◆-掲載予告+ちょっとだけ掲載-投稿者:にあ(1/27-10:13)No.1082
 ┣━Re:掲載予告+ちょっとだけ掲載-投稿者:松原ぼたん(1/27-17:37)No.1085
 ┣━Re:掲載予告+ちょっとだけ掲載-投稿者:さぼてん(1/27-22:19)No.1090
 ┣┳「信実と偽善」1-投稿者:にあ(1/28-10:26)No.1101
 ┃┣┳Re:「信実と偽善」1-投稿者:松原ぼたん(1/28-13:58)No.1105
 ┃┃┗━Re:「信実と偽善」1-投稿者:にあ(1/28-16:55)No.1113
 ┃┗━Re:「信実と偽善」1-投稿者:さぼてん(1/29-00:16)No.1118
 ┣━{-投稿者:にあ(1/29-15:07)No.1129
 ┣┳「信実と偽善」−2−-投稿者:にあ(1/29-15:17)No.1130
 ┃┣━Re:「信実と偽善」−2−-投稿者:松原ぼたん(1/29-16:51)No.1132
 ┃┗━Re:「信実と偽善」−2−-投稿者:さぼてん(1/29-20:55)No.1143
 ┣┳「信実と偽善」−3−-投稿者:にあ(1/30-14:51)No.1158
 ┃┣━Re:「信実と偽善」−3−-投稿者:松原ぼたん(1/30-17:45)No.1162
 ┃┗━Re:「信実と偽善」−3−-投稿者:さぼてん(1/30-23:34)No.1171
 ┗┳「信実と偽善」−4−-投稿者:にあ(2/2-12:59)No.1238
  ┣┳Re:「信実と偽善」−4−-投稿者:松原ぼたん(2/2-18:17)No.1243
  ┃┗━Re:「信実と偽善」−4−-投稿者:にあ(2/2-20:16)No.1248
  ┗┳Re:「信実と偽善」−4−-投稿者:さぼてん(2/3-20:19)No.1263
   ┗━Re:「信実と偽善」−4−-投稿者:にあ(2/5-11:54)No.1290


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1082掲載予告+ちょっとだけ掲載にあ E-mail 1/27-10:13

みなさま、こんにちは。にあです。

新参者で勝手もわからないうちから、無謀な掲載予告です。


 ヴァルフィリです。完全なフィクションです。ありえない設定でのありえない二人の会話です。まぁどうしましょう。

 そんなわけで、「あるはずねーだろ、こんなこと」というつっこみはナシにしてください。


 設定としてはだいたいTRY14話以前、ヴァルが一人で洞窟で苦しんでいた時

くらい。そのころフィリアはコルネ山で石積んでたはずなんですが、そーいうことは忘れてください。

 かなり長文なので、何話かにわけます。

 今回、導入部だけのっけます。

 タイトルは「信実と偽善」

 ちょっとだけシリアス。

 ってなわけで、どうぞよろしくおねがいします。


---------------------------------------------------------------------

信実と偽善



 岩影の向こうから、荒い息遣いが聞こえた−−。

 耳をすますまでもなく、湿った空気の中で獣のうなり声のようなそれは岩肌に反響してフィリアの脚を止めさせた。

 そっと様子をうかがった先に、目的の人物がいた。

 彼だ。


----------------------------------------------------------------------






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1085Re:掲載予告+ちょっとだけ掲載松原ぼたん E-mail 1/27-17:37
記事番号1082へのコメント
>みなさま、こんにちは。にあです。
 こんにちは。
> そんなわけで、「あるはずねーだろ、こんなこと」というつっこみはナシにしてください。
 そのつっこみをここでするヤツは万死に値しますね。

 頑張ってくださいね。
 ではまた、ご縁がありましたなら。

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1090Re:掲載予告+ちょっとだけ掲載さぼてん 1/27-22:19
記事番号1082へのコメント

>みなさま、こんにちは。にあです。

こんにちはさぼてんといーます。よろしくおねがいします。

> そんなわけで、「あるはずねーだろ、こんなこと」というつっこみはナシにしてください。

ははは 覚えときます。

ほんとーにちょっとだけでしたね。
次回の作品も期待してます。
がんばってください。
                それでは

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1101「信実と偽善」1にあ E-mail 1/28-10:26
記事番号1082へのコメント
ぼたんさん、さぼてんさん、ありがとうございました。にあです。

