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◆−ドラスレ! 4−とーる (2010/2/16 22:39:46) No.35036 ┣ドラスレ! 5−とーる (2010/2/16 23:03:38) No.35037 ┣Re:ドラスレ! 4−井上アイ (2010/2/16 23:35:27) No.35038 ┃┗Re:ありがとうございます−とーる (2010/2/17 20:37:27) No.35039 ┣ドラスレ! 6−とーる (2010/2/17 20:56:53) No.35040 ┃┣Re:ドラスレ! 6−kou (2010/2/18 11:01:04) No.35044 ┃┃┗Re:こんにちは−とーる (2010/2/20 13:35:21) No.35047 ┃┗Re:ドラスレ! 6−井上アイ (2010/2/21 21:16:26) No.35048 ┃ ┗Re:こんばんは−とーる (2010/2/24 18:12:15) No.35053 ┗ドラスレ! 7−とーる (2010/2/24 19:15:43) No.35054 ┗Re:ドラスレ! 7−井上アイ (2010/3/13 06:40:18) No.35066 ┗Re:遅くなってすみません!−とーる (2010/4/29 15:58:09) No.35096
35036 | ドラスレ! 4 | とーる URL | 2010/2/16 22:39:46 |
第四話 正直言って、このミイラ男の目的は完全に俺だろう。 指を差しているのは間違いなく俺だし、該当する方向にいる 人間はもう一人いるが、残念だがどう見てもガウリイお嬢ちゃんを 男に見立てることは不可能。 鎧を着込んでたって、美少女ぶりが消えるわけじゃない。 トロルを操っているということは、このミイラ男は魔道士らしい。 「うーん、人違いですよー」 これは関わっても面白いことにはならないだろうと思った俺は、 とっさにサラリと髪をすいて爽やかな笑みを浮かべてみせる。 「俺、ソフィールって言います。きっと貴方たちの探している 人とは……」 「やかましいっ! 名前など知るか、気持ち悪いっ! とにかく お前――六日前、盗賊のアジトからごっそりお宝を荒らして いった奴だ!」 おっと。 「それにアジトで俺に大怪我を負わせたお前のことを、忘れるわけ ないだろうが!」 「あらあらあら……リナ、そんなことしてたの?」 ガウリイお嬢ちゃんが呆れた目で俺を見る。 「ま、それはあとで説明する。今はとりあえずこいつらを……」 俺は肩をすくめながらお嬢ちゃんにそう言い、トロルたちと対峙した。 トロルは頭は人間よりもでかく、パワーもある上に俊敏。 一番やっかいなのはその再生能力で、生半可な傷だとすぐに再生する。 つまり、倒すなら一撃必殺。 とはいえ……派手な攻撃呪文だと店の中はメチャクチャになるし、 関係のない他の客をも巻き込むことになる。 「よーし、分かった。ケリをつけよう、表に出な」 「いやだ!」 「あいやあっ」 ま、まさか断られるとは……。 こいつ、怒ってるわりには案外冷静なのか? 俺が別の手を考えようとすると、ミイラ男は鼻で笑った。 「あの時、奪っていったお宝を全て返すなら、それでよしとするが?」 「冗談じゃない。人のものをタダで持っていこうだなんて あつかましいにもほどがあるぞ、この盗っ人魔道士」 「リナだって盗っ人魔道士じゃない」 「やかましーっ! 俺は悪人からしか盗んないからいいんだよ。 “悪人に人権はない” って言葉もあるんだ」 「……聞いたことないけど」 俺はトロルたちに臨戦態勢を取りながら言う。 