◆−遠巻きの栄光−CANARU(6/23-22:30)No.10694
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  ┗塩味でした〜♪−CANARU(6/24-09:11)No.10697


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10694遠巻きの栄光CANARU E-mail 6/23-22:30


韓国風ポテトチップスをかじりながら
塩野七生さん著、「ルネサンスの女たち」と言う本の「カテリーナ・スフォルツァ」項目
を読んで思いついた話しです。あらまあ・・お下品・・・。
しかも・・史実と大分かけ離れたデタラメ話です。信じてはいけません!!
興味のある方、是非この本「ルネサンスの女たち」は
オススメですので読んでみてくださいませ!!
ど〜でも良いけど・・この「カテリーナ・スフォルツァ」ってアタシの
よっく知ってる人が顔かたちが少々似てるんでど・・・・。あえて言うまい・・・。
殺される・・・・・・・・・・・・・。

*****************************



「ロ・スフォルッツォ?」
物珍しそうに覗き込んでくるその眼差し。
「ナンだ?そんなに珍しいかぁ〜?」
困惑・・と言うよりも照れた気分でガウリイはそう聞いてみる。
「・・・・・・・・・・・・。イメージ違うわ。『野武士』って言ったら
ひげむくじゃらで・・もっと粗野で・・。ついでに言えばあたしに対しても
丁重じゃないってイメージあったの・・・。」
「お前さんだってなあ・・。ミラノのお姫様・・な〜〜んて雰囲気じゃないぞ?えっと・・。」
彼女の名前言おうとして困惑する。
「リナよ・・。世間には都合で『インバース』と名乗ってるけど・・・。
父はヴィスコンツィン姓を一応名乗る事は赦してくれてるわ。」
「リナ・・・。俺は・・・。ガウリイ。スフォルッツァ一門のガウリイ。
まあ・・お前サンのイメージした野武士は・・俺の兄弟に居るよ。」
苦笑しながらガウリイはリナに言う。


「助けて!!大変なんです!!」
一人の少女の黒髪の少女が泣きそうな声でガウリイの所にやってきたのは
仇敵のパゾリーニ一門と交戦し、その追撃に掛かっている時であった。
「どうしたんだ・・・?」
服装からして・・多分ミラノの公家のヴィスコンツィン家のモノであろう。
「私、アメリアって言います・・・。従姉のリナさんが・・・・。
大変なんです!!!」
言いながら其方のほうを指差す。
言われてみればアメリアの服は高級なものでこそあれどもかなり黒く焦げている
部分がある。
「多分・・・ミラノの公爵夫人の雇った連中です!!」
向こうの道の燃え盛る炎を指差しながら更にアメリアは言う。
「・・・・・・。パゾリーニの連中を雇ったのか・・・。」
丁度良い。
パゾリーニの一門を追撃するついでに礼金を貰うのも悪くは無い。
野武士・・現在でこそ傭兵隊長の一門となったスフォルッツァ一族らしい
打算でガウリイはそんなことを思い其方の方向へ向かった。


