◆−始まりの苦悩(気まま2-1)−CANARU(7/19-22:40)No.11079 ┗恐怖と過ちと・・・(気まま2-2)−CANARU(7/20-08:30)No.11083 ┗やったぁ!第2部〜♪−P.I(7/21-01:25)No.11086 ┗負けるなガウリイ〜♪−CANARU(7/21-08:24)No.11092
11079 | 始まりの苦悩(気まま2-1) | CANARU | 7/19-22:40 |
やっとこの「気まま」も第二部を迎えました!! しっかし・・・暑さでアタシまでイカれとるな・・完璧に・・・。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」 室内には重苦しい沈黙が流れる。 「平行線ですね・・・。」 「当たり前よ・・・・。」 名目上の兄、実の所は『ルクセンブルク』ワルキューレの騎士団の旅団長。 更に言えば『ルクセンブルク』の王女であるリナ・・・の部下であるゼロス。 そして・・・・そのゼロスの組織するワルキューレの騎士団に先日編入した元 『フレイの騎士団』の旅団長の息子ガウリイ・・・。 しかし、そんな彼らは今は仮の姿として接し会っている。 即ち・・まだしも合法的なマフィア組織『カタート』の若き総帥ゼロス。 その妹にして幹部の一人のリナ、その相棒ガウリイと言う事になっているのだ。 「どうしても・・貴方はいやだというんですかね・・?」 少々、凄みを利かせた視線でゼロスは妹を睨みつけてくる。 「・・・・当然でしょ・・・こンの馬鹿兄。」 それに冷たくアッサリと言ってのけるリナ・・・。 「でもよ・・・。」 何かを言いかけるガウリイを二人の凄まじい視線が遮る!! 「・・・な・・ナンでも無いです!!!」 その凄みを利かせた形相に押され、ガウリイは泣く泣く沈黙を余儀なくされる。 「歯磨き粉くらい・・この可愛い妹様をお使いに出さないで・・・。 アンタが買いに行きなさいよね・・この馬鹿兄!!!」 「・・・・・・語弊があるとは思いませんか?今の『妹』に対する枕詞・・・。」 「ナンでだ〜〜?リナは可愛いじゃね〜かってえええ〜〜!!ごめんなさ〜〜〜い!! もう俺、余計な事言いません〜〜〜〜〜!!!」 またもや兄妹に睨みをきかされて泣きながら謝るガウリイ・・・・(汗) 「・・・・・このクソ暑い中!!!ナポリのカンカン直射日光の中で!!ナンでこの アタシが買いに行かなくちゃ行けないわけ!!??」 「決まってるじゃないですか!!僕は、こ〜みえても『マフィアの総帥!!』なんですよ?マフィアの総帥・・と言えば・・。クソ暑い季節だろ〜と、クッソ寒い季節だろ〜と!! 馬鹿みたいに『黒ずくめの分厚いスーツ』を着てるのがお約束なんですよ?買い物になんて行ったら・・日射病起こしてぶったおれちゃうじゃないですか!!!」 「アタシだって日焼けしちゃうじゃないのよおおおお!!!」 「・・・貴方・・面の皮分厚いから大丈夫ですよ。リナさん。お釣りで一番安いジュース買って来ても良いですから。はい、行ってらっしゃい〜〜♪」 ・・・・・・・・。 思えば・・・・。 それが・・リナを見た最後だった・・・・・。 飛行機が着陸したその地点でガウリイはそう思うのだった・・・。 「くく・・・くくくくく・・・・。」 何やら・・怒っているのだか・・笑っているのだか・・・。 ソレとも単に『キレ』とるだけなのか・・・・??? 「おい〜〜?ゼロス・・。どうしたあ???暑さでノーミソ蒸発したか?」 「・・・貴方にだけは言われたくありませんよ・・・。、ガウリイさん・・・。」 あ・・やっぱり目が据わっている・・・・・・・。 この暑さでノーミソ蒸発しちまったんだ、と一人勝手に納得するガウリイ。 「まあまあ、腐った納豆でも食って落ち着けよ。」 「・・・・・。馬鹿にしてるんですか?ガウリイさん・・・・・・・。」 あ・・・完璧に目がキレてる・・・・・・。 「あはは〜〜♪冷蔵庫の掃除しようと思ったんだが・・。やっぱり腐った食品は危険だよなあ・・うんうん・・・。」 何やら訳の分からない事を言い出すガウリイ・・・。 それもゼロスを見習って・・と言うわけではないが高級な素材のシャツにやはり一見してマフィアと分かるよな服装の男が割り箸に六角形の小皿に納豆である・・・。 かな〜〜〜〜〜り情けない・・のだが・・・。 「・・・・馬鹿にしてますね・・・。納豆はもともと腐ってるんです!!!!!」 「え・・・・そ〜なのかあ・・・。そっかあ・・このネバネバ・・そっかあ・・・。」 なにやら・・辺りにこの気温にもかかわらず冷たい空気が立ち込める・・・。 「ゼルガディスさ〜〜〜ん!!寒いです〜〜〜〜〜〜・・・。」 「エアコンの温度の下げ過ぎだろ・・・・。」 この二人のイカレた遣り取りもゼルに掛かればこ〜一刀両断されてしまうのだった。 「ともかく!!これを見てください!!!!!!」 不意に差し出される一枚の紙・・・・。 「スーパーのレシート・・・・???」 納豆に割り箸にレシートに膝の上には買い物袋・・・。 ガウリイはかなり馬鹿馬鹿しい格好となっているのだが・・・。 無論本人にはそんな自覚は無いし鏡でその姿を見せつけられてもナンとも思わない神経であることはすでに実証済み・・である。 「へえ・・・・。イタリアじゃ珍しい高級ウーロン茶に・・・。一番安い歯磨き粉かあ・・・。それが・・・・????」 「リナさんですよ!!ったく・・・。考えられませんね・・・。 嫌味たらしく『発癌物質混入』の恐れがあって回収寸前のメーカーの歯磨き粉を買ってくるなんて!!!!」 「・・・そりゃあ・・・大層ないやがらせ・・だなあ・・・・。」 「それに!!僕は『一番安いジュース』なら買っても良い!!と言ったんです!! 誰が高級ウーロン茶を買って良いって言ったんですか!!ついでに言えば・・・。 ウーロン茶は美味しいけどお腹が冷えやすいから出来るだけさけるよ〜に!!と日頃から言ってるんですよ!!それなにに・・あの妹(ヒト)は!!」」 「・・・・・・・・。確かに・・リナの腹は・・心配だな・・うんうん・・。で、そのリナは・・・・????」 「・・・買うだけ買って・・家出しました・・・。」 暫しの沈黙・・・。そして・・・・。 「今・・何て・・・???」 「だから・・『買うだけ買って家出しました.』それだけです!!!!!!」 そう・・・・・・・。 それが・・・ガウリイのリナを見た最後・・・・であった・・・・・(汗) 「あ〜あ・・・・・。