◆−霧の中の陰謀(気まま2-14)−CANARU(11/28-10:06)No.12484 ┗塀の中の不幸な人たち(笑)−P.I(11/29-22:03)No.12495 ┗ビデオ録画もしました〜♪−CANARU(11/30-08:57)No.12498
12484 | 霧の中の陰謀(気まま2-14) | CANARU | 11/28-10:06 |
今回は久々に書いていて楽しかったです。本場 イタリアのフェラーラ市の観光サイトの写真見るのも 面白かったですわ〜〜♪ ******************** 「私は滑っても転ばないわ・・・・・・・・。」 「・・・・何映画女優みたいな台詞言ってるんですか・・・?」 ナポリ、シチリアを取り仕切るまだしも合法的なマフィア組織・・・。 『カタート』の若き総帥・・・・、ゼロス・・・・・。 しかし実態はルクセンブルク公国、『ワルキューレの騎士団』の副旅団長にして 公女にしてリナの義兄である。 「そうよ・・。どっかの馬鹿がすっこけてワックスぶちまけまくった床でも・・。 絶対に滑っても転ばないわ!」 「あああ〜〜〜〜もう!!悪かったですよ〜〜!!そうです!!僕がお掃除していて 床にワックスぶちまけて・・。多大なる被害をこの部屋に催させました!! これで良いんでしょ!!」 半ば怒ったよ〜な、不満そうなよ〜な・・・・・・・・・・。 そんな口調でゼロスはリナに文句をいう。 「ゼロスさん・・・。そんなヒヨコさんのピンクのエプロンに箒・・・・。三角ずきん被ってそんな事言っても・・。全然説得力ありません!!」 机の上に避難しながらアメリアが文句を言う。 「まったく・・・。人騒がせな・・・。」 そう言うゼルは出窓に座り込み足を抱えている。 「しょ〜がないでしょう!!年末なのに家政婦さんが風邪ひいちゃって!!皆さんもぜ〜〜んぜん手伝ってくれないから・・。僕が一人でぜ〜〜〜んぶ大掃除してるんです!!」 そう言いながらも・・・・・・。 随分気合が入って楽しそうな服装している気なのだが・・・・・・・・・。 はあ・・・とリナも大掃除を手伝わなかった引け目もあり・・・・。 滑れども転ばないように部屋に・・・・・・・・・・・・・・。 そう思った矢先だった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 ドンガラガッシャ〜〜〜ンガラガラガラガラガッシャアアアアアアアアアアンン!!!! ド派手にすっこけ・・・更に言えば転ぶ音が部屋中に響き渡る・・・・。 「・・いってぇ〜〜〜〜・・。ナンだよ・・。この部屋ぁぁぁぁぁぁ(涙)」 泣きながらリナに『起こして』と言わんばかりに手を差し出すのは言うまでも無い・・。 ノー味噌信州一・・もとい・・・。 ヌカみそ男の金髪クラゲ・・・・ガウリイである・・・・・・。 「ワックスよ・・・。ったく・・・。ついでに言えば。あたしまで転ぶから起こすのは いやぁ〜よ。」 アッサリと差し出された手をピシャリっとひっぱたくリナ。 「そんな〜〜・・。最近リナ・・。つめたいゾ・・・。」 ブツブツ言うガウリイにリナは何を思ったのか急に最上級の笑顔を贈り・・・。 「じゃ、今度、デートしてあげましょっか?」 「おお!!本当か!!で、で、予定は!!」 転んでワックス塗れなのにもかかわらずそんなことと成ると早速急かすガウリイに・・。 「予定は夜の8時。コースは古代ローマ時代の墓地、9時には幽霊が出るという評判の裏道を通って中世の墓地跡地の廃墟へ。でもっと10時にはルネサンス時代のフランス軍侵略時のナポリの墓地、11時にはナポリ、スペイン完全占領時代の墓場へ。でもって真夜中の12時・・・。第一次〜第二次世界大戦中の爆撃中心地・・な〜んて素敵なコースはいかがかしら?」 「・・・・・・・・・・・・・・・・。遠慮しときます・・・・・・・・・・・・。 俺・・・・・・・・お化け大嫌いだし・・・・・・・・。」 心底の涙を流しながらガウリイは呟くのだった・・・。 「まあ・・。下らないジョークはさておき。あたしがこんなワックス塗れの部屋に来たのには訳があるわ・・・。」 キっと馬鹿兄・・ことゼロスを見据えながらリナは言う。 「ほお・・・。