◆-「魔竜王(ガーヴ)の憂鬱」1 1話(再掲示版)-投稿者:加流ネメシス(12/4-18:02)No.294
 ┣┳「魔竜王(ガーヴ)の憂鬱」1 2話(再掲示版)-投稿者:加流ネメシス(12/4-18:10)No.295
 ┃┗━Re:「魔竜王(ガーヴ)の憂鬱」1 2話(再掲示版)-投稿者:まっぴー(12/5-15:46)No.301
 ┣━「魔竜王(ガーヴ)の憂鬱」1 3話(再掲示版)-投稿者:加流ネメシス(12/4-18:13)No.296
 ┗┳「魔竜王(ガーヴ)の憂鬱」1 4話(再掲示版)-投稿者:加流ネメシス(12/4-18:15)No.297
  ┣┳Re:「魔竜王(ガーヴ)の憂鬱」1-投稿者:松原ぼたん(12/5-05:27)No.300
  ┃┗━Re:「魔竜王(ガーヴ)の憂鬱」1-投稿者:加流ネメシス(12/6-00:44)No.310
  ┣━Re:魔竜王の憂鬱1 1〜4話 感想ですぅ。-投稿者:あいる(12/13-16:11)No.353
  ┗┳Re:「魔竜王(ガーヴ)の憂鬱」1 感想-投稿者:水彩まり(12/13-21:27)No.357
   ┗━あいる様&水彩まり様へ-投稿者:加流ネメシス(12/16-05:06)No.371


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294「魔竜王(ガーヴ)の憂鬱」1 1話(再掲示版)加流ネメシス E-mail 12/4-18:02

「猫南蛮亭」の10万ヒット記念イベントに投稿した小説の再掲示版です。
これから少しづつですが、再掲示していく予定ですので
よろしかったら、お付合いくださると嬉しいです。(^-^)
これを打ってくださった、αえん様、
この場をもってお礼を申しあげます。



魔竜王(ガーヴ)の憂鬱

written by 加流ネメシス

一、少年に、自分の姿を想い重ね…

「ここまで来ちまえば、大丈夫だろう…」
 言ってオレは、口唇を笑みの形にゆがめた。
 ここから一番近くにある、町の入口の林に瞬間移動で出現した。
「よっし!! 誰にも見られてないな。」
 オレは辺りの気配を読み取ると、なにくわぬ顔で林を抜け出し、旅の
 賞金稼ぎを装って町に入る。
 ――!?
 町に入った途端、いくつもの視線を向けられていることに気付く。
 中には視線をこちらに向けながら、ヒソヒソ話をしているヤツもる。
 ――何なんだ!? 一体!!
 別にオレに恨みを持っているよーな感じでもなし。
 賞金首や指名手配者を見ている訳でもなし…
 お〜〜〜〜〜〜しっ!!
 こうなったら、ヒマ潰しの賞金首探しも兼ねて、情報屋にでも行ば、
この視線の原因も分かるかも知んねー。
 どうってことはない、小さな町だが、情報屋くらいはあるだろう…
 情報屋とは読んで字の如く、どっかの湖に棲んでいる八ッ首の蛇竜(サ
ーペント)を倒すと、腹から魔剣がでてくる、そんな根拠もねぇーウワサ
話だの、どこそこには野盗が出るから気を付けましょーだの、賞金首情
報だの、ありとあらゆる情報がそこには集まっている。
 何のヒネリもオリジナリティーもない名だが、変にヒネリを加えて分
かんなくなるよりはマシだが…
 自分の聞きたい情報をリストから見つけ出し、詳しい話を情報に合っ
た分の金額を払って、情報屋から聞き出すってぇ寸法だ。
 もちろん、情報屋との料金交渉は忘れない。
 視線の嵐をかいくぐりながら、しばらく歩くと、情報屋の看板が目入
った。
 オレはドアに手を伸ばし――――――
「ガーヴ・フレイド・オン・フレイヤーじゃろ?」
 丁度、情報屋のドアに手を掛けようとしたその時オレは、その声にび
止められた。






 オレはちょくちょく、ラルタークとラーシャートの目を盗んでは
   人間共の世界をフラついて、賞金稼ぎのよーなマネをしている。
 第一、考えても見ろ!!
 薄暗い本拠地の奥深く、年がら年じゅうラーシャートの状況報告
    だのラルタークの説教なんぞ聞いているだけの
   不健康極まりない生活の何が楽しい!?
 言うまでもなく、オレはンなモンに大切な青春時代を費やすつもり
    はサラサラねぇーーー。
 訳あって、あまり目立ったことは出来ないが
   あの、リナ=インバース 程ではないにろ
   これでも結構名は知れていたりするのだ。
 ま、テキトーに言っちまった名前だけどな。
 リナ=インバースのウワサのどこまでが本当なのかは知らんが
   オレが 本当の力を出せば、ヤツのウワサを軽く超える自信はある。
 なぜなら、オレは――――
 魔竜王ガーヴだからだ!!






