. ツリー表示 . 番号順表示 . 一覧表示 . 新規投稿 .
お姉さんが教えてあ・げ・るv ←ここをクリック    読みまくれ1  読みまくれ2  著者別  練習
カテゴリー別検索 ツリー内検索 過去ログ検索 ▼MENU
<<< BACK 4 / 5 NEXT >>>

35155Re:白魔術都市狂想曲 111セス 2010/7/11 00:26:25
記事番号35153へのコメント

こんばんは、フィーナさん。
>「そう。宗教などにも、神聖な存在として崇められているのが神だ。
>なら神を巡っての諍いが起きてもおかしくはない。もしくは、神がついていてくれるから自分が正義だと思う連中もいるかもな」
>
>「つまり・・・・・・どういうことなんだ?」
>
>「つまりよ。内紛でおきる小競り合いなんかじゃ比較にならないほどの――殺戮ね」
>
>あたしが簡潔につないだ言葉に、ガウリイは言葉を失った。
>
>「・・・・・・けどよ。それって飛躍しすぎじゃないか?」
>
>「皆がみんな、そう考えてはいないだろうけど。
>・・・・・・起こりうる可能性の一つであることは事実ね」
>
>これに関してはヴラではなく、人間のほうに非があるのだが。
ヴラもうんざりしているでしょうね、人間のこういうところは・・・
>
>アメリアが王族だということだけでなく、柔軟な思考だからこそ、できることである。
>
>・・・・・・時々熱くなりすぎて暴走はするが。
・・・時々、といっていいんでしょうか?(笑

35153白魔術都市狂想曲 111フィーナ 2010/7/10 19:29:57


あてがわれた部屋の一室には、すでにガウリイとゼルガディスの二人が来ていた。

「おそかったな」

あたしがアメリアの案内で地下牢に行っている間に、彼らには王室の動きを探ってもらっていたのだ。

むろんゼルは王宮への面識はない。

お家騒動のときに居合わせなかった彼が、王宮の中で探りを入れようとしても、関係者たちとは初顔合わせ。

警備兵たちからすれば、不審者として警戒されるのは目に見えていた。

そこで、面識のあるガウリイといっしょにいることで、すべての場所は無理だとしても、ある程度の情報は仕入れることができる。

ゼルは目深にかぶっていたフードを取り去って言った。

「思っていた以上に、情勢が動いている」

「聞かせてくれる? その口ぶりからすると、王宮内だけではないんでしょ」

ゼルはうなずいた。

「まずは王宮内の神殿に動きがある。いうまでもなく火竜王のことについてだ」

「ヴラね。なんとなく予想はつくけど。
おーかた、ヴラをこの地にとどまってくれっていう類か、その力を示してくれ・・・・・・とか?」

ゼルは軽く肩をすくめた。

「さすが察しがいいな。あんたが思っている通りさ。
これはまだ噂でしかないが、神殿の上層部には、これを機に内紛が続く地に、神の力をみせ争いを止めようとしているらしい」

「それって、戦争を終わらせようとしているんだから、いいことじゃないのか?」

「旦那。もしそれが実現したら内紛は収まるかもしれんが、新たな火種を生み出すとは考えられんか?」

「どういうことだ?」

「火竜王が争いを止めるために力を使ったとしよう。
それを他の人間が知ったらどう思う? 火竜王の力は強大だ。
我々人間など足元にも及ばないほどの力。もしそれを手に入れられたらどう思う」

「どうっていわれても・・・・・・普通は使うだろう?」

「そう。宗教などにも、神聖な存在として崇められているのが神だ。
なら神を巡っての諍いが起きてもおかしくはない。もしくは、神がついていてくれるから自分が正義だと思う連中もいるかもな」

「つまり・・・・・・どういうことなんだ?」

「つまりよ。内紛でおきる小競り合いなんかじゃ比較にならないほどの――殺戮ね」

あたしが簡潔につないだ言葉に、ガウリイは言葉を失った。

「・・・・・・けどよ。それって飛躍しすぎじゃないか?」

「皆がみんな、そう考えてはいないだろうけど。
・・・・・・起こりうる可能性の一つであることは事実ね」

これに関してはヴラではなく、人間のほうに非があるのだが。

それに本当にそうなるというわけでもない。

ただの推測や憶測の段階でしかないのだ。

「ほかには?」

「神官の詰め所で聞いた話だと、あの神官は七日に一回ほど、王宮の神殿に顔を出していたそうだ。
今回の逮捕のことにしても、同僚たちは表立ってはいないが、相当反発があったときく。
よく同僚や後輩から相談にのることも多かったらしいし、恨みを買うタイプではないからな」

「そっか。そういえばあんた護衛してたんだっけ」

「ああ。だが」

「だが?」

「これにはまだ続きがあってな。
反発して抗議したその同僚や後輩たちだが、王宮の過激派とも呼べる連中に拘束されたそうだ。
国に対して謀反の疑いあり、とな」

・・・・・・なるほど。

だからアメリアも、謀反がどーたらときにしてたわけか!

「ならその同僚たちは釈放されるでしょうね。アメリアが手続きをしに行ったもの」

ただし、しばらくは監視がつくだろう。

それも、きづかれないようこっそりと。

いくら同僚たちが無実でも、嫌疑をかけられた以上、世間は気にするだろう。

「今回あの神官が捕らえられ、王宮がどう扱おうとしているかは、聞き込みで大まかに分けて三つほどの勢力が判明した」

「・・・・・・三つ」

「先ほど出てきた過激派と、穏健派。どちらにも属さない中立派。
ただしこのことは、お家騒動のように誰でも知っているというわけではない。あの神官が神の力を使えるということを」

今あたしが貴族や文官たちに教えたとしても、一笑に付されるか、頭ごなしに否定されるか。

なんにせよ、余計な混乱を煽ることになりかねない。

アメリアに言ったのは、彼女が少なくとも、他の頭の固い連中とは違うからである。

でなければ、巫女頭なんぞつとまるはずがない。

アメリアが王族だということだけでなく、柔軟な思考だからこそ、できることである。

・・・・・・時々熱くなりすぎて暴走はするが。

「過激派の中には、国王に仕えている連中が筆頭になっている」

ゼルのセリフに、あたしは眉をひそめた。

「・・・・・・は? いま国王って」

「病に臥せっているエルドラン国王。フィリオネル王子が代行で、政務を取り仕切っていると聞くが」

「いや、あたしがいいたいのは、なんだってンな連中が過激派なんてぶっそーな」

「おれにいわれても知るか」

そりゃそうである。

しっかしエルドラン王は、ここ最近表には出てこない。

病の進行が早く、意識もない状態が続いているというのが、町の人々の噂であるが。

「そして過激派の中には、王位継承者はフィリオネル王子ではなく、アメリアを担ごうとしている動きがある」

「アメリアに?」

確かに彼女も、王位継承権を持っている。

貴族や他国の王子と婚姻関係を結び、そのあいだに子供が出来れば、その子供が次期王位を継承できる権利を与えられる。

「政務の経験は浅いが、フィリオネル王子同様、人望の厚いアメリアを王位につけようといったところだな」

「他の貴族にしても、アメリアと婚姻関係を結び、子供を王位につけたいってことでしょうね」

「だとすると、エルドラン国王が病に臥せっていることをいいことに、好き勝手に台頭しているのか」

現在の国王がそれで退位しても、侍従や仕官たちといったいわゆる重鎮とも呼べるエリートたちにとって、痛手になることはまずない。

次の王位に就くものの補佐を行い、目が届かないところで根を張る。

互いに足りないものを補うという意味では、甘い汁を吸う連中のことを肯定せざるをえない。

人間に限らず、完璧な存在などいない。

国に暗部とも呼べる汚れ仕事も、確かにあるのだから。

「・・・・・・でもそれなら、姉のグレイシアさんでもいいはずだけど」

「おれが聞きかじった話だと、グレイシア姫は多くの情報網を持っているそうだ。
貴族たちのなかには不安材料となる情報も握っていて、うかつに敵に回したら手に負えないとでも思われたんだろう」

・・・・・・ふむ。

となれば、貴族たちとグレイシアさんとの間には、互いに不干渉な部分とゆーのがあるのかもしんない。

「穏健派は逆に、フィリオネル王子を支援している連中がおおい」

「・・・・・・いやな構図ね。
下手すれば、フィルさんとエルドラン国王との対立とも取れるじゃないの」

政治的な謀略というのは、どこの国にも水面下で行われていることである。

沿岸諸国では、諜報員同士の駆け引き。

他国へもぐりこんでの不安定化工作も、公然の秘密となっている国もあるみたいだし。

「あんたのほうで掴んだ情報は?」

「ここへ来る前、手続きをしているアメリアから聞いたわ。
ヴラを長くここに留まらせているのは、外の侵略より中から内輪での揉め事で崩れ去る危険性が高いって」

「道理だな」

「神殿にいるヴラと、収容されているアレンを接触させるのは二日後。
過激派と穏健派。王宮からの強い要望で、処刑はその翌日――三日後に決まったそうよ」

35151ドラスレ! 14とーる URL2010/7/9 16:51:03
記事番号35097へのコメント

 




第十四話





魚が岸へ上がるのを見たゼルガディスは、イラついたように舌打ちする。
ぺたり、と一歩前に進み出た魚は、ふとゼルガディスを見やる。
そしてゆっくりと口を開いた。


「ゼル……ガディス、ここで…何してる?」

「何でお前が……っ!」

「おい、この魚はお前の仲間なのか?」

「魚…などと呼ぶな。俺の名は……ヌンサ。お前が持つものを……
 取り返しにきた……刺客……だ」


俺が顔をしかめて立ち尽くすゼルガディスに問うと、
のっぺりとした感じで答えた魚こと、ヌンサ。

ふむ……?
ゼルガディスとヌンサの様子からすると、お互いこの場所に
いるはずじゃなかったってことか?

今まで明確な意思を持つ刺客たちで考えてみると、ディルギアとこいつは
何だかゼルガディスの配下っていう感じには見えないな。


「ゼルガ…ディス……お前やること…違う……お前の…命令は……」

「黙れ、ヌンサ!」


――命令?
俺は二人の会話にどこか違和感を覚えつつ、気づかれないように
戦闘体制を作る。
それにガウリイお嬢ちゃんとアメリアも、俺がそれを言わなくても
自分でちゃんと気がついたらしい。
お嬢ちゃんは俺の斜め前へ、アメリアは俺の横に並んで背後を警戒する。

ゼルガディスは誰かの命令を受けていた。
そう考えるとすると、ラスボスはゼルガディスじゃないってことか?
さっきも “その方がいいかもしれない” なんて言ってたしな。


「まあいい……おとな…しく例のものを……渡せ……」


ヌンサは溜息のようなものをついて、すっと前かがみになった。
刹那、背筋に嫌なものが走り、俺はその場を飛びのく。



ギィンッ!

ガキン!



同じく、鋼のぶつかる音が二つ。
目を向けてみると、お嬢ちゃんとゼルガディスが剣を抜いている。
だが、両者の剣がぶつかっているのではなく、
二人とも何かを払い落としたような構え方をしていた。

俺が先ほどまで立っていた場所には、何かが刺さっていた。
それは薄い楕円の形をしていて、掌ほどの大きさ。
おまけにぬらりとしている。

ガウリイお嬢ちゃんが、驚いたように顔を上げた。


「何、今のは!?」

「それは……俺のウロコだ……仕方、ない……こうなれば」


ヌンサはそう言うとポイっと手にしていた剣を捨てる。
そしてぐっと力をこめて――やばい!



ドドドドドドドドドッ!!



「うわわわわわわ!!」

「うわきゃーっ!!」


思った通り、ヌンサはミサイルのように間髪いれずに
己のウロコをこっちに向かって飛ばしてきた。

魚のウロコとはいえ、かなり硬い。
これで防がずにいようものなら、人間の肌などすっぱり切れるだろう。
かくいう俺も短剣で飛ばされるウロコを弾くのが精一杯で、
術に集中するのは無理がある。


「耐えろ!」


ウロコ攻撃の中、ゼルガディスが叫ぶ。


「もうすぐあいつは――」


ぴたりと。
ふいにウロコ攻撃が止まり、その場に沈黙が流れる。
眉をひそめてヌンサを見やれば、何故か冷や汗を流して
川の方へとゆっくり後ずさりしている。
するとゼルガディスがさっと一歩前に進み出て、剣を構えた。


「前にも言っただろう。そのウロコで攻撃と防御はできるが、
 失くなってしまえばただの魚だと」

「ま……待て……ゼルガ…ディス……お前は……その体を」


その言葉の先を、ゼルガディスはヌンサに言わせなかった。
お嬢ちゃんにこそ及ばないものの、俺よりは上だろう太刀筋で
ヌンサを一刀両断したのだ。

剣を振り払ってから静かに鞘に納めたゼルガディスは、
これで邪魔者はいなくなったというように、清々とした態度で
俺たちの方をゆっくりと振り返る。
そして――がくりと膝をついた。


「?」

「く……っ」


さっきまではマントに隠れて分からなかったが、
よく見れば脇腹の辺りが赤く染まっていて、心なしか呼吸も荒い。


「ぬ、ヌンサにやられたんですか?」


おそるおそるアメリアが問いかけるが、ゼルガディスは何も答えない。
ゆっくりと立ち上がろうとして、そのまま地面に崩れ落ちた。


「リナさん……」

「ったく」


困ったようなアメリアの視線を受けて、ゼルガディスに近寄ってみる。
一体全体、何がどうなってんだか……?





