◆−最後まで鮮やかに・・・−CANARU(8/3-09:46)No.11276 ┗鳴くまで待とう・・・(byトート閣下・笑)−P.I(8/4-00:36)No.11298 ┗幸先は良し!!−CANARU(8/4-09:07)No.11303
11276 | 最後まで鮮やかに・・・ | CANARU | 8/3-09:46 |
なんだか心臓に悪い話書きましたが・・。 一応アタシは「ハッピーエンド主義」なので・・・。 経過は目ェ瞑っていただけると・・嬉しいです・・。 ああ・・怒らないで〜〜〜(汗) 主に19世紀イタリアのガウリナ伏線・・かのう・・? **************** 重く氷に閉ざされた宮殿・・・。 本来ならば・・両手に重い、手錠に足かせをかけられている筈なのだ。 しかし・・・・・・。 『裁く者』の下した判断は・・・。 がしゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああ あああああああああんんんんんんんんんんんんん・・・・。 ガラスの粉々に砕けるような音が城中に木霊する。 「今日も『アイツ』は不機嫌なのか・・・・???」 『彼』はそう言う。しかし・・・彼は何をしようと言うのだろうか? 重く立ち込める沈黙が彼らの居る・・・おそらくこの宮殿で一番重い氷に閉ざされた 部屋で・・・『求め』こそはすれども彼は何も動かない。 「まあ・・・。少なくとも。『貴方』を拒みつづけている事だけは確かですよ。」 醒めた口調で答えるお付きの視線をかれは見返す。 「・・・・・それが何故かはわかっているだろう・・・・・???」 そう・・口にこそ出さなくとも彼は瞳でそう訴える。 「・・・・・・ま、僕が行きますから安心してくださいな・・・。」 恐らく、救う事は出切る。 彼女が「あの時」の出来事を洗いざらいぶちまけて。 全てを「告白」すれば・・・この城から出る事はできるだろう。 そして・・・・『あの時』の姿のままの彼女は永久に戻らない。 だが、彼女はそんな裏切り・・(少なくとも本人はそう感じているだろう)行為を 決してする事は無いはずだ・・・。 気付く事は無いだろう・・・・・・。 今、呼びかけてるのは「彼」であると言う事に・・・。 がしゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああ ああああああああああああああああああああああああんんんんんんんんん!!!! 部屋に近くなるにつれて響き渡るガラスの割れるような音・・・。 「はあ・・・はあ・・・・・・く・・はあ・・・・・。」 息を切らせている一人の赤茶けた栗色の髪の少女。 時代錯誤な服装は19世紀のヴェネツィア貴族を現した服装である。 氷で出来た一室、全て壁は鏡で張り巡らされている一室の中にただ佇む。 部屋の悲惨なまでの破損状況、更に全身に出来た切り傷が彼女自身が部屋を破損した 事を物語っている。 「いい加減にストレス発散の破損行為はやめてくださいませんか・・・?リナさ ん。」 「・・・・何よ。馬鹿下僕のゼロス。」 さっきまでの切羽詰まった表情は消え・・ゴキブリでも見るような眼差しをリナは下 僕・・ことゼロスに送る・・・。 「馬鹿にしてますね・・・・・・・。」 「・・・当たり前よ・・・。いい加減、この『無限地獄』におちて何世紀になるのよ ? やつ辺りも日に日にエスカレートしたって・・。文句を言われる筋合いは無いわ。」 ・・・・・・・・その理論は分からないが、間違いを一つ訂正せねば・・・・。 「ここは無限地獄ではないと何度言ったらわかるんです?あむまで『無限地獄』は 『時』と言う概念があるんですが・・。ここの『氷の空間』には『時』などと言うも のは無いんです・・。いわば・・貴方の時間は19世紀の『あの時』のそのまま・ ・。分かりませんか?本来なら・・極刑犯罪者である貴方は無限地獄におちねばなら なかったのですが・・・。」 ・・・・・・・・・最初の方はともかく、後半は完全に聞き飽きた言葉。 「分かっているわ。『裁く者』とやらの慈悲で・・アタシはここに幽閉された。」 そう・・・・・・。 在る意味時間の概念がない空間とは言え・・・。 クリスタルでつくられた円卓に刻み付けたいくつかの傷。 これを見れば『アレ』から何世紀たったのか・・分かる。時だけが過ぎる様で過ぎな い。「まあ・・貴方が『裁く者』であるあのお方の求めに応じてくだされば・・・ ・。」 「・・・・知らない。魔王の求婚なんて死んでもお断り!!」 って・・・・・・・もう死んでるんだけど・・・・・・・・。 「それか・・。どうしてもココから出たいのであれば・・・・・。」 極刑犯罪者、求婚、それ以上にうんざりとした言葉にリナは溜息をつく。 「アタシ以外に犯罪人は居ないわ。これが・・・何よりもの証よ!!」 左の腕に残る・・・・・赤い傷跡・・・。 どうやら。「時」が止まっていると言う事はたしか・・らしい。 「アタシ以外・・真犯人は居ないのよ・・・・・・・?」 そう・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 決して自分以外に犯人はいないのだ・・・・・・・。 今日も馬鹿騒ぎの続き・・・・・・・・・・・・。 一人町に逃げ出してる、エスケープ・・・・・・・・・。 もう前からずっとしている・・・・・・・・。 「リナさん・・・・。」 で親友のアメリアがそんなリナを発見して声をかけてくる。 しかし・・そんな彼女の声にリナは気付かなかった。 生まれ育った場所、ヴェネツィアの太鼓橋から下の運河を眺め・・・。 行き交うゴンドラから盛れる蝋燭の炎と馬鹿騒ぎする音を何気ない風を装いながら 眺める。 こうしてみれば美しい船の群れ。 しかし・・あの船の中で行われる馬鹿馬鹿しい演劇じみた虚栄、虚構はもう沢山だっ た。 「リナさん!!!」 アメリアの怒りの声が更に背後から聞こえてくる。 「・・・ああ・・・アメリア・・・・・?」 よ〜やっとその存在に気付いたリナはアメリアの方を振り返る。 「『アメリア』じゃありません!!まったくもう・・。マスカレードをサボったと 思ったら・・・。こんな所を屯していたんですか?」 半ば呆れた様にヴェネツィア貴族の女特有のドレスを広げる彼女。 「・・・マスカレード(仮面舞踏会)とは良く言ったモンだわ。まあ・・仮面には 『虚栄』とか『虚構』とか・・くっだらない意味しか持たない代物だから気にもなら ないけど。」あいもかわらず・・皮肉っぽい口調。 「リナさん。こんな所を一人で歩いていると・・。、オーストリアの駐屯兵に何され ても知りませんよ。治安維持なんて名目上だけですし。」 そう・・・・・・・・。 長年『共和国』であったイタリアの一国ヴェネツィアも・・・・。 ナポレオン侵攻により瓦解、更には最近ではオーストリア、ハプスブルク家の支配に 屈するようになったのだ・・・。 しかも、ヴェネツィア国民はそんな状況下でも「虚栄」「虚構」の遊びに現をぬかし ているのが現状である。 「大丈夫よ・・・・・・・・・・・・・・・・。」 根拠は無い・・・。だが、一人になりたいので適当にそんな事を言っておく事にする リナ。 「分かりました・・。『フランド・カナル』の方で待ってますから。早めに来てくだ さいよ。」 ブツクサ言いながら護衛を率いて何処へとも無く去って行くアメリア・・・・・。 「リナ・・・・・・・・・???」 リナが行き交うゴンドラの炎目掛けてワザト石を投げ込んでいたその時だった・・ ・。 異国訛りのある口調でリナの名前を誰かが呼ぶ・・・。 しかも・・・運河の方から・・・・・・・・・・・・? 橋の手すり部分に上手く隠れたつもりだったのに・・・? 石を投げた連中にバレてしまったのだろうか・・・・・・。 恐る恐る手すりから僅かに顔を覗かし、ゴンドラのほうを覗き見る。 