「あ゛〜〜〜〜? 何だよ!? じーさん」
 オレは振り向きざまにそう言った。
「わしは、ディオルって言うんじゃが、魔竜王ガーヴ本人ではないかと
   ウワサが出る程の、お前さんの才能を見込んで、
   わしの研究に力を貸してもらいたくっての。
 どうじゃ?
 わしの所まで来てくれんかの?
 無論、それなりの報酬は出すつもりじゃが…」
 一方的にまくし立てるじーさん。
「オレの才能を見込んでってぇーのは分かるが、研究って何だよ?」
 と、ありありと疑いの目差しを向けて言うオレの問いに、
「誰かに研究を盗まれたんでは困るんでな、
   ここではハッキリとは言えんが
  究極の研究とだけ言って置こうかの。」
 小声でささやくように答えるじーさん。
「ところでよぉ、じーさん、この町の連中、オレに何かあんのか?
 入った途端に、妙な視線をいくつも感じたんだけどよ。
 じーさんがオレの所に来たのも、町の連中の変化を知って、
   オレがここにいるのが分かったからだろ?」
 オレの問いに対して、じーさんは意味あり気な笑みを
   浮かべて答える。
「この町だけではないぞい…
 お前さんなら、それも無理はなかろう…
 まっ、そのことは、わしの研究を手伝えば、じきに分かろうて。
 もっひょっひょっひょっひょっひょっひょっひょっ…」
 このじーさん、一体どんな風にすれば、そんな笑い方ができるんだ?






 オレは、じーさんの依頼を受けることにした。
 じーさんをシメ上げて吐かせるのは簡単だが
    究極の研究とやらに、少し興味がない訳でもなかった。
 面白半分とゆーか、興味本位とゆーか
   とにかくオレとしては、ヒマが
潰せればいいのだから、たまにはこーゆーのもいいだろう…
 町から少し離れた森に、その洞窟はぽっかり口を開けていた。
「明り」(ライティング)をほのかに灯した
   洞窟の中をただじーさんの後ろについて歩く。
「なぁ、じーさんよ。
 そろそろ教えてくれても、いーんじゃねーのか?
 その究極の研究ってヤツをよ。」
 いい加減、ただついて行くのにも飽きて、オレは言う。
「まあ、そんなに慌てなくてもいいじゃろうに。
 短気は損気と言うじゃろうが。
 ところで、お前さん、なかなか男前じゃのぅ。」
 オレは胸をそらし、ドン!!と誇らし気に叩いて。
「当然!! オレの闘っている姿を見りゃーホレねぇー
   女はいねぇーー!!」
 がっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」
 あぁ、愉快! 愉快!!
 そんなことをしているうちに、命の水で満された
   巨大なガラスケースが 並んだ広間に出た。
 薄暗い中、ガラスケースの輪郭だけが不気味に輝く。
 ガラスケースを横目に見ながら、更に奥へと進む。
 ―――!?
 オレは数多くあるガラスケースの一つに目を止めた。
 そこには、淡い青い髪の少年がたゆたっていた。
 何かの戦乱に巻き込まれたのだろう
   体じゅうのあちこちに傷を負っている。
 傷の感じからして、まだ新しい…
 どうやら、負傷して倒れている所をじーさんに
   つかまっちまったらしい。
「何をしておるんじゃ!?」
 じーさんのその声に、オレは我に返った。
 オレがあの少年に気を取られているうちに
   じーさんはかなり先を行っていた。
「あ…あぁ!! 何でもねぇー」
 オレは慌てて、じーさんに駆け寄る。
 広間の奥の机の前に着いたのは、それから間もなくだった。
 じーさんは、オレの方に向きなおって。
「長旅で疲れているじゃろ?
 風呂でも入って待っててくれんかの?」
 と、いきなりそんなことを言い出しやがった。
「あ…あぁ…」
 あまりにも突拍子もないセリフに、思わずマヌケな返事を返すオレ。
 それに、表向きには旅の賞金稼ぎと言うことになってっし
   ここで断わるのも何だし、じーさんのその申し出を受けた。






 風呂はちょっとした地底湖を、そのまま温泉にしたような
   作りだった。
 そー言えば、一週間くらい前にも露天風呂に入ったな…
 オレは無造作に服を脱ぎ捨て、髪をほどく。
 髪がバラけ、髪のサラリとした感触がオレの背中から
   ふくらはぎまで伝わる。
 つま先をほんの少し湯に入れ、温度を確かめる。
 丁度いいかな。
 ちゃぽん…
 オレは湯に入ると、背を岩にもたれかけ、何とはなしに天井を見上げ
て、さっきのあの広間の少年を想い浮かべた。
 じーさんが気付いているかどうかは知らんが、おそらくあの少年は
   エンシェントドラゴン…古代竜の一種だ。
「似ているのかもな…」
 オレは目を細めて、ポツリと呟く。
 赤眼の魔王(ルビー・アイ)や冥王(ヘルマスター)が
  人間の魂と一部同
化しているオレをしばき倒した後、面白半分で実験台にでも
  しちまうかも知れん。
 特にあの冥王のインケン野郎ならやりかねねぇー。
 もしかしたら、あの少年は未来のオレの姿かも知れんのだ。

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-

次回予告

 リナにしばき倒され、牢屋にいるハズのディオルがなぜ!?
 究極の研究とは、やっぱり…
 そして、謎の少年の正体は?(笑)
「情けなや あんな罠にかかるとは」
 お楽しみに!!



