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11140 | 探し物は・・・ | CANARU | 7/25-10:20 |
「今日は何の用事なの?ジョヴァンニに〜さまからまた電話?」 朝食のトーストを未だに片手に握りながらリナがゼロスのために入れられてあった総帥席の机の上においてある紅茶をグビ・・と半分以上飲み干す。 「ふ〜〜ん・・・。またジョヴァンニからのお仕事か。」 更にその紅茶の残りをグビグビ〜〜っとのみ干すガウリイ。 その手にはお気に入りのイチゴの砂糖漬けを挟み込んだサンドウィッチ。 「あの〜〜・・。二人して僕の紅茶飲み干さないで下さい。」 文句を言いながらブツブツと折角冷めかけた紅茶を略奪された恨み言を言う ゼロス・・・・・。 こ〜してみると単なるオカッパのニコニコ顔のに〜ちゃんなのだが・・。 表の顔はナポリ、シチリアをとりしきるまだしも合法的なマフィア組織『カタート』の総帥にしてリナの義兄(あに)。 しかし、実態はルクセンブルク公国の『ワルキューレの騎士団』の副旅団長である。 ちなみに旅団長には絶対に頭が上がらないらしいのだが。 更に言えばリナ自身、表の顔はゼロスの妹にしてカタートの幹部。 ぢつの所はナンとルクセンブルクの公女様だったりする。 そして・・その問題の『ワルキューレの騎士団』の一員にして表向きの用命はリナの仕事上の相棒と言うのがこのガウリイである・・・。 「ど〜でも良いけどさあ・・。リナ・・。毎回この説明・・・。」 「まあ・・かな〜〜〜り面倒くさいけど・・。恒例って言うことよね・・。」 何やらはあ・・・と溜息をつきながら疲れるガウリイとリナだが気にしないで頂きたい。「何言ってるんですか・・。ともかく、お仕事ですよ。」 此方もかなり疲れたような口調でゼロスが二人に催促する。 「ん・・・・・・。」 不意に差し出されるリナの手・・・。 「ん・・ってナンです・・??お金なんか渡しませんよ?」 「・・・小遣い欲しいのはやまやまだけど・・電話渡してくれなかったらジョヴァンニに〜さまからの指令、聞けないじゃない。」 「・・・・僕からの指令です!!一応『カタート』の総帥ですよ!!それに・・ジョヴァンニさんは・・・」 バタアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア〜〜〜ンン!!! ゼロスがその発言を言い終える前だった!! 急に開け放たれるその扉!!! 「えええ〜〜〜!!リナさん!!ガウリイさん!!このフレーズ!!」 聞き耳を立てていたのだろう。部屋にアメリアがなだれ込みながら言う。 「・・・ドえらく・・久しいな・・・。」 今度はゆっくりと・・だが腕を組み感慨無量とでも言いたそうな表情でゼル。 「そう言えば・・。懐かしいな・・・。」 今度は呆気に囚われた調子でガウリイ。 「ええ・・・この所暫く・・この馬鹿あにときたら・・単なる『ギャグキャラ』と 化しているだけだったモンね・・・。」 リナが今度は驚愕の表情を浮かべながら言う。 「・・・・いいです・・いいです・・ど〜せ僕なんて・・僕なんて・・。」 あ・・・どうやら・・完璧にいじけてしまったようである・・・・・・。 「ヒチリアは久しぶりだわ・・・。」 どうやら、これから行かねばならない場所と言うのもリナは心得ているらしい。 「そうなのか・・・?」 一応ナポリに住んでいるとはいえカタートはこのヒチリア島にも幅をきかせている。 リナが久しぶり・・・と言ってもそうなのか?と聞くしかガウリイにもしようがない。 「でも・・良かったのか?ガウリイ。」 その件、に関しては寡黙と成っているリナに成り代わってゼルがガウリイに聞いて見る。 「ああ・・・。まあ、な・・・・・。」 付け足したい『仲が悪かったし』の言葉をガウリイは辛うじて飲み込む事に成功する。 この場面でそんな事言ったって格好つけているだけのようでバツが悪い。 「着きましたね。ヒチリアのアルカトラズ・・・不祥事をしでかした騎士を内密に裁くための監獄・・・・・。」 遠慮も何も無しにハッキリとゼロスがその建物を指差して言ってのける。 