さあ、ヴァルフィリ・シリアスのはじまりです。これからが1。
導入部は0ということにしといてください。
昨日長文の区切り目決めてたら5までいくことが判明しました。しかもやたら長い。
文章がまわりくどいせいだろうなぁ・・・皆様、申し訳ありませんがおつきあいください。
それでは。

----------------------------------------------------------------------------------------------------------
信実と偽善 −1−

 以前会ったときより翼がひとまわり大きくなっているような気がする。
 いきなり吹き飛ばされたりはしないだろうが、フィリアはできるだけそっと気配を消して近づいた。そんなことで気づかない相手
ではなかったが。
 1mほど近づいたところで、険のある視線がゆっくりと彼女を射た。
 他人にこれほど明確な憎悪を投げられるのは初めてで、フィリアは声を失う。そもそも−−かけるべき言葉すら持っていなかっ
た。
(大丈夫ですか?−−なんていうのもおかしいし。いきなり真相を教えて下さい、なんていって教えてくれるとも思えないし)
 それでも聞かなければならないことだった。
 そのために仲間の食事に睡眠薬を盛り、リナにすら黙って、抜け出してきたのだ。
 後で気づかれたらさぞかし怒られるだろうが。


「あの……」
「何しにきた」
 遮るように投げられた一言は、素っ気なくはあったが、視線ほどきつくはなかった。
 むしろ彼は疲れているようだった。あまりにも疲れすぎていてフィリアどころではないというほど。
 時折苦痛に顔を歪ませる。息遣いは先より静かになっていたが、それは意識して押さえているだけのようで、その分背中で息をし
ている。
 ふいに、その身体が激しく痙攣した。
 上げかかる声を歯を食いしばって押し殺し、左腕を押さえて身体を折る。
 思わずさしのべたフィリアの手は、次の瞬間には激しく振り払われていた。
 それでも、起きあがることはできない様子の彼の背中に、フィリアはもう一度、手を当て、回復の呪文を唱えようとした。
「やめろ……お前達の情けは受けん。それに……どのみちそんなものは利かん…」
 言い終えた後、またしても苦痛に顔を歪ませる。

----------------------------------------------------------------------------------------------------------

起承転結でいえば、「起」にあたる部分なのでさしたる進展はないですね。
ただ、3あたりは異常に長くなってるハズです・・・一坪さん、ごめんなさい。
というわけで、続く、です。

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1105Re:「信実と偽善」1松原ぼたん E-mail 1/28-13:58
記事番号1101へのコメント
 おもしろかったです。

> そのために仲間の食事に睡眠薬を盛り、リナにすら黙って、抜け出してきたのだ。
> 後で気づかれたらさぞかし怒られるだろうが。
 ・・・・怒られるですめばいいんだけどね。
> 言い終えた後、またしても苦痛に顔を歪ませる。
 ものすごい辛そう・・・・。

 本当におもしろかったです。
 ではまた、ご縁がありましたなら。

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1113Re:「信実と偽善」1にあ E-mail 1/28-16:55
記事番号1105へのコメント
こんにちは、ぼたんさん。早速のレス、ありがとうございます。

> おもしろかったです。

 ありがとうございます。
 なれないシリアスなんで、なかなか苦しい。
 今度はもっと軽いのを書きたいと思ってます。
 それでは、よろしくお願いします。

 次回はもうちょっと手直し入れてから投稿しますので、明日になるかな。
 

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1118Re:「信実と偽善」1さぼてん 1/29-00:16
記事番号1101へのコメント
     さぼてんです。

> そのために仲間の食事に睡眠薬を盛り、リナにすら黙って、抜け出してきたのだ。
> 後で気づかれたらさぞかし怒られるだろうが。

勇気のある行動ですね(笑)