そこまで言いますか・・・・。」 「当たり前よ・・。用事が無かったら・・。さっさと馬鹿兄とストーカーなんか見捨てて・・。競馬見に行ってるもん!!」 「馬鹿兄・・・。」「ストーカーって・・・・。」 ゼロスとガウリイの不満の声が同時に聞こえるが・・完全無視!! 「さっき。ジョヴァンニに〜さまから電話があったの・・。」 ジョヴァンニ・・リナの実兄の名前が発せられたことによって場の雰囲気は一変して 緊張したものになる。 彼からの連絡があるときは決まって「ルクセンブルク公国」の失われた「エルミタージュ」の宝物が絡む・・という日常だからである。 「最も・・・。電話が『ラウラ!!??』の焦りの一言を最後に残して・・・。 切れた事から考えて・・彼の現状は・・知らないわ・・・。」 「・・あのね〜ちゃんか・・・。そういえば・・。今度ジョヴァンニに会ったら・・。ポー川に放り込むとか言ってたしなあ・・・。」 よいしょ・・と立ち上がりながらガウリイが言う。 「で、ジョヴァンニさんはなんて言っていたんです?」 アメリアの質問にリナは・・・・・・・・・・。 「オークションを阻止せよ。ですって・・。確か・・。途中で切れちゃったから分からないけど・・・。大慌てで彼が言った単語を組み合わせると・・。『ティッツィアーノ』・・。そして『パリシーナとウーゴ』・・・。場所は彼の入院していた場所と・・。 この『パリシーナとウーゴ』のキーワードから考えて・・・・。」 「・・・フェラーラか・・・・・・・・。」 ゼルの言葉にリナも重々しく頷いて・・・・・・。 「と、言うわけで!!馬鹿兄!!あたしとガウリイの旅費ちょ〜だい!!」 さっとお小遣いを強請る子供のようにゼロスに向かって掌を出すリナ。 「ちょ!!待ってくださいよ!!あたしとゼルガディスさんももこんなワックス塗れの部屋に居たくないから行きます!!ゼロスさん!!旅費!!もう二人分追加お願いします!!」 続いてアメリアまでリナと同じようにおねだり体制に入る!! 「・・・ついでに言えば・・。ナポリから北イタリアまでの街道は・・。 トラックのボイコットで使えないらしいな・・・・。さらについでに言えば・・。 昨日から電車会社も便乗でボイコット体制に入ったらしいな・・・・。」 「・・俺・・酔うから船旅は厭だ〜〜〜〜〜・・・・・・。」 続いてゼルとガウリイまでも訳の分からないことを言い出す始末・・・。 「みなさん〜〜〜!!この年末のクソ苦しい時に!!よりによって『飛行機代!!』を出せというんですか〜〜〜〜〜〜!!!南イタリアから北イタリア!!結構金かかるんですよ〜〜〜!!!??」 半ば泣き顔で懇願するゼロスだが・・・・・・。 「・・・ワックスのこと・・。ルナね〜ちゃんに言ってやる・・・・・。」 ぼそり・・・と言い放ったリナの脅しに・・・。 「分かりましたよ・・。僕の虎の子の貯金下ろせばい〜んでしょ・・。わかりましたよ・・わかりましたよおて・・あああ!!!??」 棚の中にしまったヘソクリ口座の通帳を取りにいこうとして・・・。 見事に滑って転んだゼロスだった・・・・・・・・・・・・・・・。 重々しい風景・・・・・・・・。 北イタリア。かつてルネサンス時代栄華を極めた公国、フェラーラ・・・。 今ではイタリアの有名な車フェラーリの産地、といえばカーレースマニアの方にはお分かりいただけるかもしれない。 しかし、今回はそのフェラーラが『公国』ではなく『侯国』であった頃の時代の話である。「フェラーラが栄華を極めたのはエルコレ一世の時代・・。今回の調査は・・・。 それより一世紀前、15世紀のニコロ侯爵の時代・・・。」 今ではこのフェラーラ市の市庁舎となった石造り・・ミラノのスフォルツァ城やイーモラの名高い城壁に比べたら寒々しい、だが威圧的な雰囲気を醸し出すエステンス城・・・。巨大な塔、とも城とも見分けのつかない建物。 堀に巡らされた水に映るその巨大な姿はこの北イタリアの風土に似合い・・・。 冷たくもあり・・美しくもあった。 そんな状況を眺めながらリナは考えにふける。 「ルクレツィア・ボルジア時代のフェラーラはともかく・・・。あんまり『侯国』 時代のフェラーラはあたしもよく知らないんです・・。リナさん・・。