我ながら・・・・。」 大人気無かった・・とは分かっている・・。けれども・・・。 「ファーストクラスじゃないと寝た気がしないのよね〜〜〜♪」 言いながらリナは衝動的にゼロスのキャッシュのツケで入手したファーストクラスの航空機チケットをビラビラと振って見せる。 無論・・・歯磨き粉事件をきっかけに『国際家出』な〜んて事をしでかした事に・・。 ナンの反省も持っていないところがミソである・・・・・。 「ま、今までガウリイの安月給にあわせてみ〜〜んな飛行機の座席はエコノミークラスだったし・・・・。たまにはコレくらい許されるわよね・・・。」 もともとお嬢様育ちのリナには在る意味経済観念があるようで・・・こ〜ゆ〜事となると皆無となるらしい。ましてや兄妹喧嘩中の兄のお金ともなればなお更・・・・。 選んだ場所はここ・・・。 『ウズベキスタン』・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 「リナさんの居所は掴めましたよ〜!!」 ゼロスとガウリイに依頼を受けたアメリアが報告にやって来たのはそれから3日後の 事だった。 「で・・何処に居るんです?」 「・・・・悪いとは思ったんですけど・・。リナさんの大切な品物を収納されてる机の中を覗かせていただきました・・・。パスポートが無くなっていたし・・。かなりの大金が『ゼロスさんの口座』から引き落とされて居る事を踏まえて調査したんですけど・・。」「・・・・・僕の口座・・ですかあ〜〜〜・・・・・。」 「う〜〜ん・・・。アイツならそれくらいの嫌がらせ・・やりかねないなあ〜〜・・。」マトモに顔を引きつらせるゼロスにコクコクと下らない事に感心して頷くガウリイ。 「感心している場合じゃないですよ・・ガウリイさん・・・。貴方のお給料も支払えないんですよ!!??」 「う・・・それは困る!!」 流石にこの攻撃にはガウリイも参ったらしい。 「航空会社の乗客リストを徹底的に洗った所・・・。ど〜やらリナさんは・・・・。」 しっかし・・・。ナンでこんな所選んでくれたのだろうか・・・? 『ウズベキスタン・・・・・。』 旧ソ連領であったアジアの一国・・・・。 砂漠の広がる国であり、活気こそはあるが・・・・。 「暑いよ〜〜〜・・・。リナ〜〜〜〜・・・。ナンでコンな所・・選んじゃったたのかあ〜〜アイツは・・。どうせ家出するならハワイとか・・・フィジーとか・・・。 伊豆とか軽井沢にして欲しかったぜ・・・・・・・〜〜〜〜・・。」 リナを見つける前から早速弱音を吐くガウリイ・・・。 泣きたい気持ちで市場の在る一角にへたばる!!! 「こ〜んな何の手掛かりも無い所で・・・」 早々簡単にリナを見つける事なんてハッキリいって不可能・・・?? 「じんぎすっか〜〜〜ん〜〜♪じんぎすか〜〜〜〜〜ん〜〜♪ジン・ジンじんぎすか〜〜ん〜〜♪」 思わずリズムに乗って踊りたくなるような陽気な・・だが少々流行遅れな歌が知った声によって歌われている・・・? そして・・・暑いとは言え腹が減っている今の状態のガウリイの鼻に届く美味しそうな 匂い・・・・。真坂・・・・・・・・。 「リナ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!」 「が・・・がうりいいいいいい〜〜〜〜〜〜〜〜(汗)〜〜〜!!!」 美味しそうにジンギスカン料理を食べ様としているリナの姿が其処にはあった(汗) 「まったく・・。好い気なもんだぜ・・。」 強引にリナの隣を歩きながらガウリイはリナに言う。 「なによ〜〜・・。アタシの注文した料理・・半分以上食べちゃったじゃないのよ。」 不満そうにリナはガウリイに文句を言う。 「あのなあ・・。お前は一銭も払ってないだろ〜〜?俺が持って来たゼロスの『必用経費』に集りまくっただろ〜が・・・・。」 「・・・・・・・・・。家出少女にお恵みを・・・。」 にっこりこう切り返されてはガウリイに言葉があるはずも無い。 「まあ・・。冗談はさて置き。今回はちょっとした『目的』がアタシにはあってね。」 言いながらリナはニヤリと笑う。 「目的・・・・・??????」 頭の中に?????????????マークが羅列するガウリイ。 「あ〜〜♪居た居た〜〜〜♪」 嬉しそうに呟くリナがやおら右手を思いっきり振り上げる。 「リナ!!!!!!!」 「あ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」 そう思っている間に・・リナは既に隣から居なくなっているのであった・・。 「そう苦虫を噛み潰したよ〜な顔されても困るんだがね〜。」 面白いのか・・はたまた本当に困っているのか分からない口調。 リナとは向かい合っている形で席についているとはいえ。 彼女の隣には・・・・・・・・・。 「久しぶりね〜♪ジョヴァンニおに〜さま♪」 そう・・・。 リナの生き別れになっていた実兄ジョヴァンニが陣取っているのだ。 「リナ・・・。彼は不貞腐れているのだが・・・??」 「良いのよ!!今回は『おまけ』だもん!!」 フン、と今度こそ完全に拗ねている事を露にしたリナがガウリイをみながら言う。 「・・・そ〜ゆ〜事言うのか・・・。お前は・・・・。」 「何よ〜〜〜〜〜!!あの時『歯磨き粉くらい俺が買ってきてやる!!』くらい言ってくれるのが男の優しさってモンでしょ????」 あ・・・・・・。 まだあの時の事を根に持っているらしい・・・・・(汗) 言いながらリナはウェイトレスにウーロン茶を注文する。 「腹壊すぞ・・・。」 「は〜〜〜い♪」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・超猫かぶり!!!!!!!!! 「まあ、コレを見ろよ。二人とも。」 不意にジョヴァンニは何かをテーブルの上に広げる。 「・・・これは・・・・???」 「・・・・・。はあ・・・。だから・・アンタには来て欲しくなかったのよ。」 言いながらリナは一気にウーロン茶を飲み干して・・・・。 「アンタの親父・・・。フレイの騎士団旅団長が不祥事を・・・。起こしまくった事 は・・・・・。」 ついつい『知っているわね?』と本能的に問いかけ口調になってしまうのをリナは止める。知っているも何も・・ガウリイはリナと一緒にその場に居合わせていたのだ。 更に言えば・・・今まで何も知らずに極悪組織『ミッドガルズ』の隠れ蓑となった 騎士団で働いていたのだ・・・。 