NEXT.

35150ドラスレ! 13とーる URL2010/7/9 16:18:50
記事番号35097へのコメント

 




第十三話





「えっ!? リナさん、信じてなかったんですか!?」


次の日になって興奮がようやく収まってきたのか、
アメリアは俺がレゾのことを信用してなかったことを知って驚いた。
俺は肩をすくめて答える。


「信じられる要素が少なすぎるだろ。たとえ嘘をついてないにしろ、な」

「まあ、確かに……話は聞くわりには、僕も本物の赤法師レゾかまでは
 ちょっと分かりませんでしたけど……」


アメリアは眉をひそめる。
実際に目の当たりにしたレゾの魔道の腕は、天才魔道士である
この俺よりも格段上だということは確かに分かった。
しかし、だからといって丸呑み信用することは出来ない。

むしろあのレゾが本物だとしたら――魔王復活だのという物騒な話を
聞いてしまった今では、伝説級の人物と初めて会えたという事実が
あまり嬉しくないものになる。
ガウリイお嬢ちゃんが、ことりと首を傾げた。


「じゃあアメリアは、魔王を復活させるっていうことも信じてるの?」

「それが事実であれ虚実であれ、何か良からぬことを企んでいる者達が
 いるのなら、僕が阻止せねばならないという心持ちですっ!」


……それが虚実じゃ、阻止もなにもないだろーに……。
たまに矛盾してるよーなことを言うアメリアに呆れつつも、
俺はそのあともぺらぺらと続くアメリアの熱血トークを聞き流し――
ぴたりと、歩みを止めた。
俺と同時くらいにお嬢ちゃんも止まり、アメリアは俺たちにつられて
一緒に立ち止まる。


「……リナ、お客さんみたいね」

「一人らしいけどな」


俺たちがすでに気がついたことに、向こうも気がついたらしい。
一拍おいてから、前方の木の陰から一つの人影が現れる。
体にしっかりまとっている純白のローブと足下まであるマントは、
濃い赤をまとうレゾとはまるで正反対。

深めにフードをかぶり、口元は鼻まで口布で覆われていて、
少しだけ見えている目元以外にはっきりとした容姿は分からなかった。
見た目からで分かるのは、明らかに姿を隠そうとしていることと、
獲物として剣を扱うということ。
切れ味とスピードに重点を置くような、細身の剣を腰から下げている。
けれどローブとマントを見るからに、魔剣士といったところか。


「――リナ=インバース」


放たれたのは、少し低めの凜とした静かな声。


「神像を渡す気は?」


その言葉を聞いて、俺はこの白い魔剣士が誰なのか悟る。


「へえ……ようやくロディマスとゾルフの所の親分さんが……
 つまる所、ラスボスのご登場ってわけか」

「……ラスボス? ふ……確かにこの先お前たちにとっては、
 その方が良いかもしれない」


細まる瞳が、何だか笑っているように見える。
すらりと剣を抜いて、ぶれることなく切っ先を俺へと向けてきた。
それを見たガウリイお嬢ちゃんが俺の一歩前に出て剣を構え、
アメリアも俺の隣へと並ぶ。


「とうとうしびれを切らせて、御大自らご出馬したのね?
 ゼガルディスさん」


お嬢ちゃんが挑発めいたことを言うが――おい。
するとアメリアが首を振る。


「違いますよ、ガウリイさん。ゼディルガスさんですよ」

「いや、それを言うならゼルディガスだろ」


二人の間違いを俺が正す。


「ゼルガディスだ」


本人が再度訂正する。

…………うああっ、空気が白いっ!
せっかくのシリアスな空気が!
しまった、これは何とかフォローしなければっ!


「ゼ、ゼルガディスって言ったぞ、俺は!」

「ぼ、僕もですよ!?」

「わ、私だって……っ!」


アメリアとお嬢ちゃんも負けじと反論する。


「名前なんてどうでもいい」


うんざりしながらご当人が言う。
あれ、こんな台詞って前にもどこかで。


「手荒くするつもりはなかった、あれさえ渡してもらえれば」


ゼルガディスはそう言うが、あれだけ襲撃させておいて
手荒くするつもりはないってどういうことだ。
何か呪文を唱えたのか、ゼルガディスの持つ剣が蒼く光る。
ふん、やっぱりこいつは魔剣士だったか。

そのまま戦闘に突入――
すると思いきや、横手の川からザバリと何かが現れた。
気配もなかったソレに俺たちは驚き、すぐに身構え――驚く。
そこにいたのは手足が生えたどでかい魚だった。

うっ……気持ち悪い。





NEXT.

35149Re:こんにちは。とーる URL2010/7/9 15:59:26
記事番号35135へのコメント

 
どうも井上さん、こんにちは。
またもお返事が遅れて申し訳ないです。

>話が進んでいる!!
>かなり、進みましたね。

そうですね、ようやくここまできました。
ようやく中盤を向かえ、あとは終盤に入ります。
クライマックスも近いですね (早い。

>ガウリイお嬢ちゃんの虜になりそうです(*´∇`*)

何気にガウリイお嬢ちゃんの人気が高くて
驚いていたりしますが、ありがとうございます(笑
頑張ってお嬢ちゃんの魅力を伸ばしたいと思います ←

ではでは。

とーる

35148Re:こんにちは。とーる URL2010/7/9 15:56:29
記事番号35130へのコメント

 
どうもこんにちは、Kouさん。
またもや返信が遅れて申し訳ないです。

>レゾや魔王全部もだろう。

そうですね(笑
きっと何も分かってないだろうと思います。
それがガウリイお嬢ちゃんのキャパ。

>同感です。まぁ、原作を沿っているとそうなるよなぁ。
>いい加減、ゼルが出る所ですね。
>楽しみにしてます。

頭を撫でさせるのはリナでもいいかなと思ったのですが、
ここはやっぱりガウリイお嬢ちゃんにしようと。
その方が可愛いと思いました ←
そうですね、ようやく待ちに待った出番です。

ではでは。

とーる

35139Re:魔を滅する者セス 2010/6/12 21:21:47
記事番号35136へのコメント

はじめまして、井上アイさん。
コメントありがとうございます。
>魔王も滅ぶかもしれないですね♪
>L様に見せたら、どうなるのか、楽しみであり、恐ろしくもあり…………
こーゆー理由で滅んだりしたら、L様から爆笑されるか、激怒されるかのどちらかでしょうね・・・(笑
>フィブリゾには、是非着用して頂きたい(*^^*)
>私立の小学生か!とツッコミたくなる程、良く似合うだろうと、思われます。
・・・あ、確かに似合いそうですね(笑

35136Re:魔を滅する者井上アイ 2010/6/9 21:04:56
記事番号35102へのコメント

タイトルから、シリアスかな。と思ったら……
ガーブ様か!!(爆)
あれは、確かに強烈でした。
魔王も滅ぶかもしれないですね♪
L様に見せたら、どうなるのか、楽しみであり、恐ろしくもあり…………
フィブリゾには、是非着用して頂きたい(*^^*)
私立の小学生か!とツッコミたくなる程、良く似合うだろうと、思われます。

35135Re:ドラスレ! 12井上アイ 2010/6/9 19:55:15
記事番号35127へのコメント

話が進んでいる!!
かなり、進みましたね。
全部が分からないと言う、ガウリイお嬢ちゃん。
優しく、手取り足取り、教えて挙げたい(笑)
そして、お嬢ちゃんでも、リナの頭を撫でますか。
背伸びまでして……
可愛いじゃないかvvv
ガウリイお嬢ちゃんの虜になりそうです(*´∇`*)

35130Re:ドラスレ! 12kou 2010/6/3 16:33:56
記事番号35127へのコメント

 お久しぶりです。とーるさん。
>赤法師レゾ――。
>その名の通り赤い法衣をまとい、多大なる霊力を持って諸国を回り歩き、
>人々に救済の手を差し伸べているという現代の五大賢者の一人。
>彼が伝説級の相手であるということは、街にいる五歳ほどの子供でも
>普通に知っていることだ。
 となりの、ガウリィは別でしょうけれど…………
>俺たち魔道士はともかく、一般人にとっちゃ御伽話でしかない
>魔王を復活させるだのと……何つー目的を持つ黒幕だ。
>すると、置いてけぼり気味だったお嬢ちゃんがようやく俺の傍まで
>歩み寄ってきて、くいくいとマントを引っ張る。
>
>
>「リナ」
>
>
>真剣な表情をしているお嬢ちゃんだが、俺はガウリイお嬢ちゃんが
>何を考えているか――むしろ何が考えられないか分かっている。
>ここまで長くもなく短い付き合いだったとはいえ、
>それほどお嬢ちゃんに無関心だったわけじゃないからな。
>
>
>「それで、何が分からないんだ?」
>
>「……全部。」
 レゾや魔王全部もだろう。
>「冗談だよ。こう見えても、人を見る目はあるつもりだからな」
>
>「ありがとう、リナ」
>
>
>背伸びして俺の頭をなでるお嬢ちゃん。
>……普通、反対じゃないか?
 同感です。まぁ、原作を沿っているとそうなるよなぁ。
 いい加減、ゼルが出る所ですね。
 楽しみにしてます。

35127ドラスレ! 12とーる URL2010/6/3 01:01:32
記事番号35097へのコメント

 




第十二話





「赤法師レゾ!」


俺はようやくこの僧侶の正体に気がついた。
アメリアも俺の言葉に息を呑む。

まあ見るからに盲目で赤い法衣を身にまとってる時点で、
早く気づけよ――とは俺も思うものの。
目の前の僧侶は苦笑するに留めるが、否定こそしなかった。


「そんな風に呼ばれることもありますね」


赤法師レゾ――。
その名の通り赤い法衣をまとい、多大なる霊力を持って諸国を回り歩き、
人々に救済の手を差し伸べているという現代の五大賢者の一人。
彼が伝説級の相手であるということは、街にいる五歳ほどの子供でも
普通に知っていることだ。


「では、俺たちも一緒に戦います」

「え」


俺の言葉に驚くレゾ。
すると、アメリアが横から割って入ってくる。


「リナさんの言う通りですよっ! そうと聞いて簡単に、
 あとはよろしくなど言えるわけがありません! それこそ非道です!」

「……お心遣いは感謝しますが」

「いえ、万が一にでも魔王が復活しようものなら、それこそ人ごとでは
 ありません。この私にも魔道の心得がございますし、このガウリイ、
 アメリア、ともに力ある仲間です。決して足手まといになる真似は
 いたしません」


とても困ったようなレゾに、俺は自信に満ち溢れたような
微笑みを浮かべながら胸に手を当てて言い切る。
隣ではアメリアが大きく頷き、ガウリイお嬢ちゃんはぽんやりしてる。
大きく息をついたレゾは、静かに頷いてみせた。


「分かりました。そこまで言われては仕方ありません。
 共に戦いましょう……それでは “鍵” は」

「私たちにお任せ下さい」


俺のきっぱりとした言葉に、レゾは怪訝そうな表情をする。
俺は笑みのまま、言葉を続けた。


「このまま “鍵” が法師様に渡れば、奴らはまた作戦を立て替えて
 くることでしょう。それでは私たちが囮になる意味がなくなって
 しまいます――どうか、このリナをお信じ下さい」


見えないことは承知で、レゾの目の辺りをまっすぐに見やる。
深く苦笑したレゾはこの場で俺を説得しようとすることを諦めたのか、
分かりましたと頷く。
杖をついて、ゆっくりと法衣をひるがえす。


「では――くれぐれもお気をつけて」


穏やかにそう言い残して、レゾは茂みの奥へと進んでいく。
レゾの気配が俺たち以外全て消えたあと。
俺はようやく肩から力を抜いて、深く溜息をついた。


「す、すごいです! これは本当に悪が動きだしているんですね!」

「……まったく」


めちゃくちゃ興奮するアメリアはわあわあと騒ぐが、
俺としてはあまりの話の膨らみ方に疑問を抱くばかりだ。

俺たち魔道士はともかく、一般人にとっちゃ御伽話でしかない
魔王を復活させるだのと……何つー目的を持つ黒幕だ。
すると、置いてけぼり気味だったお嬢ちゃんがようやく俺の傍まで
歩み寄ってきて、くいくいとマントを引っ張る。


「リナ」


真剣な表情をしているお嬢ちゃんだが、俺はガウリイお嬢ちゃんが
何を考えているか――むしろ何が考えられないか分かっている。
ここまで長くもなく短い付き合いだったとはいえ、
それほどお嬢ちゃんに無関心だったわけじゃないからな。


「それで、何が分からないんだ?」

「……全部。」





そのあと、興奮するアメリアを差し置いて、俺はお嬢ちゃんにも
ちゃんと分かるような簡単な例えを使いながら、
魔王シャブラニクドゥのことやレゾについて話してやった。
それで本当に理解してくれたかは不明だが。
レゾのことを話し終えた時、お嬢ちゃんが俺のことを見つめる。


「うん、凄い人なのは分かったわ――でもレゾさんのこと、
 リナはあんまり信用してなかったみたいだけど」


お嬢ちゃんが声を低めて、鋭いことを言う。
そのせいかアメリアは聞こえなかったらしいが、構わないだろ。


「本物だって証拠はないからな。ほとんど伝説に近い人だし」

「レゾの名を騙る、ゼル何とかの仲間かもしれないってことね」

「そういうこと」

「……そうすると、よく私を信用したわね?」

「してないかもな」


悪戯っぽく俺は言う。


「手厳しいわね」

「冗談だよ。こう見えても、人を見る目はあるつもりだからな」

「ありがとう、リナ」


背伸びして俺の頭をなでるお嬢ちゃん。
……普通、反対じゃないか?





