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    タイトル : ドラスレ! 13
    投稿者  : とーる
    URL    : http://blacktail.blog.shinobi.jp/
    投稿時間 : 2010年7月9日16時18分50秒

 




第十三話





「えっ!? リナさん、信じてなかったんですか!?」


次の日になって興奮がようやく収まってきたのか、
アメリアは俺がレゾのことを信用してなかったことを知って驚いた。
俺は肩をすくめて答える。


「信じられる要素が少なすぎるだろ。たとえ嘘をついてないにしろ、な」

「まあ、確かに……話は聞くわりには、僕も本物の赤法師レゾかまでは
 ちょっと分かりませんでしたけど……」


アメリアは眉をひそめる。
実際に目の当たりにしたレゾの魔道の腕は、天才魔道士である
この俺よりも格段上だということは確かに分かった。
しかし、だからといって丸呑み信用することは出来ない。

むしろあのレゾが本物だとしたら――魔王復活だのという物騒な話を
聞いてしまった今では、伝説級の人物と初めて会えたという事実が
あまり嬉しくないものになる。
ガウリイお嬢ちゃんが、ことりと首を傾げた。


「じゃあアメリアは、魔王を復活させるっていうことも信じてるの?」

「それが事実であれ虚実であれ、何か良からぬことを企んでいる者達が
 いるのなら、僕が阻止せねばならないという心持ちですっ!」


……それが虚実じゃ、阻止もなにもないだろーに……。
たまに矛盾してるよーなことを言うアメリアに呆れつつも、
俺はそのあともぺらぺらと続くアメリアの熱血トークを聞き流し――
ぴたりと、歩みを止めた。
俺と同時くらいにお嬢ちゃんも止まり、アメリアは俺たちにつられて
一緒に立ち止まる。


「……リナ、お客さんみたいね」

「一人らしいけどな」


俺たちがすでに気がついたことに、向こうも気がついたらしい。
一拍おいてから、前方の木の陰から一つの人影が現れる。
体にしっかりまとっている純白のローブと足下まであるマントは、
濃い赤をまとうレゾとはまるで正反対。

深めにフードをかぶり、口元は鼻まで口布で覆われていて、
少しだけ見えている目元以外にはっきりとした容姿は分からなかった。
見た目からで分かるのは、明らかに姿を隠そうとしていることと、
獲物として剣を扱うということ。
切れ味とスピードに重点を置くような、細身の剣を腰から下げている。
けれどローブとマントを見るからに、魔剣士といったところか。


「――リナ=インバース」


放たれたのは、少し低めの凜とした静かな声。


「神像を渡す気は?」


その言葉を聞いて、俺はこの白い魔剣士が誰なのか悟る。


「へえ……ようやくロディマスとゾルフの所の親分さんが……
 つまる所、ラスボスのご登場ってわけか」

「……ラスボス? ふ……確かにこの先お前たちにとっては、
 その方が良いかもしれない」


細まる瞳が、何だか笑っているように見える。
すらりと剣を抜いて、ぶれることなく切っ先を俺へと向けてきた。
それを見たガウリイお嬢ちゃんが俺の一歩前に出て剣を構え、
アメリアも俺の隣へと並ぶ。


「とうとうしびれを切らせて、御大自らご出馬したのね?
 ゼガルディスさん」


お嬢ちゃんが挑発めいたことを言うが――おい。
するとアメリアが首を振る。


「違いますよ、ガウリイさん。ゼディルガスさんですよ」

「いや、それを言うならゼルディガスだろ」


二人の間違いを俺が正す。


「ゼルガディスだ」


本人が再度訂正する。

…………うああっ、空気が白いっ!
せっかくのシリアスな空気が!
しまった、これは何とかフォローしなければっ!


「ゼ、ゼルガディスって言ったぞ、俺は!」

「ぼ、僕もですよ!?」

「わ、私だって……っ!」


アメリアとお嬢ちゃんも負けじと反論する。


「名前なんてどうでもいい」


うんざりしながらご当人が言う。
あれ、こんな台詞って前にもどこかで。


「手荒くするつもりはなかった、あれさえ渡してもらえれば」


ゼルガディスはそう言うが、あれだけ襲撃させておいて
手荒くするつもりはないってどういうことだ。
何か呪文を唱えたのか、ゼルガディスの持つ剣が蒼く光る。
ふん、やっぱりこいつは魔剣士だったか。

そのまま戦闘に突入――
すると思いきや、横手の川からザバリと何かが現れた。
気配もなかったソレに俺たちは驚き、すぐに身構え――驚く。
そこにいたのは手足が生えたどでかい魚だった。

うっ……気持ち悪い。





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ドラスレ! 8-投稿者:とーる なし