そう・・・・・・・・。 ガウリイの父親・・不祥事をやらかした騎士・・『フレイの騎士団』旅団長、 フィリップの収監されている場所・・である。 「よお〜〜・・・久しぶりだなあ・・・・。」 「まったくもって・・お元気そうで何より・・・。」 フィリップとその周囲に冷たい対峙が広がっている・・・・。 「第一!!お前がナンでココにいるんだ!!」 「不祥事を起こした馬鹿騎士をた〜〜〜〜っぷり見学にきただけ・・・。 それに何の文句が!!?」 「きいいいいい〜〜〜〜〜!!!陰険な〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」 すっさまじいまでの剣幕で怒鳴りつつけるガウ親父!!だが・・・・・・・・。 「だああああああああああああ〜〜〜〜〜っつとれええええ〜〜〜〜〜!! コンの馬鹿親父があああ〜〜〜!!アンタに似たせ〜〜〜でガウリイがこ〜〜んなに クラゲで!!ガストンが反抗期になってるのよおおおおおおお!!!!!」 そう、凄まじい剣幕の元フレイの騎士団騎士団長に言い返すのは・・。 「ひいいいい〜〜〜!!勘弁!!勘弁!!おか〜〜〜ちゃ〜〜ん!!!」 ガウリイ&ガストンの母上オーリママ・・である・・・。 「おい・・・母さん・・親父に似たせ〜で・・俺がクラゲって・・。」 流石に今の母親のやけくその一言にガウリイは恐る恐る抗議の声を漏らして見る。 「怖いよ〜、怖いよ〜!看守さ〜〜ん!!食い殺されちゃうよおおお〜〜〜!!」 尚もシクシク泣いているフィリップ=ガブリエフ氏は完全に無視!! 「お久しぶりです・・オーリさん・・(汗)」 この状況では少々フィリップ氏に声がかけにくいのでリナはオーリママに話し掛けて 方向がそれる様にしてみせる。 「あ、あら、リナお嬢様!!それに・・馬鹿息子!!」 一応『公女』であるリナを見つけ、深深とお辞儀をして挨拶するオーリママ。 「 おい・・・。母さん・・馬鹿息子って・・・・・(汗)」 父親同様ガウリイ氏の抗議も無視されてしまう。 「ガストンはど〜したんですか?」 「ええ〜♪あのこは夏休みの宿題がた〜〜〜っぷりありますしねえ・・・。 座敷牢に閉じ込めて宿題やらしてますのよ〜〜♪」 おい・・・・・・・・・・。 「っと・・言うか。ルクセンブルクに座敷牢ってあるの・・?ガウリイ・・。」 ニコニコ笑いながら言うオーリママにバレないようにガウリイにリナは聞く。 「ココだけの話しな・・・。俺とガストンのお仕置き用に母さんが作ったんだよ・・。 特注で・・・。」 おいおいおい・・・そんなもんに子供・・下手すれば旦那までぶちこんでいたのか・・。 この人は・・・・(汗) 「ではでは〜♪お嬢様、このアホ親父に今日は差し入れ持ってきただけなので。 また何時か会いましょうね!!今すぐ帰ってガストンの監視しなくちゃいけませんし!!」 何やらガッツポーズを取りながら言い放ち、リナに一礼、ガウリイに睨みを贈りながらその場から出て行くオーリママ。 「・・俺・・・成績見捨てられて・・良かったかもしれない・・。」 そりゃ〜〜まあ・・あの脅威・・ぢゃなかった・・教育ママゴンでは、ね・・。 ガウリイの呟きに今回ばかりは同意・・とでも言わんばかりにリナは頷くのだった。 「貨物船が失踪した?」 「ああ・・。今まで我々がやっていた・・犯罪行為は知っているであろう?」 今までの怯えた態度は何処へやら・・・。 居直ったか、はたまたガウリイに対して未だに見下した感覚でも持っているのだか。 まさに元、フレイの騎士団旅団長・・・いや・・強いて言うのであれば『犯罪組織』 の『ミッドガルズ』の総帥然とした口調でフィリップは言う。 「ああ・・。アンタのやらかした犯罪行為の後始末は今俺達がしている。」 嫌悪感こそは篭っていそうも無いが・・どうも冷めた口調で言うガウリイがらしくない。「其処に・・我々が失った・・正確に言えば輸送途中に失踪した・・・。 『ルクセンブルク』のエルミタージュの所蔵品がある・・・。」 「なるほどね・・・・。」 今回は・・直接乗り込んで行って調べる、と言うわけか。 