◆−ノスタルジアと・・・(気まま2-6)−CANARU(7/24-09:32)No.11128
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11128ノスタルジアと・・・(気まま2-6)CANARU 7/24-09:32


暑い・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「ちょっと・・・・・・。」
汗を拭いながらリナは無遠慮に総帥用の机の一角に座り込んでやる。
「・・机に座らないで下さい・・・リナさん・・・・。」
不満そうに義兄・・一見するとナポリ、ヒチリアを取り仕切っているまだしも合法的なマフィア組織「カタート」の総帥。
しかし、実態はルクセンブルク公国の『ワルキューレの騎士団』の副旅団長だったりする。そして・・リナは一見するとカタート総帥の部下なのだが・・実際はルクセンブルク公国の公女だったりするのだ。
「確かに・・・・馬鹿みたいに暑いなあ〜〜なんでだ〜〜・・・。」
そう言ったのはリナの仕事上の相棒にしてルクセンブルクのワルキューレの騎士団員のガウリイである。
「あああ〜〜〜もう!!悪かったですよ!!ど〜せ僕がエアコン壊したのがいけないんですよ!!まったく・・嫌味な方達ですね!!
ふん!!と鼻を鳴らして完全に拗ねるゼロス!!!!!!
これは・・・先日の事である。
今、このカタートの使命と言えばハッキリ言ってしまえばかなり身もふたも無いのだが。
『悪の組織の殲滅』と『宝捜し』と言うかなり情けない状況になっている。
そんな中、先日その『悪の組織』の一つに狙われた少年を保護したのだが・・・・。
「い〜え!!楽しませていただきましたわ!!あの男の子と『闘牛ごっこ』してるゼロス・・。あんた・・マジでなりきってたわよねえ・・・。」
「そうそう!!あの子が『オ―レ』とか言って赤い布振る回すたびに・・・。」
「『モオ〜〜』とか言ってましたよね!!リナさん・・・。」
今度は笑いを必死でかみ殺した様子のアメリアも話しに加わってくる。
「で・・・。頭に角の変わりに・・何処から取り寄せたのか割り箸ぶっさして・・。」
やはり・・・此方も微かに肩を震わせながらゼルが続ける。
「そうそう・・でもって・・ラストの決戦部分でエアコンに思いっきりドツキアイして・・・。」
リナのその言葉に限界に達した一同・・・。
『ギャ〜〜〜ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ〜〜〜』
爆笑の渦に巻き込まれたのは言うまでも無い!!
「悪かったですね!!ったくって・・。リナさん・・電話の様ですよ。」
尚も少々不機嫌そうにゼロスが言いながら携帯電話を渡してくる。
「ジョヴァンニにいさま?え・・・うんうん。行く。じゃ〜待ってて。」
言うなりリナは早速何やら支度に掛かる。
「何処行くんだ〜?リナ。」
「仕事よ、ガウリイ。このクッソ暑い南イタリアから脱出して北イタリアへ旅行・・
と言うか其処で詳しい事を聞く予定だけどね。」
「わ〜〜〜い!!私達も行きます〜〜!!ね、ゼルガディスさん〜♪」
「そうだな・・・・。」
勝手に決定しながらさっさと総帥室から出て行く四人。
「ちょっと〜〜〜!!皆さん!!始末書僕にだけ押し付けて勝手に出て行かないで下さいよ!!!!!」
ゼロスの声を無視してさっさと四人はでかけにかかるのだった。


