◆−思いは儚く(?)−CANARU(7/29-09:49)No.11231 ┗青春だね〜♪−P.I(7/29-22:02)No.11239 ┗ノ〜〜ン〜♪−CANARU(7/30-22:02)No.11248
11231 | 思いは儚く(?) | CANARU | 7/29-09:49 |
今日、明日とニ連続で用事なので・・。 ちょっくら休載します〜〜!! もうしばらくしたら(多分)パワーアップして帰ってくる予定です〜〜!! その前に「気まま」以外の話も書きたいなあ・・・・。 ともあれ、用事&レポート終わるまでしばしお待ちをプリ〜〜〜ッズ!! ******************** 「ガウリイ・・。ちょっと。ちょっと。」 物陰に潜んだリナがガウリイを手招きして呼び出したのはその日の昼下がりの昼下がりの事だった・・・・。 「なんだ・・。リナ・・・。ポリバケツの淵から顔出したりして・・・。 真坂・・フ○ンの仙人の真似に走ってるんじゃないだろうなあ・・?」 何時に無い奇行に走るリナに警戒しながらガウリイは言う。 「なんっでアタシがノ〜〜ン、フコフコ〜〜♪ってしなくちゃイケナイの?」 「・・・・ポリバケツ・・・・・・・・・・・。」 「安心おし!ゴミは入ってはいないわ!!」 言いながらリナはそっとバケツを退かしてガウリイの通り道を作ってやる。 「どした・・・・・・??」 「・・・・・・コレ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」 まだしも合法的なナポリ、ヒチリアをとりしきるマフィア組織の『カタート』・・・。 その若き総帥ゼロスの義妹リナ・・・・・・・。 しかし二人の実態はルクセンブルク公国『ワルキューレの騎士団』の副旅団長とその公国の姫君なのだが・・・・・・・・・・・・。 「犬・・・・・・・・・・。」 「ええ・・・・。子犬・・・。コレがリチャードで、こっちがアリエノール。 これがマチルダで・・・これがヘンリーにこの子がジョン。」 「・・・・。何12世紀イギリスのヘンリー2世と妃、アリエノール・ダキテーヌとの王女、王子の名前をつけてるんだ・・・(汗)・・・。」 「こ〜んな可愛い子犬を捨てるなんて・・。信じられませんね!!」 ミルクとパンをリナに頼まれて持ってきたアメリアとゼルが不意に後ろから声をかける。「捨て犬・・なのか〜〜・・。ふ・・む・・・・。」 ナンだか腑に落ちないような声を出しながらもガウリイは指を差し出して子犬の頭をチョン、チョンと撫ぜてやる。 「駄目よ。ガウリイ。あんまり小さい犬の頭を触っちゃ。喉よ、喉が喜ぶの。」 リナが横から注意を入れる。 「あ・・。そっか・・・・・・。」 そう言いながら一匹の子犬の喉を撫ぜながらも尚も腑に落ちないような様子を見せるガウリイ。 「・・・・・。ナンだ・・。その腑に落ちないような様子は・・・。」 そんな彼の様子に気付いたゼルがガウリイに質問する。 「・・・普通・・女の子って『子猫』を拾うイメージがあるのだが・・・。」 ずべ・・・・・・・・・・・・・・・・・・!! そんなことかい!!!!そう思ってスッコケながらもリナは・・・・。 「だって・・アタシ犬派だもん・・・・。まあ、子猫は可愛いけどね。」 そう言ってポリポリと頭を掻く。 「そっか〜〜♪じゃ、この犬お前が飼ったらど〜だ?」 ガウリイも犬は嫌いじゃないらしい。にこにこしながら小さい尻尾をいじっている。 「そ〜もいかないのよ。馬鹿兄・・ゼロスがかなりの動物アレルギーでね・・・・。 毛が落ちてるだけで湿疹作るわ、鼻水出るわ、くしゃみ出るわで・・・。家中もう大変なのよ・・・」 それだけら今までリナは犬を飼った事は一度だって無い。 「アトピー性皮膚炎ってやつですねえ・・。どっかの間抜けも18歳になるまで悩まされれたそ〜ですよ・・。ニキビも二十歳近くになってやっと消えてきたとか。」 アメリアが訳の分からない説明をする。 「ゼルもアメリアも事情があって飼えないでしょ?ガウリイ、アンタのルクセンブルクの実家じゃあ駄目かしら・・・?」 リナの問い掛けにガウリイは本当にバツが悪そうに・・・・・。 