◆−最強のモノ(気まま2-5)−CANARU(7/23-10:48)No.11109
 ┗ガブリエフ家の事情(爆笑)−P.I(7/23-14:34)No.11114
  ┗毒蛇婦人〜〜(汗)−CANARU(7/24-09:39)No.11129


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11109最強のモノ(気まま2-5)CANARU 7/23-10:48


今回の話は・・・。
アタシが20年(近く)生きていて・・・。
いまだに怖いものです・・・・。

*******************

ドンガラガッシャ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ンンンン!!!
轟音と共に何時ものごとく、悪人退治に勤しむガウリイとリナの姿がある。
「は〜〜い、はいはい。皆様お揃いの所で〜〜〜・・。」
リナの手に持ったそれは・・・・・。
「わ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!馬鹿!!リナ!!やめろおおおおお!!」
叩きのめしていた『悪人』を放り出しながら即効で走って逃げるガウリイ!!
「安心してね!!火薬の量は抑えてあるから・・運が良くて掠り傷、運が悪くて
気絶・・かしらね〜〜〜?」
笑いながら・・爆弾を敵の団体さんに向かって放り投げるリナ・・・。
それを・・本当に「運良く」辛うじてかわすガウリイ・・・。
「いでええ・・・・・・。」
それと同時に何者かが食い散らかしたバナナの皮に滑って・・ド派手に転ぶ・・。
かなり今時の漫画にすら無い展開が情けない。
ちゅどおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお〜〜ん・・。
ガウリイが転んで撃った足首を撫ぜ撫ぜして一安心しているときであった・・。
リナの放った小型の手投弾が炸裂したのは・・・・・・・・。
「おい・・リナ・・・。」
「いんや〜!!今日も爽快爽快!!!」
見事なまでの暴挙・・・・である・・・。更に・・・・・。
『この人達は極悪人でっす。ポリ公がくるまで餌を与えちゃ駄目よ。』
などと書いたプラカードのオマケ付きででっかい大木に連中全員を縛り上げる始末
である・・・・・・・。
「リナ・・い〜のかあ・・・?」
「い〜のよ!!悪人に人権は無いんだし!!今回の宝物も無事に取り戻したしね。』
はあ・・・・・・・・・・・・・。
もはや・・任務だか憂さ晴らしだか何がナンだかわからない状況になっている・・。


