◆−黄金のプランタジネット・前編−CANARU(11/8-00:43)No.12289
 ┗黄金のプランタジネット・後編−CANARU(11/8-22:27)No.12294
  ┣リナのためなら(笑)−P.I(11/8-23:58)No.12295
  ┃┗アタシも見ましたわ〜♪−CANARU(11/9-09:24)No.12299
  ┗どうも、桐生です………(笑)。−桐生あきや(11/9-00:56)No.12297
   ┗有難うございました〜♪−CANARU(11/9-09:29)No.12300


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12289黄金のプランタジネット・前編CANARU 11/8-00:43


どうも!!
前から書きたかった11世紀イングランド(と、言うか領土はフランス)
のガウリナです〜〜♪
お暇な方、是非読んでやってください!!まずは前編!!

*********************
「探検と毒薬。どちらを選ぶか・・だったわね・・・・・・。」
勿論・・・そんな台詞を彼自身に言ったわけではない。
けれども結果は・・・・・・・・・・・。
「・・・・いいや・・・・・。」
項垂れるリナにガウリイが返したのは思いもかけない・・穏やかな声だった。
「・・ある意味・・・。あんな所に・・・。」
たとえどんなに美しい場所であり・・何一つ不自由の無い場所であったのしても。
「・・・・ある意味・・・お前はあの人の苦しみを救ってくれた・・・。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「母上の・・・。」「言うな・・・・。」
あの女の名前は・・やっぱり聞きたくも無かった。
「兎も角。さしもの俺も、姉上ばかりかお前までも・・。あの女・・・。王妃の思い通りにさせる訳にはいかない!!」
グイ・・っと腕を引っ張りその場からリナを連れ出そうとする。が・・・。
「だめ!!」
華奢な腕は信じられないような勢いでそんなガウリイの手を振り払う。
「駄目・・。あたしが母上の命令に逆らうことは出来ないわ・・。そんな事したら・・。
リチャード兄さまが・・・・。ましてや・・・。このままじゃジョン・・・・。あの子の
思いのままになって・・・・・。」
この国は大変な事になってしまう・・・。
「・・・わかった。」
訴えかけるような瞳。そして・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
宮廷からガウリイの姿が消え・・彼が数日後ドイツとオーストリアの国境付近を
騎馬で疾走する姿が目撃されたのだった。