もっとも・・『マフィア』を隠れ蓑に活動する奇妙な騎士団も存在するにはするのだが・・・・。 まあ、それは考えまい・・・。 「あ〜。俺、親父と仲悪かったから。」 パタパタと手を振りながらアッサリ言ってのけるガウリイ。 食欲もあるのか平気でパクパクと菓子を頬張っている。 演技か地なのかは定かでは無いのだが・・・・・・。 「なら・・。単刀直入に言う。これは・・。お前の親父が横流ししてルクセンブルク本国から闇ルートに消えた・・。エルミタージュの宝物品の数々だ・・。」 言いながらジョヴァンニはリストを二人に見せる。 「・・・・・。へえ・・・。結構な量だなあ・・・。」 「・・・。エルミタージュと言っても・・。正当な所有権はアタシに属するのよ。」 あ・・・。成る程・・・。 それがリナが誰に言われるまでもなく自分で動いた理由の要因か・・。 最も・・『家出ついでに』と言う説が一番有力なのが結構虚しかったりするのだが。 「とは言え・・。その宝物が売り捌かれた国しか今のところは分かっていない・・。」 「本当だ・・。国名と金額しか書かれていないな・・・。」 「まあ・・。今回のキーワードは『酒』と言う事だけは判明しているのだが・・・。」 ジョヴァンニが言いにくそうに二人に告げる・・・。 「『酒』・・・ねえ・・・・・・・・。」 言いながらガウリイはリナがあんまりにも美味そうに飲むのでウーロン茶を注文して ソレを飲み干す。 あまりにも美味しいのでお代わりをもう3杯渇食らう。 「まずは・・何が売り捌かれたか『調査』って事ね。」 そう言うリナの隣でガウリイは6杯目のウーロン茶を飲んでいた・・・。 「馬鹿、アホ、間抜け・・・・・・。」 「『お前のか〜ちゃんで〜べ〜そ』は無いのか・・・???」 「・・・・。アンタの場合『と〜ちゃんでべそ』の方が嬉しいんじゃないの?」 「・・・・・・・・・。ついでに言えば・・『弟』も・・・。」 今度・・ガストン(弟)にチクっちゃる・・・・。 意味の無い決意を固めながらリナはガウリイを見下ろす。 「あんたね〜〜・・アタシに散々注意しながら・・。冷たいものの飲み過ぎでダウンしてど〜すんのよ・・・。調査にはアタシ一人で行くから寝てなさいよね・・。たく・・・。」「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。殺生な・・・。」 「お・だ・ま・り。一人が怖ければ・・国際電話でガストン呼んで看病させるわよ?」 「・・・・それだけは勘弁してくれ・・・・・・・・・・・。」 かくして、リナはガウリイ一人残して調査に出かける事にしたのだった。 「お〜〜〜い・・・。ガウリイ、生きてる〜〜???」 どうやらすっかり寝込んでしまったらしい。 既に昼は過ぎている。冷房の完備された部屋では気がつかないがかなり時間が 経過しているらしい。 「お〜リナ・・・・。すっかり寝てた。」 「調子は?」 「・・・・。悪くないかな・・・・〜〜???」 その時見たものは・・魔性の微笑だとガウリイが気付いたのはその時だった・・・。 「あの〜〜〜リナ・・・????」 弓、腰には昔の時代の剣、更には馬の手綱を持たされたガウリイ・・・。 「何?うんうん。似合ってる、似合ってる。イベント用だけどウズベキスタンの民族衣装!!」 言いながら馬上のガウリイを眺めながらリナは満足そうに頷く。 「あの〜〜ど〜ゆ〜事なんだ・・・????」 「今から、馬上弓試合の大会があるの!!優勝者には・・ティムール帝国伝統の真っ青な綺麗な工芸品タイルが貰えるのよ〜♪」 ・・・・・・・・・。 「欲しいのか・・お前・・・・?」 「ま〜ね〜♪」 ガク・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 ソレだけのタメに今回は動員されて妙に虚しい気分のガウリイだった・・・。 「良いのか?リナ・・・???」 ジョヴァンニが行動に移ったリナをすれ違うだけを装いながら尋ねる。 「あ〜でもしなくっちゃ・・・。カモフラージュにならないわ・・・。」 「・・・・ガウリイが気付かないかもしれんぞ・・?危険な賭け・・だな・・・。」 「・・・ま、信じてるから・・大丈夫よ・・。」 腐れ縁ならではの判断・・・・である。 宮殿の建物から砂漠で催されている競技の様子は良く見える。 「失われた宝物があるとすれば・・・・・・。」 ウズベキスタンの過去の歴史から考えて。そして・・。 兄が告げていた『酒』のキーワードが示す事と言えば・・・・。 不意に背後から忍び寄る気配・・・・・。 どうやら・・・この国に来て以来、派手に動き回った甲斐があった・・と言うものである。態々殺されに来た・・と思われても仕方が無い展開だが。 そうそう簡単にやられてやるほどリナだってお人よしではない。 「そ〜簡単に行くと思ってるの?」 言いながら背後に忍び寄った気配に思いっきり蹴りをかます!! 「ク・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!」 不意の一撃にその男・・おそらくガウリイの父・・・。 フレイの騎士団の旅団長の『闇取引』の相手の一人・・・・。 と、言うか一組織・・だろう・・・・。 そう思いながらリナはくるり、と一回転して二人目の相手を倒しに掛かる!! 「だいたいね〜〜。一寸アバウトなのよ〜。アンタはティムールのつもりかもしれないけど・・・。アタシはビビハニムなんかになってやるつもりは無いのよ?」 皮肉たっぷりにリナは言う。 「へえ〜〜・・・。そりゃ〜ど〜ゆ〜意味だ?」 その声は敵の一隊が発したものではない。 「あら・・。早かったのね。ガウリイ・・・。」 何時もの動きやすい私服に着替えているとはいえ・・・。 先程の馬上弓試合の時に使用した武器を持って完全武装したガウリイが其処に立っていた。 「ほらよ!!我侭娘のリナさん〜♪」 言いながら優勝商品の真っ青なタイルをリナに贈呈するガウリイ。 「・・・青の都・・・。サマルカンドに相応しい品物ね。」 満足そうにリナはそのタイルとガウリイを眺めてにっこりと笑う。 「ナンだか知らんが・・・。お前俺を伏兵にするつもりだったのか。正々堂々させて くれないのはお断りだぜ?」 言って苦笑するガウリイ。 「・・・・・。そもそもね、ここウズベキスタンはモンゴル帝国のチンギス=ハーンによって滅亡を余儀なくされた・・・・。けどね。ティムール皇帝によって壮麗な都市、サマルカンド・・ティムール帝国として蘇ったのよ。壮麗な青の都・・・。」 