「いやあ〜〜〜・・困るんですよね・・リナさん〜〜〜・・・。」
その日の事・・・・・。
一見するとナポリ、ヒチリアをとりしきるまだしも合法的なマフィア組織の
「カタート」・・・・。そしてその総帥こそこのリナの義兄にあたるゼロス。
だが、実際はこの「カタート」こそルクセンブルク公国の「ワルキューレの騎士団」であり、ゼロスはその副旅団長に当たる・・・。
ちなみにリナは何を隠そうルクセンブルク公国の公女でもあるのだが。
今のところはこの「馬鹿兄」ゼロスの妹にして部下、そしてガウリイの仕事上の相棒
という事になっているのだった。
「何が困るのよ・・・。」
もはや迷惑・・と言わんばかりの口調でリナはゼロスに悪態をつく。
その後ろで「それ見た、いわん事か・・・」と頭を伏せているガウリイ。
まあ・・・日常茶飯事と言えば日常茶飯事な光景なのだが。
どうも今回はこのゼロスの顔の引きつり度合いが何時にプラス30倍は引きつっている。「貴方たちはあくまで『ジョバンニ』さん。リナさんの実兄の命令によって悪徳組織と対決しているんですよね・・・・」
あえて問いかけ口調で二人に問い掛けてくるゼロス・・かなり怖いかもしれない。
「そ〜だけど・・・・・・・。それが・・・?」
リナの実兄、幼い頃離れ離れになった兄、ジョヴァンニ。彼の依頼によって、まあ、自分の利害にもなるのでリナは動いているのだが。
「だったら!!!『カタート』の名前を出さないで下さい!!!今回貴方達が倒した悪徳組織には別働隊が居たんです!!!彼らが『カタート』の団員に対して報復行為に出たんですよ!!!無論・・ルナさんは此方『カタート』との接触は絶っていますし・・。」
「あ〜〜〜!!ソレで!!お前が処理しなくっちゃイケナイから頭痛いわけだな〜♪」
コレは得たり、といわんばかりにガウリイが指摘する。
「で、組織の被害状況は・・・・?」
「・・・・爆弾で掠り傷4人、縛り上げられて頭上に『餌を与えないで下さい』と書かれたのが7人です・・・。ったく・・マフィアが派手に殺りあうならまだしも・・・。
こ〜んな幼稚な嫌がらせされてど〜するんでっす!!!」
機嫌が悪そうにゼロスが言う・・・・・。
「・・・・・・。なあ・・リナ・・俺達が連中にやった事と・・・・。」
「ええ・・・まったく同じ仕返し受けてるわ・・ガウリイ・・・・・。」
し〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜んんん・・・・。
暫しの気まずい沈黙が室内を支配する。が・・やがて・・・・・。
「アンタ達・・そ〜んな幼稚な方法で・・・敵を退治してたんですか・・・。」
頭を抱えるネタは当分の間尽きる事は無いかもしれない。
「何よ〜〜〜!!アタシは冷酷なアンタと違って敵のハラワタ(ピィィ〜)して、
そんでもって腸物(ピィィィ〜〜〜)して・・更には生き血を(ピイイイイ〜〜!)
して更には・・(ピィィィ〜〜)のような拷問にかけた挙句(ピイイイ〜〜〜!)するような趣味は持ち合わせていないわよ!!!!!」
「げええ〜〜〜〜!!ゼロス!!お前・・よっくもそんな残酷な事出来るな!」
リナのでたらめを真に受けてザ!!とゼロスから離れるガウリイ!!
「だあああああ〜〜〜〜!!悪趣味な事言わないで下さいよ!!リナさん!!ともかく!!こ〜んな『眼には眼を、歯には歯を』の状態は避けてくださいね!!まったく・・。
超ハイレベル(反対語)なハンムラビ(ハムラビ)法典の施行は良い迷惑です!!」
ブツブツ文句を言いながら始末書を書くゼロスに・・・。
「なあ〜〜〜・・ハムラビ法典、根には根、蚊には蚊って・・・?」
無論・・そ〜んな間抜けな質問をするのは言わずと知れたくらげのガウリイ君である。
「・・・・眼には眼、歯には歯よ。」
「まあ・・・・相手に眼を潰されたら潰し返せ、歯をへし折られたらへし折返せって
所でしょうかね。」
リナとゼロスが何やら恐ろしい剣幕を微かに漂わせながら言う。
「・・・・ど〜も・・ピンと来ないのだが・・・・。」
「つまりね、アンタとゼロス馬鹿兄のお子様バージョンが一緒に遊んでるとするでしょ?アンタが木に登って落下してゼロスに大怪我させたとするわよ?そ〜すれば・・。
ゼロスの親は別の姉妹・・この場合はアタシかしらね・・?ともかくアタシを木に登らせてアンタの真上に落下させて大怪我させても構わないって法律・・。勿論、アンタは弟のガストンを遣ってあたしに怪我をさせる権利は無いけどね。」
「・・・リナさん・・・。貴方・・・。」
「説明に自分の願望を取り入れてないか・・・?」
さしものゼロスとガウリイも・・この説明には堪り兼ねたらしかった・・・。」


