◆−明暗の賭け(気まま2-15)−CANARU(12/1-17:48)No.12510 ┗ブラボ〜!タカラヅカ♪(^0^)−P.I(12/2-21:52)No.12520 ┗男装の麗人です〜♪−CANARU(12/3-10:46)No.12525
12510 | 明暗の賭け(気まま2-15) | CANARU | 12/1-17:48 |
ぐ〜〜〜〜〜ぐ〜〜〜〜ぐ〜〜〜〜〜・・・・・・・・・。 総帥執務室の机に一人突っ伏して・・・・。 よっぽど疲れているのだろう・・・。 若き総帥のゼロス・・リナの義兄にしてナポリ、ヒチリアを取り仕切るまだしも 合法的なマフィア組織『カタート』の若き総帥にして・・・・。 しかし、実態は「ルクセンブルク公国」、「ワルキューレの騎士団」の副旅団長・・。 更に言えばリナはルクセンブルク公国の公女だったりする。 「おい・・・ど〜する・・・・・。」 「・・・日ごろ私たちがいじめるから・・でしょうかね・・・?」 「しばらく・・放っておいてやるか・・たまには・・・。」 ゼル、アメリア、ガウリイの意見が今回ばかりは一致してゼロスに休息 を与えるという結果にいたる・・・。 が・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 ガツガツガツガツガツガツガツ・・・・・・・・・。 やおら聞こえる、踵の高めの革靴が大理石の床を蹴る音。 「あ・・・リナ・・・・。」 ガウリイが止める暇も無く・・・・ストロベリー・ブロンドを陽光に光らせた リナが何も言わず三人を押しのけて総帥の執務室に入っていく。 そのまま無言を保ちつつ何やら着込んだスーツの懐・・恐らく内ぽっけっと だろう・・・。 手を突っ込んで何かを取り出すしぐさをする。 「・・・・紙・・・?」 「・・・紙・・・ですね・・・・・・・・・。」 「・・・紙・・だな・・・・・・・・。」 何やらリナの取り出したモノを遠巻きに眺めつつ再度ゼル、アメリア、ガウリイは言葉を交わす・・・・・。 そして、リナが何をすでかすのだろう・・・・その事のみに興味を示す。 手にもった何らかの形を模したボール紙をリナはゼロスの頭上に載せ・・・。 「そう・・・。それが真の英国王の冠だと言うの・・・・。」 冷酷な微笑を浮かべつつ、そう言い放つ。無論ゼロスは爆眠している・・・。 だが・・・・・・・・・・・・・・・・。 ズベエエエエエエエエエエエエエエエ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!! 見事、状態を理解できないガウリイ以外のギャラリーが見事にずっこけ、その音で 「う〜〜〜〜ん・・・・・。」 とまだまだ眠たそうな声をあげてゼロスが起こされてしまった事は・・言うまでも無い。「あれ・・なんです・・この紙切れ・・なんで僕の頭の上にのっかってるんでしょうかね・・・?」 半ばぼ〜〜〜っとしたままゼロスは己の頭上に陣取っている物体について一人議論する。「・・・・・・・赤いバラの女王の真似だ・・・・。」 ずっこけた体勢から起き上がりながらゼルはゼロスに説明する・・・。 「・・・・・するって〜〜〜と・・。僕はヨーク公リチャードですか・・・。 そんなに王位が欲しければ紙の王冠でも被ってればいい・・というわけですか・・。 ははは・・こりゃ〜〜愉快ですね・・・・。」 「・・・嫌味・・?それ・・・?」 リナの放った一言にゼロスは・・・・・。 「いいえ・・。でもまあ・・・。こうは言っておきましょう。『余が妹リナ、そしてガウリイまでが、戦場から余にさがれといいおる。彼らはともに余が居ないほうが勝てるといいおる。いっそ死んでしまった方が!!』という心境ですね・・。」 