「いや・・。ソレがさあ・・・・。弟・・ガストンがガキの頃・・・。犬に尻を思いっきり噛み付かれてさ・・・。その恐怖心が未だに抜けてないんだよ・・・・。」 「・・・・。ど〜すれば尻なんか噛みつかれるのよ・・・・・。」 半ば呆れながらリナは言う・・・。 「詳しく教えようか・・?今でもガストンの尻には犬の歯型が・・・・」 「残ってるわけ無いでしょうが!!ったく・・・。」 日頃ガストンにしてやられてばかり居るからだろうか・・・? 妙に楽しそうに言うガウリイに早速ストップをかけるリナだった・・・。 「ともかく・・・。『貰い手』を探す事が先決・・だおうなあ・・・・。」 「そうですね・・・。関わったからにはそれは完全に義務ですし。」 犬に牛乳に浸したパンを食べさせながらアメリアが言う。 「そ〜〜ね・・。一匹だけでもウチで飼えれば良いんだけど・・・。 ちなみにアタシはこのリチャードがお気に入りなのよ〜〜♪」 「『獅子心王』の名前ですね。リナさん。」 一匹の子犬を抱き上げながら言うリナにアメリアが言う。 「しっかし・・。イタリアではナンだか知らんが結構捨て犬って・・。子犬、成犬 問わずに結構多いよな・・・・。」 うんうん・・と考えながらガウリイが言う。 「ま〜な。最近では結構社会問題化してるしなあ・・・。」 ボソリと今度はゼル。 「犬を捨てたり猫を捨てたりした人は死刑!!何て言うのは!!」 ビシイイイイ〜〜〜!!! とポーズを決めながら言うアメリアに・・・。 『却下!!』 とアッサリと突っ込みを入れる一同・・であった・・・・・。 「ナンだか・・・。鼻がむずむずするような気がするのは・・・・・。」 「気のせいよ!!」 ち・・・・。馬鹿兄めが・・・・。 僅かに服にくっついただけの犬の毛でも・・そのアレルギーは見事に反応するらしい。 「真坂と思いますけど・・リナさん・・。『捨て猫』を物置に仕舞ってあったりしないでしょうねえ・・・・。」 ジト眼でこっちを見ながら嫌疑を口にする馬鹿兄ゼロス。 「そんなわけ在るわけ無いでしょ?第一、台所から『煮干』とか『鳥のささみ』とかかっぱらったりしてないじゃないの・・・・。」 まあ・・・・・。 実際に『物置』ではなく『車庫』で・・・・・・・。 『子猫』ではなく『子犬』をこっそり保護していたりするのだが・・・・・。 まあ、とりあえず嘘をついてる事にはならないだろう。うんうん・・・・・(汗)。 「とにかく・・。ジョヴァンニさんから電話です・・・・・・。」 よっぽど敏感なのだろうか・・・・? 何やら柔らかいティッシュで鼻を抑えながらゼロスは言う。 「つ〜〜事は・・。まぁった仕事って事かな・・・・。」 まあ・・・・用も無くジョヴァンニが電話をかけてくることはまず無いだろうが・・・。 「もしもし〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜・・・・。」 やる気の無い声でリナは答える。 今は悪いけど犬のことで頭が一杯・・・である・・・・・・・・・。 『おい・・。リナか・・・。悪いけどさ・・。今すぐ仏蘭西に飛んでくれないか? 『クール・ドゥ・レオン』に関係する宝物が『ミッドガルズ』の連中に盗まれていた事が発覚したんだ。」 「・・・へえ・・・・・。」 獅子心王、リチャード・プランタジネットか・・・・。 英国国王にして仏蘭西のアンジュ―、ノルマンディ、ポワトゥー、アキテーヌ領を治める大領主・・・・。 時の仏蘭西国王フィリップ(ガウリイの親父とは無関係。念の為)オーギュスト の親友にして後には最大のライバル・・ね・・・・・。 英国読みで言うなら『ザ・ライオン・ハーティッド』と言った所か。 「何を盗まれたのかは相変わらず不明・・なのか〜?」 のほほ〜〜んっとした声でガウリイがジョヴァンニに尋ねる。 「ご名答。ついでに言えば・・。仏蘭西の知り合が犬を欲しがってるんだ。最近ブームなのかナンだか知らないけど数人揃ってだ。まあ・・無茶を言ってる事は分かるが・・。 なんとか5〜6匹宛ては無いか?」 ・・・・・・・・・・ナイス・タイミング・・・・・・・・・・・。 「分かった・・。そっちの方も何とかするわ・・・。」 