言いながらもリナは敵に対する追撃の手を緩めない。 流石に『自称、プロ』のマフィアの娘である・・とガウリイは苦笑する。 格好だけの完全武装はすでに解除して素手でのみの勝負に移行している。 「けれども・・その皇帝ですら手に入れられないものがあった・・。」 それはこんな話し・・・・。 ティムールの妃、ビビハニムは建築家に皇帝が遠征から帰るまでに壮麗な宮殿を建築する様に命じた・・・。 しかし、建築は何時までたっても出来あがらない。 豪を煮やした妃は建築家を呼び出した・・・・。 『何故何時までたっても宮殿は出来あがらないのですか?』 『・・・完成したら・・・二度と王妃様にお会いする事は叶いません』 建築家はそう答えた・・・。 「成る程・・・。建築家は王妃に恋しちまった・・・て訳か・・・。」 すでに敵は全員柱に縛り上げている。 かな〜〜〜り情けない光景では在るが・・・・。 連中を調子に乗って気絶させてしまったからには自力で宝物を探さなければ 成らない事は必至である・・・。 そんなこんなでリナとガウリイは宮殿中を漁りまくる。 「そ。で・・・続きを言えば・・・・。」 中世の大切な宝物を壊さないように退かしながらリナは続ける。 『1度だけ・・・。口付けをお許し下さい.』 建築家は王妃にそう言った・・・。しかし懸命な王妃は・・・・。 数々の美しい装飾を施した高価な卵を籠一杯に持ち出してきた。 『この美しく彩られた卵・・・。しかし、すべて中身は同じ黄身なのですよ?』と・・。すると・・建築家は2つのグラスを持ち出してこう言った。 「同じように見える2つのグラス。しかし、片や中身は酒であり、もう片方は水である。ヒトの心を酔わせるのはこの『酒』しか無い・・とね・・・。王妃は仕方なく 建築家に口付けを許しました・・・・。」 「う〜〜〜ん・・・。確かに!!そ〜ゆ〜モンだ!!」 物を探してるのか探してないのか・・・。 話しにばかり夢中になってる姿はまるで子供のようなガウリイ・・である。 「けれどもね・・。王様はその事をきいて嫉妬して激怒したの。完成したばかりの この宮殿から・・その建築家を突き落とす死刑に処したのよ・・。」 「分かる!!その嫉妬は・・当然だろ???」 アンタはどっちの味方なんだ・・・。 ガウリイ!!! そう突込みを入れたいのを堪えながらリナは更に話しを進める。 「でもって・・・・。ソレを悲しんだ王妃は・・。この宮殿から身を投げたって 話しよ・・・・・・。」 そんな逸話・・『酒』のキーワードがあったからこそ。 今こうして気付いてココに居るのだが・・・。 「リナ!!あったぞ!!!」 不意にガウリイがリナの手に何かを握らせる。 「・・・・・・。卵・・・・・・・・・・。」 伝説の・・・美しい装飾の施された・・・卵・・・・・・。 むっすううううううううううううううううううううううう〜〜〜〜〜・・・。 折角のお宝を手に入れたというのに・・・。 あいも変わらずリナの表情は険しい。 「ま、ま〜た手掛かり見つけたら会ってやるから!!今は大人しくな、リナ?」 ジョヴァンニの宥めも今の彼女には通用しないらしい。 「ま〜なあ・・・。リナの家出した理由の半分以上は・・・。」 義兄、ゼロスとの不毛・・・いや・・・不毛以下の争い。 それが原因なのだから・・・・・・・・・・・。 「分かってるわ・・。またね・・・。ジョヴァンニお兄様・・・・・。」 いやいやそうとだけ言いながらリナは飛行機に乗り込む。 「所で・・その宝物ど〜するつもりだ〜〜?」 暫しリナは卵を眺めながら考える。 「ま・・・。それはコレから考えるわ・・・。」 コレが・・何かの『鍵』になるなんて事も充分に考えられるからだ。 「如何しましょう・・・。リナさん・・・・・。」 「暫く・・放っておきましょう・・・・・。」 放心して固まった居るゼロス・・・・・。 「ああ〜〜。俺が貰った『必用経費』もリナの引き降ろしたゼロスの貯金も・・・。」 「ジンギスカンの食べ過ぎで使い果たした・・って訳か・・・。」 呆れた様にガウリイとリナを眺めながらゼルが言う。 「・・アタシ達だけじゃないわよ!!ジョヴァンニ兄様もよ!!」 反論にならない反論をリナは辛うじてカマすが・・もはや意味は無い言葉と化す。 「本当に・・・哀れですけど・・放って置くしかありませんね・・・。」 「ああ・・・。手の出し様も無いし・・。救い様も無いな・・・。」 「俺だって給料貰えないしなあ・・・・。」 やがて・・・・。 『請求書』の山に埋もれて化石と化し、何時もの格好つけたすかした総帥の面影すら無いゼロスを残して一同はさっさと逃亡にかかるのだった・・・。 (続くかも・・でっす!!) |
11083 | 恐怖と過ちと・・・(気まま2-2) | CANARU | 7/20-08:30 |
記事番号11079へのコメント くるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくる〜〜〜♪ 警戒にリナの指が地球儀を回す。 「・・・・・・・・・・・。ふっざけんな!!」 到達した場所は・・アメリカ大陸付近の西インド諸島。 「ま〜〜・・。前回の事、アイツが根に持ってるのも分かるが・・・・。」 「だからってね〜〜〜〜!!自分一人でスペインに逃避行!!許せない!!」 尚も怒りながらリナは地球儀を回す。 一見すればココはまだしも合法的なナポリ、シチリアをとリしきるマフィア組織の カタート本部。 リナは其処の総帥ゼロスの妹にして幹部、ガウリイはその相棒と言った所である。 しかし・・実態はリナはルクセンブルク公国の皇女にして・・・。 ゼロスはその騎士団の一つ、『ワルキューレの騎士団』の副旅団長であり、ガウリイもその一員に属する。 勿論、リナはその副旅団長の義妹・・と言うのが実情なのだが。 「調子に乗りすぎて・・・。アイツにツケ押しつけまくったしなあ・・。」 空席と化している総帥席を眺めながらガウリイ。 「知らない!!って・・・・。」 不意にリナのポケットの携帯電話に着信音が入る。 「ガウリイさん・・・・。リナさんの監視役をお願いしたのに・・・。 一緒に遊びまわるとは・・ど〜ゆ〜事ですか・・・?」 部屋中に張り付けているのは・・・・。 五寸釘をぶっさした藁人形・・・・。 流石に蝋燭は抵抗感があったのだろうか・・・・??? 部屋には懐中電灯が薄明かりを灯している・・・。 「いやあ〜。悪い、ゼロス!!物の弾みって奴だな・・。うんうん!!」 無理に笑顔を繕いながらガウリイはゼロスに言う・・・。 