「な〜。リナ・・。お前とゼロスってもしかして物凄く仲悪くないか〜?」
未だにご機嫌斜めなリナの後ろを大慌てで追いかけながらガウリイが言う。
「まあ・・仲良い兄と妹じゃないけど・・相性悪いには確実ね。」
「駄目だゾ〜〜・・家族は仲良くしなくっちゃさあ・・。まあ、義理でもなんでもそ〜なんだしさ・・・・・。」
確かに・・ガウリイに言われると・・・・・・あんな事があっただけに反論は出来ない。「ねえ・・・ガウリイ・・・・。」
思わずリナはガウリイの方を仰ぎ見てしまう。もしかして・・・気にして・・・・。
そうリナが言いかけたその時であった。
「あ〜〜!!居た居た!!リナさん、ガウリイさ〜〜ん!!」
ブビ・・・・・・!!!何時もならこ〜ゆ〜シーンで邪魔が入ってコケるのはガウリイなのだが。今回はその役割はリナ・・となってしまったようである。まあ、良いけど。
「どしたの〜アメリア・・。」
極力平静を装いながらリナはアメリアに聞いてみる。
「ガウリイさんに手紙、リナさんには電話が来てますよ、はい。二人とも。」
渡される受話器の液晶ディスプレーに映される番号はジョヴァンニから・・。
ガウリイ宛てに届いた手紙の差出人はガストンからのようである。
「どっちも兄弟からね・・って・・ガウリイ・・・・。」
やおら硬直し・・ガタガタと震えるガウリイ・・・・。
「ちょ!!ガウリイ!!!」
どうやら尋常では無い様子である。手には・・弟からの手紙と何やら紙が握り締められているのだが・・・・・・。
そっと・・硬直してリナがその問題の「ブツ」を握り締めているのを抜き取ったことすら気付いていないらしいガウリイ。
「・・・・・・・・。ナンです・・リナさん・・・・・。」
「・・・こ・・・これって〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!」
一枚の写真と一枚の手紙・・・・其処には・・・・・・・・・・・・・・・・・。
『ローマ、カステル・サンタンジェロに旅行したときの写真。出来たからやる』
の一言・・・。そして・・・・・・。
「ぎゃ〜〜〜はははははははははははは!!!16世紀の城・・城砦の牢獄に!!」
「閉じ込められてますよおお〜〜〜!!ガウリイさんん〜〜〜♪」
そう・・その写真は中世の城に観光で入り・・弟ガストンによって鍵を閉められ脱走不可能・・の囚人状態になって困り果てているガウリイの写真だった!!!(爆笑)
「リナ〜〜〜〜!!!兄弟は信じちゃイケナイぞおおおおおおおお!!!」
彼が唯一放った一言は・・・それだった・・・・。


「イラクへ行くわ・・・・・。」
「へ・・・・・?????」
唐突なリナの言葉に事態が飲み込めないガウリイ。もっとも30分以上硬直していればそれはそれで仕方の無い事かもしれないのだが。
「ジョヴァンニから依頼があったの・・・。『霊力』のかなり篭った古代の宝石を探し出して欲しいってね・・・。」
まあ・・つい最近湾岸戦争もあった地域だし・・行きたいとは余り思えないだが・・・。「ジョヴァンニ・・ねえ・・・。それに・・湾岸戦争があったクェートの・・。」
やっぱりガウリイもその辺りが気になるらしい。社会情勢の事をブツブツ言っている。
「既に・・ガストンが飛んでいて案内してくれるみたいよ・・。」
暫しの沈黙・・・だが・・・・・。
「行く!!!」
カメラを持ちながらしっかりと答えるガウリイ。やっぱり復讐の機会を狙っていたか。