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295「魔竜王(ガーヴ)の憂鬱」1 2話(再掲示版)加流ネメシス E-mail 12/4-18:10
記事番号294へのコメント
魔竜王(ガーヴ)の憂鬱

written by 加流ネメシス

二、情けなや あんな罠にかかるとは

「おぉ、来たか!! 待っておったぞ!!!!!」
 風呂から広間に戻ったオレを、待ち構えていたじーさんの第一声がそれ
だった。
 じーさんは、満面の笑顔のもと、机の引き出しから取り出すと、それを
バン!!と、広げた――――――
 ぴききっっ!!
 オレは一瞬にして凍付いた。
 じーさんの説明なんぞ、もちろん耳に入っちゃいねーー。
「お…………おい!!!!!!!!!!
 こっ…これは何だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
 ドラゴンだの、獣だのの頭がゴチャゴチャ付いている合成獣(キメラ)の
完成予想図の丁度まん中を指差しながら、やっとの思いでオレは声をしぼ
り出す。
「決まっとるじゃろ。あんたの上半身じゃ。」
 いともへーぜんと答えやがる、じーさん。
 うきょぉぉぉぉぉぉおうおぅぉうおぅ〜〜〜〜!!!!!!!!
「リナ=インバースにしようと思っとったんじゃが、女性とゆーものは自
分の美的感覚に少しでもズレていると、どんなに素晴らしい物にもケチを
付けたがるよーでのぉ…
 あげ句の果てに、このわしを牢にブチ込みおった。
 実に悲しいもんじゃ。
 人生の楽しみの半分以上を失ったと言っても、過言じゃない!!
 まっ、そのお鉢がお前さんに回わったとゆー訳じゃ。」
「と、ゆー訳じゃ、じゃねぇ〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!!!!!!!
 何でよりによって、このオレなんだよっ!!
 他にだって、腕の立つヤツはいくらでもいるだろーーーーーーーーーー
がっっっっっっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!」
 オレはじーさんを張り倒すのも忘れて、たまらず声を張り上げる。
「お前さん、最近、露天風呂に入ったことがあるじゃろ?」
「あ゛…あぁ…そー言えば、そんなことも…
 それが何だって言うんだよ!?」
 オレは今にもじーさんに取っつかみそうな勢いで言う。
「実はの、わしを牢から出してくれたヤツが、クリスタルレンズを組み合
わせ、別の所の湯煙にお前さんの入浴シーンを投影して、見せ物にさせて
おったんじゃ。
 それが何と!!!!!!!!!!!!!!
 老若男女に問わず大好評!!!!!!!!!!!
 特にその乳には心を奪われるとか何とかで、ウワサを呼んでな。
 さっき確認させてもらったんじゃが、わしも実験で何人もの男の体を見
て来たが、お前さん程筋肉の付き具合のバランスの取れた、素晴らしい体
は、まず、お目にかかったことはない!!!!!!!!!」
 じーさんは頬を赤く染めた顔で、上目使いの視線をオレに向けた。
 う…う゛う゛………ま……さか……
 オレの背筋に冷たいものが走る。
 更にじーさんの熱弁は続く。
「そう思っての…
 お前さんのその乳で敵を惑わし、強大な魔力容量(キャパシティ)と、剣
術と力でなぎ倒す!!
 これこそが、究極の超合成獣(スーパーキメラ)と言えよう!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 うっっぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!
 オレは頭をかかえ込む。
「ち……ち……ち……ち……ち…乳ぃぃぃぃぃぃぃ!!!?」
 ぎこちないしぐさで、思わず服を着ているのを忘れ胸を隠し、今にも消
えてなくなりそうな意識を必死で保つ。
 胸を見られた女の心境がなんとなく分かったよーな気がする。
 当然、オレは自分の体に自信がある。
 だから、裸なんぞ見られても別に構わんが、その胸(あえて乳とは言わ
ねぇー)に粘り付くよーな視線の集中砲火を向けられているとあっちゃぁ
話は別だっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
「ブッ殺ス………………!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 オレは自分でもはっきりと分かるくらい、顔を怒りと恥かしさで真っ赤
に染め上げ、魔力を問答無用で解放したのだった…






 気が付くと、洞窟はものの見事に天井ごと吹き飛んでいた。
 辺りはガレキの山と化し、じーさんの姿はどこにもなかった。
 たぶん、吹き飛ばされて死んじまったか、ガレキの下敷きにでもなって
いるんだろー。
 ふと、あの薄青い髪の少年がいた方に目をやった。
 少年は地面にその裸身を横たえていた。
 オレは急いで少年に駆け寄ると、抱き上げて、胸に耳を当て、心臓が動
いているか確かめた…
 トクントクントクン…
 ――――どうやら大丈夫らしい。
 オレは思わずホッとする。
 このまま、ほっぽっとく訳にもいかねーし、ひとまず連れて帰っか。
 コートを脱いで、少年に着せてやると、本拠地に瞬間移動した。






「ガーヴ様っ!! 一体どこへ行かれたのですかっ!?」
 ラルタークの声がオレを出迎える。
 ラルタークは転がるようにオレに駆け寄り、腕の中の少年を見るなり。
「何ですか? その少年はっ!!
 どこの馬の骨とも分からぬ者を連れ込んでもらっては困りますっ!!
!!!!!!!」
 出たな!!!!! ラルタークのお説教攻撃!!!!!!!!!
「エンシェントドラゴンの馬の骨…」
 オレはあっさりと言ってやる。
 コイツと言い、ラーシャートと言い、お説教だのイヤミだのがとことん
好きなよーだ。
 影でヤツらに中指を何度おっ立てたものか…
 部下制作完全に失敗したな…オレ…
「…………!!!!!!!!! エンシェントドラゴンと言ったら――」
 「ガーヴ様!!」
 ラルタークの言葉をさえぎったのは、またもや転がり込んで来た、ラー
シャートの上げた声だった。
 ふうっ…
 これで、ラルタークの説教から逃れられたぜ…
 グゥドタイミング(はぁと) ラーシャートと、思いつつ…
「何だ!? ラーシャート!」
「そ…それが……………」
 なぜか言いよどむ、ラーシャート。
「何だ!! はやく言えっ!!」
 オレは少しイライラした声で言う。
「はぁ……実はガーヴ様の……その…ち…乳が人間共の間で話題になって
おりまして……」
 しぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃまったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!
 あのじーさんをブチ倒す前に、オレの入浴シーンを見せ物にしていたヤ
ツを、聞き出すの忘れてたああぁぁぁぁぁああああああ………
 オレの目の前が一瞬にしてまっ暗になる。
「しかも、その映像を特殊な魔法を用いて保存し、あっちこっちで流して
いるとか…」
「な…何と言う事!!!!!!!!!!
 これでは部下に示しが付かないどころか、他の腹心の配下にでも知れた
ら、魔族じゅうのいい笑い者になりますぞ!!
 だいたい、ガーヴ様は魔王としての自覚がなさすぎです!!
 人間界なんぞをフラついているから――――――」
 しかし、えんえんと続くラルタークの説教が、ボー然と天井を見上げて
いる、オレの耳に届くハズがなかった…