NEXT.

35124Re:魔を滅する者セス 2010/5/29 20:42:46
記事番号35104へのコメント


>
>こんばんは。お久しぶりですセスさん。
お久しぶりです、レスが大変遅くなってすみません。
>>『海王様がご乱心です!』
>>「・・・は?」
>> 冥王にこんな声と表情をさせたというだけでも、この報告をした魔族は後世まで語り継がれる資格があるかもしれない――もし他者が見ていれば、そんな感想を抱くほどに、五人の腹心の中でも、最大の力を有する高位魔族は間の抜けた声を漏らし、目を点にした。
>殿のご乱心でござる!
>…なんかちがうよーな
いえ、多分そんな感じです(をい
>>「・・・じゃあ、あとは君たちに任せるよ」
>めんどくさそうな予感がしたんでしょうか?
>あっさり放棄しようとしましたね。さすが冥王。切り捨てるのも早いです。
実力は高くても、かなり部下の扱い悪いですからね、彼・・・(笑
>>『お待ちくださいいいいいっ!』
>> 空間を渡ってその場を速やかに立ち去ろうとしたものの、複数の魔族にしがみつかれて断念。
>> 次の瞬間、海王が手にした矛で魔力波を文字通り一刀両断した。
>>「・・・てうそぉ!?」
>> 思わず叫ぶ冥王に向けて、海王が矛を振りかざし――
>冥王の面目丸つぶれ。
>ピンチだフィブリゾ海王の得物が
>>ごずっ。
>>
>>「・・・はうっ」
>> 鈍い音と共に、海王は妙になよやかな動作で倒れた。
>>「・・・許せ、海王」
>> そう呟くのは、いつの間にか海王の後ろに近づき、魔力をこめた拳で後頭部を殴りつけた獣王である。
>なんの躊躇もなくどつくとは、やはり長年の付き合いというのは大事ってことですか?
獣王様って割と律儀なイメージあるので、あの後
「とっさのこととは言え、すまなかった」
て謝ってそうな気がします。
>>「・・・ふっ。終わったか」
>>「何もしてないだろ、君」
>> 涼しげな表情で呟く覇王に、冥王はじっとりした視線を向けながら突っ込む。
>>
>>「さてと、海王は贈り物を見てこうなったって言うけど一体・・・」
>> 冥王の声が途切れた。
>>「どうした?フィ・・・」
>> 訝しげに問いかけた獣王も同じく口をつぐむ。
>>「?汝らどうし・・・」
>> 覇王も『それ』を目にして絶句する。
>>
>>それは一枚の絵だ。
>>描かれているのは、一人の男。燃え盛る焔が揺らめくがごとく緋色の長髪をなびかせ、浅黒く彫りの深い顔に獰猛な薄ら笑いを浮かべている偉丈夫だ。
>> その名は魔竜王ガーヴ。魔族に反旗を翻した赦されざる裏切り者。
>>ただしこの場合、見たものを絶句させたのは、他の要素である。
>> たくましい体躯にまとうのは・・・セーラー服である。
>薄ら笑い浮かべながらセーラー……目的のためなら手段を選ぶなとは言いますけど。
>これじゃ手段のためなら目的を選んでません。なりふりかまってませんね。
まるでどこぞの聖王家の長女のごとく(をい
>>ちゅどおおおおんっ!
>>
>> 三体の高位魔族は思わず、その場に膝をつく。
>>「・・・こ・・・これはひょっとして・・・新手の精神攻撃!?てことは送り主はガーヴ?」
>>「・・・生き延びるためとは言え、だいぶ・・・手段を選ばなくなったようだな・・・」
>>「た・・・確かにこれは効くな・・・海王が半狂乱になったのも分かる・・・下級の純魔族ならば、瞬時に滅び去っていたかもしれん・・・他のものが見なくてよかった・・・」
>> 与えられた精神的衝撃に、痙攣しながら呻くように呟く。
>>
>>その後、絵は速やかに殲滅された。
>>正気に戻った海王は、ショックで記憶がとんだのか、自分が見た絵のことも、半狂乱になったことも覚えていなかったらしい。
>>
>>
>>
>>
>>あとがき
>>なんかしょーも無い話を書きたくなって書いてみました(をい)
>こちらもしょーもない感想をかいてみました。
>>ちなみにガーヴのセーラー服見た時、自分は
>>「ふっ・・・効いたぜ、今の精神攻撃は・・・」
>>見たいな感じで、硬直してました(笑)
>私は脳みそ処理能力が停止しました(笑)
>
フィーナさん、コメントありがとうございました(笑

35123銀幕(上)みい 2010/5/29 00:41:35


どうも! 普段はゼロリナばっかり書いてますが
たまには別のカップリングをということで
ゼルリナを書こうと思ったら
ゼル→リナ←ゼロスとなって首をかしげているみいですこんばんは!
背景的には15巻後となります。
久々にスレパロ書きましたが、やっぱり私の中にリナちゃん達は生きてるみたいです。
ちょっと嬉しかった(*´ω`)
だいぶ弱っているリナちゃんですが、
苦手じゃない方はどうぞご覧下さいまし!


@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@


  銀幕



「好きですよ、リナさん」
 耳元で囁かれたその言葉に、あたしは思わずしゃがみこんだ。
「ひぃっ! なっ何すんのよ!」
 鳥肌を立てて後ろを見上げると、ゼロスはいつもの笑顔のまま楽しそうに
あたしを見下ろしていた。
「嫌ですねぇ、深夜の密室で男女が二人きり。
 睦言を交わすのが普通でしょう?」
「あんたは阿呆かっ!
 外が見えないから何とも言えないけど、今はどっちかってーと
そろそろ未明の筈だし、そもそもあんた男なの!?
 っていうか睦言って何なのよ!
 それは遺跡に閉じ込められて交わすものか!?」
「嫌ですねぇリナさん。
 リナさん達がこの遺跡に入ったのは月が南天を過ぎる前。
 今は丁度あと少しで南天の頃合ですし、僕はご覧の通り男性形をとってます。
 遺跡の中での睦言も、それはそれでオツでしょう?」
「あほかぁぁああああ!!!」
 どげしぃっ!
 人差し指を可愛らしく立てて(いや実際は可愛くも何ともないが)
得意げに語ったゼロスに後ろ回し蹴りをクリティカルにヒットさせ、
その背中をぐりぐりとかかとでこねくり回す。
 くっ……服越しに伝わる背骨の感触。また下らないことにこだわってるわね!
「あっダメですリナさん、そんなっ」
「気 持 ち 悪 い わぁぁあああああああああ!!!!」
 ぐちっ☆と嫌な音を響かせつつ頭に踵を一つ落として、
ようやく静かになった空間であたしは一人ごちる。
「さて……どうしたもんかしらね」
 目の前には岩戸。壁、床、は石組で、天井に至っては一枚岩である。
 この石室内にはお宝さんたちが山になっているわけだが、脱出経路は目の前
の岩戸のみ。
 かつ、この石室に使われている岩全部がオリハルコンでコーティングされて
いるという凝りようだ。
 あたしとゴキブリ一匹は、どうやら密室に閉じ込められてしまったらしい。


 そもそも、この遺跡にはあたしとゼルの二人で来ていた。
 あたしとガウリイはサイラーグからゼフィーリアへ戻る途中。
ラルティーグ王国を横断してカルマート公国へ入った最初の宿場町で、懐かしい後ろ姿を見つけたのである。
「ゼルっ!」
 久しぶりの懐かしい顔に、あたしもガウリイも、ゼルも喜んだ。
 あたしは、それと同時にどこかで安心もしていた。
 有り得るはずがないのだ。彼が、いや、彼もまた変容するなんてことは。
 それでもルークの一件を整理しきるには時間がまだ足りていなくて。
 ソラリアにも近いこの場所では、思い出すことも多い。
「お前さん……いや、何でもない」
 頭上で交わされたアイコンタクトに、あたしも気づかないふりをした。
 心配してくれている。大丈夫、でも。
 あたしだけの傷ではないから、大丈夫なのだ。

 ガウリイが魔法なんかの話題についていけなくなって寝てから、
ゼルとあたしは情報交換や術式の組立理論なんかで更に盛り上がった。
 そして、この近くに遺跡がありそうだということも。
 ぐっすり寝てしまったガウリイはとっておいた部屋で寝かし、
あたしとゼルは二人でその遺跡へ忍び込んだ。
 久々に、気楽に、知識欲全開で楽しく夜を過ごせる。
 浮かれていたあたしは、目の前で輝いたお宝に走った。
 そしてゼルよりも先にこの部屋に足を踏み入れたのだ。
 一歩。
「危ない!」
 その瞬間に、ぐっと体を引かれた。
「リナッ!!」
 きっとそう叫んだゼルの声は、岩戸が上から落ちてきた音でほとんど
かき消されてしまった。
「えっ……ぜろ、す!?」
 そして、岩戸の内側、あたしを危機から救ってくれたのは、他でもない
このパシリ魔族だったのである。

