◆−魅惑の肖像−CANARU(6/19-22:28)No.10631
 ┗お持ち帰りですか〜?(笑)−P.I(6/21-23:44)No.10667
  ┗婿養子ですね〜♪−CANARU(6/22-07:49)No.10668


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10631魅惑の肖像CANARU E-mail 6/19-22:28


おっしゃああああ〜〜〜〜〜〜〜!!
今回の話しはスランプ脱出だあ〜〜〜☆でっす〜〜!!
余計なコトしながらでも3時間もかからないで書いちゃいました!!
個人的に書いていてノリが良くなる言葉・・・・・・。
「あのアホンダラ」だとか「クソオヤジ」だとか十八番の「馬鹿兄」
などを幸せでしたあ〜〜〜♪はい、書いていてとっても楽しかった
ですうう!!あら・・・品性無いの丸見え・・・????


*************************

「居たぞ!!敵兵だ!!」
仲間のフランス正規兵か、はたまた国王自ら雇ったスイス傭兵団の声か。
ともあれ先日から苦しめられているナポリ王国のゲリラ兵団の発見した声が聞こえる。
「捕らえろ!!捕らえろ!!」
訳も無く騒ぎまくる国王シャルル8世の声にいささか周囲は辟易とした感を抱かされる。今回の無謀とも言えるイタリア・・・ナポリ王国遠征だってそうである。
「・・・・捕らえておけ。」
オルレアイン公、ルイの末弟として嫌々今回の遠征に参加したガウリイは適当に
国王の機嫌を損ねない様に言っておく。
どうせこれらのゲリラ連中の処分はみんなガウリイに押しつけて自分は征服した土地で
無意味に放蕩を重ねるであろう国王。
この捕らえた連中もいずれ自分が処理するのか・・・。
そうおもうと南イタリアのナポリの明るい空の下でもガウリイの心は重くなる。
「あ〜あ・・・。面倒くさい・・・・。」
オルレアインの田舎で末弟、部屋住みの身分を良い事にゴロゴロして、運動しているだけの日々が本当に懐かしい・・・・。
そう思いながら彼ははあ・・・と重々しい溜息をつくのだった。


従兄に当たるフランス国王シャルル8世が一世代以上も昔の相続権を持ち出して
イタリア・・・強いて言えばナポリ王国遠征をしだかしたのは1494年の事だった。
一見すればアルプスを超え・・他国に攻め込む。
かなり無謀の様に感じるこの計画だが、当時イタリアは分裂国家。
大小幾つもの共和国、王国、ローマ、僭主国が連立する戦乱の時代で強力な君主権力など存在しない脆い政治体勢であった。
無論、それらの国家が「戦争ごっこ」に勤しんで無駄に国力を疲弊するなど日常茶飯事。
華々しく戦って戦死者は己の甲冑の重さで窒息死した傭兵一人・・・。
などという情けない事態など当たり前だった。
そんな『無血戦争、傭兵代行』的な戦いしか知らない国家である。
7万ものフランス正規国王軍、更にその半数の数の良く訓練されたスイス傭兵団が
一挙にナポリ王国に攻め入ったのである・・・。
ハッキリ言ってイタリア諸国は抵抗らしい抵抗も無くフランス軍のナポリ入りを赦したのだ・・。
しっかし・・・・。
「あ〜〜〜・・・。ひち面倒くさい・・・・。」
国王は夢想主義の無能、兵団は正規のものとはいえ単なる田舎者の寄せ集め・・・。
無論、軍規など守ったものではない。
そして・・・一部のナポリ人だって大人しく服従だけしている訳ではない。
そのしわ寄せ、お鉢、処理がすべてガウリイにおしつけられてるのだった・・・。