「ねえ・・・。レイモンド・・・・。」
豪華な馬車に揺られ・・・軟禁の身の美しい王妃・・・・・・。
アリエノール・ダキテーヌ・・・・。
イングランドの王妃にしてフランス、ポワトゥー、アキテーヌの女公。
頬杖をつき、窓の外のノルマンディーの広大な景色に目を見つめている。
名ばかりはフランス領のこの土地・・しかし、アンジュー公にしてノルマンディーの公。
そしてイングランドの国王、ヘンリーの広大な領土である。
フランス王の臣下でありながら国王以上の地位、権力をもつ、この男の王妃でありながらなぜこの人・・・・。
母王妃はこのような身になったのだろう・・・。
それでいて依然、威厳、美貌を損なっていない。
父王ヘンリーよりも11歳も年上でありながら未だ若き頃とは姿がまったく変化して
いないのだ。
「はい・・・。アリエノールさま・・・・・・・・。」
恭しくヘンリーの家臣、レイモンドはアリエノールの質問に答える。
「わたくしの命を狙っているもの・・。それは果たしてヘンリーだけかえ?」
不意に差し出される質問に不意にレイモンドの視線が逸れることがあからさまに
見て取れる。
「・・・・わたくしに恨みを持つもの・・・。あくまでその筆頭はヘンリーであろう。
だが・・・彼はわたくしを殺せはしまい。彼は・・・。わたくしの広大なアキテーヌ公領をみすみす失いたくはあるまいにてね・・・・・。」
クスクスクスクス・・・・・・・・・・・・・・・・。
微かに笑いながら・・・アリエノールは呟く。
「お母様・・・・。」
この女性が本当に見えなくなる。
「そなたにも世話をかけたな・・・。リナ・・・・・・・・・。」
不意にリナの腰の短剣・・成る程。確かにそれは血にぬれてはいないかもしれない。
ふっと遠い瞳をし、アリエノールは呟く・・・・。
「構いはするまい・・・・・・。息子をけしかけ・・夫に反乱を起こさせた。
それは・・・全てわたくしの責任であるのだから・・・・・・・。」
「・・・・・・。母上・・・??」
いつものアリエノールの様子とは違う。そうリナが察し、彼女の顔を見遣った
その刹那・・・・・・・・・・。
ガイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイインンン!!!
不意に凄まじい勢いで馬車が揺れる・・・。
四頭だての馬車馬のうち一頭が後頭部を弓矢で射抜かれ、大量の失血を起こしながら
地面に倒れている・・・?
「どうどう!!」
残りの三頭が暴れ出して勝手に走り回ろうとするのはもはや自明の理。
レイモンドはなんとかこの三頭を落ち着かせようと努力をする。
が、弓矢の攻撃は更に熾烈さを増している?
「誰・・・・・・・・・・?」
ここからでは・・逆光が邪魔して良く顔は見えない・・・。
ただ・・分かるのは・・激しいまでの色合いの・・黄金の髪の色・・・・・。
その男は王妃とともに馬車を脱出し、彼のほうを見上げているリナの方は
見向きもしない・・・・・・・・・。
「・・・・・・ガウリイ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
無論、馬車が死角となり彼にリナの姿は見えていないだろう。
そして・・もしも見えたとしても・・・彼が自分の身の上を知りえるはずは・・無い。
「何といった・・・?」
聞いたことも無いほど怒気を含んだガウリイの低い声がこの位置まで聞こえてくる。
「・・何といった!!『あの時』に!!答えろ!!アリエノール・ダキテーヌ!!!」
王妃を呼び捨てにまでし、怒り狂った声でガウリイは更に声を荒げる。
「・・・そなたは・・・・・・・・・・・・・・・・。」
太陽のハロー効果から視覚が慣れてきたのだろう。
アリエノールはガウリイを見上げ、マトモに焦りを含んだ声をあげる・・・。
どうやら。
噂までではなく、『顔』も幽閉中でありながらアリエノールは知りえていたらしい・・・。「そんな事は聞いてはいない・・・。姉上を自害にまで追い込んだ時・・・。
貴様は何といったんだ!アリエノール・ダキテーヌ!!!!」
今にも手にした弓矢をアリエノールに向かって放ちそうな勢いでガウリイは続ける。
「『・・・・・・毒薬か短剣か・・・・・。
そなたに死の自由を与えましょう・・・・。』」
無論、それは彼女自身の言葉・・・ではない。
まさか、こんな形で人生最大の犯罪・・いや。過ちを犯した時の言葉を言うとは・・・。否応なしにその顔からは苦笑が漏れてしまっている事は間違いない。自分でも恐怖が無いのが不思議なくらいである。
「・・・・リナ・・・・・・・・????」
彼にとってもそれは不意のことだったらしい。
手にもった弓矢を地面に取り落とし・・ただただ愕然彼はリナを見下ろす。
アリエノールをかばうような位置に立ち・・・・・・・・・・・・。
「あなたの姉上・・。ロズモンド殿を自殺に追いやったのは・・・。私です。
母上には・・・何の落ち度もありません。恨むなら・・・・。」
私だけにして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
父王、ヘンリーの愛人ロズモンド。
彼女はずっとずっと、アリエノールの嫉妬から避けるため、ウッドストックの森の
奥深くに隠されていた乙女。
だが・・・アリエノールがそんなことを許すはずが無い。しかし、幽閉の身の彼女に
何が出来るだろうか・・・・??
そこで・・彼女は末娘のリナを刺客としてウッドストックの森に送り込んだ。
「あなたを騙して・・・。絹のリボン・・・。迷宮の道しるべを手に入れて・・。
私は・・・・・・・・。」
万が一ロズモンドがアリエノールに発見されても・・・。
その屋敷は「迷宮」のように作られていた。
しかし・・道しるべの「絹のリボン」をつたって・・・・・・・・・・・・・・・・・・。「ロズモンドの屋敷の番人だった・・貴方を・・・・・・・。」
騙して・・その姉に・・『剣か毒か』の死を選ばせたのは自分なんだ・・・・。
哀れなロズモンドは・・毒薬による死を選んだ。
そんな考えにリナがとらわれているその時だった・・・。
ガイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイインンン!!!!!
今まで放心していたかのようにリナ・・そしてアリエノールを眺めていたガウリイ
が不意に腰に括り付けた剣を抜き放ち・・・・・・・・・。
「・・チ!!」
「ク!!!」
凄まじい剣と剣のぶつかり合う金属音がこの辺りまで響き渡る。
「リナ!!母上!!無事ですか!!?」
ガウリイと激しく剣をぶつけ合いながら間合いを詰め、一瞬も集中力こそそらさねども、
その男は二人に向かって語りかける。
「ああ・・・リチャード・・・・・・・・・・・・・。」
大慌てでリナを後ろに下がらせながらアリエノールは最愛の息子・・・・。
現王位継承者にして彼女自身と国王の三男、そしてリナの兄の王子に返答する。
赤い髪・・・・・・・。
同様に燃えるように赤い瞳の持ち主・・・。
多少粗野な雰囲気が拭い去れない部分がまったく同じ髪の色と瞳の色をもつ
妹のリナの華奢な雰囲気とはハッキリいって好対照である。
無論、剣の腕も並大抵のものではなかろう・・・・・・・。
そう思いながらリナの方をこの男に気づかれないようにガウリイは盗み見る。
・・・・・・・・まだまだ・・・・。
自分も甘いかもしれない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ガシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンンン・・・・・。
軽い金属音を立て、ガウリイは持っていた剣を地面に無言で突き立てる。
「・・・どういうつもりだ・・・?」
「無駄なことはしたくない。この辺りにも、潜伏兵がいるんだろ・・・?」
無論、そんな雑魚くらいガウリイなら簡単に蹴散らすことができるだろう。
リチャードとて、そんな事はとっくに察しているからあえてこの降伏のわけ
を聞いたのだ・・・。
だが・・・言うつもりは毛頭なし・・・のようである・・・・。
「分かった・・・。しかし、今回のノルマンディーの会議中、お前の身柄は拘束
させてもらう。」
その間に何とかこの「降伏」の理由も聞き出すことが可能だろう。
『処刑するには惜しい存在』
それがリチャードの出した結論なのであった。


