◆−クラゲ事件簿−CANARU(9/11-20:14)No.11845
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  ┗今回はギャグでした〜♪−CANARU(9/12-10:48)No.11851


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11845クラゲ事件簿CANARU 9/11-20:14


ガストン・ルルー作の「オペラザの怪人」をヒントに書いた話です。
まだ小説は全部読んでないんですけど・・まあ、ラストは自己流と言う事で(汗)
ちなみに某連載中のシリーズに出てくるオリキャラはこのガストン・ルルーから取った
名前ではなく、16世紀の対ヴェネツィア戦線のフランス、フェラーラ公国同盟軍指揮官
ガストン・ドゥ・フォアから取ったものです。あしからず(って、どうでもいいか)。
*************************

湿気が辺り一面にまとわりついてくる・・・・。
「なあ・・・・リナ・・・・・・・・・・・。」
「なによ、ガウリイ・・・・・・・・・・。」
場違いな雰囲気のする場所に出てきている事はリナにも充分自覚は在る・・・・。
しかし・・・旅の最中の山道ならまだしも・・こ〜んな街中で、ましてやクラゲのガウリイに『道に迷った』なんて悟られてはいけないのである!!!!
だが、ガウリイの考えは別の所にあったようである。
「変な気配しないか・・・・?」
この雰囲気ではそんな事態が起こっても誰も疑問に思わない事は確かだろう。
「・・・この霧に・・前世紀の建物・・。たしかに何かが『化けて』でそうな雰囲気は
するが・・・・・。」
ゼルもリナ同様何も察知は出来ていないらしい。
「・・・魔族のモノでないことは確かですよ・・・・。」
流石は姫巫女。アメリアはガウリイ以上にその「気配」を正確に感じていたらしい。
「・・・・あの建物のあたりが怪しいんだ・・・。」
クイクイっとリナのマントを引っ張りながらガウリイはその『建物』を指差してみせる。
石造りの・・・中世の城を連想させるカステル・・・・・・・。
先ほどからリナ達普通の旅人など場違いと思われるほど正装し、着飾った連中が馬車で行き来しているのである。
「・・・・劇場か・・何かかしら・・・・ね・・でも・・・。」
リナがその一言を言い終わるか終わらないかのうちだった・・・。
「クリスティーナ!!捜しましたよ!!!!何処に消えたかと心配したじゃないですか〜〜〜〜〜!!!!」
劇場の案内係りだろうか・・・?
不意に一人のオバちゃんが豪華なマホガニー造りの彫刻の施された扉から飛び出してきて・・。
「なんですか〜〜〜!!その服装は!!さっさとステージ衣装に着替えて!!
って・・あれ・・其方の人達は・・・?????」
ガナるだけガナり立ててリナに飛びついてユサユサと首を掴んで揺さぶる!!??
「ぎぎぎぎ〜〜〜ぐぐぐぐぐぐぐぐ〜〜〜〜!!」
「ほら!!早く!!早く〜〜!!今日はあの傲慢稚気なシャルロッテが急病で貴方に代役が回ってきてるんですよ・・って・・聞いてます??」
尚も首を絞め続けられ、半ば泡吹きながら卒倒しかけるリナ・・。
「違う!!オバちゃん〜〜〜!!そいつはリナ!!クリス・・ナンだかって人じゃないぜ・・・・!!」
「に〜ちゃん!!クリスティーナのファンだね?そんな事言ってこの子を連れだそうなんて考えたって無駄だよ!!」
ガウリイの抗議にも耳を貸さないオバちゃん・・・・。
「マダム!!違います!!その人はリナさん・・・。『あの』リナ・インバースで・・。
有名なオペラ歌手のクリスティーナさんじゃ本当に無いんですうううう!!」
流石は王族・・・・。
どうやらこのオペラ座の歌手・・・オバちゃんの捜している『クリスティーナ』を知っているらしいアメリア・・・。
「またまた!!お嬢ちゃんまで!!第一ね!!ウチのクリスティーナが『あの』リナ・インバースにそっくり・・な〜んてゴシップにもならない超三面記事のよ〜な事態が起こったらたまったもんじゃないよ!!」
「ぐぶ・・ごびゃむむいしぃあおきゃべやいゅあお!!!ぐべびゃ〜〜〜!!!」
更に首を絞めつけられ、訳の分からない台詞を吹き出すリナ・・・。
「ぎゃああ〜〜〜!!ゼルガディスさ〜〜〜ん!!助けてくださいいいい!!
リナさんが死んじゃいますううううう〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
大分顔色がヤバくなってきているリナを見ながらアメリアがついに泣き出す!!
「・・・おい・・。冷静に考えて見ろ・・。おい、リナ。何か抗議があるなら言って見ろ。」至ってクールな態度をくずさないでゼル・・・・。
「ぐべひばああ・・がご・・びば・・びんびゃぁぶって・・・ぐび・・・・・・。」
「『アメリア・・あの、リナ・インバースって・・と聞いているぞ。」
言葉にならないリナの言葉を態々翻訳するガウリイ。
「・・なあ・・・。オペラ座の一流歌手が・・。こんな情けない声出してたまるか?」
ゼルの一言に不意にオバちゃんの手が緩む・・・。
「・・・それもそうだね・・・・・・・・・・・。」
どさ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「げべ・・ごほ・・ごほ!!!誰のせ〜よ!!誰の%81I!」
ココが高級劇場の立ち並ぶ大通りでなかったら攻撃呪文の一つや二つ、ブチカマしている所である・・・・・・・・・・・。