「煩い!!煩い!!煩い!!も〜!!なんでアタシがこんな目に遭わなくちゃいけないの!!み〜〜んな馬鹿兄、馬鹿オヤジ、ルドヴィーゴ=スフォルッツァ・・。
あのイル・モーロが悪いのよ!!!!」
ゲリラを捕らえているはずの部屋・・・・。
何故か若い少女・・・らしき声の絶叫が聞こえる・・・・。
「ガウリイ殿〜〜ガウリイ殿〜〜〜!!」
配下の兵士の一人が泣きそうな顔をしてガウリイの方に駆け寄ってくる。
「ど〜したんだ・・・・一体・・・・・・????」
困り果てたような声にガウリイ自身戸惑った声で兵士に話しかける。
「ああ〜〜もう・・・手におえません〜〜・・あの娘・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・娘・・・・・・???」
粗末な椅子に座らされ、両手を縛られ一目瞭然で捕虜と分かる若い少女・・・。
しかし、それは単なる『捕らえた村娘その一』で済みそうも無い服装・・・。
即ちナポリのゲリラ兵団の着用する鎧を身に着けているのだった。
「ちょっと・・・アンタが責任者・・?アタシは・・・・・。
ああ〜〜〜!!もう殺すなら殺しなさい!!み〜〜〜んなあンのクソオヤジと馬鹿兄と
ミラノのアホンダラが悪いのよ!!!死んだら100代祟ってやるわ!!
いい!!そのクラゲみたいな顔引き締めてよっく聞きなさい!!アタシはリナ!!
リナ・ダラゴーナ!!ナポリの王女よ!!!」
一頻り少女は絶叫する・・・・。
「・・・お・・俺はガウリイ・・。オルレアイン家のガウリイ・・。
一応ガブリエフ姓を名乗ってるが・・ヴァロア家のルイの末弟だ・・・。」
勢いに押されてガウリイも自己紹介をする。
「・・・・・・・。あんの馬鹿王・・。シャルル8世の従兄家系ね・・・・・・。
って・・そんな事はど〜でもいいわ!!あのクソオヤジ!!ナポリの先王!!
アンタ達フランス人がナポリに攻めてくるって聞いて馬鹿兄・・アルフォンソに王位譲って逃げ出したのよ!!馬鹿兄は馬鹿兄で行き方知れず・・・。あ〜〜〜もう!!
みんなアタシに押しつけて逃げ出したのよ!!!」
なるほど・・・・・。
この少女・・リナがココ、ナポリの責任者に嫌々させられてしまったのだろう。
「ともあれ・・・。無骨な話はよそう。」
なんとなく・・重大な事でも意に副わない事を押しつけられれば徹底的に逆らう根性。
何と無く自分に似ているかもしれない。
そう思いながらガウリイはリナの両手の捕虜の縄を解いてやった・・・・。


