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35074お久しぶりです!P.I 2010/4/1 23:52:53
記事番号35073へのコメント

CANARUさん、こんばんは!
こちらではお久しぶりです〜(^0^)

ガウリナでトリスタンとイズー・・・、あまりシリアスにはなりよーがない気がしますね(^^;)
さて、ろくな従兄弟がいないシルフィールも、女装させられてドラゴン退治の賞品にされたガウさんも、どっちも哀れすぎて笑えますが(マテ)、一番面白哀しいのはやはり頭にラグナ・ブレードの刺さったガーヴさんでしょうか。想像すると痛そうなのに・・・(大笑)しかも人望ないし・・・(爆笑!)
惚れ薬の全く効かなかったリナちんと惚れ薬で余計にヒートアップしたガウさん、サイラーグに着いたら一体どんな騒動を起こすんでしょうね?続きを楽しみにお待ちしていますよ〜!

35073Going under 2CANARU URL2010/4/1 11:53:28
記事番号35072へのコメント

さてさて。
小国でありががらもこのサイラーグは豊かな国でありました。
無論、独身の女王であるシルフィールの婚姻問題に関しては。

内の貴族との婚姻をすれば一つの門下が莫大な権力を握ることとなり・・。

かといって外国との政略を望めばこの国が併合されることとなりかねません。

「ならば私は・・・」

生涯独身を通し、最愛の従姉妹であり・・・。
このサイラーグの恩人である若年のリナ・・そして後々生まれるであろうその子孫へ。
王権を継承させることを彼女は真剣に思い始めたのでした。

しかし・・・。
それを良しとはしない、リナを憎む4人の貴族達が王宮で権力を握っているのでした。

一人は「ヘルマスター」の異名を持つフィブリゾ。

もう一人は(これこそ運の悪いことに)リナ同様、シルフィールの従兄弟にあたる神官ゼロス。
その証拠に、彼はシルフィールとよく似た黒髪を持っているではありませんか。

乱暴ものとして有名な将軍ズーマ。

そして・・愚か者で有名なヌンサでした。

彼らはこのままシルフィールが領土をリナ、ひいてはその子孫に譲るようなことがあってはならない。
そう強行に主張し。万が一主君が進言を受け入れなければ領地に引き上げ、叛乱を起こす構えとシルフィールに詰め寄りました。

が・・・リナとてありもしない野心を疑われるのは心苦しいこと。
「是非ともご結婚を考えてください!シルフィール」
さしもの最愛の従姉妹であるリナを窮地に陥れるつもりはシルフィールにはありません。

「わかりました。ただし・・私の要望を2つだけお聞き入れくださいますか?」
口では「結婚する」と言いながらも釈然としない気持ちの彼女は「バーレスク(茶番劇)」の形だけ・・。

そんなつもりで進言を受け入れる素振りをし、条件を2つ出しました。

ひとつめは。
「『かりそめ』の結婚の『後(のち)』、私の夫となる方がどのような野心を抱くとも限りません。
『この国のため』・・・1年間の『婚約期間』を設ける『白紙の結婚』であること」

この提案にはしてやられたと諸侯も顔をしかめつつも頷くのです。

ふたつめは。
さて・・どうしたものでしょう・・・??
そのときです。不意に海軍のかき鳴らしたラッパの音が当たり一面に響き渡りました。
それと同時にです。

驚いた燕が巣の材料に運んだ黄金の髪の毛が部屋に・・シルフィールの目の前に舞い降りてきたのでした。

「私は・・この、黄金の髪の方と結婚を致します」

ただでさえこのような見事な黄金の髪を持った人物など・・・居るはずがありません。
これまた諸侯はしてやられたりっと顔をしかめるのですが。

「分かりました。私がこの髪の人物を必ずつれまえします」

そう答えたのはあろう、リナでした。
そう・・リナには・・・心当たりがある人物があったのです。
自身の名前こそ彼に告げなかったものの。
「黄金の髪のガウリイ」と人々に呼ばれていた王子でした。

「直ちにエルメキアに出発します。つきましては・・・アメリアとゼルガディスの同行をどうかお許しください」

一度言い出したら聞かないリナの性格を熟知するシルフィールは別れを惜しみながらもリナの出発を許可するのでした。



そして、エルメキア。
「えらく寂れているけど?何があったの?」

見事な船から単独で上陸したリナは、数ヶ月前に訪れたこの場所に比べて様子が変わっていることに気づきました。
早速、手近に歩いていた人物を捕まえて話を聞いてみることにしました。

「ほんの数ヶ月前からです。この先の森に、恐ろしいドラゴンが現れるようになったのは!
かの獣は人々を襲い、この街を荒らすために数日に一度は舞い降りてくるのです。さしもの国王様も心を痛め。
この国は元よりも各国にお触れを出しました・・」

「へえ・・それはどんな?」

「ええ・・。『黄金の髪』のかの方を・・ああ・・その美しさゆえに『女装』させ・・・。
『娘』の『ララァ姫』を妻としてドラゴンを退治したものに与える・・っと・・・」

よよよっと崩れ落ちるように通行人は咽び泣きました。

「・・・・ドえらく・・難儀なことしたもんねぇ・・・(汗)ってか、真に受けるヤツいるの?」

「いるんですよ!それがあ!!ええ。もう私たちも・・。かの高貴なる王子が哀れで哀れでもう・・ドラゴン被害以上に悲しんでいるのですよ・・・」

それはまあ・・国民としては泣きたくもなる事でしょう。

ですが、これはかなり丁度いい話かもしれません。
「とりあえず。ドラゴンを倒して・・・」
「女装」していようがしていまいが「黄金の髪の王子」は「王子」です。
彼をサイラーグに連れて帰る大義名分はできました。


リナは通行人に聞いた場所に一人歩みを進めていきました。
見れば・・・・・・・・・・・。

「うわあああああああーーーー!」
一人の大男が逃げ出していくのに遭遇いたしました。
「一寸、貴方。ドラゴンはあっちの方向にいるの?」
カクンと大男は頷き「ララァ姫様ぁぁぁ」などと叫び・・、そしてさっさと逃げ去っていきました。

この男、ララァ姫と称したガウリイ王子に恋慕し、毎日ドラゴン退治にやってくるものの。
その声を遠方から聞いただけでも逃げ出すというボランという臆病者でした。
やがて・・・。



しゃーーーしゃーーしゃあーーーー!!!!
しゃーーーしゃーーー!!!

毒を吐きながらドラゴンが当たり一面を荒らしまわっている姿がめにつきました。

「先手必勝ーーーーー!ドラグスレイブ〜〜〜〜〜〜〜!!!」

ぎゃあああああああああああああああああああああ!!!!!
ドラゴンの断末魔の声が響き渡ります。

並大抵の騎士や魔法使いですら扱えないことのワザ。
アッサリとリナはそれによってドラゴンを倒します。

「さしあたっては・・・」
ドラゴンを倒したという証拠が必要となります。

其処で、リナは先日ガーヴを倒したときに刃こぼれをた愛用の剣「ラグナ・ブレード」を抜き。

チャキっとドラゴンの鋭い爪を切り取るのでした。
さて・・それをもち「ガウリイ王子」を貰い受けに・・・・。

そう彼女が考えたその矢先でした。

キラリと光り輝くものが彼女の視線に入り込みました。
嗚呼・・・なんと言うことでしょう!

「そういえば。ドラゴンって光物を集めるのが大好きな習性があったわねえ・・♪」
多分、このドラゴンの巣は近くにあるはずです!!

「おったから♪お宝♪お宝〜〜〜!」
成功報酬として少しくらいの道草は許されるでしょう。

そう判断し、リナはそそくさとドラゴンの巣を探し、その場をさっていくのでした。
不用意にも地面に愛用の剣、「ラグナ・ブレード」とつきたてたままに・・・。

そしてその頃。
少しは慣れた場所でドラゴンの断末魔を聞いたボランは恐る恐るその場に引き返してきました。
見れば、ドラゴンが倒されているではありませんか!?
そして・・・。

「恐らくコレを倒した人間は・・・」
どこかで息絶えている。勝手にそう判断をし。
そそくさとドラゴンの鱗を切り取り、王宮に持ち帰り。
「ドラゴンを倒し、ララァ姫を貰い受けるのは自分である」と主張を繰り返したのでした。

「冗談じゃねえーーーー!何でオレがあんな臆病者っと・・ってぇ!!それ以前に!男と結婚しなくちゃならないんだあーーー!!!!」

そもそも。ドラゴンなんて(退治することに越したことは無いけど)放っておけば勝手に何処かに行ってしまいます!
なのに。
冗談大好きな父王がガウリイを女装させ「王女をやる」なんぞとたわけたこと言うからこんなことになったのです!
ガウリイ自身の剣術の腕を持ってすればあんなドラゴンなど・・・!
しかし・・・。

「漢字ドリル100冊、計算ドリル200冊、ついでに世界文学全集読み終わるまでお外に出しません!!」
と、いう母王妃・・・ダルフィンの教育方針により。

「・・・お外に出してもらえなかったんだ!!!!」
オマケに国王が一度言い出したたことを撤回するわけには行きません!

「絶対にボランはドラゴンを倒しちゃいないはずだ!ならば・・」
俺自身が倒して・・・・・・・!!!

そんな希望を抱きながらガウリイがドラゴンの巣の附近に歩みを進めて目に付いたものは。

既に黒焦げになり、倒れ付したドラゴンの姿でした。
真坂。あのボランが?いいや・・これは世に言う「魔法」の形跡だ!