ククク・・と不敵な笑みを浮かべつつ愚痴るゼロス。 「ま、シェークスピアの『ヘンリーY』の台詞の言い合いはさておき。 ジョヴァンニに〜様から今度はイギリス送りの命令が出たのよ。」 「・・・・?『エルミタージュ』の失われた宝物が・・・。英国で見つかった という話は聞いてはいませんが・・・・?」 不思議そうにゼロスは首をかしげ、逆にリナに聞く。 どうやら・・まだ一寸寝ぼけているらしいのだが・・・・・・・・・・・。 「今回は・・宝物がらみの事件じゃないわ・・・。『ワルキューレの騎士団』の 問題らしいのよ・・・。何でも・・・。イングランド支部、支部長の後継者の少年が・・。原因不明の急病に陥ったらしくて・・・・・・。」 「・・・後継者争い・・って言うわけか・・・?」 何時に無く冴えた事を言うガウリイ。 「ええ・・・。その勢力は二つ。『レッド・ローズ』の紋章を使用する支部団と・・・。『ホワイト・ローズ』を使う支部団の争いよ・・・。にいさまが既に手続きをとってくれてるわ・・・。まさに・・この現在の『ヨークとランキャスター』を使用人にばけて調べてくるように・・との事よ・・・。」 はあ・・と半ばため息をつきながらリナ。 「ま・・。ど〜せ暇だし・・・・・。」 行くか、とでも言うように支度を始めるガウリイ。 「・・一寸待ってください。」 そんな二人に不意にゼロスが声をかけてくる。 「何よ・・馬鹿兄!!」 「・・・この紙っぺらの冠・・・さっさと取ってください・・・・・・・。」 「・・・厭だポンポコ・・・・・・・・・・。」 通称タワーと呼ばれる陰鬱な牢獄がバスの中からでも見て取れる。 言わずと知れたかの「ロンドン塔」という建物である。 「・・・1674年・・。あのロンドン塔の『ホワイトタワー』から・・・。 二人の子供の白骨が発見されたわ・・・・。」 「・・・・・子供の・・・??」 「そう・・・。15世紀に・・何者かの手によって殺害された・・・。 通説で言えばヨーク家の最後の国王『リチャード三世』によって、という事になっているのだけど・・・。エドワード四世の二人の王子・・。少年王エドワード五世と弟の ヨーク公の白骨だったの・・・・。」 「・・・なんで・・そのリチャードって王様は・・エドワード五世とヨーク公を殺したんだ?」 当然なことを疑問に思ったガウリイがリナに尋ねてくる。 「簡単な事。もともとこの二人の王子は・・・・。」 ここまで言いかけて・・不意にリナは何を思ったのか言葉を切る。 不意に・・口元には普段では決して見る事の出来ないヒトの悪い笑みを浮かべて・・。 「ん・・・ナンだよ・・・(汗)」 目の前に・・子悪魔の微笑をたたえたリナの顔をどアップで拝む・・な〜んて 事態に陥ったガウリイの内心の焦りは言うまでも無い!! が・・リナは面白がるかのようにガウリイから目をそらさずに・・なおさら口に にんまりとした微笑をたたえる・・・・・・。 「ねぇ〜ガウリイ・・。アンタさぁ〜〜・・・。アタシの事・・・。そね・・・。 『適当』に口説くとしたら・・・。何ていう?」 ククク・・と面白くて仕方ない、と言った様子を崩さないままリナはガウリイに尋ねる。「・・・そうだな〜〜〜・・う〜〜〜っと・・えっと・・あの・・・。 『俺についてきてくれ!!』かな・・?」 咄嗟なことゆえ・・いつも常日頃言いたい・・と思っている事をいえないガウリイ(汗) 「・・・悪いけど・・。アタシはあなたの妻になるには身分は低すぎますけど・・・。 愛人になるには誇りが高すぎます。」 きっぱりと言い放つリナに・・・・・・・・・・・・・。 「・・・・・・・俺・・・・・ふられたのか・・・・・・・・・・・・・・」 「・・・・・・何落ち込んでるのよ・・?今の台詞は・・・。