いや、この言葉は本当に存在する。 俺の郷里の方では、よく頻繁に使われてる言葉なんだからな。 俺は郷里でそれを聞きながら育ち、旅に出るまでずっと過ごして来た。 きっと郷里に住む皆からにしてみれば、何を当たり前のことを 言ってるんだと口をそろえるだろうに。 「ええい、やれいっ!」 ミイラ男の合図で、トロルと俺は同時に動く。 トロルの武器は鋭い爪とパワー。 あまりそーぞーしたくないが、いくら俺の服が魔道士特有の 護符になってるとしても、まともにくらったら大怪我じゃすまない。 一発ぶん殴られれば、首くらいあっさりへし折れる。 だが、俺は負けるつもりはこれっぽっちもない! 俺はトロルたちの攻撃を軽々と避けつつ、必ず全てのトロルに 一度は手を触れるようにして間を抜けていく。 そうして全てのトロルをタッチし終えた俺は、トロルの間を 一周するようにしてお嬢ちゃんの所へと戻ってきた。 「あら、お帰りなさい」 「ただいま」 さっきまで呆れたような目をしていたガウリイお嬢ちゃんは、 もういつもと同じのほほん状態に戻っていた。 護衛だ何だのと言ってたわりに、何にもせずにじーっと見てるだけ。 まあ、でしゃばられても少しばかり勝手が悪いけどな…… お嬢ちゃんの腕はともかく、見た目は美少女なんだし。 ちなみに、トロルの数は減ってない。 早い話が一匹も倒してない。 「おのれ、小僧! ちょこまかと……」 焦れてきたのか、ミイラ男が苛立った声を上げる。 トロルにいちいち相手してたら、俺が疲れるっての。 「ガウリイお嬢ちゃん! トロルを傷つけることって出来るか? どんな小さいのでもいいから!」 「……ええ、分かったわ」 俺の言葉に目を瞬かせたガウリイお嬢ちゃんは、テーブルに乗ってた おつまみの皿に手を伸ばし、木の実を掴む。 次の瞬間、その手が動いた――ように見えた。 「ぎっ!」 「がうっ!」 この美少女から放たれたとは到底思えないほど、見事なつぶて。 鋭く飛んだ木の実は、トロルたちの固い皮膚を突き破った。 へー、やるじゃん。 NEXT. | |||
35037 | ドラスレ! 5 | とーる URL | 2010/2/16 23:03:38 |
記事番号35036へのコメント 第五話 「面白い技を使うな、小娘。しかし、そんなものでトロルを 倒せるなどと思っ――」 ミイラ男のたわごとは、ふつりと中断される。 ガウリイお嬢ちゃんのつぶてがつけたトロルの小さな傷が、 みるみるうちに大きく広がっていくのを目にしたのだ。 「な……何だ、これは!」 「…………。」 ミイラ男は愕然と、お嬢ちゃんは呆然とその光景を眺める。 傷は留まることを知らず広がった傷跡は、ついにトロルを食い破った。 ……うえっ……。 俺がやったとはいえ、お世辞にも上品とは言えない術だ。 今が夕食前じゃなくて本当に良かった。 残るはミイラ男のみ――なのだが、もはやミイラ男は俺が使った わけのわからん術に恐れて戦意喪失している。 まあ、誰にでも分かるよう簡単に術のタネ明かしをしてみると、 トロルの半端ない再生能力を、回復術である 『リカバリィ』 で 逆転させた俺オリジナルの術だ。 理論上で作り上げただけで、俺自身でも初めて使ってみたんだが…… これはもう使うのを止めようと心に誓う。 さすがに頻繁には使いたくないほど、目と心に毒だ。 術者が夢でうなされそうな術は使っちゃいけない。 「――残念ながら、俺は雑魚に負けるつもりはないな」 俺はダメ押しとして、掌を打ち合わせる。 「そろそろ本気でいくぞ」 「げっ! ファイアー・ボール!」 俺の掌の中で輝く光に、ミイラ男は目を見開く。 悔しそうにしながらも転がるようにして、店から逃げていった。 「……ふう」 「リ、リナ! それどうするの!?」 