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次回予告

 この事件の真の黒幕とは!?
 謎の少年はこの先どうなる?
「意外かな マヌケな罠に黒い影」
 お楽しみに!!



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301Re:「魔竜王(ガーヴ)の憂鬱」1 2話(再掲示版)まっぴー E-mail 12/5-15:46
記事番号295へのコメント
ネメシスさま〜
読みました。
うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ
ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ
懐かしい、あの「名作」復活!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!









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296「魔竜王(ガーヴ)の憂鬱」1 3話(再掲示版)加流ネメシス E-mail 12/4-18:13
記事番号294へのコメント

魔竜王(ガーヴ)の憂鬱

written by 加流ネメシス

三、意外かな マヌケな罠に黒い影

「そこにいるのは分かっているんだぞ…
 ラーシャート!!
 オレは視線を感じ、そう言うと同時に魔力弾を視線のあった方にブチか
ました。
 ちゅどぉぉぉぉぉん!!
「ぐあっつ!!」
 爆発音の少し後に、短い悲鳴が上がる。
 手応えありっ!!
 ここはオレの本拠地にあるひのき風呂。
 オレは湯船から出ると、目を回してノビているラーシャートに歩み寄
り、その胸ぐらをガッとつかむ。
「どう言うつもりだ…ああ? ラーシャート!!
 まさか、このオレを見せ物にして金儲けしよーと、考えてんじゃねーだ
ろーなぁ?」
「う…うう…ディルス王宮にもぐり込むのにも資金がかかります!!
 ガーヴ様が赤眼の魔王(ルビー・アイ)様に謀反なんて起こさなければ、
こんなことをしなくても済むのですっ!!」
「な…なんだと!?」
 オレは、ラーシャートのイヤミに腹が立った。
「オレが何の考えもなしに、そんなことを――」
「ガーヴ様!! どうなされたのですかっ!?」
 そのとき、丁度風呂場に飛び込んで来たヴァルの声がオレの言葉をさえ
ぎった。
 オレはラーシャートを放り出し。
「い…いや、なんでもねぇーーーー。」
 と、ヴァルに答える。
「なんでもない訳ありませんよ!! さっきの爆発音はっ!!
 ガーヴ様の変なウワサも耳にしています…
 これからは、ガーヴ様が変なコトされないようオレが結界を張ります
っ!!!!!!!!」
 言って、口をヘの字に結んで、キッと目を鋭くするヴァル。
「ありがとな。ヴァル。しかし、相手がラーシャートとなると、お前じゃ
かなうまい!?」
 目を伏せて、オレは少し考えてから…
「冥王(ヘルマスター)との闘いもあるだろうしな…
 力が欲しいか? ヴァル!?」
「もちろんです、ガーヴ様!!
 ガーヴ様のお役に立てるなら、オレ、何だってします!!」
 迷わず答えるヴァル。
「そうか…じゃ、お前に力をやろう…」
 言ってヴァルに歩み寄り、頭をガッチリつかんで抱き寄せ、オレの腕か
らヴァルの頭に魔力を注ぐ…
 うぁあぁぁぁぁぁぁぁぁああっっっっっ!!!!!!!!
 ヴァルの悲鳴と共に、彼の頭に角が生える…
「お前にオレの名をやろう!!
 ヴァルガーヴと名乗るがいい!!」
 オレはヴァルに向ってそう叫んだ。






「ガーヴ様、なぜ何も聞かないんです?
 オレのこと…」
 俺の背中を流しながら、ヴァルがそんな質問をして来た。
「そんなこたぁ〜〜〜オレはいちいち気にしないタチでね。お前が話した
くなったら、話しゃーいい…」
 ヴァルは意気込んで。
「そんな訳にはいきません!!
 どんなヤツなのか分からない、オレを置いてくれたばかりか、力を与え
てくださったのですから!!」
 声のトーンを落として更に続けるヴァル。
「知っているのでしょ?
 オレがエンシェントドラゴンだって言うこと…」
「まーな。お前だって、オレがなぜ赤眼の魔王に謀反を起こしたか、聞い
ちゃいねーだろーが。」
「ガーヴ様…」
 そして、うつ向きながら。
「魔族のことは、よく分かりませんが、オレの一族は同じ神に仕えている
ハズのゴールデンドラゴンによって、滅ぼされたのです…
 オレは、その最後の生き残り…
 魔族の間でも、こんなことが起こっているのですか!?」
 オレはヴァルの質問には答えず眉をひそめたのだった…