ほんっとシリアスですねぇ。
でも、こーゆーのの方が書きがいがありません?
まぁとにかくおもしろかったです。次回も期待してますんでがんばってください。

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1129{にあ E-mail 1/29-15:07
記事番号1082へのコメント
にあさんは No.1082「掲載予告+ちょっとだけ掲載」で書きました。
>みなさま、こんにちは。にあです。
>
>新参者で勝手もわからないうちから、無謀な掲載予告です。
>
>
> ヴァルフィリです。完全なフィクションです。ありえない設定でのありえない二人の会話です。まぁどうしましょう。
>
> そんなわけで、「あるはずねーだろ、こんなこと」というつっこみはナシにしてください。
>
>
> 設定としてはだいたいTRY14話以前、ヴァルが一人で洞窟で苦しんでいた時
>
>くらい。そのころフィリアはコルネ山で石積んでたはずなんですが、そーいうことは忘れてください。
>
> かなり長文なので、何話かにわけます。
>
> 今回、導入部だけのっけます。
>
> タイトルは「信実と偽善」
>
> ちょっとだけシリアス。
>
> ってなわけで、どうぞよろしくおねがいします。
>
>
>---------------------------------------------------------------------
>
>信実と偽善
>
>
>
> 岩影の向こうから、荒い息遣いが聞こえた−−。
>
> 耳をすますまでもなく、湿った空気の中で獣のうなり声のようなそれは岩肌に反響してフィリアの脚を止めさせた。
>
> そっと様子をうかがった先に、目的の人物がいた。
>
> 彼だ。
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1130「信実と偽善」−2−にあ E-mail 1/29-15:17
記事番号1082へのコメント
あああああ、すみませんっ。
間違えて投稿してしまいましたっ。
そんなわけで、この記事の前にある「{」という変なタイトルの記事は間違いです。削除したいんですけど、やり方が
わからない〜〜。

この記事がほんとの、ほんとに投稿したかった分です。
ヴァルフィリ・シリアス「信実と偽善」ぱーと2.
最初から最後までこの二人しかでてきません。ぜロスの乱入を期待していらっしゃる方、いらっしゃいましたらごめんなさい。

------------------------------------------------------------------------------------------------------------
信実と偽善 −2−


 唱えかけた回復の呪文を繰り返しても、疲労や苦痛をとりのぞくための癒しの呪文も彼のいったとおり、何の効果もなかった。
 それでも背中に当てた手を離すことはできず、フィリアはそっとその背を撫でてやった。
 この旅で、自分の無力さを感じたことは幾度もあった。
 リナのバイタリティ、ガウリイのおおらかさ、アメリアの正義感、ゼルガディスの執念深さ。自分にはない強さを何度もうらやん
だ。
 けれど、今ほど。
 今ほどではなかった。こんなふうに泣きたくなるほどでは。
「わたし……本当のことを、知りたいんです」
 傷ついた翼を見つめながら、フィリアはそっと囁くように告げた。
 それが精一杯の勇気だった。
 真実から目を背けないこと。それだけが自分に残った力だった。
「本当に、私たちが……あなたの一族を……エンシェント・ドラゴンを滅ぼしたのですか……?」
 息をつめて待ったが、答えはなかった。
 聞こえていなかったのかもしれない。
 もう一度尋ねようとした時、低い声で答えが返ってきた。
「聞いて…どうする…」
「わかりません……もしそうなら…私はあなたに償いをしなくてはならないと思います」
「命は償えない……あの時奪われた命に償いはできないんだ…」
 呪詛のような言葉が彼女の耳を打った。背中をさする手が思わず止まった。
「本当……なのですね……?」
「…………」
 しぱらくの沈黙の後、どちらかといえば淡々とした声が帰ってきた。
「俺達は、北の村で暮らしていた……ちょうど、この砦からまっすぐ北の方角に向かった場所に、かつて俺達の村があった……俺達
はお前達のいうとおり、他のドラゴン種族に比べて気性が荒い……闘争本能も強い……それでも降魔戦争以来、できるだけおとなし
く暮らしていた。」
「俺達は他のドラゴン種族に比べて数が少なかったし、加えて雌の繁殖能力も強くない……お前達の雌は何度でも子を産めるが、俺
達の雌は一度きりしか子供を産めない……産卵後に死んでしまう例がほとんどだからだ……だからあの時、一族中を数えてもせいぜ
い二、三百頭に満たなかった。せめて……せめてあと百頭いれば……あの時滅んでいたのはお前達だったはずだ……」
 そこで、いったん言葉を切ると、大きな息を吐いた。
 別にフィリアの反応を確かめたわけではなく、ただ単に長い話はできないほど疲労と苦痛が激しいらしかった。
「あの時、お前達は数万頭はいた……一度に襲ってくるのではなく、長い時間をかけて俺達をできるだけばらばらに引き離して……
最後は多勢に無勢というやつだ……おまけにどこから持ちだしたやら、人間どもが使う対竜戦用の砲弾まであった……用意周到なこ
とだ……よっぽど俺達が怖かったと見える……ふん……」
 ひきつるような笑いの後、すぐに苦痛に顔をしかめる。それでも先ほどよりだいぶ回復してきたようだった。
「何年も…何十年もかけて、お前達は執念深く俺達を追いつめていった。ひとり、またひとり、数百の仲間が百に減り、数十に減
り……最後に俺が残った……」
 視線を合わせぬまま一気に語り尽くして、彼は大きなため息をついた。
「これが……俺の知る限りの真相ってやつだ……満足したかい、お嬢さん……」
「それは……それはいつ……どのくらい前の……」
「二百か…三百年前くらいさ。俺がまだ成竜になったばかりの……ほんの30歳くらいだったときのことだ……」