ガウリイが慌てたように、声をかけてくる。 ぼんやりのほほんとしてるガウリイでも、さすがにポピュラーな 攻撃呪文であるファイアー・ボールの威力ぐらいは知ってるらしい。 俺は思わず、まじまじと手の中のそれを見つめ、おもむろに トロルに向かって放り投げた。 瞬間、光りが眩く弾ける。 「わーっ!」 店にいた全員が叫び、沈黙。 「ファイアー・ボールじゃないぞ」 床にはもうトロルの残骸はない。 「ただの、掃除用の魔法」 そのあと、俺とガウリイお嬢ちゃんは隣町の宿帳に名前を書いた。 本当はあのまま泊まっても俺としては何ら問題はなかったが、 とりあえず用心には用心をかねてさっさと町をあとにしてきた。 まあ、あの町にはあまりいい換金所はなかったから、 移動しても別に構わなかったし。 「――でも、すごい度胸よねえ、リナも」 「――何のことだ?」 ベッドに荷物を置いた俺の横に立ち、お嬢ちゃんが肩をすくめる。 俺はそ知らぬふりをしてとぼけつつ、ショルダー・ガードと マントを外して楽になる。 ……って、待てい。 「おい、ガウリイお嬢ちゃん……何でお前が俺の部屋にいるんだよ」 「あとで事情を説明してくれるって、言ったでしょ?」 「そうだっけ?」 「そうよ」 俺が首を傾げると、ガウリイお嬢ちゃんは頷く。 あー、そういや何も言ってなかった……こっちの町に移動中 とっくに話した気分になってたな。 ま、いいか。 俺もお嬢ちゃんに聞きたいことがあったし。 ちょうど向かいにある椅子に座るよう勧め、俺はベッドに腰掛けた。 俺はじっとガウリイお嬢ちゃんの瞳を見つめる。 「じゃあ、説明してやるよ。……だが、その前にこっちの質問に 答えてもらう」 「いいわ。何?」 「じゃあ聞くが――お前、俺のことどう思う?」 瞬間、お嬢ちゃんは目を見開いて硬直した。 うーむ……こりは面白い……。 面白いがこのまま硬直させておくわけにもいかないか。 「冗談だよ、冗談」 「……悪い冗談はよして、死ぬかと思ったわ」 「どーいう意味だよ……」 そうは言うが、夜も更けた頃にこうして男の部屋に簡単に 居座ってたりすると、本当に冗談じゃすまなくなるぞ? 本当にそこんとこ分かってるのかい、ガウリイお嬢ちゃんよ。 俺は溜息をついてから、お嬢ちゃんにこれまでのいきさつを簡単に話す。 最初は盗賊にやられて困ってた村の人々のため、盗賊を退治し、 アジトからお宝を取り戻したこと。 その時、手数料代わりにほんの少しお宝を頂いたこと。 それをミイラ男たちが未だつけ狙ってるらしいこと。 「そう……最初の “困った人を助けるため” って所はとにかく、 成り行きは分かったわ」 う、そういうとこばっか鋭いな、このお嬢ちゃんは。 「ま、俺がお宝を持ってる限り、あいつらもよっぽどのことがなければ お宝のことは諦めないだろ。居場所も魔法で突き止められるしな。 何か他に質問は――」 俺がそう言いかけた時、誰かがドアをノックした。 NEXT. | |||
35038 | Re:ドラスレ! 4 | 井上アイ | 2010/2/16 23:35:27 |
記事番号35036へのコメント 初めまして!! ガウリイお嬢ちゃんて(爆) 違和感ありまくりなお嬢ちゃんだな、と思いつつ、原作を上手に変換していて、純粋に楽しめるお話でした。 いきなり、4話から見るという暴挙をしてしまいましたので、これから、1話目に行って来ます〜☆ リナは、元々男でもいけそうな程、サバサバしてたので、こちらは違和感なく(笑)寧ろ、何かオイシイv←え…… | |||
35039 | Re:ありがとうございます | とーる URL | 2010/2/17 20:37:27 |