「へえ・・・。ミラノ、ヴェネツィアを初めとするロンバルディア地方のたび、ね。」
ジョヴァンニの使者によって手渡されたチケットを見ながらリナが呟く。
「旅じゃなくて仕事だろ?」
とりあえずまともな意見を言うゼルの声は・・完全に無視!!
さしあたり一番最初に到着したヴェネツィアでゴンドラに乗りながらそんな話しをする一同。
「すっげえ〜なあ・・。み〜んな運河を行くゴンドラは漆黒なんだな〜。」
ヴェネツィアは始めてきたのだろうか?ラグーナを行き交うゴンドラの群れを眺めながらガウリイがふっと呟く。
「あ〜!!その理由知ってますよ!!もともと海運国家だったヴェネツィアがトルコとの戦死者の人を追悼の意味をこめて『ゴンドラの色はみ〜んな黒』って決めたんですよね!」元気にアメリアが言うのだが・・・。
「ブ〜〜〜。外れ!!単なる『贅沢禁止例』の結果よ。ま、出された当時にはまったく守られなくて・・絢爛豪華、ド派手なゴンドラが闊歩していたみたいだけど・・。」
ズベ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「リナさ〜〜〜〜ん・・夢も希望も無いです・・その一言!!」
船の中なので出来るだけ控えめにこけてからアメリアが文句を言う。
「そっか〜〜?ナンにしても黒い船が良く似合うぜ?この町並み。まあ・・綺麗なら
それでい〜んじゃないか?」
始めて来た分、ガウリイの意見はかなり規制概念に囚われずに率直で小気味が良い。
「ともあれ・・明日はヴぇロナでジョヴァンニの兄貴と会うんだろ?今のうちに充分に休んでおいた方が良いんじゃないのか?仕事が終わって帰ったところで・・・。」
「そ〜〜ね・・・。エアコン・・・無いし・・・。」
ゼルの一言に『帰宅後』の事がリナの頭には重く圧し掛かるのだった・・・・。


「ロミオとジュリエットと言えばヴェロナね・・・。」
北イタリアの旅行・・とはいえ今回は司令官であるジョヴァンニと落ち合うための物
である。
しかし・・一々こ〜ゆ〜感慨を持たないで旅をしたらその土地に失礼、と言う物である。
「リナ〜〜〜〜〜〜〜!!!」
不意に此方に書けよって来るガウリイ!!
「ど〜したのよ・・ガウリイって・・こら〜〜〜〜!!!」
まあ・・・北の方とはいえ・・ココは一応イタリアである・・・。
真昼間からそ〜ゆ〜事してるカップルは決して珍しくは無い。
だが・・・・・・。
「こらあ〜〜〜〜!!苦しい!!首に絡み着いてくるな〜〜〜!!」
「いいじゃないか・・・減るもんじゃ・・」
「息が出来ないでしょうって・・くさ!!アンタ!!ヴェロナ名物ワイン飲んだわねえ!」くわ・・・・・・・・・・・・。
やっぱり体質によっては北イタリア産ワインは悪酔いを引き起こす事は事実らしい。
「フランスのボジョレー何かに比べてお味も少々苦めで癖が在るけど・・・。
大量に飲めるのよね・・慣れて来ると・・ついでに言えばアルコール分15%!」
酔っ払いに絡まれていながらも冷静に分析をする辺りがリナらしいのだが・・。
シラフに戻った後のガウリイの運命を考えると・・・身震いがして成らないゼルとアメリアだったりする・・・・・。
「でも・・リナさん。ロミオとジュリエットって元々はイタリア各地に似たような伝説があるんでしょ?」
ガウリイを必死で引き剥がそうとしているリナの行動を(何故か)封じさせる事を目論んだアメリアが無意味にリナに問いかけてくる。
「ええ〜・・そ〜らしいわね。今じゃシェークスピアの所為でヴェロナの専売特許みたいに成ってるみたいだけど。ちなみにイタリア読みじゃあ『ロミオとジュリエット』じゃなくって『ロメオとジュリエッタ』と言うべきかしらね。」
真昼間から酒を飲んだ報いだろうか・・・?
リナの首に手を巻きつけたまま座ったベンチで居眠りモードに突入するガウリイ。
どかそうにも寝ているもんはどかせない・・(汗)
「そうなんですか???」
「そうよ。ついでに言えばギリシャ神話にも似たような話しがあるし・・・。
多分そっちが原型じゃないかしらね・・って・・・。」
寝ているガウリイを起こさない様に(思いやりからではなく起こした方が厄介・・と
踏んだらしい)立ちあがるとリナはサッサと手を振る。
「ジョヴァンニに〜さま!!」
そう・・・。
向こうからやって来る人物は・・リナの実兄、ジョヴァンニである。