説明お願いして良いですか〜?」 珍しくガウリイではなくてアメリアが質問してくる。 「まあ・・。良いけど。頭をガウリイレベルにみんな合わせてね。」 「おい・・・・・・まあ・・御伽噺口調の方が・・俺も楽だが・・・。」 どうやら・・ガウリイも納得してくれたようである。 「昔々。15世紀の初め、ニコロと言う侯爵様がイタリアのフェラーラに居ました。 たいそうな名君でしたが・・。弱点が唯ひとつ!!物凄い『女好き』だったのよ。」 「・・・・さいて〜ですね・・・・・・。」 リナの説明を聞き・・早速潔癖症のアメリアが顔をしかめる。 「でもって・・侯爵様の奥様は早くに亡くなり・・愛称のスッテラって女性が居たんだけど・・。彼女もやぱり公爵夫人に迎える前に亡くなって・・。三人の子供が残されて・・侯爵様の後継ぎとなることになったの・・。上からウーゴ、リオネッロ、ボルソ。」 「・・確か・・ボルソはエルコレ一世の父親だったな・・・。」 思い出したかのようにゼルが言う。 「けどね・・。侯爵様もまだまだ35歳。そこで再婚することになったの。再婚の相手はチェゼーナ領主、マルケ地方一帯を支配する『マラテスタ家』の娘、パリシーナ。当時彼女は15歳・・・。そこに・・問題があったのよ・・・。侯爵様の長子、ウーゴは当時14歳・・・。この二人が言うまでもなく恋に落ちてね・・・・。結末は・・・・。」 クイっとリナはエステンス城の一角の塔の方に首と視線を向ける。 「・・・あそこで・・断罪されたって・・訳か・・・・。」 「ええ・・・・・・・。」 珍しく察しの良かったガウリイにさしものリナもこの伝説の沈痛さを認め、頷く。 「で。それがもう一つのキーワード。『ティッツアーノ』と何の関係があるんだ・・?」ゼルの聞いた一言に・・・・。 「簡単な事よ。16世紀フェラーラ宮廷はかの有名なルクレツィア=ボルジアの有名な芸術サロンが花開いていたの。僅かな間ながらティッツアーノも招かれていたのよ。その間に・・書かれたものじゃないかしらね・・・・。」 何かの弾みでルクセンブルクに流れ・・それが今この場で闇ルートで競売にかけられようとしている・・か・・・・・・・・・。 「ともかく・・。オークション会場はエステンス城じゃなくってデュカーレ宮殿だっていっていたわ・・・。そこにまだ行く必要は無いと思うし・・。ひとまずエステンス城の内部見学・・と行きましょうか・・・。」 16世紀の公爵、(既に侯爵からフェラーラは公爵領に昇格していた。)アルフォンソ・デステの小部屋にあるティッツアーノの絵も見てみたいものである・・・・。 「賛成です!!」 一も、二もなく観光気分のアメリアが賛成する。 「じゃ、ま・・。行くとするか・・・。」「そ〜だな・・・。」 半ば呆れながらも後に続くガウリイ、ゼルの男性陣・・・。 かくして・・四人が『小部屋』の前で見たものは・・・・・・・・・・・・・・。 「立ち入り禁止!!!?」「ど〜してですうううううう!!!??」 やおら小部屋の前、リナとアメリアの文句の絶叫が響き渡る!! 「市庁舎だからだろ・・・?全体公開出来るわけが・・・。」 「でも・・最近じゃ大部分が公開されてるって!!」 ゼルの呆れ声にアメリアが早速反論する・・・。 「・・・何かあったのかな〜〜〜??」 関係ないや・・とでも言いたそな口調ながら一応義務で会話に参加するガウリイ。 「・・・展示中のテッツィアーノの巨大なカンバス画が不意に落下・・・。 まあ・・原因は留め金が緩んでいた・・と言う簡単なメンテナンスの手落ちだけど・・・。偶然居合わせた日本人観光客の女性の頭に直撃・・・。ちなみに額縁は鋼鉄製品・・。」一見リナ達には関係の無い事を悲痛な口調で述べる、見知った声・・・・。 「よ〜お・・馬鹿兄・・・・。」 ヘロ・・と疲れ切った声を出し、辛うじて右手を額の辺りまで上げ、ガウリイに挨拶する金髪の美少年・・・。言うまでもなくガウリイの弟、ガストンである・・・。 「・・・・今・・お前・・日本人観光客の・・・・・。」 「女性って言ったわよね・・・・・・・・????」 行く先々で、被害に合う・・・・・・・真坂ね・・しかし・・ガストンのこの表情・・。そんな考えを巡らせているうちにも・・・。 「ああああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!緋雨裡ね〜〜〜ちゃんん!!昨日貸したジュース代!!120円・・利子がついて320円俺に返さないで身罷っちゃやだああああ〜!!」 やはり突如飛び込んでくる絶叫!!!!! 「廻〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!」 「ああ!!ガウリイさん!!どうしましょ!!借金返してくれないで!!ね〜ちゃんが死んじゃいますううううう!!!!!!!!」 「なにいいいい!!じゃ、形見分けではそれ相当のモン、もらわんと!!」 言うまでも無いパート2・・・・。ガウリイと同類の日本製クラゲ少年・・廻・・。 そして今、ぶっ倒れて単科で運ばれていく(ついでに泡吹いて倒れてる)女性こそ・・行く先々でなぜか不幸な目にあう悲運の人、廻の姉の緋雨裡さん・・・・(汗) って・・・待て!!と・・言うことは!!! 「・・・逃げるわよ・・・みんな・・・・」 顔色を変え、速攻でエステンス城の『アルフォンソの小部屋』から駆け出し、城外目指して一直線に逃げていくリナ!! 「お・・おい!!ど〜した!!?」「リナさん〜〜〜!!?」「ったく・・。」 ガウリイ、アメリア、ゼルもリナの後に続いてさっさと廊下を駆け出して行く・・。 が・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(汗) 「だあああああああああああああああああああああああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!! あたしが浅羽かだったああああああああああああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」 エステンス城の程近くの広場・・・・。 石畳の上に頭を抱えて座り込むリナに・・一台の大砲がと、ある方向を睨んで置いてある・・・。が・・リナにはそんな状況はもはや問題では無いらしい・・・・。 彼女にとっても『問題』は・・その大砲の『持ち主』の方である・・・。 「ふふふふ〜〜〜ん〜〜〜♪ど〜〜〜だい〜〜♪僕のオークション出展商品!! 15世紀末〜16世紀に製作されたという大砲だよ〜〜〜〜〜♪」 ポーズをとりながら自己陶酔に浸っているその人物・・・。 ナルシスト、危な系、ロクデナシ、銀髪、変質、自称超絶美形・・・・・。 ともあれ、『コイツ』についてあげていたらもはやキリは無い!! リナの中学時代の同級生・・・日本人と英国貴族のハーフ、『氷(ひょう)』である!! 「氷さん!!あなた一体何考えてるんですか〜〜〜〜!!!!」 さしものアメリアもこの大砲に座り込んでポーズとってるナルシーには参ったのだろう。 ビシ!!と指を指して抗議の姿勢を明確に表明する!! 「何って〜〜決まってるだろ〜〜♪誰も競り落とせないよ〜な超豪華な一品を展示して〜〜♪オークション会場の主役の座は僕のものだよ〜〜〜♪」 「・・・・・・リナ・・一言聞いて良いか・・・?」 「・・聞かれるまでも無いわ・・昔から・・こんなよ・・・・。」 ポンとガウリイの肩を二人してへたり込んだままリナは叩く・・・・。 が・・・その時である・・・。咄嗟にリナが何かの『違和感』を感じたのは・・・。 不意にへたりこんでいた石畳から立ち上がり・・・。 「どいて!!」 と言うが早いか氷を大砲の砲座から引き離す!! 「ちょっと!!何すんだい!!」 無論、そんな抗議の台詞は無視!!マニュアルは・・・15世紀の古文書を何となく見ていた時に覚えているので、問題は無い・・・。 性能の劣化、更に言えば年代やこの時代の性能を考慮して・・・・・・・。 ズダアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンン!!!!!! 見事にリナのぶっ放して昔の大砲の砲撃・・・(当時は火薬は使わず重い鉄の弾丸のみで城壁などの破壊攻撃に使用していた・・・)が近くにあった石造りの小さな建物の一角を破壊する!! 「チ・・・。やっぱり・・カテリーナ・スフォルツァ全盛時代の大砲の性能は今一ね・・・。