不審に思いふと辺りを見回すと、黒い刃こぼれした剣が目に留まりました。
鋭いものではありましたが、大きさからして女性用のものに思われました。
しかし・・・この刃こぼれ・・。
「まさか!!!!!」

ガーヴの頭蓋骨に深々と突き刺さっていたあの刃の欠片とピタリと一致する形状です!
加えてあの猛者であった叔父を倒したという「リナ・ド・インバース」ほどの力量であれば。

ドラゴンを倒すなど、容易いことは容易に想像がつくのでした。



「おったからーー♪おったかーーら♪おったかーーら♪」
嬉しそうにドラゴンのかき集めた光物を袋に詰めている少女の姿が目に入りました。
この国には珍しい・・・・そして見覚えのある栗色の髪。
今にして思えば、あの時彼女が負った傷も・・ガーヴが好んで使用してた特殊な「経皮」で吸収されることにより
独特な効力を発揮する毒によりものだったのでしょう。

「リナ・ド・インバースか!!!!叔父の敵だ!!!!」
リナめがけて剣を振り上げようとしるガウリイに対して、その殺気に先程から気づいていたリナでしたが・・。

「成る程、貴方にはその権利はあるわね。私は怨まれて当然よね?」

一度は成り行きとはいえ傷ついた自分を助けてくれた人物です。
堪忍したように言う彼女に対してガウリイは。

「ああ・そうだ!!楽しみにしていたお土産!!!ニャラニャラ・パイに、フラグーン城饅頭!!
オマケにゼフィーリア名物ワインも買って来てくれるっていってたのに!楽しみにしてたのに!!怨むぞ〜〜〜!!」
エグっと涙ぐみながら言うガウリイに。

「・・・道中食おうと思ってもってきたニャラニャラ・パイVSO(限定品)に・・・。
フラグーン饅頭・・滅多にお目にかかれない白餡バージョン・・・・。船に戻ればいっぱいあるんだけど?
ゼフィーリアに頼めばワインなんていくらでも送ってくれるんだけど・・・・・・???」

サっとポケットからリナが取り出したこれまた限定「フラグーン・クッキー」を目にするに至り。

パタパタパタパタパタ・・・・パタパタパタ・・・♪

ガウリイの(見えない)尻尾がゆらゆらと軽快に揺れました。
そして・・それは、2人の仲直りの印となるのでした。


かくして。
「いかなる罪を犯していても、ドラゴンを本当に倒した人物を許して欲しい」
という事前になされたガウリイの要望をエルメキア皇帝は聞き入れて。

リナを「客人」としてエルメキアの宮殿に招き入れるにいたりました。

そしてエルメキアの貴族もリナ自身、彼女に同行したゼルガディスとアメリアの気品に魅了されて。

「大体、ガーヴみたいなオッサンよりも」

「若い少女のほうがよっぽどもいーーよな」

と、宮廷の人々も完全に納得してくれたのでした。(まあ、そんなモンでしょう)。

「では、ガウリイ王子を貰い受けて、是非とも我が君主。シルフィール様の下へお連れさせていただきたいと思います。
かつてはいがみ合った両国にも・・これで平和が訪れるものと存じます」

「・・・・えええ・・・!オレ・・・・・・・」
リナと結婚するんじゃないのか?
さしものガウリイも、歓喜する民衆をよそに愕然とした事実をつきつけられるのでした。


その日の夜。
王妃ダルフィンは森にいたり、様々な仙薬、ハーブ、不思議な効力を持つ木の実を摘んできました。
そして・・・・。
ぐつぐつとソレを煮込み、瓶に詰めて。

「私の見たところ。ガウリイはシルフィール女王にではなく。あのシュヴァリエ(騎士)・リナ・ド・インバースに恋をしています。
このままではあまりにも不憫な事となるはずです。この秘密の薬サイラーグに到着し次第、をシルフィール女王とガウリイに飲ませなさい」

「これは一体?」
怪訝に思いながら尋ねるルークに。

「2人が決して離れることが出来ないくらいに惹かれあう・・秘薬です」

そして。
ガウリイはルーク、そしてミリーナを伴ってサイラーグへと向かう船上の人となったのでした。


その後。

「ガウリイの様子はどうなの?」
何が不満なのでしょう?ガウリイはあの日以来、船室に篭ってちっとも出てきません。

「ええ・・相変わらずです・・・」
困ったようにリナに伝えるアメリア。

「ったく!!船に引き篭もって・・・アタシが買い込んだ菓子をヤケ食いするヒッキー生活・・これで
1週間目よ!」

「しかし・・。アレだけ馬鹿食いしてよく太らないものだ。人体の不思議を感じるぞ・・・」
はあ・・っと此方も溜息をつきながらゼルガディスが続けます。

「何はともあれ。もうすぐ陸地に上がって休憩する予定だし。その間アタシは彼と話をしてみるわ」
少なくとも。シルフィールほど美しい女性はリナが知る限りいないというのに!
そうこうしている間にも船は陸地に辿り着き・・・・・。


「ミリーナ♪ミリーナ♪」

「・・・・・・・・・・・・・・・・知りません・・・・・・・・・」

ミリーナを追い掛け回し、王妃から渡された小瓶を不注意にも置き忘れ陸地にルークは上がります。


「・・・なんだよ・・リナのヤツ。エルメキアからオレを貰った途端、棄てるなんてさ・・」
女々しいとは分かっていますが。
やっぱりガウリイとしては釈然としない思いに駆られていました。
嗚呼、自分を運ぶ船よ!!海よ!呪われてしまうがいい!!!!!

ふと、渇きを覚え船室の端に視線を移せば其処には葡萄酒の小瓶がありました。

大き目の杯に、昼間からなみなみと注ぎ・・・。

グイっと半分ほど飲み干したたその刹那!!!!!


「一寸!何昼間から飲んだくれてるのよ!!!」
彼の心をかき乱す、件のリナが現れたのでした。
必然、憎しみの視線でリナを睨みつけるガウリイ。

「何よ!その目・・・・。ああ。頭にくるわね!こんなモン!!!」
その手から杯を引ったくり、グビっとリナも飲み干したその瞬間でした!!!


「ああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!
て・・・・・てめぇらーーーーーーー!!!!!!!!!
なんつーーーーーーーー事してくれやがったんだあああああああああああああああああ!!
おい、それ!一回飲んだら死んでも相手に恋焦がれるっていう恐ろしい秘薬だぞ!
何度オレだってかっぱらってミリーナと半分ずつ飲んでって・・・・いや!!!!
兎に角!お前らが飲んだのは死だぁぁぁぁぁぁ!!死ぃぃーーーーーーーーー!!!」


己の管理ミスを棚に上げてなにやら勝手なことを絶叫するルーク!!!!

「飛躍だか非役だか、詩だか詩だかしらないけど!!!!!!
アンタのご主人様!少なくともシルフィールの前では無礼な態度を取らないようにして欲しいわね!!」
ルークの話を聞いているのかいないのか。

ドンっと杯を置いてさっさと船室から甲板にリナは去っていきました。
だ・・・肝心のガウリイはといえば。

「おい・・ルーク!それは本当か・・・!!!!」
「ああ・・お前の母上である薬草の使い手たる王妃がいってたんだから間違いは無い」

っと、言うことは。
「ナンだ〜〜。リナもオレのこと好きになったって事なんだな〜〜♪」
「いや・・そーゆー問題じゃねえ・・って・・・!あああ〜〜!もう!大いなる死も、大いなる愛も大歓迎だぁぁぁ!」
それはルークの言う台詞ではないのですが。


そして、彼らは知りませんでした・・・・。

成る程、確かに「経皮」(皮膚から体内に浸透する)ガーヴの使った特殊な毒には耐性の無かったリナですが。
今回の「経口」(口から体内に浸透する)の一般的には効果てき面ながら有る程度オーソドックスな「秘薬」の毒(?)成分に関しては。

姉であるルナから散々「体性」をつけられた経緯もあり。

リナにはまったく効力がなったという・・・その恐るべき事実を・・・。


35072Going under 1CANARU URL2010/3/31 11:44:54


お久しぶりの連載です(汗)
「トリスタン・イズー」伝説のガウリナパロディ小説です♪
・・・多分ノリは軽いながらも所々シリアス・・という感じで進んでいく話になると思います。
原版伝説読みながら・・なのでゆっくりな進行になるとは思いますが。
お時間が有りましたらよろしくお願い致しますね〜〜〜!



昔々、ゼフィーリアに栗色の髪の立派な君主がおりました。
「彼」は遠い国・・・・サイラーグがカタート王国に侵略されているのを見るにいたり。
見事単騎、馳せ参じてカタートの軍勢よりかの国を救い出し・・・。
国王から友情の証とし、彼の妹でもある王女、ブランシュを妻として賜り・・・。
2人はゼフィールアに帰国し・・幸せに暮らしました。

そのて、その数年後。


我が子よ、私はどのような女子とて抱いたことの無いような貴方をいま抱いている。
このときをどれほど待ちわびたことでしょう?