「いやあ・・。ウチの案内係りがとんだご無礼を致しましたね・・。」
アメリアのセイルーン王家の名前が効いたのか。
それとも『あの』リナ・インバースの名前が効果覿面だったのか。
オペラ座の支配人と言う二人組みがリナ達一行を応接室に招き入れたのはそれから暫くしての事だった。
「まったく・・どえらい迷惑よ・・・。」
未だにゴホゴホとしながらリナは差し出された氷水でズキズキしている喉を冷やす。
「ああ・・。お気になさらずに。あのマダムはもう直くびにしようと丁度思っていた所でしてね・・・。」
苦々しそうに支配人の一人がリナに向かって告げる。
「おさっさなだけでクビ・・ですか・・・?」
アメリアが同情した様に言う。
「いいえ・・・。あのマダムはね・・ココが一寸イカれてるんですよ。ココが、ね。」
言いながら支配人の一人は自分の頭をチョンチョン、と指差す。
「・・・・・・・・」
「・・・俺と同じでクラゲなのか・・なんて言うなよ・・ガウリイ・・・。」
ゼルに魂胆を察知され突っ込みを入れられて少々寂しそうな表情をするガウリイ・・。
「頭がおかしい・・・・って事・・・・・・・・?」
「ええ・・。オペラ座の怪人がどうのこうの・・な〜んておかしな事を言うんですよ。
まったく・・クリスティーナが失踪して大変だって言うのに・・・・・。」
そうとだけ言って不意に支配人の目がリナに止まる・・。
「はへ・・・・・・・?」
「・・・クリスティーナが・・・・・・。」
「ああ・・・。そうだな・・・クリスティーナが・・・・・・・・・・・・・・。」
不意に目を合わせて示し合わせて頷く二人の支配人・・・・・。
かくして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