「・・・・・・・・・。マリーアの刺客・・にしては大分お粗末ね。
あ〜あ。アタシも安く見られたものだわ。」
リナは周囲を取り囲んだ刺客連中を見まわしながら機嫌が悪そうにそう言う。
ミラノの庶子の公爵の娘。それほど重要な地位を占めているとは思えない彼女に
そんなものを差し向ける人物マリーア・・・・。
ミラノ公爵の正夫人にしてサヴァイア公家の王女・・・。
彼女以外には考えられないのだった。
「・・・死に行くものに知らせる必要は無いだろう・・・?」
チープな台詞。
「本当。ありきたりね・・・・・・。」
言いながらリナは燃え盛る炎を振り払いながら護身用の短剣を抜き放つ。
こうしてみれば満更でも無い・・などと自分でも考えてしまうが状況は
小説などと違って圧倒的に不利。
今回の旅は護衛など一切つけなかった自分の迂闊さもさることながら
相手は野武士・・と言うよりも職業軍人である傭兵である。
そこそこの剣術の心得はあるものの・・・・。
何時まで持ちこたえられると・・となるとほとほと疑問な展開である。
後は・・・。
運良くアメリアが助けを拾ってきてくれる事を祈るのみである。
「・・・・・・・・・あ・・・・・・・・。」
そんな事を考えてるその時であった・・・。
さっさと退いて行くリナに対する刺客達・・・・。
一体戦いもしないで何が?戦意喪失して逃げ出す理由は考えられない。
そう思うのも束の間不意に背後から声が聞こえる。
「おいおい・・・。俺は悪鬼か・・?顔見ただけで逃げ出すなんて。」
場違いなほどのんびりとした声が・・・・。
「逃げろ!!スフォルッツァの・・・・・・・・・」
その言葉が完全に言い終わる前の出来事だった。
銀色の光が辺りを舞う・・・・・。
「な・・・・・・・・・・・・?」
リナが何が起こったか把握する以前の出来事だった。
一方的な勝利・・下手をすれば殺戮と言っても過言ではない状態の戦闘が
開始される。
たった一人の金髪の男が大勢の野武士達を・・・・・・・・・????
その戦闘もそう長くは続かなかった。
「大丈夫か・・・????」
先程の冷徹な様子からは打って変わって男はのんびりとリナに尋ねる。
「・・・・・・・・・・・・・・。こいつ等・・。あんたの事・・。
『スフォルッツァ』って言っていたけど・・?」
今、このイタリアきっての傭兵勢力と言えばストロッツィ一門とスフォルッツァ一門
である。
「ああ。そ〜だぞ。」
のほほ〜んとした口調で男はにっぱりと笑う。
「ロ・スフォルッツォ!!?」
(何事も成し遂げるモノたち)・・・・・・・・???????



「リナ。探したぞ!!」「リナさ〜〜ん!!」
「ゼル、アメリア!!」
同じミラノの公爵家、ヴィスコンツィンの一門のアメリアとゼルが無事だったリナ
とガウリイのもとにやって来たのはそれから暫くしてからの事だった。
「へえ・・・。ミラノの・・ねえ・・。」
皮肉っぽい調子でガウリイはリナ達を見まわしながら呟く。
「まあ。アンタが好い気がしないのは・・何と無く分かるけどね。」
言いながらリナは肩をすくめる。
傭兵・・ましてや高名な傭兵一家ともなれば『領主』『国王』『公爵』
などと言った連中に顎でコキ使われるのだ。
「いや・・そ〜ゆ〜意味じゃなくてさ。俺、今からフィレンツェに雇われる所
なんだよ・・・。」
言いにくそうにガウリイは3人に言う。
「・・・。ミラノのライバル国家じゃないの・・・・・・・。」
面白く無さそうにリナは呟く。
「・・・・・と、思ったが・・。やっぱりミラノに行くか。ミラノか
フィレンツェかかなり迷ってたんだが。今度こそ決断したぜ〜♪」
訳も無く笑いながらガウリイはそう言った。


ミラノ・・・・。
15世紀イタリアを代表する都市。
この時代誰しも力さえあれば「富み」「名誉」「地位」を手に入れることの
可能な時代であった。
その公爵はフランチェスコ=ヴィスコンツィン。
その庶子の公女がリナである。
「リナ様!!ご無事でしたか!!」
不意に侍女、正規兵、更には若手の貴族から下層の家臣までもが城内に入った
リナにわっと駆け寄ってきた。
「心配かけたわね。エレオノーラアンタの言った通り護衛をつけて行けば良かったわ。
ホアレ、明日から貴方の息子を城内の警護につけて良いかしら?あら、コジモ。
アタシは直属の護衛を今日から雇ったから大丈夫よ。」
一人一人、身分の上下も男女も関係無くリナは快活に話しかけていく。
「・・・・えらい人気だなあ・・・・・・・・。」
今までに大勢の偉そうにした領主や国王、公爵を見てきたが・・・。
ここまで平素に振舞っている人物は初めて見た。
それがガウリイの正直言った感想だった。
「リナさんはミラノで一番人気のあるヴィスコンツィ一門なんです。」
少々自慢げにアメリアがガウリイに言う。
「へえ〜〜〜・・・。」
どうりでガウリイのリナに持った第一印象が『姫のような感じはしない』だったのである。
「けれどもな・・。それはそれで困った事なんだ。
あいつは庶子でしかないがミラノ公国には嫡出の子が居ない・・。
そうなると・・アイツがこのミラノ公国を継ぐ事になる。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
ある意味・・近付けない事になるかもしれない・・?
一瞬そんな思いがガウリイの頭に過る。
いずれ・・・彼女も高慢なイタリア列強の君主になってしまうのだろうか?


