◆−推論と現実と−CANARU(7/27-09:50)No.11187
 ┗遠くて近きは・・・?−P.I(7/27-23:22)No.11198
  ┗ついに脱獄!!−CANARU(7/28-10:20)No.11205


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11187推論と現実とCANARU 7/27-09:50


「リナ〜〜〜〜〜〜〜・・・。」
映画館から出てきたガウリイは不満そうな声で隣を歩く名目上の齟齬との相棒に声をかける。
「何よ・・。」
そんなガウリイに反してリナは至ってご機嫌である。
何故名目上かと言うと彼女はこ〜みえてもルクセンブルク公国の公女様。
まだしも合法的な、ナポリ、ヒチリアをとりしきるマフィア組織『カタート』総帥ゼロスの妹、と言うのは仮の姿だから、である。
そして、その馬鹿兄ことゼロスもぢつはルクセンブルク公国の『ワルキューレの騎士団』
の副旅団長・・なんぞという裏(?)の顔を持っているのである。
かくして・・そんな中一日だけ休暇を貰ったガウリイとリナ。
珍しくリナがガウリイに・・・。
「映画に行かない?」
などと誘ったのは今日が初めての事なのである。
無論「行く、行く。」と答えたは良いのだが・・・・・・・・・・・・。
「・・・ナンで最新映画じゃなくってリバイバルなんだ・・・・。」
別にリバイバルでもなんでも・・・・想像していた様なのならナンだって良かったのだが。
「やってたから、よ。」
そりゃ〜〜まあ・・やってなければ来ようなんて事は思わないだろうけど・・さあ・・。
「でも・・あの内容は・・何でまた・・・『ボルジア家の黄金の血』なんて映画見させるんだよ・・・・・。」
いや・・不満は無いのだが・・。普通映画に誘う、と言ったら内容は『恋愛映画』
と相場が決まっているはずなのだが・・・。
見せられた映画は権謀術数、暗殺、そ〜いった事を主とする16世紀の権謀術数モノだったりする・・・・。
そ〜ねれば・・リナは熱中しこそすれどもムードも何もあったもんじゃない!!
仕方なくガウリイは一応寝ない様に(寝たら確実にリナに殺される・・)しないように馬鹿みたいにただただポップコーンとコーラを飲み食いする、と言う情けない結末に終わってしまったのだった。
「フランソワーズ・サガンが脚本書いたの。かなかな高尚でしょ?」
いや・・高尚でもなんでも良いんだけどさ・・・。
「でもさあ・・・・・。」
尚も不満げに口篭もるガウリイにリナはきっぱりと!!
「あのねえ〜〜!!『クラゲのガウリイ君、学習用映画』が運良くリバイバルされてたのよ?ちっとは連れてきてやったアタシに感謝しなさいよね!!」
ビシイイ〜〜〜っとガウリイを指差しながらリナはハッキリと言い放つのだった。


「いやあ〜〜・・。休日にすまんあ〜。お前等。」
映画館に程近く、ナポリ名物カプア門を潜り抜けたところに在中世の貴族の家を改装した喫茶店の一席に陣取るリナそっくり・・とはいえその顔をも〜すこし繊細かつ男らしい顔立ちにしたよ〜な人物。
「ジョヴァンニに〜さま。お久しぶり。」
颯爽と兄の向かいの席に座って何やら注文するリナ。
「・・・ナポリに戻ってたのか?ジョバンニ。」
仕方なくリナの隣を選んでガウリイもボックスの一席に腰掛ける。
「ああ・・。一時的にな。あ、おね〜さん、鯖の味噌煮込みと青汁と御汁粉お代わりね〜♪」
おい・・・・・・こ〜んな洒落た喫茶店で奇妙なモン注文するなよ・・。
密に斜め前に座ったジョヴァンニに心の中で突っ込みを入れるガウリイ・・。
「あ、アタシも御汁粉と杏仁豆腐と・・う〜〜んっと・・。あ、茶碗蒸とマンゴーお願い!」
ずべ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
マトモにテーブルに突っ伏してしまうガウリイ。
「あれ・・どったの?ガウリイ・・・。」
「いや・・大した事じゃないけど・・やっぱり兄妹だな〜〜って思ってさ(涙)」
本当に深い意味は無いと判断したのだろう。ガウリイの感想は歯牙にもかけないリナ
とジョヴァンニ兄妹。
運ばれてきた奇妙な食べあわせの食べ物を平気でパクパクと食べ始める。
「お客さん・・注文は・・・?」
「・・・・水で・・良いです・・・。」
(※外国では日本と違って水は只では無いのよ!!その辺りにご注意・・・。)
「・・今日はヤケに食べないのね・・。ガウリイ。水だけなんて・・。」
「ま〜〜な・・・・・。」
こんな二人の様子を見てしまったら・・イヤでも食欲失せるよな・・・。
もはやそれだけ・・・である・・(涙)