「で、お前はその品物を知ってるんだろ?親父・・・。」 そう。エルミタージュの所蔵品を盗み、闇ルートで売り捌こうとした本人が目の前にいるのだ。今まではリストでも知られていなかったその『品物』が何か分かりきっている。 「『タロック』カードを知っているか?」 「・・・・・・・。ええ・・ギャンブルなんかに遣う、アレでしょ?」 トランプとタロットゲームの相子のカードと言った所か。 「で・・・・・・・ソレを探すのは何処でなの・・・・???」 「・・・・・魔のトライアングル・・と言ったら・・分かるだろう・・。」 魔のトライアングル・・大西洋のバニューダ沖・・・・・・。 「でも〜〜・・。ナンでいつも通りジョヴァンニさんがリナさんとガウリイさんに 連絡指令しなかったんでしょう〜〜?」 流石にリナとガウリイと一緒にフィリップの面会室まで入ってこなかったが・・。 大方の様子を想像したアメリアが言う。 「確かに・・気になるな・・。」 何か在る・・とでも思ったようにゼルが今度は呟く。 「まあ・・世の中・・知らない事があってもそれはそれで幸せ・・と言う事です。」 何やら額に脂汗を浮かべながらゼロス。 が・・・その時である・・・。 「リナアア〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」 不意に聞こえる・・亡霊の・・いや・・囚人のうめき声?? 「リナ・・今の声って・・・真坂・・・。」 「ええ・・ガウリイ・・・あれは・・間違い無いわ・・・・。」 ジョヴァンニの声である事は・・・まず疑いが無い事実である。 「ちょっと〜〜〜〜!!馬鹿兄!!再度面会・・今度はジョヴァンニにいさまの 許可とってきてよ!!!」 「ちょ・・リナさん!!ナンなんですか!!その片手のチャカはああ〜〜〜(汗)」 「気に入らない返答次第、即、ばきゅううううう〜〜ん〜♪」 目が笑っていない・・・これは・・・マジだ・・・・・。 そう判断したゼロスは早速面会許可を申請しに行くのであった・・・(汗) 「はあ・・・。不覚・・・・。」 頭を抱えながらジョヴァンイは一同・・今度はガウリイ、リナ以外にもゼロス、アメリア、ゼルも同室をしているのだが・・を見回す。 「一体全体ど〜したのよ!!ジョヴァンニに〜さま!!」 未だに頭を抱えたままのジョヴァンニにリナは話し掛けてみる。 「・・・俺は・・調査のタメにと、ある悪党の総帥の自宅に偲び込んだんだ・・・。」 「・・・・・あ〜〜♪其処で!!不法侵入やらかして捕まったってわけか!!」 ポン!!と片手を片手で鳴らしながらガウリイがコレ得たり、とでも言わんばかりに発言するのだが・・・。 「ふ!!そんな甘いもんじゃないぜ!!侵入したその先の邸宅で・・。人工ニューロンは痛み出すわ、腹は減るわ!!とにっかくムカついてきた!!でもって・・悪人に人権なんて無いから其処らへんに無差別でぶっ壊してやったんだ!!そしたら・・。 『不法侵入』と『キブツ破損』で見事に連行されたってわけだ!!!」 そんな下らない事を・・堂々と・・しかもクソエラそうに言うジョヴァンニ・・。 「なに考えてるんですか!!貴方は!!!」 「と〜〜んだ・・間抜けな阿呆だな・・・。」 次々に発せられるアメリアとゼルの避難の声。だが・・・。 「煩い〜〜煩い〜〜煩い〜〜〜〜〜!!!」 開き直ったジョヴァンニはもはや聞く耳をもたないのだ・・。 「おい!!リナ!!お前もなんか言ってやれ!!」 今度はガウリイがリナに話しを振ろうとする!! 「・・・・・ドン・ジョヴァンニ・スフォルツァ・・・・・。」 し〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜んんんんんんん・・・。 リナの放った意味不明な・・しかし妙に冷たい一言に対して・・・。 「ぐわああ〜〜〜〜〜〜〜!!リナが!!リナがあ〜〜!!俺の昔のアダナ呼んだ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」 かなりのショックだったのだろうか??もはや再起不能な叫びを上げて泣き出す ジョヴァンニ・・・。 