◆−決して叶わぬ想いなら−輝日 朔夜(6/11-13:55)No.10461 ┗Re:決して叶わぬ想いなら−輝日 朔夜(6/11-14:02)No.10462 ┗修正しました−一坪(6/11-15:22)No.10466 ┗すみません〜−輝日 朔夜(6/11-20:22)No.10481
10461 | 決して叶わぬ想いなら | 輝日 朔夜 | 6/11-13:55 |
今日は。輝日 朔夜です。 ちょっと思いついたんでいってみます。 ゼロリナで、ダーク目指してるんで、嫌いな人はご遠慮ください。 ちょっと長くなりそうですが、どうぞ読んでください。 ではでは。 *************************** 決して叶わぬ願いなら 抱いて此処で生きようか 捨てて何処かへ旅立つか 抱いて耐え得る想いなら 涙を抱いて生きていこう 捨てて歩ける想いなら 涙を捨てて旅立とう だけど どうすればいいのだろう 抱いて耐え得ぬ想いなら 捨てて歩けぬ想いなら 「はてさて困りましたねえ」 何処とも知れぬ空間で黒い男が呟く。 「まさか僕がこんな感情を持つなんてねぇ」 言葉は冗談めかしているが、瞳の放つ光は冗談ではない。 「彼女のせいですよねぇ。ま、責任追及する訳にもいきませんが」 脳裏に映るのは誰もの心を魅了する強い輝き。 血と炎に最も映える身でありながら、誰より光の似合う紅い少女。 「ま、仕方ありませんがね」 あの輝きに近づいたのは自分。 光に灼かれることが分かっていながら光と共に在ることを願った。 光を手にすることを望んだ。 暗い 暗い闇の中。 1人の野生の美しさを持つ女がいた。 その女の前には1つの水晶。 水晶の中には彼女の愛する存在が映っている。 彼女の瞳は最愛の存在を見つめている。 その心の中で何を考えているのか、全く窺わせずに。 「ほんと、参っちゃうわよねえ」 目の前の蒼い青年に、紅い少女が言う。 「まさか、このあたしがこーんな想いで悩むなんてねぇ」 言葉は明るいが、瞳の苦しさは隠しきれていない。 「あたしも所詮女だったってことね。ま、あいつのせいもあるけど」 少女が思い描くのは誰もが心惹かれずにいられない美しい闇。 血と炎を生み出す存在でありながら、何処までも甘美な黒い男。 「けど、ま、どーしよーもないわよね」 あの闇に足を踏み入れたのは自分。 先に待つのはただ破滅だと分かっていながら、闇の中に在ることを願った。 闇に囚われることを望んだ。 少女の前に座った蒼い青年は紅い少女を見つめていた。 己と願うものが最も近い少女を。 鏡のような少女を見つめるその瞳は。 あまりにも複雑すぎて、自分自身にも理解できなかった。 抱いて此処で生きようか 捨てて何処かへ旅立つか 「忘れられるくらいなら最初から考えはしませんしねえ」 とはいえ、このままにすることもできないのは分かりきっている。 「いっそのこと、滅ぼされてみましょうか」 半ば本気で呟いてみるが、すぐにかぶりを振る。 「いいえ。それじゃあ他の魔族と同じになってしまいますよねぇ」 彼女が滅ぼした多くの魔族と同じに扱われるなど我慢できない。 「それに、彼女の全てを手に入れることが出来なくなりますし」 他の誰かが彼女の全てを手に入れるなど、耐えられる訳が無い。 「かといって、殺してしまっては、後が困りますし」 例え彼女の全てを手に入れても、その後の彼女のいない世界が耐えられるかどうか。 「ましてや、彼女を人形にするのも無意味ですし・・・」 彼が惹かれたのは彼女の輝きなのだから。 「どうしたものでしょうかねぇ」 「いっそ捨てられれば楽なのにねぇ」 「だがそれが出来るくらいならそもそも悩まないだろうが」 「まあねー。かといってずっとこのままってのも遠慮したいし」 どうしよっかなー、と1人ごちる。 蒼い青年は、あえて答えの分かりきった問いを口にする。 