「何だとぅ!?」
 オレは、入浴シーンを見せ物にしていた、フザケたヤローの探索の報告
をカンヅェルから聞いて声を上げた。
「間違いありません。根城と思われる場所に何度か使いを放ったのです
が、すべて返り討ちに遭った模様です。」
 淡々と無表情に言うカンヅェル。
 生け捕りにして、オレがブチ倒してやろーと思っていたのだが…
「おもしろい!! こーなったら、このオレ自ら出向いてやろーじゃねぇー
か!!」
 いきり立つオレを、カンヅェルはさすがに慌てて止めに入る。
「お…お待ちください!! ガーヴ様!!!!!!!
 その様な訳も分からぬ相手に、ガーヴ様が出向くとは―――
 あっ!!」
 カンヅェルが言い終わる前に、オレは瞬間移動をした。






「ここか…カンヅェルが言ってたのは…」
 うっそうとした森の中、古びた城の前に立ちそう呟く。
 森の木々の間からこぼれ落ちるこぼれ日が、今はもう使われていない古
城を照らす。
 どこからともなく、鳩の鳴く声が聞こえるだけのいたって平穏な風景
だ。
 城の中に入ろうと、一歩踏み出したその時―――
「ガーヴ様っ!! オレも連れて行ってください!!!!!!」
「ヴァル!?」
 オレは声のした方――ヴァルに振り向く。
「やっと、ガーヴ様のお役に立てる時が来たのです!!
 オレもどうか、連れて行ってください!!
 その、他人に見せるのは勿体ない、ガーヴ様の入浴シーンを見せたヤロ
ーを、ブッ倒したいんです!!」
「な…なんか、今、妙なこと言わなかったか?」
「い…いえ!! それよりはやく参りましょう!!」
 慌ててヴァルはそう言うと、オレの腕を取ってグイグイ城の中へ引っぱ
っていった。
 使われなくなって、間もないのか、いたって中はきれいだった。
 ガランとしていて、何の気配も感じない…
 オレとヴァルは、王座の間だったと思われる広間に出た。
 その時――――――
「やっと出て来てくれたんだね、ガーヴ…」
 オレは、その聞き覚えのある声を耳にした途端息が止まった。
 全身から冷汗が流れ落ち、その場で固まる。
 恐る恐るゆっくりと声がした方へ振り向くと、そこには、ゆるくウェイ
ブのかかった黒い髪をした美少年―――――
 冥王フィブリゾがいたのだった…






 オレは宙を舞っていた。
 大量の血を吐きながら。
 壁に全身を強く叩き付けられ、床に倒れ込む。
 やっとの思いで顔を上げると、首にフィブリゾの腕を巻き付けられた、
ヴァルの姿があった。
「人質なんて取らなくたって、充分君なんて倒せるんだけどね…
 それじゃ、つまらないでしょ?
 こうすれば、いたぶり、いたぶり君の極上の負の感情を頂けるって訳
さ。」
「貴様あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!」
 痛みと悔やしさにまかせ、オレは叫んだ。
「いいねぇ…その調子だよ、ガーヴ…
 まっ、これも僕の君に対する愛情みたいなものさ。
 好きだから滅ぼしたい、と言うね…
 それにしても、君はつくづくおかしなヤツだね。
 エンシェントドラゴンなんか仲間にして、何の得になる?」
 まるで、からかうように言い放つ。
「うるせぇ!! てめーに何が分かるっ!!!!!!!!!!!!」
 叫んだその途端、再びオレは宙に舞い、今度は床に激しく叩き付けられ
る。
 ぐぁぁぁぁぁ!!!!!!!!
「ガーヴ様ぁぁぁぁぁぁ!!!!!! ガーヴ様ぁぁぁぁぁ!!!!!」
 ヴァルの絶叫が、はるか遠くから聞こえて来ている様に感じた。
 オレは更めて、冥王との力の差を思い知らされることとなった。
 床を這いながら、ヴァルに向かう。
 まるで、わずか数メートルが永遠に感じる…
「いいカッコだね…君にはそうやって、地面を這いつくばる、その姿がお
似合いだよ。」
 クスクスクス…
 いたずらっぽい子供の顔で笑う冥王!!
 その冥王が、今度は虚空をつかむ。
 瞬間、内臓が握り潰される様な激痛がオレを襲う!!
 うっっっ
ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!
 床を転げ回りながら、冥王のどんどん高くなる笑い声を耳にする。
「さぁ、君の血で、この王座の間に赤い絨毯(じゅうたん)を敷いてくれ
よ!!」
 幼い顔を醜く歪めて、あざ笑う。
 ちっくしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!
!!!
 オレはこのまま、ヤツの立てたマヌケな作戦によって滅ぼされちまうの
かよ!!!!!!!!!!?
 涙がオレの頬をつたう。
 こんな…こんなヤツの前で涙を見せるなんて!!!!!
「あっはっはっはっはっ…
 君にも涙なんて、流せるんだねえ…
 そうだ!!
 このヴァルとかと言うヤツにも、何かしてあげなくっちゃ…」
 チラっと腕の中のヴァルに視線を向けた冥王に向かって、一つの魔力弾
が飛び込んで来たのはまさに、その時だった…

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次回予告

 大ピンチのガーヴを救ったのは一体!?
 そして、冥王の手から逃れられるのか?
 ガーヴの、ヴァルの運命はいかに!?
 最終話「嘆かわし オレはお笑い魔王かよ!?」
 お楽しみに!!