「ど〜ゆ〜意味だ???」 未だに瞳に冷たい突き放すような光をたたえたリナにガウリイはおそるおそる聞いてみる。 「ドン・ジョヴァンニはモーツァルトのオペラの主人公の名前でスペイン語だとドン・ファン。転じて『女たらし』の意味。後者のジョヴァンニ=スフォルツァは16世紀イタリアの三流僭主の名前よ・・・・。」 なるほど・・・。見事にその『名前』でしかも妹に馬鹿にされたら・・。 泣くしかないかもしれない・・・。 バミューダの魔のトライアングル。 北アメリカの南東、バニューダ諸島とプエルトリコ、マイアミを結ぶ三角地域。 其処を通過する航空機や貨物船がデータ―からも消失し、行方不明になるという事件はあまりにも有名である・・・・。 「ど〜ゆ〜風のふき回しなわけぇ〜?」 不愉快そうでこそ無いが・・明らかに馬鹿にして口調でガウリイとリナに言って来るのは・・。 自称超絶美形の銀髪、イギリス貴族と日本人とのハーフ、ナルシストの危な系のロクデナシ、リナの中学時代の同級生・・・氷(ひょう)である。 コイツとは何度か色色な事件で嫌々ながら関わっているのだが・・・。 アメリカ領(と、言っても自治区)プエルトリコに到着して此方からこいつに関わりを持たねばならない状況に陥ったのだった・・。 「おお!!廻!!」 「お久し振りです〜〜!!ガウリイさ〜〜ん♪」 氷の下僕の少年、強いて言えば日本製クラゲの少年と仲良く再会の挨拶を交わすガウリイ・・。ふ・・アンタは暢気で良いわね・・・。 「貴方がこのプエルトリコでカジノ経営してるって聞いてね・・。(仕方なく)雇ってもらわなければならない状況なのよ・・・。」 「君が・・・?何のタメに?」 さしものリナがこんな事を言うとは思わなかったのだろう、意外そうな口調で氷が言う。「・・・無実の罪(ぢゃないけど・・)で逮捕された・・兄の保釈金稼ぐため・・。」 し〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜んんんんん・・・・。 暫しの沈黙・・・・・・・・・。 「いや〜・・。お嬢さん・・お強いですね。ま〜た10ドル持って行かれましたよ〜♪」 笑いながら言ってくるひ弱そうなに〜ちゃんの足を踏みつけながら。 「セクハラはお控え下さいませ〜〜!!まあ、お次のゲームはポーカーではなく、 タロックでございますし〜♪」 リナは顔で笑顔をつくりながらあっさりとかわす!! なかなか見事なラウンダ―・・ポーカー勝負師と言った所か。 「なあ〜〜。リナ、本当にこんな事ばっかりやってて良いのか〜〜??」 此方はゲームの戦略的才能皆無なのでテーブル拭きとギャンブルの後片付けに徹しているガウリイが馬鹿儲けなバイトをしているリナに不満そうな声で聞く。 「さ〜〜ね・・。」 さしあたりこのバミューダ海域で紛失され、その内容ブツも「タロック」 と言うギャンブルのゲームの道具である。 そう考えればこう言った場所に陣取ってしまうのは在る意味で人情・・なのかもしれないのだが。 「ったく・・・。アイツは・・。」 周囲にバイトとは言えちやほやされているリナに引き換え・・。 客の煙草の吸殻やカクテルの飲み残しの始末をさせられる方の身にもなってくれよ。 そう思いながらガウリイは先ほどのヤクザ風の連中が席を立った場所の灰皿をゴミ袋の中にひっくり返しながら愚痴を言う。 「・・・あのラウンダ―・・・。」 不意にその席を立った連中が呟く声がガウリイの耳に届く。 「ああ・・手は・・打ってある・・・。」 その言葉にガウリイは思わず爆発物が仕掛けられた可能性を想像するが・・。 この短時間でそんな事をする余裕は無いだろう・・。 ならば・・リナに『何』を仕掛けたのか・・・。 ゴミを処分するフリをしながら仕掛けと・・反撃の出来そうなモノを手探りで探る。 「・・・・ふう・・・。」 この熱気に押されたのだろうか?リナの手が机の上に置かれたグラスに伸びる。 ・・・・・・アレか・・・??? ココからリナの所に行ってソレを払いのける事は・・絶対に不可能な距離・・。 ならば・・・・・・・・・・・・・・・・。 ギイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ〜〜〜ン!! ダーツの矢がグラスをモノの見事に破壊する。 呆然としてははいるが・・リナの手に幸いな事に傷は無いらしい。 破損されたグラスから流れ落ちる液体・・・・。 ソレがカーペットに到達するたびに恐ろしい異臭があたりに立ち込める・・・。 「・・・・な・・・・・。」 こんな物飲んでいたら・・・真っ先に内臓を焼かれてしまったに違いない・・。 「まにあったよ〜だな!!」 残りのダーツを指と指の間に挟みながらガウリイは不適な笑みで言う。 「・・・・手ぇ傷ついたら・・。どうしてくれるのよ・・。」 苦笑交じりにリナはソレに答える。 「くっそ!!」 犯行がばれた途端に逃げ出して行く悪徳組織の連中!! 「追うぞ!!リナ!!」 そう叫んで走りかけるガウリイの足を見事にリナの足払いが蹴り飛ばした!! ずげりゃああああああああああああああああああああ〜〜〜〜んんんんんんんん!! 頭から見事にテーブルに突っ込んで・・滅茶苦茶痛そうな音を立ててぶっ倒れる ガウリイ君・・・。ちょっと哀れかも・・。 「何するんだよ!!リナ!!」 「後を『追って』どうするの!!『追う』は『追う』でも!!『尾行する』よ!!」 倒れたままのガウリイを轟然と見下ろしながらリナは勝ち誇った様に言う。 「・・・・・別に良いけどさ・・・ど〜ゆ〜意味が・・・。」 不満そうに言うガウリイにリナは手の内に握り締めたその『品』を見せる・・。 これはココで働くスタンバイをしていた数時間前の事である。 「へえ・・バミューダの魔のトライアングルですかあ・・。」 廻が何やら珍しく考えたような声でガウリイとリナに言った。 「ええ・・。その海域を通過する船や飛行機が・・・。見事にレーダーがイカレて・・。 見事に消息不明になっちゃうのよねえ・・・。」 実際にそんな現場は見た事があるはずが無いのだが・・。 世界の怪談の一つに入れても良いような話しである。リナも少々知ったような 口調で廻にそんな話しをする。 「そういえば。日本にも同じような話しあるんですよ。」 氷のタメに紅茶を入れながら・・ガウリイのためには何故か緑茶を用意して・・。 リナにはウーロン茶を渡してくれながら廻は言う。 「やっぱり・・船とか消えるのか〜〜?」 「らしいですね・・。日本の本州の南の三角海域なんですけど・・。計器やコンパスがみ〜〜んな狂って・・。船が消えたり・・。前にゴムボートで『本当に消えるかな〜俺達!!ワクワク!!』な〜〜んて友達としようとしたんですけど・・。緋雨裡ね〜ちゃんに『頼むからそんな馬鹿なことして難破したら近所中に指差して笑われるから辞めてくれ!!』って泣いて頼まれまんで断念したんですよ〜♪」 「・・・・・そりゃ〜〜残念だ。お前のね〜ちゃん・・夢が無いな・・。」 「普通・・緋雨裡さんと同じ事言うと思うけど・・(汗)ともかく。昔・・地中海で潜水艦体が失踪した・・って話しもきいたことあるわ・・。」 不意に思い出した様にリナは呟いてみる。 「・・・・単に・・沈没しただけじゃね〜〜か・・・?」 何時もならガウリイの意見に賛成したいところだが・・・。 「廻。本州の南の日本海域の魔のトライアングルって・・。何処らへん?」 そう言ってリナは何処からともなく持ち出した日本地図を廻に渡して見る。 「ああ・・・このあたり・・ですね・・・。」 なるほどね・・・・・。 「ガウリイ。フィリップから貰ってきた密輸の航海路のリストある?」 「お・・おう!!」 何やらポケットからガサゴソと紙切れを取り出そうと奮闘するガウリイ。 案外・・だらしが無い性格なのかもしれない・・・(汗) 「頻繁に消滅事件の起きる海域は南米や南アフリカ海域にもある・・。そして・・。 それらはみんな、大陸の南端に位置している・・か・・・・。」 「サッサと逃亡するぞ!!」 どうやらリナ達の追跡を気付いていないのだろう。ボートを用意しながら何やら ブツクサ言っている悪人達・・・・。 「リナ・・あいつ等・・・・。逃げるぞ・・。」 「ガウリイ、コレ見て。あいつ等が落として行ったピンバッジなんだけど。」 