記事番号35038へのコメント どうもこんばんは、井上さん。 こちらこそ初めまして、とーると申します。 本当に違和感ありまくりだと私も思います (笑 ガウリイにリナのことを『お兄さん』と呼び続けさせるのも 何だか無理があったので、思いきってリナの方に『お嬢ちゃん』と 呼び続けてもらうことにしました。 ひっくり返したパロディとはいえ、一応原作の味などはあまり 壊したくないなと思っていたのでそう仰って頂けけて嬉しいです。 良ければ最後までお付き合い下さいませ。 ではでは。 とーる | |||
35040 | ドラスレ! 6 | とーる URL | 2010/2/17 20:56:53 |
記事番号35036へのコメント 第六話 俺とお嬢ちゃんは同時に動く。 俺は荷物をベッドの裏手にさっと隠し、ガウリイお嬢ちゃんは ドアの傍に張り付いてノブに手をかける。 それを確認してから、俺は問う。 「誰だ?」 『――あんたと商売がしたい。あんたの持っているあるものを、 そちらの言い値で引き取ろう』 「……怪しいな」 『ああ、確かにかなり怪しいだろうな。だが、とりあえず今は危害を 加えるつもりはない』 あっさり怪しいことを認めた相手に、俺は呆れる。 「入ったとたん、つもりが変わるってことは?」 『あんたは不可思議な術を使うだろう?』 前の町でトロルを倒した時に使った術のことを言ってるのか、 相手の声には少しばかり刺が含まれていた。 そりゃあ、確かに嫌だろうけどな……仲間があんな攻撃にやられたら。 夢にも出てきそうだし。 「言っとくが……変なマネしようとしたら、ありったけの攻撃呪文 叩きこむからな」 どうやら俺が相手をさっさと追い返すと思ってたらしい ガウリイお嬢ちゃんが、驚いたように俺を見る。 俺は軽くウインク一つして、ベッドに深く座りなおす。 「部屋に入れるつもり?」 「大丈夫さ、頼もしい傭兵がいるからな」 俺が頷いてみせると、ガウリイお嬢ちゃんは一瞬だけためらった様子を 見せたが、ゆっくりとドアを開いた。 部屋に入ってきた男は二人。 ローブを深めに羽織るがっしりとした体つきの中年男と、宿屋に トロルたちを連れて殴りこんできたミイラ男。 ガウリイお嬢ちゃんが後ろ手にドアを閉めると、ミイラ男がびくりと 反応し、中年男は少しだけお嬢ちゃんを見て俺の方へ視線を戻す。 二人はちょうど、部屋の真ん中で立ち止まった。 俺がミイラ男を見たのに気づいたのか、中年男が先に口を開く。 「すまん、こいつはゾルフという。責任感は強いが、先走りも多くてな」 「――まあいいさ。その分、値段に上乗せすればいいし」 言いながら、俺はさりげなく中年男の腰に視線を移す。 どうやら中年男は剣士であるらしく、ローブの下から少しだけ 剣の鞘がはみ出しすのがちらちらと見えている。 きっとお嬢ちゃんも、そのことには気がついてるだろう。 「……ふむ。では先に手に入れた品物それぞれに値段をつけてくれ。 欲しいものを言い値で引き取る」 「へえ、なるほどな」 つまり、向こうが手に入れたい品物はこの時点では明かさない。 欲しがっている品物を知った俺が、金額をふっかけたり、 好奇心で手離さないことを考えてるわけだ。 見た目や雰囲気からしてあの盗賊の仲間ってわけじゃなさそうだが、 ちゃんと考えてるもんだ。 「さっそく商談に入るか――まず、ナイフが……」 俺が次々と品物に値段をつけていくと、部屋の中の緊張感が薄れた。 中年男が大きく目を見開き、ゾルフが引きつった顔で後ずさり、 ガウリイお嬢ちゃんはあんぐりと口を開く。 ……たかだか相場の百倍だったり、城がまるごと買えるぐらいの 値段やそこらがつくことぐらい、ちょっとは予想しとけよ。 いや……無理か……? ははは。 俺が中年男を見据えると、中年男は大きく溜息をついた。 