 そうして今に至るわけだが、器用に頭部へモザイクかけたままぴくぴくして
いるゼロスを見ると、どうにも真剣味が欠けてしまう。
「ゼロス、いい加減起きたら?」
「酷いですねぇ、まったく」
 一瞬で元通りになったゼロスは、お宝の山の隣にある石棺に腰かけた。
「お久しぶり。さて、どういうことなの?」
 あたしは首をかしげて媚を売りながら挨拶してから、上体を壁に預けて
腕を組みゼロスを睥睨する。
「……はあ、命の恩人だって言うのに」
「やかましい。あんたがあたしを助けるのに、裏がないわけないでしょう。
 大体、……この間のことだって――」
 違う。
 こいつに、仲間意識を求めてはいけない。
 やっぱりまだ私は混乱しているらしい。
「おやおや……これはこれは。珍しいですね、リナさん。
 あなたがこんなに複雑な負の感情を見せてくれるなんて」
 心の内まで見透かされた気がして、組んだ腕をぎゅっと体に密着させる。
 一瞬の静寂に、小さく声が響いた。
「……リナ!」
 必死な声。ゼルは、ずっと声をかけていてくれたのだろうか?
「ゼルっ! ゼルガディス、聞える?」
 岩戸に手をついて、隙間を探す。
 岩戸自体も勿論岩なので、継ぎ目部分や上などだ。
「リナ、ここだ」
 ライティングの光に照らされて、岩戸の右隅がきらりと光る。
 針金……いや、ゼルの髪だ。
 たった数pの隙間から入り込んだその優しい光に、少しだけ笑みが漏れた。
「ふむ、気に入りませんねぇ」
「ゼロス?」
「リナ? ゼロスがいるのか?」
「ええ、さっき助けてくれたんだけど」
 まだ、目的は聴いていない。
 左膝を床についたまま、あたしはゼロスを見上げた。
「……で、あんたは一体何のために?」
「リナさんの様子を見に、ですね」
「何のためにか、訊いてるのよ」
「心当たりがないわけじゃあないでしょう? リナさん。
 なんたって、この世界だけじゃなく異界の王の血まで
その身に溶けているんですから」
「何だと……?」
「だっだから何なのよ!」
「おや? 解りませんか? リナさんともあろうお方が」
 いや、解っているのだ。
 普段使っている金色の魔王だけじゃない。
 異界の魔王の力さえも借りて、あの時打てる全力の手をぶつけたのにも関わらず、
あたしの髪は白く染まらなかった。
 生体エネルギーを使うことなく、あの戦いを終えたということ。
 勿論いちいち増幅呪文など使っていなかったのだから、それは噛み砕いた
魔血玉――つまり賢者の石の力に他ならない。
 そして、賢者の石の力を、恐らくあたしは、使い切っていないのだ。
「人間にあるまじき、強大な魔力ってところかしら?」
「ええ。かつて冥王が考えていたアレを、今度は完璧に実行できる可能性があります」
「おい、まさか」
 岩戸の向こうから聞える焦った声。
 そう、今ここに、あの再現をしようと思えばできるゼロス。
「まあ、まだそんな命令は受けてないんですけど。
 やっぱり僕ら魔族としては、強大な力と認めざるを得ないんですよねぇ。
 欠片とはいえ、2回も魔王様を倒した存在っていうのは」
「馬鹿な、2回、だと……?」
「だから、監視してるの?」
「ええ。そして、その時になるまでは生きていて頂きます。
 ……とはいえ、こちらも大痛手なんですよね。
 この間の一件で、魔族間での諍いなんて下らないものもありましたし。
 今まともに動けるのは、獣王様と海王様のみ。
 一度冥王が失敗した策を持ち出してくるには、準備が整いません」
「そうね、一番策を弄すのが得意だったのが冥王だったんだっけ?」
「獣王様も不得意ではないんですけどね。
 ともかく、今すぐっていう動きはないと思いますよ。でも」
「ひぅっ」
 息を吐いた瞬間だったために、顔の横にあったゼロスの手に必要以上の
驚きを持ってしまった。
「どうした!?」
 体温の伝わらない手袋が、あたしの頬と首元に触れている。
「個人的には、今のリナさんにとっても興味があります」
 親指は頬に置いたまま、他の指が耳の後ろからすうっと首筋に添って撫でていく。
「前回は、はっきり敵対してでしたけど、今回は仲間との対決でしたものね。
 リナさんがルーク・シャブラニグドゥ様の正体を知った瞬間、是非その場に
居合わせたかった。
 今よりももっと複雑で美味しい負の感情を出されてたんでしょう?」
 親指は頬を離れ、指先は鎖骨の間を抜ける。
 ふわりと、詰襟が外れた。
 素肌の上を、ゼロスの指先がゆっくりと滑って行く。
「地精道(ベフィス・ブリング)っ!」
 内側がオリハルコンになっているのを知らないゼルが、岩戸に穴を開けよう
としているんだろう。
 微かな振動が伝わるが、穴が開く気配はない。
 いや、確かめられないのだ。
 こんな至近距離に、どんな目的を持っているか解らない高位魔族がいる以上、
よそ見なんてしていられないのだ。
「僕が怖いですか、リナさん。
 案外今のリナさんに揺さぶりをかけたら、世界を滅ぼすのも簡単かも
しれませんね。
 自覚なさってますか? 今、ガタガタ震えてらっしゃいますよ」
 くすくす、楽しそうな声が耳元で聞える。
「ああ、いいですね。美味しいです」
「リナ、どうした!? おい、ゼロス! お前リナに何をっ!」
 響く声は、先ほどより大きくなった。
 地精道で岩戸がだいぶ薄くなったのかも知れない。
「僕ですか? リナさんに何を? ……うーん、そうですねぇ。
 襲ってます」
「ふざけるなぁぁあああ!!」
「嫌ですねぇ、ふざけてなんていませんよ。
 では言葉を変えましょうか。
 ねちねち言葉攻めしてリナさんの美味しい感情で食事してます。
 いいじゃないですか、負の感情くらい。リナさんだって無抵抗ですよ?」
「リナ、どうしたんだ! 何かされてるのか!?」
「いいえ、僕は何もしてません。
 そもそもゼルガディスさん。この室内がこんなに明るいんですから、
影がそちらから見えるでしょう?」
 影? ああ、なるほど。
 薄いオリハルコンの板が内側に貼ってあるのだとあたしは思っていたが、
どうやら本当に高度な技術でこの石室の内側全体、オリハルコンが薄く
コーティングされているらしい。つまり、今あたしが背にしている岩戸だと
思っていたものは、最早オリハルコンの幕でしかないのだ。
 そこに室内からの明かりであたしたちの影が映り、それを向こう側のゼルが
見て影と解るほどにこの幕は薄い物なのだろう。
「リナ、おい、しっかりしろ!」
「でもリナさん、しっかりしろだなんてよくそんな無責任なことが言えた
もんだと思いません?
 ゼルガディスさんはルーク様を知らない。
 覇王様との戦いも、ルーク様との戦いも知らない。
 いいえ、ガウリイさんだって本当は知らないんですよね。
 北の魔王様から伺いましたよ。
 ルーク様を最後に屠った時、ガウリイさんは倒れていて、あなた一人だったと」
「あ……」
 そう。
 何をどう言ったって、
 あたしが、
 ルークに
 とどめを――
「あなたが、かつて仲間だったルーク様を、」
 あらわになった胸元を、指でくすぐられる。
 まるで、心臓を弄ばれているかのように。
 心の表面を、ナイフで撫でられているように。
「やめろぉぉぉおおおおおおお!!!!」
 がつん、と背中に衝撃が走る。
「魔王様と同化されたルーク様を、殺したんですよね、リナさん」

 涙が一筋、頬を伝った。



@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@





えええええええええ。

どうしましょう、何かゼロスさん激しくS化してますよ!?
そして続いちゃいます。
おかしいな、ゼルリナ書く予定だったはずなのにゼルが動けない不思議!
あれです、ゼロスさんのは
「好きな子ほどいじめたい、むしろ食べちゃいたいくらい好き☆」っていう。
ゼルやんは次回活躍予定。
まだ次回の流れ決めてないけど。
ってかこれ本当に次回で終わるのか!?
そもそもこれ本当にリナちゃんなのか!?
弱い……いくら傷抉られてるからってこれは皆様に許して頂けるのか……。
あああ石はっ石は痛いです投げないで!

そんなわけでお暇します!
なるべく早く続き書きに来れたいいな!
ではでは、みいでした☆

35118Re:護るためにみい 2010/5/25 18:02:55
記事番号35049へのコメント

好きです(はぁと

失礼致しました、みいと申します。
基本はゼロリナなんですがどっちかっていえばリナちゃん総受で
ゼルリナも好物ですvv

じゃれあいながらも知的な二人っていいです、とっても。
今まで書いたのはノンカプかゼロリナばっかりなんですけど、
今度ゼルリナも書いてみようかなって思いました。

ではでは、次回作も期待してます☆
みいでした。

35111ドラスレ! 11とーる URL2010/5/13 22:48:40
記事番号35097へのコメント

 




第十一話





「……どうしたの? これは」

「ちょっとした術をね、かけさせていただきました」


ガウリイお嬢ちゃんの戸惑いに答えたのは、俺ではなかった。


「どちらに非があるのかは別の話として、昼間の街道で騒ぐのは
 他の旅人に迷惑ですよ」


一人の僧侶がそこにいた。
いつのまにやってきたのか、トロルたちの向こう側――
茂みの方に静かに佇んでいる。
慈愛の漂う白い顔からは、年齢や性別が分からない。
若いようにも、年老いているようにも、男にも女にも見える。
ただ一つ俺たちに分かるのは、固く閉ざされているその双眸には、
どうも光がなさそうだということ。
しかし一番特異なのはその服装――変哲もない僧侶の服装は、
見事に赤い色で統一されている。
それも爽やかな赤ではなく、毒々しい赤。
暗い所では、血の色にさえ見えるかもしれない。


「ありがとうございます。助かりました!」

「……あなたは?」

「いえ――ただの旅人ですけどね。不審な連中――こいつらが
 貴方たちの跡をつけて街道へ入っていくのを見かけたもので、
 つい首を突っこんでしまったのですが」

「――リナみたいな性格してるわね」


茶々を入れてくるガウリイお嬢ちゃんの言葉を、俺は黙殺した。
一応、ここはシリアスシーンだ。


「この周辺に人払いの魔法をかけたのも?」

「ほう……分かりましたか」


感心したように言う僧侶。
これくらいのことで、俺をなめてもらっては困る。


「あなたも言ったでしょう。昼間の街道だと。これだけドタバタやっても
 街の警備でさえ誰もやってこないっていうことは、そういうこと
 なんでしょう」

「無関係の人間に大勢出てこられて騒がれるのは、面倒ですからね」

「……この件に、あなたも関わりがあると?」


僧侶がパチンと指を鳴らすと、それを合図にロディマスたちや
トロルの群れは、まるで操られるかのように、ゾロゾロと
茂みの方に向かって行進を始める。
その姿が見えなくなった所で、僧侶は口を開いた。


「見たところ、あの連中……ゼルガディスの手のもののようですね」

「ゼルガディス……?」


初めて聞く名前に眉をひそめる。
ゼルガディス――。
それがロディマスたちの “上” にいる奴の名前だろうか。


「ええ。貴方の持つあるものを使って魔王シャブラニクドゥを
 復活させようとしている者――私の敵です」

「魔王シャブラニクドゥ!?」

「し……しゃら……?」


さあ、とんでもないことになってきた。
眉をひそめて黙りこむ俺、目を大きく見開くアメリアとは対照的に、
目を瞬かせてきょとんと首を傾げるガウリイお嬢ちゃん。

「本当か? それは」

「まず間違いありません。ゼルガディスとは人とゴーレム、
 ブロウ・デーモンのキメラとして生を受けた存在です。
 魔王を復活させることによって、より強大な力を手に入れて
 世界を混沌の渦に落としいれようとしているようです」

「何でそんなバカなことを……」


僧侶は哀しげな笑みで首を振る。


「そこまでは……けれど確かなのは、ゼルガディスは貴方たちと
 私の共通の敵である、ということです」


ふーむ……。
いきなり話が進んで大きくなった上、共通の敵とか言われてもな。
そもそも、何でこの僧侶はそんな奴を敵に回したのか。
この僧侶からだと “見過ごせない” という普通の答えで済まされそうだ。
こういった善人はどーも……。


「ふむ……つまり、俺たちに『一緒に戦え』と」

「いえいえ、とんでもない」


僧侶は慌てて首を振り、言葉を続ける。


「察するに貴方たちは、そうとは知らずに “鍵” を手に入れ、
 巻き込まれてしまった――そんなところでしょう」

「まあ、な」

「それでは、私が “鍵” をあずかりましょう。それで貴方たちも、
 つまらぬことに巻き込まれなくなります」

「そんなの駄目です! 一人で戦うことになるじゃありませんか!」


それなら“鍵” など壊してしまえばいい。
そう俺が言おうとしたら、その前にアメリアが憤慨するように叫んだ。
正義おたくのアメリアにとって、さすがに承諾しかねるようだ。


「ご心配なく。この赤法師、決して奴らにひけを取るつもりは
 ありません」

「――赤法師……?」


俺は思わず問い返した。
赤法師って、まさか。





NEXT.

35110ドラスレ! 10とーる URL2010/5/13 21:41:23
記事番号35097へのコメント

 




第十話





「あんたがどれほどのものか知らないが、はっきし言って
 俺の敵じゃあないね」

「ほほう……」


獣人はすぅっと目を細める。


「大きいことを言う兄ちゃんだな。ではその力、見せてもらおうか!」

「いいぜ――だが二対二じゃ、あっさり勝負がついて面白くない。
 こっちは一人で充分だ。――さあ行け、アメリア!」

「ええええええええええ!? ちょっ、ちょっとリナさん!!
 何で僕なんですか!? 今のはどう考えても僕じゃないです!!」


俺が獣人に向かってびしっと指を指してやると、
アメリアはおおげさな声をあげて俺を見た。


「何だ? それじゃあアメリア、お前ガウリイお嬢ちゃんに
 行ってほしかったのか?」

「確かにガウリイさんは見た目に反して強いですけど――って、
 だから違います!」

「見た目に反してって……」


わーわーと抗議しているアメリア。
すると獣人は鼻で笑って、肩をすくめてみせる。


「何ももめることはないぜ」


がさりと。
そう獣人が言い終えた直後に、すぐ近くの茂みが揺れる。
現れたのは、剣と簡単な鎧とで武装したトロル、およそ十匹。


「いくらなんでも、十数対一とは卑怯な!」

「リナさんってば!!」

「どうでもいいさ、行くぜ!」


意気込んだ獣人の台詞が戦闘開始の合図で、
アメリアに任せることも出来ず結局三人で戦うことになる。
俺が相対したのはロディマスとゾルフ、ガウリイお嬢ちゃんは
トロルの群れ、アメリアは獣人。

――戦力の差がありすぎるというなかれ。

指揮を担う役目を持つロディマス、三流とはいえ魔道士であり
まだ見せていない技を持っているであろうゾルフを相手にする俺、
体力勝負ではあるがトロルに一点集中出来るお嬢ちゃん、
秘策も何もなさそうな獣人にアメリア。
作戦も前置きも指示もなく無言でやってのけたのだから、
俺としては結構上出来な配分だと思う。

俺がロディマスとゾルフを先に片付ければ加勢に行けるし、
先にアメリアが獣人を片付けても加勢に行ける。
俺たちの攻撃力は魔法では俺、剣技はお嬢ちゃんがだんとつだ。
そして前にも言ったか忘れたが、トロルには魔法があまり効かない。
つまり、俺が頭の二人を破り、アメリアが後ろの一人を取り、
中間の群れをお嬢ちゃんに任せるやり方がベストというわけだ。


「はあっ!」

「ダム・ブラス!!」


お嬢ちゃんがトロルに切りかかり、アメリアが獣人に攻撃魔法を
ぶっ放したのを視界の隅で見やり、俺も目の前の二人に意識を切り替える。
槍斧で突っこんできたロディマスを交わし、俺はにやりと笑う。


「なかなかやるじゃん、おっさん」

「なーに、年の功ってやつさ」

「――!」


ふいに俺は呪文詠唱の声を聞き取り、ロディマスのテリトリーから
即座に飛びのく。
振り向きざまにゾルフに向かって、攻撃を仕掛けた。


「ファイヤー・ボール!」

「フリーズ・ブリッド!」



ちゅどどどどんっ!!