一番最初に目に付いたものは・・・・松明に照らされて毒々しく光るオーストリア、 ハプスブルク家の・・片や雄、片や雌の頭をもった・・・すなわち双頭の鷲。 その2つの頭には仰々しい王冠が掲げられている・・・・・・・・。 深紅の布地に黄金の刺繍の旗の象徴・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 「なんで・・・・・。」 なんで支配者階級のハプスブルクの連中が・・・・。 様子からして乗船しているのはピンからキリまでの階級の士官達だろう。 その中の・・・恐らくかなりの下士官であろうが・・・。 長い金髪に青い瞳・・格別目立つ容貌の一人とマトモにリナは視線がぶつかり合う。 「・・・・なんで・・・・・・・なんで・・・・・・・・・。」 なんでガウリイが・・・・?しかも・・ハプスブルクの仕官として・・・・。 「何故・・・ガウリイはオーストリアとは決して芳しい関係とは言えないプロイセン の貴族でありながら・・・。オーストリアのハプスブルク大帝国の仕官に・・・ ・。」 これは・・何世紀もたった未だに謎の事実。 「さあ・・・。貴方のタメに彼がとった行動・・・。そこから2つの事が想像できま すが?」 「・・・・・・・言ったでしょう・・。アタシは・・・・。」 自分から・・・・絶った。それだけだ。 裁判では・・そう言った行動を起こすものは『無限地獄』に落ちる筈だったのだ。 「そうですか・・・・・・・・。」 言葉少なげに頷くゼロス。もっとも・・「納得」している様子は微塵も無い。 「彼の・・彼の時間はどうなっているの・・・・・・・???」 今は・・その事実を知りたい。 「・・・彼の時間も・・止まっていますよ・・。確実的にね。そうでなければ・・ ・。 彼は神話の時代・・オフフェウスが妻エウリディーケを生き返らせようとした様に・ ・・。貴方をこの場から連れ去ったでしょうね・・・。」 「・・・けれど。オフフェウスは・・あの世からこの世に戻るまで・・。決して後ろ は振り向いては行けないと言われたのに・・。地上の光が見えたその時・・・。後ろ を振り返ってしまった・・・。そして・・永遠にエウリディーケとは遭えなくなった ・・。」 「そう。『生きている間は』ですけどね・・・・・・・・・・。」 「何が言いたいの・・・・・???」 小馬鹿にしたように・・リナはゼロスの方を振り向きながら言う。 「・・・僕の要求を飲んで欲しい。それだけですよ・・・・・。」 そう・・・・・・・・・・・・・・・・。 「要求を飲んで欲しいだけだ・・・・。」 リナを呼び出した父親は彼女にそう言う・・・・。 「何を・・お考えなのですか・・・・・。父上・・・・。」 ついさっき・・視線のぶつかり合ったガウリイの事が頭を離れないと言うのに。 「・・・オーストリアと連携を図り、ヴェネツィア国内での生き残りを賭ける。それ だけだ。」 冷徹に言い放たれるその言葉にさしものリナもムっとする。 「なんでです?アタシ・・・まだ18ですよ!!?しかも・・・・・・・。」 ヴェネツィアの敵であるハプスブルク家の者と政略結婚でなんて・・・。 「そんな事は関係は無い。お前を裁けるのは・・・この『時代』と『方針』だけ だ。」 アッサリと言い放たれるその言葉・・・・。 リナにさっさと背を向けて去って行く冷徹な父親。 「冗談じゃ無いわよ・・・・・・・・・・・・・・。」 項垂れて窓の外にリナは思わず目を向けて見る・・・・・・・・・・・・。 「反逆・・・・・・・・・・・・・・・。」 掲げられた旗の目印にリナは思わず目を凝らして見る。 そう・・・・・・『反逆』・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 自分自身を決めるのは・・・自分だけなのだ・・・・・・・。 「リナ様???」 知り合いのナショナリストの軍人がリナの姿を認めて思わず声を出す。 「シ!!」 