「イタリアを統一した人物は誰か、知ってるな?」
「ガルバルディ、でしょ?まあ・・今回の仕事の依頼は地元・・つまりはイタリア本土だって聞いてね。そ〜なると・・。ボルジア家かメディチ家。さもなければガルバルディだと思ったのよ。」
そう言いながらリナは残りのマンゴーを完全に食べ尽くす。
「へえ・・・。それで・・・・。俺に理解しやすい様に・・っとあの映画見せたわけだ。」はあ・・・と溜息をつきながらガウリイは水の残りを飲み干す。
「そう。ど〜もルクセンブルクのエルミタージュにガルバルディ関係のモノが所蔵されたらしいんだが・・・。二束三文にも成らなかったらしいな・・。『ミッドガルズ』・・。旧フレイの騎士団の連中も安値で適当に売り払ってる始末なんだ・・。」
「・・・真坂・・・。『桑』とか『鎌』ぢゃないでしょうねえ・・・(汗)」
思わずリナはそんな下らない事を口にして見る。
「おい・・リナ・・。話しの文脈が掴めないが・・。そのヴァルガーブって奴は英雄なんだろ〜?ナンで『桑』とか『鎌』なんだ〜〜?」
「・・似てるけどヴァルじゃなくってガルバルディ。彼はね、イタリア統一を成し遂げた名将で有名だけど。国を統一してイタリア唯一の独立国家サルデーニャ国王ヴィットーリオ=エマヌエーレ2世に捧げて自分は普通の農家のオッちゃんになっちゃたのよ。」
ナンだか奇妙な話しだが、事実である。
「同じ頃統一国家になったドイツの鉄拳宰相、ヴィスマルクとは偉い違いだな・・。
こ〜んな事は教科書に載ってはいないがな・・・・。」
感慨深げにジョヴァンニが言う。
「まあ・・良くは分からんが・・・・・。コレから俺達は何処に行けば良いんだ?」

サルデーニャ・・・。
かのナポレオンの故郷であるコルシカ島のすぐ後方に控える小さな島。
イタリアの諸国が16世紀後半から19世紀の統一するまでの期間、オーストリア,ハプスブルク家などの支配下に置かれたのに対して唯一独立を保った小さな王国である。
「最初にイタリア統一を成し遂げようとしたのが・・シチリア王国の国王にして新制ローマ帝国皇帝のフェデリーコ(フリードリッヒ)3世。しかし北イタリア諸国の反発で精巧ならず。次ぎはフィレンツェ、メディチ家のロレンツォ・イル・マニ―フィコ。まあ。彼の場合は諸国の『勢力均衡』を目指したんだから本当の意味で統一目指したとは言えないけど・・。そして・・・その次ぎがローマのボルジア家のチェーザレ・・・。
ロマーニャ地方を併合しかな〜〜り良い所まで行ったんだけど・・・。ボルジア家の没落や仏蘭西国王ルイ12世、スペイン王フェルデナントの度重なる干渉で挫折したわ。
その後・・ナポリを始めとする多くのイタリア諸国は仏蘭西、西班牙の支配下に入ったて訳だけど・・。在るときを境に仏蘭西勢力は一掃されてね。其処から西班牙による支配が支流になったって訳。」
サルデーニャに到着した途端に何時もの如くリナの説明が炸裂する。
「・・でもよ・・。お前最初『オーストリアの支配に反発したナショナリズム運動』
ってイタリア統一運動の事言ってたよなあ・・?」
珍しく話しの内容を覚えていたらしい。ガウリイがリナにさっそく聞いて見る。
「ええ・・。西班牙は結婚によってハプスブルク家に王冠を乗っ取られてね。オーストリア側と西班牙側にハプスブルク家支配が確立したの。けど・・在る時西班牙ハプスブルク家が断絶してね。仏蘭西が血縁によって西班牙王家を継ぐ事になったんだけど。ソレをオーストリアハプスブルク家が不満に思ってね。『西班牙継承戦争』が勃発。結局仏蘭西のブルボン王家が西班牙王家の王冠を継ぐ事に成ったんだけど・・イタリアの西班牙領地はそのままハプスブルク家・・オーストリアに編入された・・って訳。」
「へえ〜〜・・・。かな〜〜り・・・棚ボタだよなあ・・・・。」
さしものガウリイも感慨はリナと同じらしい。
しかっし・・・。
「ガルバルディの宝物が何か分からない限り・・。本気で『鎌』とか『桑』
に仮定したい心境だわね・・・。」
まったくもって手掛かり無し。
さしあたり統一を成し遂げた国王の居た場所、と言う所、と言う意味でここサルデーニャに来て見たものの・・・・・。
「でもよお・・。リナ・・・。」
「何よ・・・ガウリイ・・・・・。」
「あの映画と今回の件・・・。あんまり関係無いんじゃないか・・・。」
う・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
確かに・・アレは自分の趣味だったのだが・・。一人で見ると寂しい・・・。
という理由だけで・・ガウリイを引っ張って行った事・・もしかして根に持ってる??
「・・・・・・・。ガウリイ、あの子、ガストンに似てない?」
ともあれ、通りかかった金髪の少年を指差してリナはとりあえずお茶を濁して見る。
「え・・・?って・・ありゃ〜〜〜・・本人じゃね〜かあ!!?」
田舎道をコソコソと人にばれない様に歩いている。としか思えない一人の
13〜4歳の少年を見てガウリイは弟のガストン、と見破る。
「おい!!ガストン!!!」
「うぉわ・・って!!兄貴!!!!???」