そう言ってリナは手に握ったその品物をガウリイに見せつける。 「な・・・・・・。」 『旧』がつくとはいえ・・ガウリイのもともと所属していたフレイの騎士団の紋章。 「連中が・・船の失踪に見せかけてお宝を何処かに隠して着服していることは確かよ。 今から・・・ソレを取りにいくんだろうけど・・。」 後をつけてからお宝を隠した現場で退治しようと思っていたが・・このままでは単に逃げられる・・が関の山である。 「予定変更!!飛び出すわよ!!ガウリイ!!」 「おう!!!」 開口一番、植込みから飛び出したガウリイとリナの投げた石がフレイの騎士団員の二人に直撃する!! 「な!!!!!???」 「茶番はココまでね!!!あんた等の悪事もトリックも・・見破ったわ!!お宝を耳をそろえて返していただきましょうか??『元』フレイの騎士団・・犯罪組織『ミッドガルズ』の皆様!!」 勝ち誇った様に言うリナに主犯格であろう男は・・。 「ほう・・それなら・・そのトリックとやらを聞かせてもらおうか・・?」 「簡単な事よ。船や飛行機の消滅原因こそ定かでないにしても・・・。主に消滅事件が起こるここ、バミューダと日本海はほぼ北緯三十度〜四十度の間に位置して・・。更に言えば東西三十度に広がると言う共通点を持つわ。そして地中海も北緯三十度から四十度の間にあって東西に三十度の広がりを持つ。そしてこの三つの海域間の距離は・・。 日本〜バニューダ間が6、バミューダ〜地中海が4、3つの海域が同じ線上に一定の比率で分布しているの。北緯にもそ〜ゆ〜海域があるんなら南緯にもあるのは当然よね。 って・・まあそれは暫しおさておき。」 「なあ〜〜リナ・・・。良く分からないのだが・・。」 リナの話しに飽きたガウリイが耳をほじくりながら退屈そうに言う。 「つまりね。その区域は大洋の海中が特殊なのよ。地中海を除いてだけど・・。 どれも熱い海流が熱帯海域から温帯海域へ、そして冷水域へと変わる奇妙な海流。 そこで磁場の乱れ、表面潮流と海中潮流のぶつかりによる節目。水温の変化が地球磁場事態に何かを働きかけてる・・って所かしらね・・・。」 「それが・・・・如何したって言うんだ・・?」 「危険を犯してバミューダの『北緯三十度〜四十度』の辺りを通る必要は無いわ。 実はその海域を僅かに避けて・・後は宝物の場所がばれない様に『失踪』した フリしてればいいんだもんね。簡単なトリックよ。」 リナの相当な指摘に答えに完全に窮したのだろう・・・・。 「く・・・来るな!!!!」 二手に分かれていた敵が左右から突如現れる!! 「廻!!!!」「緋雨裡さん!!!!」 ガウリイとリナが同時に・・今や人質とされている姉と弟の名前を呼ぶ。 「・・・・緋雨裡ね〜〜ちゃん・・・?昨日から姿が見えないと思ってたけど・・。」 気絶して・・敵に抱えられてよ〜やっとこの場に居る、と言った雰囲気の姉に廻は少々戸惑い君の様子で言う。恐らく何処かを歩いていて連中の悪事を発見し捕まったと言った 所だろう。気絶しているのがその良い証拠である。って・・昨日から姿が見えなかった? リナの脳裏に確信にも似た一つの事実が思いつく!! 「廻・・アンタ・・。この機に乗じて・・『口うるさい緋雨裡ね〜ちゃんがバミューダの 藻屑と化してくれないかな〜〜♪あはははは〜♪』何ぞと言う邪道な事考えてたんじゃないでしょうね・・・???」 「う・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!」 敵に首をしめられたままマトモに硬直する廻!! 「う〜〜ん・・。なかなか物凄い発想するな〜〜廻・・。」 おいおい・・こんな殺人幇助罪地味た事に感心するなよ、ガウリイ・・。 って・・罪人と言えば・・ど〜なっちゃってるんだろう・・ジョヴァンニに〜さま・・。「ともかく・・だな・・。リナ・・。」 「え〜え・・。ガウリイ!!」 二人の蹴りがそれぞれ人質を取っている二人の顔面に直撃する!! もはや人質を取ったところで無用の長物、と判断したのだろう。 廻と緋雨裡姉弟を捨て置いてひたすらガウリイとリナに攻撃を仕掛けてくる 元・ワルキューレの騎士団・・・いや・・。