アルフォンソ・デステ時代もまあまあだけど・・。贅沢言えばヴェネツィア共和国を滅亡させたナポレオン時代のフランス製大砲が欲しいわね・・・・・・。」 何やら物騒なことを言い出すリナに・・・。 「・・・大砲一代馬鹿か・・・?オマエさんは・・・・???」 そんな間の抜けた質問をするガウリイ・・・・・・・・・・・。 さしもの氷も・・この事の顛末に灰になって燃え尽きた様子・・文句すら言わない。 「そ〜ゆ〜問題じゃないだろ・・。何でまたこんな暴挙に出たんだ?お前は・・。」 同様を辛うじて隠しながらゼルはリナに聞く。 「みすみす・・・。銃口の犠牲にはなりたくないからね・・・。ね、そうでしょ。出てきたらどうなの!!?」 破壊した石造りの小屋・・恐らく中世ではあの小屋から密かに敵を狙撃したのだろう。 其方の方向に向かってリナは怒鳴りつける。 其処から出てきたのは・・無論見知らぬ男・・・・・・・・・。 あらかじめこの攻撃がかわされる・・と計算でもし尽くしていたかのような堂々とした態度でリナの方に歩み寄り・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 「って・・・え?????」 間抜けな声をあげるリナ・・・。彼女の前で立ち止まる・・と思っていたその男がアッサリと脇を通り過ぎて行ったから・・である。 そんな風にリナが放心しているその時だった・・・・・・・・。 ズガシイイイイイイイイイイイイイイイインンン!!ドガアアアアアア!! 激しく後ろから組合うような・・戦闘の音が耳に届く!! 「久しぶりだな!!ガウリイよ・・。真坂オマエが・・。『カタート』の女と馴れ合うとはな!!見損なったぞ!!見事なまでの体たらくだな・・『合法マフィア』とは!!」 言うが早いかその攻撃をひらり、とかわしながら・・・。 「・・・オマエか・・・・・。エマニエ!!!」 エマニエ・・と呼ばれたいかにもマフィア風の男・・・。強いて言えばこの名はポルトガル系の男子名としてかなりメジャーなものである。 「まさか・・オマエがココまで落ちぶれつとはな!!」 言いながらエマニエは焦りのあまり初歩的な守備のミスをし、壁際に追い詰められたガウリイの首筋にナイフを突きつける。が・・・。 「ガフ!!!!」 次の瞬間、ガウリイと同時に石畳に崩れ落ちる・・・。 勿論、ガウリイは今まで締め付けられていた首・・喉の気管が解放された反動・・。 そしてエマニエはリナの後ろから放った攻撃が見事に急所にハマったと言う違いがあるが。 「・・アンタ・・ガウリイのマカオ時代のマフィア仲間って所かしら・・・。もともとつい最近までマカオって・・ポルトガル領だったし・・。アンタの名前はあからさまだしね。」 そっとガウリイの背筋を摩りながらリナはエマニエを睨みつけながら呟く。 「・・・カタートのリナっか・・・。面白い・・。オマエの探している『宝物』は俺が今所有している・・。勝負は・・・。」 「・・明日のオークション・・ね・・・・。」 口から薄く血を流し、見据えてくるエマニエを負けじとリナは睨み返す。 「リナ・・・・・。」 無謀なことを言ったリナに半ば不安げな視線を送りつつゼル。 「・・平気よ・・。一寸ティッツアーノの絵で思い当たる所があってね・・・。ましてやココは『フェラーラ』だし・・・。勝算はあるわ・・・。あいつらの思い通りにはさせない・・。」 なにやら思い当たることがあるらしいリナにひとまずガウリイも安心した表情を見せる。 「でも・・リナさん・・・。」 「何よ・・アメリア・・・・・・・・・・・・。」 「・・・・コレ・・・(氷)・・・ど〜しましょう・・・・・・・・・・・。」 ・・最もな質問だが・・・・・・・・・。 「・・・とりあえず却下。」「そうですね・・・。」 「これ・・闇取引のオークションだったのかよ・・・。」 ガウリイの話を聞いたガストンが不意に驚いたような表情を浮かべる。 「・・知らなかったのか?」 その調査の為に来ているのだとばかり思っていたガウリイはいぶかしげにガストンに聞き返す。 「まあ・・・・な・・・・・・・・・。」 少々お茶を濁したような様子であらぬ方向を見つめ、ガストンは答える。 