苦い顔を隠そうともせずに、俺はゾルフを軽く睨みつける。
いくらここが外で街道とはいえ、近くには木々や茂みがあるってのに
迷わず炎の呪文を使うか、こいつはっ!
本気で三流なんじゃないだろうな。

まあ、正直に本音を言えばだ。
ここで俺が大得意とする、ある必殺技で全員潰すってのもありだけど
……さすがに今回は俺一人じゃないしな。
っていうか今気がついたけど、ガウリイお嬢ちゃんと会ってから、
あの魔法は使ってないんだよな……俺って……。
あれからすぐにゴタゴタが始まったから盗賊いぢめもしてないし、
何だか調子狂うわけだ。

そんなことをつらつらと考えながらも、俺はロディマスとゾルフの
攻撃を交わしたり、攻撃仕返したりしている。
そんなこんなで隙をついてゾルフをディル・ブランドで地に沈め、
相手はロディマス一人。

正直、こいつらを相手に持久戦にはしたくない。
もちろんトロルの回復力もあれだが、先が見えない襲撃の数々に
魔力を消費し続けるのもどうかと思うわけだ。
とはいえ、これだけペースを落とさずに執拗に追ってくるということは、
ロディマスの一存ということは考えにくい。
こいつらよりも “上” の奴がいて、そいつが襲撃を指示している。
そういうことは明らかだ。

そろそろラスボスさんにご挨拶といきたい所だが――
とりあえずこの場を凌いでからにするか。
それよりも、ゾルフ辺りをとっ捕まえて事情を吐かせてみるのも……。


「――?」


俺は薄ら寒い気配を感じて、ロディマスより一歩下がる。
とたん、ロディマスや獣人が瞳から光を無くして棒立ちになり、
トロルたちの動きがピタリと止まった。
……これは傀儡の術?
これだけの数に一瞬で術に陥れるなんて――。





NEXT.

35109ドラスレ! 9とーる URL2010/5/13 20:30:50
記事番号35097へのコメント

 




第九話





「正義をっ愛すーるっ、勇者たちっにーはっ♪」

「アメリア、それ何の歌?」

「 “勇者の祈り” という歌です!」


今日も今日とて。
朝一の襲撃を退けガウリイお嬢ちゃんのぽけぽけした雰囲気と、
アメリアの熱烈正義歌唱を耳にしながら、
俺たちはお昼すぎの街道をほてほてと歩いていた。

そう……。
何だかんだと騒いでた俺たちだったが、アメリアに正義を熱く
語られることにうんざりしてしまった俺とガウリイお嬢ちゃんは、
アメリアが同行するのを結局許してしまったのだ。

まあ、根は悪い奴じゃないからな。
重度の正義オタクなだけで。

俺たちの旅にアメリアが加わったことで、ロディマスたちの
襲撃パターンも変わってくるかと思いきや。
数日経った今でも、相変わらず同じように襲撃されている。
つまりロディマスたちとやらは、こっちに誰が加わろうと関係なし。
俺があいつらの狙う “何か” を持ってる限り、襲撃は続く。

そんな面倒なもんさっさと売っぱらえば……とも思ったりするが、
俺としては真相が知りたいのだ。
そう、ガウリイお嬢ちゃんやアメリアにはまったく言わないが
俺は奴らの狙いが何なのか気になっている。

たとえ雑魚ばかりといえど、俺たちに仕掛けてくる襲撃者を
せっせと集めるのは決して楽な仕事じゃないだろう。
何せトロルたちを集める労力もいれば、魔道士を雇う人件費だって
バカになるはずがない。
なのに、襲撃者の数も力も一向に減らないのだ。

そこまでして奪いたい、俺の持つ “何か” の意味とは?

――まあ、そんな風にカッコつけて考えてみたりしたが、
結局俺はゴタゴタに首を突っこまずにいられないタチなんだな。
郷里にいた時も、兄ちゃんにはさんざん呆れられてたけど。

そんな時、俺は耳をぴくりと動かし、同時にガウリイお嬢ちゃんが
ふっと立ち止まる。
歌うのを止めたアメリアは気配を変えた俺たちにきょとんとしてから
すぐに表情をきりっと引き締めた。

一拍のあと。

少し先の茂みから二つの人影……ロディマスとゾルフが出てきた。
宿屋で襲撃されてからこっち、あいつらが直接襲撃者として
前に出てくることはなかったから、何だか久々のような気がするな。


「よう、久しぶりだな」

「……ああ、そうだな」


俺が軽く挨拶すると、ロディマスは苦虫を噛み潰した表情で答える。
確かにあれほど襲撃を仕掛けた奴があっけらかんとしてちゃ、
そんな顔にもなるか……。
俺が肩をすくめると、隣のゾルフが俺を指差す。


「……悪いがそろそろ決着をつけたいんでね。例のものを渡して
 もらいたいんだが、嫌だというなら直接奪い取ってやる。
 さあ、どうするんだ、ソフィールとやら!」


――?

俺たち三人ははしばし顔を見合わせ。
俺とガウリイお嬢ちゃんが、同時にぽんと手を打つ。
誰のことかと思ったら、なんのことはない。
こいつ、俺が最初に襲撃された時に言ったでまかせの名前を、
未だに本名だと信じてたらしい。
てっきりロディマスから本名を聞いてるものだと。

首を傾げるアメリアは知らなくて当たり前。
あの時は一緒にいなかったんだから。


「俺は、 “リナ” だ」

「……は……?」


ゾルフが俺に突きつけていた指先をへたらせながら、
ぽかんと間の抜けた声を出す。


「リ、ナ。お前に最初に言ったのは、でまかせだ」

「えっと……」

「……言うのを忘れていたな」


リアクションに困って呆然と立ち尽くしているゾルフに、
ロディマスは頭痛がするのか、頭を押さえ、眉をひそめながら言う。
とりあえず、俺の考えた相手の気を殺ぐ作戦は成功だな。
……半分以上が “地” である、という説もあるかもしれないが、
それは禁句だ。


「名前なんざどうでもいいのさ」


後ろから別の声がして、するりと目をやる。
そこに立っていたのは一匹の獣人。
顔がほぼ狼だが体は人間、ナンセンスにレザー・アーマーを着込み、
ぎらりと輝くシミターを手にしてる。
……こいつ、絶対趣味悪い!


「要はこいつから神像をいただけば、それで終わりだろ」

「ディルギア!」

「あ?」


……その上、頭も悪いと。
ロディマスの叱責に、ようやく自分が何を口走ったか気づいたらしい。

「……ああ、そういやこいつらにモノが何か言ってなかったか……。
 まあ、どちらにしろここで死ぬんだから同じことだ」

「勝手なこと言ってくれるよな」


俺はずいっと一歩前に出て、獣人に向かって鼻で笑ってやった。





NEXT.

35108Re:こんばんは。とーる URL2010/5/13 20:14:18
記事番号35101へのコメント

 
どうも、セスさん。
こちらこそ初めまして、こんばんは。
作者のとーると申します。

>女性陣がやたらとパワフル

仰る通りです (笑
特にアメリアは性格を変えず一人称を“僕”にしただけなので、
外見が見えない台詞だけの時は何も変わらないです(苦笑
時々自分でもアメリアを男にしてることを忘れます ←
その点、ガウリイお嬢ちゃんは書いていてとっても楽しいです。

物語も中盤を越えますので、ぜひお暇つぶしにでも。
コメントありがとうございました。
ではでは。

とーる

35107Re:こんばんは。とーる URL2010/5/13 20:09:06
記事番号35100へのコメント

 
どうも、kouさん。
お久しぶりです、こんばんは。
お待たせしてすみません!

>でるのか!! ナーガ!!

某悪の魔道士の出番はあるのかないのか!? ←
リナはこの時、表面通りの言葉を受け取っているので、
アメリアの言葉に何の疑問も抱いてませんが (笑
公式裏設定を知ってる方には驚きな台詞ですね。

>それよりも、ゼル。早くでてこい。

皆さん、ゼルガディスがとってもお楽しみですね (笑
焦らして焦らして申し訳ないのですが、
もうしばらくゼルをお待ち下さいませませ。
どこまでフラグは立てられ、折れるのか (待て

コメントありがとうございました!
ではでは。

とーる



35104Re:魔を滅する者フィーナ 2010/5/5 22:35:11
記事番号35102へのコメント


こんばんは。お久しぶりですセスさん。
>『海王様がご乱心です!』
>「・・・は?」
> 冥王にこんな声と表情をさせたというだけでも、この報告をした魔族は後世まで語り継がれる資格があるかもしれない――もし他者が見ていれば、そんな感想を抱くほどに、五人の腹心の中でも、最大の力を有する高位魔族は間の抜けた声を漏らし、目を点にした。
殿のご乱心でござる!
…なんかちがうよーな
>――そして。目的の場所に到着し、海王の姿を目にした冥王は表情を引きつらせた。
>「いやああああああああっ!」
> 長く豊かな黒髪を振り乱し、すけるように白いほっそりとした手に携えるは巨大な矛。
> 優雅でたおやかな外見にはそぐわぬ巨大な武器を軽々と振り回し、鬼女のごとき形相でなにやら叫び続けている。
実力で言えば、高位魔族。
それぐらいの力量はあるでしょうけど、
> 端的に言えば、壊れていた。
もしくは混乱。
海王は混乱している。(ドラクエ)
コンフェの可能性も(FF)
>「え、えーと・・・どうしたんだい?彼女」
>「わ・・・分かりません。なにやら海王様宛に贈り物があったのですが、それをご覧になってから、ああなってしまわれたようで・・・」
>「・・・」
> 冥王はしばし黙考した後。
>「・・・じゃあ、あとは君たちに任せるよ」
めんどくさそうな予感がしたんでしょうか?
あっさり放棄しようとしましたね。さすが冥王。切り捨てるのも早いです。
>『お待ちくださいいいいいっ!』
> 空間を渡ってその場を速やかに立ち去ろうとしたものの、複数の魔族にしがみつかれて断念。
>「・・・ああ・・・もう・・・分かったよ・・・じゃあ、獣王と覇王も呼んできて」
一人(ひとではないが)では無理でも、大勢集まればいい案も浮かぶ。
三人寄れば文殊の知恵。
> 眉尻を下げ、頭痛をこらえるように額に手をやりながら言ったのは、鮮やかな黄金の髪を短くまとめた女性である。
> 大柄ながらも女性らしい曲線を描く身体に纏う衣装は、海王の優美なドレスに比べればやや質素にすぎる。だがどこか近寄りがたい硬さ、刃物にも似た鋭い気品が凛とした立ち姿にうっすらと漂っている。
>「グラウは?」
>「我に分かる訳無かろう」
>「・・・えらそーに言う台詞じゃないだろ」
> 傲然と言い放つ銀の髪を持つ堂々たる偉丈夫に、少年はやや肩を落としながら突っ込みを入れた。
>「まあ・・・とにかくただ見ているだけじゃしょうがないから、どうにかして正気づかせるしかないけど・・・て何で君たち揃って僕のほう見るんだい?」
> 自分に向けられた視線にこめられたものに気づいて、少年は微かに顔を引きつらせる。
>「いや・・・この場合、汝が海王に近づいて軽く魔力波でも当てて正気づかせるのか手っ取り早いのではないかと思うのだが」
> 表情を変えないまま、しれっと言い放ったのは覇王である。
乱暴ではあるけど、それが確実なショック療法ですね。
>「なんで僕なわけ!?」
>「汝がこの中で一番力があるからだろう」
>「・・・」
>「大きな力を持つものは、それ相応の責任を帯びるものだと思うが」
>「・・・ああ、もうっ。分かったよ。まったくこーゆー時にガーヴがいれば口先三寸であの戦闘バカを丸め込んで、厄介事押し付けられたのに・・・」
ガーヴとフィブリゾの力関係がよく分かりますね。このへん。
> ぶつくさと言いながら、小さな掌を海王に向ける。愛らしい唇から緩やかに、流れるのは人ならざるものの『力ある言葉』。
>ごうっ!
>
> 瞬時に高密度に練り上げられた魔力が、波となって海王に押し寄せる。
> ――斬!
>
> 次の瞬間、海王が手にした矛で魔力波を文字通り一刀両断した。
>「・・・てうそぉ!?」
> 思わず叫ぶ冥王に向けて、海王が矛を振りかざし――
冥王の面目丸つぶれ。
ピンチだフィブリゾ海王の得物が
>ごずっ。
>
>「・・・はうっ」
> 鈍い音と共に、海王は妙になよやかな動作で倒れた。
>「・・・許せ、海王」
> そう呟くのは、いつの間にか海王の後ろに近づき、魔力をこめた拳で後頭部を殴りつけた獣王である。
なんの躊躇もなくどつくとは、やはり長年の付き合いというのは大事ってことですか?
>「・・・ふっ。終わったか」
>「何もしてないだろ、君」
> 涼しげな表情で呟く覇王に、冥王はじっとりした視線を向けながら突っ込む。
>
>「さてと、海王は贈り物を見てこうなったって言うけど一体・・・」
> 冥王の声が途切れた。
>「どうした?フィ・・・」
> 訝しげに問いかけた獣王も同じく口をつぐむ。
>「?汝らどうし・・・」
> 覇王も『それ』を目にして絶句する。
>
>それは一枚の絵だ。
>描かれているのは、一人の男。燃え盛る焔が揺らめくがごとく緋色の長髪をなびかせ、浅黒く彫りの深い顔に獰猛な薄ら笑いを浮かべている偉丈夫だ。
> その名は魔竜王ガーヴ。魔族に反旗を翻した赦されざる裏切り者。
>ただしこの場合、見たものを絶句させたのは、他の要素である。
> たくましい体躯にまとうのは・・・セーラー服である。
薄ら笑い浮かべながらセーラー……目的のためなら手段を選ぶなとは言いますけど。
これじゃ手段のためなら目的を選んでません。なりふりかまってませんね。
>
>ちゅどおおおおんっ!
>
> 三体の高位魔族は思わず、その場に膝をつく。
>「・・・こ・・・これはひょっとして・・・新手の精神攻撃!?てことは送り主はガーヴ?」
>「・・・生き延びるためとは言え、だいぶ・・・手段を選ばなくなったようだな・・・」
>「た・・・確かにこれは効くな・・・海王が半狂乱になったのも分かる・・・下級の純魔族ならば、瞬時に滅び去っていたかもしれん・・・他のものが見なくてよかった・・・」
> 与えられた精神的衝撃に、痙攣しながら呻くように呟く。
>
>その後、絵は速やかに殲滅された。
>正気に戻った海王は、ショックで記憶がとんだのか、自分が見た絵のことも、半狂乱になったことも覚えていなかったらしい。
>
>
>
>
>あとがき
>なんかしょーも無い話を書きたくなって書いてみました(をい)
こちらもしょーもない感想をかいてみました。
>ちなみにガーヴのセーラー服見た時、自分は
>「ふっ・・・効いたぜ、今の精神攻撃は・・・」
>見たいな感じで、硬直してました(笑)
私は脳みそ処理能力が停止しました(笑)