とかナンとかアレルギーの人のまでは言いながら・・・・。 内心ではほくそえんでいるリナだった。 「なあ・・。リナ・・。その『獅子心王』リチャードって言うのはイギリスの王様なんだろ?」 機内食のブイヨンをかなり上品に食べながら・・・。 ガウリイはペット搭乗許可書を取ってご満悦なリナに対して質問する。 「そうよ?ソレが・・・?」 「ナンで・・ソレなのに仏蘭西に行くんだ?」 ・・・・・・・・・・ご名答・・・・・・・・・・・・・・・。 「もともとリチャードの家系はね、アンジュー家と言って仏蘭西国王の家臣だったのよ。それが・・リチャードの父ヘンリーが従弟に当たるイングランド王から王位を譲られてね。其処から『仏蘭西王の家臣にして英国王』という奇妙な事態が生じたの。 しかも当時の仏蘭西王家カペー家は超弱小国家でね・・・。この家臣にしてイングランド国王に押されていた・・って訳よ。」 「ふ〜〜〜〜〜んんん・・・・・・・・・・・・・・・。」 感心無さそうに出されるフォアグラを平らげるガウリイ。 「しかもね・・。『運命の美女』が出てくるから更に話は込み入るわ!!」 ブキュウウウウウウウウウウウウウウ!!!!! 『運命の美女』と言う単語に反応したのだろうか・・?? 折角のフォアグラをド派手に吐き出すガウリイ!! 「汚い・・・・・・・・・・・・・。」 「悪かったな!!で・・・。ど〜ゆ〜事だ・・・?」 あ・・やっぱり興味あるらしい・・・・・・・・・・。 「仏蘭西、カペー王家の国王の名前はルイ7世。先ほど言ったように弱小国家の国王にしか過ぎない彼の妃は『アリエノール・ダキテーヌ(エリナー・オブ・アキテーヌ)。 彼女はねアキテーヌ女公にしてポワトゥー女伯爵と言うとてつもない地位の持ち主なの。婚家であるカペー家の何倍にも匹敵する持参金の花嫁。奔放、かつ優美なアリエノールと腐ったようなルイ7世・・。この夫婦が・・・・・・。」 「う〜〜〜ん・・・。何倍もの持参金付きの花嫁かあ・・・。立場無いよな・・。」 この辺りの見栄はこんな性格のガウリイにもあるらしい。 「そ・・。アリエノールの要望で二人の入結婚は無効、と認められてアリエノールは再婚したのよ・・。ノルマンディー、アンジュ―を有する大領主・・・・。更に言えば・・英国王位の継承権を持つヘンリー2世と・・・・・・・・・・・・。」 「つまりさ・・。物凄い金持ちの男と・・・。物凄い金持ちの女の再婚・・って事か?」 一寸違うような気はするのだが・・・。ガウリイの要約はなかなな素晴らしいかも しれない。そう思ってリナは苦笑する。 「そ〜んな所かしらね。でもって・・コレで王家を上回る実力をもつ大領主・・。 更に言えば運の悪い事にイングランド国王が『仏蘭西国内』に住む事に成ったわね。 アリエノールがイングランドに渡ったのはせいぜい2.3回らしいからね・・・。で。その息子が獅子心王のリチャード。その弟はイングランド史上最大の愚王と言ジョン失地王って言うから・・。同じ兄弟でも不思議なもんよね・・・。」 まったくもって・・・。 そ〜かんがえれば割と同レベル地味た部分のあるガウリイとガストンはまだまだマシな 方なのかもしれない・・・。 もっとも・・ガウリイのレベルが低くてガストンのレベルが年の割には高い・・。 そう言ってしまえば身もふたも無いのだが。 そんな事を考えているリナの隣でガウリイは・・・。 「それじゃあさ・・。お前とジョヴァンニなんて・・まだ良い方だよな・・。 うんうん〜〜〜♪」 ピキイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ〜〜〜〜ンンン!! 「ど〜ゆ〜意味かな?ガウリイくん〜〜♪」 にっこりと・・凍りついた笑みを浮かべながらリナはガウリイにナイフとフォークを付きつけながら質問する!! 「い・・いや・・ナンでもない・・ですうう〜〜(涙)」 ふ。人間素直が一番晴らしいのだ!!! 「ふう〜〜〜・・。よ〜やっと最後の一匹だなあ・・・。」 ジョヴァンニの言っていた家々に子犬を届け最後に残った一匹の里親の屋敷の到着したガウリイとリナ。 