◆−現(うつつ)の初夏−CANARU(6/15-23:20)No.10563
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  ┗みゃはは〜♪−CANARU(6/18-11:35)No.10613


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10563現(うつつ)の初夏CANARU E-mail 6/15-23:20


どうも〜〜〜!!
「スレイヤーズの魔法」と「日本の呪術?」を混ぜてみたらど〜なるだろう・・・?
と思って書いたのが今回の話しです・・・。
「陰陽師」のコミックス引きずり出すわ、ノート引きずる出すわ(CANARUは
国文科・・・)の1人パニックでした・・・書いてる間ねえ・・・。
ガウリナをあえて外国人にしたのはやっぱり西洋の剣と魔法と日本、中国の
風水を混ぜるためなのよ〜〜ん♪
はぁ・・日頃無い知識を無理に搾り出そうとすると・・疲れるね・・(涙)
てんで古来日本の勉強高校時代にしてなかったな・・アタシ・・・。

**************************
都が見える・・・。
6月のねっとりとした気候が突厥風の服を身に纏っているとはいえ
少々堪える・・・・。
「なあ〜・・。リナ。もう到着したのか?」
隣の車からあいもかわらずのポリシーであろうか?
まったくもっての異国だと言うのに自分の遊牧の国、マジャール人風の服を身にまとい
少々眠たげなガウリイがリナに尋ねる。
「ええ・・・・。すっかり・・時間が掛かってしまったわね・・。」
唐の都からここ・・平安京に「物の怪退治」を依頼され、出発したのはもう何ヶ月も
昔の話である。
「すっかり・・遅くなったわね・・。」
今でこそアラビア風の服を身にまとい、この国では目立たない様にしているが。
古代ローマ伝来の魔術に長け、今となっては幼い頃を過ごしたその祖国に
居る事も叶わなくなったリナ・・・・・。
そして・・偶然であった遊牧民の魔剣の剣士ガウリイの話がこんな異国に
まで伝わっているとは・・・。
そう思いながらリナは苦笑せざるおえない気持ちになった。
「故郷(ローマ)から・・・随分離れちゃったわね・・・。」
「そっか・・・?こ〜ゆ〜のも悪くは無いぞ・・・?」
リナの独り言にもともと遊牧民族マジャール・・アジアではフン族と呼ばれる
盗賊出身のガウリイが返答する・・・・。
いっぺんしばっき倒してやって以来・・ず〜〜っと一緒なのである。
リナとしては兄のよ〜に思っている男だが・・・やっぱり『血統』の違いは
拭いがたいらしかった・・・。



平安京のと、ある屋敷の一室に通されたのはその日の夕方だった。
相変わらずリナはアラビア風の服装でローマ人である自分の風貌を誤魔化しているのに
反してガウリイは諸刃の魔剣まで装備しての依頼人との会見である。
この二人が奇妙に見えても仕方が無い事だろう・・・。
「平安京、左大臣藤原焔です。」
一人の貴族であろう男がおもむろに二人の前に現れる。
「依頼人は貴方なんですか・・・・?」
そう・・・・・・。
この所の平安京には物騒な事が絶えないのだ・・。
物の怪、更には怪しげな気象・・・・。
「ええ・・・。ともあれ・・・今夜・・朱雀通りの大路の最南端・・・。
九条の中央にある門に来ていただきたいのです・・・。」
焔はリナとガウリイにそう言う。
「門・・ですか・・・?」
「そ〜そ。門だよ、門!!ついでに言えば・・・あ〜〜んな馬鹿みたいな門の
妖怪はさっさと始末して僕の屋敷に来て欲しいんだけどね〜。物の怪が
出て困るんだよ!!」
不意に聞こえるもう一人の人物の声が聞こえる。
「・・・・・・。右大臣の源氷だ・・・・・・・。」
不愉快そうな声で焔が二人に告げる。
「僕の家!!都の東北にある左京の北辺の辺りだからね!!さっさと用事済ませて
化け物退治してくれないかなぁ〜?」
嫌味たらしくぐちぐちと言う。
「気にするな。コイツは単なる妖怪よりもタチの悪いイカレ男だ・・・。」
半分溜息混じりに焔は言う。
「ねえ・・ガウリイ・・。この人・・アンタに声がそっくりじゃないの・・?」
「そ〜かなあ・・・。まあ・・・。別に良いけど。ともあれ・・。」
今夜、九条の門で妖怪退治・・と言うことは決定したようである・・・。