「ミラノのアホンダラ・・イル・モーロことルドヴィーゴ・スフォルツィアはミラノ公国の摂政なの。」
ナポリの良く晴れ渡った海岸。
天然の良好を持ちながらこの国が海洋国家として発展し得なかったのは恵まれた土地の
タメであろうか?
南風がリナとガウリイの間を通りすぎる。
「で・・・お前サンはそのアホンダラをナンで恨んでるんだ?」
初対面の時からリナは「ミラノのアホンダラ」と連発している。
「ああ・・。その事よ。ミラノの公爵はイル・モーロころルドヴィーゴ・スフォルツァの
甥のジャン・ガレアッツォなの。でね・・。ルドヴィーゴはその甥の公爵の位を我が物にしよう・・な〜んて邪道な事考えたらしいんだけど・・・。」
「・・・・・・・・・。内乱になるんじゃね〜か・・・?」
リナの呟きに正論的なことを言うガウリイ。
「甘いわね。ミラノ国民はみんなジャン・ガレアッツォよりルドヴィーゴを慕っているわ。けどね・・そのジャン・ガレアッツォの妃がアタシの一族で・・。ナポリの王女なのよ。
つまり、ルドヴィーゴが何かやらかそうとすれば必ずナポリの邪魔が入る。」
「・・・・・・・・・それで・・・フランスの力を借りてミラノはナポリを押さえようと
したわけだ・・・・・。」
典型的な権謀術数である。
「ま〜ね。しかもタチが悪い事にルドヴィーゴの妃、ベアトリーチェはフェラーラ公国の公女にしてナポリ公妃イザベルの従妹なのよ・・。お互いの嫉妬心も今回の
ナポリへのフランス軍進行に影響してるって訳。最悪。」
吐き捨てる様にリナはガウリイに言う。
「ま〜〜な・・・・。俺だって・・オルレアインの田舎でゴロゴロしてたかったしなあ・・。」
フランスの片田舎では考えられない強烈な太陽に汗を拭いながらガウリイ。
リナの監視・・と言う名目ながらこ〜ゆ〜散歩はまったくの息抜きである。
「ま・・。お宅の馬鹿王の正確から考えて・・・。遥か昔・・。今の公家
スフォルツィア以前の公家の血筋・・ヴィスコンツィン家の公国継承権を盾にミラノにも攻め込むでしょうね。ざま〜見ろだわ。」
ハッキリと物を言うこのナポリの王女にさしものガウリイも少々苦笑せざる得ない。
「まったくだなあ・・・・・・・。」
しばらく・・こんな時間が続くのも悪くは無いかもしれない。