-------------------------------------------------------------------------------------------------------------

起承転結の「承」。ヴァルガーヴの語りで終わってます。
次の3ではフィリアが語り出します。今までで一番長い・・・かな?
ちなみにエンシェントドラゴンの繁殖能力にうんぬんについてはにあの創作です。
だって、あんなに強いドラゴンが黄金竜に負けた理由っていったら数の差くらいしか考え付かない・・・。

それでは。

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1132Re:「信実と偽善」−2−松原ぼたん E-mail 1/29-16:51
記事番号1130へのコメント
 おもしろかったです。

> リナのバイタリティ、ガウリイのおおらかさ、アメリアの正義感、ゼルガディスの執念深さ。自分にはない強さを何度もうらやん
>だ。
 ゼルの執念深さって・・・・・そりゃ、間違ってないと思うけど。
> 真実から目を背けないこと。それだけが自分に残った力だった。
 もしかしたら一番すごいことではないかと思いますが・・・・。
> だって、あんなに強いドラゴンが黄金竜に負けた理由っていったら数の差くらいしか考え付かない・・・。
 たしかに。

 本当におもしろかったです。
 ではまた、ご縁がありましたなら。

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1143Re:「信実と偽善」−2−さぼてん 1/29-20:55
記事番号1130へのコメント
さぼてんです。

> 最初から最後までこの二人しかでてきません。ぜロスの乱入を期待していらっしゃる方、いらっしゃいましたらごめんなさい。

そーなんですか……実はちょっと期待してたんですけど
でもこれでもじゅーぶんおもしろいですし、最後まで読まさせていただきます。

> 起承転結の「承」。ヴァルガーヴの語りで終わってます。
> 次の3ではフィリアが語り出します。今までで一番長い・・・かな?

長いっ?読みごたえがありそうですね。
楽しみにしてます。頑張って下さい。

                       それでは。

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1158「信実と偽善」−3−にあ E-mail 1/30-14:51
記事番号1082へのコメント
ぼたんさん、さぼてんさん。いつも感想ありがとうございます。
さて、ヴァルフィリ・シリアスようやく「起承転結」の「転」です。
サブタイトルは「フィリアの反撃」。
わたしの書くフィリアは多少・・いやかなり屈折してる子です。
優等生の仮面をかぶったひねくれもんです。
ヴァルガーヴの方がなんぼか素直・・・。
それでは、どうぞ。

--------------------------------------------------------------------------------------------------------------
信実と偽善 −3−