三日月が蒼くそらにかかる・・・。
あれから数時間経ったというのに一向にムシムシした気候に変化は無い。
「この門か・・・・・・。」
マジャール風の戦闘服に諸刃の剣を身にまとったガウリイが巨大な門を見上げながら
呟く・・・・。
「羅生門というらしいわ・・・。」
闇夜に羅生門の白と赤のフォルムが不気味に彩色されて見えてくる。
しかもこの場は誰にも葬られるとも無い屍の山が出来上がって居ると言う・・。
もっとも門の中まで潜入してその有様を見物するつもりは毛頭ないのだが。
「盗賊でも出そうだな〜〜・・。」
不意にガウリイが辺りを見まわしながら呟く。
「昔のアンタみたいに?」
闇の中でリナは微笑みながら手痛い言葉をガウリイに返却する。
「おいおい・・。俺のマジャール一族は遊牧の盗賊・・・っていうのかな・・?とも
かく・・そ〜ゆ〜のナンだぜ?それを・・・。」
「そね。こ〜んな所で鬘にするために死体の髪の毛抜いてるこそ泥と一緒に
はされたくないわね・・。」
あえて気色悪かったのでガウリイが言わなかった一言をアッサリと言ってのける
リナにさしものガウリイも少々違った生き物でも見るような眼差しを向ける。
「そ〜んな事してる間にも・・・。」
「ああ・・・。物の怪さん・・・とやらのお出ましの様だな!!!」
そうとだけ言ってガウリイは魔剣・・・。
自分達の一族で言う所の「光の剣」を構える。
「ファイアー・ボール!!!!」
開口一番、リナの習得した古代の魔術・・強いて言えば攻撃魔術が
炸裂する!!
が・・・・・。
その「物の怪」である悪鬼はびくともしない・・・・。
「やっぱり・・アンタの出番かしらね・・?呪文のタイム・ラグを稼いで!!
ガウリイ!!」
「おう!!!」
言いながらガウリイが光の剣で悪鬼に斬りかかって行く!!
暫くの攻防・・・。その間にリナの魔法が完成する!!
が・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「きゃあああああああああああああああああああああああああ!!!!???」
とてつもない衝撃・・・?
咄嗟に結界を張るが・・・・やはり少々手遅れであったのか・・・?
「リナ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
微かに聞こえるガウリイの声と光る閃光・・・・・。
それだけを覗き見てリナの意識は混濁して行った・・・・・・・・。


ここは・・何処なんだろう・・?
ああ・・そうだ・・・。
「お父様・・お母様・・アタシ達、どこに行くの?ねえ・・ねえさん・・。」
幼いリナの問いかけに誰一人答えてはくれない。
「お家に帰りたいなあ・・・・・。」
「ローマにはもう戻れないのよ・・・。アタシ達は・・古代の秘術を受けついているから。ローマに居てはいけないの。」
やっとの事で発せられた姉の声。ルナ・・ラテン語で月の意味の名・・・。
「ね〜ちゃん・・・。なんだか・・アタシ達・・・・。」
お別れするみたいな事言っている。
そうリナは言いかけたが縁起でも無いので止めた。街道の景色にももう飽きてきた。
今、姉も両親も脇に座って休んでいる。
何処かに行って来よう。もうローマを発って何ヶ月たっただろう?
いい加減に街道を歩いてばかりいるのもイヤに成ってきた。
そう思ってリナは姉と両親の目を盗んで草原の方へ歩き出して行ってしまうのだった。
そして。どのくらい歩いただろうか・・・?
誰も知らない場所・・街道への方向感覚ももはや掴めない。
「どうしよう・・・・・・・・。」
まだ10歳にも満たない幼いリナは混乱の極地に神経が至る。
そして・・・無数の馬に乗った見知らぬ人々・・・・・・・。