「・・・・・・・・・リナ様・・リナ様!!」
不意に限られた場所を散歩中のリナに何者かが声をかけてくる。
「・・・・・・・・・フェデリード!!」
兄、アルフォンソの家臣の一人、フェデリード・・・・・?
「リナさ〜〜ん!!遭いたかったです!!」
更に柵越しに聞こえてくる見知った声。
「アメリア!!無事だったの!!?」
フランス軍が攻めてきてリナが苦肉の策としてゲリラ兵団指揮に向かって以来離れてしまっていた同じダラゴーナ家のアメリアがひょこりと顔を見せる。
「ちょっと・・待って・・・?」
不意にリナは周囲をキョロキョロしてみる。
何時ものお目付け役ガウリイにこんな所を見られたら・・・・・
さしたる実害は無いような気はするが・・やっぱり彼はフランス軍の家臣である。
ナポリ王家の一族や重臣と会話をして居る所を見られるのはあまり得策とは言えないだろう。
さてさて・・・厄介なフランスの三流王子様は・・・と・・・・。
そう思いながらリナは再度辺りを見まわしてみる。
「あ・・・・。居た!!!」
ココからの相対距離的には・・かなり在るし柵の外にいる人物の姿は彼の居る位置からは確認する事は恐らく不可能だろう。
更に言えば声を聞き取る事なんて・・・。
リナ並みの地獄耳でもなければ到底不可能中の不可能である。
ましてやガウリイは同僚であろう兵士の話を仕切りに頷きながら聞いている。
何時もの事務的な調子では無く・・かな〜〜〜り真剣な眼差しである。
かと言って深刻ぶっている風でもないから警戒・・はしてはいないだろう。
更に言えば何か・・ちょっとでっかい4角形の物体をいくつか見せつけられている風もある。
「良いわ。話して。けど・・手短にね。」
話しが終わったら彼はこちらに来る事は目に見えている。
「なら・・手短に話します。ナポリの残党、ローマ、フィレンツェ、ヴェネツィア、更にはスペインのフェルディナント王、神聖ローマ皇帝マクシミリアンが『神聖同盟』を結びました。こられの国家の団結で・・・・・。」
「フランス軍をナポリから徹底させます!!ゼルガディスさんがナポリの代表として現在ローマに居ます!!」
フェデリードとアメリアがリナに言う。
「脆弱な同盟・・ね・・・。」
二人の興奮とは裏腹にリナは苦々しげに呟く。
もともとお互い反目し遭ってる国家同士が一時的とは言えてを結ぶのである。
それがいかに脆いものか・・・・・良く考えれば直ぐにわかる。
「兎に角・・ゼルに交渉を頑張って貰って。アタシは・・・・・・。」
其処まで言ってリナは口篭もる。
「リナさん・・・・・・・・・・・・??」
「何でも無いわ・・。ともあれ・・ナポリのタメにね。」
そのリナの一言に頷いて去って行く二人。例えこの場・・ナポリ侵攻をしてきたこのフランス軍勢を追い払っても所詮仲の悪い、無統率なモノ達の寄せ集めの同盟である。
更に言えば・・今回のシャルル8世のイタリア侵攻はこの半島の武力の脆さを各国に知らししめた事になる。
いずれ・・・列強・・スペインやフランス、更に言えば神聖ローマ帝国(オーストリア)がこの半島に攻め込んでくる事は目に見えている。
「はあ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
思わず溜息を漏らし周囲を見渡す。
ナポリの天然の良港が眩しい。なんだかな・・・・・・・・・・・・・。
そう思いながらリナは思わずその場に座り込んだ。
「リナ〜〜〜〜〜!!!!!」
どうやら・・こっちの深刻なんてお構いなし。
お話が終了したであろうクラゲくん・・・じゃなかった・・・。
フランス軍はオルレアイン家のガウリイ君が此方にやって来る。
「ナンの用事なの?フランス軍の雑用係君。」
ずべ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜・・・・。
あ・・・・・・・・・・・・こけた・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「お前なあ〜〜言って良い事と悪い事があるだろ〜〜〜〜〜・・・・。」
思いっきり地面にぶつけた額を摩りながらガウリイが抗議の声をあげる。
「本当の事じゃないの。」
素っ気無くなってしまうのは彼等・・強いて言えば彼・・・ガウリイに対して差し向ける兵団・・『神聖同盟』のことを考えているためだろうか?
が、あいも変わらずガウリイはそんな事お構い無しの様子である。
「なあ〜『肖像画』書かないか?」
は・・・・・・・・・・・・・????????????
唐突に言い出される・・ガウリイの訳の分からない申し出・・・・・。
「誰の?」「お前の。」
漫才のような言い合い。
が・・・ポン!!とリナは片手で作った拳でもう片方の空いた手の平を軽く音と立てて叩いて見せる。
「・・・・・。あのねえ〜〜〜・・・・。」
其処まで言ってリナは流石に口篭もる・・・・・・・・・・。
「は・・・?ど〜したぁ?な〜お前の肖像画、書きに行こうぜ♪」
どうやら・・さっきの兵士に自慢させられて・・この男・・自分も対抗しようとリナに言っているらしい。少なくともリナ自身はそ〜判断した。
「だって〜〜〜あああ〜〜〜!!もう!!絵描きと女がグルになってボロ儲けしよ〜〜としてるだけなのよ!!!そんなのにノせられちゃ駄目!!駄目!!駄目!!駄目!!
だめええええええええええええええええええええええ〜〜〜〜〜〜!!!!!!!」
赤くなって絶叫するリナにさしものガウリイもきょと〜〜んとして・・。
「ナンで・・・?」
「あのねえ〜〜〜〜〜・・・・・。ナンでアンタの捕虜であるアタシが・・・・。
フランス兵の『アムール』・・・・・。だああああ!!ともかく!!そ〜ゆ〜女の人達は!!画家達とグルになってフランス兵からお金を巻き上げているのよ!!そんな肖像画・・沢山集めて何が楽しいのかしらね・・。」
ブツブツとリナは文句を言う。
仮にガウリイがフランスの分家筋・・(部屋住みなのだが・・・)の王家のモノだとしても・・。
曲がりなりにもナポリの王女が・・・・・・・。
そんな肖像画、残されるなんて冗談じゃない!!
「なあ〜〜〜・・『アム・・・・・』ってナンだ・・?それより、肖像・・。」
「だあああああああああああああああああああああああああああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!この薄らトーヘンボク・クラゲ!!この肖像画のナポリ女性はね!!フランス兵の俗に言う『ラ・マン』なのよ?王女のアタシにそんな肖像画残せってかあ!!」
やおらやっとの思いで全部を絶叫するリナ。
「えええええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!そ〜なのかあああああ!!!(汗)」
「そうよ・・・。ったく・・。そんな肖像画の数競うなんて・・。信じられない・・・。」今度はいっきに絶叫した反動か、少々疲れた様に溜息混じりにリナはいう。
「・・・・・・・・・・・・・。う〜〜〜〜ん・・・・。」
今度考えながら唸るのはガウリイの番だった。
「何よ・・・・・・・・・・。」
「純粋にリナの肖像画が欲しかっただけなんだが・・・・・・。」
真剣に困り果てたような声で言う。
「・・・・・絵描きに頼んだら・・そ〜ゆ〜関連と思われちまうしなあ・・・・。」
更に困った様にガウリイ。
「じゃ・・・諦めるのね。」
冷たく言い放つリナ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・。じゃあ・・絵じゃなくて本物持ちかえり・・・。」
「させるかあああああああああああああああああああああああああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
ガウリイの頭に何処から取り出したのか分厚い金属装飾の分厚歴史書が直撃したのは
その
5秒後だった・・・・・・・・・・・・。