 竜族の成長は人間とは異なる。人間の成長は時に比例するが、竜族の場合、全体の寿命は1000年ほどだが、最初の20年から30年
ほどは成長が早く、その間に成竜となる。その後はゆっくりと年をかけて老いていくのだ。フィリアは成竜となってからまだ100年
ほどである。彼女が生まれる100年前の出来事……ではやはり父は知っていたのだ……知っていたのに、彼が悪だという。
(私には裁けない……私には……そんな資格はない)
 激しい自己嫌悪の中で、フィリアはまず自分のすべきことを考えた。
「どうすれば……どうすればいいですか……」
 震える問いに答えはなかった。
 彼の言ったとおり、百年もかけて奪われていった命に償いはできないのだ。
「私は……それでもあなたに償いをしなくてはならないと思います。私にできることを……教えて下さい……」
「何度も言ったはずだ……償いなど……できはしない」
「ではせめて……あなたの側にいさせてください」
「やめろ!!」
 たたきつけるかのように彼は拒絶の言葉を吐く。すぐに顔をしかめた。またしても身体を襲う激痛に。
「それでも、私には……他にできることがないんです……あなたの苦痛と、絶望とを取り除く方法があるのなら……私はなんでもし
ます。貴方の救いになるものはこの世界にはもう、ないのかもしれない……でも、だからといって貴方にこの世界を滅ぼさせるわけ
には行かないんです。そんなことをしたら貴方は……貴方はもう二度と自分を許せなくなってしまう……」
「俺のためだってか……そういうのを偽善っていうのさ、お嬢さん……」
「偽善のどこが悪いんです」
 はじめて、彼が彼女を見た。一瞬だけ。
 すぐにそらされた視線を追うようにフィリアは言い募った。
「偽物だとか、本物だとか、どこで決まるんです。善も悪もみんな人によって違うんです。私は火竜王の巫女です。だから神の正義
を信じなければならなくて、そしてそれによって為されたことには責任があるんです。神は間違うわけにはいかない……神様が間
違ったのなら、私たちは死ななければならないのですから。巫女とはそのための生け贄です。ご存じですか……? 太古の昔から託
宣し損ねた巫女は死ななければならないんです」
 どこからか吹いてきた風が、彼とフィリアの髪を揺らして、虚空の闇に消えていった。無責任に吹いて、消えていった。
「貴方から見れば馬鹿馬鹿しいでしょう。私は巫女だから……神を信じなければならなくて、神の正義のために死ななければならな
いんです。私には私の善を、悪を決めることはできない。そんな自由はないんです。生きる理由さえ私が決めることは許されないん
です。偽善というのはそういうことをいうんです。自分が信じた訳でもない正義のために生きて、それに殉じることを云うんです
よ」
 ひきつるような笑いがフィリアの顔に浮かんでいた。今までヴラバザードに対して疑心を抱いたことはない。今だって抱いてはい
ない。それは許されないことだからだ。……巫女であるかぎりは。欺瞞だろうか? 多分そうだ。
「私には……貴方がこれから望んで、しようとしていることが貴方の救いになるとは『信じられません』」
「…………」
「貴方は信じているのですか? これで何かがかわると……今の苦痛と絶望から解き放たれると、本当に信じているのですか?」
 答えはない。
「信じてもいない未来のために、信じてもいない道を行くんですか。それこそ偽善じゃないですか! 貴方の信じたものは何だった
んです。信じたいものは何なんです。滅んだ一族のための復讐なら、私たちを殺せばいいでしょう! ガーヴの復讐がしたいなら私
たちを殺せばいいでしょう! それで何かがかわると思うのなら、やってみればいいじゃないですか! なぜ世界のせいにしてしま
うの、なぜ全てを否定してしまうの、なぜ過去のためにしか生きられないの! 貴方は生きていて……未来に向かって生きているは
ずなのに……」
 泣きながら彼の腕に癒しの魔法をかけ続けるフィリアを、彼はかける言葉もなく、ただぼんやりと見つめていた。
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------

え〜、重ねて申しますが、エンシェンとドラゴンの生物学的考証については、すべてにあの創造ですので、念のため。
あと、フィリアが巫女の定義についてちょっと触れてますが、ここでふと重大なことに気がつきました!
これは京極夏彦の「魍魎のハコ」(はこの字が変換ででてこない!)からの引用です。申し訳ありません。


さて、次回はとうとう最終回。
前回ヴァルがよくしゃべったから今回はフィリアがよくしゃべってます。4ではもうちょっと会話らしい会話になる・・・予定。
皆様、最後までよろしくお願いいたします。

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1162Re:「信実と偽善」−3−松原ぼたん E-mail 1/30-17:45
記事番号1158へのコメント
 おもしろかったです。

>わたしの書くフィリアは多少・・いやかなり屈折してる子です。
 ああいうのを屈折と言うんですか・・・・。
>ヴァルガーヴの方がなんぼか素直・・・。
 確かにヴァル、結構素直ですねー。

 本当におもしろかったです。
 ではまた、ご縁がありましたなら。

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1171Re:「信実と偽善」−3−さぼてん 1/30-23:34
記事番号1158へのコメント

さぼてんです。

おもしろかったです。いやーまいどまいどおもしろい作品で……ありがとうございます。

> さて、次回はとうとう最終回。
> 前回ヴァルがよくしゃべったから今回はフィリアがよくしゃべってます。4ではもうちょっと会話らしい会話になる・・・予定。

そーですか。
でもなんか終わりそーにないですよね。どんな感じで終わるんでしょうねぇ。
楽しみにしています。がんばってください。

                          それでは

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1238「信実と偽善」−4−にあ E-mail 2/2-12:59
記事番号1082へのコメント
えーーーー、皆様こんにちは、にあです。

ヴァルフィリ・シリアスとうとう最終回。あんまり解決にもなってない終わり方なんですけど、私にはこれが精一杯

でした、、、、。御意見、お待ちしております。またちかいうちに何か載せたいとは思ってます。

今度はもうちょっと、、軽いノリでいきたいですね。それでは、どうぞ。


-------------------------------------------------------------------------------------------------------------

信実と偽善 −4−





(貴方は……何を信じたいんです!)