「あいつを滅ぼしたらどうだ?」 「それもいいんだけどねぇ。あたし、その後生きてく自信ないわよ」 その問いが来るのが分かりきっていたようにあっさりと返す。 「それなら殺されるか?」 「それも良いかなーって思ったこともあるけどね。いやよ」 そんなことしたら、その他大勢の人間と同じになっちゃうじゃない。 「あたしは『特別』が良いの。あんたも同じでしょう?」 苦笑した青年と悪戯っぽく笑った少女の頭に浮かぶのは。 希望と絶望ゆえに、己の願いゆえに散っていった赤い闇。 蒼い青年が愛と憎しみを抱き、消えた今でも求め続ける存在。 紅い少女が己の戒めとした生を手探りで生きた哀しい存在。 蒼い青年が、狂おしいまでに渇望する存在。 その渇望が在るからこそ、2人は分かり合える。 だからこそいえる。残酷な一言を。 「だがお前は『幸せ』なんか望んでいないんだろう」 どうすればいいんのだろう 「捨てることも持ち続けることも出来ないなら・・・」 残る選択肢は一つ。 「・・・獣王様に叱られちゃいますかねぇ」 そう良いながらも止めるつもりは全くなく。 黒い神官は、己の母であり主である存在の元へと空間を渡った。 「獣王様」 「ゼロスか」 獣王はゼロスに背を向けたままで応える。 ゼロスは僅かな逡巡の後、意を決して口を開く。 「獣王様・・・実は・・・」 「ゼロス、私がお前を創ってからどれほど経つ?」 「は・・・?」 口上を遮っていった獣王の真意が分からずに、思わず間の抜けた声が零れるが、獣王が返答を待っているようなので、記憶を辿ってみる。 「詳しくは覚えていませんが・・・一万年ほどでしょうか」 「もうそれ程になるか。早いものだ。いや、長かったか?」 「獣王様・・・?」 怪訝そうなゼロスの様子を無視して続ける。 「一万年前、私はお前を創った。他の腹心達は複数の部下を創ったが、私が創ったのはお前1人だ。海王や冥王には複数創った方が効率が良いと散々いわれたがな。今はこれで良いと思う」 そこで始めて獣王は獣神官をかえりみた。 「何故だか分かるか?私はお前を愛しているのだよ」 母が息子を見る目はとても優しかった。 「ゼロス、魔族とて嬉しく思うこともあれば、愛しいと思うこともあるのだ。ただその表現方法が他の存在と違うだけだ。人や神々は共に在ることを望み、我々は共に滅びることを望む。儚い世界ではなく、絶対の混沌の中で愛することを。ゼロス、魔族程愛の強い存在はないのかもしれない。我々は世界を愛しているのだから」 獣王はゼロスの顔に手をかけ、目を合わせた。 「ゼロス、私はお前と共に滅びたかった。だが何故だろう。今はそうは思わぬ。だが愛していない訳ではない。このことを忘れるな」 ゼロスを立たせ、後ろを向かせる。 「獣王様・・・」 「何も言うな。行くがいい。思うが侭に。私が許す。心の侭に行け」 そういって、己の力を分け与えた男の背から手を離す。 息子は、母の愛と慈しみを受け、震える声を絞り出した。 「ありがとうございます・・・今まで・・本当に、ありがとうございました・・・・母上様」 息子が消える直前、母が呟いた。 「これから先、私が部下を創ることはあっても、決して『ゼロス』の名は与えぬ」 私の息子「ゼロス」は唯1人、お前だけなのだと。 そしてゼロスはただ無言で消えた。 蒼い青年の言葉に、紅い少女の顔が泣き出しそうに歪み。 そして青年にだけ見せる脆い笑みが残った。 「ええ、そうよ。あたしは『幸せ』なんて望まない。別に、魔族を愛したからじゃないわ。半人半魔なんて、いくらでもいるもの」 あたしが『幸せ』を望まないのは・・・ 「「お前が愛したのがあいつだからか」 何もかもを分かってくれる存在がいるというのは、どんなにも心強いのだろう。 「そうよ。あたしが愛したのは冷たい闇の中に在る残酷な男だもの。光の中の『幸せ』なんていらない。