そういえば・・見れば見るほど「いかにも」というような怪しげな紳士、淑女の集い。 「次ですよ・・。テッツィアーノの『パリシーナとウーゴ』の絵・・・。」 隣に座ったアメリアが・・右隣のリナかはたまた左隣のゼルにか呟く。 暗いステージ、特等席と言わんばかりの場所に陣取った男・・エマニエが微かに後方の末席に座っているガウリイの方をちらり・・と見遣る。 「ヤな奴・・。第一・・ガウリイがマカオのマフィアに潜り込んだのも・・。」 「・・・言うな・・・。」 何時に無く厳しい声でガウリイはリナの悪口を遮る・・・。 「ごめんなさい・・・・・・・・・・・・・・・・・。」 すっかり忘れていた・・。ガウリイが自分の過去は自分で蹴りをつける人間だった事を。 「・・気にすることは無いさ・・。ま、もともと俺とアノ男は・・。犬猿だったしな。」 今度は苦笑交じりに答えるガウリイ。目つきこそは変わらないが声に厳しさは無い。 その分余計に『不敵』なものを感じずにはいられないのだが・・・。 「では、お次の品物は・・。このフェラーラの悲運の恋人・・・。『パリシーナとウーゴ』の画家王、テッツィアーノによる絵です!!」 メインの品物、ということもあってだろう。いっせいに周囲からざわめきが漏れる。 「では・・まず・・・・・・・・・・・・。」 司会者が掛け値を言い出そうとしたその時だった・・・。 「その絵・・・。オークションナンバー200・・。リナ=インバースが6000億リラで買い上げます。」 ざわり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 どよめく会場内。6000億リラなどという途方も無い金額をしょっぱなから・・・。 無論、リナとて平静を装うのがやっと・・いや・・・。装うのもこの場でなかったら馬鹿馬鹿しく感じるくらいのハッタリである。 「馬鹿な・・・」と言わんばかりの表情でリナを見詰めるエマニエ・・・。 ガウリイ以外眼中には無く、更に言えば生意気なとは思いながらもほぼノーマークであったリナがこのような暴挙に出たのである。そして・・現状はともかく彼女には『カタート』という組織の肩書きがある。 そんなこの男の動揺を知ってかすらずか・・リナは更に言葉を続ける。 「最も・・その絵が本当に『パリシーナとウーゴ』で・・画家がチッツィアーノのもの・・ならば・・・ね。確かにマラテスタ家とゆかりある・・まあ、今回の事では『皮肉な縁故』である事は認めましょう・・・。」 無謀な賭けだが・・確信はある・・・。 「・・・・それは・・一体どういう事なのですか・・・?」 司会役の男も・・(最も彼は何も知らない事は請け合いだが・・)マトモに焦りの色を浮かべてリナに問い掛ける。 「この絵は『絵画王』テッツィアーノの書いたモノではない。タッチや構図・・更には背景まで良く似ているけど・・。それは同じヴェネツィアの画家、ジョルジョーネ作のモノよ。そして・・書かれている人物は『パリシーナとウーゴ』じゃない・・・。良く見て。ランチェロット(ランスロット)の恋物語を読んでいないけど・・持っている・・。 それは・・『パオロとフランチェスカ』の絵よ・・・。」 「・・・パオロとフランチェスカ・・・?」 「ええ・・・。フランチェスカはリミニの支配者の娘。醜いマラテスタ家の領主に嫁がされる事になった美女。けどね・・そのマラテスタ家はフランチェスカがこの結婚を断らないために一計を案じた・・。兄とは似ても似つかない・・。美しい弟のパオロを花婿と偽って・・フランチェスカを迎えにリミニまで行かせたの。無論・・二人は恋に落ち・・。 嫉妬に狂ったマラテスタの領主に殺された・・・。奇しくもパリシーナはそのマラテスタ家の末裔のフェラーラ侯爵夫人・・。まあ、フェラーラに招かれたテッツィアーノがそんな公国の恥になる昔の話を絵にするわけは無いとあたしは思ったの・・。そして・・。そのテッツィアーノのジョルジョーネは判別がつかない程タッチが一時期ながらそっくりな絵が多いのよ・・。」 醒めた声でリナは言い放つ・・・・・・・・・・。 と・・その時だった!! 「くっそ!!!!!」 怒り狂ったエマニエがナイフを持ってリナに向かって突進してくる!!? 