「お〜〜〜〜い!!リナ〜〜〜!!何処だ〜〜〜!!!!」
ガウリイの絶叫が辺り一面に響き渡る。
「・・・・知らせます・・?ゼルガディスさん・・・・・?」
「やめとけ・・・。舞台を見て卒倒されるだけの方がまだしもタチが良いし後始末も楽だ・・・。」
何時の間にか失踪したリナを捜して舞台裏をくまなく漁るだけでもかなりタチが悪いガウリイ・・・。
「リナ〜〜何処だ!!」
「ガウリイさん・・。リナさんは小道具じゃありません・・・。」
小道具箱を引っくり返したガウリイに冷たく言い放つアメリア。
「リナ〜〜〜!!晩飯オゴるから〜〜〜!!出て来い〜〜!!何処だ!!」
「ガウリイ・・。リナはシャンデリアじゃないぞ・・・・・。」
何やら電灯周囲をいじくりまわし始めたガウリイにゼルも冷たく言う・・・。
「頼むよ〜〜〜!!リナ!!出てきてくれ〜〜〜〜!!」
「あああ!!もう!!兄ちゃん!!折角片付けたのに!!ゴミを漁るんじゃないよ!!」
ゴミ箱まで漁り出したガウリイに掃除のオバちゃんが説教をたれる・・・。
「・・・・卒倒するまで奈落の底に放り込んどけば良かったかな・・・。」
「そうですね・・・・・・・。」
平謝りをするガウリイに視線を向けながらゼルとアメリアがコソコソと話をし合う。
かくもするうちに・・・・。
ヴェルディの『リュクレース・ボルジア』の酒盛りの歌が流れ始める。
まだまだ『ファウスト』は確かに次ぎのプログラムと聞き及んでいる。
と、言う事は・・これは恐らくオペラとは無関係の一曲、ウォーミングアップと言った所か?
リュクレース役の女性のソプラノの声がここまで響き渡る。
「・・・リナ・・・・・・・・・・・・・・???」
ぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ・・・。
首だけ舞台のほうに向けながらやぽらガウリイがそう口にする・・・。
「・・・・なあ・・・。ゼル・・アメリア・・あの歌・・リナが歌ってるんだよな・・?」 不意にガウリイが二人を問い詰める様に言う。
「・・・・さあ・・ナンの事・・だか・・・って!!ガウリイ〜〜〜〜!!!」
「ぎゃああああ〜〜〜〜〜!!ゼルガディスさ〜〜〜ん!!ガウリイさんが卒倒しちゃいましたああああああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
予想していた事態とは言え・・・。
こ〜も盛大に倒れられてはさしものゼルとアメリアの手にも余ったりするのだった・・・。


この気配は・・多分ガウリイやアメリアも気付いていないかもしれない・・・。
困惑・・だろうか?それとも・・・・はたまた・・・・。
先ほどの『リュクレース・ボルジア』の酒盛りも歌も終わり・・。
ついに本題の劇『ファウスト』に失踪したクリスティーナの代役(と、言っても周囲は本物と信じきっているのだが・・・)舞台になったリナに五番ボックスあたりだろうか・・?
その辺から強い、違和感を持ってもおかしくない視線が注がれている。
無論、あんまり好い気がしないのは確かである・・・・・。
『ああ・・この静けさ・・この幸せ・・言い様も無い神秘、この気だるさ・…』
死に装束を纏ったマルガレーテが歌うラストのシーンへと舞台は移行を始めている。


「・・・リナさん・・。口パクじゃあ無いんですね・・・。」
感心した様に舞台裏からリナの熱演を眺めていたアメリアが言う。
「そろそろラストだな・・って・・ガウリイ!!!」
何時の間にか復活しているガウリイが何処へとも無く・・いや、舞台の方へ向かって
突進している?
「ぎゃあ〜〜〜!!嫉妬しちゃってるんですか〜〜?ガウリイさん〜〜〜!!」
事態が飲み込めずに絶叫して見る事にするアメリア。
「リナ!!」
一閃する銀色の刃・・・・・・・・・・・・・・・・。
それと同時に・・・・。
ガラガラガラガラガラガラガラシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアンン!!!
「・・・・・ナンなのよ・・・・。」
いっきにオペラ座全体の照明が掻き消え、バラバラになって客席の一部に
シャンデリアが砕け散る・・・。
「・・間に合ったか・・・。」
息をつきながらガウリイは照明が消えているのを良い事に舞台の上のリナ
に近付いて行く。
「・・・どう言う事なの・・・?」
「ああ・・・。あのシャンデアの留め金が揺るんでか・・。それとも『緩められた』
のか・・。ともかく落下しそうになってたから剣でパーツをバラして被害を最小限
にしておいた・・・。」
事も無げに大それた自体の事を説明するガウリイ・・・・・。
「・・・・・まさか・・・・・・・・・・・。」
信じられない、と言った様子で隣にいるガウリイの方に一歩近付こうとリナは
するが・・・。
グイ、っと何時の間にか真後ろにいた彼に腕を引かれて・・・・。
強いて言えば今踏み込もうとした場所を見るように頭を動かされる・・・。
「・・・舞台の奈落じゃないの・・・・。」
蟻地獄のように広がる暗闇・・・・・・・・・・。
意図的にこの舞台に立った誰かを・・深い穴の奥に何者かが引きずり込もうとした
事は明白・・・・である。
「あのリナの事・・。クリスティーナさんだっけか・・・?とにかく・・。
彼女と間違えたオバさんに話を聞いてみる必用ありだな・・・。」
未だに肩と頭を支えたままガウリイがリナに言う。
「・・・・そうね・・・・・・・・。」
そう答えながらもリナは足元に落ちている一枚の楽譜に目を凝らす・・・・。


