガウリイ」と呼ばれた・・・・・。





そのちっちゃくってぷにぷにした可愛らしい黒髪の小さな男の子を抱きしめてリナは頬擦りしてしまうのでした!

「おーほほほほほほほほ!そうでしょう!そうでしょう!!!」

「こりゃ!「弟みたい」って思った「黄金の髪の」ガウリイより可愛いわあ〜〜〜♪」





やがて。「白い手のガウリイ」は敵国からルヴィナガルドを守りにやってきたリナにとっても懐くようになりました。
あまつさえ「大きくなったらリナと結婚する!」と言い出す始末に周囲のモノは目を細めて噂をしあうようになるのでした。

そして・・・・・。

「リナが・・・・・リナが・・・・・・・・・」
どっかの国のオレと同じ名前の王子と結婚だと!!!!!!!!!!???
詳細を知らないガウリイは届いた噂を耳にして・・ただただ衝撃を受けるだけなのでした・・。

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35078ライバル登場!P.I 2010/4/3 23:55:31
記事番号35077へのコメント

CANARUさん、こんばんは!
またまた読ませていただきました♪

4悪人(マイナス1・笑)の悪巧みは、ことごとくガウリナの食欲の前に敗れ去ってしまいましたね!
哀れヌンサ・・・食いモノ決定!!(爆笑)ガウさんに狩られるとは、彼は一体どこで何してたんだ!?
そしてついに「白い手のガウリイ」登場!思わぬオリキャラライバルにガウリイはどう立ち向かっていくのか?・・・って、相手は子どもですけど(笑)、リナがすごく気に入ってる様子なので相当手強そうですね。がんばれ、ガウリイ!!
続きを楽しみにしています!
CANARUさんも頑張ってください!(^0^)

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35079またまたありがとうございます〜!CANARU URL2010/4/4 10:52:33
記事番号35078へのコメント

またまた早速の感想をありがとうございます〜〜!
ヌンサ・・・・!
気がついたらお約束どおり食われていました(汗)
そして白い手のガウリイ〜〜!!
「黄金の髪のガウリイ」には強敵になりそうな予感が(苦笑)
続きもマイペースにですが頑張って書きたいと思います!
ありがとうございました!