「でも・・何でよりによってリチャードが最後まで残るのよ!!」 不満たらたら・・と言った調子でリナは文句を言う。 「・・だって・・。コイツきつそうだぜ・・?」 まじまじとリチャードの顔を眺めながらガウリイが言う。 「・・アタシはお気に入りなのになあ・・・・・・。」 なおもリナにしてみたら腑に落ちない様子である。 リンゴ〜〜〜ン〜〜〜♪ リンゴ〜〜〜〜ン〜〜♪ かなり立派な屋敷の呼び鈴を押すガウリイとリナ。 「は〜〜〜い♪」 言いながら扉を開くお手伝いの少女・・・・。 金髪の、華奢な青い瞳の・・・・・・・・・・・・。 おや・・・・・・・何処かで会った事の在るような・・・・・・????? そう思いながらリナが「あの・・」と声をかけて進み出ようとしたその時であった。 「ぎゃあああああああああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!犬!!犬!!犬!!いにゅうううううううううううううううううううう〜〜〜〜〜〜〜〜(涙)!!!!」 泣きながらリナとガウリイの傍から遠ざかって行くその少女・・・・・。 「その・・犬に対する拒絶反応・・。怖がり方・・・。」 何やら顎に手を当てて考えるガウリイは言う。 「ごきゅううううううううううううううううううううううううううううううううう!!」 そのガウリイの勘ぐるような視線から逃げ出す少女・・・・・。 「お前!!!!ガストンだろおおおおおおおおおおおおおおおお〜〜〜〜!!!」 びしいいいいいいいいい!! と指を差してその少女・・・。 いや・・実の弟に指摘をするガウリイ・・・。 「そう言えば・・。始めて会ったときも女装してたわね・・。この子は・・。」 ボソリ・・と呟いたリナの言葉に完全に沈黙を余儀なくされるガストン・・。 ちと哀れ・・な気がする・・・・・・。 「まあ・・。俺がココにいるのは一つのわけが在るんだよ。」 犬・・・リチャードを屋敷の主人に渡したその後。 リナ、ガウリイを知っているのであろう喫茶店に誘い出して何やら語り出すガストン。 未だに小間使い風の服装をしている所が少々情けないような気がするのだが・・・。 「訳って・・。どんなわけだよ・・・・・・・・。」 尚も冷やかしたような視線をガストンに送りながらガウリイは言う。 「・・・ったく・・・。『ロズモンドの小瓶』を探しているんだよ。」 ロズモンド・・・・・・・・・・・・・・・・。 「なあ・・。リナ・・。ロズモンドってナンだ・・・?」 あんまり好いた人物の名前ではないのだが・・・。 その伝説は確かに美しいような気がする・・・・・・・。 「ええ。ヘンリー2世の愛妾でね・・・・。イングランドの茂みに深い迷宮に彼女は愛人である国王ヘンリーによって隠されていたの・・。」 「そりゃあ・・ま。不便だな・・・・。」 ガウリイの感慨はその程度らしい・・・。 確かに美しいが・・・ロズモンド自身には人形のようなイメージしか抱けないのも 事実・・である。 「ナンでそんな必用が遭ったかと言うとね。嫉妬深い妻のアリエノールの目から彼女を隠すためなの。でも・・聡いアリエノールは糸を遣って迷宮の到達部分を発見し・・。 ロズモンドに出会ってこう言ったわ・・・。『剣か毒。どちらかで死を選びなさい.』と・・。結局ロズモンドは毒をあおって死を選んだわ・・。もっとも・・単なる伝説の部分の方が多い話しだとは思うけど・・・・・・・。」 考えながらリナは更に続ける。 「・・・そりゃあ〜〜・・。ヘンリーが悪くないか??」 ガウリイの言う事はまあ、もっともである。 「そのロズモンドの小瓶・・を探しているわけ。」 あいも変わらずガストンは無愛想に言う。 「でも・・・。その小瓶って・・・・・・・・・・。」 その事実に気付いたのだろう・・・。ガウリイは少々戦慄した表情をしながら・・・。 「お前!!誰か毒殺する気だろ・・・・。」 流石に喫茶店・・と言う場所柄を弁えてだろう。 ガウリイはガストンに小声で言う。 「・・・ちっが〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜うううううううううううう!!!!」 