「……交渉決裂ということか……。こちらに手を貸せば、一年、いや、 半年ほどでその値の三倍を支払うと言ったとしても、その様子では 受け入れないだろうな? 若いの」 「残念だな」 今言った金額が、半年で三倍になって返ってくるなんて信じられない。 それがもしも本当だったとしても、俺たちに支払われるのは ヤバイ報酬であることは間違いないだろうからな。 「……やはり、力ずくか」 戦闘態勢に入る二人に、ガウリイお嬢ちゃんが俺を睨んでくる。 あー、はいはいごめんなさいよ、簡単に部屋に入れて。 とはいっても、トロルのようなうざい手下もなく、この二人だけが 相手なら俺はそれほど心配もしてないんだけどな。 ベッドから俺も立ち上がると、ゾルフが少しだけたじろいだ。 「ちなみに俺は手加減知らずだからな、おっさん」 「……ふっ……ロディマスだ」 堂々と胸を張って公言してやった俺に向かってニヤリと笑い、 中年男は律儀にも名前を名乗ってから剣を構える。 ドアの前に立ちふさがってるガウリイお嬢ちゃんに向けて、 ゾルフもゆっくりと手を構えた。 ガラン、と中年男が抜き放った鞘が床に落ちる音とともに、 部屋の全員が動きだす。 俺は間合いを取りながら、じわりじわりとつめ寄ってくる中年男を 視線で威圧しながら、口の中で呪文を唱えた。 そして、すぐさま――。 「――お待ちなさい、悪の手先よ! そこまでにするのです!!」 NEXT. | |||
35044 | Re:ドラスレ! 6 | kou | 2010/2/18 11:01:04 |
記事番号35040へのコメント どうも、とーるさん。kouです。 >俺とお嬢ちゃんは同時に動く。 >俺は荷物をベッドの裏手にさっと隠し、ガウリイお嬢ちゃんは >ドアの傍に張り付いてノブに手をかける。 >それを確認してから、俺は問う。 > > >「誰だ?」 > >『――あんたと商売がしたい。あんたの持っているあるものを、 > そちらの言い値で引き取ろう』 > >「……怪しいな」 > >『ああ、確かにかなり怪しいだろうな。だが、とりあえず今は危害を > 加えるつもりはない』 > > >あっさり怪しいことを認めた相手に、俺は呆れる。 > > >「入ったとたん、つもりが変わるってことは?」 > >『あんたは不可思議な術を使うだろう?』 > > >前の町でトロルを倒した時に使った術のことを言ってるのか、 >相手の声には少しばかり刺が含まれていた。 >そりゃあ、確かに嫌だろうけどな……仲間があんな攻撃にやられたら。 >夢にも出てきそうだし。 ま、そりゃいい印象は抱かないよな。 > >「言っとくが……変なマネしようとしたら、ありったけの攻撃呪文 > 叩きこむからな」 > > >どうやら俺が相手をさっさと追い返すと思ってたらしい >ガウリイお嬢ちゃんが、驚いたように俺を見る。 >俺は軽くウインク一つして、ベッドに深く座りなおす。 > > >「部屋に入れるつもり?」 > >「大丈夫さ、頼もしい傭兵がいるからな」 ま、実力は頼もしいけれど……。 脳みそはあんまり頼もしくないだろうね。 >俺が頷いてみせると、ガウリイお嬢ちゃんは一瞬だけためらった様子を >見せたが、ゆっくりとドアを開いた。 >部屋に入ってきた男は二人。 >ローブを深めに羽織るがっしりとした体つきの中年男と、宿屋に >トロルたちを連れて殴りこんできたミイラ男。 あんれ? ゼルじゃないのか? この設定なら、ゼルは女性のはずだし……まず、中年じゃない。 >ガウリイお嬢ちゃんが後ろ手にドアを閉めると、ミイラ男がびくりと >反応し、中年男は少しだけお嬢ちゃんを見て俺の方へ視線を戻す。 >二人はちょうど、部屋の真ん中で立ち止まった。 >俺がミイラ男を見たのに気づいたのか、中年男が先に口を開く。 > > >「すまん、こいつはゾルフという。責任感は強いが、先走りも多くてな」 > >「――まあいいさ。その分、値段に上乗せすればいいし」 > > >言いながら、俺はさりげなく中年男の腰に視線を移す。 >どうやら中年男は剣士であるらしく、ローブの下から少しだけ >剣の鞘がはみ出しすのがちらちらと見えている。 >きっとお嬢ちゃんも、そのことには気がついてるだろう。 > > >「……ふむ。では先に手に入れた品物それぞれに値段をつけてくれ。 > 欲しいものを言い値で引き取る」 > >「へえ、なるほどな」 > > >つまり、向こうが手に入れたい品物はこの時点では明かさない。 >欲しがっている品物を知った俺が、金額をふっかけたり、 >好奇心で手離さないことを考えてるわけだ。 >見た目や雰囲気からしてあの盗賊の仲間ってわけじゃなさそうだが、 >ちゃんと考えてるもんだ。 ただし、リナのがめつさは計算外だっただろうな……。 > >「さっそく商談に入るか――まず、ナイフが……」 > > >俺が次々と品物に値段をつけていくと、部屋の中の緊張感が薄れた。 >中年男が大きく目を見開き、ゾルフが引きつった顔で後ずさり、 >ガウリイお嬢ちゃんはあんぐりと口を開く。 > >……たかだか相場の百倍だったり、城がまるごと買えるぐらいの >値段やそこらがつくことぐらい、ちょっとは予想しとけよ。 >いや……無理か……? >ははは。 笑うなよ……。 >俺が中年男を見据えると、中年男は大きく溜息をついた。 >「……交渉決裂ということか……。こちらに手を貸せば、一年、いや、 > 半年ほどでその値の三倍を支払うと言ったとしても、その様子では > 受け入れないだろうな? 若いの」 確かに…… >「残念だな」 > > >今言った金額が、半年で三倍になって返ってくるなんて信じられない。 >それがもしも本当だったとしても、俺たちに支払われるのは >ヤバイ報酬であることは間違いないだろうからな。 たしかに、受け取った金が実はどっかの誰かを殺して手にした品をうっぱらった物とか…… > >「……やはり、力ずくか」 >戦闘態勢に入る二人に、ガウリイお嬢ちゃんが俺を睨んでくる。 >あー、はいはいごめんなさいよ、簡単に部屋に入れて。 >とはいっても、トロルのようなうざい手下もなく、この二人だけが >相手なら俺はそれほど心配もしてないんだけどな。 >ベッドから俺も立ち上がると、ゾルフが少しだけたじろいだ。 おー。びびっているびびっている。 > >「ちなみに俺は手加減知らずだからな、おっさん」 > >「……ふっ……ロディマスだ」 > > >堂々と胸を張って公言してやった俺に向かってニヤリと笑い、 >中年男は律儀にも名前を名乗ってから剣を構える。 >ドアの前に立ちふさがってるガウリイお嬢ちゃんに向けて、 >ゾルフもゆっくりと手を構えた。 > >ガラン、と中年男が抜き放った鞘が床に落ちる音とともに、 >部屋の全員が動きだす。 > >俺は間合いを取りながら、じわりじわりとつめ寄ってくる中年男を >視線で威圧しながら、口の中で呪文を唱えた。 >そして、すぐさま――。 > > > > > >「――お待ちなさい、悪の手先よ! そこまでにするのです!!」 アメリアか! お前は! >NEXT. つか、あれ、ゼルは? たぶん、美女の分類に入るけどキメラだと思うゼルは? 楽しみにしていたのに……。早くゼルが出ることを期待しています。 以上、kouでした | |||
35047 | Re:こんにちは | とーる URL | 2010/2/20 13:35:21 |