「今回の北イタリア旅行コース、お前なら・・と思うが・・・。何か気付いた事は
無いか?」
挨拶もそこそこにジョヴァンニは開口一番妹にそう言う。
「・・・・旧ハプスブルク家のイタリア領土・・でしょ?」
兄の質問にリナはガイドブックの地図の北イタリア一帯を指差して更に続ける。
「ヴェネツィアが領土になっている、と言う事は。ナポレオンがヴェネツィア共和国を滅ぼした後、といったくらいの時代かしらね・・。19世紀・・イタリア統一よりも一寸前の時代・・と言った所かしら?」
ローマ帝国崩壊以後、イタリアと言う統一された国家は形成されてはいなかった。
少々の小国家や都市国家、僭主国家に分かれていたのである。
ソレに着け込んで強大な君主権を持つ他国が着け込んできたのは言うまでも無い事実。
「19世紀と言えば・・ハプスブルク家・・オーストリア一辺倒支配だったしな。」
「しかし・・。この帝国のイタリアでの支持率は最低最悪。反乱も耐えなかったのよね?」ルイジ=ルキーニという無政府主義者にオーストリア后妃、エリザベートが暗殺されたのがその良い例である。
「今回、お前達にはメキシコに飛んでほしい。ルクセンブルクのエルミタージュから失われた秘宝を『ワルキューレの騎士団』の連中が其処まで飛んで悪徳組織から取り戻した
んだが・・・。よりによって一番肝心な宝物を持ってそこのドンが未だに逃走中なんだ・・・。残党も気になる所だし・・・・。」
「分かったわ・・・・。」
ハプスブルク家の話しを持ち出した時点でメキシコでの調査対象も大方の見当はついた、と言うもんである。


「ハプスブルク家と南米メキシコ、ど〜ゆ〜関係があるんですか?」
ココ、北イタリアの旅先から直接メキシコに飛ぶことになったリナの手伝いをしながら
アメリアが言う。
「ああああ・・・。折角避暑に南イタリアから逃げ出したのに・・。コレからま〜たくそ暑い南米に行くのかヨ・・・。」
頭を抱えながらグダグダ言うガウリイに・・・。
「アンタがいくらウワバミ、ザルだからって・・。ワインをボトル7杯もガボガボ飲めば
二日酔いになるわよ・・・。」
「りなああ〜〜〜・・・。」
冷たく言い放たれる一言に二日酔いも手伝ってシクシクと涙を流すガウリイ。
「そんももね、今回の旅行は旧ハプスブルク領土のイタリアの土地・・・。
最後のオーストリア皇帝、フランツ=ヨーゼフ帝の弟のマクシミリアンが治めていた土地なの・・。もっとも・・・。」
「ああ・・聞いた事はある。反乱で総督の地位を引きずり降ろされたんだろ?」
リナの説明にゼルが相槌を打つ。
「ふ〜〜ん・・・酒の飲み過ぎで人民の不評をかったのかなあ・・。」
そりはおまいだ!!ガウリイよ!!
「で、ナンでそのマクシミリアンって人とメキシコが関係あるんです?」
おお!!アンタもガウリイ無視を決め込んだか!!アメリアよ!!
流石に誰も何も言ってくれないのでいじけた様に犬のヌイグルミを抱っこして
ソファーにフテ寝するガウリイ・・って・・ンなモンもちあるいとったんかいいいい!!
「可愛いヌイグルミねえ〜♪ガウリイ。で、アメリアその話しの続きだけど。
反乱でロンバルディア地方の領地を完全に無くなった弟マクシミリアンは兄皇帝フランツ=ヨーゼフにしてみれば結構な邪魔者でしかなかったのよ。」
「・・・まあ、あの現実主義皇帝ならそんな所だろう。」
「ですね。絶世の美女のエリザベート后妃でなくたって頭に来ます!!」
おいおい・・・ガウリイ。一応構ってやったんだからそんなに寂しそうな顔
する事はないだろうが・・・。ああ・・犬のヌイグルミの頭、撫ぜてる・・・。
「その頃よ。元々スペインの植民地だったけど、ナポレオン1世のスペイン征服で今は独立国家となったメキシコをフランスが支配下に置こう・・と考えたのは。一応メキシコにはファレスって言うかなり権力を持つ大統領は居たんだけど・・。ナポレオン3世ははメキシコに『皇帝』を置いて完全支配下に置こうと考えたのよ。 その白羽の矢が立てられて・・。『メキシコ皇帝』としてフランスの傀儡となったのがこのマクシミリアンなの。」少々長めの説明を終わらせたリナにふっと頭を起こしながらガウリイが・・・。
「なあ〜〜リナ・・。そんなら元々もっと早く、手っ取り早く『メキシコ皇帝、マクシ・・・』えっと・・『マキシ・・』だっけ・・?ともかくそのマク・・ナンとか・・って言っちまったほ〜が早くないか・・・?」
・・・・なかなかなナイスな言い分である・・。
『マクシミリアン』とはっきりと言えればなお更素晴らしいのだが・・・・。
「モノ知らないガウリイならともかく・・。『メキシコ皇帝』な〜んて・・。」
「そうですね・・・確かに・。違和感あります。」
在る意味・・ガウリイの頭はこう言った意味では臨機応変に出来ているのかもしれない。