今回、国王ヘンリー、王妃アリエノール、そして王子にして王位継承者・・・。
リチャードの三者の会議がノルマンディーで開催される事となった。
『王位継承者』と言う立場でありながらリチャードは国王に現在反旗を翻している。
その講和のため・・・と言う名目での話し合いである。
ヘンリーに数年前にやはり(内乱までは引き起こさなかったが)反旗を翻した
アリエノールは城からの脱出に失敗し、現在幽閉のみにありながら今回の会議のために
仮釈放の身に成りえたのだった。
リチャードはヘンリーに反逆した理由は二つ。
一つはヘンリーはアリエノールのフランスの領地(ポワトゥー、アキテーヌ)を召し上げ、彼女と離婚をしようと考えかたら・・・。
そしてもう一つ。リチャードの婚約していた(と、言っても政略的な理由だが)フランス王女アリスとの結婚を先延ばしし、自分自身がこのアリスと結婚しようと考えた
からだ。そんなこんなで、リチャードの「王権奪取」の暴挙が始った、と言う訳である。「兄上・・・。ジョンは・・・・・・・・・。」
ハッキリ言って動くの良く読めない双子の兄・・・・・・。
ジョンの名前をリナはこの場で初めて口に出す。
「さあ、な・・・。親父は下手をすればあいつに王位継承権を与えたいと思っている。」
苦々しそうにリチャードはリナにはき捨てる。
「・・そのような真似はさせはせぬ・・・・・。」
やはりアリエノールも面白くは無さそうであった・・・。
「けど・・。ジョンは・・・。フランス国王のフィリップ様と組んででも・・・。
にいさまを打倒したいと思っていることは事実だと思うわ・・・。」
口だけは動かしながらもリナの気分は上の空だった・・・。
馬車の隣・・・・・・・。
両手を拘束されながら馬に乗せられガウリイが引っ張られていっている・・・。
アリエノールはそんなリナに気づく様子こそ無いが・・・。
いつもの無骨さに似合わずリチャードはそんな妹の視線に何か感じ取ったらしい。
・・・・・・・・・・・成る程・・・な・・・・・・・・・・。」
ある意味・・これは面白いことになった・・と思わずにいられない。
彼にとってはロズモンド何某なんぞ知ったことではないのだ。
多少言い方は悪いが・・利用できるものは徹底的に利用する。
それが主義なだけなのだ。
「奴は・・。遅く生まれたばかりに今は亡き兄上のヘンリー・・・。この俺・・・。
そして俺のすぐ下の弟、ジョフロアに全て領地を分け合ってしまったからな・・・。
かの奴は俗に『領地なし』のジョン・・などとよばれおる。それを・・。
根にもっての事であろうが・・・。」
吐き捨てるようにリチャードは隣の席のリナに呟く。
後の『ジョン失地王』・・・・・・・・・・・・・・・。
彼の時世にイングランドはフランスにおける領地を大量に失うこととなる。
そのため彼が『失地王』と呼ばれる原因となったのだが、この生まれながらの『領地無し』がその字故の所以・・とも言われている。

不意に森の霧が晴れ渡った。
小高い丘の上、騎馬隊の一団が陽光の中、きらめく甲冑を照らし出さされている。
不意に・・一段と目立つ漆黒の鎧を身に着けた・・一人の赤い髪の男が前に進み出る。
「・・良くぞ参った・・。わが王妃よ・・・・・・・・。」
・・・・この男が・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
姉を束縛し続けた・・ヘンリー王か・・・・・・・・・・・。
そう思い、思わずガウリイはその赤い髪の人物を思いっきり睨みつけた。
が、それ以上に冷たい雰囲気が彼と王妃の元に漂っている。
「何を言うか。ヘンリーよ!!」
何度も見慣れた・・(ただし、この場では別の意味の)笑顔を交し合う。
思わず目をそらしながらガウリイはその場のリナの視線を意識するのだった。


『リチャードの勢力を削減する』・・・・。
その目的で開かれたこの会議は『フランスにおけるリチャードの全権をアリエノール
に返還する』よ言う結末で幕を閉じたのだった。
しかし・・この時点では気付いては居なかった・・・・。
既にこの時、ジョンの罠が張り巡らされていた・・という事に・・・・・・・。