「歴史から言うと・・まずあの辺りに出来たセム系統一王朝がバビロニア王国。ハンムラビ法典もその頃のものよ。アジアの政治、王権の絶対化を勤めたハンムラビ王が作った法律なの。ま、俗に言う『楔形文字』の有名なメソポタミア文明ね。
その後に西アジアを制したのがアッシリア。けど、圧政に苦しんだエジプトなんかの反乱で4つにあっという間に分裂したわ。」
「ふ〜〜〜ん・・・・・・・。」
興味があるのか無いのか・・はたまたヒソカな復讐にのみ燃えてるのか・・・。
機内食にもまったくもって(食べてるけど)感心を示さないガウリイ・・・。
「その後、西アジアの覇者となったのがかのペルシャ帝国よ。もっとも・・。
ダレイオス3世の時代アレクサンドロス大王の東方代遠征によって滅んだけどね。
ヘレニズム文化もその時に完成したものよ。で、今回の探し物はアレクサンドロス大王に関する宝物なのよ・・・。」
「へえ・・・・・・・・・・。で、その宝物ってど〜ゆ〜モンだ?」
「・・不明・・。もともとはアレクサンドロス大王の母・・マケドニア王妃オリンピアスが祖国のエピュロスから持って来物らし〜けど・・。」
考えながらリナは喉を湿らすように麦茶を飲み干す。
「ならさ・・・。リナ・・何も西アジア・・こんな所まで来なくたって・・。
その・・エピュ・・何だかって所に行けば良いんじゃないか〜〜?」
確かに至極ごもっともなご意見・・・ではあるが・・・。
「そ。じゃ、ガウリイ・・・。そんなにエピュロスに行きたいなら頑張ってね!!
『世界の火薬庫!!』バルカン半島!!」
相手にされない事に腹が立ったリナはそうとだけ言って思いっきりバ〜〜ン!!
とガウリイの背中を平手で殴ってやる!!
「へ・・・・・・・・・??だって・・・・・。」
「『エピュロス』とその土地が呼ばれていたのはあくまで何千年も昔の話し!!
今は内乱耐えない世界の火薬庫!!」
「う・・・・・・・・・・・・・・・。」
流石にこの攻撃はイヤだったんだろう・・・。押し黙ったガウリイは・・。
「お供させていただきます・・リナ様・・・・。」
うんうん!!分かれば良いのよ!!分かればね!!


バビロニア・・・・・。
イラク、と言う国柄わかるかもしれないが・・其処は乾燥しがちの暑い気候の土地である。勿論、余り「豊か」な植物たちを景色に望んではいけない事は自明の理。
不毛な地でこそは無いが呱呱の機構は苛烈で厳しい。
「で、こんなモンおったてた・・って訳か。」
復元、イミテーションでこそあるが・・・。
「ええ・・確かバビロニア時代の国王だったかしら。植物の豊かな土地から嫁いだ妃がこの土地を大変悲しんでね・・それを慰めるために。」
「ふ〜〜ん・・・しっかし・・良く出来てるな・・・。」
そう。
復元、しかもまったくの想像の産物でしかないが。
今二人が居る場所はかの有名な『バビロニアの空中庭園』なのだった。
その名の如く、辺り一面は熱帯のエジプト辺りになら生息していそうな植物に満ちている。「古代にこんな空中まで水を引くのはどのような技術だったのかはまったくの謎。
古代バビロニア人は反重力の装置すらあった・・なんて『オーパーツ』(古代文明の産物)説まで出てきてるくらいね。」
まあ・・・事実は実際に定かでは無いのだが。
そんなリナが物思いに耽り始めた頃だった・・・・・・。
「こんにちは、リナさん。んでもって・・・・・。」
二人の間に冷たく・・お互いを出し抜こう・・とでも言いたそうな気配が生じる。
「おお〜〜よ・・・。ガストン・・・・。」
「お元気でしたか・・・ガウリイお兄様・・・。」
ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ・・。
邪悪な男と少年の笑い声があたりの観光客を恐怖のどん底に陥らせた事は・・。、
もはや言うまでも無い・・・・。