「お!!目が覚めたか!!」
気を失った理由は定かでは無い。だが・・・・・・。鳩尾の辺りがキリキリ痛むのは・・。恐らく殴られたか蹴られたのかしたのだろう・・と幼いなりにリナは判断する。
気がつけば・・首筋に小さな銀色のひやっとした物が付きつけられている。
「・・・・。お兄ちゃん・・コレ・・ナンな真似・・・?」
こめかみが少々引きつっているのは・・恐怖からではなくって・・多分怒りから。
「・・・。いや〜〜・・ローマ人を見たら『金を出せ』と言って短剣で脅せ!!
ってオヤジに言われてるんだ。金、出してくれるとありがたんだが・・・?」
「・・・・・。カツアゲ現行犯だって・・『金がね〜なら親に言って来い』くらい
気の利いた一言言ってくれるわよ・・。それに・・アンタ誰!!アタシはローマを
追い出されたリナよ!!!」
怒りとも愚痴ともつかない一言をリナは発する。
「ああ・・。俺は遊牧民マジャール族の王、イシュトヴァーンの第二王子のガウリイだ。
困ったなあ・・・金・・無いのか・・?じゃ・・親は・・?」
「はぐれた・・・・・・・・・・・・・。」
言いにくいことを一々言わせる奴である・・・・。
暫しの沈黙・・が・・それも本当に一瞬の事であった。
不意にリナが覚えたての呪文を唱え、其方の方向に攻撃を放つ!!!
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
更にガウリイが手にした短剣から手近にあった彼の体よりもかなり大きめの刃
の剣を持って其方の方向に突進して行く!!!??
「駄目!!魔族には普通の剣は通用しな・・・・・・」
リナがそう言いかけたその時だった・・・・・。
「光よ!!!!!!!!!」
幼いガウリイが長剣の刃を弾き飛ばし・・その一言を叫ぶ!!
「な・・・・・???????」
リナの驚愕の声は無理も無い・・・。
彼が手にしているのは伝説の代物・・「光の剣」だった・・・!!!
が、そんな事を感心している場合ではない!!
「ブラム・ブレイザー!!!!!」
リナの放った一撃は見事に魔族を包む込む!!
「なるほど・・・・。お前がローマを追放されたわけ・・。分かったような気がするな・・。」
言いながらガウリイはリナの手を取って何処かに連れて行く。
「何で・・魔族なんかに狙われたのよ・・・?」
「ああ〜〜・・・。ナンか・・俺がこの剣持ってるの気に食わないみたいでさ。」
なるほど・・・ね・・・・・・。
その後・・リナはガウリイの父親、イシュトヴァーンに紹介され・・・。
以来・・何処に旅をするのもずっと一緒なのである・・・・。

「リナ!!大丈夫か!!リナ!!」
不意にガウリイの顔が視界に飛び込んでくる。どうやら・・あの悪鬼の攻撃によって暫く寝込んでしまったらしい。
「ガウリイ・・アタシ・・・。」
子供の頃のガウリイの面影は・・今は僅かしかない。
「お前・・三日間寝込んじまって・・。心配したんだゾ・・・?」
本当に心配そうに顔を覗き込んでくるガウリイ。
どうやら・・寄宿舎にあの後直ぐに運び込まれて・・そのまま意識不明になってしまった
らしい。自分の不覚さに思わずリナは微かに苦笑する。
「ココは・・凄まじい霊気がするわ・・・・。」
思わずリナは置きあがってから廊下に出て庭の見える場所に座り込む。
「ココって・・・???」
「平安京の事よ。イタリアならローマ・・・。ギリシャならパルテノン・・・。
そ〜ゆ〜土地と同じように凄まじい霊気を感じるのよ。」
言いながらリナは昨夜の羅生門での一件を思い出す。
「魔術・・効かないのか・・・?」
「・・・・。多分・・・ね・・・。」
そうでなければ・・こんな不覚にも3日間も寝込んだりはしないのだ。
そう思いながらリナは庭にある池を眺める・・・・。
「そりゃ〜〜まあ・・そ〜でしょう!!」
不意に聞こえる見知った・・・間の抜けた緊張感の無い声がする!!
『ゼロス!!!!!!』
不意に登場したその人物(?)の名前をリナとガウリイは同時に言う!!
「・・・・・。魔族のアンタが・・・。ナンでこんな所に居るのよ・・・?」
リナの冷たい視線と突っ込み・・・・。
が、ゼロスは動じる事も無く・・・。
「簡単なことです。この『悪霊』事件は僕達魔族にとっても都合が悪いんですよ。
まあ・・・リナさん、貴方ならこの迷惑な状況をちょっとこの国の風習と構造を学べば
打開できるとは思いますけどね。」
あいも変わらず緊張感の無い微笑み。
「あの悪鬼達・・。アンタと同種だと思ってたわ・・。けれども迷惑となると・・。
『トーテム』の違いか何か・・・かしら・・・?」
嫌味たらしくリナはそう言う。
「手酷いですね・・。まあ、一つ良い事を教えてあげましょう。この都は
俗に言う『四神相応』の土地なんですよ。」
「四神相応・・・????」
その言葉にリナではなくてガウリイが質問する。
「北の玄武が船岡山、東の青龍が鴨川、朱雀は小椋池、白虎は山陰、山陰動・・。
と言った所でしょうかねえ・・・。まあ、僕は例えトーテムが違っていると言う事は
ありますが・・・・。神族の事は詳しくないので話はココまでです。」
そうとだけ言って何処へとも無く消えて行くゼロス・・・。
「おい・・・・。リナ・・・・・・。」
どうする・・・?とでも言いたげな眼差しでガウリイはリナを見遣る。
「・・・・・。書庫を借りるわ・・。誰も中に居れないで・・・。」
なるほど・・。確かに聞いた事はある事例である。
これで・・原因と過去の記録を調べれば物の怪退治は近いうちに完了するだろう。
「オイ〜〜リナ〜〜!!勝手にそんな事〜〜〜!!」
後ろでガウリイが情けない声を出し手続けている。
「ああ〜〜!!もう煩い!!『清掃中につき、書庫使用禁止』とでも言ってればいいのよ!!」
未だに不満そうな声を立てるガウリイを無視してリナは篭る為に書庫に向かった。