 信じる……かつて彼が信じていたのは、穏やかに過ぎていく筈の北の地での同族との暮らしであった。否定された存在を、生きるために戦えと力と命とを与えてくれた恩人の存在だった。それらは失われて、もうない。今は?

「貴方は……過去に戻りたがっているだけです」

 それを告げるのは身を切るように辛かった。こんなことをいう資格が自分にあるだろうか。それでも誰かが云わなければならないと思ったのだ。

 腕にすがりつくようにしてうずくまった彼女を、彼は今度は払いのけようとしなかった。

「俺が信じるのは……ガーヴ様だけだ」

「私が信じるのは、未来だけです」

 反射的に言ってしまってフィリアは少しだけ後悔した。それで問いを変えた。

「貴方は……自分を信じていますか?」

「…………」

 答える声はない。

「お願いです……自分を見捨ててしまわないで……」

 荒野に打ち捨てられた少年と無数の屍と。フィリアは見ていないが見える気がした。無力さに歯噛みして、同胞の死に涙して、存在を否定されて……。

 言えることは言い尽くして、伝えたい言葉をさらに探しても、もうどこにもかける言葉は残っていなかった。まだ何かあるような気がする。まだ何か…………でも、今は言葉が出てこない。

 フィリアは立ち上がった。

 償うこともできない以上、彼の側にずっと留まっていたかったが、それも許されないらしい。

 最後に、何か。

「過去を清算して、未来に進めるのなら、それでもいいでしょう……もし進むべき未来が、そして希望とが貴方の中に見いだせたら……そのときは……」

 振り返った。彼の苦痛は少しおさまったようで、自分を見上げる眼には今も憎悪の光がある。それはそれでよい。

「そのときは私を殺しにきてくださいね」

 信じている。

 それが遠い未来ではないことを。



----------------------------------------------------------------------------------------------------END

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1243Re:「信実と偽善」−4−松原ぼたん E-mail 2/2-18:17
記事番号1238へのコメント
 完結おめでとう御座います。おもしろかったです。

>「そのときは私を殺しにきてくださいね」
 すごいですよね、このセリフ。いろんな意味で。
 祈らずにいられませんね。

 本当におもしろかったです。
 ではまた、ご縁がありましたなら。

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1248Re:「信実と偽善」−4−にあ E-mail 2/2-20:16
記事番号1243へのコメント
こんにちは、ぼたんさん、いつもありがとうございます。

>
>>「そのときは私を殺しにきてくださいね」
> すごいですよね、このセリフ。いろんな意味で。
> 祈らずにいられませんね。

某G.Wというアニメで「はやく私を殺しにいらっしゃーーーい!!」というのが
ありましたが、、、。一度フィリアに言わせてみたかったのですわ。
夕日に向かって叫ぶヒロイン、、、すごいわ、り○ーナさま。

これはフィリアに語らせたくって書いたようなものでした。もうちょっとヴァル
ガーヴの反応とか書けたらよかったなぁと思ってます。

では、おつきあい、ありがとうございました。

にあ

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1263Re:「信実と偽善」−4−さぼてん 2/3-20:19
記事番号1238へのコメント

>えーーーー、皆様こんにちは、にあです。

どうもっ
毎度毎度読まさせていただいております。さぼてんです。

> 信じている。

> それが遠い未来ではないことを。

くぅぅぅぅっ なんか、最初にも書きましたけどシリアスですっ
おもしろかったぁぁぁ

>ヴァルフィリ・シリアスとうとう最終回。あんまり解決にもなってない終わり方なんですけど、私にはこれが精一杯
>でした、、、、。

うみゅ 何となくまだ続きそーですよね。
まっ ともかくごくろーさまでしたっ。

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1290Re:「信実と偽善」−4−にあ E-mail 2/5-11:54
記事番号1263へのコメント
こんにちは、さぼてんさん。にあです。
毎回ご感想ありがとうございます−−−−。
結末つかなくて、途中で投げ出そうと何度思ったことか。


>うみゅ 何となくまだ続きそーですよね。

・・・それが・・・・続かないんです・・・・。
続き書きたいんですがどうしたらいいものやら。

>まっ ともかくごくろーさまでしたっ。

ありがとうございます。これにこりずにまたなんか載せます。
たぶんやっぱりヴァルフィリになると思いますが。

それでは。

にあ