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Re: ドラスレ! 22
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元記事
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>第二十二話
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>ハッタリと思いたかった。
>けれど、レゾの浮かべる場違いな笑み、アメリアの青ざめた顔からして
>信じられるわけがない。
>それにレゾがハッタリをかますような人間かどうか、
>一番よく知っているはずのゼルガディスが声を失っているのだ。
>
>
>「何故――これが要るの?」
>
>
>ガウリイお嬢ちゃんが問う。
>
>
>「ゼルガディスが説明したのでしょう? 目が見えるようになりたい――
> ただそれだけですよ」
>
>「何で――これほどまでにして……?」
>
>
>アメリアがこわごわ口を開いて尋ねる。
>
>
>「説明した所で、貴方たちには理解してはもらえないでしょう――
> 目の見える人には、ね。さあ――石を」
>
>
>俺がちらりとお嬢ちゃんに視線を送ってみると、お嬢ちゃんは頷き、
>懐からオリハルコンの神像を取り出した。
>
>
>「ほら」
>
>
>神像が弧を描いて宙を舞う。
>レゾの右手が伸び、それをしっかりと受け止めた。
>
>
>「確かに――受け取った!」
>
>
>レゾの口調が変わる。邪悪な歓喜が言葉のうちにひそむ。
>トン、とアメリアが突き飛ばされ、正面にいたゼルガディスが受け止めた。
>俺はさっと近寄り、アメリアの首筋から生えた細い針を一気に引き抜く。
>
>
>「っ……!」
>
>
>ぞくっと震えたアメリアだったが、痛みはなかったらしい。
>針を見てみると、親指と同じ位の長さ。
>……よくこれで死ななかったもんだ。
>つまり、それだけの技量をレゾは持っている。
>
>
>
>パキン!
>
>
>
>レゾの手の中で、神像が砕け散る。その中から出てきたのは、
>小さな黒い石――あれが、かの“賢者の石”。
>
>
>「おお……まさしくこれよ!」
>
>
>レゾは迷うことなく、石を飲み下した。
>
>
>
>ごうっ!
>
>
>
>突然、強い風が吹きつけてくる。
>いや、風ではない。
>風に煽られて、唐突にこみ上げてくる吐き気。
>物質的な力さえ持った強烈な瘴気だ。
>
>レゾは瘴気の渦の中心で一人哄笑し、狂ったように叫ぶ。
>
>
>「おお――見える、見えるぞ! くはははははっ!」
>
>
>レゾの双眸は赤い色をした闇――。
>完全に目が見開いた瞬間、レゾの体が異質なものに変わりゆく。
>そして、俺は気づいた。レゾの正体、レゾの閉じられた瞳により、
>封じ込められていたものが何であったかを。
>
>今やレゾの顔は、目の部分に紅玉をはめ込んだ、白い石の仮面と化している。
>その全身を覆う赤いローブもまた、硬質の何かに変わっていた。
>
>
>「――まさか」
>
>
>ゼルガディスが呻く。
>彼女もまた気がついたのだ。
>“赤眼の魔王”シャブラニグドゥがこの地に再臨したことを――。
>
>
>
>
>
>「選ばせてやろう。好きな道を」
>
>
>しばしの静寂のあと。
>悠然と立つ、レゾだったもの――レゾ=シャブラニグドゥが口を開いた。
>
>
>「再び生を与えてくれたそのささやかな礼として。従うならば天寿を
> 全うすることもできよう。それが嫌だというのなら仕方ない。
> “北の魔王”――もう一人の私を解き放つ前に、相手をしてやろう。
> ――選ぶがいい、好きな道を」
>
>
>とんでもねーことを言い出した。
>かつての戦争で封じられた“北の魔王”を解き放つということは、
>この世界を破壊に導くという意思表示だ。
>それが嫌なら自分と戦えと――“魔王”と戦えと。
>
>
>「たとえ魔王に協力しようとも、世界の破壊を導けば、善悪を超えて
> そこに待つは総てに等しき“死”のみ! 命惜しさに尊き未来を
> 捨てることなど、出来るはずがありません!」
>
>
>決まっていた応えを、立ち上がったアメリアが叫ぶ。
>ゼルガディスが呆気としてアメリアを見るが、すぐに呪文を詠唱し始める。
>俺の前に一歩進み出たお嬢ちゃんも、剣を抜いて構える。
>
>そして俺は、笑った。
>
>
>「『負けると分かってるけど戦う』ってこんじょーは捨てろよ?
> 勝てる確立が1パーセントほどだとしても、そーいうつもりで戦えば、
> ゼロになる。――俺は絶対死にたくない。だから戦う時は必ず、
> 勝つつもりで戦う! ――そういうことだ」
>
>
>魔王は静かに俺たちの様子を見ていた。
>
>
>「そうか――決まったか――」
>
>
>
>
>
>NEXT.

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