オーストリアに反逆を企む組織の軍人の総大将たる人物が知り合い出会ったのが不幸 中の幸い・・である。 「これ・・父の机を漁って見つけたのよ・・・・。」 物陰に隠れたままリナはそっと総大将に教える。 「・・・これは・・・・・・・・・・・・・・・・・。」 手渡された紙をみて驚愕の声を上げる総大将。 「・・・・・。オーストリア軍の3週間後の軍の駐屯地よ・・。そこに行くまでの コースも明確に記されているわ。 そこを・・奇襲して!!」 そう・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 全ては・・そうすれば終わるのだ・・・・・・・・・。 「リナ・・。リナ!!!」 窓に小石が投げつけられる。 その僅かな音にリナが目を覚ましてあたりを見まわしたのは夜半過ぎのことだった。 「・・・・・・誰・・・・・・・?」 幸い部屋は1階である。リナは窓からさっさと中庭の方に歩き出す。 「・・・俺だよ・・・・・・。」 ・・・・・・・・・・・・・ガウリイ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・。 「ビショビショじゃないの・・・・。」 「ああ・・。運河を泳いでここまで来たからなあ〜〜〜・・・。」 ・・・ナンという事をする奴だ・・・・・・・・・・・・・・。 グランド・カナルの運河を泳いで渡るなんてかなりの根性が必用な事なのに。 「なんでまた・・ンな無茶な事・・・。」 半ば呆れながら思わず外まで持ち出していた毛布をガウリイ渡して風邪をひかないよ うにしてやる。 「・・・言わせるのか・・・・・・・・?」 「何を!!」 わざとガウリイの髪を拭く手に力を込めてみせる!!! 「いでで!!ったく!!お前が子供の頃・・。プロイセンの俺の住んでいる地方に来 ただろ?それから・・・・その後も時々・・おととしまでは・・・・。」 ブツブツと声のトーンを落としながらガウリイが言う。 「おととし・・アタシの父は新オーストリア政策に乗り換えたの・・。だから・・。 アンタとアタシが親しくするの・・好まなかったのよ・・・・。」 昔の事だと・・・思っていたのに・・・。 二人で遊びまわった・・海の都ヴェネツィアには見当たらない美しいドイツの自然。 今でも否が応でも目に浮かんでくる。 「そのために!!!」 熱心に何かを言おうとするガウリイをリナは一瞥のみして黙らせるリナ。 「お願い・・・・・・・・・・・・。忘れてよ!!!」 今は・・そうとしか良い様が無い。 「・・・お前は望んでるのか・・・?」 不意に今度はガウリイがリナに詰問口調で告げる。 「何を・・・・・・・・・?????」 「オーストリアの・・高官と・・政略結婚するんだろ・・・?」 「・・・・まあ、ね・・・。 望んではいないわ・・・。けどね・・。状況が・ ・。」 「分かった・・・。」 怒ったように言って立ち上がるガウリイ。 「そう・・・・・・・・。」 「だがな・・。言っておく。『諦めた』訳ではない・・・。良いな?」 「・・・・ご勝手に・・・・・・。」 できれば・・・・プロイセンに帰ってほしい・・・・・・。 そうすれば・・何処にでも一緒についていくというのに・・・・・・・・・・・。 「永遠のすれ違い・・・だろうかな・・・・?」 苦笑しながら・・彼・・ガウリイはゼロスに言う。 「さあ・・。どうでしょう・・。所で・・どうです?貴方を拒んだリナさんを『裁く 者』となった気分は・・・・。」 自分の残した未練が・・失ったハズのリナを永遠に束縛・・するかもしれない身分に 自分をつかせた・・・。 法廷では・・とっくにガウリイは『転生』を許された身分なのだが・・・・。 「良いわけ無いだろ・・・。彼女は・・本来なら『無限地獄』に落ちると自分では 言っているんだな・・・・。」 それが・・なお更今の彼女が彼を拒む理由。そして・・昔のガウリイを庇う理由。 「まあ・・。理由はわかっていますが。