「リナさん。コレど〜ぞ!!」
「リナ。どうだ〜。こっちの方が美味いだろ!!」
おいおいおいおいおいおい・・・・・・・・・・・・・・・。
下らない男の見栄の張り合いは後生だからコレ以上止めてくれ・・・・・。
両手一杯に珍しい果物に囲まれながらリナはそう思う。
「お前なあ〜なんでお前がリナに果物与えるんだよ!!」
おい・・・ガウリイ・・アタシは「餌を与えないで下さい」と言う動物園の猛獣かい!!引きつったこめかみは・・・一杯抱え込んだもので見えないだろう。
「け・・。馬鹿兄が何時もお世話になってるからに決まってるだろ。」
今日はヤケに兄であるガウリイに突っかかるガストン。
「ともかくだ!!母上に電話しておいた!!いい加減家に帰れよな。お前・・まだ14歳だろう!!」
そうとだけ言ってさっさとリナの片手を掴んでズンズンと歩き出して行くガウリイ。
「ちょ!!ガウリイ!!」
「ったく・・・・。背伸びしすぎなんだよ・・・。アイツも・・。まあ・・・。
無理も無い事なんだけどな。リナ、ともあれ大人気無いけど。今は勘弁!!」
何処へとも無くリナをつれて歩きながらガウリイは深く、ため息をつきながら告げる。
「・・・・・・。大人気無いって分かってるならいいけど・・。ガストンが14歳とは。以外だったわ。」
調査を手伝って貰う為には今回のガウリイの行動は充分に責める事に値するのだが。
この年齢を聞いてもはやリナも何も言い返す気力が無くなる。
「ま・・・・。反抗期なんだろうな・・・。」
今度はガウリイは苦笑交じり。
「・・・・・。ソレなら。アンタは年中反抗期男でしょ〜が・・・。」
リナとて・・馬鹿兄ことゼロスとの遣り取りを考えれば十分に反抗期のお子様なのだが。「ほら・・・。コレ。ガストンが居たんじゃ・・な〜んっか渡し辛かった。」
腕は引っ張ってはいるが・・・こちらを覗かないでリナにガウリイは言い、その手の中に何かヒヤリ・・・とした感触のものを渡される。
「・・・・・・・その、さ。前に敵を退治しただろ?そのとき拾ったんだ・・。
その・・・俺・・・。」
「給料、安いからね。」
・・・・・・・・・・・・・ハッキリ言うリナ、である・・・・・・・・。
「おまえなあ〜〜〜・・。『回収したものは全部返却する』と言うジョヴァニとの約束破ってもちかえったんだぜ?」
「はいはい。勇気を褒め称えて・・身に着けさせていただきますわ。」
メノウの一種だろうか?
緑色した綺麗な宝石・・である。
「クレソプレースだ。」
何故か名前を知っていたのだろう。ガウリイがリナに説明する。
「へえ・・・・・・・・。」
アレクサンドロス大王が愛用していた品物、である。
「ま、大事にしておいてやるわ。」
それが、今の精一杯の返答なのかもしれない・・・・・・・・。


「母上が来るまでだゾ?」
「分かっている。」
アイも変わらずブス〜〜〜っとした態度と様子でガウリイの忠告にガストンが答える。
「宝物がありそうな所、ねえ・・・・・・。」
一通りの事や、この辺りに巣食う犯罪組織について調査はして見たが・・。
仕入れた情報は何処にでも有り触れた三流犯罪組織に対してくらい、だった。
差し当たり『アレクサンドロス大王』について調べる、この事から始めようと言う事になったのだが。
「ココ、バビロニアはアレクサンドロス大王最期の地よ・・。強いていれば・・。
ペルシャ王ダレイオス3世が暗殺されて・・・。ついでに言えばその王女とアレクサンドロス大王は結婚したのよ。」
そう言いながらリナはふっと腕輪・・ガウリイから贈られたクレソプレースをそっと撫ぜて見る。
足元に広がる水が心地よさそうな音を奏でている。
「・・・ちょっとなら・・良いかな・・・。」
この森の中・・と言っても古代のペルシャの遺跡がこの森の中に埋れているような形となっているのだが・・・。
ずっと歩きつづけてどのくらいたっただろうか?さしものリナとて体力が尽きている。
「おい・・・リナ・・・。」
生水を飲み干すのかと思ったのだろうか?ガウリイが言葉のみでリナを止める。
「大丈夫よ・・・・・・・。」
触るだけ、だもんね。
そう思いながらリナはクレソプレースの腕輪を取り外し、腕を見ずに浸し・・・・。
それは・・・・・・・・・・・・。
ガウリイが一瞬目を離した隙のことだった・・・・・・・。


「な・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
リナは、まるで微動だにしていない。
その腕に先ほどまで填められていた腕輪が・・微かな音を立てて地面に転がり落ちている。
水面が、少し、また少しずつ赤い色に染まって行く。
「・・・・・がう・・り・・い・・・・・・。」
その手には未だに毒蛇が絡みつき、更に赤い血が水面に流れ出している・・?


