◆−真夏の夜の夢−エイス改め神無月 遊芽(7/31-19:24)No.11251
 ┗お久しぶりですね−月の人(8/4-09:01)No.11302
  ┗Re:お久しぶりですね−神無月 遊芽(8/4-16:29)No.11311


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11251真夏の夜の夢エイス改め神無月 遊芽 E-mail 7/31-19:24


 お久しぶりです。
 暑い日が続いてうんざり…体調も悪くてぐったり。のせいでこれなかったのですが、今日こそやります(何を)
 それから、念願のHN変えをしました。
 一応エイスは仮名前だったので。誰も知らなかったでしょうが(笑)
 と、いうわけで。神無月 遊芽(かんなづき ゆうめ)です。
んな憶えにくい名前誰が呼ぶか!というかたは、ゆうめとでもゆめとでも呼んでくださいまし。
 ちなみに由来は…
リナ「それでは本編にどうぞ〜」
 あっひどいっ。言わせてっ(笑)
 …では、長い前書きでしたがお読みくださいませ。ゼロリナです。

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    真夏の夜の夢

 
                イカナイデ


『どうして…っ!?どうして戦わなきゃいけないの!?』
私がそう言っても、彼は目の色一つ変えずに、ただ、言い放つ。
「こうなることが、僕と貴方の運命だったんですよ」
『やだ!運命なんて言葉で片付けないで!貴方を殺すなんて出来ないよ!!』
そう言う私の声が、妙に遠く聞こえた。
だけど、何故だろう。あの人の声だけ、鮮明に聞こえる。
「では、おとなしく殺されてください」
彼は閉じていた瞳を開き、顔に張り付いていた笑みを解いた。
「リナ・インバース」
途端、頭の中が真っ白になって…何も考えられなくなって…気が付いたら……。
『ゼロ…ス?』
彼は、消えていた。
『やだ!やだっ!ゼロスっ…ゼロス…ゼロスぅぅぅぅぅぅぅっ!!』

叫んでも、叫んでも、何も変わらなくて。

信じてた。運命なんてないんだって。自分が切り拓いた道こそ価値があるんだって。

でも、無かった。


   貴方だけ。




 
「ゼロスっっ」
ベッドから飛び起きると、そこは宿の自分の部屋だった。
リナは今のは夢であったことを理解し、力なく項垂れた。
「ゼロス…」
手を見ると、冷や汗でびしょびしょになっていた。きっと、体中そうなんだろう。
鼓動も、まるで何時間も走った後かのように、速く脈打っていて。
「……ゼロス…」
違う。夢じゃない。
私が貴方を滅ぼしてしまった。それは、紛れも無い現実…。
「もう…嫌だよ……生きていたくなんかないよ……」
貴方と私の道は、交わらなかった。
だけど、もう、自分で道を作っていくなんて出来ない。前の私に戻れない。

『そんなこと、言わないでください』
「え…?」
声のした方を振り向くと、見たことのある姿が目に入った。
 肩につくかつかないかほどの、漆黒の髪。
見慣れた神官服。人の身長よりも高い杖。
そして……優しい、闇色の瞳。
「ゼロス…?」
目頭から頬にかけてが熱い。視界が、少しだけぼやける。
ゼロスはそれを見てふわりと微笑んで、窓を飛び越え部屋に入った。
『リナさん。すみませんでした……』
「ゼロス、なんで…?貴方は、私が…私が……っ」
ゼロスがまるで飛ぶかのように滑らかに歩き、リナを抱きしめた。
『リナさん。これは夢です』
ゼロスの一言に、リナがゼロスの胸から脱し、信じられないように呟いた。
「夢…?」
ゼロスが、静かに頷く。
『そうです。リナさんの想いと、僕の想いが産みだした、幻影…―』
「そっか…そうだよね。じゃなきゃ、貴方がここにいるはずないものね…。
 貴方を裏切った私のところになんか…」
『違いますっ!』
突然、ゼロスがリナを強く抱きしめた。
そのあまりの力にリナは小さく悲鳴をあげるが、震えているゼロスを感じて、弱々しく抱き返す。
『違うんです。裏切ったのは僕のほうです』
「それこそ違うわ。私が貴方を裏切ってしまった…。
 貴方は私が戦えるように、感情を押し殺していたのに、解らなかった…」
そう、あの一瞬だけ、鮮明におぼえてる。
貴方が滅びる瞬間、優しく、微笑んでいたことを……―。
『いえ…貴方のために僕が勝手にやったんです…。
 だけど、結局貴方を悲しませてしまった。生きることに絶望するほどに』
抱きついている状態で、顔なんて見えないけど、何故か、あの人の感情が伝わってくる。
後悔。悲しみ。切なさ。……そして、泣きたくなるくらいの、『愛してる』……。
「ゼロス…もう行かないで…もう、もう一人にしないでっ!」
もう、視界なんてとっくの昔に見えなくなってる。
涙で滲んでぼやけた、貴方しか見えない。
『…リナさん。幻の僕だからこそ言えることを言いましょう』
ゼロスが愛しげに、リナの髪を手で梳いた。
『僕は、いつでも貴方と共にいます。例え僕が存在しなくても、貴方の心の中にずっと在り続けます。
 ずっと、一緒です』
リナの顔が、涙でぐしゃぐしゃになっていた。
不安と喜びと、自分を許せない思いが入り混じって。