『勝ち誇るドン・ジョヴァンニ』・・・・・・・・・・・。
曲名にはそう明記されたその一枚を眺めながらアメリアはう〜〜〜んと考える。
「・・・知らないです。こんなオペラ・・・。それに、これ一枚じゃどんな曲か断定もできませんし・・・・。」
王族の彼女がそう言うのだから博識のゼルもまったくお手上げ・・とでも言うように
ガウリイとリナを見遣る。
「オリジナルの未完成の曲・・と考えるべきですね。リナさん・・・。」
そう言いながら楽譜を拾い主のリナに返却するアメリア。
「ドン・ジョヴァンニってさあ・・。あの風車を化け物と思って部下と一緒に
突撃していった・・。昔話で聞いたあの変な騎士のことか〜?」
不意にガウリイが馬鹿げた事をリナに聞いてくる。
「・・・あのなあ・・。それは『ドン・キーホテー』だ。このドン・ジョヴァンニとは無関係だ!!」
さしものゼルも呆れ果てた口調でガウリイに説明する。
「ふ〜ん・・。同じ『ドン』って名前だったから。あはは〜〜♪」
恥じ入ったのか、珍しく照れたような口調でガウリイは返答する。
「・・・あのねえ・・。ガウリイ・・。『ドン』は名前じゃなくって・・。一定の
地方で『Mr.』とかと同じように使われている・・。いわば『〜さん』的な言い方なのよ。まあ・・結構知らないと名前と間違える人多いけどね・・。」
「方言みたいなもんですね。」
リナとアメリアが更に説明をする。
「・・・・そ〜なのか・・・?」
「そうよ・・・。まあ・・『ユリウス・カエサル』が読み方によって『ジュリオ・チェーザレ』になったり有名なののでは『シーザー』になったりするようなモン・・・。」
そこまでいってリナは不意に言葉を切る。
「・・・・・そういえば・・・だな・・・・・。」
彼女の意図に気付いたのかゼルまではっとした表情を浮かべる・・・・。
「・・・そう言う事って・・ど〜ゆ〜事だ・・・?」
「・・地方によって『ジョヴァンニ』の読み方は『ファン』(ホアン)にもなるのよ・・・。ねえ、アメリア。オペラ『ドン・ファン』と言えば・・。分かるでしょう?」
「ええ・・・。物凄い女誑しの話です。結局主人公は墓石に埋れる運命ですけどね・・。」すなわち・・・・・・。
勝ち誇るドン・ファン。
これはこのオペラ座の何者かが『墓石』に埋もれる・・と言う事か。
はたまた『ドン・ファン』が墓石の中から復活する・・と言う事か・・・。
「ともあれ・・。挑戦状って事には変わり無いんだろ・・・?」
さしものガウリイにもこの事態は飲み込めるに至ったらしい。
それだけ分かれば上等・・・・である。