35102魔を滅する者セス 2010/5/4 20:14:24


『め、冥王様!』
 それは聴覚に触れるような『声』では無かった。
「・・・なんだい?そんなに慌てふためいて」
 なにやら切迫した感情を含んだ思念の波に、柳眉をひそめ、虚空に向かって咎めるような視線と声を発したのは一人の少年。
 緩く波を打つ柔らかな黒髪と、少女めいて見えるほど愛らしい小さな顔の中で、冷え冷えとした光を宿した大きな瞳が異彩を放っていた。
『海王様がご乱心です!』
「・・・は?」
 冥王にこんな声と表情をさせたというだけでも、この報告をした魔族は後世まで語り継がれる資格があるかもしれない――もし他者が見ていれば、そんな感想を抱くほどに、五人の腹心の中でも、最大の力を有する高位魔族は間の抜けた声を漏らし、目を点にした。
『と、とにかく魔海までいらっしゃってください!私どもでは到底手に合えません!』
「・・・わ・・・分かったよ」






――そして。目的の場所に到着し、海王の姿を目にした冥王は表情を引きつらせた。
「いやああああああああっ!」
 長く豊かな黒髪を振り乱し、すけるように白いほっそりとした手に携えるは巨大な矛。
 優雅でたおやかな外見にはそぐわぬ巨大な武器を軽々と振り回し、鬼女のごとき形相でなにやら叫び続けている。
 端的に言えば、壊れていた。
「え、えーと・・・どうしたんだい?彼女」
「わ・・・分かりません。なにやら海王様宛に贈り物があったのですが、それをご覧になってから、ああなってしまわれたようで・・・」
「・・・」
 冥王はしばし黙考した後。
「・・・じゃあ、あとは君たちに任せるよ」
『お待ちくださいいいいいっ!』
 空間を渡ってその場を速やかに立ち去ろうとしたものの、複数の魔族にしがみつかれて断念。
「・・・ああ・・・もう・・・分かったよ・・・じゃあ、獣王と覇王も呼んできて」
「はっ」


 
「で・・・どーする?ゼラス」
「う、うーむ・・・てなぜ私に聞く?」
「だって君、ダルフィンと仲いいじゃん」
「いや、それはそうだがこんな風になった彼女を見るのは私も始めてでな・・・」
 眉尻を下げ、頭痛をこらえるように額に手をやりながら言ったのは、鮮やかな黄金の髪を短くまとめた女性である。
 大柄ながらも女性らしい曲線を描く身体に纏う衣装は、海王の優美なドレスに比べればやや質素にすぎる。だがどこか近寄りがたい硬さ、刃物にも似た鋭い気品が凛とした立ち姿にうっすらと漂っている。
「グラウは?」
「我に分かる訳無かろう」
「・・・えらそーに言う台詞じゃないだろ」
 傲然と言い放つ銀の髪を持つ堂々たる偉丈夫に、少年はやや肩を落としながら突っ込みを入れた。
「まあ・・・とにかくただ見ているだけじゃしょうがないから、どうにかして正気づかせるしかないけど・・・て何で君たち揃って僕のほう見るんだい?」
 自分に向けられた視線にこめられたものに気づいて、少年は微かに顔を引きつらせる。
「いや・・・この場合、汝が海王に近づいて軽く魔力波でも当てて正気づかせるのか手っ取り早いのではないかと思うのだが」
 表情を変えないまま、しれっと言い放ったのは覇王である。
「なんで僕なわけ!?」
「汝がこの中で一番力があるからだろう」
「・・・」
「大きな力を持つものは、それ相応の責任を帯びるものだと思うが」
「・・・ああ、もうっ。分かったよ。まったくこーゆー時にガーヴがいれば口先三寸であの戦闘バカを丸め込んで、厄介事押し付けられたのに・・・」
 ぶつくさと言いながら、小さな掌を海王に向ける。愛らしい唇から緩やかに、流れるのは人ならざるものの『力ある言葉』。
ごうっ!

 瞬時に高密度に練り上げられた魔力が、波となって海王に押し寄せる。
 ――斬!

 次の瞬間、海王が手にした矛で魔力波を文字通り一刀両断した。
「・・・てうそぉ!?」
 思わず叫ぶ冥王に向けて、海王が矛を振りかざし――
ごずっ。

「・・・はうっ」
 鈍い音と共に、海王は妙になよやかな動作で倒れた。
「・・・許せ、海王」
 そう呟くのは、いつの間にか海王の後ろに近づき、魔力をこめた拳で後頭部を殴りつけた獣王である。
「・・・ふっ。終わったか」
「何もしてないだろ、君」
 涼しげな表情で呟く覇王に、冥王はじっとりした視線を向けながら突っ込む。

「さてと、海王は贈り物を見てこうなったって言うけど一体・・・」
 冥王の声が途切れた。
「どうした?フィ・・・」
 訝しげに問いかけた獣王も同じく口をつぐむ。
「?汝らどうし・・・」
 覇王も『それ』を目にして絶句する。

それは一枚の絵だ。
描かれているのは、一人の男。燃え盛る焔が揺らめくがごとく緋色の長髪をなびかせ、浅黒く彫りの深い顔に獰猛な薄ら笑いを浮かべている偉丈夫だ。
 その名は魔竜王ガーヴ。魔族に反旗を翻した赦されざる裏切り者。
ただしこの場合、見たものを絶句させたのは、他の要素である。
 たくましい体躯にまとうのは・・・セーラー服である。

ちゅどおおおおんっ!

 三体の高位魔族は思わず、その場に膝をつく。
「・・・こ・・・これはひょっとして・・・新手の精神攻撃!?てことは送り主はガーヴ?」
「・・・生き延びるためとは言え、だいぶ・・・手段を選ばなくなったようだな・・・」
「た・・・確かにこれは効くな・・・海王が半狂乱になったのも分かる・・・下級の純魔族ならば、瞬時に滅び去っていたかもしれん・・・他のものが見なくてよかった・・・」
 与えられた精神的衝撃に、痙攣しながら呻くように呟く。

その後、絵は速やかに殲滅された。
正気に戻った海王は、ショックで記憶がとんだのか、自分が見た絵のことも、半狂乱になったことも覚えていなかったらしい。




あとがき
なんかしょーも無い話を書きたくなって書いてみました(をい)
ちなみにガーヴのセーラー服見た時、自分は
「ふっ・・・効いたぜ、今の精神攻撃は・・・」
見たいな感じで、硬直してました(笑)



35101Re:ドラスレ! 8セス 2010/4/30 20:58:32
記事番号35097へのコメント

はじめまして、セスと申します。
>
>
>「お二人に会った時、僕には分かりました。何かがどこかで動いている。
> それはどうやらお二人も関わっている――僕は最後まで見届けたい!
> それが悪ならば鉄槌を下すのみ! すなわち、僕はお二人と旅を
> 共にする運命にあるのです!」
>
>
>何だそれ。

スレイヤーズは、女性陣がやたらとパワフルなので、男になってもあまり違和感無い気がします・・・(笑
続きを楽しみにしております

35100Re:ドラスレ! 8kou 2010/4/29 16:36:18
記事番号35097へのコメント

 おひさしぶりです。とーるさん。おまちしていました。
>「魔王退治と一緒に、行方不明の兄を探してもいるんですけどね」
 でるのか!! ナーガ!! つか、男でどんな格好しているんだよ。
 突っ込みどころの多すぎる台詞です。
>
>そう言って笑ったアメリアというにーちゃんに、
>普通はそれが一番の理由だろうと思いつつも何も言わなかった。
>とりあえず治療の礼を言って、さっさとアメリアを追っ払うことにした。
>もしかしたら正義がどーだの悪が何だのとごちゃごちゃ言って
>譲らないだろうとも思っていたら、そういうことに関しては
>どうも察しは悪くはないらしい。
>にっこりと笑ったアメリアは、お休みなさいと部屋を出て行った。
 でも、簡単に引きはがせれないと思うぞ。
 実際に、あとでついて行くことになりましたしね。
 それよりも、ゼル。早くでてこい。
 ナーガ。あんたでるのか!!
 ゼロス こののりなら、あんた女か?
 たぶん、男だシルフィーユ
 出てくるのか。でてこないのか解らない方にいつ出てくるのかどきどきしていたり、出現フラグが急に立った方と楽しみです。

35097ドラスレ! 8とーる URL2010/4/29 16:11:18


 




第八話





「魔王退治と一緒に、行方不明の兄を探してもいるんですけどね」


そう言って笑ったアメリアというにーちゃんに、
普通はそれが一番の理由だろうと思いつつも何も言わなかった。
とりあえず治療の礼を言って、さっさとアメリアを追っ払うことにした。
もしかしたら正義がどーだの悪が何だのとごちゃごちゃ言って
譲らないだろうとも思っていたら、そういうことに関しては
どうも察しは悪くはないらしい。
にっこりと笑ったアメリアは、お休みなさいと部屋を出て行った。


「あー、面倒なことになったなー」

「リナ……」


じっとりと不満そうな目でガウリイお嬢ちゃんが睥睨するが、
俺はするっと無視した。


「それにしても、リナ、どうしてあんな無茶な値をつけたの?」

「じゃあもしも、俺があいつらに適正な値段で “もの” を売ってたら、
 お嬢ちゃんは俺を褒めたか?」


ガウリイは苦笑して、首を軽く横に振った。
俺はそれに肩を竦めて笑い返しながら、ぐぐんっと腕を伸ばす。


「さーて、今日はもう寝るか。睡眠不足は成長と健康の敵だ」


言うと、ガウリイお嬢ちゃんも頷いて――。

俺は思わずお嬢ちゃんの行動を目で追う。
ガウリイお嬢ちゃんは部屋の扉を閉めて鍵をかけると、
すみっこの方に予備のシーツを広げてゴロンと横になった。


「……おーい、お嬢ちゃーん? ここは俺の部屋だぞー」

「知ってるわ」

「……」


思わず無言になる俺。


「また夜襲をかけられるかもしれないでしょ」

「けどこの部屋にいたって……」

「一人より二人の方が心強いでしょ? だってリナは私の護衛で、
 私はリナの傭兵よ?」


いつからそんなことになったんだろうと俺は思う。
確かに俺を護衛と呼んでここまで引っ張ってきたのは
ガウリイお嬢ちゃんではある。
とはいえ、このほけほけしたお嬢ちゃんは、
本当に危機感ってものが欠落してるんじゃなかろうか。


「……分かった。ならベッドに寝ろよ、俺が床で寝る」

「私が押しかけたのよ、出来ないわ」

「はいはい」


これ以上の説得は無駄だと悟り、俺はお嬢ちゃんとベッドを挟んだ
反対側の床にマントを敷いて横になる。
すると、俺のそんな行動に気づいたガウリイお嬢ちゃんが
怪訝そうに問いかけてくる。


「ベッドで寝ないの?」

「ぬくぬくと眠れると思うなよ」

「……怪我してるのに」

「治った」


いつもの俺ならば、相手が男だろうと女だろうと構わず
ベッドを占領して眠っていたはずだった。
だがさすがに、お嬢ちゃんが相手であるからかそうするのが憚られる。
こういうこと考える俺って、本当に繊細だよな。


「おやすみ、お嬢ちゃん」

「お休みリナ。いつお嬢ちゃんって止めてくれるの?」


俺はお嬢ちゃんの言葉を無視して眠りに落ちた。





翌朝、俺たちは宿を出たあとすぐに町を出る。
何度も同じ町で、面倒な襲撃を受けるわけにもいかないからな。

街道を歩いてしばらくすると、やっぱりというか何というか
バーサーカーの一群に俺たちは囲まれた。
晴れてぽかぽかした陽気の下で争いごとってのは、
あんまり気分は良くないが仕方ない。
ちらりと視線を交わしてお嬢ちゃんと背中合わせになる。

そこに。


「ファイヤー・ボール!」



チュドゴンッ!