「ははは〜〜〜♪リナは可愛いな〜〜〜〜!!!」
「だああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああ!!暑い!!首に絡むな〜〜〜〜〜〜〜!!」
メキシコに着いた早々の出来事である・・・。
空港近辺で怪しい屋台を営むオッサンに酒を買わされ、飲まされて・・・。
昨日の二日酔いにも構わずリナに絡むガウリイ・・・。
「いいぢゃね〜〜か!!ど〜せラテンのノリの国だし!!」
だあああああ〜〜〜〜〜!!
うっとうしい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
「ハイハイ!!リナさんから離れて!!教育的指導だぞ!!馬鹿兄!!」
背後からぷきゅるうううう〜〜〜〜♪
と可愛らしい音が聞こえ、それはガウリイの頭の上でぷきゅうう〜〜♪などと
更に可愛い音を立てて弾ける!!
「・・・ピコピコハンマーね・・・助かったわ・・ガストンって・・ガストン?」
今日は学校の制服姿で佇むガウリイをミニサイズにしたような・・金髪の少年。
「ははは〜♪母様には『学校の旅行』とか言って逃げ出して来ましたよ。このままい絵に居たんじゃ・・ワークブック国語、数学、理科、社会、英語にスペイン語。全部勉強させられるだけで夏休み終わっちゃいますしね。」
言ってリュックの中から修学旅行生よろしくお菓子を取り出すガストン。
なるほど・・・。
ガウリイ(&ガストン)母は・・兄がこのザマなので・・弟に頭脳労働は賭ける事にしたらしい・・・。まあ、多分大丈夫だと思うけど。
「ナンだよ〜〜!!ガストン!!新婚旅行についてくるのかあ〜〜このコは!!」
言いながら自分の長身を有利として弟の頭をワザトらしくグリグリっとやるガウリイ・・・・。
「え〜〜加減にせんかい!!この酔っ払い!!」
「馬鹿言ってると!!サク○ン一箱丸呑みさせるわよ!!」
ガストン&リナの必殺蹴りがガウリイに直撃した事は言うまでも無い・・・。


「ここよ。鐘の丘・・・・・。」
リナが足を止めたので他の二人も同時に足得を止める。
「この殺風景な所が。ナンだって言うんだ?」
退屈そうにガウリイがリナに尋ねて見る。
「メキシコ皇帝・・マクシミリアンが新メキシコ派の連中に・・・。強いて言えば大統領ファレスによって銃殺された現場。」
彼の最後の一言は・・『私は全ての人を許そう・・・メキシコ万歳、独立万歳・・』
そう言って・・即位3年にしてフランスの傀儡だったメキシコ皇帝は各国の助命嘆願にもかかわらず・・・1867年、6月19日、この場所で銃殺された。
「もともとファレスは反皇帝、仏蘭西派として力を持ってはいたんだけど・・。アメリカ合衆国の南北戦争が終結してね。その干渉の犠牲になったのが・・仏蘭西に見捨てられた皇帝・・って訳。」
かなりの皮肉、としか言いようが無い事かもしれない。
「こんな殺風景な所で・・どんな気持ちだったんだろうな・・・。」
不意にガウリイの一言がリナの思いを掻き立てる。
『マクシミリアン』の思いが込められている『宝物』が何なのか・・・。
自分自身、在る意味今の状況はルクセンブルクの傀儡、と化していると言っても過言ではない人物なのだ。
「なあ・・リナ・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・気にしないで・・・。」
呼びかけてくるガウリイを振り切りながらリナはどこへともなく歩き出していく。
そう・・・・・・・。
「直に戻るから・・・・・・。」
本当に、直に戻る・・・そのつもりだったのだが・・・・・・・・・・。


「いだああああああああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
ボ〜〜〜っとしていた自分が悪い!!
と言われてしまえばまったくもってソレまでなのだが・・・。
「鐘の丘」を歩いていたらいきなり頭上から何かを叩き落された・・・。
無論、そんなモンをマトモに食らって気絶しないわけは無い。
気付いたら・・・・・・・・・・・・・。見た事も無い車の中・・・。
「・・・・・これって・・・。」
もしかして、南米の世間様では日常茶飯事の『誘拐』ってやつ??
確かに今日身につけている洋服はかなり高価・・とまではいかないがなかなかの品物である。しかも・・・こんなバック持ち歩いていれば。
『誘拐してしてください』と一人歩きでPRしているヨーロッパのお嬢様
である事は疑いなし・・状態である。
「・・・・・まあ・・・別に・・。」
この程度の連中ならガウリイ君の援護無しでも一人で蹴散らして車を乗っ取って逃げ出す
ことが自信が在る。
けれどもあえてはするまい・・・。
こ〜ゆ〜『チンピラ』に関わって何か分かると言うベタな展開も充分に考えられるのだ。
それに、『カタート』の名前を出せば・・恐らく・・・。
そんな事を考えながらリナは額から頬にかけて流れる様にこぼれて来る髪を掻き揚げようとする。
「あ・・・・・。血だ・・・・・・。」
何かで殴られた時に血が流れ出したのだろう・・・。
まあ・・この程度ならなれてはいるけど・・って!!待て!!
「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
前の運転席と助手席に座っていた二人の男達がビックリして見事にフロントガラスに頭を自分からぶつけるほどの声をリナは張り上げる!!
「な・・なんだああ〜〜〜〜〜!!!」
「たんこぶううううううううううううううううう〜〜〜〜〜〜〜!!
信じられない!!たんこぶができてるううううううううううううううううううううう〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!痛い〜〜痛い〜〜痛い〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
そう・・・・。
切り傷とたんこぶだけは駄目なのだ・・昔から・・・。
「煩い!!人質の分際で!!黙れ!!!」
「馬鹿、馬鹿!!後でガウリイに言ってやる〜〜〜〜!!アイツ、物凄く怒るからね!!」子供の様に怒りながらリナは助手席の犯人その2に言ってやる!!
が・・・・瞬時に動きが止まる犯人その1と犯人その2!!
「あの〜〜・・・。もしかして・・ガウリイって・・・・。」
「ワルキュ・・じゃなかった!!もともとマカオでマフィアやってた人よ!!」
咄嗟の判断でガウリイがワルキューレ(もともとは不祥事を起こしたフレイの騎士団
だけど・・・・)の人間、と言う事を隠しながらリナは説明する。
「・・・もしかして・・金髪の・・・。」
「ええ・・・アタシより長い金色の髪してるわ。青い目の長身で・・・。」
「・・・・・・。どっか・・抜けてて・・?」
「ええ・・。超クラゲもクラゲ!!ドくらげで・・・」
「ひいいい〜〜〜!!そんな事言わないで下さい!!・・こ・・殺されますよ!!
あの人の悪口言ったら!!!」
怯えた様にリナの言葉をさえぎる犯人その2!!
「・・・そなの・・・・??」
「確実的に・・・気絶は避けられないでしょうね・・・。」
アイツ・・結構恐れられてたんじゃないの・・・・・・。
「ともかく!!あんた達のアジトには連れていって貰うわ。ちょっと聞きたい事も
あるし・・・・。」
ココで聞いても良いのだが・・・。
様子からしてこいつ等は誰がナンと言おうと単なる『下っ端』である事は疑い無い。