「これ!!お前!!その成りは如何したのです?」
上段の方から聞こえてくる高慢な声・・・。一瞬ガウリイが
『将来、リナはそうなってしまうのではないのだろうか?』と危惧した冷徹なものである。
「・・・・・・・これはこれは・・・お義理母様・・・・・・・。」
冷徹な瞳にフランス風の高飛車な雰囲気に結った髪。
気取った態度が鼻につく中年の女性がリナと使用人達の方に無言で歩み寄ってくる。
「ミラノの正当な伯爵夫人・・・。マリーア様です。ついでに言えば・・。
リナさんとも公爵様とも最高に険悪の仲なんです・・。多分、今日の刺客も・・。」
ボソボソとアメリアがガウリイに状況を説明する。
「ナンで公爵とも仲悪いんだ・・?あのオバサンの旦那なんだろ・・・?」
「所詮は政略結婚だからな・・・。」
冷めた声でゼルもガウリイに告げる。
そうこう言っている間にもマリーアのリナに対する間合いはもはや完全に無くなる距離にまで来ていた。
「お前達。お下がりなさい!!」
リナの周りで楽しげに微笑んでいた使用人たちに対して傲慢な声で言い放つマリーア。
「・・・。彼らは私の友人です。貴方に命令される筋合いは無いとは思いますが?」
マリーアに対して挑みかかる様に・・更に言えば冷たくリナは言い返す。
「・・・・・・・・。まあ・・・産まれは争えない・・と言った所かしら?」
あくまで庶子でしか無いリナに対する最大級の嫌味だろう。
「その様ですね。」
それに対して本当に信じられないほどアッサリとリナ。
「此方、アタシの新しい親衛隊長、ガウリイ殿です。
以後お見知りおきを。」
義母を避けるようにガウリイの所に歩み寄りながらリナはそうとだけ告げる。
まったくもって良く分からない公女である。
普通なら「ナイト」ででも無い限り決して上流階級の
女性は剣士の腕に手をかけたりは
しないのだが・・・・。
それも悪くは無いので黙っている事にしよう・・・。
そう思いながらガウリイはリナの導く方向に向かって一緒に歩き出した。


「あ〜あ・・。イヤになるわ。」
言いながらリナはミラノの町並みを一望できる小高い丘に出る。
その後ろをようやっとの事で追いつきながらガウリイ。
「ったく。滅多に出歩くと。さっきのオバサンの刺客にまた狙われるぞ?」
珍しく息を整えながらガウリイがリナに言う。
「・・・・。まあ、ね。けどココなら絶対にばれないわ。それに戦うつもりは
私にもあるわ。」
言いながらリナは大きな樹の幹に身を凭れ掛けながら呟く。
「戦うって・・・?」
「アタシが女公爵になる。それだけよ。」
ぶ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
だから・・思いっきり似合わないって!!
口にこそ出なかったがガウリイはマトモに笑いそうな表情を表に出してしまった
らしい・・・。
「アンタまでそ〜ゆ〜顔するの?」
「怒った?」
表情こそは見えないが死ぬほど不機嫌そうな声。
「怒りを通り越して・・・『惨め』になる。」
その声に嘘は無さそうだし・・リナの気象から考えて機嫌を損ねて
何かで殴ってくる事はまず間違いは無さそうである。
「そ〜ゆ〜モンかねえ・・・・・・・・・・・。」
「こ〜見えてもアタシ・・。あのマリーアに勝るとも劣らないほど貪婪なんだけど?
やっぱり何かをするなら第一の地位に立ちたいと思うし・・。そうね・・・。
強いて言うなら『プリマ・ドンナ・ディ・イターリ(イタリア第一の女)と言う
称号くらい欲しいわ・・・。」
確かに・・・かなり貪婪な性格である事は疑いが無さそうである。
「よっしゃ・・。じゃ、俺も協力させてもらうか!!」
どうせすスフォルッツァ家は剣一本でここまで上り詰めた家系である。
ミラノの哀れな力の無いが人望だけはある女公爵の見方をしても良いだろう。
「アンタね〜〜〜!!アタシがまるっきり実力を伴わない野心家・・。
みたいな言い方してくれたじゃないの!!」
あ・・・・・?思ってる事を気付かれたらしい・・・。
ガウリイは予想した通りパッカ〜〜〜〜〜ン!!と頭を拳で殴られてた。
「いってぇえ〜〜。だってさ、本当の事だろ〜〜・・・。」
意味も無くリナを怒らせる。
「知らない!!もう!!アンタねえ!!一言言っておくけど!!アタシを差し置いて
アンタがミラノ公爵になる!!な〜〜んて下克上は絶対に赦さないからね!!」
あ〜あ・・・・・・・。
そう来たか・・・・・。呆れたような嬉しいような・・・。
そんな思いでガウリイはリナをまたからかいはじめた。