「フランス軍を殲滅・・・・ですって・・・・・???」
ガウリイに遭わなくなって何日だろう…?遠くローマを経て・・・。
今は北イタリアのピレネー近辺にまで至る。
「ああ・・。もうじき神聖ローマ帝国からも援軍が来る。」
ゼルがリナにざっと状況を説明する。
「じゃあ・・・・・。今から取る作戦って・・・・・・???」
「珍しいな、お前サンが怖気ずくとは・・・。ああ、シャルル8世を初めとするフランス軍の完全撃滅作戦だ・・。もう二度と・・イタリアの地を踏めないようにな・・・。」
既に・・リナはゼルの声を聞いてはいなかった・・・・・・・・。


「なあ〜リナ〜・・・。」付いて来い・・とも言っていないのにリナの幽閉されている塔の近辺にまでノコノコ付いて来るガウリイ。
監視役ならもっとえらそうにしてて、こんな汚い所に来なくても良いような気がするのだが・・・・・。
物珍しそうに物置の中を眺めるガウリイのほうがリナにとっては面白い見世物だった。
「これは・・・?随分と変わった形の鎧だが・・・・・?」
「ああ・・。女物なのよ。フォルリとイーモラの公爵夫人のカテリーナ殿もまったくの女伊達らに戦闘に参加するのよ。イタリアでわね。」
勿論・・それは先日のゲリラの指揮官としてのリナで実証済みである。
「へえ・・・・・・。」
感心したような声でガウリイがソレを眺める。
「じゃ〜ね。おやすみ、ガウリイ。部屋で調べモノしたいからさっさと退散してちょ〜だい。」
ちゃっかりランタンだけ受け取ってリナはガウリイにそう言う。
「ちぇ・・。素っ気ね〜なあ・・・。じゃ、また明日。」
「ははは・・。素っ気無いわよ。じゃ〜ね・・・・。」
リナもガウリイに挨拶を返す。が・・・。『また明日』の言葉は無い。