ガウリイの一言にガストンは思いっきり絶叫した!!!! 「は〜〜あ・・・。楽じゃないわ・・・・・。」 「どっかのお人よしが言い顔するからだろ〜〜・・・・。」 作業服に身を包み、草むしりをするリナ・・・・・。 その隣にはやはり作業服に身を包んだガウリイがリナの刈り取った草を焼却炉に 運んで行く・・・・。 そんな二人を眺めながらクスクス笑う一人の少女・・・。 「仲、良いんですね。」 更にクスクス笑いながらそんな二人のかけあい漫才を楽しんでいる。 年の頃ならガストンと同じ位・・・だろうか・・・。 淡い茶色の髪に黒っぽい瞳の小さな女の子である。 「貴方達がガリーヤの紹介で今度雇われた方だったんですね。」 笑いながら言う少女にガウリイとリナは苦笑する。 「ガリーヤって・・・・・。」 「ガストンの仮名・・でしょ・・・。」 勿論「お嬢様」には聞こえない様に言っている会話なのだが。 「ガリーヤちゃんにはお世話になっておりますの。この子犬も・・ね・・。」 そう言って見せてくれたのは・・先日このお屋敷に渡した「リチャード」である。 ガストンがこのお嬢様に何やら思い入れが在ることはまず疑いない。 しかし・・・お約束通りこの娘「体が弱い」なんて境遇に遭ったりする。 その厄介な体質を直す特効薬・・・。 中世からの伝説「ロズモンドの瓶」の中身の薬・・のようである。 もともとガストンはこの家の何処かにあるはずの・・・・。 強いて言えば今回ジョヴァンニにリナ達が依頼されて探している品物があることをお得意のコンピューターの操作で突きとめたらしい。 だが・・・・・・・・・・・・・・・。 女装して捜査をしているうちに目的がすっかり入れ替わった・・と言った所か。 そんなガストンに同情して「お手伝い」を申し出てしまったリナもリナなのだが・・。 「でもよお・・。リナ・・。ガストンが追っていたもう一つの物って・・。 一体全体なんだろうな・・・。やつはまだ発見してないからここにいるってこともあるんだろ・・・??」 お嬢様がその場を離れて更に庭の散策に行った後。 ガウリイが思い出したかのようにリナに言う。 「恐らく・・。アリエノールがロズモンドに差し出したもう一つの品・・・。 強いて言えば先日発見した宝物・・。『ガルバルディの鞘』に合う品物・・・・・・。 『剣』ね・・・・・・・・・・・。」 問題は・・・。 何故この旧家にその品物が流れ着き・・・・。 更に言えば『何処』にソレはあるのか・・と言う問題である。 「獅子心王に関係がアリ・・・。そうとしか情報が無かったから・・・。」 アリエノール関連とは意外な方向に言ったものである・・・。 当初の予定と狂ったのでリナは少々考えながら夜中の使用人用の廊下を歩き出す。 「あれ・・・・・・・???」 あれは・・子犬のリチャードじゃないだろうか・・・? 子犬が何やらカーテン越しにゴソゴソとこんな夜中に遊んでいる。 「なにやって・・・。」 言ってリチャードを抱き上げ様と思ったリナは咄嗟に近くの柱の傍に身を隠す。 さすが、豪邸なだけあり隠れる場所には事欠かなく便利である。 そんな事を思っている間だった・・・・・・・・・。 「ナンだ・・。先日貰ってきた・・子犬かよ・・・・・・・・。」 黒髪の長身、心なしか目許がロズモンドに似た青年が台所から出てくる。 その気配を察したのだろうか? 使用人の小間使いに扮したガストンがその男に声をかける。 「ジョン様・・・。如何なされました・・・?」 ワザト眠たそうな声を装っている事を職業柄直感でリナは悟る。 「ああ・・。お前・・最近雇った・・・。」 「ガリーヤでございます・・。そのお荷物は・・・?」 ジョン・・・と呼ばれた男の手には盆に盛られたコップと水差し・・・。 「ああ・・。妹の・・マチルダの薬だ・・・。」 「左様でございますか・・では・・私が・・・・。」 暫しの間。だが・・・・・・・・・。 「ああ・・。頼む・・・。」 そう言って盆とその中身をガストンに押しつけて何処へとも無く行ってしまうジョン。 その姿が消えるのを見計らって・・・であろう・・・。 ガシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンンンン・・。 