「行くの?ガウリイ?」
もともとは自分の護衛だったはずなのにね。
少々苦笑しながらリナはガウリイに詰め寄る。
「ああ・・。ま、お前のオヤジサンのたっての願いだしなあ・・・。」
こっちは本物の笑顔。やっぱり・・・偉そうにしているだけで
戦争に明け暮れるだけの公爵にでも・・・認められると嬉しいのだろうか?
「そね・・・。マリーアの陰謀が働いているとも思えないし・・・。」
そう。今日ガウリイはかねてよりの宿敵、フィレンツェとの戦に参戦するのだ。
ミラノ第一の傭兵隊長として・・・・。
「もともと俺達の一族は農家だったんだよ。けどな、
俺のじ〜さんって人が傭兵を募集している軍団が農作業中にやってきて・・・。」
「それに・・身を投じたの?」
「ああ・・・。それから・・剣一本で成り上がった。」
なるほどね・・・・。とでも言いたげにリナは頷く。
農家の出でこそは無いとは言えヴィスコンツィンの家も似たようなものである。
前世紀・・14世紀の戦乱の混乱に乗じてミラノの公爵となりあがったのだ。
「なあ・・・。リナ・・・・・。」
不意にガウリイが言いかけて止める。
「何・・・???」
「俺が・・万が一ミラノ公爵になったら?」
暫しの沈黙。下克上は世の中の常・・である。
「・・・暗殺させていただきます。」
にっこりと微笑みながらリナが言う。
「おい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
あんまりにもオーソドックでいながら的確、かつ恐ろしい
回答にさしものガウリイも引きつる・・・・・・・。
「冗談よ。でも・・父上から聞いてるわ・・。アンタ、アタシを
押しつけられそうになってるんですって?」
ケタケタ笑いながら意識すらしてない様子でリナは言う。
「あはははは・・・。貰えるモンなら貰いたいが・・・。」
出来るだけ自然な口調でガウリイ。
「打算?」「打算じゃあ・・・無いのだが・・・・・・・。」
失笑のあとの・・更に暫しの沈黙。
「・・・・・。考えとくわ。アンタの働き次第、ね。」
そう言ってリナは戦争に駆り出されるガウリイを見送った。


「馬鹿な!!そんな事あるはず無いだろう!!!」
勝利した戦争からミラノに凱旋したガウリイに信じがたい報告が
舞い込んだのは城内に一体が到着したその時だった。
「信じたくないのはお互い様だ。」
ゼルの皮肉っぽい一言が状況から逃避する最後の望みを断ち切る。
「馬鹿言うなよ・・。この前まで笑ってたんだ・・・。俺が成り上がったら・・
俺を暗殺するって言ってたし・・・・。第一、あ〜〜んな貪婪な奴がそう簡単に・・・・・。」
毒殺なんかされる筈は無い・・・・・・・。
「当たり前です。まだ『リナさん』は暗殺されてはいません・・・。けど・・・。」