「・・・呪われて下さい・・・。世界中のクラゲとドラマタ女は・・・すべて・・。」 「・・・うわ〜〜〜・・滅茶苦茶暗い・・・(汗)」 どうやら・・この秘密主義者さんも流石に精神攻撃には参ったらしい・・・。 「ともあれ・・・。こ〜んな事じゃ・・。海底に沈没した大航海時代の黄金でも引き上げない限り・・・。貴方に給料は払えませんし・・・。リナさんに『指輪』を買うことなんて・・・。夢のまた夢ですねえ〜〜〜♪」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。すっげ〜〜嫌味・・・。」 一番言われて痛い台詞を安月給のガウリイに言うゼロス。 「まあ・・・良いですけど・・。僕は今からスペインに逃避行決め込みます。 後はご自由に、さよ〜ならぁ〜〜〜〜・・・。」 どうやら・・・・。 もはや回りのものが見えなくなるくらいに疲れ果てているらしいゼロスだが・・・。 「う〜〜〜ん・・・。確かに・・。このままじゃイカンなあ・・・。」 さしものガウリイもこの状況はナンとかせねばならない・・と痛感するのだった。 「ペルーへ行くわ!!」 不意にリナが電話の電源を切りながらガウリイに言う。 「はへ・・・?」 これまた急な話しである。 「ジョヴァンニ兄様からの連絡よ・・・。今度の宝物は・・・・・・。 『ペルー』『インカ文明』がキーワードだって、ね。恐らく・・沈没船か何か・・。」 言いながらリナは意味深な不敵な笑みを浮かべる・・・・。 「沈没船って・・・・・・・・。」 その一言に今まで物思いに耽っていたガウリイも早速反応する。 「16世紀の大航海時代・・・。スペイン人が大挙してインカ帝国を滅ぼして 黄金を奪って本国に持ちかえろうとしたのよ。けどね・・。スペインに帰りつく事無く・・。」 「お宝を積んだまま沈没した船団!!ってか〜〜〜〜!!」 「そ〜ゆ〜事!!そ〜と決まったらさっさと支度よ!!」 かくして・・・・。 リナとガウリイはそんな訳で早速南米に旅立つ用意をするのだった・・・・。 「来かた。馬鹿兄・・・・。」 空港に到着したその途端・・・・。何処かで聞いた事のある声が聞こえる。 名物ココアを飲んでいたリナとガウリイは条件反射的に其方を振りかえる。 「びいいいいいいいいいいいいいいびゅううううう〜〜〜〜!!!」 訳のわからないうめき声と同時にココアを吐き出すガウリイ!! 「ぎゃああ〜〜!!きったないいいいいい!!!!」 絶叫しながらその場を飛びのくリナ!! 「あいっかわらず・・。リナさんもこの馬鹿兄と良く付き合ってられますね・・・。」 半ば呆れを含んだ冷めた口調で金髪の華奢な少年は・・・。 (ついでに言えばガウリイを冷たい視線で眺めながら)呟く。 「ナンだよ・・ガストン!!!」 弟に向かって僅かに怒りを含んだ声でガウリイが答える。 「馬鹿に馬鹿って言っただけだよ。この馬鹿兄・・・・。」 はあ・・と溜息混じりに更にガストン。 「馬鹿って・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」 「あ・・・。ガウリイ・・メガショ〜〜ックって感じねえ・・。」 言いながらリナは放心したガウリイを見遣る。 「ああ〜〜もう馬鹿で馬鹿でしょうがないんですよ、リナさん。俺が小学生で兄貴が高校生になったばっかりの頃・・・・・・。通信簿で・・・・・・。」 「言うな〜〜言うな〜〜言うな〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!! それに!!ナンでおまえがココに居るんだよ!!ガストン!!!!」 「・・・。ゼロスってヒトに雇われたんだよ。馬鹿兄が馬鹿と馬鹿をやらかさないようにって・・。所で・・馬鹿って誰・・・・??」 腑に落ちない・・と言ったように言うガストン・・。だが・・・。 「・・・リナ・・・。ゼロスの奴・・・・。」 「ええ・・・・。アタシの事まで『馬鹿』扱いしてるわ・・。あんの馬鹿兄〜〜〜!!」 密に復讐を誓うガウリイとリナだった・・・・・・・。 「そもそも・・。大航海時代のきっかけを作ったのが・・・。」 「マルコ=ポーロの『東方見聞伝』ですね。」 リナの言葉にガストンがアッサリと受け答えする。 「そ、マルコの流し目す様にヴェネツゥアのイタリア人ね。もっとも・・彼自身はこの文献をまとめた訳じゃ無い・・けど。」 ジェノヴァとヴェネツィアの戦時中。 マルコ=ポーロはジェノヴァの捕虜となって捕らえられた。 そんな彼の東方での話しを一緒に牢屋に捕らえられていた人物が纏めたモノなのである。「まあ・・。当時じゃ『夢物語』程度にしか思われてなかったんでしょけどね。」 「なあ〜〜〜・・。リナ〜〜、ガストン〜〜・・・。ナンの話しだ〜〜〜・・・。」 蚊帳の外で少々寂しそうにガウリイが言う。 「そして・・・。『クリストファー・コロンボ』がアメリカ大陸を発見・・か。」 実はアジアに到達した・・と思って偶然発見したという産物ではあるのだが・・・。 「『クリストファー・コロンボ?』・・・???」 更にガウリイが無理に問いかけをしてくる。 「・・・コロンブスのイタリア語読み。パトロンがスペイン女王イザベルだったからすっかりスペイン語読みが定着しちゃってるみたいだけど・・・・。 見たことは無いけど・・あの『刑事コロンボ』とかゆ〜イタリア系アメリカ人のオヂ様のドラマですら正確な読みなのにねえ・・。」 関係の無いことを思わず持ち出すリナ・・・。 「あ〜〜。『お前のね〜ちゃんとお前の関係=コロンボとウチのカミさん』的存在なんだっけ〜〜〜??」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・。お願い・・ね〜ちゃん事は・・言わないで・・。」さしものリナもガウリイのこの改心の一撃は・・・。 涙無しには聞き流す事すら出来ないのだった・・・・・・・・・・。 インカ文明が黄金の文明であったことはマズ疑いは無い・・・・。 しかし、最新兵器を携えた数十人のスペイン人に彼らはいとも容易く滅ぼされたのだ。 ついでに言えば・・初めてインカにスペイン人が上陸した年・・・。 彼らの『神』が異世界から帰ってくる年と重なっていたのだ。 そして、彼らはスペイン人を神と勘違いした。 「文字を持たなかっただけ・・。その文明は不明・・ねえ・・・。」 一足先にペルーに来ていたためだろう。 ガストンに案内されてやってきたミュージアムの資料を一通り眺めながらリナ。 