「昆虫採集の宿題、とか言って逃げてきたんだ!!」
被っていた麦藁帽子を脱ぎながらガストンがリナとガウリイに言う。
「あ〜〜〜・・・。あの教育ママゴンからかあ・・・・。」
ガウリイが少々顔をしかめながら・・実母のオーリママの剣幕を思い出しながら
呟く。
「そ・・・。まあ見つかるのも時間の問題かもしれないけどさ・・。」
ブツブツと言いながらガストン。
「分かっていながら、脱走は止められない・・・ねえ・・(汗)・・・。」
確かにリナだって子供の頃は宿題は大嫌いだったし・・・。
「そ。それに、ちょっくら面白い情報を入手したんだ。」
そう嘯いてガストンは何やらコソコソと手に持った紙切れをリナとガウリイに見せる。
「ナンだ・・。お前、何か変なバーゲンセールにでもいこうって言うのか?」
「ば〜か。紙切れと見れば抹殺したいテストかバーゲンのチラシって思ってるんじゃ
ね〜よ。こんの馬鹿兄。」
ムキャ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
つくっずく可愛くない弟である・・・・・・・・・。
「で、ナンなのよ。ガストン・・。その紙は。」
場の雰囲気を和ませようと思いながらリナはガストンに尋ねる。
「ふふふ・・。19世紀の宝の地図ですよ・・・。サルデーニャ首相、ガバールのね。」そう言いながら地図を見せびらかすガストン。
「・・・なあ・・ガストン・・お前・・。」
「ナンだよ・・。馬鹿兄。」
呆然とガストンを見遣るガウリイに冷たい声で答える弟。
「・・・親父の書斎・・・漁っただろ・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「う・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
ど〜やら・・図星らしい・・・。
マトモに硬直して・・・汗を掻くガストン・・・・。
かな〜〜〜り哀れ・・である・・・・・・。
「・・・・ガバール首相のね・・・・・・。」
不意にリナには思うところが芽生える。
『ミッドガルズ』の連中はあくまでも『ガルバルディ』の宝物は二束三文にもならなかったのでイタリアの何処かに適当に破棄したような事を言っていた。
しかし・・その『ガルバルディ』の秘宝こそは大した物で無かったとしても。
彼の任命した首相『ガバール』の持っていたものが本物の宝物だとしたら。
そして・・『何故』こんなまどろっこしい事を『ミッドガルズ』の連中はしたのか・・。答えは単純・・とも言えるだろう。