国王エドワード四世。 つまりはリチャード三世の兄がエリザベス・ウッドビルに求婚したときの彼女の答え、よ。」 何事も無かったかのようにアッサリとガウリイにそう返答するリナ。 「・・・オマエが・・俺に言った答え・・・じゃあないんだな・・・?」 「・・・ナンのよ・・・?」 眉を吊り上げ。妙に凄むリナに涙を流して安心するガウリイ。 ったく・・と思いながらもリナは更に話を続ける。 「このエリザベスは・・もともとヨーク王家に対立していたランキャスター王家の騎士の 未亡人でね・・・。身分もたいして高いわけでもなかったから・・。リチャードは かなり彼女・・そして彼女の生んだエドワード王にヨーク公に反感を抱いて いたんでしょうね・・・・・。」 それだから故に・・殺害し・・タワーの地下に封印する・・・・。 などというとんでもない暴挙に出たのだろう・・・。 もっとも・・そんな悪人の気持ちなんて理解したいとも思わないが・・・。 「で・・そのリチャードはどうなったんだ・・・?」 思い立ったように質問してくるガウリイに・・・。 「テューダー王家・・ランキャスター王家脈の最後の生き残りの王子ヘンリー。 後のヘンリー七世によって戦争で殺されたわ・・・。もっとも・・・。このヘンリーの王位継承権にはかなりの問題があってね・・・。黙殺されていたが故に・・・。 彼は生き延びて・・偶然ながらテューダー王朝を開いたのよ。」 「・・・問題・・・?」 「・・話はヘンリー五世の后、キャサリンの時代に遡るんだけど・・・。 彼女は夫である国王の死後・・オゥエン・テューダーと密かに再婚してね・・。 そこで数人の息子が生まれたの。そのうちの一人エドマンド・テューダーがランキャスター公の血を引く傍系中の傍系の娘、マーガレット・ボーホートと結婚してね・・・。 ヘンリー七世は『一応』ランキャスター王家の血を引く事になったの・・・。 もっとも・・このマーガレットのランキャスター公と言う名目は彼女の先祖のジョンがランキャスター王家の姫君ブランシュと結婚して得た照合に過ぎないの・・・。 ジョンが再婚したキャサリンの家系の血を引くマーガレットは・・。ランキャスター王家の血筋はハッキリ言って・・ろくすっぽにひいていなかった・・と言っても過言では ないと思うわ・・・。まあ・・アタシの私権だけど・・・。」 「けどよ〜〜・・。それって・・。やっぱりヘンリーの王位には繋がりにくいんじゃないか〜〜?まあ・・難しい話はさておき・・血筋って奴から考えて・・・。」 「・・その事よ。彼は・・より自分の王位を確実にするために・・。エドワード四世の娘、エリザベスと結婚し・・ヨークとランキャスターの血筋をテューダーに繋げた・・って所かしらね・・・・。」 かなり・・それでもこじつけじみた事を感じずにはいられないのだが・・・。 そんな事を話し込んでいるうちに・・すっかり目的地に到着したようである。 「よお〜・・。リナさん。馬鹿兄。」 「よ!!リナ、ガウリイ、久しぶり!!」 『ワルキューレの騎士団』イングランド支部・・・・・。 しかし実態は単なる英国貴族の屋敷としかわからない一角の庭園。 「ガストン!!ジョヴァンニ!!」 見知った顔を発見したリナとガウリイは早速駆け寄っていく。 「・・一応俺たちも潜入調査している・・。お前たちは・・正式なルクセンブルクの貴族・・と言う名目で招待に応じてやってきた客・・という事になっている。」 笑いながらなかなかの手捌きで庭師に扮したジョヴァンニはバラの手入れをしていく。 「招待・・・?」 そんな彼の一言にガウリイは怪訝そうな声を出して尋ねる。 「・・・この屋敷の主・・・。今病床に伏しておられる・・・。その・・・。 