「グア!!!!!」 「関係あるのは・・・・。」 素手でナイフを受け止め、そのままエマニエの腕を無事な方の片手で捻りあげたのは言うまでも無い!! 「ガウリイ!!!!」 「俺だけだろ!!!」 怒鳴るように言い放ち、そのままエマニエの鳩尾に右足で思いっきり蹴りを叩き込む!! 「う・・・・・・・・・。」 「あっけなかったな・・・。」 アッサリと気絶したエマニエを冷然と見下ろし、掌に深々と突き刺さったナイフの刃を抜き取るガウリイ・・・・。 「・・貸して・・・。」 「すまない・・・・・・・・・・・。」 されるがまま、リナの手当てを受ける・・。かくして・・・。 この闇のオークションに『ワルキューレ騎士団』旅団長ルナの介入が入り、組織は 壊滅に至った・・・・。 「一つ・・聞きたい事があるのだが・・・。」 再びエステンス城の城壁に沿って歩きながらガウリイはリナに聞く・・・。 「よく考えれば・・。アノ絵、テッツィアーノじゃなくってジョルジョーネの書いたものって・・推測できたはずだろ・・・?」 「まあ・・・ね・・・。一つはあの男・・。エマニエが絵を見る資質が無かったって事もあるでしょうけど・・・。鵜呑み・・・ね・・・・・・・。」 ここから先は非常に言いにくい。詮索しないで欲しいと思いながらガウリイの方を見遣る。「何の鵜呑みだ〜〜〜???」 う・・・・・・・やっぱり聞くのね・・・・。 「・・いいにくいんだけど・・。アノ絵売りさばいた・・アンタの親父さん・・・。 フィリップさんの・・・よ・・・・・・・・・・(汗)・・・。」 たちまち見る見る間にガウリイの顔色が変わっていく・・・・。 「アノ馬鹿親父〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!リナの前で俺に恥かかせやがってえええええええええええええええええええ!!!!!!!!!」 ・・・言うんじゃなかった・・・。 「こんな所で絶叫される方が・・・。」 「よっぽども恥ずかしいです・・・・・・・・・・・。」 ゼルとアメリアはもはや他人のフリモード突入・・である・・・。 「で、もう一つ!!これはガストン!!オマエにだが・・。何でオマエがココに居るんだ!!!」 「う・・・そ・・それは・・・(汗)・・・・・・・。」 マトモに焦るガストンの背後に忍び寄る・・・上品な香水の香りにとても44歳とは思えない美貌を保った一人の金髪女性・・・・。しかし・・その瞳は・・笑ってはいない・・。「・・ははは・・ははは・・かかか・・母さん・・はははは・・・:。」 「ガストンちゃ〜〜ん!!お母さんのネックレス・・持ち出してど〜しようとしてたのかしらねえええ〜〜〜〜〜〜〜?????」 言わずと知れたガウリイ&ガストンのママ、美貌の妖姫、オーリさん!! 「・・あはははは〜〜だって〜〜母さん・・もう『フィリップからもらったものなんて〜〜〜〜!!』って言って親父から貰った物処分しよ〜〜としてたじゃないかああ!!!」 「だからって!!子供がオークションに出るなんて!!何たる事!!家に帰っておしおきです!!あ・・ではリナお嬢様、ごきげんよ〜〜♪(ココだけ人格変わってる・・) ガウリイ!!い〜〜わね!!お嬢様に失礼があったら!!アンタもこの悪い子ちゃんと同じ運命よ!!」 「・・・そ・・ソレ(お尻ペンペン、100叩き)だけは勘弁してくれ〜〜!! 俺、もう23だぜ!!(涙)」 「・・・アンタ・・未だにそ〜んなお仕置きされてるの・・・???」 「リナぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜(涙)」 かくして・・ガストンの運命を知るものは・・誰も居ない・・・。 「ラウラ〜〜〜〜!!俺が悪かった!!やりなおそ〜〜〜よ〜〜(はぁと)!」 「ええ〜〜い!!寄るんじゃないよ!!このストーカー男!!!」 ラウラの通報によって警察に連行されたジョヴァンニ・・・。 かくして・・・。 「ジョヴァンニに〜さまの保釈金ちょ〜だい!!馬鹿兄!!(はぁと)」 「シクシクシクシクシクシクシク・・・・・・・・・・・・・・。」 6000億リラなんて・・夢のまた夢・・・・。 「カタート」こと「ワルキューレの騎士団」は今日も赤貧・・である・・・。 「ルナさん・・お給料あげてください・・・・・・・・・・・。」 (気が向いたらまたか書きます) |