「はい〜〜〜・・。ナンですか・・リナさん・・・・・。」
電話をかけた場所は言うまでも無い。
何時もにこにこした怪しさ爆発のリナの義兄・・・。
ゼロスが寝ぼけたような声で電話に出る。
「馬鹿兄!!寝てたわね!!」
ったく・・・人がこのくっそ暑い中で仕事をしていると言うのに・・・。
「悪いですか・・。貴方だって・・・。人のことは言えないと思いますけど・・。」
う・・・・・・・・・・・・・・・。
鋭い・・・・。
片手に持ったシャーベット、首からぶら下げた貝殻のペンダント・・・・。
更には足元に転がったおみやげ物の数々を見透かされたような気分でリナは返答に詰まる。
「お〜〜い!!リナ〜〜!!レンタル・サーフィン借りてきたぞ〜♪
今からやるから見ていてくれよ〜〜〜〜♪」
こら!!ガウリイ!!!!
受話器の話し口をふさいでないのに大声を出すんじゃない!!
「・・・・なんです・・サーフィンて・・・??」
良かった・・こっちは完全に昼寝から目覚めていないらしい・・。
「安心しなさい。丘サーファーが溺れたのをガウリイが指差して笑っただけよ!!」
「・・・・・・・・。言動に矛盾があるような気がするのは・・・。」
「・・・絶対に気のせい!!(断言!!)・・。」
「おい〜〜!!リナ!!ダイビング一緒にするって約束しただろ〜?
珊瑚や熱帯魚が綺麗だぜ〜〜〜♪」
おい・・・・。お願い!!もうしばらく黙っていて!!
後ろを向いてガウリイに指で「シ〜〜〜〜〜!!!」と合図をする。
「・・・そっか・・。お前かき氷食いたかったのか。暑いもんなあ・・。
気付かなくて悪かった〜〜♪待ってろよ〜〜♪」
頼むよ・・ガウリイ・・・・。
気遣ってくれるのは嬉しいけど・・ど〜もこう言った時に限って執拗なんだよね。
「あの〜〜・・。リナさん・・。先ほどからダイビングとかかき氷とか言った・・。
リゾート用語が聞こえるのは・・・・。」
ふう・・まだ完全に覚醒はしていないのが不幸中の幸いである・・・。
「安心して!!『ドーピングで夏季オリンピック出場停止になった.』って言う話しているだけよ!!今年2000年でオリンピックの年だもんね・・・・(汗)・・。」
「・・・矛盾は認められませんが・・。今回の話題とは無関係な事を・・。
何故・・・・・・・???」
「・・・・・・・・・・。細かい事気にしてるとハゲになるわよ!!それより、一寸
聞きたい事があるの!!!」
「禿げるのは・・かな〜〜りイヤですね・・・。で、聞きたい事って・・。」
「ワルキューレの騎士団が・・。アタシとガウリイが潰滅させる以前に『フレイの騎士団』を追い詰めた事は無かった・・・??」
そう・・・・・。
ゼロス馬鹿兄とルナね〜ちゃん率いる『ワルキューレの騎士団』。
それが何時頃から『フレイの騎士団』・・。即ち犯罪組織『ミッドガルズ』の隠れ蓑
集団の悪事に気付いたのかは定かでは無い。
だが・・・・。
万が一リナとガウリイが潰滅させる以前にその集団を失敗・・とはいえ『ワルキューレの騎士団』が『追い詰めた』事があったとしたら・・・??
そして・・・・。
その時、連中が何か『苦肉の策』を労したとしたら・・と言う事である。


「ガバールの宝物が『ガルバルディ』の剣?」
ガストンがリナの言葉に驚いたような声を漏らす。
「ええ・・。『ワルキューレの騎士団』に追い詰められた『元・フレイの騎士団』
ことミッドガルズがカモフラージュした・・としか思えなわね。『ガルバルディ』の宝物と『ガバール』の宝物を入れ替えてね・・・・・。」
二束三文で売り払われたガバールの宝物とやらも気にかかるところだが・・・。
やはり今は使命である『ガルバルディ』の方を気にした方が先決だろう。
「しっかし・・今まで統一できなかったイタリアを・・。そのガルバルディって奴も良く
統一できたもんだよなあ・・・。」
ガストンの持ち出した地図を眺めながらガウリイが簡単の声を漏らす。
「まあ・・ね。時代背景が違うとしか言いようは無いわね。今まで統一には反発的だったイタリア諸国もナショナリズムに目覚めてね。マッツィーニの指揮する『青年イタリア』何て言う組織もできたくらいだしね。更にはさっき言ったヴィットーリオ=エマヌエーレ2世国王がオーストリアの天敵、仏蘭西の力を借りて・・もっとも仏蘭西は途中で
休戦したけど・・・。イタリア戦争でオーストリアを破ってロンバルディアを併合したわ。16世紀じゃ仏蘭西は統一の邪魔をする存在でしかなかったけど、ね。」
1860年には更に中部イタリアを併合・・・。
そうなると残るは南イタリアだけなのだが・・・・。
「何処からとも無く現れたガルバルディがシチリア・ナポリを占領してヴィットーリオ=エマヌエーレ に奉じた・・って訳。」
アイも変わらず無愛想にガストンがガウリイに説明する。
その英雄・・ガルバルディを調べればナンとか宝物は分かるかも知れないとは思ったのだが・・・。
「ココに居た所で・・二束三文で売り払われた品物を探すだけが関の山ね。」
ハッキリとリナは言う。
「じゃあ・・どうするんだ・・・・・。」
あまり・・気の進む提案では無いのだが・・・・・。
「・・・シチリアに行く・・・・・・・・・・・。」
その一言に僅かにガウリイの顔が曇る。
「・・・いや・・・???」
ワザトらしい、と思いながらリナはガウリイに笑顔で答える。
「・・・ま、リナが行くなら何処にでも行くぜ?」
かなり苦笑交じりだが・・何時もの明るい笑顔でガウリイが答える。
「俺にも異存はありません・・・。それに・・ココには・・・。」
そう言うガストンの口の端には微かな自嘲・・とも恐怖とも言えない笑みが浮かぶ。
「そっか・・・。この島にはか〜ちゃんが血眼になってお前を探しているんだよな・・・。」うんうん・・と頷きながら言うガウリイに・・・・。
「だあああああああああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!か〜ちゃんの事は言うな〜〜〜!!」
半泣きしながら言うガストン・・未だにか〜ちゃんが怖い14歳・・。
とと・・哀れ・・かもしれない・・・・・。