いきなり攻撃呪文が炸裂し、バーサーカーたちの間で爆発する。
そのあといくつかの爆発音が響き少しすると
バーサーカーたちは倒れ、中央には青年が胸を張って立っていた。
昨日の、アメリアという正義おたく。


「大丈夫ですか?」

「あ、ああ」


にっこりと笑ったアメリアはこっちに向かってくると、言ってのけた。


「僕と “正義” 、しませんか!?」

「はあ?」


思わず俺とガウリイお嬢ちゃんは目を丸くして異口同音。
正義しないかって、何をとっぴょーもしないことを
言ってくるんだ……このにーちゃんは。
本当に関わらない方が身のためな気がしてきた。


「お二人に会った時、僕には分かりました。何かがどこかで動いている。
 それはどうやらお二人も関わっている――僕は最後まで見届けたい!
 それが悪ならば鉄槌を下すのみ! すなわち、僕はお二人と旅を
 共にする運命にあるのです!」


何だそれ。




NEXT.

35096Re:遅くなってすみません!とーる URL2010/4/29 15:58:09
記事番号35066へのコメント

 
こんにちは、井上さん。
お返事遅くなって申し訳ありません!!

一巻だけだとアメリアがまったく出てこないので、
アメリアを出すがためにどうしようか考えてみてから
漫画版の展開を強引に持ってきてしまいました。
そうすればアメリアは最初から一緒なのです (笑
頑張りますので、どうぞお待ち下さい。

殿下……はてさて、殿下には出番があるのかないのか……!!

とーる


35087リナとある吟遊詩人と雑誌記者の珍道中 序章手品師 2010/4/19 20:46:51


初めまして、自分は手品師と申します。
スレイヤーズの二次元小説は初めてですが、コメントをくれたらとっても嬉しいです。



 この話はあたしがナーガと離れた少し後のレストランであった出来事である。

「リナ=インバースさんよね?」
 と、彼女はあたしに向かって言った。見た目から見える年の割には幼げな笑顔で…。
 一緒に居るのは、いかにもというような吟遊詩人の青年であった。背中にはリュートを背負っている。
「そうだったら、なんなのよ?」
 あたしが少しいぶかしげに言うと、彼女は笑顔であたしに依頼をした。
「実はあなたに依頼をして欲しいの。報酬は良いし、おいしいご飯もタダで食べられるわよ?」
「何ですって?」
 最後の言葉にきらりとあたしの目は光る。おいしいご飯を無料で食べられる。これは文字通りおいしい仕事。
「話を聞いてみるわ…」
 あたしがにんまりと笑って言うと、彼女と青年は満足そうな笑顔で頷いたのだった…。

 これがあんな事件になるとはあたしも彼等も知らなかったであろう……。

35079またまたありがとうございます〜!CANARU URL2010/4/4 10:52:33
記事番号35078へのコメント

またまた早速の感想をありがとうございます〜〜!
ヌンサ・・・・!
気がついたらお約束どおり食われていました(汗)
そして白い手のガウリイ〜〜!!
「黄金の髪のガウリイ」には強敵になりそうな予感が(苦笑)
続きもマイペースにですが頑張って書きたいと思います!
ありがとうございました!

35078ライバル登場!P.I 2010/4/3 23:55:31
記事番号35077へのコメント

CANARUさん、こんばんは!
またまた読ませていただきました♪

4悪人(マイナス1・笑)の悪巧みは、ことごとくガウリナの食欲の前に敗れ去ってしまいましたね!
哀れヌンサ・・・食いモノ決定!!(爆笑)ガウさんに狩られるとは、彼は一体どこで何してたんだ!?
そしてついに「白い手のガウリイ」登場!思わぬオリキャラライバルにガウリイはどう立ち向かっていくのか?・・・って、相手は子どもですけど(笑)、リナがすごく気に入ってる様子なので相当手強そうですね。がんばれ、ガウリイ!!
続きを楽しみにしています!
CANARUさんも頑張ってください!(^0^)

35077Going under 3CANARU URL2010/4/3 23:27:02
記事番号35072へのコメント

サイラーグに上陸を果たしたガウリイを一目見るなりに。
シルフィールは喜び勇んで「婚約」を決意したのでした。

無論、彼女とて気がつかないわけは無かったのです。
後々、そのことがサイラーグ4悪人に利用されることとなってしまうのですが・・。
その話はすぐにに語ることとして。

「リナ!あれはナンなんだ?」
「フラグーン城よ。勇者であったあたしの父親が・・。シルフィールの父上の妹だった
あたしの母親を娶ったところ」

「で・・これは?」
「あら。目が高いわね。アタシの父親の彫像よ。この町に現れた敵軍が連れていた・・。
『ザナッファー』という獣をアタシの受け継いだ『ラグナ・ブレード』で倒したときの姿よ」

「へえ・・じゃ、リナは俺の国のドラゴンをやっつけたし。同じだな〜〜♪」
「・・アンタだってやろうと思えば倒せたんでしょう?それに・・。アタシの父ちゃんと母ちゃんと
姉ちゃんはゼフィーリアのド・インバースよ。あたしはあくまで・・シルフィールの家臣なんだから!」

小突くように話しかけてくるガウリイをシルフィールの方向にリナは顔を向けさせました。
それなりに(事前にリナに言い含められていることもあり)彼女には礼儀正しく振舞うものの。
明らかにリナに対する態度のそれとは違います。

「よろしいのですか?マダム!」
ここぞとばかりに悪人の一人にし、シフリィールの従兄弟であるゼロスが話しかけてきます。
「リナさんはガウリイ様をこの国へと連れてきた人ですし。偏に私がガウリイ様と出会えたのもリナさんのお陰ですわ。
2人が親しいのは当然の事でしょう?」

シルフィールは後々までに2人に・・自分の心を僅かに殺しながらも斯様な寛大さを示すのです。
心無い作家はこう書き立てました。

「シュヴァリエ・リナ・ド・インバースと黄金の髪のガウリイが飲み干した杯。
処罰を恐れたルークがこっそりとその残りを小瓶からかき集め。
シルフィール女王に飲み干させた。従い、彼らの間には奇妙な親愛が芽生えたのだ」と。
しかし、シルフィールの真心は・・・。

リナに対する真の愛情からよるものなのでした。

「何となく、きな臭い感じがしますね・・・」
こそこそと話し合いをしている4悪人をクイと顎で指し示しながらミリーナが呟きました。
「ええ・・右からシルフィールさまの従兄弟でもあるゼロスさん。リナさんとは血は繋がってはいませんが・・。
そして・・・その隣が愚か者で有名なヌンサさん・・・」

アメリアがこそこそっと説明する言葉の間に。

「えらく美味そうなヤツじゃないか・・・???」
このルークの言葉も後々、この悪人に対して現実のものとして降りかかることとなるのでした。

「そして。その隣がズーマ、最後の一番左がフィブリゾだ」
アメリアに続き、ゼルガディスが説明をします。

「私たちは。あの人たちからガウリイ王子を。そしてリナさんを守らなければならないでしょうね・・」

「ええーー・・出来ればオレは係わり合いにはなりたく・・・」

「貴方の不始末です!ルーク!」
「えぐぐぐぐぐ・・みりーなーーーーー!死だ〜〜!やっぱり連中が飲んだのは死だー!!!
呪われろ!やつらが薬を飲んだ日を〜〜〜〜〜〜〜!!」
「・・・貴方が生まれた日こそ呪ってください。ルーク」

ミリーナの言葉にルークはただただ、哀しみの涙を流すのでした。


さて。(リナにそのつもりはまったく皆無だとしても)4悪人達はといえば。
「明らかにあのリナ・ド・インバースと女王の夫となる予定のガウリイの関係には怪しい物がある!」
と。
2人を貶めるべく、その決定的な証拠を掴み取る作戦に出るのでした。
そこで、フィブリゾが口を開きました。
「僕の知っている人物にあやしい妖術を操る『レゾ』という人物が居る」
かの人物ならば。
星の動きを読み、魔術を操り、リナとガウリイを放逐させる徹底的な証を得る手助けをしてくれることでしょう。

早速4悪人は大喜びでレゾを彼らの集まる屋敷に呼び寄せるのでした。
やがてレゾはなにやら金星とオリオンの星の運行を算出し・・・・・。
水面に映し出された残像を眺めながら4人に告げたのでした。

「今宵、丑の刻。リナ・ド・インバースとガウリイ王子が。フラグーン城の中庭で・・・・。
密会を果たす場面が見受けられます」

これぞ徹底的な証拠にほかならぬ!
4悪人は喜び勇んでその事実をシルフィール女王に密告をし・・・。
気乗りしない女王を中庭の一目のつかない場所に強引に連れ出して彼らを待ち受けるように告げたのでした。


「・・・・・・・・・起きているヤツは居ないわね・・・」
夜半。
リナの詰める部屋は女王の寝室のすぐ近くにあり、必然警護に当る騎士も近隣の部屋に大勢詰めては降ります。
だが・・今日は運良く全員が寝入っている様子です。
それもそのはず。

アメリアの姉にして・・・セイルーンの隣国、ルヴィナガルドの第1王子に嫁いだグレイシアがアメリアに会いに北という名目でこの城に訪れたのです。
リナの立場は「シュヴァリエ」(騎士)であり、アメリアの姉君と話す機会には恵まれませんでしたが・・・。

「あの4悪人が私を陥れるため。シルフィールに迷惑を掛けることがあるならば・・・」
かの大女王の嫁ぐルヴィナガルドに仕官してみるのも良いかもしれません。

何はともあれ・・・いまはそれどころでは有りません。
ただただ・・・情熱に駆られるままにリナは中庭に向かいます!!

そう・・そこには・・・・・・!!!!!!


「・・・・・・・・・・・・・・・・どうしても・・・どうしても・・・・・」

そう・・そこには・・・どうしても・・情熱が求めるままに向かわなければなりません!!!


バタンと扉を開け放ち、中庭に至ったリナは真っ先にそこへと走っていきました!


「果物〜〜〜おおーーーーーーーー!!お腹すいて眠れなかったじゃないのよおおお〜〜〜!」
そうなのです・・・・。

「グレイシア様をお迎えする御席」にあり・・・。

「マナーマナーで!いつもみたいに・・・」
「いっぱいご飯食べるなんて出来なかったもんなあ・・・・・」

この季節。たわわに実った美味しい果実が中庭にはたっくさんあります!
恐らくガウリイも目的は同じだったのでしょう!

「リナ〜〜♪この桃、美味しいぞ〜〜」
「こっちの梨だって美味しいわよ、ガウリイ。ラ・フランスもなかなかいけるわねえ〜〜♪」

と、偶然同じ目的で出会ったリナとガウリイはむさぼるように中庭の果物を食べ荒らしました。
そして・・・・。
その姿をそっと見つめるシルフィールは安心したかのように微笑みました。
「リナさん。ガウリイ様・・。明日の朝ごはんはたっくさん用意するように伝えておきますわね♪」
つい先程。グレイシアにも食事の量が少なかったと抗議を受けたばかりということもありますが。

何よりも本当に楽しそうに笑いながら・・まるで邪心など無い2人をどうして罰することが出来るでしょう?

「・・・まったく・・・」
年上のクセに。「弟」がいたらこんなカンジなのかしらね?
果物を頬張るガウリイを見ながらリナは現段階ではそんな優しい愛情を感じてただただ苦笑するのでした。
そして・・・。
それと同時にある決心を固めたのでした。


そしてその頃。
レゾの星読みによって悪人達は己の企みが見事に失敗したことを知ったのでした。
だが、そんな事で彼らは諦めるようなことはありませんでした。


「どうかアタシを、ルヴィナガルドのグレイシア大女王にお仕えする事をお許しいただけないでしょうか?」
翌日の朝。
たっぷりと出された朝食を頬張った後、リナはシルフィール女王に直接のお願いをしにあがりました。

「それは・・何故ですの?リナさん・・・!」
「私自身の見聞を広げるためにです。どうぞお許しください!」
クイっとリナはシルフィールにだけ分かるように『悪人たち』の方向に視線を走らせるのでした。
そうです。
昨日リナは隠れていたシルフィールを・・そして・・・。
影でコソコソと何かを企んでいた悪人達の気配にも(ルナの特訓によって)気がついていたのでした。
そして何よりも・・・。
まるで「弟」のように思っているにせよ・・・・。
(所詮「姉」では・・「弟」に最終的に愛情だけで幸せは与えられるものじゃないものね・・)
少しだけ寂しい思いを抱きながら・・視線には出さずその場に居るガウリイのことを思い描くのでした。

「分かりました。どうかリナさん。蔵に入って好きなだけの品をお持ちください。けれども・・・。
このサイラーグと私自身の身が。危機に瀕したときは戻ってきてくださると約束してくださいますか?」
すがりつくようなシルフィールの視線に。
「お約束いたします。近日中には発たせていただきますが・・。貴方のことはわが身に変えてもお守りいたします」

無論その言葉が。
永久的にリナを追放したい悪人どもが何かを仕掛けてくることは明らかだとしても。

「・・・・なんだよ・・・リナのヤツ!」
唯一人、やはりガウリイは釈然としない思いでシルフィールに頭をたれるリナを眺めていました。
・・・今日はオレは狩に出かけて・・・。
思いも寄らない手傷を負って血を流しているというのに・・・・・!
それを、自分で何とかできるでしょう?さもなけれシルフィールに治してもらいなさい。
そんな冷たい言葉で済ませてしまうなんて・・・。
けれども考え直してみれば・・・・。

「やっぱり、寂しい思いでお分かれるのだけはイヤだよな・・」
いずれリナは帰ってくるにしても。それだけは辛すぎます。
さて、リナが喜ぶことといえば・・・・・・・・・?????