記事番号35044へのコメント どうもこんにちは、 kou さん。 コメントありがとうございます! >つか、あれ、ゼルは? >たぶん、美女の分類に入るけどキメラだと思うゼルは? >楽しみにしていたのに……。早くゼルが出ることを期待しています。 キメラさんの前に正義おたくですみません (苦笑 正義おたくは、最初からこの話に出すことを決めていました。 ですがプロットを製作中に、のちのちの展開のためにも 正義おたくを先に出してしまおうと思い直しまして、結果的に キメラさんの登場はもう少しあとになります。 お待ち下さいませませ。 ではでは。 とーる | |||
35048 | Re:ドラスレ! 6 | 井上アイ | 2010/2/21 21:16:26 |
記事番号35040へのコメント ルルーさん出番なし……残念(笑) 頭から読みましたら、ガウリイお嬢ちゃんの、ぽやんぽやんな天然ぶりに、撃沈されそうになりました(苦笑) 確かに、ガウリイを女の子にしたら、絶世の美少女でしょうねv そして、最後に現れた謎の女の子! アメリアちっくですが、実は違うてのに期待です! 続きを、楽しみにしてますね♪ | |||
35053 | Re:こんばんは | とーる URL | 2010/2/24 18:12:15 |
記事番号35048へのコメント どうもこんばんは、井上さん。 コメントありがとうございます! ルルさんの出番がなくて申し訳ないです (苦笑 ガウリイが女の子になったら、容姿だけではなく性格も こんな感じなるんじゃないかなあと考えてみました。 元のガウリイから離れすぎることもなく、近すぎることもなく。 はてさて、現れた人物は一体誰なのか!? ← ではでは。 とーる | |||
35054 | ドラスレ! 7 | とーる URL | 2010/2/24 19:15:43 |
記事番号35036へのコメント 第七話 いきなり部屋に響き渡った声に、全員が動きを止める。 ……な、何だ? 俺がきょろりと辺りを見回してみると、ふいにさわりとした 爽やかな夜風が部屋の中に一瞬だけ吹いてきた。 はっと振り返ると、部屋の窓がいつのまにか開いていて、 ふわりと白いカーテンが風に揺れている。 その向こう側に一つの影がある。 思わずぽかんとした俺は、殺気を感じてとっさに右手に飛びのく。 ジリッと左の脇腹が急に熱くなったのを感じつつも、 俺は攻撃を仕掛けてきたロディマスを威圧する。 くそ、何だか分からんがこっちを倒すのが先――! 「今、僕が引導を渡してあげましょう!!」 「っだああ! さっきから何なんだ!」 俺が叫び終わらないうちに、窓の向こう側の影が飛び上がった。 「行きます、とうっ!」 ガヅッ! ドチャベチゴォンッ!! 影はそのまま部屋の中へ飛び込んでこようとしたが、 窓枠に片足を思いっきり引っ掛けたらしく、かなり痛そうな音を 立てながら部屋の中へと言葉通り転がりこんでくる。 今度は本当に誰もが戦闘意識を失い、床に転がったそれを見下ろした。 影は一つ間を置いてから、むくりと立ち上がって埃を落とす。 影の正体は、ゆったりとした白い神官服のようなものを着込んだ 黒髪の青年――いや、少年? 多少幼い顔つきから見れば俺より年下なんだと思うが、 背丈に関しては俺より頭一つ分ほど高い。 ……ぐっ……何か負けた気分だ! そいつは腰に手を当て、堂々と胸を張る。 あたかも登場シーンの失敗など、まるでなかったかのように。 「生きとし生ける者集いし所、悪ある所に正義あり! 心の悪に その身をゆだね、道を失いし者たちよ! 天に代わって僕の裁きを 受けるがいい!!」 唖然とする一同。 いきなり単身乗り込んできて、何をごちゃごちゃとわけ分からん ヒロイック・サーガもどきなことを言っとるんだ、このにーちゃんは。 