「リナ・・・・・・・・・・・・・・???」
何時までたっても食卓に顔を出さない。
監視役が捕虜の王女と食卓をいっしょにするなんて・・と同僚のからかいもそっちのけで毎朝一緒に食事をしているリナが今日はなかなか現れない。
おかしい・・・・・・??腹でも壊したか・・・・・・・・???
ガウリイが一人、悶々と疑問を抱いているその時だった。
『大変です!!ガウリイ様!!』
二人の下級兵が同時に声を張り上げて部屋に飛び込んでくる。
「・・・・・・・。同時には聞けないし・・。じゃ、まずそっちのアンタから言ってくれ。」内心の苛立ちを何時もののほほん口調で誤魔化しながらガウリイは言う。
「は!!もはやナポリにとどまる事は叶いません!!『神聖同盟』なる各国のフランス軍勢駆逐の勢力が・・・すぐ其処まで・・・・・。」
・・・・・・・・・・・。グズグズしていたら・・・。
『征服した土地(ナポリ)』で『捕虜』になる・・なんぞという間抜けな事態に成りかねない・・と言う事か・・・。
「早速国王に報告しろ。撤退準備をお願いするんだ。で・・そっちのアンタは・・・?」
「・・・撤退となったからにはさして重要ではない事かと思われますが・・・。
ナポリのリナ王女が・・夜半に脱走を図られたようです・・。どうなさいましょう・・・・。」
「ナンだって!!!!!????」
神聖同盟が迫っている・・という事態ですら動じなかったガウリイが突如大声を上げた事に下級兵は少々たじろきを見せる。
「・・・・・・・・・。今すぐに追う!!!!」
これから・・フランス勢力と神聖同盟の激戦が繰り広げられるだろう・・。
プライドの高い王女のリナが捕虜の身で居る事に我慢できなかった事は良く分かる。
だが・・・・・・・・・・・・・・・。
「危険過ぎる・・・・・・・・。」
それが・・今のガウリイに言える事だった・・・・・・・・・。


「良かったんですか?リナさん・・。」
「何が・・よ。」
ピレネー山脈付近の神聖同盟の陣地の一角。
マント―ヴァ公爵、フランチェスコ=ゴンザーガ率いる一体の中隊辺りであろうか・・・?
座り込んで物憂げな表情を見せるリナにアメリアが呟く。
「フランスの・・部屋住み王子様ですよ。親切にしてもらったんでしょう?」
アメリアの一言にリナはボ〜っとしながらも・・・・・・・。
「親切どころか・・・・多分自惚れじゃなくて・・99.999999999%惚れられたわよ・・・。」
事も無げにらしくも無いことをぼ〜としながら言うリナにさしものアメリアも少々ギョとした態度を一瞬見せる。
「じゃあ・・後の0.1%は・・ナンです・・・?」
「・・・・・・・・・・・・・・・。知らない・・・。」
・・どうやら・・自惚れでない事は確からしい。
ささやかながらこの0・1%は謙遜だろう。
「まあ・・・。良いですけど・・・・・。」
ナポリを取るか・・ガウリイを取るか・・・。
それは自由、と言う意味だろう。が・・・・。リナの思う事はただ一つ・・・。
「怒ってるだろ〜〜なあ・・アイツ・・。真相知ったら・・もっと怒るだろうな・・。」
何故か子供の様に『怒られる』と言うことを意識している。
悪い点数をテストで取った時の気持ちと似ていたりする・・・・。
結局・・どんなに大人びてもまだまだ子供・・・なのかもしれない・・・・。