「おい〜〜〜〜!!リナ〜〜〜〜・・・・。」
やっとの事でリナが書庫から出てきたときの事だった・・・。
「ああ・・。ガウリイ!!」
妙に余裕ありげな口調と雰囲気がガウリイの苛立ちを少々ながら刺激する。
「待ってたんだゾ!!」
「ごめん!!!」
言いながらリナは手を合わせる。そんな様子を隣のこの都の下級の貴族であろう女性が
クスクスと笑いながら眺めている。
「・…?其方は・・・・・???」
不審そうな様子でガウリイはリナに尋ね、更にそっと耳打ちする・・。
「美人だけど・・・ナンだか凄まじいまでに陰気な雰囲気な人だなあ・・。」
「失礼よ・・・ガウリイ・・・。まあ。紹介するわ。今回の調べ事をちょっと
手伝って貰ったの。このお屋敷の女御の楓さんよ。」
さらにくすり・・と少々陰鬱な雰囲気で微笑み会釈しガウリイとリナの前から去って行く
楓・・・・・・・。
「あ〜あ・・・。ナンだかなあ・・。居心地悪くないか?あ〜ゆ〜タイプ・・。」
「考えすぎよ・・。それより・・面白い事が分かったのよ。」
言いながらリナがガウリイの前に2枚の紙切れを広げて見せる。
チェスの版のような目が巡らされているのだが・・・・・?
「ここ・・平安京の前景の地図よ・・。そして・・此方は『長岡京』の地図。」
言いながらリナはガウリイに二枚の地図を重ねて見せる。
「・・・・内裏の部分以外は・・良く似てるなあ・・・。」
言いながらガウリイはしげしげと町並み、少々の違いを見せる内裏図を眺める。
「もともとね・・この都の前に首都とするはずだったのが長岡京・・・。」
「ナンで・・其処を首都にしないで・・ココを都にしたんだ?」
何と無くガウリイはリナに聞いて見たりする。
「・・・非常に素晴らしい質問ね。長岡京は建設途中にして疫病や災害・・
そ〜言った事柄が絶えなかったのよ・・。これも・・この『結界』の形が悪かったのね。」言いながらリナは内裏の辺りを思いっきりツメで傷つけて記しを付ける。
「結界・・・?」
「町全体が一種の『結界』と言っても過言ではない形になっているのよ。この町は・・。
四神相応・北の玄武が船岡山、東の青龍が鴨川、朱雀は小椋池、白虎は山陰、山陰動・・。そう守護神を配しているの。更には悪鬼が通ると言う『鬼門』には比叡山を配している・・・・・。」
「それで・・何か問題があるのか・・?」
少々疑問を持ったかのようにガウリイが聞く。
「内裏・・よ・・・。その形・・今の平安京では昔の長岡京と同じ形式に改築されてしまっている・・・。知ってる・・?その形はね・・・。結界を破っているの・・・。
悪鬼を呼び寄せる事も・・・閉じ込める事も出切るけど・・・。悪鬼を『異世界に
送り返す』事の出来ない構造に都全体を変えてしまったのよ・・・。」
苦々しげにリナは呟く・・・。
「それじゃあ・・・・。」
「そ・・・。無意味に悪鬼を都に閉じ込めてしまっている・・と言うわけ・・。
けど・・・。」
少々疑問は残るが・・・まだこれだけは言えた段階ではない・・・。
そう判断してリナはこの先の事は一応黙っておく。
「何か結界を破壊する方法は無いのか・・・?」
ガウリイの困り果てたよな声がリナの耳に届く。
「ええ・・・。羅生門・・あの門さえ破壊すれば・・・ナンとかなるやもしれないわ・・・。」
そう思いながらリナは少々考えを巡らす。
「もともと唐から伝わった事なんだけど・・・。妖術のようなものかしら・・・・。
『陰』と『陽』の気配・・と言うものが気流として存在するらしいけど・・。
今の状況を統合すると・・・・。」
『陰』の気配が『陽』の気配を・・押し殺している・・・?