「ク!!!」
流石に毒蛇を無理に引き離した衝撃はあったらしい。
自分自身が噛みつかれる恐れもあったがリナのその痛みの方がガウリイにして見れば
遥かにも気になる事であった。
「大丈夫・・な訳は無いな・・・・・・。」
既にリナの顔色は蒼く、血の気がみるみる失われている。
「兄貴!!!」
背後からガストンの注意を喚起する声が耳に届く。
毒牙を剥き出しにして襲いかかってくる蛇をガウリイは持ち合わせたナイフを突き刺し、
そのまま一刀の元で両断してしまう。
「ガウリイ・・お願い・・・腕輪・・・・・・・・・。」
何とか気力だけで立っているリナを支えながらガウリイはガストンに地面に落ちた腕輪を拾い上げる様にゼスチャーで訴える。
そして、それに答えるガストン。
その渡された腕輪を再度リナの腕に絡みつかせてやる。
「・・・伝説・・本当になっちゃた・・。アレクサンドロス大王も・・・。
この石で出来たベルト外したら・・蛇に・・・。」
「分かった!!分かったからもう喋るな!!」
そう注意しながらガウリイは応急処置に掛かる・・・・・・・・。
「無事で居ろよ・・・。リナ・・・・・・・。」


「ガストン・・・・・・・・・。」
腕に巻かれた包帯。
気がついたとき、リナを看病していたのだろうか。
疲れて眠りこけている少年の姿が真っ先に目に入る。
「ああ・・・。リナさん・・・・・・・。」
其処まで言ってガストンは言葉を詰まらせる。眠さのため、ではは無さそうである。
「ガウリイは・・・。ガウリイはどうしたの!!?」
やおら起き上がったリナに対してガストンは言いにくそうな様子で居る。
「・・・・・兄貴に無理して張り合ったけど・・。やっぱり叶わないです・・・。
兄貴は・・何か掴んでいたみたいですね・・・。一人で出かけました。俺も気絶させられて・・良く分からないんですけど。多分・・・。」
「・・・・・何か掴んでいた・・・???」
あのガウリイが・・というところが信じられないのだが・・・。
「ええ・・。貴方を助けたときと言い・・。当分、俺は兄貴には太刀打ちできませんよ・・。」
はあ・・・・。
どうやら、ガストンが反抗期、と言うのは事実だったらしいがそんな事に感心している場合ではない。
「ガストン、心当たりは??」


人工の空中の庭園・・・・。
其処から眺める景色は最高である。何時か・・本で読んだことが在る。
「リナと・・見たかったかもなあ・・・・。」
もうこんな時間である。そして・・もうじき夜になる・・・・・。
本当ならリナに着いていてやれば良かった事は明白である。
だが・・子供のガストンに訳のわからない嫉妬をして、馬鹿みたいに張り合って。
そんな所をまじまじと見られている今となっては例え,眠りつづけているリナとはいえ
気恥ずかしくて自分を見られたくない。
仕方無しに・・・・。
何時しか物語で聞いた宝物を自分一人で拝みにきた、と言う訳である。
壮麗なペルシャ帝国・・・。
富、権力、その象徴たる絢爛豪華たる都を・・・。
今は例え『廃墟』と化していたとしても・・『夕日』が染めていた。
「・・・・・・・・・・。へえ・・・・・・・。」
不意に隣で見知った声が聞こえる。
「すっご〜い!!あの辺り!!赤じゃないわ!!アメジストの色。夕方と夜の境目!」
そう言ったのは・・考えるまでも無い・・・。
「お前なあ・・寝て無くっていいのかよ・・・。」
嬉しいのかソレとも憧れているのか・・・ガウリイ自身にも分かりやしない。
「そんなヤワじゃ無いわよ。流石・・『世界』を夢見た大王・・。アレクサンドロスの宝物・・なだけあるわね・・・。ジョヴァンニ兄上の言ってた呪術の石は・・。
ガウリイのくれたこの『腕輪』だったのよ。だから・・こっち・・この景色の方を貰っておくわね。あのアメジストの部分!!」
夕方と夜の境目・・ねえ・・・。
「素直に夕日を喜んで欲しい物だが・・・・・・。」
「馬鹿ね。アレクサンドロス大王は近くじゃなくて遠くを夢見たの・・。」
彼は『海』に遮られ・・・。それ以上進めなくなったこと・・。
『遠征』・・『夢』の終わりを見せつけられ・・泣いたと言う。
だから・・近くではなく・・遠くが欲しい。それだけの事である・・・・・・。
「そ〜だな・・・・。」
捻くれもののリナの方が「らしい」ので良い・・とガウリイは思う。