「あの怪人はね・・。このオペラ座の五番ボックスの席を自分のタメに常に開けておく事を要求してるのさ・・。もっとも・・。その警告を破った支配人二人組みがひっどい目に遭うのはもうじきだと思うけどね・・・。」
リナを失踪したクリスティーナだと思い込んだオバちゃんが五番ボックス席を指差しながら説明する。
「ふ〜〜ん・・・・。まあ、その怪人って言うのは声は聞こえても姿は見えない・・。
特等席であるあの席のチケットを売り捌かないテはないでしょうし・・・。」
それが・・・。
今回リナを怪人が(?)奈落の底に突き落とそうとした事と何か関連があるのか・・?
ましてや昨日の講演のときは偶然とは言えこのボックスは空席だったという。
そうなれば・・怪人の要求にはどんな形にしても従った事になるだろうし・・・。
だが・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「怪人は酷くクリスティーナ嬢にご執心でね。『ファウスト』のマルガレーテ役を彼女にやらせろ・・と度々警告の手紙をよこしたもんだ。けどね。支配人は前にも言った傲慢稚気なシャルロッテって女をその役につけたもんでね・・。もっとも・・・。シャルロッテのマルガレーテは大失敗さ・・。もともと彼女は人気落ち目で降板間近・・って感じだったんだけどね・・・・・・・・。」
思い出した様にオバちゃんは身震いしてみせる・・・。
「・・・・なるほどね・・・・・・・・。」
もしも怪人とやらがリナがクリスティーナでは無い、と言う事を見抜いていたとしたら。「あの惨事の説明もつきますね・・・。」
リナの隣で静かにアメリアが呟く。
「問題は・・。クリスティーナが何処に消えたか・・と言う事だな・・・。」
居眠りしているガウリイを尻目にゼル。
「とにかく・・。手掛かり他に無いんだろ・・?リナが落とされそうになった・・。
舞台の・・なんだっけ・・?どん底だっけ・・?瓶底・・いや・・あげぞこ(どきゅるめしめきばしゅいいいいいいいいいいいいい〜〜〜〜〜んん!!!)!!!!」
「ナンで人の胸元見ながら『アゲゾコ』なんつ〜単語使うかな!!このクラゲ!!」
「いやあ〜〜・・。パンフレット見る限り・・クリスティーナとお前サン良く似てるけど・・。怪人が偽者って見破ったんなら其処が・・(どげらしゃああああああああ〜〜ん!)」「・・・とにかく・・。手掛かりが無い限りは仕方ないな・・。ガウリイの言うとおリ
舞台の『奈落』に行くぞ!!」
リナの怒りを出きるだけ逸らす様にゼル。
「そうですね・・。リナさん・・。責任持って気絶してるガウリイさん引きずってきてくださいよ・・・。」
「分かってるわよ・・。もう・・ブツブツ・・・・・・・・・。」
何時もの事とはいえ・・・。
腹立つんだか世話が焼けるんだか・・・。どっちにしても彼の自業自得である。


「これって・・。本当に奈落・・・?」
本来奈落とは舞台装置の一環として使役される地下のスペースなのだが・・。
「なあ〜〜・・。リナ・・。今からどっかにピクニックなのか・・・?」
不意に目を覚ましたガウリイが開口一番に頓珍漢なことを言う。
だが・・・・・・・・・・・・・・・。
彼でなくとも恐らく同じ事を・・事情を知らないでこの場所につれ込まれたら言っただろう。
「・・・広い場所だな・・。草も生い茂って・・湖も在る・・・。」
「・・地下道のようですね・・・。」
アメリアとゼルの会話に・・。
「う〜〜ん・・。俺としては・・地下道よりも太陽の出てる場所でピクニックしたい
モンだが・・・・・。」
寝ぼけているのではない事は確実のガウリイの一言・・・。
「・・・・奈落の底にこんな広い空間があるなんて・・・・。」
不意に言い放たれたリナの一言にガウリイの顔色がマトモに変わる!!
「・・なに〜〜〜!!奈落の底・・・だって・・・・・。」
「・・・信じられない事に・・・ね・・・・・・・。」
その返答に更にガウリイの顔色が変わる!!
「俺達は死んだのか!!ココは地獄の1丁目か〜〜!!いや・・。待てよ・・。
奈落の底って言うくらいだから・・。かな〜〜り深い地獄って事だよな・・?
おい!!リナ・・俺達・・お前のやらかした悪事のせいでこんな場所に・・
って・・・・・・・・・(以下、殺戮シーンにて削除・・・)・・・。」
「・・本当に旦那一人で地獄の1丁目に逝っちまったな・・・・。(合掌)・・」
「ガウリイさ〜〜ん!!ここは!!貴方と言う所の『アゲゾコ』ですよ!!」
「・・・・・・アメリア・・・。喧嘩売ってるの・・・??(ボキボキ!!)」
「い・・いえ・・・・:(ヒヤヒヤ・・・)・・・。」