貴方はこれほどにない悲しみを私に与え生まれ出でた。

貴方の名前は・・・「トリスティナ」と致しましょう。

そっと・・夫と同じ栗色の髪の赤ん坊を彼女は抱き寄せました。


「彼」のコレほどまでの説得も・・今は敵軍の謀略によって処刑された・・賢明なる君主の奥方の
生命を一日永らえただけの話でありました。


「まずいな・・・」

このゼフィーリア城とて、いつまで敵の攻略に持ちこたえられるか分かったものではありません。

ましてや。

このままこの国が陥落したそのときには、生まれたばかりのこの小さな君主の遺子の生命は保証されるものではありません。

「ブランシュ様の産み落とされた子供のはオレの次女として国中に伝達しろ!!!このお子はオレの長女の
ルナと一緒に娘として育てることとする!!」

・・・生まれたばかりのトリスティナ(哀しみの出生)の名を背負った赤ん坊。
あまりにも不憫すぎるその名前。

「リナと呼ぶことにしよう」

火のついていないタバコを捨て去り、このゼフィーリアの有力人物、インバース卿は呟いたのでした。

その後・・・インバース家に引き取られたトリスティナ姫、改め「リナ」は・・と申しますれば。


「ぎゃああああああああ〜〜〜!ね・・・姉ちゃん・・・勘弁・・がんべんぢてぇぇぇぇぇぇ!」

「のぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぎゃあああああああうgちょおおおおおおおおお〜〜〜(絶叫)!」

「とーー・・とーーーちゃん・・・かーーちゃん・・・だ・・・だぢげてえええええええ!!」


いずれはこの国を背負うことになる(かもしれない)「リナ」は。

自身の出生の秘密、これからなさねばならないことを知らぬまま・・。

インバース卿夫妻の愛情と、「姉」であるルナの躾で・・・・。


「さっさとお宝を渡しなさい〜〜〜!ファイアー・ボール!!フレア・アロー!オマケにバースト・フレアー!!!!!」

「ひいいいいい!盗賊キラーのドラまたリナかあ!何で海賊いびりなんかしてやがるんだよおお!!!」

「やかましい!最近盗賊が居ないからこーして海にまで遠征してやってるのよ!さっさとお宝を渡しなさい〜〜〜!!」


小柄ながら男装の凛々しい、騎士兼魔法使いとし、立派に成長を遂げていたのでした。

「って・・・お宝ザックザックは嬉しいんだけど・・・・」
気がついたら深追いをしすぎた為か、何処か知らない土地に来てしまったようです。

さて・・どうしモノかな・・とリナが考えていたその時でした。

バキ、バキ・・・ボロボロ・・ボロボロ・・・。
どうやらリナと同じ「魔道」を扱う人間らしいのですが・・・。
どうやらリナのお得意の「ジュエルズ・アミュレット」を作ろうとしているらしいのですが・・。
その手つきの覚束ないこと。

「駄目駄目、そんなんじゃマトモなジュエルズ・アミュレットは作れないわよ?あんた、何処の魔道師?」
サっと自分の持っていた自作アミュレットを見せ付けながら伝えるリナ。

「私はここ、サイラーグのシルフィール姫にお仕える魔道師です。貴方様のアミュレットは素晴らしいお品のようですが・・。
よろしかったら姫君にお会いなさっては如何でしょうか?」

確かに。暫く(姉であるルナから逃げる意味合いも含め)知らない土地に滞在するのは楽しいかもしれない。

「それもいいかもしれないわね」

そう決心し、リナは魔道商人と一緒に歩き出すのでした。

そして、暫しのこと。

「立派なお城ね〜〜。名をなんと言うのかしら?」

「フラグーン城と申します」

嗚呼、なんと言う運命の皮肉でしょう?
かのゼフィーリアの勇者であるかの君主がこのサイラーグをカタートより救出し。
喜びの中でリナの母、ブランシュを娶ったのはこの城だったのですから。



「まあ、何と素晴らしいアミュレット!ゼフィーリアの皆様はこのような品を扱っていらっしゃるのですか?」
商人より差し出されたアミュレットを交互の眺め。
この地の女性君主にして・・今は亡きブランシュの兄である先代サイラーグ王の娘・・シルフィールは嘆息いたしました。

しかし、それ以上に。
このアミュレットを作ったという、その他にも歌声に秀で、魔法、剣術もつかえるという清々しい姿をした男装の少女から彼女は目を離すことが出来ません。
何故なのでしょう?

元々慈悲深い性格ながら、この孤独な立場の女性のうちから湧き出してくる温かなこの感情。
それこそ血縁のなせる業。

かつて、サイラーグの国王が。美しい妹・・ブランシュに注いだ温かな感情そのものなのでした。

「トリスティーナさんと申しましたわね?この国に留まり、私の友人となっていただけないでしょうか?」

「仰せのままに。シルフィールさま。そしてどうか、私をリナとおよびください!」

そして、リナがこのサイラーグ王国に留まるその間。

彼女の出生を唯一知るインバース氏の親友である隣国のフィリオネル国王の命令により。

「分かりました!私がリナさんの場所を命にかえても探し当ててみせましょう!!!」

彼の娘であるアメリア姫が、従者のゼルガディス卿とともにリナ探索の旅に出たのでした。

その間、彼らは紆余曲折を経たことはいうまでもありませんが。


「私はリナさんの友人でセイルーンの王女、アメリアと申します!そして・・このサイラーグの王家の紋章入りの柘榴石の
指輪こそシルフィール陛下。貴方様の叔母上に当る、リナさんの本当のお母様。ブランシュ様がゼフィーリアに嫁いだ際に。
貴方様のお父上である先代の国王がお渡しになられたものなのです!!!」

フィリオネル国王より、リナ出生の秘密を聞かされていたアメリアは高らかに(シャンデリアから飛び降り、そして着地に失敗しつつも)
そう女王の前に宣言をしたのでした!


「まあ、私とリナさんは従姉妹どうしでしたのね!!」

ひとしきりリナとシルフィールは血族同士の再会を喜んだのでした。

やがて。
シルフィールよりサイラーグの軍勢を借り受けたリナは。

「ドラグスレイブーーーーーー!!!!!!」

と・・アッサリ前ゼフィーリア領主を謀殺した敵を(軍勢の力を借りる必要も無く)一撃でぶち倒したのでした。
まあ・・これで(あんまりにもあっさりとしすぎている印象は拭えませんがね)敵討ちは終わったことですし。

「・・・・ゼフィーリアは育ててくれたインバースのとーちゃんとかーちゃんに任せるわ。で、後継者はルナねーちゃんって事で!!」

これでインバースの家の恩義にも報いることができました。

そんなわけで。
リナは再びシルフィールに仕えるべく。「社会勉強」と称して一緒することになったアメリアとゼルと一緒にサイラーグに戻るのでした。



そして・・サイラーグに戻ったリナを待ち受けていたことといえば。
困り顔を、シルフィールを取り囲んでいる家臣の一団の姿でした。

「エルメキア帝国が・・貢物の要求をしやがったですって!!?」
超大国エルメキア。
そんなものににらまれたら、豊かでこそあるものの小国であるサイラーグは一溜まりもありません。

「ええ。ですが・・エルメキアの戦士に勝利することが出来たら・・。私達に対する理不尽な要求は撤回すると彼らはいっているのです」

苦悶に満ちた表情でそっと状況をリナたちにシルフィールは伝えました。

「ならば!!私がそんなモノはやっつけてやります!!!」
「何を言っているのです!相手は歴戦の勇者、魔竜王の異名をもつガーヴなのですよ!!!?」

シルフィールや家臣一同が止めるのも聞き入れず。
リナは魔竜王が待ち受ける決戦の場所へ船を漕がせるのでした。

人々は己の不甲斐なさを罵りながらも・・尚もリナに対して僅かな希望を抱いたのでした。

そして・・・・・・・・・・・。

暫し、お互いの決戦の様子が遠巻きながらも聞こえてきました。
やがて。


「ラグナ・ブレーーード!!!!!!!!!!!!!」


ずしゃあああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!

リナが勝利した事は疑いの無い事実でした。

「このリナ・ド・インバースが勝利をしたわよ!実際にガーヴの脳天にはアタシが放ったこの「ラグナ・ブレード」の欠片が残されているわ!
さっさとガーヴを連れて、国に帰ることね!!」
高らかに宣言をし、リナは人々の歓声に包まれ・・・そしてフラグーン城への帰路へとつくのでした。

が・・その直後・・・・・・・・・。

「リナさん!!!!!!!!!!!!!??」

肩口から血を流し、リナはシルフィールの腕の中で倒れこんでしまったのでした。

「これは・・この血の色は・・恐らく魔竜王の使った槍に毒が仕込まれていたのだろう!!」

ゼルガディスはそう判断して告げるのでした。
その毒には、シルフィールの献身もゼルガディスの知識も、アメリアの治療も訳には立ちませんでした。

そして・・その頃。


「ニャラニャラ♪ニャラニャラ♪ニャーーラニャラ♪」
黄金の髪の毛をピョコピョコっと震わせて。
一人の青年が楽しそうに歌っていました。
確かにその歌声は人々をひきつけるものがありましたが・・・・・。
今ひとつ、洗練された様子は見受けられません・・・(さもあらん・・ですね)・・・。