「何が不満だ?」
シレっとした様子でリチャードは妹に言う。
「・・別に・・。父上は私のことを疎んじている訳では無いでしょう?」
「・・・・。まあな、お前は母には似ていない。」
わるかったわね・・・。あんまり美人ではないって意味でしょ。
顔だけでそう不貞腐れてみせるリナに苦笑しながらリチャードは・・・。
「・・・お前の為だ。あの男を手放すな。」
そうとだけ言ってリナに鎧を着用する手伝いをさせながらリチャードの顔は一変、
まじめなものとなる。
あの後・・・・・・・・・。
アリエノールを強引に説得し、ガウリイは無事に釈放された。
だが、(王妃と不仲な)国王、ヘンリーによって彼は「アリエノール側の王女」
リナの監視役に据えられたのだった。
ガウリイが気遣ってくれている事は確かなのだが・・今のところ気まずい雰囲気には
なっていない。だが・・・・・・。『呵責』という感覚は常に付きまとってくる。
今も兄の鎧の紐を結びながらリナはただただこう思う・・・。
『何時も戦争ばかりなのね・・・・・・・・・・・』
分かってはいるのだが・・・・・。そんな考えにふけっている時に不意に突き破るかの
ようにドアが開かれる音がリナの耳に響き渡る。
「リナ!!大変だ!!」
「ガウリイ!!??」
問答無用、と言わんばかりにいきなり腕を掴み、ガウリイはズンズンと庭のほうに
リナを引っ張っていく。
「どうしたのよ・・・?」
「行くぞ!!」
これまた有無を言わさない強い口調で自分がまずは馬に乗り、更にリナを相乗りさせる。
「だから!!何・・・・・・・・・・・・・・・・・?」
「・・・ヘンリー国王が・・・。崩御された・・・・・。」
苦りきった口調でガウリイはリナに言う。
「へ・・・・?????」
それは・・前々から予期していた事ではあるが・・・・・・・・。
これで、いきなり兄が鎧を着せ掛けるように自分に言ってきた理由も分かった。
王妃・・いいや。皇太后、アリエノールの幽閉を解きに行くのだ。
「つまり・・・。俺は後ろ盾を失ったって事だ・・。情けない話だが・・・。」
ココまできてリナはガウリイの考えている事が完全に読めなくなる・・・・・。
「だから!!一体全体何なのよ!!」
キ!!っとガウリイはこちらを真剣な・・だが少々焦った顔でにらみつけながら・・。
「だから!!俺だってみすみす失脚してやる程間抜けじゃない!!い〜か?
今からお前を連れてにげる!!・・・あらかじめ言っておくが・・。『人質』なんて無責任なモンじゃないからな!!分かったか・・・?」
・・・・・・・・これって・・もしや駆け落ちって奴・・・????
そんな混乱した頭ながら、言えることは唯ひとつ・・・・。
グイ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「いでえええ〜〜〜〜!!何すんだ!!」
やおら自慢の金髪を思いっきり引っ張られて・・文句をいうガウリイ。
「・・・戻るわよ・・・・・。」
「・・否だと言ったら・・?リチャード殿の代になったんだ・・・。」
「・・・今ごろリチャード兄上・・。あたしたちのこと怒るどころか・・・。
指差して腹抱えて大笑いしてると思うけど・・・・・????」
遠まわしながら・・『許してる』という意味・・・。まあ、リチャードとガウリイが接触する機会はそう無かったことだし。彼がその事実を知らなくても不思議は無いのだが。
「・・・・・・・・そう・・なのか・・・???」
「・・・・そ〜なのよ!!ったく・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
呆れてものも言えない事態である。
「ともあれ・・・。帰りましょう・・・。」
「・・・そうだな・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
逃避行しても悪くなかった。
だが・・リナがそんな自分を(ガウリイ自身か・・リナのことか・・・。
それはハッキリ言って定かではないのだが・・・・・・・・・。)許すはずが無いことは
明白な事実である。
「また・・。続きはいつか・・って訳か?」
「ば〜〜〜か。そんなことある訳無いでしょ?」
心ではそう願いながらも・・・・・・・・・。
姉たちはカスティリヤー(イベリア半島、今のスペインの一国)やバイエルンのヴィッテルスバハ家に続々と嫁がされることが決まっている。
・・・・このまま・・・。持参金惜しさにあたしは放置されていればありがたいんだけれども・・・・・・・・・。
叶わない願いかもしれない・・・・・・・。
果たして、そのときにガウリイはこんな行動をしてくれるのだろうか・・・?
今のリナは・・そう思うしか無いのだった・・・・・・。


(続きます)


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12294黄金のプランタジネット・後編CANARU 11/8-22:27
記事番号12289へのコメント

「寛いで良いんだか・・なんだかなあ・・・・。」
海辺・・イングランド本土やフランスのプランタジネット家の領地、アンジュー
から眺める海とはまるで違っている。
南国の真っ青な青・・・・・。
確かに南仏の海も暖かな雰囲気がある。
しかし、このキプロス島と比べたら。
「やめよう。」
思い直しながらリナはその場から立ち上がる。
「・・お前さんらしくない感傷だったなあ・・・・。」
不意に茂みのほうから現れたガウリイがリナと並び、地中海を一緒に眺める。
「まあ・・・。ね・・・・。」
今自分たち・・リナとガウリイがなぜここにいるのかフランス国王フィリップは
知らない。
勿論、兄リチャードの手前、彼は丁重にリナとガウリイを持成してくれているのだが。
「結局・・。兄上はなんだかんだ言って・・フィリップ国王の姉上・・。アリス・オブ・フランス殿との婚約を解消したの。でも・・フィリップ様は未だに遂行をしつこく
迫っているみたい。」
折角海辺に二人きりだと言うのに無骨・・・というか重大次項と分かっていながらも
聞きたくも無い話題である。
リナがこちらの表情には上の空、と直感的に悟ったのをよいことにガウリイは苦笑し、
眉に皺を寄せてみせる。
「・・・アリエノール皇太后はどうした・・?」
「ナヴァール(イベリア半島、現在のスペインの一国)に出掛けてる。いずれココに
いらっしゃるわ。」
やはり何処か上の空・・と言った様子でリナは答える。
今、自分たちは東方遠征にフランス王フィリップと共に旅立ったリチャードが駐屯
していた土地、キプロス島に居る。
リナはいざしらず・・・・・・・・・。
ガウリイはその意図もさして掴めないままこの土地に送り込まれたのだが。
何やら重要な戦略の為、ということはうすうす理解は出来る。
だが・・・・・・・・・・・・・・。
こうもリナに上の空の答えばかりされては・・・。
当然の事ながらガウリイだって面白いはずはないのだった。
「どした?お前らしく無いぞ?」
「・・・・・・・・・ちょっと考え事。あたしが留守に・・・。いいえ・・・。
リチャード兄上と母上が留守にしている間・・。ジョン・・。あの人が何かやらかすんじゃないかな・・・ってね・・・・・。」
不安・・・か・・・・。
勿論、リナがこの単語を口に出して言うような性格では無いと分かりきってはいるけれども。
「・・・なあ・・。リナ・・。元々俺は・・。お前の兄貴。リチャード殿の敵。
と、言うよりも前国王ヘンリーに庇護されてたとこは・・。覚えているな?」
不意にガウリイも遠い目をしながらリナに語りかける。
「・・・。ええ・・・・・・・。」
「あの後・・。ノルマンディーの会議の後さ・・・。リチャード殿の王位継承権をジョン・・。お前の双子の兄貴に与えようとヘンリー前国王が『最後の足掻き』を起こした
内乱は・・。覚えているな・・・・・・。」
「・・・・。ええ・・・・・・・・・・。」
あの時。
リナの滞在した隣の町・・更に言えばヘンリーの生まれ故郷であるル・マンの町が
燃え盛っていた。
後で聞いた話によればヘンリー自身がリチャードの追撃から逃れるため、自分の生まれ故郷を焦土作戦として焼き尽くしたのである。
「・・あの時。俺はジョンの軍勢に強制的に召集されていた・・・・。」
「・・・知らなかった・・。」
そのとき、まだガウリイはリナの『監視役』にはなっていなかったのだ。
「ジョンは。アッサリとヘンリーを裏切ってリチャードの所に走ったよ。
恐らく・・・。リチャードの事が恐ろしかったんだろうな・・・・。成る程。
確かに奴はリチャードを嫌っているかもしれないな・・・。けど・・・・。」
『恐れている人間に何が出来る?』
そうガウリイは言いたいのだ。
「・・ごめん・・。ガウリイ・・・。」
「何謝ってるんだよ。」
笑いながらリナの頭を撫ぜてガウリイは空を見遣る。
「だって・・。指揮官でありながら・・・。ジョンは貴方たちを見捨てて・・・。
分かり切った事よ・・・・。」
ため息混じりにリナはそう呟く。
「・・・気にしちゃいないさ・・・・。」
それは、確かに本音である。
「はじめてあった時も・・・・・・・・・・。」
そこまで言ってリナは言葉をとめる。