「怪人を捜す事がまず第一・・かしらね・・・?」
これだけ入り組んだ場所を捜しまわるのは容易な事でないことは誰の目にも明らか
である・・・・。
「けどよ・・・・・。ナンだか・・ここ変だぞ・・・?」
不意にガウリイが起きあがって不思議そうに言う。
「変って・・・???」
「いや・・・。気配が・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
流石は野生の直感と言った所だろうか?
リナには感じ取れない『何か』の気配をガウリイは感じ取っているらしい。
「確かアメリアも。初めてココを見つけたときに『魔族』じゃないって言ったわよね?」「はい・・・・。強いて言うなら・・・・・・。」
アメリアがそう言いかけたその時だった!!
ビュ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
何かか軽く、飛び跳ねる音・・・・。
更に詳しく言うなら・・・。
『弱弱しく』軽い金属が投げつけられた音・・と言ったところだろうか?
リナに向かって投げつけられた『ソレ』を軽く手の甲だけで払いのけながらガウリイは・・。
「そこに居るのは分かってるんだぜ?」
ナイフをリナに向かって投げた事のみを非難する・・と言った所か?
戦闘体勢を整えなければただ単に相手の出現のみを待つと言った所だろう。
「そうよ。オペラ座の怪人・・。強いて言えば・・『シャルロッテ』さん!!」
やおら茂みの方を指差しながらリナがハッキリとそう告げる!!


「・・・・・・どうして分かったの・・・・・・・・。」
不意に現れた・・かつてのオペラ座のトップ・スター・・・シャルロッテ・・・・。
「簡単な事よ・・。『アタシ』が『クリスティーナ』では無いと気付いた人物・・。
それは『本物』のクリスティーヌを何処かに隠した人物・・・。すなわち・・・。彼女のライバルであった貴方・・と言う事ね・・。この場所を知っていると言う事が一番の証よ。」
やおら冷たく言い放つリナ・・・。
「何を・・・。第一ね・・。アタシは怪人から『アタシを降板してクリスティーナをマルガレーテの役にしろ』と言われているのよ?それなら・・クリスティーナが怪人って考えた方が自然じゃなくて?」
これ見よがし・・というわけでも無いだろうが・・・・・。
論理的には確かな口実を言い逃げに入るシャルロッテ・・・・・・・。
「確かにそうですね・・・・・。」
アメリアがその言葉に苦々しげに頷く・・・・・・。
「リナ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
ゼルとガウリイも気まずそうにリナの方を見遣る・・・。
「・・貴方はもともと降板寸前だったそうじゃないの・・。つまり・・。実力不足で降板されるよりも・・『怪人の呪い』とでも思わせた方が都合は良いわけ。それに・・・。」
更に敵を追い詰める様にリナ・・・・・。
「あの奈落の仕掛けは・・。『内側』からじゃないと出来たモンじゃないから、ね。」
実際にあの場面、他に奈落のふたを空けられる人物はこのシャルロッテ以外考えられない
のだ・・・・・・。
「シャンデリアの仕掛けは!!シャンデリアの仕掛けはどう説明するのよ!!」
不意にシャルロッテが絶叫する・・・。
ふ!!かかったわ!!
「・・アタシ・・。シャンデリアの事件は一言も触れてないわよ・・。ついでに言えば・・。貴方があの場所に居合わせたなんて聞いてないわよ!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
かくして・・。オペラ座の怪人事件・・と言うよりも一部の事件は解決したのだが・・。


「クリスティーナの居所が未だにわからない、という理由からだ・・・。」
「まあ・・依頼料金も出ますし・・。怒らないで下さいね。ガウリイさん・・。」
未だにクリスティーナの死に装束を纏って男優とのアリアを歌うリナにガウリイは
怒りすら篭った眼差しを舞台裏から送る。
程なく香煙は無事終了したが・・・・・。
「ねえねえ・・。怪人ってシャルロッテさんじゃなかったの・・?」
不意に頭の足りないバレリーナ達の噂話がリナの耳に聞こえる・・・。
「それがね・・・。また別の怪人が居るようなの・・。マルガレーテの相手役がね・・。
何かに怯えた様に降板しちゃったのよ・・・・。」
コソコソと言いつづけるバレリーナ達・・・。
「なんなのかしらね・・まったく・・・・・・。」
リナの呟きに何時の間にかアメリアが現れて耳元で呟く。
「あのね・・リナさん。ガウリイさんが・・貴方の相手役の役者サン・・・。
ナンだか脅しをかけたみたいなんですよ・・・。」
「で・・。支配人たっての要望でガウリイが代役に立つことに成った・・・。
ついでに言えば・・・カンニングペーパーを奈落から奴に見せる俺の身にもなって
みろってんだ・・・・・。」
面白く無さそうにゼル・・・・・・・・・。
かくして・・・・・・・・・。