「ひえええ・・・。魔族よりも気色悪いな・・。」
羅生門に向かう朱雀大路を進む無数の悪鬼・・・。
「百鬼夜行・・ってこの事ね・・・。」
それらを眺めながら呟くリナの傍らでガウリイは光の剣を構える。
「まって。」
そんなガウリイの様子を尻目にリナはさっさと呪文を唱え出す。
「おい・・。この辺一体をフッ飛ばすきか?確かにあんな沢山の鬼を相手にするには楽
だろ〜〜が・・って・・・・?」
リナの呪文のパターンが何時もと少々違っている・・??
そう思ってガウリイは構えて居た光の剣すら一瞬動きを封じてみる。
「臨、兵、闘、者、皆、陣、烈、在、前!!!!!!!」
みるみるうちに動きを封じられる悪鬼達・・・。
「ほへえ・・・。魔族だったら・・こ〜んな素直に消えてくれないだろ〜な・・。」
「・・・・まあね。トーテム(守護聖霊)が違うんだもん・・・。これはまあ・・。
九字の呪と言ってね・・。臨める兵、戦う者、皆、列連ねて、前に行く・・って言う
護身の破魔・・・って所ね。無だな体力は使いたくないわ。」
そうとだけリナは言う。


「頚木・・・・・・頚木・・・を・・・お・・」
微かに聞こえる声・・・。
どうやら魔力を持たないガウリイには聞こえてはいないらしい。
「やっぱり・・ね・・。」
そう思いながらリナはおもむろに懐から何やらを取り出す。
「来た様だな・・・。この前の悪鬼だ・・・。」
言いながらガウリイは既に剣を『光の剣』モードに変化させている。
「はあああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
気合と共にガウリイは一気に先日の物の怪との間合いを詰める!!
「ガウリイ!!女の魔物だからって!!甘くするんじゃないわよ!!」
「やきもちか?そりゃ〜!!」
まだまだ少々余裕のある声でガウリイはリナに答えて一気に間合いを詰める。
リナとて加勢したいのは山々だが、身につけた魔術がこのトーテムの種類の魔物
達には一切合財効果は無い・・と言う事になると・・・。
「羅生門までは・・まだまだ大分あるわね・・・」
思わず何時に無く吐き捨てるような口調になっていることを自分でも気付く。
「結界」であり「物質」であるあの門を破壊する事はリナの魔術では確実に可能
なのである。しかし・・其処に辿りついて実行しなければ何も意味は無い。
「く!!!!」
そうこうしているうちに魔物は体力が無限なのであろうか・・・。
明らかにガウリイがおされ気味になっている。
しかも一向に光の剣で傷を受けながらもダメージまでは受けた形跡は無い・・。
「真坂・・・・・・。」
試してみる価値はありそうである・・・。
例えトーテムは違っていたとしても『浄化』の方法に恐らく相違は無いだろう!!
「フロウ・ブレイク!!」
言うが早いか辺り一面に結界が張り巡らされ、その浄化は跳ね返されたかのように
見える。
が、狙いは其処にある!!
結界を巡らしてある中心点・・・・。
あそこだ・・・・。
ソレを発見したリナは其処に2枚のカードを投げつけてみる!!
ぎいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいおおおおおおおおおおおおおおおおおおんんんんん!!!!
イヤな音がして辺り一面の空気弾ける!!!
「・・・・・・・一体・・・・?」
既に悪鬼の姿は消えている。ガウリイはそう呟きながら剣をおさめて辺りを見まわす。
「・・・・・・・・。悪鬼の正体は・・コレよ・・。」
言いながらリナは手にした3枚の紙切れのうち、1枚をガウリイを見せる。
「これは・・・・・・???」
「呪譜よ・・・・・。コレで・・悪鬼を作り出していたのね。」