 ※次回登場のオリジナルキャラクターは、実は、「ガオ〇イガー」の長
官の姿をモデルにしています。長官を知っている方は、長官を思い浮かべ
て読んでみると、良いかも…



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297「魔竜王(ガーヴ)の憂鬱」1 4話(再掲示版)加流ネメシス E-mail 12/4-18:15
記事番号294へのコメント
魔竜王(ガーヴ)の憂鬱

written by 加流ネメシス

四、嘆かわし オレはお笑い魔王かよ!?

「だ…誰だ!! 僕のジャマをするヤツは!?」
 まるで、おもちゃを取り上げられた子供の様に叫ぶ冥王(ヘルマスター
)。
 冥王の反対側――丁度オレの後ろから、ヤツは答える。
「ドラゴン・マスターと言えば、分かってもらえるかな?」
 言ってニヤリと笑う。
 年の頃なら四十なかば。
 漆黒の礼服にがっしりとした体を包んだ、金髪を長く伸ばして、一つに
まとめた紳士がそこにはいた…
 ハンサムな中年なのだが、時折り見せるフザけた表情がすべてをブチ壊
している。
「ド…ドラゴン・マスター…あの…」
 ヴァルが厳しい表情で、そう呟やいたのをオレは見逃さなかった。
 やっぱり…そうか…
 ドラゴン・マスター…オレ達、赤眼の魔王(ルビー・アイ)の5人の腹心
に対をなす、赤の竜神(スィーフィード)の腹心の一人。
 かつて、ドラゴンを束ねていたことから、その通り名が付いたのだが…
 ドラゴン・マスターは、倒れているオレに近づき、回復の魔法をかける

「男はいかなる時も涙を流しちゃいかんと、父さん、言わなかったっけ
?」
「うるせえ!! たかだか5年オレの世話したからって父親ヅラするんじゃ
ねぇっ!!!!!! ……ところで少し見ないうちに、ずいぶん頭薄くな
ったんじゃねーのか?」
「ほぉぉう… もう、反抗期はとっくに過ぎている年頃だと思うんだがね
ぇ?」
 言いながらオレの頬をぐぐぐいっと、思い切りつねりやがる。
「第二次反抗期っつうの、知らねーんか?
 バーーーーーーーーカ!!」
 オレも負けじと、ヤツの頬を引っぱり返す。
 ぐぐぐぐぐぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!
 ぐぐぐぐぐぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!
 ふっふっふっふっふっふっふっふっ…………
 くっくっくっくっくっくっくっくっ…………
 しばし、オレとヤツはそのままのポーズでブキミに笑い合う。
 それを打ち破ったのは、すっかりその場に取り残された冥王だった。
「な…なぜ、お前がここに…?
 まさかっ!! あのウワサを流したのは、お前なのか!?」
「その通りっ!!」
 ドラゴン・マスターは、ニッコリ笑って言い放った!!
 てっ…てめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!!
 かろうじて叫び出したい気持ちを抑えて冥王に問いかける。
 我ながら、エライぞ!! オレ!!!!!
「そ…それじゃ…お前は…!?」
「風のウワサで、君の乳がウケているって聞いて、部下を使って、冗談半
分で入浴シーンを見物させたら凄かったんでね。
 おびき出すのに使わせてもらったんだよ。」
 な…なる程…どうりで冥王の立てた計画にしちゃーフザけていると思っ
たぜ。
 どうやら、完全に傷が回復したみたいだし…
 オレは当然、ドラゴン・マスターにつかみかかった!!
「落ち着きたまえ、ガーヴ君。
 聞けば、最近、赤眼の魔王に謀反を起こしたそうじゃないか?
 そのことについて、もっと知りたくってね…
 手っ取り早い方法で、君に出て来てもらう手段としてやったまでのこと
さ。」
「やったまでのことさ。ぢゃねぇぇぇぇぇ!!!!!!!」
 どげしぃっ!!
 ドラゴン・マスターの腹に、オレのケリが見事に決まった。
「ふっ、まだまだ甘いな、ガーヴ君!」
 ヤツは平然とした顔で、人差し指を左右に振ってチッチッチッと舌を鳴
らしながら言う。
 ブッ倒れている姿でやっても、様になんねーぞ。
 おまえ…
「ふん。神族のお前が魔族ばかりか人間を巻き込むとはなぁ…
 あの、ディオルって言うじーさん、死んじまったぜ!?」
 イヤミったらしく言ってやる。
 ドラゴン・マスターは、ぱっぱとほこりを払い落とすかのような仕ぐさ
をしながら起き上がり、ポンと手を打って、それに答える。
「あぁ、ディオル君のことは予想外だったけど、ちゃんと助け出して、元
の牢にブチ込んどいたから。で、そのディオル君からここを聞き出して来
たのだよ。」
 ドラゴン・マスターは、チラッと冥王を見て。
「まぁ、冥王のやったことは、そのうち私もやろーと思っていたことだか
ら、これも運命だと思ってあきらめたまえ!!
 さすがに私も、君のホムンクルスやコピーを作ってふーぞくに売り飛ば
そうとまでは考えていないから…」
 はっはっはっはっはっはっはっはっ……と、高笑いしやがる。
 コ…コイツわ…
 だいたい、そーゆー言葉が出るとゆーことは考えていた何よりの証拠だ
っつーーの!!!!!!!
「お遊びはそこまでだよっ!!」
 冥王が目を吊り上げ、睨んでいる。
 どうやら、今まで忘れ去られていたことがよっぽど頭に来たらしい…
 冥王が指をパチンと鳴らすと、中級魔族の皆さんその数ざっと、70〜80
が現れた。
 中級魔族達は、オレたちをぐるりと、とり囲んでいた。
 オレとドラゴン・マスターは背中合わせになって構える。
「念の為に用意しといて良かったよ…
 さすがに、神族と魔族の違いはあっても腹心二人を一度に相手にするの
はちょっとね…
 特に、ドラゴン・マスター、君の実力が分からない以上用心しないと。
 さぁ、どうする? どちらか片方がコイツらを倒す為に魔力をためて打
つ瞬間にもう片方を倒すくらい、僕には簡単にできるんだよ?」
 言って冥王は余裕の笑みを浮かべる。
「おまけにヴァルを人質に取られている…か…
 どうする!? ドラゴン・マスター?」
 見れば、ドラゴン・マスターは腕組みなんぞをして、しばし考えると、
とんでもねーことを言いやがった!!
 ヤツの髪が、服が、巻き起った気魄の風で激しくあおられ、叫ぶ。
「今だ!! ガーヴ君!!!!!! 『オレの乳を吸え!!!』って言うん
だあぁぁぁぁ!!!!!!!!」
 ビシィィィィィィィィィィィィ!!!!!!!!!!
 と、音を立てて、オレに向って指を差した!!!!!!!!!
「じょ…じょ…冗談じゃねぇーーーー!!!!!!!!!」
「精神生命体の魔族には、これが効くハズだ!!!!!
 さあ、『オレの乳を吸え!!!!!』って言うんだぁぁぁ!!!!!」
 バシィィィィィィィィィィィィィィ!!!!!!!!!!!!!!
 更に凄まじい音を立てて、オレの方に指を突き出す!!!
「だれがンなセリフ吐くかぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!
 口が裂けても言うもんかっ!!!!!!!!!」
「違うぞ!! 今の君の口から出る言葉は『オレの乳を吸え!!!!!』だ
っ!!!!!!!!!」