さて。このとき。
レゾは町のパン屋にいたり、大量の小麦粉を購入するにいたりました。
それを。
ガウリイとリナの部屋の間の廊下に・・夜間には見えなくなることを見越してばら撒くように零していきました。
「今夜でリナ・ド・インバースはサイラーグから旅立ちます。ならば・・ガウリイ王子は彼女の部屋を訪れることでしょう!
その時、ここにその足跡が浮かび出ているはずです!」
かくして・・・・・。

「なんだよ!この小麦粉!ばっちぃなあ〜〜〜!よいっしょっと!!!」
夜目の聞く上、運動神経の抜群なガウリイは自室からリナの部屋に至るまでにばら撒かれた小麦粉をいとも簡単に飛び越えたのですが!

そのときでした。
意地を張って治療しないまま放っておいた、狩りで受けた傷から鮮血がほとぼりだし小麦を赤く染めたのは!

こんこん!!こんこんこん!!!

「はい・・・って!どうしたの?ガウリイ!」
ドアの外に立っているガウリイを無論リナは自室に招き入れるハズがありません。
「いやな・・今日でお前とも当面お別れだろ?だから・・・」

見ればガウリイは大きな風呂敷包みと弓矢を背負っているでは有りませんか?
不審そうな表情で問いかけるリナにガウリイはがさごそっとと大きな風呂敷包みを開け放ち。

「『コレ』を一緒に食おうと思って!今日行った狩で弓矢で射止めてさっきまで焼いてたんだぞ〜〜♪」
「ををををををををを!!性格は兎も角!美味しそうじゃないの!ガウリイ〜〜〜〜♪」

ガウリイが風呂敷包みから取り出したもの!ソレは!!!
「4悪人」の1人(?)、ヌンサの美味しそうに変わり果てた姿のなのでした!!!!

確かにリナはガウリイを自室に招きいれようとせず・・こそれは密会の証拠にはなりませんでしたが。
しかし・・・!

「ああ!ヌンサ殿!道理でこの話を書いているヤツがリナ・ド・インバースがシルフィール様にルヴィナガルドに行かせて欲しいと御前会議で言ったとき!
『悪人たち』としか表記されていなかった訳ですよ!!」
「ガウリイ王子が狩に出かけて帰ってきた時点から姿が見えないとは思ったが!!」
「まさかあんな変わり果てた姿になっていたとはね・・僕達、コレから『3悪人』って訳?」
「だが!!これでガウリイ王子を『ヌンサ殿謀殺罪』・・・強いてはリナ・ド・インバースも同罪として裁きにかけることが出来るではないか!!?」

その動かぬ証拠に彼らの部屋の前の廊下にまかれた小麦粉にはガウリイの血痕が垂れ流されているではありませんか!

ヌンサを食していたリナとガウリイは飛び出してきた『3悪人達』に『ヌンサ謀殺罪』とその共犯者としてその場で取り押さえられることとなってしまったのでした。

こうなってしまっては!
さしものシルフィールにも彼らを助け出す力は残されては居ませんでした。


茨を大量に積み上げた美しい刑場でリナは縛り上げられ・・・。
「共犯者」として火あぶりの刑罰に処される運命をただただ享受するのみ・・・かと思われましたが・・・。

「まあ、やろうと思えば何時でも脱走は出来るけれども・・・」

「力の無い私を許してください!リナさん!!!!」
縋り付いて泣いてくるシルフィールを見ればどうしてもそんな気分にはなれませんでした。

第一、この孤独かつ、辛い地位に立たされた女性には・・・。
「絶対に彼女を支えてくれる存在が・・・必要だモノね・・・・」
それが「弟」のようであるガウリイであると思えば・・・・・。安心は出来ます。
内には3悪人達、外には豊かなサイラーグを狙う国々・・それを守らねばならぬのは賢明ながらも非力な彼女1人なのです。
守って差し上げたい。
そう思うと同時に、それは自分の役割ではなくガウリイであると思うとなぜかリナの胸は軋みを上げました。
自分の無実は脱走することによって自分で勝ち取れますが。
あくまで公衆の面前でガウリイの冤罪を晴らさなければなりません。

このままでは彼はシルフィールを守るどころか、車裂きの刑罰を言い渡されることでしょう!
ならば・・・・。

「アタシ自身の無実も含めて!ガウリイには神聖裁判を受けてもらうことを提案したいわ!!」
ザワリっと裁判官、3悪人を始め。
茨の柱に括りつけられたリナを哀れと思いながら眺めていた群集たちがざわめきました。

神聖裁判とは。

スィーフィードの名にかけて。
無実ならば炎で熱した鉄を手にしても焼けど一つせず、傷つかず・・皮膚が綺麗なままである。
逆に、大罪を犯したのであれば。手は焼け焦げ・・・得も知れない苦痛を味わうという神に裁きを委ねた裁判方法なのでした。


「ならば!!リナ・ド・インバース対する感情。そしてシルフィールさまへの裏切りの感情を含め!!!
ヌンサ謀殺の件についてガウリイ王子に対して神聖裁判を要求する!」
3悪人の1人、ズーマが高らかに要求をするのでした。

「分かった!受けてたつ!証人は其処に居るアメリア王女にその従者であるゼルガディス!必要であるなら彼らの父上ににして君主のフィリオネル殿下の
名前にかけても構わない!・・・・第一!オレはリナが本当に好きなんだ!それの何処がいけないんだ?シルフィールに対しても敬意を持っている!
彼女はこの国を一生懸命守っているし!絶対にそれにはリナは不可欠な人物だ!そして・・・ヌンサに関しては・・・」
はあっ、とここでガウリイは一息ついて・・・・。

「アレに関して言えば・・・。なあ・・ダレが何といおうと・・・『食い物』だろ・・・???」

そっと焼け焦げた鉄を握り締めたガウリイ。
そして・・・・・。

その手には・・一切の傷跡は見受けられず、無実を指し示す美しい皮膚が見受けられるだけなのでした。


やがて、リナは茨の柱から解放されました。


けれども。リナはやはりサイラーグを離れてるヴィナガルドへと向かう決意を固めたのでした。
そして・・そのためには・・・。

「やっぱり軍資金が必要よね!!世話になったシルフィールの蔵からお金を貰っていくもの悪いし!!
と・・ゆーわけで!!!ファイアー・ボール!!フレア・アロー!!ちゅっど〜〜〜〜〜ん!!!」
運良く(?)最近サイラーグに現れた盗賊を撃滅し、お宝を頂戴すべくリナは最後の大暴れをこの国の森でするのでした!

「はあ〜♪おったから〜おったか〜〜ら!ざっくざく!!!今日は色々有って疲れたわね・・・」
さしものリナも今日一日の災難を思い返すに至り、疲労困憊でその場で眠りについてしまいました。

やがて。
リナの放った攻撃呪文を目印に疲れ果てた身体を引きずりながらガウリイもその場に到着しました。
そして・・・。

「まったく・・・本当に行っちまうのかな・・こんなにお宝溜め込んで」
すやすやと眠るリナに苦笑しながらもガウリイ自身不意に疲れを感じて・・・・。

世間一般的にこの思いが駄目だというのなら。そして・・リナ自身を窮地に陥れてしまうとするならば。

ズシャっとリナの腰に帯剣していた「ラグナ・ブレード」を借りて地面にガウリイは突き立てて。
その剣を隔てる形でゴロシっとリナの横に寝転んで高いびきをあげるのでした。

そっと、城を抜け出してその光景を眺めていたシルフィールの心は複雑ながらも和むものでした。
彼女はそっと、リナのラグナ・ブレードを二人の間から抜き取り。
神聖な宝物でもあるかのようにそっと手にとって眺めるのでした。
刃のかけたリナさんの剣。この国を守ってくれた剣。最愛の従姉妹の剣・・・・。

やがて彼女はそっと自分の指輪を抜き取って2人の頭上に置きました。
「欠けた剣では不便なことでしょう・・・」
リナのために。かつて彼女の父にしてこの国の勇者であった人物が所有し・・・。
今ではサイラーグの守り刀となったザナッファーを倒した剣、「ゴルンノヴァ」をそっとリナの傍らにシルフィールは置いてその場を去るのでした。


目を覚ましたリナは傍らにゴルンノヴァが。そして・・頭上にはシルフィールの美しい指輪があることに気がつきました。
そのて、改めて覚悟をするのでした。
「やっぱりシルフィールには貴方が必要なのね・・」
何処となく寂しい思いを引きずりながらもリナは眠るガウリイを残し、「ゴルンノヴァ」とお宝を引きずりながらサイラーグからグレイシア大女王の下に向かっていくのでした。


その頃。グレイシア大女王が嫁いだルヴィナガルドはかつてのサイラーグの敵国、「カタート」の残党に攻め込まれ危機的な状態に陥っておりました。
「おーほほほほほほほ!ふ!きてくれて嬉しいわ!リナ・ド・インバース!!」
ふっと黒い髪を掻き揚げながらグレイシア女王は言い放ちます。

「喜んで嬉しいけど・・。何でカタート残党は貴方の国に攻め込んできたのかしらね・・?ナーガ?」
(それなりに)仲良くなったグレイシア女王に対してリナは愛称で問いかけました。

「おーほほほほほほ!ふ!この私の美しさに嫉妬してに決まっているじゃなくて!!」

「・・・・・そーなの・・・・・????」
「そーーーなの!!!!!」
まあ、このヘンは不問にすると申しまして。

「何はさて置き。私の夫の家族を紹介するわ!此方はお姑さん、でもって、此方が先代の国王!」
隠居をした元国王夫妻をいかにも気軽な感じで紹介するナーガにさしものリナも苦笑します。

「で、これが・・夫の年齢の離れた弟よ?」
ナーガが続いて指し示した人物にリナの目は釘付けになってしまいました。

そんなリナを知ってか知らずか、ナーガはなおも気楽な調子で続けました。

「御覧なさい!この可愛らしい手を!人は彼の事をね・・『白い手のガウリイ』と呼んでいるのよ!」
白い手の・・・ガウリイ!!!?
その名前にリナの心は跳ね上がるような衝撃を覚えました・・・。

それって・・それって!!!!












「きゃあああ〜〜〜〜ん♪可愛い、可愛い♪可愛い〜〜〜〜〜!!!」
ひしっと!!
「白い手のガウリイ」と呼ばれた・・・・・。





そのちっちゃくってぷにぷにした可愛らしい黒髪の小さな男の子を抱きしめてリナは頬擦りしてしまうのでした!

「おーほほほほほほほほ!そうでしょう!そうでしょう!!!」

「こりゃ!「弟みたい」って思った「黄金の髪の」ガウリイより可愛いわあ〜〜〜♪」





やがて。「白い手のガウリイ」は敵国からルヴィナガルドを守りにやってきたリナにとっても懐くようになりました。
あまつさえ「大きくなったらリナと結婚する!」と言い出す始末に周囲のモノは目を細めて噂をしあうようになるのでした。

そして・・・・・。

「リナが・・・・・リナが・・・・・・・・・」
どっかの国のオレと同じ名前の王子と結婚だと!!!!!!!!!!???
詳細を知らないガウリイは届いた噂を耳にして・・ただただ衝撃を受けるだけなのでした・・。

35075ありがとうございます〜〜!CANARU URL2010/4/2 00:44:14
記事番号35074へのコメント

早速の感想、ありがとうございます〜〜!
人望ないガーヴ(笑)
社会的にも「若い女の子の方が所詮人望ある」という私の学んだ事実から結局こんな形になってしまいました(苦笑)
頭にラグナ・ブレード・・・。
伝説以上に痛そうですね!!(苦笑)

次回、ますまるリナちゃんはガウリイに振り回され&絶叫する予定です〜!
伝説も読み進めていきますね!

ありがとうございました〜!


<<< BACK 4 / 5 NEXT >>>

MENU 大辞典  [登録方法] 全著者リスト
投稿小説1の過去ログ 投稿小説2の過去ログ
修正・削除 依頼 投稿の仕方 表示設定
▲TOP