タイトル : ドラスレ! 26
投稿者 : とーる
URL : http://blacktail.blog.shinobi.jp/
投稿時間 : 2012年5月19日22時03分59秒
第二十六話
「はーい、リナ♪ 久しぶりね♪」
いつのまにそこにいたのか。
金髪の少女が、俺の目の前でにこにこと笑っている。
以前は魔道士のような黒い服装の女性の姿をしていたのだが――
今日は何故だか、ガウリイお嬢ちゃんよりも背が小さく、
幼い少女の姿をしていた。
服も同じくサイズが小さくなっている。
「気分よ、気分♪」
その考えを読み取り、少女はくすくすと笑う。
俺は特に驚きもせずに溜息をつく。
「久しぶりって言ったって――前に一度だけ会っただけだろ」
「そうねえ。確かリナが死の入江を作った時かしらね♪」
「う――」
あの時のことを言われ、俺は口をつぐむ。
それは、俺が以前にギガ・スレイブを使った時のことだ。
俺はある依頼を受けて鬱憤が溜まってしまい、依頼を終えた時に
色々な感情を込めて浜辺にギガ・スレイブを放った。
あの時は精神が極限状態で、制御だとかコントロールだとか、
本当に無意識だった。
ギガ・スレイブの虚無によって造られた入江。
そこには今でも魚一匹寄り付かず、水ゴケも生えないと噂で聞いた。
『死の入江』と呼ばれているのだとも。
その時も生体エネルギーを酷使し、銀髪になった俺は倒れ――
彼女と出会ったのだ。
「懐かしいわね」
「……それで、今回はどうしたんだ?」
以前現れた時はギガ・スレイブのこととか、その本質のこととか、
一方的に色々と聞かさておかげで、頭がパンクしそうになったもんだ。
今までの常識がひっくり返った気がして、何も言えなかった。
「そんなに邪険にしなくったっていいじゃないのよ」
「邪険っていうか……どういう反応したらいいか分からないんだよ」
「久しぶりー♪ とかでいいのよ?」
「…………出来ないって」
彼女の性格というか……。
俺に対するフレンドリーかつ遠慮のない接し方でさえ、
本気で受け取っていいものかどうか、俺には判断しかねる。
「とにかく、リナだったらあたしの呪文も結構使えるんだから、
どんどん使っちゃって構わないって言ってるのに」
「勘弁してくれ……ブースターもないんじゃ、精一杯だっての」
「そこは根性よ、根性♪ 頑張ればやれるわよ♪」
俺はがっくりと肩を落として、溜息をつく。
そして目覚めるまで彼女――ロード・オブ・ナイトメアと
延々と話をするのだった。
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