「今日はガーヴがサイラーグから帰ってくるな♪」
彼こそはこの国の王子、ガーヴの妹にしてこの国の妃であるダルフィンの息子・・。
「黄金の髪のガウリイ」でした。

彼の野性の直感にかかればどんな傷でも簡単に癒す薬草を見つけられるという特殊な能力をもち。
もしも叔父に怪我でもあればまた薬になる草を持ってきてあげよう。

何はさて置き、お土産のニャラニャラは楽しみだなーー♪
そんな事を考えながらガウリイが歌っていたその時でした。

「ガウリイ様!大変です!ガーヴ殿が!サイラーグの騎士に倒されてしまいました!!」
不意に家臣のであるミリーナが何時に無い慌てた様子でガウリイに捲くし立てる。

「な・・なんだって!!それじゃ・・・それじゃ・・・」

「ああ。名は・・・リナ・ド・インバースとか言いやがったかな?まだ年端もいかないガキだったそうだ!」
今度は別の家臣ルークが告げます。

「・・・そ・・それじゃ!!お土産は!!ニャラニャラは〜〜〜!!?オレの大好きなお菓子はあああ!!??」

「阿呆かああああ!!!ンなモンあっかーーーー!兎に角、俺たちは忙しいんだ!てめぇには付き合っていられるか!!」

バタンっと吐き棄てながらルークはミリーナを伴い去っていきます。

「お土産・・楽しみにしてた・・・・叔父のお土産・・・・・!
うおおおおおおおおおーーーーーーーー!許さないぞ!リナ・ド・インバース!!!!!!!!」

かくして。
この「黄金の髪のガウリイ」は激しく「リナ・ド・インバース」を憎むのでした。

そして、その頃。
「お願い・・アタシをドレス姿で海に流してくれないかしら・・?出来れば・・竪琴ももたせて欲しいの・・」
もしかしたら。
誰かアタシを治せる人物に出会えるかもしれない。

かすかな希望を抱き、リナは海に自分自身を小船に乗せて流して欲しいと訴えるのでした、

やがて・・・それは波に揺られ・・・・・・・・・・・。

瀕死の中、リナは美しい竪琴を奏でながらエルメキアの海岸へと流れついたのでした。

「怪我人だ!!深手を負った若い娘だ!!!!」
「早く・・ガウリイ殿にお見せすれば助かるかもしれないぞ!!!!」

ガーヴを倒した「リナ・ド・インバース」。
その名はエルメキア中に知れ渡っていましたが・・・。

あくまでソレは「凛々しい姿の年端の行かない少年騎士」としての姿であり。

今の深紅のドレスをまとったリナを誰がそうであったと気づいたでしょうか?

「何て酷いことをするヤツがいるんだ!!!」
リナの傷を見るに至り。明らかに怒りの顔を見せるガウリイ。
元々本来は慈悲深い人物なのです。

「アタシは旅の楽師で、船でセイルーンへ行こうとしていたんだけど・・。海賊に出会って・・・
咄嗟に逃げてここに辿り着いたのよ・・・・」

ガウリイによって探し出された薬草で回復したリナは、自身が敵地に居ることを悟りそうとだけ答え。

傷が治ると同時にそっとその土地を逃げ出したのでした。


ガウリイに忘れ得ない印象をのこしたそのままに・・・・。



35066Re:ドラスレ! 7井上アイ 2010/3/13 06:40:18
記事番号35054へのコメント

おはようございます。
前回の謎の人物、アメリアの男の子バージョンだったのですね!!
そうか、そう来たか。
と感心してしまいました♪
正義を語る=アメリア姫という構図が、知らず出来ていたので、意外な展開にワクワクですv
この後の展開が、予想出来ないので、続きを心待ちにしてますね。
PS.フィルさんの怖い想像図に、今後出番があるのか、恐怖を感じてしまいました……orz

35060Re:とある午後の情景セス 2010/3/9 22:29:49
記事番号35041へのコメント


>初めまして!もーみです。
>フィリアさんが好きなので、この続きがスゴく気になります。
>楽しみにしています〜!!

はじめまして、セスです。
お返事が遅れてしまってすみません。
こんな稚拙な文章を読んでくださってありがとうございます。
続き・・・実は考えてなかったりします(殴

35054ドラスレ! 7とーる URL2010/2/24 19:15:43
記事番号35036へのコメント
 




第七話





いきなり部屋に響き渡った声に、全員が動きを止める。

……な、何だ?

俺がきょろりと辺りを見回してみると、ふいにさわりとした
爽やかな夜風が部屋の中に一瞬だけ吹いてきた。
はっと振り返ると、部屋の窓がいつのまにか開いていて、
ふわりと白いカーテンが風に揺れている。
その向こう側に一つの影がある。

思わずぽかんとした俺は、殺気を感じてとっさに右手に飛びのく。
ジリッと左の脇腹が急に熱くなったのを感じつつも、
俺は攻撃を仕掛けてきたロディマスを威圧する。

くそ、何だか分からんがこっちを倒すのが先――!


「今、僕が引導を渡してあげましょう!!」

「っだああ! さっきから何なんだ!」


俺が叫び終わらないうちに、窓の向こう側の影が飛び上がった。


「行きます、とうっ!」



ガヅッ!

ドチャベチゴォンッ!!



影はそのまま部屋の中へ飛び込んでこようとしたが、
窓枠に片足を思いっきり引っ掛けたらしく、かなり痛そうな音を
立てながら部屋の中へと言葉通り転がりこんでくる。

今度は本当に誰もが戦闘意識を失い、床に転がったそれを見下ろした。

影は一つ間を置いてから、むくりと立ち上がって埃を落とす。
影の正体は、ゆったりとした白い神官服のようなものを着込んだ
黒髪の青年――いや、少年?
多少幼い顔つきから見れば俺より年下なんだと思うが、
背丈に関しては俺より頭一つ分ほど高い。
……ぐっ……何か負けた気分だ!

そいつは腰に手を当て、堂々と胸を張る。
あたかも登場シーンの失敗など、まるでなかったかのように。


「生きとし生ける者集いし所、悪ある所に正義あり! 心の悪に
 その身をゆだね、道を失いし者たちよ! 天に代わって僕の裁きを
 受けるがいい!!」


唖然とする一同。
いきなり単身乗り込んできて、何をごちゃごちゃとわけ分からん
ヒロイック・サーガもどきなことを言っとるんだ、このにーちゃんは。
怪訝そうにしていたロディマスが明らかに、お前の仲間かと
いったよーな視線を向けてくるが、俺は首を横に振ってみせる。

ガウリイお嬢ちゃんと会う前にもずっと旅をして、その間に色々な
奴らと知り合ってきた俺だけど、さすがにこんな正義おたくの
知り合いなんぞいなかった。

すっかり闘争心が消えてしまったのか、ロディマスは剣を下ろして
唖然としたままのゾルフを引っ張っていく。
パタンと静かにドアが閉じられたあと、きょとんと目を瞬かせていた
正義おたくのにーちゃんは勝ち誇る。


「正義は必ず勝つのです!」


……あんた、何にもしてないだろうが。
俺が深々と溜息をついていると、にーちゃんが大きな声を上げる。


「あっ! お腹、怪我してますよ!?」

「リナ!」

「あ……そういえば……」


脇腹の傷を思い出した俺は、じくじくとした痛みに眉をひそめる。
俺って寒いのと痛いのにはあんまり、耐え性がないんだよな。


「座って下さい、僕がリカバリィをかけます!」

「ああ……じゃあ、よろしく……」


張り切った様子のにーちゃんをここで追い返すのを面倒に思い、
俺はてきとーに返事をしてベッドに腰掛ける。
にーちゃんは口の中で素早く呪文を唱えて、リカバリィをかけた。
ぼんやりとした温かみにほっとする。

ふと、横からガウリイお嬢ちゃんが心配そうな目で見てくるのに
気がついて、俺は苦笑した。


「平気、掠っただけだし」

「……もう、リナったら……」

「はい、これで大丈夫ですよ!」

「悪いな」

「いいえっ!」


俺の脇腹から傷がなくなったのをしっかりと確認してから、
にーちゃんは立ち上がった。

「僕、隣の部屋の者なんですけど、何だか急に胸騒ぎがして……。
 間に合って本当に良かったですっ」

「そう……」


何が間に合って、どう良かったのかが分からん。
俺はそう思いながらも、リカバリィに免じてとりあえずつっこまなかった。
にーちゃんは俺たちが困惑してるのにも気がつかずに、
にっこりと晴れ晴れした笑顔を浮かべる。


「すみません、自己紹介が遅れましたね。僕はアメリアです!
 正義の名の下に、カタートに封印されし悪の根源である、
 赤眼の魔王・シャブラニクドゥを倒さんがため、旅をしてます!!」


俺はアメリアと名乗ってきたにーちゃんの頭を、
思わず可哀想な目で見てしまった。
……魔王退治って……どこまで正義おたくなんだか……。





NEXT.

35053Re:こんばんはとーる URL2010/2/24 18:12:15
記事番号35048へのコメント

 
どうもこんばんは、井上さん。
コメントありがとうございます!

ルルさんの出番がなくて申し訳ないです (苦笑
ガウリイが女の子になったら、容姿だけではなく性格も
こんな感じなるんじゃないかなあと考えてみました。
元のガウリイから離れすぎることもなく、近すぎることもなく。
はてさて、現れた人物は一体誰なのか!? ←

ではでは。

とーる

35052ありがとうございます。新月 天海 E-mail 2010/2/23 22:27:48
記事番号35050へのコメント

楽しんで頂けたみたいで良かったです!

護られるだけはリナが納得しないと思うので。(笑)
二人とも魔道の向上心は無限だと思っていますので。
もちょっと表現力が欲しいこの頃(涙)

はい。にまにましちゃってください。
私も書きながらにまにま…(おい)

友貴さまの小説、楽しみにしておきますね!
コメント、本当にありがとうございました。

35050素敵過ぎます!友貴 URL2010/2/23 20:51:52
記事番号35049へのコメント

こんばんは!早速拝見させて頂きましたっ!