確実にジョンが聞こえない距離に去った頃・・・。 思いきり食器を廊下にたたきつけるガストン!! 「ナンだ!!ナンだ!!」 丁度その廊下に近い部屋で眠っていたガウリイが起き、やおら室外に出てくる。 「・・・あれ・・ガストン・・。それに・・何隠れてるんだ・・?リナ・・。」 寝ぼけているのに・・それに子供とは言えプロのガストンですら気付かなかった と言うのに・・・。 なかなか鋭いカンでリナの居場所を突き止めるガウリイ。 「ガストン・・。ど〜して・・・。」 これって・・・。 マチルダ・・・・あのお嬢様の薬じゃないの・・・・??? そう言いかけるリナを遮ってガストンは・・・。 「確かに・・。薬ですね・・・。しかも・・。一思いに命を狙うよりもタチが悪い。 この薬は少しずつ投与される事で完全に精神を狂わせて・・廃人にする・・・。麻薬並のアクドイ成分なんですよ・・・・・・・・・。」 もしかして・・・。 あのマチルダの体が弱い・・と言うのは・・・・・・・・・。 「ガストン・・。そんなモン・・マチルダに盛ろうとしているのは・・・・。」 一応状況をまだ察していないガウリイがガストンに聞く。 だが、今回ばかりはガストンもそんな質問を邪険にする事無く・・・・。 「マチルダの異母兄、ジョンだよ。俺がこの薬を持って行く、と言った時もろくすっぽ反対しなかったもの・・。万が一って時には俺に責任転嫁ができるから・・。そんな程度でしょね・・・。」 面白く無さそうに廊下の一面に広がった零れた水をハンカチに染み込ませるガストン。 「万が一・・アタシの予想が正しければ・・・・・・・・。」 これは・・単なる財産を巡る良家の兄と妹の争い。 そんな所では済まされない事態になるかもしれない・・・・・・・・。 「所で・・。分かっているんだろうな・・・。」 「分かっている・・・・・・・。」 予想的中・・と言ったところだろうか・・・? 見るからにして人相の悪い男達と話をしているジョン。 屋敷の一番奥まった部分で発見した隠し扉・・・。それを伝って行ったら この場に到達した・・と言う訳である。 「お前タチから買ったこの剣・・・・。まさかルクセンブルクのエルミタージュから盗み出されたモノとはな・・・・。」 そう言ってしげしげと・・・その場に飾ってあった剣を眺めるジョン。 「まあ・・。物好きな金持ちくらいだがナ・・。そんなものを買うのは・・。しかし、この『アリエノールの剣』・・一時は『ガルバルディの剣』とカモフラージュされたようだが・・・。落とした連中は血眼になって探しているはずだぞ・・?」 そうやら・・・。 悪徳組織『ミッドガルズ』の連中がポカミスやらかして落としたものを・・。 この三流子悪党達が何らから理由で広い・・我が物としたらしい。 さしあたり、その首領がこの『ジョン』と言うわけらしい。 「・・失地王と同じ名前の癖に。生意気な・・。」 不意に隣でガウリイがくっだらない事に怒りを燃やす。 「・・・でもね・・。ガウリイ・・。ジョヴァンニに〜さまも・・・。英国読みだと『ジョン』になっちゃうのよね・・・・・・・・・・。」 「う・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」 流石にその一言が気まずいと悟ったのだろう。沈黙を余儀なくされるガウリイ。 「大丈夫心配する事は無いさ・・。『ミッドガルズ』は既に潰滅したって言うからな。 それに・・・その剣を売り捌けばお前だって・・・。お前を嫌ってマチルダに家督を継がせようとしている親父と・・マチルダを廃人にしよう・・なんて馬鹿な事考えなくてもいいんじゃないのか?」 仲間の一人がジョンにそう言う。 「あの親父と小娘は別物だ・・・。」 ありふれた台詞・・。いかにも子悪党・・。 リナがそんな感想を抱いている間にガストンの怒りは爆発したらしい!! 「フザケルな!!!」 フザケた衣装を脱ぎ捨て、更にその下に着込んでいたのだろう何時もの服装になって やおら扉を蹴り破る!! 「な・・・・・・・・・・・・・・・・。」 既に女装していたときの様に髪を束ねる必要は無し、と判断したのだろう。 