「リナさ〜〜ん!!ガウリイさ〜〜ん!!あ、それに・・・。」
不意にシチリアに到着した途端にリナとガウリイ、それにガストンを発見した
アメリアが遠くの方で名前を呼んでくる。
「ガストンです。」
営業スマイルでアメリアににっこりと挨拶をするガストン・・。
「お前・・・女には甘いんだな・・・。」
ボソリ・・とガウリイがガストンに聞こえる程度に呟く。
「お前には言われたかね〜よ。この馬鹿兄。俺の顔は拳でボカボカ殴るくせに。
女に対しては『顔を殴るなんてサイテ〜だぞ・・?』だしなあ・・。」
「悪いか・・・・??」
「くくく・・・まあ、馬鹿兄、お前が『女尊男卑』と言う言葉を理解したら・・。
まあ、誉めてやるぜ???」
・・・・・。不意に流れる沈黙・・・。だが、やがて・・・。
グワシャアアアアアアアアアアアアアアア〜〜〜〜〜ンン!!!
何故かリナの拳がガウリイの顔面直撃した!!!!!
「いでえええええええええええええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!
何すんだよおおおおおおお〜〜〜〜(涙)りなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・。」
「ごっめ〜〜〜ん♪アンタの顔に蚊がくっついてたの〜♪まあ、アンタは女の子じゃ無いのは自明の理だし〜♪殴ろうが蹴り入れようがノ―プロブレムよね〜♪」
・・・・・アタシはそんな事言われた事無いわよ・・フン!!
そ〜いっているのがガウリイには通じない所が味噌・・である・・・。
最も・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「なあ・・ガストン・・。『女尊男卑』ってど〜ゆ〜意味だ・・?」
蚊にこそ刺されなかったモノの・・・思いっきりリナに殴られた顔面を撫ぜ撫ぜしながら涙目でガストンに尋ねるガウリイ。
ハア・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「ヤロ〜がツラ撫ぜてんじゃね〜よ。気持ちわりぃなあ!!・・アンタとリナさんみたいな事・・ダヨ。」
どうやらお疲れモードに突入したガストンは嫌々ながらその質問に答える。
「・・・そっか〜〜♪ぢゃ〜〜・・すっごく良い意味だな。うんうん!!」
「・・・幸せもモンか・・・?おめぇは・・・・・・。」
本気で疲れ切った声でガストンがガウリイに言う。
「ったく!!夫婦&プラスアルファ漫才している場合じゃないぞ。お前等!!」
「夫婦って!!」「プラス・アルファって・・・!!」
リナとガストンの抗議を無視してゼルは更に話しを続ける。
「ガウリイ・・。このヒチリアの牢獄に収監中のお前の親父が・・。看守の隙を突いて脱獄したらしいぞ!!」
そう・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
つい先ほど、出払ったリナとガウリイの代わりにゼルとアメリアがココに到着
したと言う訳なのだが・・・。
「どうする・・・。リナ・・・・・。」
やや顎を下向きに傾けて何やら考え込んでいるリナに向かってガウリイが聞く。
「まあ・・。『逃走』には『資金』が必要になるしね・・・。運が良ければ・・。
この場で『ガルバルディ』のお宝に出会えるかも・・しれないわよ・・。」
不敵な笑みを浮かべつつ言うリナ。
「つまりは・・泳がせておけ・・って事ですか〜〜??」
今度はアメリアが発言する。
「まあ、フィリップ=ガブリエフ氏を密に探す、という行動は取らなくちゃイケナイでしょうね。運良く『ガルバルディの宝物』のところに居てくれれば本当に運が良いんだけど・・。」「そ〜でなかったら尾行・・て言う事ですね・・・。」
かくして・・元、フレイの騎士団にして犯罪組織『ミッドガルズ』の総帥。
そして今は単なる『脱獄反』と化した男の総作は始まった・・・。