ゼル…っ!ゼルに護られたい!
包容力あって能力高くって容姿整ってて…
ゼルの素敵なところを挙げるとキリないですね!
天海さんのゼルとリナの関係が本当に理想的で
読むとにまにましてしまいますーvv
お互い背中を預けられるパートナーとして
最高のコンビ!
魔法書片手に魔術談義をするリナとゼルって
図が凄く好きですーー☆

いやーやはり素敵小説を拝見すると自分の創作意欲も
湧き上がりますね!!
わたしも創作がんばりますー↑↑

では、お邪魔いたしました!

35049護るために新月 天海 E-mail 2010/2/22 22:52:50


こんばんわ。

またまた調子乗って投稿です。
これがまたゼルリナだったりします。

ご注意下さい。

読んでからの苦情は一切受け付けません。
ご了承下さい。

では、お楽しみ頂ければ幸いです。

------------------------------------------------

とある日の昼下がり。

俺は魔道士協会に居た。

移動式の高い脚立。その一番上に座り、傍らに山と積んだ魔道書。
集中してその内容を読みふける。

そこへ。

「ちょっとゼル!やぁっと見つけたわ!」

デカイ叫び声で現実に引き戻された。
下を覗き込めば、両手を腰に当ててこちらを見上げるリナの姿。

やばい。どうするかな…
折角いい所まで読み進めたのだが、こちらから降りるか向こうが上がってくるのを待つか。

「ゼルったら!!きーてんの!?」

「あぁ、聞こえてる」

「まったくもう!そっち行くわよ!」

そう言うと、俺がいる脚立を上ってくる。
俺は迫りくる台風に思わずふかーくため息をついた。

ぽむ

ほどなくして軽く肩に手が置かれ、ドスの聞いた低い声が耳に響いた。

「ゼールーガーディース〜〜〜〜〜?」

こりゃぁすげー。
周りに3つほどヒトダマが浮かんでそうな雰囲気だな。

書棚を見ていた俺は、振り返るのがめちゃめちゃ怖くなった。
しかし、自分が彼女を置いて魔道士協会に来てしまったのは事実。
はぁ…観念するか。

俺は仕方なく魔道書を閉じて脚立に横掛けする。

「…………すまん」

「なにが?」

ちっとも笑顔じゃない表情で問いかけるリナ。

こいつ…そーとー頭にきてるな…
そんなに怒るようなことか?

「……お前さんを置いて此処に来たことだ」

「そーよ!まったく!」

ふん、と顔を背けると、2段下の足場に腰を落ろす。

「お前さん、今朝疲れてたような気がしたから遠慮しただけなんだがな…」

呟くと、リナはぽふりと俺の腰の辺りに頭を預けてきた。

「………………」

「どうした」

「……なんでわかったのよ……」

やっぱり図星だったのか。

「痛そうに顔顰めてりゃ、な」

肩を竦めて独り言のように呟く。
視線を魔道書に落として開き、文字の羅列を再び追う。
くすり、と彼女が笑う気配がした。

「そっか」

「あぁ…あまり無理はするなよ?」

「ありがと。ね、そいえば、いい資料とか見つかった?」

俺の腰から頭を上げ、体をひねって積んである魔道書を手に取った。
………彼女の視線が突き刺さってるような気がする。

「――精霊魔法に関する記述なんてどうするの?」

気付かれないようにしていたんだがな…
まぁ、さっきリナが来たときから半分腹は括っていたが。

「ゼル?」

些か硬くなった声に思わず額に手を当てる。
こうなっては逃げ道などない。
俺は観念してため息をついた。

「お前さんが使っている『魔血玉〈タリスマン〉』、アレを使用して崩霊烈〈ラ・ティルト〉の更に上を目指せないかと思ってな…」

息を呑んで俺を見るリナ。

「今まで人で扱える黒魔法は竜破斬〈ドラグ・スレイブ〉が最大と謳われてきた。
 だが、お前さんはその上の神滅斬〈ラグナ・ブレード〉や重破斬〈ギガ・スレイブ〉を使用している。
 だとすれば、崩霊烈〈ラ・ティルト〉の更に上を行く精霊魔法があってもおかしくはない、そう考えた」

こくり、と彼女が喉を鳴らす音がやけに大きく聞こえた。

「あの術がお前さんの魔法許容力〈キャパシティ〉や生命力に尋常じゃない負担をかけてるは知ってる。
 知ってるからこそ、『何か』があったときの策が必要だろう」

「…だからって…そんな……」

「もちろんある程度の犠牲は覚悟の上さ」

そんなもの、とっくに決まっていた。
彼女を護るためなら、何一つ惜しくはない。

「リナの強さに、今の自分に甘んじ続けるなんて、俺はごめんだ……」

ぎりっと拳を握り締める。
歯を食いしばり、瞳も閉じる。

いつだって自分に出来る精一杯を出し切ってるつもりだ。
それでも足りない知識と力。
知らず増えてゆく彼女の傷。
胸の中を渦巻く罪悪感と焦燥。
そして、締め付けられるような…不安。

「あんたってホント難しいこと考えるの好きね」

おい、人が真剣に悩んでるのに、第一声がそれか。

思わずジト目で睨んでしまう。

「ずるいわよ」

は?

今度はリナがむすっとむくれて俺を見上げる。

「今だって十分精霊魔法扱ってるくせに、なんで教えてくんなかったのよ。
 そしたらいくらだって協力したし、ついでにあたしも精霊魔法のスキルアップできたのに!抜け駆けは禁止よ!」

論点が若干ずれた応えに脱力する。
た、確かに黙ってはいたが…それは俺のプライドがだな…

「只でさえゼルには精霊魔法に加えて剣の腕でも敵わないって言うのに…」

むかつくぅ…とボヤくのが聞こえた。

チームリーダー張ってる癖に「敵わない」とは、言ってくれる。
精霊魔法も『地味だから』と言う理由で習得をしていないだけ。
彼女の頭脳と魔力許容量を考えれば、俺を超えるなど時間の問題だ。

「どぉりで最近術のレパートリー増えたなーと思ってたのよねー」

「……………(汗)」

独り言のような厭味と鋭い視線が刺さる。
努力に対する賞賛はないのか。
いや、別に褒めて欲しいわけではないが。

「べ、別にっ、拗ねてるわけじゃないけど!ちょっとくらい…その、相談してくれたって、良いじゃない」

力なく脱力したなだらかな肩。
華奢な背中を流れる栗色の艶髪。

どー見ても拗ねてる。

「俺の得意技を奪われたら何も残らなくなっちまうだろーが」

思わず愚痴が、零れ落ちた。
ただでさえ剣技は自称保護者に敵わず、正義かぶれの姫には白魔法がある。
これでリナが精霊魔法を会得してしまったら…考えたくもない。

「そんなことないわよ」

凛とした声が俺の思考を遮った。

「確かに、ガウリイの剣はすごいわよ。アメリアの防御魔法と精霊魔法だって。
 でも、それだけなのよ」

「リナ…?」

「ガウリイは剣が無ければ、ただの脳みそクラゲ。
 アメリアだって、魔法が使えない時だってあるのよ。
 でも、あんたは、剣と魔法…両方があるじゃない」

言うと、俺を見上げてにこりと微笑む。

「そりゃ、あたしだって両方使えるけど、剣の腕なんてゼルたちに比べれば…足元にも及ばない」

「……………」

「あたしたちの中で、ゼルは唯一、『一流の魔法剣士』なのよ」

頼りにしてるんだから、とごくごく小さな呟きに思わず目を見張った。

すると、照れくさそうに頬を掻き、深紅の輝きが逸らされる。
髪から覗く耳が赤く染まっているのを見て、知らず笑顔を零れた。

「自信持ちなさい。
 この天才魔道士が言ってんだから」

……まったく、大した女だよ。

「そうだな」

「そーよ」

どちらからともなく、くすくす笑い出す。
くすぐったく、甘ったるい気持ちが溢れる。

「…お腹空いたなー」

確かに。
昼は食ったが若干小腹が空いた。

「軽く、行くか?」

「いいわね」

「決まりだな」

「後の二人、どうする?」

「ガキじゃあるまいし、自分で何とかするだろう」

つーか…リナの奴、昼に定食20人前食っといて、もう食べれるのか?
               
そう思いながらも魔道書を棚に戻す。
お互いにやりと笑って立ち上がった。

「よっしゃ!おっやーつー♪おっやつー♪」

「はいはい」

既に心のわだかまりは、あっさりと塵と化していた。

「あ。ゼル」

「うん?」

「おやつの後、ここ、戻ってくるのよね?」

「そのつもりだが。付き合うか?」

「とーぜん!」

どうやら、精霊魔法でさえ本気で敵わなくなる日が近づきそうだ。

俺は心の中で苦笑して、リナの後を追った。


FIN


似合いすぎる場所で魔道談義。
何時間でも居座りそうですね。

とりあえずゼルリナ布教にこれからも力を尽くすのです!

ではでは。


35048Re:ドラスレ! 6井上アイ 2010/2/21 21:16:26
記事番号35040へのコメント

ルルーさん出番なし……残念(笑)
頭から読みましたら、ガウリイお嬢ちゃんの、ぽやんぽやんな天然ぶりに、撃沈されそうになりました(苦笑)
確かに、ガウリイを女の子にしたら、絶世の美少女でしょうねv
そして、最後に現れた謎の女の子!
アメリアちっくですが、実は違うてのに期待です!
続きを、楽しみにしてますね♪

35047Re:こんにちはとーる URL2010/2/20 13:35:21
記事番号35044へのコメント

 
どうもこんにちは、 kou さん。
コメントありがとうございます!