マルガレーテの相手役・・・・。
ジーベルに扮したガウリイ・・・・・・。
・・・・アイツに俺の愛の告白を伝えてくれ・・・。
俺の願いを叶えてくれ・・・・。

「なかなかの役者ですね、ガウリイさん・・・・・・・・。」
「『あの人に僕の愛の告白を・・。僕の願いを・・』のがオリジナルだってのに・・。
己と混合してある意味好き勝手言ってやがる・・・・・・。」
まあ・・観客の反応は文句無しに成功なのだが・・・・・・。
見ているこっちが恥ずかしい。そうゼルは思う。
「リナさ〜ん!!マルガレーテの出番ですよ〜〜♪」
やけにアメリアまで楽しそうに真っ白な衣装を纏ったマルガレーテのリナが
登場するのを待ち構える!!
かくして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
物事はガウリイの計画通りに運んだ・・と言う訳である・・・(汗)


「・・・・・・。しっかし・・。俺もなかなかのモンだな〜〜♪」
自己満足か、それとも目標達成を喜んでか・・・・。
ガウリイが椅子に座りながら嬉しそうにゼルとアメリアの方を見遣る。
「・・・って・・どうした・・。リナ、ゼル、アメリア・・・?」
「だあああ〜〜〜〜!!煩い!!煩い!!う・る・さ・い〜〜〜〜!!」
リナの場合は完璧に不貞腐れ・・と言う事は明白である。
しかし・・ゼルとアメリアは・・・・???
「・・・悪寒がするな・・・・・。」
「はい・・・・・・・。ナンだか・・・。強いて言えば・・・・・。」
ゾクゾクと体を震わせながらアメリアとゼロス・・・。
奈落のどん底・・と言うわけではないが長時間あの陰気な場所に居たせいだろう。
「異様な気配といい・・・。本当に・・・・。一体あそこには『何』が・・・。」
言いかけるアメリアにリナとガウリイに楽屋、と言う事もあって花束を持って来た
人物の一人が『ニコリ』としながら言う。
「その質問には、僕がお答えしましょう〜〜♪」
不意に振り帰ったその人物とは・・・・・・・・・・・・・・・・・。
『ゼロス!!!!』
一同の声が見事にハモった!!


「もともとココの奈落はね、『墓場』だったんですよ・・。しかも・・。かな〜り残留思念の強いモノが多いですね・・・。それが気になって僕も今日ココに来たんですが・・。
いや〜〜!!面白いものを見れましたよ!!リナさん、ガウリイさん〜♪」
「いやぁ〜〜♪ソレほどでも〜〜♪」
「・・いうなあああああああああああ〜〜〜〜〜〜!!(絶叫!!!)!!!!」
ガウリイの喜んでる声に、リナの絶叫が更にハモる!!
「・・・で、その残思念に当たったのがアメリアさんにゼルガディスさん・・。
貴方達ですよ・・・。その思念に当たりすぎて少々感覚がニブくなってるようですが・・。
その寒気は単なる『風邪』のひき始めですね〜♪」
なるほど・・・・・・。
何かの弾みであのシャルロッテはあの墓場・・(とは知らずに)奈落を見つけた・・。
彼女自身にも「邪気にあたった」感覚の方が勝って自覚が無かったのだろう。
「風邪」と言う状態の不調に・・・・・。
そして、降板を恐れてあんな暴挙に出た・・・と言った所か・・・・。
「ついでに。五番ボックスの謎先ほど役人が探り当てましたよ・・。シャルロッテが
『パトロン』に回していたらしいんでよ・・。コレが・・。まあ・・。そんなシャルロッテから比べれば・・。リナさんそっくりのクリスティーナはまだまだプロですね・・・。」不意にゼロスの言い放った『クリスティーヌ』の言葉に一同の注目が集まる!!
「彼女を・・何処に居るのか知ってるのか・・・?」
ゼルの質問にゼロスはいけしゃあしゃあと・・・・・。
「病院ですよ。風邪のタメに入院してます。まあ・・オペラ歌手が風邪だなんて
恥ずかしい事ですし・・・。これはオフレコは確実ですね、ははは〜〜♪」
ははは〜〜♪・・って・・・・。
しかも・・単なる風邪・・・・・・・・・・・(汗)
「多分・・奈落にシャルロッテに放置されてるうちに風邪ひいて・・・。自力で
脱出して病院に行ったんですね・・。」
やけに下らない事態を冷静に分析するアメリア・・・・。
かくして・・・・・・・・・・・・・・・・・。