「やれやれ・・・。本当に『運』が良かったな〜〜・・・。」
何気なく入った人気の無い洞窟・・。
其処に突き刺さる一本の長剣。
「単なるボロイ剣にしか見えないけれど・・・・?」
しげしげと岩に突き刺してある剣を眺めながらリナは言う。
「馬鹿言うな。おそらく・・・140年くらい前の品物だろな・・・。なかなか良い品だぜ?」
「・・・・・分からないわ・・・・・・・・・・・・。」
「ま、この辺は一応騎士団の俺の言う事信じていれば間違い無いって。」
其処までガウリイが断言できるのは・・珍しい。
「ともかく。ココで待っていればフィリップ=ガブリエフ氏はやってくる筈ね。
アメリア達とガストンに連絡しなくちゃ・・・。」
言いながらリナはポケットの中に入った小型の携帯電話を取り出すのだが・・。
「・・・。どした・・・?」
何やら不審な顔をして電話を手にしたまま突っ立ているリナにガウリイは尋ねる。
「・・・圏外・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
ずべ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
真剣な顔してそんな事でリアクションするなよ・・・・。
思わず突っ込みが顔にでそうに成るのだが・・・・・。
「でもさ、お前国際電話とか平気で何時もかけてるだろ?何で洞窟くらいで圏外なんだ?」「・・いつも持ってるのは世界の何処でも通じてモバイルにもなるイリジウム携帯!!
でも・・ど〜せ今回はイタリア国内だって思ってプリペード式の使い捨て遣いきっちゃおうと思って持ってきたの。とにかく・・ココからちょっくら出て電話してくるわ。」
「ああ・・・。きをつけろよ〜〜・・。」
ったく・・・・。
ナンだか知らないが何時もリナは奇妙なアイテムに凝っているモンだ・・。
そんな事を思いながらリナが電話をし終わるまで待つガウリイ・・・。
だが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


10っぷん以上経過しているのに・・・。
未だにリナの戻ってくる気配は見うけられない?
「おっかしいなあ・・・。そ〜んなに圏外地帯おおいのかヨ・・・。」
ブツブツ言いながらとりあえず少しの間だけ・・・と思ってその洞窟から
離れようとするガウリイ。
だが・・・・・・・・・・・・。
カキイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイインンンンン・・。
乾いた音が足元に響き渡る・・・。
ワザト狙いを外した・・と言う事は恐らく疑いが無い事であろう・・。
「ガウリイ!!!!!!!!」
苦しげなリナの声が如何中に響き渡る。
「リナ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
迂闊だった・・としか言いようが無い・・・・・・。
「おっと・・動くな!!ガウリイ!!」
更に威嚇発砲が足元を掠める・・・・・。
フィリップにナイフを首筋に付き付けられ・・明らかに『人質』に
された格好のリナの姿が逆光に照らされて目に焼き付く。
「親父・・貴様・・・・・。」
「武器を捨ててもらおうか・・・?ガウリイ・・・。俺には時間が無いんだ!!」
その声には焦りさえ含まれている。
更にフィリップの付きつけたナイフがリナの首筋から頬骨にかけて近づく。
「分かったよ・・・・・・・・・・・。」
胸元に仕舞い込んだ拳銃、ポケットに仕舞った小型のナイフを仕方無しに捨て去るガウリイ。
「暫く・・コイツは預からせてもらう!!さもなければ・・命が無いんでなあ・・。」
まさに悪党モード全開の状態がガウリイの怒りを更に誘う。
あのナイフとハジキさえ牽制出来れば・・・。そう思ったガウリイの目に一つの武器が
飛び込む。
今だ此方を見つめたまま、拳銃を構えるフィリップに見透かされない様にそっと地面に刺さった『ガルバルディ』の剣を抜きに掛かるガウリイ!!
「悪く思うな・・・・。」
更に威嚇・・ではなく『攻撃』の銃弾が放たれるその寸前を見計らい!!
ガイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイインンンン!!
金属音と同時に在らぬ方向へ発砲される銃弾!!
ガルバルディの剣がフィリップの真隣に突き刺さり・・・。
フィリップの一瞬の隙をついてその手を噛みついて自由になるリナ・・。
そして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
どげらしゃあああああああああああああああああんんんんんんんんんん!!!!!!!
フリップの頭に漬物石が勢い良く直撃する!!!!!!
「あ・・・・・・・・・・・・・。」
僅かに後ろを振りかえり・・・そして見事に気絶する・・・・・(汗)・・・。
「まったく・・・。アタシとの面会が怖くって脱獄した・・ですって!!
何考えてるのかしら!!こんのクソ親父は!!!」
ブツブツ言いながら気絶したフィリップを引きずって行くのは・・・。
「・・・か〜さん・・・。」「オーリさん・・・・。」
そう・・最強無敵のオーリママ・・だった・・・・・・。
「あ、リナさん。ガウリイ。ガストンを発見したら直ちに伝えてくださいね。
『家に帰ったらお仕置きよ!!』ってね!!」
ガストン同様女に甘く、男に甘い性格と見た・・・。
「ガウリイ・・。オーリママ・・『ああ・・男の子って野蛮でや〜ね・・。女の子が欲しかったのよ。私は!!』とか・・良く愚痴言ってなかった・・・?」
「・・・良く分かったな・・リナ・・か〜ちゃんの口癖・・・・。」
遠い眼で言うガウリイであった・・・・・。


ルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル〜ン♪
不意にリナの持っていた携帯が洞窟の外に出た途端に着信音がする。
『リナさん〜。何時ものケータイじゃなかったんですね。そっちの方手帳にしか番号か居てなかったから苦労しましたよ!!しかも圏外!!』
出た途端にアメリアの抗議の声。
「ご免、ご免、で、何?」
「今すぐ収監所前に来てください!!」
そう言って直にその電話は切られる。
「ま・・行くとするか。」「そね・・・・。」
見つかった宝物の剣を持ちながらガウリイと一緒に収監所に向かうリナ・・・。


「どうです!!ガルバルディの宝物!!」
そういってアメリア、ゼルが差し出したのは・・見事な剣の『鞘』だった。
「へえ・・すごいですね。紋章に、真珠・・ルビーに・・ダイヤモンド・・。」
鑑定眼があるのだろう。しきりにその宝物に感心するガストン・・・・。
これが・・・かなりの値の張るものであることは・・確かである。
「で・・ナンだ?その後生大事に持っている小汚い剣は・・・。」
ガウリイの抱えている『宝物』(と思い込んでいた事は疑い無い)単なる小汚いモノを見ながらゼル・・・・・・・・・・。
「リナ・…小汚い・・・だって・・・。」
「だって・・・・実際小汚いもん〜〜ガウリイ・・・・。」
はは・・はははははははははははははははははははははははははは・・・。
乾いた笑いを上げる二人から思わず一歩引くゼル、アメリア、それにガストン・・。
「今度・・鑑定の教室通ったほ〜が良いかもね・・。ガウリイ・・・。」
「ははは・・まあ・・命の恩人は・・・・・。」
この『小汚い』剣である・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
それに奥さんが怖い・・と言う理由だけで脱獄した親父・・・。
かくして・・・二人が報われる日は・・まだまだ遠いようである・・・。


(気が向いたらまた書きます)

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11198遠くて近きは・・・?P.I E-mail 7/27-23:22
記事番号11187へのコメント

CANARUさん、また新作ですか!!次から次へとすごいですね〜!!(尊敬)
P的にはも〜夏休み万々歳ですわ♪
さてフィリップ親父、ついにやりましたか〜(笑)根性は認めるけど・・・
動機が情けなさ過ぎ!! 一体どーゆー縁であんたら結婚して2人も子供
作ったんだよ〜と訊きたいぞPはっ!!(^0^)息子たち(&未来の娘)が
見てる前くらいでは仲良くしなさい!大人気ないったら・・・(^^;)
でもこの二人がもし手を組んだらガウリナ以上にすごいカップルになりそう(汗)
リナちんと映画♪ガウリイ、舞い上がったでしょーね(笑)こっそりその後の
デートコースまで計画してたりして・・・。なのに映画は「権謀術数」帰りの
お茶は兄貴付き(大笑) リナちん、ワザとはぐらかしてるんじゃない分
余計に罪だ〜(^^;)せめて「一人で観るのが寂しかったの」くらい言って
あげればよかったのに・・・お互いの気持ちは決まってるのになかなかうまく
伝わらないですねぇ〜。ああ焦れったい!!
お宝はなぜか刀剣と鞘が別になっちゃってたんですね(^^;)
頑張れガウリイ!あの小汚い刀だって年代物だ!磨けばそこそこ値打ちが
あがるかもしれんぞ〜!!(笑)TVの鑑定団に出してみる?(^0^)
高値がついたらこっそり売っぱらっちゃって指輪代の足しにするとか(爆!!)