>つか、あれ、ゼルは?
>たぶん、美女の分類に入るけどキメラだと思うゼルは?
>楽しみにしていたのに……。早くゼルが出ることを期待しています。

キメラさんの前に正義おたくですみません (苦笑
正義おたくは、最初からこの話に出すことを決めていました。
ですがプロットを製作中に、のちのちの展開のためにも
正義おたくを先に出してしまおうと思い直しまして、結果的に
キメラさんの登場はもう少しあとになります。
お待ち下さいませませ。
ではでは。

とーる

35044Re:ドラスレ! 6kou 2010/2/18 11:01:04
記事番号35040へのコメント

 どうも、とーるさん。kouです。
>俺とお嬢ちゃんは同時に動く。
>俺は荷物をベッドの裏手にさっと隠し、ガウリイお嬢ちゃんは
>ドアの傍に張り付いてノブに手をかける。
>それを確認してから、俺は問う。
>
>
>「誰だ?」
>
>『――あんたと商売がしたい。あんたの持っているあるものを、
> そちらの言い値で引き取ろう』
>
>「……怪しいな」
>
>『ああ、確かにかなり怪しいだろうな。だが、とりあえず今は危害を
> 加えるつもりはない』
>
>
>あっさり怪しいことを認めた相手に、俺は呆れる。
>
>
>「入ったとたん、つもりが変わるってことは?」
>
>『あんたは不可思議な術を使うだろう?』
>
>
>前の町でトロルを倒した時に使った術のことを言ってるのか、
>相手の声には少しばかり刺が含まれていた。
>そりゃあ、確かに嫌だろうけどな……仲間があんな攻撃にやられたら。
>夢にも出てきそうだし。
 ま、そりゃいい印象は抱かないよな。
>
>「言っとくが……変なマネしようとしたら、ありったけの攻撃呪文
> 叩きこむからな」
>
>
>どうやら俺が相手をさっさと追い返すと思ってたらしい
>ガウリイお嬢ちゃんが、驚いたように俺を見る。
>俺は軽くウインク一つして、ベッドに深く座りなおす。
>
>
>「部屋に入れるつもり?」
>
>「大丈夫さ、頼もしい傭兵がいるからな」
 ま、実力は頼もしいけれど……。
 脳みそはあんまり頼もしくないだろうね。
>俺が頷いてみせると、ガウリイお嬢ちゃんは一瞬だけためらった様子を
>見せたが、ゆっくりとドアを開いた。
>部屋に入ってきた男は二人。
>ローブを深めに羽織るがっしりとした体つきの中年男と、宿屋に
>トロルたちを連れて殴りこんできたミイラ男。
 あんれ? ゼルじゃないのか?
 この設定なら、ゼルは女性のはずだし……まず、中年じゃない。
>ガウリイお嬢ちゃんが後ろ手にドアを閉めると、ミイラ男がびくりと
>反応し、中年男は少しだけお嬢ちゃんを見て俺の方へ視線を戻す。
>二人はちょうど、部屋の真ん中で立ち止まった。
>俺がミイラ男を見たのに気づいたのか、中年男が先に口を開く。
>
>
>「すまん、こいつはゾルフという。責任感は強いが、先走りも多くてな」
>
>「――まあいいさ。その分、値段に上乗せすればいいし」
>
>
>言いながら、俺はさりげなく中年男の腰に視線を移す。
>どうやら中年男は剣士であるらしく、ローブの下から少しだけ
>剣の鞘がはみ出しすのがちらちらと見えている。
>きっとお嬢ちゃんも、そのことには気がついてるだろう。
>
>
>「……ふむ。では先に手に入れた品物それぞれに値段をつけてくれ。
> 欲しいものを言い値で引き取る」
>
>「へえ、なるほどな」
>
>
>つまり、向こうが手に入れたい品物はこの時点では明かさない。
>欲しがっている品物を知った俺が、金額をふっかけたり、
>好奇心で手離さないことを考えてるわけだ。
>見た目や雰囲気からしてあの盗賊の仲間ってわけじゃなさそうだが、
>ちゃんと考えてるもんだ。
 ただし、リナのがめつさは計算外だっただろうな……。
>
>「さっそく商談に入るか――まず、ナイフが……」
>
>
>俺が次々と品物に値段をつけていくと、部屋の中の緊張感が薄れた。
>中年男が大きく目を見開き、ゾルフが引きつった顔で後ずさり、
>ガウリイお嬢ちゃんはあんぐりと口を開く。
>
>……たかだか相場の百倍だったり、城がまるごと買えるぐらいの
>値段やそこらがつくことぐらい、ちょっとは予想しとけよ。
>いや……無理か……?
>ははは。
 笑うなよ……。
>俺が中年男を見据えると、中年男は大きく溜息をついた。
>「……交渉決裂ということか……。こちらに手を貸せば、一年、いや、
> 半年ほどでその値の三倍を支払うと言ったとしても、その様子では
> 受け入れないだろうな? 若いの」
 確かに……
>「残念だな」
>
>
>今言った金額が、半年で三倍になって返ってくるなんて信じられない。
>それがもしも本当だったとしても、俺たちに支払われるのは
>ヤバイ報酬であることは間違いないだろうからな。
 たしかに、受け取った金が実はどっかの誰かを殺して手にした品をうっぱらった物とか……
>
>「……やはり、力ずくか」
>戦闘態勢に入る二人に、ガウリイお嬢ちゃんが俺を睨んでくる。
>あー、はいはいごめんなさいよ、簡単に部屋に入れて。
>とはいっても、トロルのようなうざい手下もなく、この二人だけが
>相手なら俺はそれほど心配もしてないんだけどな。
>ベッドから俺も立ち上がると、ゾルフが少しだけたじろいだ。
 おー。びびっているびびっている。
>
>「ちなみに俺は手加減知らずだからな、おっさん」
>
>「……ふっ……ロディマスだ」
>
>
>堂々と胸を張って公言してやった俺に向かってニヤリと笑い、
>中年男は律儀にも名前を名乗ってから剣を構える。
>ドアの前に立ちふさがってるガウリイお嬢ちゃんに向けて、
>ゾルフもゆっくりと手を構えた。
>
>ガラン、と中年男が抜き放った鞘が床に落ちる音とともに、
>部屋の全員が動きだす。
>
>俺は間合いを取りながら、じわりじわりとつめ寄ってくる中年男を
>視線で威圧しながら、口の中で呪文を唱えた。
>そして、すぐさま――。
>
>
>
>
>
>「――お待ちなさい、悪の手先よ! そこまでにするのです!!」
 アメリアか! お前は!
>NEXT.
 つか、あれ、ゼルは?
 たぶん、美女の分類に入るけどキメラだと思うゼルは?
 楽しみにしていたのに……。早くゼルが出ることを期待しています。
 以上、kouでした

35041Re:とある午後の情景もーみ 2010/2/17 21:05:08
記事番号35030へのコメント

初めまして!もーみです。
フィリアさんが好きなので、この続きがスゴく気になります。
楽しみにしています〜!!

35040ドラスレ! 6とーる URL2010/2/17 20:56:53
記事番号35036へのコメント

 




第六話





俺とお嬢ちゃんは同時に動く。
俺は荷物をベッドの裏手にさっと隠し、ガウリイお嬢ちゃんは
ドアの傍に張り付いてノブに手をかける。
それを確認してから、俺は問う。


「誰だ?」

『――あんたと商売がしたい。あんたの持っているあるものを、
 そちらの言い値で引き取ろう』

「……怪しいな」

『ああ、確かにかなり怪しいだろうな。だが、とりあえず今は危害を
 加えるつもりはない』


あっさり怪しいことを認めた相手に、俺は呆れる。


「入ったとたん、つもりが変わるってことは?」

『あんたは不可思議な術を使うだろう?』


前の町でトロルを倒した時に使った術のことを言ってるのか、
相手の声には少しばかり刺が含まれていた。
そりゃあ、確かに嫌だろうけどな……仲間があんな攻撃にやられたら。
夢にも出てきそうだし。


「言っとくが……変なマネしようとしたら、ありったけの攻撃呪文
 叩きこむからな」


どうやら俺が相手をさっさと追い返すと思ってたらしい
ガウリイお嬢ちゃんが、驚いたように俺を見る。
俺は軽くウインク一つして、ベッドに深く座りなおす。


「部屋に入れるつもり?」

「大丈夫さ、頼もしい傭兵がいるからな」


俺が頷いてみせると、ガウリイお嬢ちゃんは一瞬だけためらった様子を
見せたが、ゆっくりとドアを開いた。
部屋に入ってきた男は二人。
ローブを深めに羽織るがっしりとした体つきの中年男と、宿屋に
トロルたちを連れて殴りこんできたミイラ男。
ガウリイお嬢ちゃんが後ろ手にドアを閉めると、ミイラ男がびくりと
反応し、中年男は少しだけお嬢ちゃんを見て俺の方へ視線を戻す。
二人はちょうど、部屋の真ん中で立ち止まった。
俺がミイラ男を見たのに気づいたのか、中年男が先に口を開く。


「すまん、こいつはゾルフという。責任感は強いが、先走りも多くてな」

「――まあいいさ。その分、値段に上乗せすればいいし」


言いながら、俺はさりげなく中年男の腰に視線を移す。
どうやら中年男は剣士であるらしく、ローブの下から少しだけ
剣の鞘がはみ出しすのがちらちらと見えている。
きっとお嬢ちゃんも、そのことには気がついてるだろう。