『…すみません。そろそろ行かなくては』
よく見ると、ゼロスの姿が消えかかっていた。
外がうっすらと明るくなってきて、光とすら言えない光が、透明なゼロスの姿を照らす。
「行かないで…行かないでよ…。いつも、自分勝手なんだから…。
 私のことも考えてよ……」
本当は知ってる。彼がどんなに私を想ってくれていたか。
でも、素直になれない。貴方を苦しめてしまった自分が何より許せない。
 そんなリナの想いを見抜いているかのように、ゼロスが、微笑んだ。
『リナさん』
「え?」
声をかけられてゼロスを見上げると、唇に柔らかいものが触れた。
そして離れていくゼロスの顔を見て、また涙が溢れ返る。
『愛してますよ』
真っ直ぐに見つめるゼロスを見つめ返して、リナが、泣きながら微笑んだ。
「私も…好きだよ。ゼロス…」
ゼロスが、今までで最高の笑みを浮かべた。
限りなく優しくて、幸せそうな。

 そして、霧のように、消え去った。

「ゼロス…」
ゼロスを抱いていた腕が、宙を掴む。
だけど、後悔も悲しみも無かった。
一時間…いや、10分前まで限りなく喪失していた心が、今は涙が出るくらい満足感に、充実感に溢れていた。
幸せと、喜びと、そして、心の中に宿る想い人で一杯になっていた。
「ありがとう。ゼロス……」







『…さん……ナさん…』
「う…ん…」
聞きなれた声が聞こえる。だけど私は眠気に堪えきれず、起きることが出来なかった。
だが声はどんどんと大きくなり、そして最後に、叫ぶと言っても過言ではない声で言った。
「リナさん!!」
「へっ?うわっ」
耳元での大声に思わず飛び上がり、その勢いで床にまっさかさま。
鈍い音と衝撃と共に、額にじんじんと痛みがくる。
 何か気分を害された気がして、その声の少女に怒鳴りつけた。
「あ〜め〜り〜あ〜…何するのよ!!」
「ご、ごめんなさ〜い…だって今日はこの街を出る日なのにリナさん起きないから…」
「ったく…」
寝間着についた埃を落とし、すくっと立ち上がる。
そしてさらさらとした髪をさっとかきあげた。
「アメリア、先に食堂に行ってて。私も着替えたら行くから」
「はい。解りました」
言うや否や、アメリアは部屋から出て行った。
 リナはふっと溜息を吐き、ベッドに倒れこむ。
「はあ。なんか夢見た気がしたんだけどなー」
どんな内容だったかは憶えてない。
でも…。
「幸せな夢だったような気がする」
憶えてはいなくても、脳裏に焼き付いている、ゼロスの微笑み…。
 リナは手早く着替えると、扉のノブに手をかけた。
だが開ける寸前、窓に振り返り、軽く微笑んで見せた。

「ゼロス、もう悪い夢は見ないよ」
何故か言わなくてはいけない気がした。
自分でも不思議で、それを言うとすっと胸が軽くなった気がした。
「私の旅は、まだ終わってない…ううん。これからなんだもの……!!」
そしてその部屋に別れを告げ、仲間のもとへと駆けて行く少女。
辺りの空気が、柔らかく…暖かくなった気がした。