ワルキューレの騎士団・・イングランド支部の後継者たるお方の・・・。13回目の誕生日・・・。もっとも・・何らかの『陰謀』が仕掛けられてる恐れは・・十二分にある。」 あいも変わらず、彼の潜入捜査のお約束にして・・ある意味でも十八番・・・。 『小間使い』姿のガストンガいかにもたったいま到着したばかりのお客をもてなす・・。 と言わんばかりにリナとガウリイに大理石で出来た庭用テーブルをすすめ、更にクッキーと紅茶の持成しをする。 「・・・・ねえ・・ガウリイ・・・・。」 そんなガストンの様子をなんとな〜〜く察するところがあって・・だろう・・。 クイ、と隣に座り、既に注意はテーブルの上のクッキーと紅茶に釘付けとなっている ガウリイの髪の毛を引っ張る。 「・・なんだよ・・・?」 ガウリイの注意が此方に向いた事を確認し、更に同じようにバラをテーブルに生けていた 庭師、ジョヴァンニの自分自身に良く似たストロベリーブロンドのチョンマゲもガウリイの長髪と同じようにクイっと引っ張りながら・・・・。 「ワルキューレの騎士団・・イングランド支部の後継者って・・・。 真坂・・・・・・・・・。」 「・・・・その真坂だ・・・・・。」 前にも・・確か同じような事があった・・結末は・・散々だったが・・・・・・。 「ん・・?何だ?何だ!!?」 未だ状況の理解が出来ないのだろう。ガウリイはクッキー、リナ、ジョヴァンニを 交互に見遣りながら分けのわからない質問をする。 「・・お察しの通り・・・。ワルキューレ騎士団・・イングランド支部の後継者は・・・。今年・・と言うか明日13歳になる・・エリザベス殿だ・・・・。」 はあ・・・・・・・・やっぱり同じパターン・・・・・。 「で・・やっぱり・・。そのエリザベスちゃんって子は・・・・。」 「細身の可愛らしい・・ま、こんな事件になったくらいだ・・・。言うまでも無く・・。 『病弱』だな・・・。コレが・・・・。」 はあ・・・・とまたまたため息をつきながら・・ジョヴァンニは髪を掻き揚げる。 「・・・重病・・だな・・・・・・・・・。」 「・・・ええ・・重病よ・・・・・・・・・・・・。・」 「何だ?何だ?なんなんだ〜〜〜〜〜??」 しつこくリナ、そしてクッキーを見ながらガウリイはきょそきょそと挙動不審 な行動に出まくる。 「だ〜〜〜か〜〜〜〜ら!!ガストンは!!エリザベス姫に!!恋してるのよ!!恋!!」ガストンに聞こえない程度に・・しかし、ガウリイの鼓膜には十分に響き渡るようにリナはそう怒鳴る!! 「・・・あ〜〜〜〜い〜〜〜〜〜つ〜〜〜〜〜〜〜〜〜・・・。」 年長の自分ですら・・悲願成就していないというのに・・・・・・・。 生意気な〜〜〜と言う思いがガウリイを支配する・・・・・。 「ともかく・・。明日はそのエリザベス姫の護衛をしなくちゃね・・って事は確かな 事ね・・・・・・・。」 何が起こるかわかったものではない・・・。今はそれだけ・・である・・・。 「へえ・・・・・・・・・。」 珍しくリナとガウリイの声が綺麗にハモった。 翌日の名目上はエリザベス姫の誕生パーティー・・・・。 しかし、実態は何やら陰謀が企てられている集会の事である・・・・。 「アレが・・エリザベスの叔父上のトマス・・・。向こうに居るのが・・・。 エリザベス姫の遠縁のアーサー夫妻。妻は姫の従姉にあたるイザベルと言う名の女性だ。」今度は支給に扮したジョヴァンニがリナとガウリイにワインを注ぎながらジョヴァンニは登場してきた人物の説明を態々してくれる。 「・・あの黒髪の小太りの男がトマス「ホワイト・ローズ」・・・あのほっそりとした金髪の女性がイザベル・・・。そして隣の茶色の髪の男がアーサー「レッド・ローズ」ね・・・・。」 視線のみで示された人物をあえて特徴をあげて確認するリナ。 