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白と茶と緑の来訪者と黄昏色の十字路 C
kou
2010年7月17日20時34分09秒


「久しぶりだな。シルフィーユ」
「はい。ガウリィ様も、お元気そうで」
「あの……どなたですか」
 ガウリィとシルフィーユの会話にクウが割ってはいる。
「あ、そういえばえっとあなたとそこの女性に、もう一人、神官様は初対面ですね」
『神官?』
 シルフィーユの言葉に全員が怪訝な顔をして
「ああ。ゼロスの事ね」
 と、リナがようやっと気づく。
(そういえば、シルフィーユはゼロスと面識がなかったけ)
「えっと、こっちは……あたしの弟子と名乗っているクウよ。その隣の、白髪のがレビ。で、神官が……」
 リナが言い方に困る。前に、冥王フェブリゾとの戦いでゼロスのことを話した。シルフィーユが目の前の神官がそのゼロスだと知ったら……。
「謎の神官ゼロスと申します」
 人が戸惑っていることに気づかずに、もしくは気づいていておもしろくしようと企んでか……。
「ぜ、ゼロス!」
 ゼロスが名乗ったことによってシルフィーユは顔を肌色から青色へそのまま白へと変化させる。
「ぜ、ゼロスというとあの、冥王の手下として同行していたあのゼロス」
「ああ。あの一軒に関わっていましたね。あなた」
「あの、うさんくさい笑顔コンテスト優勝候補で、チャイナドレスを着たりしてお茶目と思わせ解いて、三日放置しといた生牡蠣よりもろくでもない……」
「リナさん。僕をどういう風に説明したんですか?」
「三日前に放置とした生牡蠣云々はアメリアよ」
「ああ、ひどいです。リナさん。うさんくさい笑顔コンテストの他にも害虫そっくり男コンテストでも優勝できると言っていたじゃないですか!!」
 責任のなすりつけあいの結果出てくる悪口に、机の下でのの字を書くゼロス。
「……わざわざ、ゼロスの悪口を言い合うために来たのか? この人」
 クウがそうつぶやくと、シルフィーユはここに来た目的を思い出したのだろう。
「すみません。話がそれていました。リナさん達がこの街に来ていることを聞いて、実はご相談があったんです」
 と、シルフィーユは語り出した。

 とある賢者が作り出した己のコピーフォムンクルスの暴走。
 それによって、サイラーグは神聖樹フラグーンとシルフィーユ以外を残して住民も待ちも一夜にして消えた。
 そして一年もたたないうちに新たな街が生まれた。
 魔王の腹心の一人、冥王フェブリゾが作り出した死霊都市。
 冥王の邪気によって破壊された神聖樹。
 他にも事件があった土地でまた新たに作られていくサイラーグ復興。
 それに壊滅する前に街を仕切っている形だった司祭の娘として、責任ある立場にシルフィーユはいた。
 異常現象と魔族大量発生事件もなぜかサイラーグ周辺は比較的被害は少なかった。
 その話を聞いたとき、リナは内心納得していた。
 魔族達もいくら何でも、魔王のそばで暴れるのは恐れ多かったのだろう。と……。
 皮肉な話に、リナは苦笑を浮かべていた。
 一朝一夕で最高はされなかったが、長い時をかけてゆっくりと再考して言っていた。
 今は、なんとか街と呼べるまでに整っていた。だが、
「行方不明?」
「そうなんです」
 シルフィーユが切り出した問題に、リナは怪訝な声を上げ続いてクウをちらりとみて、すこし戸惑った顔をする。
「えっと、あと、これは個人的な事なんですが……」
 クウを見て言おうとして口をつぐむ。
「ああ。クウは大丈夫よ。信用がおける」
 リナの言葉を聞いても、まだ多少悩んだが意を決したらしい。
 声を潜め、辺りを見回して
「わたし、見たんです。一週間前に……」
「誰を?」
「……冥王、フェブリゾを……」
 シルフィーユの言葉に全員が絶句した。
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