     真夏の夜が見せた気紛れな夢。

     それが本当にあったことかなんて誰にも解らない。

     だけど、それが生きていく勇気をくれたことだけは、確か。

     生きていこうとする少女に、幸運が訪れますように…。

     真夏の夜の夢が、幸せなものでありますように。

 

                       真夏の夜の夢 END

*****************************************
 小説書いたの久しぶりだわ。HP閉鎖しちゃったからだらけてたし。
 本当は掲載するの迷ったんですけどね(苦笑)

 えと、投稿は(前同然)すごくマイペースになるでしょうが、これからもよろしくお願いします。

 それではー。
    神無月 遊芽

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11302お久しぶりですね月の人 E-mail 8/4-09:01
記事番号11251へのコメント

おはようございます、月の人です。体調を崩してたみたいですが、今は大丈夫でしょうか?確かにこんなに暑いと体調崩しますよね。私も暑いのは苦手で溶けております。HP閉鎖は某掲示板で知りました。とても、残念だったのを覚えてます。でも、こちらで投稿されるとのことで、とても嬉しいです。
ハンドル名、変わったんですね。以前のが仮だったなんてびっくりしました。
改めまして神無月 遊芽様、月の人といいます。よろしくお願いしますね。
素敵なハンドル名ですね。私のなんて、なんて簡単(笑)
前置きが長くなりましたが、小説の感想です。しばし、お付き合いくださいね。

リナちゃんとゼロス様の戦い・・・リナちゃんは戦いたくないのにゼロス様の言葉がリナちゃんを・・・ゼロス様は滅びました。その出来事によって、生きる力を失ったリナちゃん。リナちゃんの言葉が心にズンッと響きました。

そして、そんな状態のリナちゃんの前にゼロス様が現れて、夢なのか、現実なのか曖昧な感じがとてもいいです。幻影・・・互いの強い想いゆえに起こった奇跡とでもいうんでしょうか?リナちゃんは自分を責めて、ゼロス様も自分を責めて、強い想いゆえに、弱い部分もあったのでしょうか?不安、恐れとか・・・
この幻影の感じがとても神秘的で私は好きです。透明な、柔らかい、切ないけど暖かい想い、気持ち・・・それらを私に伝えて胸がキュウンとなります。

泣きたくなるくらいの愛してる・・・いい言葉ですね。とても、心に響きました。
切ないけど、不安だけど、想いは強くて愛は深くて大切で守っていけるような気持ち、本当の愛・・・胸が締め付けられます。読んでいて涙が出そうで出ないような喉がカラカラと渇いて声が出せないような、今の私はそんな感じです。
これを書いてる自分はちょっと別人になってるかもしれません。でも、それは神無月 遊芽様の素晴らしい小説によっと引き出された自分かもしれません。

ゼロス様が消えそうになった時に最後に唇を重ねて、愛を確かめ合って・・・
ゼロス様の最高の笑みがとてもいいですね。
リナちゃんは救われました。それは、ゼロス様によって・・・
リナちゃんは覚えてないけど、感覚的、心の奥底では覚えているかもしれないと私は思ってしまいました。

二人の強い想いが見せた幻影、それとも夢だったのかも・・・曖昧な感じが、不思議な感じが漂ってます。リナちゃんに本当の幸せを運んであげたいですね。

やっぱり、素敵です、うっとりものです。言葉もそうですがなんていうのかな?
その小説の雰囲気とでもいうんでしょうか?神無月 遊芽様には独特の何かがありますよね。それに惹かれ、心の奥まで伝えてくれる話。切なかったけど、いろんな想いを伝えてくれて暖かくなりました。

あ〜、私に文章力があればもっといい言葉がありそうなんですが、私の頭ではこれが精一杯です。本当にありがとうございました。また、投稿された時には必ず読みますね。感想も私で良ければ書きますというか、書かせてくださいね。
それでは、かなり読みにくい文章ですが私が感じるままに書いてみました。
体には気をつけてくださいね。
素敵な小説、ありがとうございました。

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11311Re:お久しぶりですね神無月 遊芽 E-mail 8/4-16:29
記事番号11302へのコメント

>おはようございます、月の人です。体調を崩してたみたいですが、今は大丈夫でしょうか?確かにこんなに暑いと体調崩しますよね。私も暑いのは苦手で溶けております。HP閉鎖は某掲示板で知りました。とても、残念だったのを覚えてます。でも、こちらで投稿されるとのことで、とても嬉しいです。
 こんにちは。神無月です。月の人様、お久しぶりです(*^^*)
 暑い日が続いて本当嫌になります。
寒いのも嫌いですけどやっぱり暑いのは嫌ですね(笑)
 いきなりHP閉鎖してしまって、本当に申し訳ありません。
でも復帰予定はありますので、その時は是非、また来て下さいね。