「ガウリイ・・・・・・・・・・・。」
リナの部屋とは思えない暗い部屋。
「リナ・・おい・・・。」
あまりにも暗さと陰気さになかば呆れてガウリイは強引に
カーテンを開けて日光を部屋の中に送り込む。
「あ、アリガト。体動かなくて開けれなかったの。」
ど〜やら・・・。
気分まで陰気になっている訳では無いらしい・・・・・・。
「あの・・・リナ・・・・・・。」
「分かってる・・。公爵は・・・手遅れなんでしょう?
幸い毒の量の分配は素人の手によったタメかしら?
2人とも命は取り留めた・・。けど・・・。
公爵・・父上はすっかり記憶喪失になって・・廃人同様なんでしょう?」
はああ・・と他人事の様に溜息混じりにリナは呟く。
「アメリアの話しによると・・・・な・・・。」
素人の手による毒・・・・。そんな事が出切るのはあのマリーアしか考えられない。
「けど、良かったじゃないの。アタシを無理やり押しつけられなくってさ〜。」
からかっているのだか本気なのだか・・・・・。
「あのなあ。ちっとも『無理やり』じゃなったりするのだが・・・・・・。」
「本当・・・・?」
疑うような眼差し。
「本当!!」


ミラノ公国中が浮き足立っていた。
無論、リナの考え以上に貪婪なサヴァイア公国がそんな事を赦すはずが無かった。
ミラノの唯一の継承者にして公女。
リナが一介の傭兵隊長との結婚をする。
無論、そうなればヴィスコンツィン家の血を介していさえすれば
スフォルゥア一族の者がミラノ公国を相続する事になるのだ・・・。
サヴァイア公国、更に言えばスフォルツィア一門と敵対する傭兵団、
ストロツィ一門共々そのような事を赦すとは思えなかった。


「アタシも行くわ。」
武装したリナがガウリイの馬に相乗りしてくる。
「おいおい・・・。馬が・・・・。」
「失礼ね。アタシが太っているとでも言うの?」
そのあけすけな一言にガウリイは苦笑する。勿論、それをリナは同意と見て取った。
「やっぱり・・。ストロッツィの連中とサヴァイア公国は手を組んだな。」
遠い目をしながらガウリイはリナに言う。
あのマリーアは公爵とリナに対する犯罪が発覚し、そのサヴァイアに追放された。
だが・・・・・。
その敵陣に今から乗り込んでいくのだ。



何時からだろう・・・・・?
こんな風に野原を駆けまわって戦いたい。
自由になりたいと思ったのは・・・・・?
不意にリナは昔の事を馬の背中に乗りながら思い出していた。
「如何した・・?リナ・・・・・・。」
眠くなったのかもしれない。そう思いながらガウリイはリナに声をかけてみる。
「うん・・・。ちょっと・・ね・・・。」
意地の悪い公爵の夫人・・・・。
いつも無力な子供だった時は・・ただ泣いているだけだった。
けれども・・・。
『復讐』なんて単語はちっとも浮かんでこなかった。
あの時もこんなだったけ・・・?


「馬鹿!!馬鹿!!馬鹿!!馬鹿!!」
ただただ泣きながら道端に転がっている石ころに奴辺りした。
幼いながらもやっていることの無意味さは十分リナは認識していた。
けれども・・『何か』を破壊しなければとても気分が収まらなかったのである。
「おいおい・・。痛いじゃないか!!」
後ろから聞こえた声は道端で泣きべそをかいているリナを笑っているかのようだった。
「・・・・・・・・・・・。何よ・・・。」
俗に言う新興職業・・・・。『傭兵』であろう少年が笑いながら此方を見ていた。
「・・・・・・・・・。なによおおおお〜〜〜〜!!」
「だから!!石を蹴るなって!!俺額に当たって痛かったんだゾ!!」
笑わせる様に・・長い金色の髪をした少年はリナに馬の上から微笑みかける。
「・・・・・・・・・。だって・・ばばぁがアタシの事をいじめるんだもん・・・。」
訳も無くフテ腐った所を見せてしまう。
別に同情して欲しいって訳ではないのだが。
「なら・・。大きくなって見返してやれば良いんだよ。」
意とも簡単に思いつきもしなかった事を言ってくれる・・・・・・・。」
思いがけない一言にリナはまじまじと少年の瞳を覗き込む。
真っ青な・・・・空のような目・・・・・???