「よ〜〜お・・・・・。」
車から降り、連中の『アジト』と称するメキシコ・シュティのいかにもと言った
雰囲気の悪趣味な汚いざ雑居ビルに到着した3人を迎えたのは・・・。
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアア〜〜〜〜〜!!」
「ガ・・・ガガガガガ・・・・・・。」
「・・おい・・。俺はアヒルか・・・?」
何時になく凄まじい目つきと剣幕で犯人その1とその2に掴みかからん勢いで
歩み寄るその人物は・・・。
「よ!!ガウリイ!!(汗)」
「あああ〜〜〜!!リナ!!無事だったかあああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
その剣幕が3秒と持たない所がミソ・・である・・・・。
「馬鹿兄・・・・。」
アイも変わらず冷めているガストン・・である・・・・・・。
「所でガウリイの兄貴、なんでコンな所に居るんですか?」
何時の間にかガウリイに思いっきりわき腹に拳を叩きつけられたのだろう。
いててて・・と呟きながら犯人その1が辛うじて声を絞り出す。
「・・・俺さあ。今マフィアをとりしきる『カタート』の総帥の妹の求婚候補者として其処で働いてるんだけどさあ・・・・・・・。」
おい・・・誰が求婚候補者だ・・・・(汗)
ガウリイの視線に気付いたのだろうか・・はたまたその意図に気付いたか・・。
『あああ〜〜〜〜!!!!ゴメンナサイ!!ゴメンナサイ〜〜〜〜〜!!』
泣きながらリナに土下座する犯人達・・・。
そ〜〜〜んなにガウリイってこいつ等には怖いのかよ・・・・。
もしかして・・裏の顔でも持っているのでは・・って在る意味二人ともそうなのだが。


「まったく・・お前等悪さはやめろって散々言ってるだろ?」
あの後・・リナのたんこぶを発見したガウリイは犯人達をさんっざん!!ぶん殴り。
更にその後は思いっきりの殴る、蹴るであった。
流石にガストンもその勢いに何を言う気力すら無くなってしまったらしいのだが。
「しょうがなかったんです・・・。お頭が・・。」
「お頭・・・???」
その言葉にガウリイは微かに眉をしかめみせる。
「ええ・・・。この所・・悪さは控えていたんですが・・。先日どこぞの国の騎士団だか警察だかが今までの悪事を露見させて・・。俺達の組織を潰滅させたんですよ・・。
けど・・お頭だけはナンとか・・残り一つのお宝持って無事逃げおおせたんですが・・。
逃走資金がちょっと・・足りなくて・・・・。」
「・・・・・・・・リナ・・・・・・・・・・・・。」
目配せでリナとガストンにガウリイが告げる。
「分かっている・・・・・・。」


この饗宴は呆れ果てた・・の一言に尽きる。
「これが・・・逃亡犯のするべき生活かねえ・・・・。」
「最低。悪趣味。」
その『現場』にやってきて。
ガウリイとガストンは兄弟だけあってなかなか似たような意見を持っている様である。
「そ〜お?少々クラシックだけど・・・・まあまあじゃない?」
シレっと言ってのけるリナにガウリイはマトモに顔をしかめ・・。
「リナ〜〜〜〜〜〜・・。染まらないでくれよ・・・。」
「分かってる。ジョークよ。まあ、メキシコがスペイン系の生活なら納得は行く展開かもしれないけどね。」
そう言ってリナは耳に着けたイヤリングの位置を直す。
出来ればこんな似合わない服装はしたくないし・・第一・・。
「何、リナさんの方ジトジト見てるんだよ・・・。兄貴・・。スケベ親父か?」
「う・・・・・・・・・・・・・・・。」
ガストンの一言にさしものガウリイも沈黙を余儀なくされてしまった・・・。
まあ、無理も無い・・。
「しょ〜がないでしょ?仮装パーティーなんだから!!」
悪人が逃走目前に催した仮装パーティーなのだが・・・。
ジョヴァンニが大慌てで手配したのが『ジプシー風』の衣装、『マタドール』・・。
唯一マトモなのがガストンの軍服なのであった・・。
「しっかし・・ジョヴァンニの奴・・何処で手配したんだ・・こんなモン・・。」
「・・・・劇場の知り合い・・ですって・・・。」
まったく・・厄介な知り合いが居たモンである。あの兄も・・・・・・・・。