12495 | 塀の中の不幸な人たち(笑) | P.I E-mail | 11/29-22:03 |
記事番号12484へのコメント CANARUさん、こんばんは♪ 今週の土曜日はいよいよタカラヅカだぁ〜♪でもって、10日は「リヴァーダンス 2000」だぁ〜〜♪♪ 今は絶対風邪なんかひいてられないPです(^^;) いきなり大砲ぶっぱなされて燃え尽きてしまった氷殿下。燃えカスのまま放置 されて、そのまま大砲撃った犯人にされてしまったのではないかと期待・・・・ いえ、心配ですわ〜(笑)留置所でジョジョにーちゃんの隣りにブチ込まれたり して(大笑) ジョジョにーちゃんと言えば・・・今回は女難でしたか(^0^)気の強い 女性に惚れて冷たくあしらわれてるあたり、未来の義弟(笑)にそっくりです なぁ〜。頑張れにーちゃん!冷たくても相手にされてる分だけ希望はあるぞ! それにしても、おおっ!ガウリイ、久しぶりにカッコいいじゃないかぁ〜!! 「闇ライ」ばりにリナを庇って大活躍!リナちんもさり気なくガウりんを フォローしてるし♪ガウりんがあんなにがんばったんだから、リナ、帰ったら ちゃんとデートしてあげなさい!・・・・あんな幽霊めぐりじゃなくて(笑) ちょっと前に民放のTV番組でティツィアーノとジョルジョーネの番組やって ましたね。なかなか面白かったけど、なんでナビゲーターが薬師丸ひろ子だっ たんだろう?あれが一番の謎でした(笑) それではまた〜♪ |
12498 | ビデオ録画もしました〜♪ | CANARU | 11/30-08:57 |
記事番号12495へのコメント >CANARUさん、こんばんは♪ >今週の土曜日はいよいよタカラヅカだぁ〜♪でもって、10日は「リヴァーダンス >2000」だぁ〜〜♪♪ う〜〜ん!! うらやましいです〜〜!! 宝塚のビデオは発見したのですが・・・。 何故か「チェーザレ」だけは見つからないです!! >今は絶対風邪なんかひいてられないPです(^^;) ですね!! でっかい行事があるときは風邪は天敵でっす!! >いきなり大砲ぶっぱなされて燃え尽きてしまった氷殿下。燃えカスのまま放置 >されて、そのまま大砲撃った犯人にされてしまったのではないかと期待・・・・ >いえ、心配ですわ〜(笑)留置所でジョジョにーちゃんの隣りにブチ込まれたり >して(大笑) ありえます〜〜!! 「ナンでボクが捕まらなくちゃいけないんだ〜〜〜〜!! 離せ〜〜!!大砲かえせ〜〜〜〜!!」 と一頻り鉄格子つかんで大騒ぎ・・・。 隣ではジョヴァンニさんが・・・。 「元気でいいね・・あはははは・・」 と意味不明な呟きを!!? >ジョジョにーちゃんと言えば・・・今回は女難でしたか(^0^)気の強い >女性に惚れて冷たくあしらわれてるあたり、未来の義弟(笑)にそっくりです >なぁ〜。頑張れにーちゃん!冷たくても相手にされてる分だけ希望はあるぞ! ですね〜〜〜!! ちょっと今回、そ〜んな彼女の過去をかいてみました!! しかし・・にいさま・・やっぱり未練タラタラ。・・ですね(苦笑) >それにしても、おおっ!ガウリイ、久しぶりにカッコいいじゃないかぁ〜!! はい〜〜!! 久々に見せ場が出来たな〜〜とアタシも自己満足しております〜〜!! だって・・しょっぱながワックスでしたし(苦笑) >「闇ライ」ばりにリナを庇って大活躍!リナちんもさり気なくガウりんを >フォローしてるし♪ガウりんがあんなにがんばったんだから、リナ、帰ったら >ちゃんとデートしてあげなさい!・・・・あんな幽霊めぐりじゃなくて(笑) ですねえ〜〜〜!! それとも・・やっぱり遊園地のオバケ屋敷とか(汗) >ちょっと前に民放のTV番組でティツィアーノとジョルジョーネの番組やって >ましたね。なかなか面白かったけど、なんでナビゲーターが薬師丸ひろ子だっ >たんだろう?あれが一番の謎でした(笑) 見ました〜〜〜!! やっぱり・・ナビゲーターの選定が一番の謎でしたねえ・・・・。 たはは・・・。 >それではまた〜♪ ではでは!! |