「これが・・今回のパーティーに招かれている要人の名前・・・・・。」 「・・・見事な面々ねって・・え・・・え・・・え・・え・・・?」 やおら・・先程までマトモだった・・リナの顔が青白く変わっていく・・。 「リナ〜〜〜♪すっげ〜〜♪綺麗だぞ〜〜〜!!今日のドレス・・ってげっふ〜!!」 リナの服装にボ〜〜〜っとなったガウリイの顔面にやおらリナのラリアートが炸裂する!! 「・・・大丈夫か・・兄弟・・あはは・・・・お互い・・不幸だな・・・。」 何時の間にかガウリイの隣に現れたジョヴァンニがポンポンと彼の肩を叩きながら 嘆くように呟く。 「・・・あはは・・諦めないぞ・・・(涙)・・・。」 半泣きでリナの方を眺めつつ、そう呟くガウリイ・・・・・・。 「ねえ!!なに!!これ!!なに!!なに!!なんなのなんなのよおおおおお!!!」 どうやらガウリイの顔面に思いっきりラリアートを食らわせたのは意図的な 事ではなかったのだろう。 やたら滅多ら慌てながらリナは招待客が書かれた一覧表の紙の一つの項目を 指差して大騒ぎする!! 「・・・・『ローズマリー 』・・・・氷(ヒョウ)・・・?」 リナの指差したその活字印刷部分を読みながらガウリイはああ、と頷く。 「・・リナの中学時代の同級生の・・・。」 「ナルシスト、危な系、ロクデナシ、銀髪、日本人と英国貴族のハーフ・・。」 はあ・・・とジョヴァンニとガウリイはため息をつき・・・・・。 と、その時だった!! 「さあ〜〜〜〜〜〜!!ヴォルカの主役は僕のものだよおおお〜〜〜〜〜!!!!」 男の癖に・・なぜか豪華なドレスに身を包み・・・・・。 ド派手な扉の開け放ち方をし、パーティールームに入室してきたのは・・・。 言うまでも無い!!リナをパニックのどん底に突き落とした氷である!! 下僕その一の緋雨裡にドレスの裾を持たせながら一歩踏み出したその時だった・・。 ドンガラガッシャ〜〜〜〜ンンガラガラガラガラガガッシャアアアアア〜〜〜〜ン!!! 見事にシャンデリアが落下し・・・・・・・。 『ぶきゃああああああああああああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!??』 氷と緋雨裡の悲鳴が見事にハモる!!!! 「・・・・・・。これって・・・・・・・・・・・・。」 「・・・間違いないね・・・。」 不意に隣に現れたのは・・黒い礼服に身を包んだ一人の長身の女性・・・。 その腕には・・・怯えきった幼い少女が抱きかかえられている。 「ラウラ・・・・・・・。」 咄嗟の処置でこの少女、エリザベスだけは助け出したのだろう。 「・・・ジョヴァンニ・・。多分、犯人はヤツだよ・・・・・・・。」 エリザベスを床に下ろしてやりながらラウラはジョヴァンニの方は見向きもしないで トマスの方に刺すような視線を送る。 「何で分かるんだ・・・???」 「・・かくたる証拠は無い・・。けど・・あのシャンデリアの仕掛けをしたのは・・ヤツ だったんだよ・・・。ま、アタシがこの目で見た。それだけだったんだけどさ・・。」 はあ・・・っと肩を竦めながらリナはガウリイの方に視線を送る。 「分かった・・。此方へ。エリザベス・・・・・。」 「何処へ連れて行こうと言うの・・・?」 リナ、そしてガウリイを警戒したようにエリザベスはガウリイに言う。 「・・・あの女の子・・・。物凄くあなたのことを心配していますよ・・・。」 苦笑しながらガウリイはエリザベスにそう告げる。 が・・・その事を聞いた途端、エリザベスの顔はぱあっと明るいモノになる。 「メアリーが!!良かった!!あなた達・・メアリーのお友達なのですね・・・。」 安心しきったような微笑をリナ、ラウラ、そしてガウリイへとエリザベスは向ける。 