そんなのが欲しくて愛したんじゃないわ」 リナは、他の誰にも見せたことの無い「女」の顔をしていた。そしてゼルガディスは己の成し遂げられなかったことを成そうとしている娘を見守る「父」の顔を。 「ならば、決まっているのだろう」 優しい言葉に返すのは、とびっきりの「女」の笑顔。 「ええ。例え誰に何を言われようと、あたしはあたしの道を行くわ」 誰にも邪魔はさせない。これはあたしの人生なのだから。 「リナ、たとえ世界中がお前の敵に回っても、俺だけは敵に回らない。全てがお前を狂っていると言っても、俺はお前が考えた末に選んだと分かっている。誰もがお前を幸せだと認めなくとも俺だけは認める。お前は幸せなんだと。だから、お前はお前のままでいけば良い」 珍しく饒舌なゼルガディスにリナは、例の脆い笑みを浮かべた。 「ありがとう、ゼル。あたしは誰に何を言われても気にしないわ。けど・・・・だけど、ゼルに否定されたら苦しいのよ。あなたに会えて本当に良かった」 決して叶わぬ想いなら 「お久しぶりですね、皆さん」 荒野の真ん中で一行を待ち受けていたのは闇を纏った神官。 「ゼロスさんっ!?私たちを殺しに来たんですかっ!?だとしたらこの私が熱い正義の鉄拳でもって・・・あきゃっ!」 「うるさい。おとなしくしていろ」 口上を始めたアメリアを放り投げて黙らせたのはゼルガディス。 「すみません、アメリアさん。僕が用があるのはリナさんだけなんです」 いけしゃあしゃあと言い放つゼロス。 「そんなこと、承知するとでも・・・」 剣を抜きかけたガウリイを制したのはリナ。 「丁度良かったわ。あたしもあんたに用があったのよ。1対1で良いかしら?」 「ええ、そうしていただけると助かります」 「リナさん!?」 「そんなこと、許す訳がないだろう!?」 気色ばむ2人を止めたのは。 「ど・・・して・・・ゼ・・・ル・・・」 「悪いな。しばらく眠っててくれ。目が覚めるころには、全て終わっている」 信じられないように見る2人に、淡々と告げる。 「リナの願いだ。こうでもしなければ、おとなしくしていないだろう」 そして、ゼロスの声が流れる。 「さあ、始めましょうか」 ゼルガディスの目の前で、闘いは続いている。 お互い、かなりのダメージを受けている。 「次で・・・決めるわ・・・!」 「望むところです」 そして、2人の詠唱が始まる。 「悪夢の王の一片よ」 「 」 ゼルガディスは、見届けている。 「凍れる黒き虚ろの刃よ」 「 」 2人の行く末を。 「共に滅びの道を歩まん」 「 」 リナの手に黒い刃が生まれるのと。 ゼロスの錫杖に輝きが灯るのは。 同時だった。 そして。 2人は同時に地を蹴り。 ぞむっ 同時に互いを貫き。 互いに信じられないように見つめ合い。 笑った。 望むものは同じだったのだと悟って。 そして。ゼロスの姿が黒い塵となって消え。 リナの体から力が抜けた。 一部始終を黙って見ていたゼルガディスは。 「バースト・フレア」 リナの、死んだ後の遺体すら誰にも渡したくない、という願いを叶えた。 それが燃え尽きるのを見届けて、何処かへ立ち去るゼルガディスの目から。 一筋だけ涙が流れて消えた。 いっそ全てを抱いて旅立とう 「ゼラス、いるんでしょう」 赤竜の騎士の言葉に応じて獣王が現れる。 「逝ったぞ」 「知っているわ。風が教えてくれた」 背中合わせのままで2人は続ける。 「分かっていたのかもしれないな。あの者達が惹かれあうのは」 「何処までも、正反対の子達だったものね」 紅と黒 光と闇 生を望む存在と滅びを望む存在 赤竜の騎士の妹と獣王の息子 女と男 「ばかな子達」 「だからこそ、愛したのだろう」 「ええ。ばかな子達だからこそ、愛しかった」 「私もだ」 お互い、知られたくないと思いつつ、気付かれているだろうと思う。 私が涙を流しているのだと。 「これから、どうするの」 「変わらぬ。今まで通りであろう」 「あなた、新しい部下を創るの?」 