今から何年前だろう?
ドーヴァー海峡を超え、イングランドの王女でありながらリナは生まれて初めて
本土に上陸した。
アリエノールの『影』として。ロズモンドを葬るために。
暗い森の中、微かに昼間の陽光が大気中に零れ落ちてくる。
「ったく・・・・・・・・・。」
自分は暗殺者として育てられた覚えは無いのだが・・・・。
あの気位の高いアリエノールに逆らうことは正直言って出来はしない。
それに、リナ自身幽閉の身である実の母王妃には同情は禁じえない思いだったのだ・・・。今でこそ良いお天気で空も晴れわたってはいるが。
数日前までこの辺りも大雨の被害あったらしい。
舗装のされている筈も無い森の獣道の泥濘に何度も足を取られそうなる。
大きく水溜りを避けようとして・・気付かずに思いっきりずぶ濡れになるドロドロになった地面に足を取られる。
「・・・最悪・・・・・・・・・。」
スカートのすそはもはや泥だらけである。目の前の水溜りは・・避けられそうも無い。
が・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ビシャ・・・・・・・・・・・・・・・・。
僅かながら何かが水に浸されるあまり愉快とは言えない音が耳に届く。
視線はずっと水溜りに釘付けになっていたために気付かなかったのかもしれない。
すぐ横に、誰かが来ていた、と言うことを。
「どうぞ。お通りください。」
少々からかったような声。
水溜りの上に自分のマントを脱ぎ捨てて道を作ってくれた人物であろう。
クルリ、とその男・・金色の髪の長身、恐らくこの辺りの名門貴族の出であろう。
腰に括り付けた剣の精巧なつくり・・・。
並々成らない身分、ということはあからさまである。
「・・渡りたいのは山々だけど・・・。貴方が何処のどちら様か教えてくださらない
限り・・・。ちょっと渡るのは無理ね。」
「ああ。俺はイングランド貴族のガブリエフ一門のガウリイ。この森の
監視役もやっているんだ。」
監視役・・・?
つまりはこの森の女主・・ロズモンドの護衛と言う任務を帯びている・・という事
なのであろうか?
これは・・・・・かなり好都合な事態かもしれない。
「あたしは・・フランスのプランタジネット家領土・・・。アンジューから来たリナ。」
「そっか〜!!よろしくな!!リナ!!森を案内するよ。綺麗なところだろ?」
「・・ええ・・・。すっかりつられて・・迷い込んじゃって・・・。」
かなりワザトらしい台詞だがガウリイは嬉しそうに頷いている。
「今はまだ蕾のままだが・・。春には花、夏には若葉・・。秋には紅葉が綺麗なんだ。」やはり嬉しそうに呟きながらガウリイはそこらに生えている草を無意識にだろう。
ポキリ・・と手折る。
「・・姉上は。滅多に草花をいじめるな・・。そう言うけどな・・。つい・・。」
手の中の草を眺めながらしげしげと・・・・。
「そのシルクのリボンは・・?」
彼が手にした、女物とも男物ともつかない綺麗な純白のリボン。
「ああ・・。大切なものなんだ・・。とっても・・・・・・・・。」
何処かさびしげな瞳は・・気のせいであろうか・・・・・・・・???


「姉上!!!姉上!!!!!!」
絶命した金髪の女を腕に抱え揺さぶりながら・・。ただただ彼は嘆いた・・・。
無論、リナに謀られた・・などということは知らなかった。
知ったとしても・・姉の顔はとても安らいでいる表情をしていた・・・。
それが、何を意味しているのか心では分かっている。
しかし・・気持ちがそれを・・・頭では理解しながらも許してはくれなかったのだ。
そして・・それがイングランドでガウリイをリナが見た最後のビジョンだった。
だが・・・・。
今隣にこうしてガウリイは、居る。まるで・・あのときの出来事が淡い夢の・・。
悪夢ででもあったかのように。