>ハンドル名、変わったんですね。以前のが仮だったなんてびっくりしました。
>改めまして神無月 遊芽様、月の人といいます。よろしくお願いしますね。
>素敵なハンドル名ですね。私のなんて、なんて簡単(笑)
 そんなことないですよお。
 でも、この名前、結構考えてつけたのでそう言っていただけると嬉しいです。

>リナちゃんとゼロス様の戦い・・・リナちゃんは戦いたくないのにゼロス様の言葉がリナちゃんを・・・ゼロス様は滅びました。その出来事によって、生きる力を失ったリナちゃん。リナちゃんの言葉が心にズンッと響きました。
 ゼロス様、わざとリナちゃんを挑発したんです。
 リナちゃんが、ちゃんと自分を滅ぼせるようにって。

>そして、そんな状態のリナちゃんの前にゼロス様が現れて、夢なのか、現実なのか曖昧な感じがとてもいいです。幻影・・・互いの強い想いゆえに起こった奇跡とでもいうんでしょうか?リナちゃんは自分を責めて、ゼロス様も自分を責めて、強い想いゆえに、弱い部分もあったのでしょうか?不安、恐れとか・・・
>この幻影の感じがとても神秘的で私は好きです。透明な、柔らかい、切ないけど暖かい想い、気持ち・・・それらを私に伝えて胸がキュウンとなります。
 ありがとうございます。
 2人とも、強い想い故の脆さを持ってます。
 それが、曖昧な幻影を産んだんではないかと…。

>泣きたくなるくらいの愛してる・・・いい言葉ですね。とても、心に響きました。
>切ないけど、不安だけど、想いは強くて愛は深くて大切で守っていけるような気持ち、本当の愛・・・胸が締め付けられます。読んでいて涙が出そうで出ないような喉がカラカラと渇いて声が出せないような、今の私はそんな感じです。
>これを書いてる自分はちょっと別人になってるかもしれません。でも、それは神無月 遊芽様の素晴らしい小説によっと引き出された自分かもしれません。
 そう言っていただけると嬉しいです!
 これ、多分解ったでしょうが「幻」がテーマです。
 だから、見てくださった方々が、言葉に言い表せないような、そんな感覚を覚えてくださるように…って思いながら書いたんですけど…。
 うまく伝わってくれていれば幸いです。

>ゼロス様が消えそうになった時に最後に唇を重ねて、愛を確かめ合って・・・
>ゼロス様の最高の笑みがとてもいいですね。
>リナちゃんは救われました。それは、ゼロス様によって・・・
>リナちゃんは覚えてないけど、感覚的、心の奥底では覚えているかもしれないと私は思ってしまいました。
 リナちゃん、ちゃんと、心の奥底で覚えてます。
 頭は憶えてなくても、ゼロス様のことを心の中で記憶してるんです。

>二人の強い想いが見せた幻影、それとも夢だったのかも・・・曖昧な感じが、不思議な感じが漂ってます。リナちゃんに本当の幸せを運んであげたいですね。
 ええ、リナちゃんに幸せになってもらいたいです。

>やっぱり、素敵です、うっとりものです。言葉もそうですがなんていうのかな?
>その小説の雰囲気とでもいうんでしょうか?神無月 遊芽様には独特の何かがありますよね。それに惹かれ、心の奥まで伝えてくれる話。切なかったけど、いろんな想いを伝えてくれて暖かくなりました。
 ありがとうございます!
 私独特の何か。私自身では解らないのですが、それを感じていただけたのなら本当に嬉しいです。

>あ〜、私に文章力があればもっといい言葉がありそうなんですが、私の頭ではこれが精一杯です。本当にありがとうございました。また、投稿された時には必ず読みますね。感想も私で良ければ書きますというか、書かせてくださいね。
>それでは、かなり読みにくい文章ですが私が感じるままに書いてみました。
 読みにくくなんてありませんよ。是非、また感想をください。

>体には気をつけてくださいね。
>素敵な小説、ありがとうございました。
 いえ、身体の心配までしてくださってありがとうございます。
 月の人様も、どうぞお体に気をつけて。

 それでは。