『ミッドガルズ』の残党達。 しかし、そんな下らない残党ごときの攻撃がガウリイとリナに叶うはずすら無かった。 「宝物も無事に取り戻したし、帰るとしますか。」 あの後、緋雨裡にギッタンギッタンに叩きのめされた廻は姿こそ見せないが・・。 「そうね。連中が隠した宝物も相当な数だったしね〜♪」 隣の無人島に隠された数々の宝の山から目的のタロックを見つけたのはつい先ほどだった。 ルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル〜〜♪ 急に聞こえる携帯電話の着信メロディー。 「はい。此方リナよ。」 「や〜〜リナさん、ガウリイさん。お宝探しご苦労様です。『ルクセンブルク』の宝物以外の宝物は全て持ち主にお返ししますね。では〜〜〜〜♪」 ツ〜ツ〜ツ〜ツ〜・・・・・・。 「・・・・丸損・・だね・・・。ガウリイ・・。」 「丸損だな・・リナって!!氷からのバイト料がイタリアに帰る頃には振り込まれているはずだぞ!!」 「おお〜〜!!そうだったわ〜〜〜!!ガウリイ!!!」 ここぞとばかりに歓喜するリナ!! 「お〜〜い!!リナ!!ガウリイ!!ただいまああ〜〜♪」 嬉しそうに空港に到着した途端、リナとガウリイに抱き着いてくるその人物!! 『ジョヴァンニ!!!!!』 不意のその来訪に驚きを隠せないリナとガウリイ!! 「いやあ〜〜!!お前等が保釈金払ってくれたんだな〜〜あ〜〜♪てっきり俺は 見捨てられたのかと・・・。」 いえ・・・本当に見捨てたんですけど・・何故ココに居る・・?? そう思うリナの頭が真っ白になったその時だった・・・。 ララララララララララララララララララララララララララララララり〜ん〜♪ 不意にまた携帯電話の着メロが鳴る。 「あ、リナ。そっちにガウリイって君の相棒も居る?君の兄貴のジョヴァンニの保釈金。僕が直接振り込んであげたからね!!感謝してよ。まあ・・ガウリイって奴にも君に対してもコレで借りは無しだからね。じゃ〜〜ね。バイバイ。」 そうとだけ言ってアッサリと電話を切る・・氷・・・。 「つまり・・俺達には・・・。」 「収入無し・・って事よね・・ガウリイ・・・。」 真夏の空港・・ただただボ〜〜っと佇むガウリイとリナと・・・。 感涙して人々から顰蹙を買うジョヴァンニが居るだけであった・・・。 (気が向いたらまた書きます・・。って、言うかネタください・・) |
11141 | (気まま2-7と設定紹介〜♪) | CANARU | 7/25-10:30 |
記事番号11140へのコメント 一応今回で2部の7回目の気ままの設定紹介〜〜♪ リナ・・・一応主人公・・。しかし実態は何だカンだ言ってパシリ と化している。しかし、そのことを指摘するとヤツ当たりするのでご注意を! ガウリイ・・リナの仕事上の相棒・・報われる日は果たして来るのか!!(意味深) ゼロス・・リナの義兄。一応ワルキューレ騎士団の副旅団長。 マフィアの総帥のフリをそてるが・・・。総帥モードのときには ゼラス様、副旅団長モードのときはルナ様に頭が上がらないらしい。 アメリア・・リナの親友。カタートに出入りしてはゼロスをいじめている。 ゼル・・・アメリアと同様。しかも知的ジョークに刺があるんだな・・コレが。 ジョヴァンニ・・今年で二十歳のリナの兄・・・・。 性格が2部に入ってから極端に変わった。 しかし・・もともとの「地」と言う説アリ。 ガストン・・ガウリイの弟。只今反抗期真っ最中。 その被害は主にガウリイに行くがママには頭が上がらない。 氷・・リナの中学時代の同級生。なぜか!!出てくる人。超絶美形ながら 性格最悪。 廻・・・氷の下僕の少年。ガウリイと気が合う。くらげ。 緋雨裡・・出てくるたびに事件に巻き込まれる悲劇の(?)人。 廻の姉でかなりのヒステリーがあるらしい・・・。 オールママ・・影の支配者。ガウリイ&ガストンのママ。 と・・まあ、こ〜んな所ですねえ・・。ははは。 |
11167 | アルカトラズからの・・・(謎) | P.I E-mail | 7/25-23:22 |