肩よりも少し長めに切り揃えられた金髪を靡かせ攻撃に掛かる。 「ったく・・・・。アイツは・・・・。」 半ば呆れた様にその暴れっぷりを傍観していたガウリイも乱闘の中に飛び込んで行く決心をしたらしい。 ガストン目掛けて投げつけられた花瓶をアッサリと蹴り一つで在らぬ方向にやってしまう。 「やっぱり・・・兄弟ねえ・・。」 頭をポリポリと掻きながらリナは傍観を決め込む決意をするのだった・・。 まったく・・悪人の悪巧みの現場に踏み込むなんて・・・。 時代劇のヒーローじゃああるまいし・・・。(ちなみに日本のね!) ジョンとその犯罪組織一味が逮捕されたのはそれから間もなくの事だった。 「あの・・・。ありがとうございました・・・・。」 流石にショックだったのだろう。2,3日は寝込んでいたマチルダも人に支えてもらいながらなら歩ける程度にまで回復していた。 「もう・・大丈夫なの?」 兄に・・あんな事をされかけた・・と言うのに・・。 気丈、かつ健気・・と言った所か。 「あの・・ガリーヤちゃんは・・・・。」 ガストン女装バージョンの小間使いを探してキョロキョロとするマチルダ。 「ああ・・ちょっと・・ガ・・・・。」 リナが物陰に隠れたガストンに出てくるように言う。が・・・。彼はシ〜〜!! と言うだけで一向にマチルダからは死角になっている場所から出てこようともしない。 「ちょっと、ね・・・。」 そんな様子を悟って言いにくそうに言うリナ。ガウリイは冷やかした視線を弟に送りつけるだけ、である。 「そうですか・・・・。折角・・。色色気にかけてもらったお礼に・・。コレからはもう心配無いって事・・伝えたかった・・・・。」 そう言って傍らを支えている一人の・・ガストンより少し年上、リナよりも少し年下と言った所だろうか・・・? そんな人物を見つめるマチルダ・・・・。 「そっか〜〜!!お嬢さんの婚約者か!!」 ・・・・・おい・・ガウリイ・・・。 ガストンの存在忘れてるのか・・。それとも嫌がらせか・・・。 ともかく・・思いつきとはいえストレートに言うなよ。そ〜ゆ〜事!! 「ええ・・・。そうです・・・。」 恥ずかしそうに答えるマチルダ・・・・・・・・・・・・。 この様子からすると・・ガストンは知っていたのかもしれない。 そんな二人とガストンを見比べながら不意にガウリイが前に出る。 「これ・・。ガリーヤからのお祝い。ちょっと、あの子シャイだからさ。俺とリナに仲人代わりに渡してくれ・・って頼んだんだ。飲めば直元気になるって。」 ・・・・知らないうちに彼は入手したのだろう・・・。 『ロズモンドの子瓶』を・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 「ありがとう・・・・・・・・・・・・・・。」 本当に嬉しそうにマチルダはいった・・・・・。 「じゃ〜〜な。馬鹿兄。『こう』はなるなよ。」 バシン!! ルクセンブルクの空港までガストンを送り・・・。その別れ際に彼が ガウリイに放った一言。 「あのなあ・・・。俺は一応お兄様だぞ?おまえより長く生きてるんだゾ?」 「その割には・・。ど〜も・・進歩が無い生活してるみたいだけど・・?」 チロリ・・・とリナときっちり30センチほど距離を置いて並ぶ兄を眺めながら ガストンは呟く。 「・・・・・・悪かったな!!!」 そう言ってとっとと弟に背中を向けて歩き出すガウリイ。 「ちょっと!!ガウリイ!!待ちなさいよ!!」 不意に置いて行かれた事に腹を立てたリナはガウリイの後を即効で追う!! まあ・・・見込み皆無なわけでは無いらしい・・・・。 そう思ってガウリイは不意に苦笑する。 「ねえ・・。ガウリイ・・。『こう』はなるなって・・ど〜ゆ〜事よ。」 ガストンの言葉が気に掛かったリナはガウリイの長髪をひっつかんで問いかける。 「・・いってえな・・。後ろ見てみろよ・・・・・。」 「ぎゃああああああああ〜〜〜〜!!お母さん!!ごめんなさいいいいいい〜〜〜〜!!」「お黙り!!ガストン!!仕事のタメとはいえ・・。家は無断で出るわ・・更には『女装』はするわ!!恥を知りなさい!!恥を!!」 ギャアアアアアアアアアアアアアアア〜〜〜ンン!! 「・・・オーリママ・・。あの猛女ぶりは・・あたしの中の『アリエノール・ダキテーヌ』象ぴったり・・だわ・・。ガウリイ・・。確かにあ〜はならないで・・・。相棒として恥ずかしいわ・・ったく・・・。」 頭を抱えながら言うリナ。 「ま。俺は反抗期の子供じゃないしな・・・。」 多分・・大丈夫だろう・・。根拠は無いのだが・・・・。 などと思いつつリナに髪の毛を引っ張られたまま歩きつづけるガウリイだった。 (気が向けばまた書きます) |