「へえ〜〜〜・・・。沈没船についての調査もやってるのかあ〜〜・・・。」 『沈没船』と書かれた文字を発見したためだろうか? 其方の展示ブースにガウリイは向かって行く。 だが・・・やがて・・・・・。 硬直・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 「リナ〜〜〜〜〜〜!!この展示ブース〜〜変だよおおおお〜〜〜・・・。」 どうやら金銀財宝を想像していたのだろうか? しかし・・其処に展示されていたものは・・・・薄汚いロープに木の破片・・。 更にいえば訳のわからないゴミまで在る・・・。 恐らく・・破れたマストの一部・・だろう・・・。 「資料価値はそれなりにあるのよ・・。それに・・・。法律では『船』・・・。 というか沈没船は『発見』した人間じゃなくって・・。ナンで在れその『一部』を 引き上げたヒトに所有権が行く・・と言う事なのよ・・。」 とりあえず・・ボロっちいモンを引き上げて・・・。 後でちゃっかり所有権のあるお宝をいただこう・・と言う事だろう。 「ぼろっち〜事はひ百も承知だね。それに・・そんなガラクタ、この僕には似合わないだろ〜?ま、目的は他にあるんだよね。僕の家には金銀財宝もくっさる程あるし〜。」 不意に聞こえる・・いや〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜んな声・・・。 「おい・・・。リナ・・コイツ・・・・。」 「・・・・・・・・・・。ナンで・・何でアンタが・・・」 そう・・・。 自称、超絶美形、銀髪、ナルシー、性格最悪、危な系のロクデナシ・・・。 英国貴族と日本人のハーフ!! 更に言えばリナの中学時代の同級生!!! 「ひょ・・・・氷(ひょう)・・・・・・・」 「ま〜た君たち?ま、ココは僕の財閥のミュージアムだし、研究機関だからね。」 無意味にバラを手に持ちながらエラそうに言う氷・・。 妙にムカツクし精神衛生上にも良くない・・・・。 分かってはいるが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 「折角だし〜〜研究結果のマイクロチップを見せてあげるよ。ま、せ〜ぜ〜僕に感謝するんだね〜〜〜♪」 ヤケに上機嫌の氷・・・・・・・・・・・・・。 「そりゃ・・どうも・・・。」 調査には役立つけど、やっぱりムカツク・・・・・。 「ま、許してやれよ、リナ。これもこいつなりの借りの返し方だと思うぜ?」 確かに・・・・・・・。 この氷の兄も・・フレイの騎士団。ガウリイの父親の犯罪組織の隠れ蓑であった組織に 抹殺されたのだ。 奴だった自分手でソレを潰滅させたかったのかもしれない・・・。 実際は『ワルキューレの騎士団』とリナ、ガウリイがやってのけたのだが・・・。 「・・・・・。無い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」 調査室、とかいう狭く、暗い部屋に入った途端に氷の震えたような声が聞こえる。 何時に無くその物言いは動揺した様子すら帯びている。 「どした〜?氷。便所無いなら部屋から出て・・・・。ってげええええええ〜〜〜〜〜!!いでえええええええええええええええ〜〜〜〜〜〜〜!!!」 思いっきりガストンに足を踏まれたのだろう。 やおら大声を上げて・・やがて沈黙するガウリイ。 「何がないんです・・・。」 氷は一考に構っている様子は無いがとりあえずその場をガストンが取り繕う。 「・・・・・。超極秘の・・ディスクが盗まれた!!!!!!!!??」 「ディスクの大きさは大方15×15ミリ。主にスパイが使う小型ディスク・・。 強いて言えば『チップ』の域に入るかしらね・・・。」 考え事を纏めようとリナは部屋中を無意味に歩き回る。 あの後・・・・・。 「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああ あああああああああああああああああああ〜〜〜〜〜〜〜〜!! ディスクが盗まれた〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」 先程までとりあえず冷静だった氷なのだが・・・。 その事実を深く考えれば考えるほど錯乱して行ったらしい。 「ちょ・・氷!!」 「前から怪しい連中に狙われてたんだよ!!きっと『フレイの騎士団』の取引相手に違いない!!!!そ〜でなかったら・・。僕の持ってるもの狙ったり身辺を洗ったりしないはずだよ!!!!」 どうやら・・。氷の持つ情報がルクセンブルクのエルミタージュ関連である事は まず間違いは無さそうである。 そして・・・・。 『フレイの騎士団・…』 いいや・・・・。 犯罪組織『ミッドガルズ』と関連のあった取引組織が・・・。 『ホスト、世界最大の犯罪組織=カタート』を目論んでもナンの不思議も無い。 「これからは・・・。」 それらの組織の一掃に時間を費やす事になりそうである・・・。 そう考えると少々頭が痛いのだが・・・。 こっちは本物の頭痛に耐えかねたご様子である・・・・・・・・・・・・・・。 「おお!!!!廻!!!!」 「ああ〜〜♪ガウリイさんにガストンさ〜〜〜ん!!」 氷の下僕の少年と(何故か気が合う)再会を果たして喜んでいるガウリイ・・・。 しかし・・・そ〜と〜恨みを持っているのだろう・・・。 一見人畜無害なクラゲニ号を装いながらも・・・。 廻はぶっ倒れた氷の顔をゲシげしと踏みつけていた・・・。 あの氷が倒れた事を考えても・・・。 こりゃ〜〜〜廻、朝食に何か盛ったな・・・・・・。 とりあえず、今のリナに分かる事はそれだけであった。 「さしあたり氷の家の情報を盗んだ連中を追跡するのが先決、ね。」 沈没船・・・ルクセンブルクのエルミタージュの財宝・・。 今はそれを取り戻す事が何よりも先決なのである。 「しっかし・・・。面倒な事になったな・・・・。」 それらを狙う組織は『ミッドガルズ』を通して鼠算式に増加する事だって充分に 考えられる事なのだった。 「怪しい連中をおびき寄せる方法があれば一番手っ取り早いんだけど・・。」 暫し考えた様にリナ・・・・。 連中がこのエルミタージュにある財宝を欲している事はまず間違いが無い。 更に言えば・・・・。 『沈没船』への権利はすべてこの家の氷がもっている事になる。 流石に犯罪組織とは言え、この権利に手を出した日には別件で検挙されてしまうのが 関の山・・と言う事である・・・。 