「いやあ〜〜!!無事逃亡を明日には出切るよ!!あはははは〜〜♪」
面白そうに大笑いする『お頭』とかあの下っ端連中に呼ばれていた人物。
まあ・・・そう言う風貌なのでとりあえずココではその呼び名に忠実にしたがって見よう。
「所で、お頭。お宝を持っていらっしゃると言うのは本当ですか?」
そう穏やかに、しかし微かに探りを入れる口調でガストンが尋ねて見る。
そんなエラそうなオヤジにマタドール姿のガウリイは「ささ〜ど〜ぞ、ど〜ぞ!」
とかナンとか言いながらガウリイが煽てながら酒を更に勧めていく。
無遠慮にソレを飲み干す「お頭」とやら。
「ああ〜〜!!コレか!!数年前闇ルートで入手したんだが・・・。
コレのせいで暫く控えていた組織活動が明るみに出たとは・・皮肉なもんだよ♪」
とかナンとか言いながらかなり上機嫌な「お頭」である。
「ええ〜〜!!すっごいですね〜〜!!一体何処で〜?」
人の良い声でそ〜ゆ〜猫かぶりな台詞を言わせたら恐らくガウリイの右に出る人物はいないだろう・・・。左にずら〜〜〜〜っと出る事はありえるだろうけど・・・・。
「ははは〜〜!!実はナ!!『フレイの騎士団』と言う騎士の名を被った悪魔・・。」
そう言いかけた『お頭』の首筋に・・ガウリイがマタドールが実際に闘牛の試合で遣う長剣をその首筋に付き付ける!!!
「悪いわね・・・・・・・。」
更にリナが歩み寄って・・・マロニ―風の豪華な装飾が施された短剣を付き付ける。
「・・・俺達・・その『騎士の名を冠した悪魔』の後始末をしなくちゃならないんでな〜♪」
人の悪い・・それこそ悪魔の微笑を浮かべながらガウリイは更に剣を付き付ける。


「悪いな〜。手間かけさせて。」
今では普段の服装に着替えた・・まあ、北イタリアからメキシコまで飛んでくるのだから相当な時間を要する事は当然なのだが・・ガウリイ、リナ、そしてガストンに悪人の
『お頭』を引っ立てながらジョヴァンニが言う。
「どうでも良いけど・・お宝ってナンだったの?」
ガウリイに絡まれる前にさっさと部屋を退散したのでリナはその問題の「お宝」
を実際には目にしてはいない。
「ああ・・・。一つはマクシミリアンの妃、シャルロッテのダイヤモンドのアクセサリー。」
そう言ってジョヴァンニは無造作にポケットに突っ込んだ高価なペンダントをリナに見せる。
「随分・・ぞんざいな扱いするのね・・・・・。」
こ〜ゆ〜無神経な事をする辺りがジョヴァンニらしい・・・。
「ま〜な。俺は面白いイベントと昼食のデザートと今晩のテレビ番組以外は興味の無い心境なんだ。」
ハッキリ言い切るなって。そんな事・・・・・。
「昼食って事は飛行機で取るんだろ?デザートは・・『干しレーズン』だって言ってたぞ?」
何故そ〜ゆ〜事に詳しいのかな・・ガウリイよ・・・。
「何〜〜〜〜!!!俺は干しぶどうとオカマと蛙だけは許せないんだ〜〜〜!!」
「ああ!!ジョバンニ!!どっちも両生類!!」
ええ〜〜い!!だまっとれ!!クラゲガウリイにアメーバジョヴァンニ!!!!!
「で・・・もう一つあるんだろ?その言い方からすると・・・宝物は。」
頭を抱えながら唯一の常識人、ガストンが言う。
「ああ・・。この古い肖像画だよ・・・。」
流石に粗末には出来ないモノだったからだろう。助手に額縁に入れた肖像画を持ってこさせるジョヴァンニ・・・。これって・・・・・。
『私が最後に見た人間は妃だ…』か・・・。
処刑される前にマクシミリアン皇帝が言った言葉・・そして、妃の肖像画、か・・。
大切な人間・・・・・・ね・・・・・・・。


「何とかしてくれ〜〜〜〜!!干しぶどうだけは嫌いなんだよおお〜〜・・。」
ならば残せ!!と言いたくなるくらいメソメソしながらデザートと格闘するジョヴァンニ・・。そして・・真後ろの座席では・・・。
「ああ・・・母様・・許して・・・。」
「宿題は終わってないのよ!!ガストン!!ルクセンブルクに帰るまで!!
全部理科の問題は終わらせなさい!!蛙の『変体』の過程よ!!」
「なにいいい〜〜〜〜!!蛙に変態だとおおおお〜〜〜〜〜〜!!」
そうそう・・アンタはどっちも苦手でしたわね・・お兄様・・・。
息子を追ってココまで来ていた『オーリ』ママ・・・。宿題地獄に泣くガストン。
更に・・「リナ〜〜〜・・酒お土産に買うの忘れた〜〜」とごねるガウリイ・・。
でえええええええええ〜〜〜い!!こ〜なったら!!帰ったらドロの様に眠ってやる!!
すっかりエアコンの修理が完了してない事も忘れ、いきまくリナが其処にいた・・。