「・・・メアリー????」 「(ガストン、今女装してるだろ?その仮名)・・・。」 頭の中が真っ白になったリナにこっそりとジョヴァンニが耳打ちする。 「さあさあ!!姫君はご無事だ!!このままでは折角の座がしけるだろ?けが人をさっさと病院に運んで!!パーティー再開だ!!」 ラウラの号令の中、わっと会場がもう一度沸き立つ。 途切れていた陽気な音楽がもう一度奏でられる。そして、ダンスの輪が形成されていく。そんな客の一団を掻き分ける様に二人の男女が此方に近寄ってくる。 「エリザベス!!無事でしたか!!」 額に汗を浮かべ、今回の騒動でいかに動揺していたかを表す表情を浮かべた・・・。 アーサーとイザベル夫妻・・か・・・・・。 「ありがとうございます。おにいさま、おねえさま。」 にっこりと微笑み・・・エリザベスは不意に此方に向き直り・・・・。 「あの・・私と・・・。ヴォルカを踊っていただけますか?」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 モジモジとしたようなエリザベスの一言に・・さしものガウリイも・・・。 「え!!え??ええ!!お・・俺!!待てよ!!嬢ちゃん!!お・・俺には リナが・・って!!一寸待て〜〜〜〜!!!」 ずい!!と更に此方に近づいてきたエリザベスに更にガウリイは動揺する!! が・・・・・・・・・・。 「お願いします!!」 「・・・ま・・まあ・・別・・あたしゃ・・構わないけど・・・・・。」 「へ・・・???????????????????????」 どうやら・・見事に恥ずかしい勘違いをしていたらしい・・事にガウリイは今更ながら気付く・・。熱心な瞳でラウラの手を取り・・恥ずかしそうにダンスを申し込むエリザベス・・・。しかも・・ガウリイよりほんの数センチ後ろ・・と言うところが情けない・・。「・・・見事にフられちゃったね・・・。ジョヴァンニに〜さま・・・・。」 ポンとシクシクないている兄の肩に手を乗せながらリナは言う・・・。 「リナ〜〜〜この際・・も〜妹でもいいや・・。相手してくれええ(涙)」 「・・・ま〜〜いいけど・・。じゃね、ガウリイ。アタシの分のクッキー食べたら半殺しよ!!」 そうとだけ言い残し、嘆いているジョヴァンニの手を取りながら踊りの輪に加わっていくリナ・・そして・・残されたガウリイは・・・。 「なあ・・馬鹿兄・・・。俺、今・・女装だし・・・もうこの際・・・・・。」 「・・言うな・・メアリー・・・。寂しくなる・・・・・(涙)」 妹のメアリー・・もとい・・弟の・・しかも女装したガストンと二人、嘆くのだった・・。 トントントン!!! 不意にリナの部屋の扉を叩く音が聞こえて来たのは・・『ばら戦争』についての 書類をリナが机に座って纏めている時だった。 「開いてるわよ・・・。」 ぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぃ〜〜〜〜・・・。 「リナぁぁぁぁぁぁぁ(涙)」 純白のパジャマに片手には枕・・そして片手にはなぜか彼が日ごろ愛用している子犬のヌイグルミが握り締められている・・・。 翌朝髪の毛が乱れないよ〜にしてあるためだろうか? リボンのように結んだピンク色のヘア・バンドが妙にぷりてぃ〜なガウリイが泣きそうな 顔して入ってきたのは・・・。 「あんたねえ・・・。夜泣きするのは勝手だけど・・・。その犬のぬいぐるみと枕は置いてきなさい!!っていつも言ってるでしょ!!ったく・・・。」 冷めかけた紅茶を口に含みつつ、ひとしきり文句を言うリナ。 「そんな事いったって〜〜〜〜(涙)・・・・・・。」 「で、今日はナンなのよ・・・。