 しばらくそんな言い合いが続いた後…
「おい…もう、いいんじゃねぇーーか?」
「え!?」
 オレの言葉に、ドラゴン・マスターはポカンと口を開ける。
 オレ達を取り囲んでいた中級魔族の皆さんは全員、鼻血(!?)を流して
倒れているか「おぇぇぇぇぇ…」(失礼なっ!!!!!)とうめきながら
ぴくぴくしている。
 こーして、冥王一人を残して、戦いだか何だか分からんもののカタは着
いた。
 できれば、こんな勝ち方は二度としたくないモンである。
 見ると、冥王もヴァルをほっぽり出して、鼻血を両手で押さえてたりし
ている…って、をい!!!!!
「今だっ!!」
 ドラゴン・マスターは、オレに目で合図を送った。
 黙って、それにうなずくオレ。
 オレ達は同時に魔力を解放し、それを冥王に向けてブチかました…






  「ちぇっ…逃げられちまったな…」
 せっかくの冥王を倒すチャンスを取り逃がし、オレはぼやいた。
「まさか、冥王もあれを使うとは、思っていなかったみたいだな…
 まっ、これでいいんじゃない?
 しばらくは冥王も、迂闊に手を出せないだろうし…」
 のほほーーんとした顔で言う、ドラゴン・マスター。
 オレ達が、冥王にブチかましたもの…
 アイテムを使ってやったヤツはいるが、魔族と神族が力を合わせてやっ
たのは、おそらく闘いの歴史が始まって以来、初めてのことであろう…
 そう―――
 神魔融合魔法―――
「それにしても、ガーヴ…分かっているのか?
 自分がやっていることを…」
「謀反のことか…」
「魔族が裏切り者を放って置くハズはないだろう…
 これから魔族からの攻撃は激しくなる一方だぞ!?」
「分かっているぜ…そんなこと…」
「そうだな…魔族のお前が一番よくそれを分かっていることだな…
 何か考えがあってのこと、私の力が必要となった時は言ってくれ…
 お前のやっていることに間違いはいないと、私は信じているから…」
「………」





「大丈夫か!? ヴァル!!」
 オレは気を失っているヴァルを、何度かゆさぶった。
 ヴァルは気が付くと、手で鼻血をぬぐうとドラゴン・マスターをキッと
睨み付けた。
「ガーヴ様!!!!!! ヤツとガーヴ様は知り合いの様ですが、オレは
どうしても許せねぇ!!!!!!!」
 無理もない…
 と、ある事情があって、今のドラゴン・マスターには何の権力もない。
 つまり、ドラゴン・マスターがいくら命令しても、その命令を聞くドラ
ゴンなど、ほとんどいないのだ。
 それは、神族、竜族はおろか、魔族でさえも知らない者はいないと言っ
てもいいだろう。
 とは言え、ゴールデンドラゴンを止められなかった非がヤツになかった
とは言えない。
「君の気持ちは分かっている…
 さぁ…気が済むまで殴りたまえ!!!!!!!!!」
 悲痛そうな顔で言って、両手を無防備に広げる、ドラゴン・マスター。
「よぉぉぉぉぉし!! やってやる!!! やってやるぞぉぉぉ!!!!
!!」
 叫んでドラゴン・マスターに殴りかかろうとするヴァルの肩にオレは手
を置いた。
「な…なぜ止めるのです!? ガーヴ様!!!!!!」
 驚きを通り越して、ぼう然とした顔をオレに向けるヴァル。
「おおっと、そー結論付けるなって!!
 オレにも殴らせてくれねぇかなぁーーと思ってよ」
「ええ!? 止めてくれたんじゃなかったのか!?」
 顔をみるみるまっ青にして、声を張り上げるドラゴン・マスター!!
「あっ当りめぇーだっ!!!!!
 だれが止めると言った?
 今回の事件の礼をたっぷりさせてもらわんとな…」
 じり…
 満面の怒気をはらんだ笑顔を張り付け、オレとヴァルは、ドラゴン・マ
スターに歩み寄る。
「あひぇぇぇぇぇえぇぇぇぇ……!!!!!!!!!!!!
 ちょ…ちょっと!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
!!!!」
 こうして、めでたくドラゴン・マスターは人間(!?)サンド・バックと
成り果てたのだった…