話は変わりますが、高野史緒さんの「ウィーン薔薇の騎士物語」とゆー本
読みました〜♪(中央公論新社・C.NOVELSファンタジア)元・歴史学者&声楽家
志望だったとゆーだけあって下地は十分。玄人にもウケるライトノベルです♪
塩野さん、藤本さんときて、次はこの人の歴史小説を漁ろうかな〜と企み中です。
2巻は好き嫌いあると思うけど1巻はとにかく面白いですから、どこかで
見かけられたらゼヒ一度手に取ってみてください!おススメです〜!!
それではまた〜!!



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11205ついに脱獄!!CANARU 7/28-10:20
記事番号11198へのコメント

>CANARUさん、また新作ですか!!次から次へとすごいですね〜!!(尊敬)
>P的にはも〜夏休み万々歳ですわ♪
はううう!!
もう暫くしたら予定入りそうですが〜〜(汗)
それまでは頑張って書きたいです〜〜♪
先ほど新作また投稿しました!!
>さてフィリップ親父、ついにやりましたか〜(笑)根性は認めるけど・・・
ですねえ・・・。
「面会時間が怖い!!」それでけで脱獄とは!!
>動機が情けなさ過ぎ!! 一体どーゆー縁であんたら結婚して2人も子供
>作ったんだよ〜と訊きたいぞPはっ!!(^0^)息子たち(&未来の娘)が
>見てる前くらいでは仲良くしなさい!大人気ないったら・・・(^^;)
は・・・・・。
まさか・・「オーリママは昔はすっごく気立ての良いやさしい人だった・・・。
しかし・・年月はフィリップには容赦無く・・」なんていう
ベタな展開かもしれませんよねえ〜〜(汗)
仲良く出来ないモンでしょうか〜〜(汗)
>でもこの二人がもし手を組んだらガウリナ以上にすごいカップルになりそう(汗)
ありえます・・・・。
島と一つや二つ、簡単に破壊!!?
>リナちんと映画♪ガウリイ、舞い上がったでしょーね(笑)こっそりその後の
>デートコースまで計画してたりして・・・。なのに映画は「権謀術数」帰りの
>お茶は兄貴付き(大笑) リナちん、ワザとはぐらかしてるんじゃない分
>余計に罪だ〜(^^;)せめて「一人で観るのが寂しかったの」くらい言って
>あげればよかったのに・・・お互いの気持ちは決まってるのになかなかうまく
>伝わらないですねぇ〜。ああ焦れったい!!
はううう!!
やっぱりガウリイ、こっそりコース決めていそうですよねえ〜〜(汗)
しかし・・見せられた映画は権謀術数!!
ちなみにガウリイが水だけしか注文しなかったのは
「ポップコーンのかじりすぎ・・」と言う情けない理由からだったりします!!
ああ・・リナちゃん・・罪は無いけど・・(汗)

>お宝はなぜか刀剣と鞘が別になっちゃってたんですね(^^;)
>頑張れガウリイ!あの小汚い刀だって年代物だ!磨けばそこそこ値打ちが
>あがるかもしれんぞ〜!!(笑)TVの鑑定団に出してみる?(^0^)
あははは・・・。
以外と結構良い値段がついたら・・・。
問答無用でリナちゃんに奪われて・・・・。
その日の豪華ディナーに大変身〜〜かもしれませんよねえ・・・。
>高値がついたらこっそり売っぱらっちゃって指輪代の足しにするとか(爆!!)
ふふふふふ・・・。
リナにバレて略奪されないようにこっそりと・・・。
>話は変わりますが、高野史緒さんの「ウィーン薔薇の騎士物語」とゆー本
>読みました〜♪(中央公論新社・C.NOVELSファンタジア)元・歴史学者&声楽家
>志望だったとゆーだけあって下地は十分。玄人にもウケるライトノベルです♪
はい〜〜♪
田舎なので中央公論の本は少ないんですけど・・・。
今度探してみますね!!ちなみに「エリザベス」に引き続いて
「グラディエーター」の文庫本買いました!!
>塩野さん、藤本さんときて、次はこの人の歴史小説を漁ろうかな〜と企み中です。
>2巻は好き嫌いあると思うけど1巻はとにかく面白いですから、どこかで
>見かけられたらゼヒ一度手に取ってみてください!おススメです〜!!
はい〜〜!!
今度探してみますね!!
>それではまた〜!!
では!!