それならば・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 「言っておくけど!!貸すだけだからねえええええ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」 何やら何時の間にか復活した氷がリナ、ガウリイ、そしてガストン向かってがなりたてる。「分かってるわよ。いくらアタシが厚かましくたって。其処まで要求しやしないわよ、 ったく・・・・・。」 別にリナがやっても良かったのだが・・・。 恐らく連中は既に彼女の顔かたちを把握しているだろう。 「ま〜♪頑張ってくれよ〜我が弟!!」 バン!!!!! 激励とも冷やかしともつかない調子でガウリイはガストンの背中を思い切りぶん殴る!! 「いでええええええええええええ〜〜〜〜〜!!馬鹿力で殴るんじゃね〜よ!! この馬鹿兄!!!」 「はあ〜♪俺は馬鹿だからな〜♪力の加減がつかね〜んだよ〜♪」 「・・・。け・・・。リナさんに嫌われるの・・・そんなんじゃ時間の問題だよな〜〜。」ガストンに憎まれ口・・・・。 「はあ〜〜い♪ガストンちゃ〜〜ん♪女の子がそ〜んな口聞いちゃいけませんよ〜♪」 言いながらこめかみの辺りだけ引きつらせながらガウリイは弟のほっぺたをムニムニ〜〜とひっぱる!!!! 「ひでえええええええええええええええええええええええええええええええええええええ えええええええええええええええええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」 ガストンの絶叫が部屋中に響き渡る!!!! 「こら!!馬鹿やってないの!!ともかく・・。ガストンを女の子に見せかけて・・。 この『権利』である『沈没船の最初に引き上げたモノ』を避難させるフリして・・。」 「ああ・・。餌にして敵をおびき出す・・だろ?」 リナの言葉に業と真面目ぶってガウリイは答える。 勿論・・兄のそんな猫かぶりにムカツクガストンなのだが・・・。 もともと長い金髪をみつあみに結い込む・・・。 メークは自然に薄めに・・更に言えばでっかいリボンを頭に一つ。 業とらしい、とリナは反対したのだが・・・。 その服装は日頃の恨みとばかりにピンクのフリフリのドレスをガウリイが選択したタメに道を歩くたびに裾をたくし上げねばならなくなっている・・。 ついでに言えば・・・。 そんなレトロな服装に合わせてか・・・。 はたまたガウリイのからかいがココに極まれりか・・・?? 皮製品のフランスのリセエンヌ風のバックには『沈没船の権利』といってもいい 最初の引きが上げた品物。 更にはやはり皮製品のブーツに・・・・・・・・・・・。 真珠のネックレスにイヤリング・・・・。 取ってつけたように持たせる小物は『マノン=レスコー』の文庫本である。 「・・・・・・・・・・。馬鹿兄・・。殺す・・・・・・。」 ガウリイが物陰から見ているのを意識しながらガストンは露骨に分かる口の形で そう呟く。 「リナ〜〜。今度お前も・・・・。」 「あの服装させよ〜ってんなら・・・。ガストンと一緒にアンタの寝首かくわよ・・・・・・・・。」 「・・・・・・・・・・・ゴメンナサイ・・・・・・(涙)・・・。」 流石にリナにだけは敵わないガウリイであった・・・・。 ガサガサ・・・・・・・・・・・・・・・・。 「来たな・・・・。」 さっきとは打って変わったガウリイの冷静な声が低く響く。 「ビンゴ、ね・・・。」 言いながらリナもガウリイと背中合わせになるように構える。 「おい・・・・・。それを・・渡してもらおうか・・・?」 ガストンに向かって一人の男がナイフを衝き付ける。 が・・・・・・・・・・・。 ガシュ!!!!! そのナイフが発動するより早くガウリイの一撃が簡単にその男の首筋をついただけで 地に倒れる!! 「貴様・・・。」 言いながら別の敵がガストンを人質に取ろうとするが・・・・・・・。 ズゲラシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンンン!!! ガストンのやけっぱちの一撃をマトモに腹に食らって倒れ伏す!! 「ははは〜〜♪やるな〜♪おじょ〜ちゃん〜♪」 「おじょ〜ちゃんって言うな!!馬鹿兄!!!」 どうやら・・・そ〜と〜仲悪いな・・この兄弟は・・・・。 「ま。ガウリイをミニサイズにしてこの服装させたら・・。ホントそっくりだと思うけどね。貴方達・・・・。」 「リナ・・・。」「リナさん・・・・。」 見事に情けない兄と弟の声がハモった所を見ると・・そうでもない、か・・・。 差し当たり組織は・・・と言ってもこの一集団は潰滅した。 あっけないと言えば呆気ないのだが・・・・・・・・・・・・・。 『カタート』の名前を出した途端、アッサリと降伏してくれたのである。 「なあ〜〜リナ・・・・。」 そんな連中にリナが強引に書かせた『宝のありか』の地図。 それを見ながらガウリイは車を運転している。 「何よ・・・・・・・・・・・。」 「・・・・・・・。ナンでも無い・・・。」 頭の中には『沈没船でも引き上げない限り指輪は夢のまた夢』と言うゼロスの言った 残酷な一言(?)のみがあるガウリイ。 が、リナは悪い道に酔ったのだろう。 先程から何時になく寡黙ですらある。 「ガストンは・・ショックで寝込んじまった。」 仕方無しにガウリイは話しの矛先を逸らすことにした。 「ま〜〜・・・。あんだけやりゃ〜ね。あのコ、アンタと違って神経質で繊細 みったいだし・・。」 やっぱり車酔いしたのだろう。 どうも笑顔がぎこちない・・・。 仕方無しにガウリイは再度苦笑して誤魔化す。 こ〜ゆ〜件に関しては・・自分もガストンに負けす劣らず繊細な神経ではあるとは思うのだが・・・・・。 そう思いながらもこんな状況じゃ口にするだけ恥ずかしいだけである。 「着いたぞ・・。」 「ん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」 車から二人が降り・・・其処で見たものは・・・・・・・・・・・・・・・。 「ど〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ゆ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜事なのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!! ジョヴァンニ兄様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・。」 