ルナに言われ、ゼラスは少し考え、かぶりを振る。 「しばらくは創らぬ。必要となったら創るやもしれぬがな」 「けれど、息子はもう創らないのでしょう」 「ああ。私の息子はゼロスだけだ」 「私も妹はリナだけよ」 独り言のように呟き、男の母と少女の姉は向き合った。 そして、祈る。 「願わくば」 「我らが母であり」 「我らが祖母たる御方が」 「あの子らに」 「限りなき幸いと喜びを」 「お与えにならんことを」 お前達に言われるまでもないわ こやつらは我が望むものを見せてくれたのだからな 我が何のために神々と魔族を創ったと思っておる 我が見たかったのは闇と光の惹かれ合う様よ お互い不完全であるがゆえに惹かれあい、反発しあう そしてどのような結末を創るか 我はそのために創ったのだ でなければ何故我の愛する存在同士を争わせるか まあよい 疲れ果てた子らよ 今は眠るがよい 何もかもを忘れて ただ心安らかに 愛しい子らよ 決して叶わぬ想いなら 抱いて此処で生きようか 捨てて何処かへ旅立つか 抱いて耐え得る想いなら 涙を抱いて生きていこう 捨てて歩ける想いなら 涙を抱いて旅立とう けれど どうすればいいのだろう 抱いて耐え得ぬ想いなら 捨てて歩けぬ想いなら いっそ 全てを抱いて旅立とう *************************** 長々つとつき合ってくださった方、ありがとうございました。 終わりでえっす。 かなぁり、マイ設定入ってますが、大目に見てくださいv(うふっ) なあんか、相互無理心中をテーマにしてたのに、違ってきちゃいましたねぇ。 なんか、私ゼロリナだと、ダーク(もどき)しかかけないかも・・・ しかもその場合、ゼルってば、良い役だし。 はは。今回の補足。(今回の話の中のゼルの位置づけ。) ゼルは、リナの鏡です。 なんていうか、ゼロスが欠けた、対になるようなものだとしたら、ゼルは、リナの魂の一部というか、同じ型から出来たものというか、んー、なんていうか・・・うう、私の貧困なボキャブラリーじゃ表せません。でも、イメージとしては、2人とも、片翼の鳥なんです。 お互いに欠けたものを求めてるから、分かり合えるってやつ。 リナとゼロスは恋愛感情だったけど、ゼルとレゾは、愛と憎しみ、かな? リナは、ゼルを、父のような、兄のようなものとして見てます。 リナよりほんのちょっと長く生きて、教えられることは在るけど、でも干渉はしない。手を貸すことはあっても、導くことはしない。そんなカンジ。 ゼルはリナのことを娘のような、妹のようなものとみなしてます。 自分の進んだ道を見せて、リナがその道を行かなくて住むように、反面教師になって教えてます。そして、自分の果たせなかった願いを叶えて欲しいな、て思ってて、そのためなら協力は惜しみません。 2人の間には、愛は在っても、恋は在りません。 って、なんか照れがきたんで逃げますっ! これは、マイドリームなんで、きにしないでくださいぃ〜!!! で、ではっ! 輝日 朔夜 |
10462 | Re:決して叶わぬ想いなら | 輝日 朔夜 | 6/11-14:02 |
記事番号10461へのコメント すいませーん。チェックしてたら気付いたんですけど。 ええっと、前の方の、 だからこそいえる。残酷な一言を。 のあとに、 「だがお前は『幸せ』なんか望んでいないんだろう」 が入ります。失礼しました。 輝日 朔夜 |
10466 | 修正しました | 一坪 E-mail | 6/11-15:22 |
記事番号10462へのコメント 修正してみました。 これでよかったでしょうか? |
10481 | すみません〜 | 輝日 朔夜 | 6/11-20:22 |
記事番号10466へのコメント ありがとうございましたあ〜。 お手数をおかけして住みませんでした。 今後気を付けますう。 輝日 朔夜 |