「そなたたちには立会人になってもらおう。」
キプロス島の滞在も大分長引いたと思われたその頃・・・。
一人の若い女を伴ったアリエノールが不意にガウリイとリナ・・そしてリチャード
の元に舞い戻ってきたのだった。
「ナヴァール王女、ベレンガリアにございます。」
その若い女は簡単に二人に自己紹介をしてくれた。
「フィリップを謀り、今すぐ直ちにベレンガリアとリチャードの挙式を行う。
故にそなたたちには・・・。」
立会人に選ばれた・・と言う訳か・・・・・・・。
簡素な式ながらベレンガリアは美しい花嫁であった。リチャードと並び戴冠を
兼ねたこの儀式・・・・・・・・・・・。
「・・・綺麗ね・・・。」
思わずリナは呟く・・・・・。
自分自身は・・どうなるのだろう?このまま政略の犠牲となって・・。
成る程、ベレンガリアは今、とても幸せそうな表情をしている。
だが・・身も知らない相手のところへ行かねばならないのだろうか?
一人、悶々と考えるリナの肩にガウリイは『安心しろ』と言わんばかりに腕を置く。
そんな二人の気持ちを知ってか知らずか・・・。
リチャードがベレンガリアの頭に黄金の冠をまさに乗せ掛けようとしたその時だった。
ズバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン
轟音を立て、凄まじい勢いで数人の騎士達が室内に流れ込んでくる?
その中に居る・・一人の威厳のある若い人物・・・・・・・・・・・。
「・・・フィリップ・・・・・・。」
ベレンガリアの頭には既に王冠が授けられているのがせめてもの不幸中の幸い・・
と言ったところか。
悔しげにリチャードは吐き捨てる。
「・・最悪の状況になってしまったわね・・・・。」
リナの表情も苦虫を噛み潰した、という表現が何よりも似合っているかもしれない・・。「・・俺は・・状況を説明してもらってないのだが・・・?」
ガウリイの言葉にリナは微かに表情を和らげ・・肩を竦めながら・・。
「つまりね。この間も言ったけど。フィリップ国王は姉上のアリス殿とリチャード兄様を結婚させたかったの・。けど・・・。今ここでこうしているように・・・。リチャード兄上はベレンガリア殿と結婚した。しかも・・フィリップ様が同行している遠征の最中に・・よ?」
「・・・。そりゃ〜〜〜・・・・。」
フィリップにとっては屈辱以外の何者でもない。
そう言うことなのである。
「・・・・・貴様の気持ちは良く分かった・・・・・・。」
憎憎しげにリチャードにフィリップは告げる。
「・・・ならば・・如何するつもりだ・・・?」
僅かに額に汗を浮かべながらリチャードはフィリップに逆に言い返す。
「・・貴様との遠征はこれまでだ。俺は今すぐ・・フランスに帰らせて貰う・・。
せいぜい『後悔する』が良い。リチャード!!」
吐き捨てるように告げ、さっさとその場を離れるフィリップ。
「・・・ハッタリだ・・・。ハッタリに決まっている。」
誰に言うでも無く・・リチャードはそう口の中で何度も繰り返した。


フィリップ、そしてジョンの策謀が成功してと言ったところであろう。
リチャードが一寸した愚考の為、遠征の帰路、オーストリア、ハプスブルク家の皇帝、
ハインリヒ6世の捕虜として捕らえられた、という報告がプランタジネット家に
今更になってもたらされたのだった。
リチャード釈放の条件は二つに一つ。
身代金として皇帝に15万マルクと言う大金を支払うか・・・・。
或いは彼の妹・・リナに『多少』の持参金をつけてハインリヒ6世の息子に嫁がせる・・。その二つのうち一つしか残されたはいないのだった・・・・。
「母上・・・・。」
沈痛な面持ちを浮かべながらアリエノールは窓の外の景色・・・。
そして・・最愛の息子・・リチャードを貶めた末子ジョンの双子の片割れ・・。
リナとを交互に視線で追う。
「・・・そなたが・・憎めれれば良かったものの・・・。ジョンのように・・・。」
アリエノールがジョンを嫌っていることは周知の事実。
ならば・・・その双子の妹である自分も憎まれても仕方は無い。
そんな思い出リナは今、この場に挑んでいた。
しかし・・母が自分を憎むことなんて絶対にありえない。
好対照とは言え・・彼女の最愛の息子、リチャードと同じ髪と瞳を持つ彼女を・・・。
「行きます。母上・・・。兄上の為に・・・・。」
このまま・・この国でジョンを思うようにのさばらせて置く訳にはいかないのだ。
日夜、彼の傲慢、愚考は悲惨な程に悪化し、更に性質の悪いことに既に彼は兄国王亡きものと思い込んでいるかのような行動にさえ出ているのだ・・・。
「すまない・・・。リナよ・・・・・・・・。」
「・・そのお言葉は・・・。」
聞き飽きました・・・・。そうリナは心の中で反芻する。


「・・・・ガウリイ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
扉と壁にもたれ・・彼は今までの会話を聞いていたのだろう。
「ジョンは・・。はなっからリチャードを解放するつもりなんか無い。あわよくば・・・。お前ともども彼を消そう・・という腹だ。行くな!!」
「・・・無駄よ!!」
ムっとして反論するリナにガウリイは・・・・。
「兎も角。さしもの俺も、姉上ばかりかお前までも・・。あの女・・・。王妃の思い通りにさせる訳にはいかない!!」
グイ・・っと腕を引っ張りその場からリナを連れ出そうとする。が・・・。
「だめ!!」
華奢な腕は信じられないような勢いでそんなガウリイの手を振り払う。
「駄目・・。あたしが母上の命令に逆らうことは出来ないわ・・。そんな事したら・・。
リチャード兄さまが・・・・。ましてや・・・。このままじゃジョン・・・・。あの子の
思いのままになって・・・・・。」
ジョンの腹がどうあれ・・このまま何もしないで手をこまねいているわけにはいかない。
すでに15万マルクの負債のあるこのプランタジネット家に更に釈放金の15万マルクが
払えるはずも無いのだ。 このままでは・・・・・。
この国は大変な事になってしまう・・・。
「・・・わかった。」
訴えかけるような瞳。そして・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
宮廷からガウリイの姿が消え・・彼が数日後ドイツとオーストリアの国境付近を
騎馬で疾走する姿が目撃されたのだった。