〈完〉

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あとがき

 ここまで、お付き合いくださった方、ありがとうございます!!
 少しでも楽しんで頂けたら、幸いです。
 一応、この他にも、ドラゴン・マスターとの出会いのエピソードや、冥
王の部下達をヴァルとドラゴン・マスターとゲストキャラ四人でバッタバ
ッタと倒して行くお話も、ちょっと考えていますが、たぶん、日の目を見
る事はないでしょう…  何かのキッカケで、それらが紙面化したらよろ
しくお願いします。

 このエピソードは、ガーヴが17〜18歳の時(今から4〜5年前くらい)
と設定してありますが、もっと子供のガーヴも描いてみたいです。イラス
トか何かでいつか描くかも!

 最後に、私の駄文にここまで付き合ってくれた皆様、そして、マスター
様に、スタッフの皆様、本当にありがとうございました。

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HTML EDIT BY αえん



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猫南蛮亭




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300Re:「魔竜王(ガーヴ)の憂鬱」1松原ぼたん E-mail 12/5-05:27
記事番号297へのコメント
 おもしろかったです。
 って、前にもよんでるんですけどね。

>これから少しづつですが、再掲示していく予定ですので
 それって小部屋にあったらしい話ですか? あそこは重くてなかなかいけなかったのでだとしたらうれしいです。

 再掲示がんばってください。楽しみにしてます。
 ではまた、ご縁がありましたなら。

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310Re:「魔竜王(ガーヴ)の憂鬱」1加流ネメシス E-mail 12/6-00:44
記事番号300へのコメント
松原ぼたん様
> おもしろかったです。
> って、前にもよんでるんですけどね。
既に読んで頂いているとは・・・・・・・・・・・・・・
ありがとうございます!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! (^-^)

> それって小部屋にあったらしい話ですか? あそこは重くてなかなかいけなかったのでだとしたらうれしいです。
全くその通りで、「出会い編」、「セーラー服ガーヴ編」、「白い思い出編」があります。。(^-^)
私も自分の小部屋に入るだけでとても苦労しました。(^-^;;;;;;;;;;;;;;;)
今ではいい思い出ですね。(^-^)

> 再掲示がんばってください。楽しみにしてます。
> ではまた、ご縁がありましたなら。
基本的に再掲示版は、誤字脱字が発見されない限り、掲載当時のまま再掲載する予定です。
ただし、「出会い編」&「セーラー服ガーヴ編」の最終話は
新たに加筆する予定です。(^-^)

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353Re:魔竜王の憂鬱1 1〜4話 感想ですぅ。あいる 12/13-16:11
記事番号297へのコメント
どうも、どうもです。
 すいませぇ〜〜んっ !! (激謝)
  お読みしていたのですが‥なかなかお返事出来なくて…。本当に、遅くなりましたですぅ。(謝謝…)
 お忙しい中、再掲示ありがとうございましたっ。続き‥せっかくのお暇を使わせてしまうのは
  大変心苦しいのですが、アップして下さるのでしたら 楽しみにお待ちしております!
  ありがとうございました。
ではでは。

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357Re:「魔竜王(ガーヴ)の憂鬱」1 感想水彩まり E-mail 12/13-21:27
記事番号297へのコメント
♪どもども☆
 いやぁ久しぶりに読みました加流さんの作品(はぁと)
 う〜ん愛がこもってますね♪

♪17、8歳くらいのガーヴ(見てみたいです)
 ヴァルが16、7。んでドラゴンマスターが20代くらいでしょうか?
 つりあってますね(笑)
 ヴァルが登場シーンで裸(うっふっふっふっふっふっふっふ)だし
 ガーヴの方も乳で盛り上がってたし♪
 ドラゴンマスターも間抜けだしあの後ヴァルとガーヴに懲らしめられたのだろう
 いやぁ〜いいねぇ〜(はぁと)
 ちゃんとカンヅェルも出てきてるし!
 はぁ〜〜〜きちんと考えてますね(尊敬♪)

♪「魔竜王(ガーヴ)の憂鬱」1
 ってことは「魔竜王(ガーヴ)の憂鬱」2がでるってことですよね?
 私は小部屋あまり行かなかったので(今度いってみます)ほかのも読みたいです

♪そういえばフィブリゾがヴァルを人質って所は猫南のイラストでありましたよね
 私も何かシーン描きたいなぁ(ぽそ)
 あ、な、何でもないっす(汗)

 それでは♪

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371あいる様&水彩まり様へ加流ネメシス E-mail 12/16-05:06
記事番号357へのコメント
あいる様、再掲示版にまでわざわざ感想
ありがとうございます!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(^0^)

水彩まり様、ドラゴン・マスターの容姿については、私なりにこれと言うのが
ありますが、実は姿は魔族のように自由に変えられるので、自由に想像しちゃって
OKです。(なんて無責任な・・・・・・・・・・・・^-^;;;;;;;;;;;;)
>私も何かシーンを描きたいなぁ(ぽそ)
是非、お願いします!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
水彩様が、どのシーンにどんなイメージを持っていらっしゃるのか
知りたいです!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!