「クリスティーナが復帰するまで俺達の舞台だな〜♪リナ〜♪」
「シクシクシクシク・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(涙)」
依頼料金が破格でなかったら自ら奈落に飛び込んで風邪ひいてやる所である・・。
かくして・・リナはまだまだガウリイに捕まった状態から逃げ出せそうもなさそう・・
である・・・・・・・・・・・・・・。


(クラゲ事件簿、お終い)

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11849お久しぶりです〜♪P.I E-mail 9/12-00:54
記事番号11845へのコメント

CANARUさん、こんばんは〜!
わ〜い、新作だぁ〜♪♪「オペラ座の怪人」大好きなんです〜♪
劇団四季のミュージカルも観ましたよ〜・・・もう10年以上も前だけど(^^;)
ガウりんくん・・・あんだけいらんこと言ってはリナにどつき倒されて、
それでも最後はちゃっかり一番オイシイとこ持っていく辺りさすがはタイトル・
ロール(笑)今回の影の主役は君だぁ〜!
舞台でもさぞかしノリノリだったことでしょう!(クセになったりして・笑)
さりげに脅されて降板させられた男優さん、哀れ(爆笑!)
怪人が男性でリナに横恋慕してガウリイと対決!って展開も実はちょこっと
期待してたんですけどね♪
原作読み終わったらぜひそっちの本格パロも考えてみてください!
小説はやっぱ創元推理文庫版がオススメ!訳がいいんです!
それではまた次の作品も楽しみにしてます〜!!

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11851今回はギャグでした〜♪CANARU 9/12-10:48
記事番号11849へのコメント

>CANARUさん、こんばんは〜!
>わ〜い、新作だぁ〜♪♪「オペラ座の怪人」大好きなんです〜♪
はい〜〜!!
最近やっと本屋で見かけたのでさっそく買って読んでます〜♪
>劇団四季のミュージカルも観ましたよ〜・・・もう10年以上も前だけど(^^;)
う〜〜ん・・・。
本場モノでみたら・・すごそうです〜〜〜!!
特に舞台装置なんかが気になるところです!!
>ガウりんくん・・・あんだけいらんこと言ってはリナにどつき倒されて、
>それでも最後はちゃっかり一番オイシイとこ持っていく辺りさすがはタイトル・
>ロール(笑)今回の影の主役は君だぁ〜!
ですねえ〜〜♪
今回彼が「やらかしと」ことをあげたらキリが無いくらい
捜査の足引っ張ってるのに!!
美味しい所は独り占めですねえ〜♪
>舞台でもさぞかしノリノリだったことでしょう!(クセになったりして・笑)
>さりげに脅されて降板させられた男優さん、哀れ(爆笑!)
はううう!!
「怪人は金髪の目つきの悪い男だった!!!」
と世間様に今ごろ知れ渡ってるかもしれませんねえ・・・(遠い目・・)
>怪人が男性でリナに横恋慕してガウリイと対決!って展開も実はちょこっと
>期待してたんですけどね♪
う〜〜ん!!
ちょっと考えたんですけど・・・。
あの状況ではギャグ一辺倒になってしまいました!!
今回の影の苦労人はゼルアメ決定ですし(汗)
>原作読み終わったらぜひそっちの本格パロも考えてみてください!
>小説はやっぱ創元推理文庫版がオススメ!訳がいいんです!
はい〜〜!!
アタシは今角川でよんでます!!
こんど其方も探してみますね!!
>それではまた次の作品も楽しみにしてます〜!!
ではでっは!!