言いながらリナは更に手にした二枚のカードをガウリイに見せる。
「『悪魔』の逆位置のタロットに・・・『剣のエース』のカード・・・?」
鎖に繋がれた人間に背後に聳え立つ悪魔の逆の位置をした絵柄のカードと・・。
巨大な髑髏が一本の剣に刺し貫かれているもう一枚の絵柄のカード・・・。
「アタシも特別な呪をこのタロットに拭き込んでおいたの・・。
占いでもこの二枚は『悪い誘惑を絶つ』と言う意味で解釈するわ。」
言いながら事も無げにそのカードを仕舞い込む。
「所で・・大分凄まじい霧が出てきたのだが・・・?」
「朱雀大路を真っ直ぐに行けば羅生門にはたどり着けるとは思うんだけど・・・。
やっぱり・・」
戻ったほうが良いかしら・・・?
リナがそう言いかけたその時だった・・・。
「お探し致しましたわ・・・。」
不意に聞こえる場違いな陽気な声。
「あ・・・・・。楓さん・・・?」
不意に現れた一人の人物・・・。
異様なまでに陰気な雰囲気を持つ美人の女性・・楓・・・。
掲げ持った灯篭が霧・・今にも嵐になりそうな夜を微かに照らす出す。
「・・・・・。リナ・・・・。」
どうやら・・・。完全に引っかかったらしい。この件に関しては・・・。
魔力を持たないガウリイの直感の方が数段正しかったようである・・・。


「何処に行くんですか?楓さん・・・。」
灯篭を掲げ持つ楓に向かってリナはそっと問いかけてみる。
「何を仰るんです?お屋敷にお引取りいただこうと思っているだけですのよ・・・。
今宵はもうおそうございますし・・・。それに何より嵐が参りそうな気配ゆえ・・・。」陰気な美貌にそぐわない陽気な声が周囲一帯に響く。
陽の気流の上に・・陰の気流が覆い被さっている・・・。
その言葉が不意にあたまによぎる・・・・。
「ココは・・寄宿舎とはまるで逆方向ですね・・・。楓さん・・・。
貴方は一体何者なんですか・・?」
破魔の呪文とフロウ・ブレイク・・・・・・。
どちらが効力を発揮したのかは定かでは無い。が・・・・・。
「ここは・・・・・・?」
ガウリイの声が辺り一面に響く。
「羅生門よ・・・・・・・・・・・・・・・・。」
冷めたリナの声がさらにそれに覆い被さる。
「・・・・・・・・・・・・・・・。バレちゃいましたね・・・・・。」
クスクスクスクス・・・・・。
陽気な声で楓は笑い出す。
「リナ・・・離れてろ・・・」
言いながらガウリイは光の剣を再度抜き放つ!!
「はああああああああああああああああああああああっつ!!」
言うが早いか楓・・いや・。
『楓』と名乗っていた存在に斬りかかって行くガウリイ!!
が・・・その光の剣の力を持ってしてもそれは霧をきっているだけでしかない??
「・・・・・・・・・・。無駄ですよ・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
そっと楓は呟く・・・。
しかし、先程までの声の陽気さは微塵もなく・・・あるのは悲しそうな調子
ばかりである・・・・。
帰りたい・・・・頚木を・・・枷を外して・・・・・・。
聞こえる声・・・・・。
真坂とは思ったけれども・・・・・・・。
「悪夢の王の・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
凍れる黒き・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
微かにリナの呪文の詠唱のみが聞こえてくる・・・・・。
「ラグナ・ブレード!!!!!」
この一撃で楓を切り裂く事も恐らくは可能であっただろう・・・・。
だが・・・・・・・・・・・。
リナはあえて別の物を狙ったのだ・・・・・・・・・・・・・・。
そう・・『羅生門』を!!!!!!