「……ふむ。では先に手に入れた品物それぞれに値段をつけてくれ。
 欲しいものを言い値で引き取る」

「へえ、なるほどな」


つまり、向こうが手に入れたい品物はこの時点では明かさない。
欲しがっている品物を知った俺が、金額をふっかけたり、
好奇心で手離さないことを考えてるわけだ。
見た目や雰囲気からしてあの盗賊の仲間ってわけじゃなさそうだが、
ちゃんと考えてるもんだ。


「さっそく商談に入るか――まず、ナイフが……」


俺が次々と品物に値段をつけていくと、部屋の中の緊張感が薄れた。
中年男が大きく目を見開き、ゾルフが引きつった顔で後ずさり、
ガウリイお嬢ちゃんはあんぐりと口を開く。

……たかだか相場の百倍だったり、城がまるごと買えるぐらいの
値段やそこらがつくことぐらい、ちょっとは予想しとけよ。
いや……無理か……?
ははは。

俺が中年男を見据えると、中年男は大きく溜息をついた。


「……交渉決裂ということか……。こちらに手を貸せば、一年、いや、
 半年ほどでその値の三倍を支払うと言ったとしても、その様子では
 受け入れないだろうな? 若いの」

「残念だな」


今言った金額が、半年で三倍になって返ってくるなんて信じられない。
それがもしも本当だったとしても、俺たちに支払われるのは
ヤバイ報酬であることは間違いないだろうからな。


「……やはり、力ずくか」


戦闘態勢に入る二人に、ガウリイお嬢ちゃんが俺を睨んでくる。
あー、はいはいごめんなさいよ、簡単に部屋に入れて。
とはいっても、トロルのようなうざい手下もなく、この二人だけが
相手なら俺はそれほど心配もしてないんだけどな。
ベッドから俺も立ち上がると、ゾルフが少しだけたじろいだ。


「ちなみに俺は手加減知らずだからな、おっさん」

「……ふっ……ロディマスだ」


堂々と胸を張って公言してやった俺に向かってニヤリと笑い、
中年男は律儀にも名前を名乗ってから剣を構える。
ドアの前に立ちふさがってるガウリイお嬢ちゃんに向けて、
ゾルフもゆっくりと手を構えた。

ガラン、と中年男が抜き放った鞘が床に落ちる音とともに、
部屋の全員が動きだす。

俺は間合いを取りながら、じわりじわりとつめ寄ってくる中年男を
視線で威圧しながら、口の中で呪文を唱えた。
そして、すぐさま――。





「――お待ちなさい、悪の手先よ! そこまでにするのです!!」





NEXT.

35039Re:ありがとうございますとーる URL2010/2/17 20:37:27
記事番号35038へのコメント

 
どうもこんばんは、井上さん。
こちらこそ初めまして、とーると申します。

本当に違和感ありまくりだと私も思います (笑
ガウリイにリナのことを『お兄さん』と呼び続けさせるのも
何だか無理があったので、思いきってリナの方に『お嬢ちゃん』と
呼び続けてもらうことにしました。
ひっくり返したパロディとはいえ、一応原作の味などはあまり
壊したくないなと思っていたのでそう仰って頂けけて嬉しいです。

良ければ最後までお付き合い下さいませ。
ではでは。

とーる



35038Re:ドラスレ! 4井上アイ 2010/2/16 23:35:27
記事番号35036へのコメント

初めまして!!
ガウリイお嬢ちゃんて(爆)
違和感ありまくりなお嬢ちゃんだな、と思いつつ、原作を上手に変換していて、純粋に楽しめるお話でした。
いきなり、4話から見るという暴挙をしてしまいましたので、これから、1話目に行って来ます〜☆
リナは、元々男でもいけそうな程、サバサバしてたので、こちらは違和感なく(笑)寧ろ、何かオイシイv←え……

35037ドラスレ! 5とーる URL2010/2/16 23:03:38
記事番号35036へのコメント

 




第五話





「面白い技を使うな、小娘。しかし、そんなものでトロルを
 倒せるなどと思っ――」

ミイラ男のたわごとは、ふつりと中断される。
ガウリイお嬢ちゃんのつぶてがつけたトロルの小さな傷が、
みるみるうちに大きく広がっていくのを目にしたのだ。


「な……何だ、これは!」

「…………。」


ミイラ男は愕然と、お嬢ちゃんは呆然とその光景を眺める。
傷は留まることを知らず広がった傷跡は、ついにトロルを食い破った。

……うえっ……。
俺がやったとはいえ、お世辞にも上品とは言えない術だ。
今が夕食前じゃなくて本当に良かった。

残るはミイラ男のみ――なのだが、もはやミイラ男は俺が使った
わけのわからん術に恐れて戦意喪失している。
まあ、誰にでも分かるよう簡単に術のタネ明かしをしてみると、
トロルの半端ない再生能力を、回復術である 『リカバリィ』 で
逆転させた俺オリジナルの術だ。

理論上で作り上げただけで、俺自身でも初めて使ってみたんだが……
これはもう使うのを止めようと心に誓う。
さすがに頻繁には使いたくないほど、目と心に毒だ。
術者が夢でうなされそうな術は使っちゃいけない。


「――残念ながら、俺は雑魚に負けるつもりはないな」


俺はダメ押しとして、掌を打ち合わせる。


「そろそろ本気でいくぞ」

「げっ! ファイアー・ボール!」


俺の掌の中で輝く光に、ミイラ男は目を見開く。
悔しそうにしながらも転がるようにして、店から逃げていった。


「……ふう」

「リ、リナ! それどうするの!?」


ガウリイが慌てたように、声をかけてくる。
ぼんやりのほほんとしてるガウリイでも、さすがにポピュラーな
攻撃呪文であるファイアー・ボールの威力ぐらいは知ってるらしい。
俺は思わず、まじまじと手の中のそれを見つめ、おもむろに
トロルに向かって放り投げた。

瞬間、光りが眩く弾ける。


「わーっ!」


店にいた全員が叫び、沈黙。


「ファイアー・ボールじゃないぞ」


床にはもうトロルの残骸はない。


「ただの、掃除用の魔法」





そのあと、俺とガウリイお嬢ちゃんは隣町の宿帳に名前を書いた。
本当はあのまま泊まっても俺としては何ら問題はなかったが、
とりあえず用心には用心をかねてさっさと町をあとにしてきた。
まあ、あの町にはあまりいい換金所はなかったから、
移動しても別に構わなかったし。


「――でも、すごい度胸よねえ、リナも」

「――何のことだ?」


ベッドに荷物を置いた俺の横に立ち、お嬢ちゃんが肩をすくめる。
俺はそ知らぬふりをしてとぼけつつ、ショルダー・ガードと
マントを外して楽になる。

……って、待てい。


「おい、ガウリイお嬢ちゃん……何でお前が俺の部屋にいるんだよ」

「あとで事情を説明してくれるって、言ったでしょ?」

「そうだっけ?」

「そうよ」


俺が首を傾げると、ガウリイお嬢ちゃんは頷く。
あー、そういや何も言ってなかった……こっちの町に移動中
とっくに話した気分になってたな。

ま、いいか。
俺もお嬢ちゃんに聞きたいことがあったし。

ちょうど向かいにある椅子に座るよう勧め、俺はベッドに腰掛けた。
俺はじっとガウリイお嬢ちゃんの瞳を見つめる。


「じゃあ、説明してやるよ。……だが、その前にこっちの質問に
 答えてもらう」

「いいわ。何?」

「じゃあ聞くが――お前、俺のことどう思う?」


瞬間、お嬢ちゃんは目を見開いて硬直した。
うーむ……こりは面白い……。
面白いがこのまま硬直させておくわけにもいかないか。


「冗談だよ、冗談」

「……悪い冗談はよして、死ぬかと思ったわ」

「どーいう意味だよ……」


そうは言うが、夜も更けた頃にこうして男の部屋に簡単に
居座ってたりすると、本当に冗談じゃすまなくなるぞ?
本当にそこんとこ分かってるのかい、ガウリイお嬢ちゃんよ。

俺は溜息をついてから、お嬢ちゃんにこれまでのいきさつを簡単に話す。
最初は盗賊にやられて困ってた村の人々のため、盗賊を退治し、
アジトからお宝を取り戻したこと。
その時、手数料代わりにほんの少しお宝を頂いたこと。
それをミイラ男たちが未だつけ狙ってるらしいこと。


「そう……最初の “困った人を助けるため” って所はとにかく、
 成り行きは分かったわ」


う、そういうとこばっか鋭いな、このお嬢ちゃんは。


「ま、俺がお宝を持ってる限り、あいつらもよっぽどのことがなければ
 お宝のことは諦めないだろ。居場所も魔法で突き止められるしな。
 何か他に質問は――」


俺がそう言いかけた時、誰かがドアをノックした。





NEXT.