(気が向いたらまた続きます。)

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11136男ってやつぁ・・・(^^;)P.I E-mail 7/25-00:02
記事番号11128へのコメント

CANARUさん、こんばんは〜!暑さにも負けず絶好調ですねっ!!
連続2晩もお話が読めて幸せです〜♪
しかし・・・・回を重ねるごとに男衆のイメージが・・・・(笑)
酔っぱらいガウはまだしも(?)、ジョジョ兄さんついにアメーバだし(大笑)
ガストンくんはオーリ母さんから逃げられないし(爆笑)
ゼロスは意外と子供好きなんですね〜!エアコンぶっこわすくらい遊びに
熱中するマフィアの総帥・・・・それもスゴい(^0^)
マカオ・マフィア時代のガウリイ、結構下っ端相手にぶいぶい言わせてたん
でしょーかね。求婚候補者・・・・もっと大胆に「許嫁!」って言えない
ところに、指輪が買えない引け目がちらりと見えたりして・・・・(笑)
でもマキシミリアン皇帝曰く、一番の宝は「大切な人」ですもんね〜♪
リナちんも早く素直になればいいのに♪♪

ところで、Pの職場の同室の某先生、最近塩野さんのエッセイをよく読んで
らっしゃるな〜と思ってたら、ついに「ローマ人の物語」に手を出されました!
今2巻目です!!・・・ふふふ、ついに職員にもファンが(嬉)!
是非小説も読んでいただきたいっ!!

それではまた〜♪


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11142見栄っ張り〜♪CANARU 7/25-10:37
記事番号11136へのコメント

>CANARUさん、こんばんは〜!暑さにも負けず絶好調ですねっ!!
>連続2晩もお話が読めて幸せです〜♪
はううう!!
またまた今日も書いてみました〜〜!!
何だかだんだんみんなの性格が・・破綻していきます・・(汗)
>しかし・・・・回を重ねるごとに男衆のイメージが・・・・(笑)
ですねえ・・・。
なんだかだんだん「地」が現れてきたのかもしれませんね・・・。
>酔っぱらいガウはまだしも(?)、ジョジョ兄さんついにアメーバだし(大笑)
>ガストンくんはオーリ母さんから逃げられないし(爆笑)
ですねえ〜〜!!
特にオーリママはジョヴァンニさんに取って代わって「影の支配者」
となる日が近し!!ですうう!!
短い統治だったわんねえ・・ジョヴァンニお兄様〜〜!!
>ゼロスは意外と子供好きなんですね〜!エアコンぶっこわすくらい遊びに
>熱中するマフィアの総帥・・・・それもスゴい(^0^)
ですねえ〜〜!!
きっとお子様に「牛!!つっこめえ〜〜〜!!」
と命令されて逆らえなかった・・んですねえ〜〜♪
>マカオ・マフィア時代のガウリイ、結構下っ端相手にぶいぶい言わせてたん
>でしょーかね。求婚候補者・・・・もっと大胆に「許嫁!」って言えない
>ところに、指輪が買えない引け目がちらりと見えたりして・・・・(笑)
はううう!!
マフィア時代の栄光はいまや過去のもの??安月給が
解消されるその日まで!!頑張れガウリイですうううう!!
>でもマキシミリアン皇帝曰く、一番の宝は「大切な人」ですもんね〜♪
>リナちんも早く素直になればいいのに♪♪
ですねえ〜〜♪

>ところで、Pの職場の同室の某先生、最近塩野さんのエッセイをよく読んで
>らっしゃるな〜と思ってたら、ついに「ローマ人の物語」に手を出されました!
>今2巻目です!!・・・ふふふ、ついに職員にもファンが(嬉)!
う〜〜みゅ・・・。
アタシの友人にも結構そ〜ゆ〜歴史ファンはいるのですが・・・。
ローマ人物語を見ていわく「この写真怖い!!」だそうです・・。
>是非小説も読んでいただきたいっ!!
ですねえ〜〜♪
アタシは「チェーザレ」から入りましたわ!!
>それではまた〜♪
では!!
>