怪訝そうにしていたロディマスが明らかに、お前の仲間かと いったよーな視線を向けてくるが、俺は首を横に振ってみせる。 ガウリイお嬢ちゃんと会う前にもずっと旅をして、その間に色々な 奴らと知り合ってきた俺だけど、さすがにこんな正義おたくの 知り合いなんぞいなかった。 すっかり闘争心が消えてしまったのか、ロディマスは剣を下ろして 唖然としたままのゾルフを引っ張っていく。 パタンと静かにドアが閉じられたあと、きょとんと目を瞬かせていた 正義おたくのにーちゃんは勝ち誇る。 「正義は必ず勝つのです!」 ……あんた、何にもしてないだろうが。 俺が深々と溜息をついていると、にーちゃんが大きな声を上げる。 「あっ! お腹、怪我してますよ!?」 「リナ!」 「あ……そういえば……」 脇腹の傷を思い出した俺は、じくじくとした痛みに眉をひそめる。 俺って寒いのと痛いのにはあんまり、耐え性がないんだよな。 「座って下さい、僕がリカバリィをかけます!」 「ああ……じゃあ、よろしく……」 張り切った様子のにーちゃんをここで追い返すのを面倒に思い、 俺はてきとーに返事をしてベッドに腰掛ける。 にーちゃんは口の中で素早く呪文を唱えて、リカバリィをかけた。 ぼんやりとした温かみにほっとする。 ふと、横からガウリイお嬢ちゃんが心配そうな目で見てくるのに 気がついて、俺は苦笑した。 「平気、掠っただけだし」 「……もう、リナったら……」 「はい、これで大丈夫ですよ!」 「悪いな」 「いいえっ!」 俺の脇腹から傷がなくなったのをしっかりと確認してから、 にーちゃんは立ち上がった。 「僕、隣の部屋の者なんですけど、何だか急に胸騒ぎがして……。 間に合って本当に良かったですっ」 「そう……」 何が間に合って、どう良かったのかが分からん。 俺はそう思いながらも、リカバリィに免じてとりあえずつっこまなかった。 にーちゃんは俺たちが困惑してるのにも気がつかずに、 にっこりと晴れ晴れした笑顔を浮かべる。 「すみません、自己紹介が遅れましたね。僕はアメリアです! 正義の名の下に、カタートに封印されし悪の根源である、 赤眼の魔王・シャブラニクドゥを倒さんがため、旅をしてます!!」 俺はアメリアと名乗ってきたにーちゃんの頭を、 思わず可哀想な目で見てしまった。 ……魔王退治って……どこまで正義おたくなんだか……。 NEXT. | |||
35066 | Re:ドラスレ! 7 | 井上アイ | 2010/3/13 06:40:18 |
記事番号35054へのコメント おはようございます。 前回の謎の人物、アメリアの男の子バージョンだったのですね!! そうか、そう来たか。 と感心してしまいました♪ 正義を語る=アメリア姫という構図が、知らず出来ていたので、意外な展開にワクワクですv この後の展開が、予想出来ないので、続きを心待ちにしてますね。 PS.フィルさんの怖い想像図に、今後出番があるのか、恐怖を感じてしまいました……orz | |||
35096 | Re:遅くなってすみません! | とーる URL | 2010/4/29 15:58:09 |
記事番号35066へのコメント こんにちは、井上さん。 お返事遅くなって申し訳ありません!! 一巻だけだとアメリアがまったく出てこないので、 アメリアを出すがためにどうしようか考えてみてから 漫画版の展開を強引に持ってきてしまいました。 そうすればアメリアは最初から一緒なのです (笑 頑張りますので、どうぞお待ち下さい。 殿下……はてさて、殿下には出番があるのかないのか……!! とーる | |||
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