貴方の命令通り・・話しは聞き出そうとして も・・真実は知らないフリをしてますよ・・・。」 なかば欠伸をかみ殺しながらゼロスが言う。 「ま・・。一応の上司とは言え・・。お前は本来『闇の裁判官』に遣えるやつだから な・・。俺の残りに残った『人間的私情』なんて・・。つまらない限りだろうな・ ・。」 苦笑しながらガウリイは氷でできた部屋・・・。 しかし、リナのそれとは違い、プリズムの反射すら望めない重苦しい黒いガラスで被 われた部屋を眺める。 「誉め言葉・・と受けとっておきましょう・・。そうそう・・・。 何も変化は無いとは思ってましたが・・。ついに・・リナさんが承諾しましたよ。」 事も無げに言ってのけるゼロス・・・。 「・・・・・・・・・馬鹿な・・・・・・・・・・・。」 真実を告白して・・彼女が正しい裁き・・『転生』を許される身になることを望んでい たと言うのに・・・・・・・?????? 「嘘だ!!!」 軍団が反乱軍を見事に鎮圧したその夜のことだった。 上官から状況を聞いたガウリイは思わず声を荒げる。 「嘘も何も・・。事実だ。反乱軍の首謀者がゲロったぞ。黒幕は・・・。 『ヴェネツィア貴族の娘、リナ=インバースだ』とな。」 実に実務的な口調で上官はガウリイに言う。 逃亡中の小娘一人くらい、簡単に見つけ出せる・・と言った口調だった・・。 「・・分かりました・・。俺も・・探しにいきます・・。」 そう・・悪まで「探す」までだ!! 「痛!!!」 先ほどオーストリアの軍団の追撃から逃れてからまだ2分とたたないが・・。 既に新たな追っ手があちこちに配備されていることは松明の状況からしてわかった。 「・・・この路地から・出るのは危険ね・・・。」 運河がすぐ隣にまで迫った建物と建物の間にはさまれた小さな路地。 かなりの安全性は確保できる事は確か・・である・・・。 それに・・・追撃で手首をやられ・・・・そこから止めど無く血液が流れ出ている。 ・・・・・・血を頼りに・・追撃される恐れもあるし・・・・・・。 「リナ!!!!」 松明の一つが隊列を離れてこちらにやって来る・・・。 ソレと同じに聞こえたのは・・・・・・ガウリイの声だった・・。 「ガウリイ!!!」 助かったの・・・・?頭の中で僅かにそう思うのだが・・・・。 「すまない・・・・・。リナ・・・・・・。」 不意にガウリイが真剣な眼差しでリナに謝罪する。 が・・それも一瞬の事だった・・・。重く項垂れ・・肩は震えている。 「ガウリイ・・・・・・・・・・・・???」 「・・・昇格したかった・・。お前の身分につりあうように・・。けど・・。結果・ ・。反乱を鎮圧した結果・・・・・・・・・・。」 お前を追い詰める事に成った・・・。 今から・・・一緒にプロイセンに・・・・・・・・・・・・・・・・・。 そう・・・言いたかった・・・・。 「追ってが来た・・って訳ですね・・・・・・・・。」 「ああ・・・・・・・・・・・・。」 咄嗟な事にガウリイはリナを運河に突き落とし・・逃げる事を願った。 無論・・軍規に違反した自分の運命は。言うまでも無いのだが・・・。 「迂闊だったよ・・。リナが・・あの手首の傷がもとで・・・・・。」 浅瀬の運河だった・・・。しかも・・リナが疲労、疲弊し、手首を負傷していた事を 知るものはガウリイ以外に誰も居ない。 更に状況的に彼女は「追い詰められていた」のだ・・・・・・・・。 「誰も・・。分かるわけ無いよな・・・。在る意味俺が殺したって事・・・。 更に・・あの手首の傷ときたもんだ・・・・・・・・・。」 苦笑しながらガウリイは更に言う。 「まあ・・。『自殺』は無限地獄行きの極刑。更に・・貴方が本来受けるべき刑も・ ・。 転生を許されるとは言え軽いものではありませんし・・・。それを考えればリナさん は・・。貴方を助けるために無限地獄に落ちる事もじさない・・んでしょうね・・ ・。」 「でも・・・・。それも今日で終わりだ・・・・・・。」 「花嫁衣裳は要らないわ。」 