35036ドラスレ! 4とーる URL2010/2/16 22:39:46


 




第四話





正直言って、このミイラ男の目的は完全に俺だろう。

指を差しているのは間違いなく俺だし、該当する方向にいる
人間はもう一人いるが、残念だがどう見てもガウリイお嬢ちゃんを
男に見立てることは不可能。
鎧を着込んでたって、美少女ぶりが消えるわけじゃない。
トロルを操っているということは、このミイラ男は魔道士らしい。


「うーん、人違いですよー」


これは関わっても面白いことにはならないだろうと思った俺は、
とっさにサラリと髪をすいて爽やかな笑みを浮かべてみせる。


「俺、ソフィールって言います。きっと貴方たちの探している
 人とは……」

「やかましいっ! 名前など知るか、気持ち悪いっ! とにかく
 お前――六日前、盗賊のアジトからごっそりお宝を荒らして
 いった奴だ!」


おっと。


「それにアジトで俺に大怪我を負わせたお前のことを、忘れるわけ
 ないだろうが!」

「あらあらあら……リナ、そんなことしてたの?」


ガウリイお嬢ちゃんが呆れた目で俺を見る。


「ま、それはあとで説明する。今はとりあえずこいつらを……」


俺は肩をすくめながらお嬢ちゃんにそう言い、トロルたちと対峙した。

トロルは頭は人間よりもでかく、パワーもある上に俊敏。
一番やっかいなのはその再生能力で、生半可な傷だとすぐに再生する。
つまり、倒すなら一撃必殺。
とはいえ……派手な攻撃呪文だと店の中はメチャクチャになるし、
関係のない他の客をも巻き込むことになる。


「よーし、分かった。ケリをつけよう、表に出な」

「いやだ!」

「あいやあっ」


ま、まさか断られるとは……。
こいつ、怒ってるわりには案外冷静なのか?

俺が別の手を考えようとすると、ミイラ男は鼻で笑った。


「あの時、奪っていったお宝を全て返すなら、それでよしとするが?」

「冗談じゃない。人のものをタダで持っていこうだなんて
 あつかましいにもほどがあるぞ、この盗っ人魔道士」

「リナだって盗っ人魔道士じゃない」

「やかましーっ! 俺は悪人からしか盗んないからいいんだよ。
 “悪人に人権はない” って言葉もあるんだ」

「……聞いたことないけど」


俺はトロルたちに臨戦態勢を取りながら言う。

いや、この言葉は本当に存在する。
俺の郷里の方では、よく頻繁に使われてる言葉なんだからな。
俺は郷里でそれを聞きながら育ち、旅に出るまでずっと過ごして来た。
きっと郷里に住む皆からにしてみれば、何を当たり前のことを
言ってるんだと口をそろえるだろうに。


「ええい、やれいっ!」


ミイラ男の合図で、トロルと俺は同時に動く。
トロルの武器は鋭い爪とパワー。
あまりそーぞーしたくないが、いくら俺の服が魔道士特有の
護符になってるとしても、まともにくらったら大怪我じゃすまない。
一発ぶん殴られれば、首くらいあっさりへし折れる。

だが、俺は負けるつもりはこれっぽっちもない!

俺はトロルたちの攻撃を軽々と避けつつ、必ず全てのトロルに
一度は手を触れるようにして間を抜けていく。
そうして全てのトロルをタッチし終えた俺は、トロルの間を
一周するようにしてお嬢ちゃんの所へと戻ってきた。


「あら、お帰りなさい」

「ただいま」


さっきまで呆れたような目をしていたガウリイお嬢ちゃんは、
もういつもと同じのほほん状態に戻っていた。
護衛だ何だのと言ってたわりに、何にもせずにじーっと見てるだけ。
まあ、でしゃばられても少しばかり勝手が悪いけどな……
お嬢ちゃんの腕はともかく、見た目は美少女なんだし。

ちなみに、トロルの数は減ってない。
早い話が一匹も倒してない。


「おのれ、小僧! ちょこまかと……」


焦れてきたのか、ミイラ男が苛立った声を上げる。
トロルにいちいち相手してたら、俺が疲れるっての。


「ガウリイお嬢ちゃん! トロルを傷つけることって出来るか?
 どんな小さいのでもいいから!」

「……ええ、分かったわ」


俺の言葉に目を瞬かせたガウリイお嬢ちゃんは、テーブルに乗ってた
おつまみの皿に手を伸ばし、木の実を掴む。
次の瞬間、その手が動いた――ように見えた。


「ぎっ!」

「がうっ!」


この美少女から放たれたとは到底思えないほど、見事なつぶて。
鋭く飛んだ木の実は、トロルたちの固い皮膚を突き破った。
へー、やるじゃん。





NEXT.

35030とある午後の情景セス 2010/2/6 21:38:23


 ややこじんまりとしたその店は、町からいささか離れたところにひっそりと佇立していた。
 店の内装や配置された調度品はさほど派手ではないが、上品で落ち着いた雰囲気をかもし出している。床やテーブルも濡れたような光沢を放って、普段から丁寧に清掃されているのが窺える。
 ただし・・・整然と並べられた『商品』がそのつつましくも上品な風情を見事なまでに粉砕していたが。
 一目で高級品と分かる陶器の壺の隣には、子供が適当に粘土をこねくり回してこしらえたような面妖な意匠の壺が置かれており、さらにその隣にはなぜか棍棒やら鈍器やら、どう見ても物騒な代物が並べられている。

 ちりんちりんっ

 そんな珍妙な商品が並べられた店内に、澄んだ鈴の音が響く。どうやら客らしい。
「あ、いらっしゃいま・・・」
 店員らしい若い娘の華やいだ声が途絶え・・・
「き・・・きゃああああああっ!」
 甲高い悲鳴へと変わった。


 どごっ!


 何か重いものを勢いよく振り下ろしたような音が店内を揺るがした後、凍るような静寂が満ちた。

「・・・いやですね、フィリアさん。いきなりそんな物騒なもの振り回すだなんて。竜族の挨拶ってのは随分と野蛮なんですね」
 静寂を破ったのは、まだ若い男の柔らかい声だ。
「な・・・何ですって!存在そのものが物騒なあなたにそんなこと言われたくありません!」
 揶揄するような男の台詞に、柳眉を逆立てて怒鳴ったのは先ほどの悲鳴の主である。
 長く豊かな髪は鮮やかな黄金色。広くはっきりした額からすらりと伸びる鼻筋。目じりがややつり上がりぎみの眼はさらに吊り上がり、その中で大きな紺碧の瞳が凛とした光を宿して男をねめつけている。
 華やかさと清楚さが違和感なく溶け合った、美しくも愛らしい外見の勝気そうな娘である。
 ただし・・・そのすらりとたおやかな手には、とげの付いた鈍器という物騒きわまる武器が握られていたりする。
「何しに来たのです、この生ゴミ!」
「・・・はっはっは。ワンパターンな悪口ですね、本当」
 口元を微かに引きつらせながら答えた男は、漆黒の法衣を身に纏った上品そうな若者である。


「大丈夫ですよ、今日は『彼』をどうこうするつもりはありませんから。ただ少し・・・様子を見に来ただけです」
 そう言って神官風の青年はひょいと肩をすくめた。
「そんなに警戒しないでくださいよ。もし僕が『彼』を始末するつもりならあなたが守ろうとする間も与えず、一瞬で店ごと消滅させていますよ」
「・・・」
 何か言おうとした娘は、青ざめた顔で沈黙した。
今の青年の言葉は身の程知らずの高慢なたわごとではなく、事実であることを知っているからだろう。
「まあ今日は・・・ちょっとした挨拶ですよ、仕事が終わったついでに」
「迷惑です!」

「獣神官殿」
 不意に、涼しげな女の声が割り込んできた。
「!?」
 フィリアという娘は顔をこわばらせて声がした方向を振り向く。対照的に神官の若者は落ち着き払ったままだ。
 先ほどまで何も無かった場所に、一人の女が悠然と立っている。フィリアと比べて色素の薄い金髪をまっすぐに背に流し、細身の長身は質素な黒衣に覆われている。冷ややかなほどに落ち着いた灰色の瞳がまっすぐに神官を見据えている。
「獣王様がお呼びです。お戻りください」
「おや・・・分かりました。すぐに行きます。ではフィリアさん、さようなら」
 そういうと黒衣の青年は虚空に姿を掻き消した。
「・・・」
 黒衣の女は黙然とフィリアを見据えている。
「な・・・何です?」
 思わず後ずさりかけてから、なんとか毅然とした態度を取り繕う。
「フィリア・ウル・コプト殿ですね」
 丁寧だが淡々とした調子で問いかけてくる。
 ごくり・・・と息を呑み、
「え・・・ええ。それが何か?」
「以前、獣神官殿がお世話になったことがあると聞き及んでおります」
「・・・へ」
 思わず間の抜けた声が出る。
 そういえばヴァルガーヴとの戦いで負傷した際に肩を貸してやったりしたことがあったが。
「え・・・まあ、その・・・」
「我らが主、獣王様は『どんな相手だろうと借りは必ず返すものだ』と常々おっしゃっておられるので」
 こちらを見下すような風情は無く、淡々とした口調のまま続けると懐から何かを取り出す。
 怪訝そうにそれを見たフィリアは思わず感嘆の声を漏らす。
「あら・・・まあ」
 それはティーカップである。乳白色の陶器にラベンダーの絵柄が描かれており、いかにも若い女性が好みそうな、繊細な装飾が施されている。
「お気に召していただければ、幸いです」
 無表情のまま淡々と言うと静かに手渡してくれた。
「あ、ええと・・・ありがとう」
 どう言えばいいのか分からず、とりあえず礼の言葉を口にする。
 それに対し黙然と礼をしてから怜悧そうな女性―の姿をした魔族は音も無く姿を消した。
 それを呆然と眺めながら
「高位魔族って・・・変わり者ばかりなのかしら」
 フィリアは目を点にして呟いた。


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