「兄貴・・・。俺の一番に苦手なのはお前じゃないぜ・・。そりゃあ、まあ・・。
今はかなわないけど・・・。」
ガウリイの方を振り向きながらガストンが言う。
「ああ・・よっく分かってるって!!」
嬉しいのだか・・ソレともナンと言うべきなのか迷っているのだが・・と言う表情でガウリイは弟に言う。
「何時か・・越えるからな。兄貴が親父を超えたみたいにってぐえええええ〜〜〜!!」
あ・・ガウリイ・・合掌してる・・・(汗)
「何馬鹿なこと言ってるんだい!!あ、リナお嬢様、失礼致しますわ。ガウリイ!!お嬢様をしっかり守るんだよ!!って!!逃げ様とするんじゃないよ!!ガストン!!」
しなやかで美しい白い腕だが・・・・・・・。
「ひいいいいいいいいいいい〜〜〜〜〜!!!おかあさまあああ〜〜〜〜!!
許して〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!」
ガストンの絶叫が辺りに響き渡る・・・。
「アイツ・・未だにか〜ちゃんには頭が上がらないんだ・・・。」
「・・・・そう・・だったの・・・・・。」
成る程ねえ・・・・・。何と無く、納得・・である。
ガストンは・・あの女性を超える事は出来ないだろう・・永遠に・・(多分)


「へえ・・。これがアレクサンドロス?」
イタリアに帰ったその足でナ南イタリアのポンペイの遺跡に向かったガウリイとリナ。
と、ある壁画の前で足を止めてガウリイがリナに聞く。
黒髪の・・決死の表情でペルシャ軍の総司令官、ダレイオス三世に向かっていく若きマケドニアの覇王、と言った所か。父親の国王フィリッポスも偉大だったら強いが若い方が迫力と言う物があって良い。
「ええ・・・・。」
「・・・勇ましいなあ・・・。」
さしものガウリイも感心した様に言う。
「けどね、ガウリイ。アレクサンドロスも母親のオリンピアスには頭が上がらなかったのよ?」
「え・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
その一言にガウリイの表情が凍りつく・・・。
「まさか・・アンタのあの綺麗な金髪の緑色の眼のおか〜さん。『オーリ』なしいは
『オリンピア』って名前じゃ無いでしょうね・・・?」
ぴきいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい〜〜〜〜ん・・・・。
更に凍りつくガウリイ・・って・・まさか・・オイ!!
かくして・・「英雄は母親が育てる」と言う事は・・本当の様である・・。
「真坂・・アンタの不祥事をやらかした父親・・。『フェリペ』とか・・『フィリップ』
とか言う名前じゃ無いでしょうね・・・?」
一応聞いて見るリナに・・・完全に活動停止になるガウリイだった・・・。
頑張れガウリイ!!
明日はもっと強くなれるぞ!!!(汗)


(気が向けばまた続きます。)

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11114ガブリエフ家の事情(爆笑)P.I E-mail 7/23-14:34
記事番号11109へのコメント