アッサリとリナはそう言ってのける。 「なら・・。何が必要で・・・・・・??」 「・・時間が止まってるんでしょ?そんな装束は無意味よ・・。必用なものは・・。 立派な剣を一つ。」 アッサリと言ってのけるリナ。まあ・・今着ている19世紀のドレスでも充分立派な もので通用はするのだが・・・・・・・。 「何故・・・・・・・?」 「物事は・・剣に賭けて誓う主義なの。」 そう・・・・・・・・・・。 剣にかけて誓うわ・・・・。アタシは無限地獄に落ちても構わない。 しかし・・その『裁く者』とやらはガウリイの魂までも捕らえているに違いなかっ た。 それを・・・・・・今すぐ断切る。それだけだった・・・・・・・・・・・。 「俺を・・消すつもりなんだろ?」 不意に聞こえるのは・・・何世紀たっても決して忘れる事もできない声。 「ガウリイ・・・・・・・・・・???」 思わずリナは其方を振りかえる・・・・。 何も変わっていない・・・・・・・・・・。19世紀のオーストリア軍の軍服も・ ・。 更に言えば・・・血に塗れた(最後にガウリイを見たときにこびりついていた)血塗 れの紋章も・・何一つ・・・。 「なんで・・・・・・・・・・・・・・。」 彼は・・『囚われて』いるのでは無かったのだろうか・・・? 「俺が・・・。お前を『裁く者』だから・・・からかな・・・・・。」 未練が・・すべてを束縛していた・・・・。 既にガウリイはリナを裁く事は許されないだろう・・・・・・・・・。 全ての出来事の浄化を一任されたのはリナ・・その人なのだ・・・・・。 城のあちこちにひびが入って来ている・・・。 「氷の城が崩壊し様としているんだ・・。」 「アタシは・・。無限地獄に落ちるの・・・・・?」 いいや、とガウリイは頭を振った。既に、その裁きは彼自身が下していた。 後は・・・リナの気持ち・・それだけを束縛していた。それだけだ。 「後は・・。お前次第・・。けどさ・・・。これだけは言わせてくれ・・・。」 リナの構えた剣をそっとその手から奪い取り、必要はもはや無くなった、とばかりに ひび割れて氷の海を覗かせている流氷の裂け目に放り投げる。 みるみる間に剣はその重さも手伝って海底に・・・沈んで行く。 『帰ろう・・・・・・・。リナ・・・・・.』 すれ違った・・何世紀前かの・・止まったときの中から・・・・。 いや・・時は『止まって』はいなかった。 『止めていただけ』なのだ・・。ガウリイの未練・・そしてリナの潜在意識が。 「・・・・・分かった・・・。帰ろう・・・・・。ガウリイ・・・・・・・。」 氷の城が崩壊したのは・・それから間も無くの事だった・・・。 ローマにあるエステ家の噴水・・・・。 ピョコン!!と女学生がそこから顔を覗かせる。何かを探るような視線で。 「何やってるんだ!!リナ!!」 ぎゃあああああああああああああ〜〜〜〜〜〜!!とその少女は声を上げる!! 「何よ!!ガウリイ!!びっくりしたじゃないのおおお〜〜〜!!!!」 「お前・・。学校帰りだろ・・・。遊ぶのは自由だが・・。8時以降は出歩かんくれ ・・。 心臓に悪い!!」 「・・・・。何よ・・。ガウリイ・・。アタシに『学生結婚』要求した割には・・。 子供扱いするんだから!!」 不貞腐れた様子にやれやれ・・と思うガウリイ。 「で、奥様はな〜〜んでこんな所で遊んでたんだ・・・。」 やれやれ・・と更に頭をボリボリ掻きながらガウリイ。 「あのね!!ローマのエステ家の噴水の傍ってね!!時代、場所を超えて色色な幽霊 が出現して語り合うんですって・・。もっとも・・本物の幽霊じゃなくって『残留思 念』とも言われてるけど・・。本物の魂はとっくに転生しちゃってるんですって! !」 目を輝かせながらま〜〜〜ったオカルトチックな事を言う・・・・・。 「分かった、分かった。学校の怪談ナ。かえろ〜ぜ。」 「何よ〜〜〜〜!!馬鹿!!」 言いながら一緒に並んで歩き出すリナとガウリイ・・・。 そこに・・・・。 『あの時』の残留思念が笑いながら見ている・・と言う事も知らずに・・・。 (お終い) |