「このドイツ語を・・。翻訳しろ・・・。」
鋭い瞳に研ぎ澄ました剣・・・。黄金の髪に銀色の刃が微かに添えられ・・。
更に怪しい光を放つ結果となる。
「・・・分かった・・・分かった・・・・・・・・・・。」
懇願、そして怯え・・・。無論、こんな強硬手段にでている事は八つ当たり以外の
何者でもないのだが。
「わかった・・翻訳する・・・・」
怯えた瞳でその男・・皇帝ハインリヒ6世の騎士はガウリイにそう言う。
無論・・ようやっとの事で皇帝の使者から騙し取った秘密文書。
訳をさせた時点で斬り捨ててやっても良い。しかし・・それこそ無意味と言う物だ。
こみ上げてくる怒りを押さえつけつつガウリイは翻訳された機密文章・・・。
それを片手にやおらその場を飛び出していく・・・。
リチャードの幽閉されている場所・・・・・。
「・・まさかな・・・・・・・・・・。」
いやな予感のみが脳裏に過ぎる・・・・・・・。いや・・・・。
既にガウリイ・・ないしはリチャードに忠実な誰かの動きを察知したジョンの
陰謀の手に落ちた・・・・・?頭では分かっていても行動しない訳にはいかない・・。
・・あの時と同じでも・・随分境遇は変わった・・・。そう思いながら駆け出していく。


「砦の様な岩山ね・・・・・・・・。」
場所の窓から少しだけ顔を出し、リナは面白いとは到底言いがたい景色を見渡す。
決断は鈍らないうちが良い。そう思いながらリナは今、ここからハインリヒ9世の息子の待つ土地に向かうその途中だった。
「ああ・・。罪人を収容する牢獄・・でもある・・・。」
御者の男の乱暴な・・強いて言うなら敬意を示さない口調にちょっとムっとしたリナは。
「教えてくれたことには感謝するけど・・。聊か無礼なのでは・・?」
「・・・無礼・・・・だと・・・?」
今まで目深に被っていた帽子をその男は脱ぎ捨てる。
あ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・微かに口元まででかかった声が驚きによって喉の奥深くに再度沈められていくのを否応なしに感じる。
「・・この国王が・・・。このジョンが実の兄妹とはいえ・・。お前の『御者』
になってやったと言う物の!!!そうさ・・・。あの砦には・・・。」
「・・・リチャード兄上が幽閉されている・・。そうなのね・・ジョン!!」
敵わない・・・そう悟りながらもリナはアリエノールから渡された護身用の短剣
を握り締める。
「ああ・・・・まったくもってその通りさ。兄上には獄死、リナ・・。お前は山賊に襲われて死んで貰ったことにする!!邪魔者は・・・・・・・。」
言い放ちながら鈍い光を帯びた剣をリナに向かって振りかざそうとするジョン・・・。
その時だった・・・・・・・・・・・・。
ガイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイインン!!!
何処からともなく放たれた弓矢の一撃が見事にジョンの右腕に命中する!!
「・・・面白いな・・・。俺が幽閉されている・・だと?発想に免じ、今回は・・。」
「これだけで勘弁しておいてやるよ!!」
ズゴ!!!!!
恐らく・・衝撃は骨にまで達したことは疑いが無いだろう・・・・・・・・。
何処からともなく現れたガウリイの拳の一撃をマトモに顔面に受け・・・。
地面になんなく転がる。
「・・・・心配かけたな・・。リナよ・・・。」
苦労をかけた妹に微笑みかけ、リチャードはその場に佇む。
「お〜〜〜い・・。俺のことも忘れないでくれよ〜〜・・。」
何時の間にか「何時もの」ガウリイに戻っている。
「で・・・。リナ・・。戻るのか・・?それとも・・・・。」
馬車も。更に言えば彼女が皇帝の所に持っていく筈であった持参金も・・・・。
「襲撃を受けた形跡」もそのままである・・・。
「・・・行きます・・・。にいさま・・・・・・・・。」
多分、もう二度と帰ることは無い・・・だろう・・・・・・・・。
「ああ・・・。幸せにな・・・。リナ、ガウリイ・・・・・。」


あの時と同じだった。
しかし・・今度は断る「理由」は無い。
「よっり!!行くぞ!!リナ!!」
しっかりつかまっていろ、とでも言わんばかりにガウリイはリナを相乗りさせた
馬を思いっきり駆けて行く!!
「わかったわ!!」
約束を本当に果たしてくれた・・・・。今はそれだけで満足だ・・・。
そして・・。これからもずっと・・一緒に・・・・。


(おしまい)

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12295リナのためなら(笑)P.I E-mail 11/8-23:58
記事番号12294へのコメント

CANARUさん、お久しぶりです〜♪
いや〜、やっぱし中世騎士物語はええのう〜〜!(うっとり)
今回のガウリイくんの役どころは、後半がアイヴァンホーといったところ
でしょーか?
不発に終わった最初の駆け落ち・・・帰ってきた二人を見て、リチャードが
なんと言ったか聞いてみたかったです(笑)
きっと散々冷やかされたでしょーね!(^0^)
実は以前BS2で「黒騎士」ってゆー古い映画を観たんですが
(ほんとに古かった・・・エリザベス・テーラーが若いのなんのって!・笑
 でも面白かった〜〜!)
冒頭にアイヴァンホーが吟遊詩人に身をやつしてリチャードを探すシーンが
ありました〜。・・・ガウリイはそんな悠長なことはしてられんかったみたい
ですね(^^;)リナの結婚がかかってるともなれば、幽閉先のお城に単身
なぐり込みかけて、リチャードを強奪することまでやってしまうんだから・・・