あの後・・・。 『そ〜ゆ〜の』が苦手なガウリイはハッキリ言って『再起不能』!! 「リナぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜!!怖いよ〜〜〜〜〜!!電話なんか後でも出来る だろおおお!!手ぇ握ってくれ!!手!!!」 涙声で子供みたいな事を訴えてくる・・・・・・。 「分かったわよ、けど、片手だけね!!って・・。に〜さま!!何誤解してるの!! それに!!ナンなんです!!あの『宝物蔵』にあったものはああああ!!!!!」 『・・・。インカ文明のミイラだが・・・。それがど〜した・・?と、言っても俺もさっきの調査でその宝物がミイラって知ったんだが・・・。報告しようと思ったらお前達もう出払ってたしさ・….』 困り果てたような声で電話の向こうのジョヴァンニが言う・・・。 「あの〜〜・・・さあ・・。普通・・インカ文明のお宝って言うと・・・・。沈没船とか・・。黄金を連想しない・・・?」 確かに『紛失したエルミタージュ』の品物リストは謎のまま・・とはいえ・・・。 『あのなあ・・・。沈没船の所有権は一番最初にその『一部』を引き上げた人間のモノなんだぜ?そんなモンルクセンブルクのエルミタージュが持ってるわけ無いだろうが・・.』よっく考えて見れば分かる事を淡々と言うジョヴァンニ・・・・。 『ま〜。ミイラは結構歴史的資料はあるし・・・。一部の迷信深い地方じゃ未だに『薬』になるって信じられてる所あるし・・。物品高官にしろ現金取引にしろ・・・。 かなりの密輸入業の取引にはって・・聞いてるのか?リナ〜〜・・・』 もはや・・・・。 頭真っ白・・・ガウリイは完全に怯えて再起不能・・だし・・・・。 氷のチップは間抜けな事に本の間に挟まっていることが判明したのはそれから 暫くしての事だった・・・。 「ほら!!ガウリイ!!行くわよ!!」 「リナ〜〜〜〜・・。化けて出ない?呪われないか〜〜??」 ったく・・・・。 この幽霊恐怖症男は・・・・・・・・・・・・・・・・・。 半ば呆れながらリナはくっついてくるガウリイを引っ張って港まででかける。 ちなみに・・・例の『発見した宝物』は・・・。 コイツが怖がるので正式にペルー政府に返却する事にした・・・。 「へえ・・・。沈没船の引き上げか〜〜。」 リナの腕に未だに捕まりながらガウリイは引き上げられる16世紀の船を眺める。 「ええ・・・・・・・・・・・・・。」 これが・・・。 フェリペ二世時代の船団か・・・・・・・・・・・・・・・・・。 「氷が珍しく・・。今引き上げられた16世紀のワインをご相伴に預からせてくれる そ〜よ。」 そう言ってリナはガウリイを引っ張る。 「へ・・・・?腐ってないか・・・??」 「海底の適温で約500年間眠らせたものよ?最高級品ではあるけど・・・。腐る理由は無いわ!!」 「そっか〜〜〜!!じゃあ、ま、そ〜ゆ〜事なら!!」 言いながら駆け出すリナとガウリイ・・・・・。 シルクのピンクのドレスに、真珠のペンダントとイヤリング・・・。 ベルベットリボンに皮のブーツに何故か高級な装飾の本 ・・・。 しかも『マノン=レスコー』・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 訳のわからない請求書で一人、スペインで震えるゼロスだった・・・・。 まさに恐るべし復讐・・・・・・。 (続きます・・・・。) |
11086 | やったぁ!第2部〜♪ | P.I E-mail | 7/21-01:25 |
記事番号11083へのコメント CANARUさん、こんばんは〜♪ パソ直ったんですね!おめでとーございます!! 「気まま」シリーズも第2部に突入〜♪ わ〜い!またガウリナコンビと馬鹿兄ゼロスに会える♪♪ 今回からはジョヴァンニ兄様の出番も増えましたね〜! 彼の前ではリナちん、超猫かぶり・・・(笑) まだまだガウりん、ジョジョ兄様(勝手に命名)の域には届きませんね♪ 精進するんだよ〜!ジンギスカンなんか食い放題してるヒマに 指輪のお金をこつこつ貯めるのだ〜っ!! 今回はスタート編とゆーことで、レギュラー総出演・・・と思ったら あのお方まで・・・・(^^;) ま〜ほとんどレギュラーですもんね、あの方も(笑) 次はジョジョ兄様からどんな指令が届くのか楽しみです〜♪ なんか彼のほうがゼロス兄より総帥っぽいかも(^^;) それでは〜!! |
11092 | 負けるなガウリイ〜♪ | CANARU | 7/21-08:24 |
記事番号11086へのコメント >CANARUさん、こんばんは〜♪ >パソ直ったんですね!おめでとーございます!! はい〜〜♪ 無事にパソコン再開できました〜〜♪ 幸せでっすううう!!! >「気まま」シリーズも第2部に突入〜♪ >わ〜い!またガウリナコンビと馬鹿兄ゼロスに会える♪♪ ははは・・・・。 なんとなくフレーズが良かったので使っていただけなのに・・。 「馬鹿兄」ゼロス、定着ですね〜♪ >今回からはジョヴァンニ兄様の出番も増えましたね〜! >彼の前ではリナちん、超猫かぶり・・・(笑) ですねえ〜〜・・・。 なぜか「猫かぶり」リナちゃんが頭に浮かんでたりします!! 長い間離れ離れだったから・・・・と言うことなんですけどね(汗) >まだまだガウりん、ジョジョ兄様(勝手に命名)の域には届きませんね♪ >精進するんだよ〜!ジンギスカンなんか食い放題してるヒマに >指輪のお金をこつこつ貯めるのだ〜っ!! そうだ〜〜〜!! ちなみに2部にはいってわずかに月給はアップしたという設定だったりします!! これで少しは報われたか!!ガウリイ〜〜!! >今回はスタート編とゆーことで、レギュラー総出演・・・と思ったら >あのお方まで・・・・(^^;) >ま〜ほとんどレギュラーですもんね、あの方も(笑) はいいい・・・・。 やっぱり出ないと「気まま」書いてる気がしないのが ミソですううう!! 相変わらずわがままですねえ・・あのお方も・・・。 >次はジョジョ兄様からどんな指令が届くのか楽しみです〜♪ >なんか彼のほうがゼロス兄より総帥っぽいかも(^^;) はうううう・・・。 何だかに〜ちゃん!!変な人にだんだんなっていっちゃてます!! >それでは〜!! では〜〜〜!! |