11239 | 青春だね〜♪ | P.I E-mail | 7/29-22:02 |
記事番号11231へのコメント CANARUさん、こんばんは〜♪ 今回の影の主役はガストンくん!!女装の下に隠した(笑)淡い想い・・・・ うんうん青春だあ〜♪ 初恋はリナだったかもしれないけど、彼ってば案外保護欲 そそるよーなか弱いタイプの女性に弱いのかしら?お母様とは正反た・・・ ぐはあっ!!(投石注意!) ・・・え、え〜と、Pも犬派なんですよ〜(後ろを気にしつつ・汗)今飼ってる 犬も元捨て犬なんです。ヘンリー一家も全員貰い手が見つかって良かったね♪ でも捨てたヤツもまさかフランスに貰われていくとは思ってなかったでしょーね。 ・・・も〜大丈夫かな?(尚も後ろを気にしつつ) しかしリナちん!ガウリイの気持ちは知ってるくせに肝心なところでニブいん だから〜!!「あ〜はならないで」ってイミが違うでしょ(笑)・・・それに、 ガウリイが「あ〜」ならないためには、まず君がオーリママみたいにならない ように気をつけなくちゃ・・・っぎゃああああああっっっ!!!(落石注意!!) ・・・・・・・今夜はこのへんで失礼します〜(涙) ご用事&レポートが片づいたら、また新作期待してますね〜♪ ではではフ○ン様の如くPもポリバケツに隠れるとしましょう。の〜〜〜ん♪ |
11248 | ノ〜〜ン〜♪ | CANARU | 7/30-22:02 |
記事番号11239へのコメント >CANARUさん、こんばんは〜♪ >今回の影の主役はガストンくん!!女装の下に隠した(笑)淡い想い・・・・ >うんうん青春だあ〜♪ 初恋はリナだったかもしれないけど、彼ってば案外保護欲 >そそるよーなか弱いタイプの女性に弱いのかしら?お母様とは正反た・・・ ですねえ〜〜!! やっぱり「少年は少年らしくなきゃイカンなあ・・」とか思いながらも・・。 やっぱり彼の特技は「女装!!」になってしまいました!! >ぐはあっ!!(投石注意!) はううう!! ガストン君!!書いてる人に石を投げないで〜〜〜!!! >・・・え、え〜と、Pも犬派なんですよ〜(後ろを気にしつつ・汗)今飼ってる >犬も元捨て犬なんです。ヘンリー一家も全員貰い手が見つかって良かったね♪ ですねえ〜〜!! ちなみにアタシの飼ってる犬はかな〜り癖のある変なヤツです〜〜!! 「雷(ライ)」と言うのにすっごく弱虫で・・・。 あ・・今度コイツを小説に出してみたいです!! >でも捨てたヤツもまさかフランスに貰われていくとは思ってなかったでしょーね。 ですねえ・・・。 すかもマフィアの家の近くに捨てていくとは!! >・・・も〜大丈夫かな?(尚も後ろを気にしつつ) ですねえ・・・(後ろの正面が気になる〜〜〜!!) >しかしリナちん!ガウリイの気持ちは知ってるくせに肝心なところでニブいん >だから〜!!「あ〜はならないで」ってイミが違うでしょ(笑)・・・それに、 >ガウリイが「あ〜」ならないためには、まず君がオーリママみたいにならない >ように気をつけなくちゃ・・・っぎゃああああああっっっ!!!(落石注意!!) きゃあああ〜〜〜!! リナちゃん!!あくまで「偉大な女性!!」と言う意味ですわ!! オーリママも興奮しないで〜〜!! 血圧があ〜〜(がふうううう〜〜〜!!) >・・・・・・・今夜はこのへんで失礼します〜(涙) >ご用事&レポートが片づいたら、また新作期待してますね〜♪ >ではではフ○ン様の如くPもポリバケツに隠れるとしましょう。の〜〜〜ん♪ はいい〜〜♪ また「ラリ〜〜ン」と話書きます!! ではでは!! |