話は変わりますが、12月に宝塚にいきます!ダメモトで送った WOWOWの
応募券が当たって、「ルードヴィヒ2世」のチケットが取れたです〜♪
またしばらくハプスブルクものにハマりそーな予感・・・(^^;)
それでは〜♪

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12299アタシも見ましたわ〜♪CANARU 11/9-09:24
記事番号12295へのコメント

>CANARUさん、お久しぶりです〜♪
どうも〜〜!!
ちょっと森護さんの面白い英国関係の本を
入手しましたので!!
早速話し書いてみました!!
>いや〜、やっぱし中世騎士物語はええのう〜〜!(うっとり)
はうううう!!
実は「花巡礼」という漫画にリチャードとアリエノールさま
が出ているのですよお!!
類似しないように細心の注意を払いましたわ〜〜!!
>今回のガウリイくんの役どころは、後半がアイヴァンホーといったところ
>でしょーか?
ですね!!
やっぱり少々此方の方も意識した次第です〜〜♪
お姉さん(ロズモンド)を・・というのは書いていて何故か
そ〜なってしまいましたわ!
>不発に終わった最初の駆け落ち・・・帰ってきた二人を見て、リチャードが
>なんと言ったか聞いてみたかったです(笑)
ははは!!
やっぱり指差して腹抱えて笑った・・ということになっております!!
>きっと散々冷やかされたでしょーね!(^0^)
ですねえ〜〜〜!!
以後、ず〜〜っとこのことでからかわれて??
>実は以前BS2で「黒騎士」ってゆー古い映画を観たんですが
>(ほんとに古かった・・・エリザベス・テーラーが若いのなんのって!・笑
> でも面白かった〜〜!)
見ました〜〜!!
あの時はリチャードは「ブロア物語」でしか知らなかったんですけど・・・。
う〜〜ん・・・。
映画と榛名さんのリチャードとの扱いのギャップに少々
唖然とした覚えがありますうう!!
>冒頭にアイヴァンホーが吟遊詩人に身をやつしてリチャードを探すシーンが
>ありました〜。・・・ガウリイはそんな悠長なことはしてられんかったみたい
>ですね(^^;)リナの結婚がかかってるともなれば、幽閉先のお城に単身
>なぐり込みかけて、リチャードを強奪することまでやってしまうんだから・・・
ですねえ〜〜〜!!
まったく・・普段の彼と比較しても気が短いですね!!ガウ!!
>話は変わりますが、12月に宝塚にいきます!ダメモトで送った WOWOWの
>応募券が当たって、「ルードヴィヒ2世」のチケットが取れたです〜♪
おお!!
すごいですううううううう!!
ちなみに2月にサラ・ブライトマンが来日するようです!!
チケット・・高いので買えませんけど・・(涙)
>またしばらくハプスブルクものにハマりそーな予感・・・(^^;)
>それでは〜♪
ではでは〜〜〜〜〜!!

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12297どうも、桐生です………(笑)。桐生あきや 11/9-00:56
記事番号12294へのコメント

 どうも、桐生です(笑)。こっちで会うのは初めてですね。

 ちび☆様のページにある「紅蓮なるメディチ」のほうも楽しく読ませていただきました。おもしろかったです! シスコンケインが(笑)。

 CANARUさんは、大学は史学科なのですか? とてもルネサンス時代のヨーロッパに詳しいですよね。私は日本文学を専攻しているんですけれど、こっちのほうはあまり役に立ちません。友人のように史学科に行けばよかったかと今頃思ってます。

 ストロベリーブロンドっていうCANARUさんのリナの髪の表現がとても好きなんです。
 ああ、なんか支離滅裂だ………(汗)。向こうの掲示板じゃないんだから………。
 よろしければ、また子猫のほうでお逢いしましょうね。
 それでは。

 桐生あきや 拝

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12300有難うございました〜♪CANARU 11/9-09:29
記事番号12297へのコメント

> どうも、桐生です(笑)。こっちで会うのは初めてですね。
ふふふ〜〜♪
此方でもお会いできて嬉しい限りです!!
以後よろしくでっす!!
> ちび☆様のページにある「紅蓮なるメディチ」のほうも楽しく読ませていただきました。おもしろかったです! シスコンケインが(笑)。
はうううう!!
そちらも読んでくださったんですね〜〜♪
本当にありがとうございました!!
ふふふ・・ケイン君・・アタシの中ではやっぱりシスコンおに〜ちゃんの
イメージだったりします!!
> CANARUさんは、大学は史学科なのですか? とてもルネサンス時代のヨーロッパに詳しいですよね。私は日本文学を専攻しているんですけれど、こっちのほうはあまり役に立ちません。友人のように史学科に行けばよかったかと今頃思ってます。
う〜〜ん・・・。
実は国文学科なんですよ〜〜(汗)
歴史はほとんど趣味なんです〜〜〜!!努力してでも史学に
進めばよかったかな・・・・。
などと少々悔やんでます、アタシも(苦笑)
ルネサンスが一番歴史でスキな時代なんです〜♪
> ストロベリーブロンドっていうCANARUさんのリナの髪の表現がとても好きなんです。
> ああ、なんか支離滅裂だ………(汗)。向こうの掲示板じゃないんだから………。
いえいえ〜〜!!
ありがとうございました!!
と、ある小説でこの表現をしって・・・。
「絶対リナちゃんみたいな髪のことだ!!」
と決め付けたんです〜♪
> よろしければ、また子猫のほうでお逢いしましょうね。
> それでは。
ではでは!!
此方でも子猫でもよろしくでっす!!