「リナ・・・・・・・・・・・・・・。」
遭える確立は皆無に等しいとはわかっていた・・。
しかし、結局は戦場に立ち会うのは自分達フランス兵だけである。
もし・・・・自分達が神聖同盟に勝つにしても・・殲滅されるにしても・・・。
これで蹴りさえつけば恐らく旅の空に居るであろうリナの安全は少なくとも保障される
率が上がる・・と言う事である・・・・。
もう少しで撤退・・と言うところにまで来ている。
アルプス・ピレネー山脈さえ超えてしまえば兄のオルレアイン公、ルイが援軍としてシャルルを保護してくれるだろう。
そうなれば・・フランスへの帰国は可能となる。
だが・・・・。
「ぐわあああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
凄まじい断末魔が聞こえてくる。
もう、この神聖同盟とフランス兵の激戦は何時間も続いている。
「この軍勢は今までとは一味違うなあ・・・・。」
「はい・・・。マント―ヴァ公、フランチェスコ=ゴンザーガ率いる同盟軍の一体です!!」
意味も無く言った一言に近くに居た兵士が答える。
「・・・・・・・・。マント―ヴァか・・・・・。」
イタリア中小国家の筆頭にフェラーラ公国共々立っている軍事的にもかなりの力を持つ国である。
それに全同盟軍の援助の掛かっているのだ・・。
そう簡単に勝ち得るはずは勿論無いだろう・・・・・・・・・。
「く!!!」
掛かってきた剣を思わず跳ね返す。
事態は・・・フランス軍が圧倒的に劣勢である事は日を見るよりも明らかである。
それでも戦いを止めるわけには行かない。
が・・・・・・・・・・・・その剣を弾き飛ばした瞬間にガウリイの動きが止まる。
無論、彼ほどの腕の持ち主なら『この程度』の敵ならアッサリ斬り殺す事も可能だった。
だが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「リナ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
そう・・・。『神聖同盟』の旗手・・・。更に言えば指揮官の一人・・・。
その人物は間違い無くリナだった・・・。
「ガウリイ・・・・・・・・・・・・・。」
怒ってる・・・?という言葉が出かかる。が・・・・。
そんな事聞ける場合ではない・・・。
直感的にリナはそう判断した。
そんな二人の間でも刻一刻と激戦が繰り広げられる。
フランス軍の戦況は悪くなるばかりである。ガウリイが・・・・犠牲になってしまうのもこのままでは時間の問題だろう・・・・・・・・・・・・・。
「おい!!リナ!!!」
言うよりも彼女の行動は早かった!!
「左翼!!前方に突撃して!!傭兵体はスイス傭兵団の牽制を!!右翼は国王を追って!!本陣、迂回!!!」
リナの命令に周囲がどよめく。が、指揮官の一人に逆らう事は出来ない。
いっきに乱れる命令系統。更に言えば他の隊ももともとは即席の寄せ集め集団である。
見る見るうちにゴ神聖同盟、ゴンザーガ軍の不統率が際立ってきた!!
「逃げろ!!敵の命令系統はてんでバラバラだ!!早く!!」
騒音に紛れて聞こえる味方将軍の怒鳴り声・・・・。
そう。リナはあえて「ガウリイ」を逃すために命令系統を乱すような真似をしたのだった・・・・・・・・・・・。
「リナ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
その声は・・戦場の騒音に紛れてもう聞こえない・・・・・・・・・・・。


もともと寄せ集めの集団である・・・・・・・・・・。
リナの指揮の不手際への追及は何も無かった。
いや・・・リナが先導しようとしまいと・・結末は変わらなかっただろう。
フランス軍はかなりの犠牲者を出しながらも同盟軍の不協和音に乗じてピレネーを超えたのだ・・・・・・・・・・・・・。
「帰ったかな・・・・・・・・・・。」
ガウリイ・・・・。皆が撤退を始めた戦場に佇みリナはボ〜〜とそう考える。
南イタリア生まれのリナにはピレネーの雪はさぞかし冷たいだろう・・・。
そんなことしか頭には浮かばなかった。
「ピレネー・・アルプスの・・・・・。」
思わず口にその一言がでかかる・・・。
「冷たいだろうな・・。そんな所に・・俺を追い出そうってか・・・?」
見知った声が頭上のがけの方から聞こえる・・・。
「へ・・・・・・・・・・・・・・・????」
夕日の中からムクリと起き上がる・・・・金髪・・・??
「が・・・・がうりい・・・・????????」
「おう!!」
言いながらヒョイと崖から飛び降りてスタリ、とリナの目の前に着地するガウリイ・・。
「ど・・・ど〜して・・・ココに・・・???」
「いやあ〜〜・・。撤退するときな・・。崖でマトモに馬から滑り落ちたんよ・・・。
多分・・仲間には死んだと思われて見捨てられたんだろ〜なあ・・・。ははは・・。
気付いたら誰も居なかった!!」
ずべえええええええええええええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!
「こんの〜〜〜〜!!ドあほおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
再度、何処からともなく羊皮紙の分厚い本でガウリイの頭をこずくリナ!!
「いでえええええええええええ!!俺、病人だぞ!!?」
「『病人』じゃなくって『怪我人』でしょ〜〜が!!ったく・・。何て間抜けなのよ・・。」
呆れるリナにははは〜〜俺はくらげだから・・・。
と笑いながら答えるガウリイ。
無論嘘だけど・・・・。
あの後・・・・・・・。
一度は撤退したものの退き返したのである・・・・・・・・。
「ともかく。ナポリに帰るわよ!!ったく・・。暫くウチの別荘にでも潜んでるのね!!
ったく・・。世話が焼ける!!」
「おお〜♪世話になるな〜〜ははは〜♪」
怒り口調にボケ口調・・・。
だが・・二人は夕闇のかな・・笑っていた・・・。
これからも・・永遠に・・そうであろう・・・・・・・・・・・・・・。