「ガウリイ・・・。アンタがさ・・・・。もしも・・小さいときから屈辱を
与えられたら・・・どうする・・・。」
押さえたトーンの声・・・・・。
感情を押し殺したものだったのだが・・ガウリイは暢気にもリナが眠くなったものだと
勘違いをしてくれたらしい。
その方が都合は良いのだが・・・・・・・・・・・。
「そうだな・・。ソイツが羨むくらい・・。幸せになる。見返してやるさ。」
当然かのようにそう答える声・・・。
間違いは無い・・・・。あの時の・・・・・。
「ね・・ガウリイ・・・。」
更にリナの声は詰まる。が、ガウリイは繊細なのか・・はたまた鈍感なのか・・・。
「眠いのか?着くまで寝てても良いぞ?あ・・。ナンならスフォルツァの昔話をしてやるぜ?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
本当に眠くなったのは安心したせいだろうか?
ガウリイの口から語られる昔の・・・ほんの百年前までの野武士達の荒荒しい生活。
森、自然、更には小川の音。
街道のココには在るはずも無い・・・夜を荒く照らす炎がなぜか目に浮かんでくる・。
その火を反射して・・やはり強い光を放つ刃の銀。
それがスフォルツァ一族の過去・・・・・・・。
そうリナが思う間に眠気は更に進行していく。
悪いが・・馬から落ちない様にガウリイにはもう少し頑張ってもらう事に
なりそうなまでの気配もあった・・・・・。


スフォルツァ、更にはミラノのヴィスコンツィン家の率いる軍勢が
サヴァイア公国を撃破したのはその日の午後だった・・・・・。
「リナ!!帰ったぞ!!」
思わず・・前から誰かに言ってみたかった台詞をガウリイはリナに言ってみる。
「何馬鹿な事言ってるのよ?
アタシは・・隣の陣地でず〜〜っと戦線を旗を掲げながら見てたのよ?」
その一言・・・。
『アタシはただ単に戦争に行く公爵を待っているだけの公爵夫人ではありません』
という意味なのだろうか・・・?
「分かってる。ただ言ってみたかっただけだって・」
ずっと傭兵時代には誰にも言えなかった言葉なのだから。
「そ・・。じゃ、アタシもアンタに言うわ・・。『ただいま』。ガウリイ・・。」
リナだってずっと戦線に居てやっと帰ってきたのだ。
その辺りはガウリイと何ら変わりは無いだろう。
ガウリイがそんな事を考えながら苦笑しているのを
お構い無しにリナはずんずんと進んで行く。
「おい〜〜リナ!!」
感動の場面は何処へやら・・・・?である・・・。
「行くわよ!!ガウリイ!!さっさとミラノに帰ってさっさと凱旋しましょう!!」
もはや・・・・。
「はしゃいでいる」としか思えないその態度・・・。
まったく・・・・・。
普通なら恋愛に憧れる年頃のお姫様・・と言っても過言ではない顔かたちをしているのに。
本当に貪婪な奴・・・・・・・・・・・・。
それでいて全然虚栄、虚構とは無関係なリナ。
「そ~だな!!」
言いながらガウリイも立ちあがる。
「行くぞ!!」
有無を言わさずリナを行きと同様の相乗りで馬に乗せる。
「ちょっとおおおおおお!!帰りくらい自分で帰れるわい!!」
抗議は・・・一応聞いているフリ・・・・。
「抗議はそれだけなら自動的に却下だぜ?」
「・・・・・・・・・・・・。眠くなるから・・やだ・・・。」
「そりゃ、好都合。どっかの誰かサンがよだれたらしていびきかいて寝てる所
ま〜た見れるんだなあ・・。うんうん・・・。」
しまった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
前から周りには注意されていたが・・・。
野原や宮殿の日当たりの良い所でしているお昼寝。
リナは「必ず」と言って良いほどイビキをかいて・・・。
さらにはよだれをたらしているらしかっった・・・・・・。
それを・・・コイツに見られたあああああああああ〜〜〜〜???

「馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
がむしゃらにそうとだけ言って大暴れするリナ・・・。
「いででででででででで〜〜〜〜!!お前なあ!!ガキの頃もそんな事
言いながら石に奴辺りしてただろおおおおおお!!!!」
ガウリイのからかいの絶叫・・・。
さしものリナも真っ白になる・・。
「覚えてたの・・・?」
「勿論。」
「だあああああああああああああ!!!凱旋が済んだら覚えてろ〜〜〜〜!!」
リナとガウリイの楽しそうな絶叫が辺りに響いた夕方だった・・・・。



(お終い)


***************
お粗末様でした〜〜〜・・・。
あ、ポテチ美味かったよ〜♪
しっかし・・散々前の小説でミラノの事アホンダラ
呼ばわりしてたのにねえ・・・。
反省!!

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10695何味ですか〜?P.I E-mail 6/24-00:40
記事番号10694へのコメント

CANARUさん、こんばんは!
スランプ脱出して絶好調ですね〜!!
「ルネサンスの女たち」はPも好きです。塩野さんの描く女性ってみんな
ステキですよね♪

「オレがミラノ公爵になったら?」
「暗殺させていただきます♪」
・・・・爆笑!!
「お嫁さんになってあげてもいいわよ(はぁと)」
なんて言わないところがじつにリナらしいといふか何といふか(^0^)
今回のガウリイ、なんか頭いいですね!昔のリナのことは覚えてるし、
打算は働くし。・・・しかし昔のことなんていつの間に思い出したんだ?
あなどれんヤツめ(笑)
ヴィスコンツィン→スフォルツァの政権交代劇を「不幸な結婚」と見る人も
いるけれど、少なくとも当人同士はこのガウリナみたいに幸せだったんじゃ
ないかな〜、そうだといいな〜。

関係ないですけど、今日仕事の帰りに映画「グラディエイター」観てきました!
久しぶりに「観た〜〜!!」という満足感のある作品でした。何気にPの
お気に入りのデレク・ジャコビー(修道士カドフェル演った人です)も出演
してたし〜♪これはおススメですよ〜!!
それではまた〜♪

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10697塩味でした〜♪CANARU E-mail 6/24-09:11
記事番号10695へのコメント

>CANARUさん、こんばんは!
>スランプ脱出して絶好調ですね〜!!
はい〜〜!!
実は前に書いた話しよりもこっちの話しの方を先に思いついたんですけど・・。
構想がまとまらなくて後になってしまいました〜♪
>「ルネサンスの女たち」はPも好きです。塩野さんの描く女性ってみんな
>ステキですよね♪
はい〜♪
読みすぎてカバーが少々ボロになってますわ〜〜(汗)

>「オレがミラノ公爵になったら?」
>「暗殺させていただきます♪」
>・・・・爆笑!!
ははは〜〜!!
何故か「暗殺」の文字が書いていて頭に浮かんだんですよね〜〜!!
コレを使わないテは無い!!と〜♪

>「お嫁さんになってあげてもいいわよ(はぁと)」
>なんて言わないところがじつにリナらしいといふか何といふか(^0^)
ははは〜〜!!
アタシもこ〜なるとは書いていて思わなかったです!!
自然の法則って・・怖い・・・。

>今回のガウリイ、なんか頭いいですね!昔のリナのことは覚えてるし、
>打算は働くし。・・・しかし昔のことなんていつの間に思い出したんだ?
>あなどれんヤツめ(笑)
やっぱり自然に・・(笑)
「覚えていた」んじゃなくて「思い出した」んだとアタシは
かってに思っております〜♪
>ヴィスコンツィン→スフォルツァの政権交代劇を「不幸な結婚」と見る人も
>いるけれど、少なくとも当人同士はこのガウリナみたいに幸せだったんじゃ
>ないかな〜、そうだといいな〜。
ですねえ・・・。
塩野さんの本を読んでいて「不幸だった」と言う印象は
少し受けませんでしたしねえ・・・(汗)
幸せであって欲しいです・・・。

>関係ないですけど、今日仕事の帰りに映画「グラディエイター」観てきました!
>久しぶりに「観た〜〜!!」という満足感のある作品でした。何気にPの
>お気に入りのデレク・ジャコビー(修道士カドフェル演った人です)も出演
>してたし〜♪これはおススメですよ〜!!
はい〜〜!!
機会があったら見たいなあ〜〜と目を付けていたりします!!
グラディエーター!!
一応「世界不思議発見」でつらっとは見てはいるんですけどねえ〜♪

>それではまた〜♪
ではでは!!