CANARUさん、こんにちは〜♪
大学はもう夏休みですか?昼間からの〜んびりできるのはイイですね〜♪
さて・・・リナんとこもガウリイんとこも、フクザツですね(笑)
初出演オーリ母さん!旦那が逮捕されて落ち込んでるかと思いきや
息子たちより元気一杯!!ガウリイとガストンがまっとうに成長できたのも
この人がいたからこそですね〜。やっぱ母は強し?
こーんないい家族がいるのに不祥事起こしたりして、フィリップ父さんったら
しょーがないですね〜まったく。
反抗期まっただ中のガストンくん・・・おかーさんに連れ去られるところを
ガウリイに写真に撮られなくてよかったね(^^;)将来性ある14歳、
先は長いぞ、頑張ってくれい!
今回のガウリナはなんか久しぶりに甘々ではにゃ〜ん(*^0^*)って感じ
でした〜(はぁと!)特に腕輪を渡すシーン・・・ふふふ、ガウリイどんな
顔してたんでしょ〜ね〜。こりゃ〜今から指輪を渡す日が楽しみですわ♪
ガウリイがジョヴァンニ兄様との約束にもかかわらずあの腕輪を着服してたのは
やっぱり前世の記憶のなせるわざだったんでしょうか。今回のガウ、脳味噌
2割増し(笑)
ではまた次回作を楽しみにしてます〜。
・・・あ、そうそう、CANARUさんがいまだに苦手なモノって結局、
蛇?お母様?どっちですか?(笑) では〜♪

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11129毒蛇婦人〜〜(汗)CANARU 7/24-09:39
記事番号11114へのコメント

>CANARUさん、こんにちは〜♪
>大学はもう夏休みですか?昼間からの〜んびりできるのはイイですね〜♪
はううう!!
レポートしなくちゃイケナイのにいい!!
無視している今日この頃ですうう!!(汗)
>さて・・・リナんとこもガウリイんとこも、フクザツですね(笑)
ですねえ・・・。
ガストン・・今回は珍しく年相応でしたし・・・。
>初出演オーリ母さん!旦那が逮捕されて落ち込んでるかと思いきや
>息子たちより元気一杯!!ガウリイとガストンがまっとうに成長できたのも
>この人がいたからこそですね〜。やっぱ母は強し?
ですねえ〜〜!!
ちなみにあだ名はやっぱりオリンピアスからきているだけあって
「毒蛇婦人」だったりします〜♪(裏設定!!)
>こーんないい家族がいるのに不祥事起こしたりして、フィリップ父さんったら
>しょーがないですね〜まったく。
まったくですうう!!
やっぱり「婿養子」だったのしれませんね・・立場無し??
>反抗期まっただ中のガストンくん・・・おかーさんに連れ去られるところを
>ガウリイに写真に撮られなくてよかったね(^^;)将来性ある14歳、
>先は長いぞ、頑張ってくれい!
ははは〜〜!!
ガウリイ、ぢつは母上が苦手なのは彼も同じ事だったりして・・・。
そんなことして弟をいじめた日には命は無いぞ!!

>今回のガウリナはなんか久しぶりに甘々ではにゃ〜ん(*^0^*)って感じ
>でした〜(はぁと!)特に腕輪を渡すシーン・・・ふふふ、ガウリイどんな
>顔してたんでしょ〜ね〜。こりゃ〜今から指輪を渡す日が楽しみですわ♪
ははは〜〜!!
やっぱり自腹ではまだまだ買えないところがミソですねえ・・・。
今回の行動も「男の見栄」だったりして・・??
>ガウリイがジョヴァンニ兄様との約束にもかかわらずあの腕輪を着服してたのは
>やっぱり前世の記憶のなせるわざだったんでしょうか。今回のガウ、脳味噌
>2割増し(笑)
ですねえ〜〜!!
珍しく記憶容量増えてましたしね!!
あ・・それとも「物忘れ」の特質利用して腕輪を着服かあ〜〜?
「約束?しらね〜ぞ・・?ジョヴァンニ。」とか・・・。
>ではまた次回作を楽しみにしてます〜。
>・・・あ、そうそう、CANARUさんがいまだに苦手なモノって結局、
>蛇?お母様?どっちですか?(笑) では〜♪
ははは〜〜〜(汗)
ご想像にお任せ致しますわ〜〜〜!!
蛇も・・苦手ですううう!!(汗)