11298 | 鳴くまで待とう・・・(byトート閣下・笑) | P.I E-mail | 8/4-00:36 |
記事番号11276へのコメント CANARUさん、こんばんは〜。お帰りなさいです♪ レポートお疲れ様でした!ひさびさの新作ですね〜♪ じつはちょうど宝塚版「エリザベート」のビデオ観て、文庫本を読み直した ところだったので、『裁く者』ガウリイがトート閣下に見えましたよ〜(はぁと) リナに真実を語らせるために正体を隠し自分との結婚を迫るガウリイ。 そのガウリイの魂を救うためリナが求婚を承諾したとき、 すれ違いを続けてきた二人の運命が動き出す・・・・・・ ・・・くうぅ〜〜〜かっこいい〜〜〜〜!!!(嬉々煩悶!) ラストではしっかり転生した二人が夫婦!しかも学生結婚!やるなガウリイ!! きっと前世の記憶がどっかに残ってて、「先手必勝!!」とばかりに 先物買いに走ったに違いない!(笑)二人が時を超えて幸せに結ばれて ほんとに良かったです〜(^0^) 「気まま」の続きも気になりますけど、またこーゆー歴史モノガウリナ読ませて ほしいです〜♪ 余談ですが、19世紀イタリアを舞台にした小説で「マルヴェッツィ館の殺人」 上・下(講談社文庫)という本を最近読みました〜。ミステリですけど、 当時の貴族社会やオペラ座について丁寧に描かれていてなかなか良かったですよ。 それではまた〜!! |
11303 | 幸先は良し!! | CANARU | 8/4-09:07 |
記事番号11298へのコメント >CANARUさん、こんばんは〜。お帰りなさいです♪ >レポートお疲れ様でした!ひさびさの新作ですね〜♪ はい〜〜♪ ナンだか「闇の末裔」(今度アニメ化されるようでっす!!)という漫画、 プラス「エリザベート」&「ジバクくん」(ウロボロス〜♪) のような話になってしまいました〜〜!! >じつはちょうど宝塚版「エリザベート」のビデオ観て、文庫本を読み直した >ところだったので、『裁く者』ガウリイがトート閣下に見えましたよ〜(はぁと) ははは〜〜〜!! 実はイメージ的にトートの下僕がゼロス!!だったりします〜〜!! 閣下、一時的にゼロスをガウリイの下僕に貸してやったんですね〜(汗) >リナに真実を語らせるために正体を隠し自分との結婚を迫るガウリイ。 >そのガウリイの魂を救うためリナが求婚を承諾したとき、 >すれ違いを続けてきた二人の運命が動き出す・・・・・・ >・・・くうぅ〜〜〜かっこいい〜〜〜〜!!!(嬉々煩悶!) はううう!! 何故か書いているうちにそ〜んな展開が思いつきました!! 無限懲役がそのときに終わる・・などと〜〜!! >ラストではしっかり転生した二人が夫婦!しかも学生結婚!やるなガウリイ!! はいいい〜〜!! 書いているうちにラストはそ〜なってました!! ああ・・ガウリイの呪いでしょうかあ〜〜(汗) >きっと前世の記憶がどっかに残ってて、「先手必勝!!」とばかりに >先物買いに走ったに違いない!(笑)二人が時を超えて幸せに結ばれて >ほんとに良かったです〜(^0^) やっぱりハッピーエンドに限ります〜〜♪ しかも・・かなりリナちゃん、ガウリイ君に迷惑かけて遊んでますしね!! 早物かいでも成功だぞ!!ガウリイ!! >「気まま」の続きも気になりますけど、またこーゆー歴史モノガウリナ読ませて >ほしいです〜♪ はい〜〜!! また何か考えますね〜〜♪ >余談ですが、19世紀イタリアを舞台にした小説で「マルヴェッツィ館の殺人」 >上・下(講談社文庫)という本を最近読みました〜。ミステリですけど、 >当時の貴族社会やオペラ座について丁寧に描かれていてなかなか良かったですよ。 う〜〜みゅ!! 19世紀のイタリアの話はまだ読んだこと無いので 今度探してみますね!! >それではまた〜!! では!! |