凄まじい破壊音が周囲に響く・・・。
「なんなんだ・・・?」
周囲の地面が激しくゆれ、ガウリイは思わず身をその場に屈める。
「リナ!!!!」
「平気よ・・・・・・・・・・・。」
そっとリナは呟く・・・・・・・・・・・・・。
その手に握られているのは・・一枚の楓の葉・・・・。
「こんな季節に・・貴方に頚木を課した人間は・・・・誰かしらね・・。」
そうとだけ・・今まで苦悩を味わっていた聖霊に告げて・・・・。


かくして・・。
都の悪鬼騒動は『羅生門の破損』・・・。
しかも原因不明の・・・・と言う事で片付いたのだった。
「しっかし・・リナ・・・。これで『結界』とか言うのは無くなったのか?」
ガウリイの問いかけにリナは彼のほうを振り向く。
この国では目立つ事お構いなしで相変わらずマジャール風の服装に・・・。
諸刃の剣なんか輿に下げている・・・・。
「今のところはね・・・。」
「『今のところ・・・?』」
「ええ・・。あの羅生門の配置はね・・・。今この平安京で一番の権勢を誇る
藤原家・・・北家の都合に非常に良い配置となってるの・・。連中・・・絶対に
再建するに決まってるでしょうしね・・・。」
苦々しい気持ちでリナはそう言う。
「そ〜ゆ〜モンかねえ・・・。」
「そ〜ゆ〜モノよ・・・・。さ、今度は何処行く?」
「はぁ・・・。何処までも付き合うよ・・・・。」
何時までたっても兄貴分にしか思ってくれないのか・・この子は・・。
などと思いながらガウリイはリナの駆け出して行った後を追うのだった。
季節外れの楓は・・・・暫く現れそうも無いだろう・・・・。


(お終い)

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10611続き・・・あるといいなぁ(^^)P.I E-mail 6/18-02:37
記事番号10563へのコメント

CANARUさん、こんばんは!
陰陽道にタロット・カードにジ○クくん(笑)。内容盛りだくさんですね〜!
藤原氏に都合の良い羅生門、事情を説明したら焔さん(笑)なら納得してくれ
るんじゃないかな〜。・・・いや、ひょっとすると氷さん(大笑)への
イヤガラセのために、かえって張り切って再建するとか(おいおい・^^;)
兄貴分ガウの気持ちがリナに通じるのは一体いつ?
う〜みゅ、続きが読んでみたいよ〜な・・・
余裕がおありなときにでも考えてみてもらえませんか?
それではまた次回作を楽しみにしてます〜。(^0^)/

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10613みゃはは〜♪CANARU E-mail 6/18-11:35
記事番号10611へのコメント

>CANARUさん、こんばんは!
>陰陽道にタロット・カードにジ○クくん(笑)。内容盛りだくさんですね〜!
はい〜〜!!
本当は氷さんはもっと出す予定だったんですけど・・・。
結局ギャグキャラで終わってしまいました〜〜(汗)
>藤原氏に都合の良い羅生門、事情を説明したら焔さん(笑)なら納得してくれ
>るんじゃないかな〜。・・・いや、ひょっとすると氷さん(大笑)への
>イヤガラセのために、かえって張り切って再建するとか(おいおい・^^;)
ありえます〜〜〜!!
個人的に此方の焔さんは氷さんいじめて遊んでるイメージが
書いてるこっちにもありますしいい!!(汗)
やっぱり我侭ののは変わらないですうう!!
>兄貴分ガウの気持ちがリナに通じるのは一体いつ?
>う〜みゅ、続きが読んでみたいよ〜な・・・
はううう!!
何かネタがあったらまた考えてみたいです〜〜!!
兄貴分ガウ〜〜!!
>余裕がおありなときにでも考えてみてもらえませんか?
はい!!
ちょっとそのうちネタ探してみます!!
>それではまた次回作を楽しみにしてます〜。(^0^)/
ではでは〜〜!!