(お終い)

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10667お持ち帰りですか〜?(笑)P.I E-mail 6/21-23:44
記事番号10631へのコメント

CANARUさん、こんばんは〜♪
スランプ脱出おめでとうございます!3時間足らずでこんな長いお話が1本
書けてしまうなんてスゴい・・・!!3行書いては2行消し〜のPとは
大違いだぁ〜(^^;)キャリアの差ですね〜。

さてさてガウリイくん、監視役の特権フル活用ですね(笑)
「絵がダメなら本物持ち帰り・・・」
最初っからそれが本音でしょ!
持ち帰ったところで、部屋住みの身じゃリナを養っていくことなんて不可能
なんだから。いい機会だ。このまま婿養子に行ってしまえ〜!!
「フランス軍の雑用係」の異名をとるくらいなんだから、きっと良く気のつく
マスオさんになって奥さんの実家でも重宝がられるわよ♪

この勢いでまた何か書いて下さい〜!
楽しみに待ってます。それでは!!

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10668婿養子ですね〜♪CANARU E-mail 6/22-07:49
記事番号10667へのコメント

>CANARUさん、こんばんは〜♪
>スランプ脱出おめでとうございます!3時間足らずでこんな長いお話が1本
>書けてしまうなんてスゴい・・・!!3行書いては2行消し〜のPとは
>大違いだぁ〜(^^;)キャリアの差ですね〜。
はうううう!!
何だか「罵詈雑言」(このアホンダラとか・・・)言った言葉が入ると能力以上に
かくスピードがあがる自分が居たりします〜〜!!
性格丸だしですねえ〜〜(汗)

>さてさてガウリイくん、監視役の特権フル活用ですね(笑)
ははは!!
職権乱用で罰せられなければ良いんですけど!!
ガウリイなら大丈夫でしょう!!(汗)

>「絵がダメなら本物持ち帰り・・・」
>最初っからそれが本音でしょ!
ああああ〜〜〜!!
やっぱり本音はそっちですねええ〜〜〜!!
これも職権乱用だゾ!!ガウリイ君!!

>持ち帰ったところで、部屋住みの身じゃリナを養っていくことなんて不可能
>なんだから。いい機会だ。このまま婿養子に行ってしまえ〜!!
ですねえ〜〜〜!!
一生南国のナポリでのんびりと〜〜♪

>「フランス軍の雑用係」の異名をとるくらいなんだから、きっと良く気のつく
>マスオさんになって奥さんの実家でも重宝がられるわよ♪
はううううう!!
やっぱり居候地味てる所がガウリイ君です!!

>この勢いでまた何か書いて下さい〜!
>楽しみに待ってます。それでは!!
はい〜♪
またネタ探しに走ります!!