記事番号11140へのコメント CANARUさん、こんばんは! も〜7作目なんですねっ!! すごいっ!快進撃はまだまだ続くっ!?(^^) さて・・・・男衆の性格がどんどん変わってゆく第2部、 ついにフィリップとーちゃんまでええええっっっ!!! とーちゃん、あんなにコワいオーリママがいるのに、なんで悪事何かに手を 染めた・・・・?親父も反抗期なのかしら?(笑)しかし、キャラクター紹介に 名前も出してもらえないとは親父哀れ・・・・めったに出てこない緋雨裡ですら 出ていたとゆーのに(爆笑) アルカトラズと言えばクリント・イーストウッドですねぇ。(フィリップとー ちゃんのイメージには合わんですが・・・頭ハゲすぎ)そのうちとーちゃんも 脱走するんでしょーか?オーリママに面会した後、まだその根性が残ってれば 大したもんですけどね(^^;) 氷殿下からのバイト代、珍しく殿下が気を利かせて直接振り込んでくれたのは やっぱり「『兄貴の』保釈金」とゆーところに感じるものがあったからなんで しょーね。でもあまり感謝されないところがいかにも殿下らしい・・・(^0^) ところで、第2部からのジョヴァンニ兄様、なんか激さんっぽくないですか? ・・・気のせいかな〜(汗) シェイクスピアの「テンペスト」買いました。ミラノ大公とナポリの王様が 出てくる・・・ただそれだけの理由で(^^;) ・・・これなんか次のネタに使えません?それではまた〜♪ |
11174 | やっぱり殿下〜(汗) | CANARU | 7/26-10:41 |
記事番号11167へのコメント >CANARUさん、こんばんは! も〜7作目なんですねっ!! >すごいっ!快進撃はまだまだ続くっ!?(^^) はううう!! 今回はちょっと息抜きしてみました〜〜!! 番外編です〜〜!! >さて・・・・男衆の性格がどんどん変わってゆく第2部、 >ついにフィリップとーちゃんまでええええっっっ!!! はいいい・・・。 オーリママが登場した時点で「絶対にこの人はオーリママのことを 死ぬほど怖がっている!!」と言うイメージができてしまいました・・(汗) >とーちゃん、あんなにコワいオーリママがいるのに、なんで悪事何かに手を >染めた・・・・?親父も反抗期なのかしら?(笑)しかし、キャラクター紹介に >名前も出してもらえないとは親父哀れ・・・・めったに出てこない緋雨裡ですら >出ていたとゆーのに(爆笑) はううう!! 緋雨裡さんは一応「悲劇の人(?)」ですからねえ〜〜(汗) 親父・・ぢつは部下のミッドガルズ連中相手に連日連夜愚痴って 酒飲んでいたりして・・(汗) >アルカトラズと言えばクリント・イーストウッドですねぇ。(フィリップとー >ちゃんのイメージには合わんですが・・・頭ハゲすぎ)そのうちとーちゃんも >脱走するんでしょーか?オーリママに面会した後、まだその根性が残ってれば >大したもんですけどね(^^;) はうううう!!! フィリップパパ・・・・。 オーリママの面会が怖くて脱走・・なんて暴挙に出たりして・・? >氷殿下からのバイト代、珍しく殿下が気を利かせて直接振り込んでくれたのは >やっぱり「『兄貴の』保釈金」とゆーところに感じるものがあったからなんで >しょーね。でもあまり感謝されないところがいかにも殿下らしい・・・(^0^) ですねえ・・・。 「兄」と言う言葉にわずかな良心が動かされたんでしょうけど・・。 やっぱりやることなすことロクデナシですねえ〜(汗) 余計なお世話が多い!!? >ところで、第2部からのジョヴァンニ兄様、なんか激さんっぽくないですか? >・・・気のせいかな〜(汗) あ・・・言えてます〜〜(汗) 何だか調子が似てきてます!! >シェイクスピアの「テンペスト」買いました。ミラノ大公とナポリの王様が >出てくる・・・ただそれだけの理由で(^^;) >・・・これなんか次のネタに使えません?それではまた〜♪ はううう〜〜!! この辺りには売ってないのがちょっと悲しいですうう〜〜(シェークスピア)・・。一応大金はたいて「大人二人の午後」買いました!! 何かネタになる会話があればうれしいでっす!! ではでは!! |