この前みたいに『唐傘お化けが出た〜〜〜!!』とか 言ったら・・本気で殴るわよ・・・?」 数日前・・ぼろ傘を唐傘お化けと思い込み・・リナに思い切り抱きついたガウリイが全治一週間の怪我を負った話は・・もはやご近所の伝説である・・・・。 「なあ・・リナ・・。昨日の昼間・・話してくれただろ・・?リチャード三世に殺されたエドワード五世とヨーク公・・・。その幽霊が・・ロンドン塔に出る・・て言うじゃないか〜〜〜〜!!さっきロンドン塔に行ったときに見たって・・トマスってヤツが言ってたぞ〜〜〜〜〜〜〜!!!(涙)」 「・・・有名な話よ??」 怯えまくるガウリイにリナはしれ・・とした口調でそう言ってのける。もっとも・・。 その事を告げた途端、昼のバスの座席の中、という場所柄を弁えずガウリイが怯える事は目に見えていたので・・・そんな事は何も言わなかっただけの話なのだが・・・・。 「・・・手・・握って寝て・・・・(はぁと)」 「・・・・。酒飲んでさっさと一人で寝ろ・・。ともかく・・・。」 トマスがロンドン塔に行っていた・・となると・・・。これは調べてみる必要 アリ・・・である・・・・。と、その前に・・まずは・・・・・。 「あ!!ガウリイの後ろに唐傘お化けが100匹も!!!!」 「ぎゃああああああああああああああ〜〜〜〜(涙)」(バタリ!!!) ふ・・・他愛も無い・・・・・・。後は・・ガストンかジョヴァンニを呼んで回収してもらえば・・完璧である・・・・。 「やっぱりよそうよ〜〜〜!!りなあああああああ〜〜〜(涙)」 泣きそうな声出しながらリナの袖を引っ張り、ガウリイは根性でロンドン塔に行くのを 拒もうとする・・・。 「じゃあ、そこで一人で待ってなさい。ついでに言えば・・。ココを流れるテムズ川は・・。昔斬首した罪人の首を蹴り落とした川・・のようよ?そこで・・一人で・・」 「悪かった〜〜〜〜!!一緒に行かせてくれえええ〜〜〜〜(涙)・」 ったく・・このお化けが大嫌いな性質は・・扱いやすいのか扱いにくいのか・・・。 川を船を使ってロンドン塔の内部に潜入していく。この門から入ったものは決して 生きて外界には出られなかったという・・『反逆者の門』を通過していくのはさすがにガウリイでなくともあまりいい気分のするものではない・・・・・。 怯えてくっついてくるガウリイを引き剥がそうとするが・・さしたる効果は望めないままずっと廊下をつたい・・・例の白骨が発見された・・と言う地下に至る・・・・・。 「・・・リナ・・・・・・・・???」 観光客がその一連の事件を偲んで供えたのだろうか・・??部屋一面に・・とまでは至らないが・・・目に見える限りの赤い薔薇・・・・・。 赤い・・薔薇・・・。ね・・・・。ランキャスターの赤い薔薇・・・。 ヨークの王子に供えるにしては・・随分な皮肉・・そうリナは思わざるおえない。 何を思ったかリナは世界中何処に居ても電波の通じるイリジウム携帯電話を取り出す。 「ああ・・ガストン・・。ジョヴァンニにいさまと・・一つ調べて貰いたい事があるの。な〜に・・。簡単な事よ・・・。トマスさんのココのところ一週間の買い物したモノを・・調べてくれないかしらね・・・?」 「リナ・・・????」 彼女の意図が掴めずガウリイはお化けの恐怖も忘れ怪訝そうな顔をする。 「幼い国王と王子が殺害されれた時・・・。リチャード三世はね・・。スコットランド国境に居たの・・・。ヘンリー七世の母・・エリザベスは・・かなりの策略家だったと聞くわ・・・・。」 額に汗を浮かべつつ、リナは何やら呟く。 「オマエ・・一体何を・・・?」 「エドワード五世と・・ヨーク公の・・本当の暗殺者がみつかるかもしれないって事。」 「リナ・・・。案の定・・トマスのヤツが・・・アーサー・・。「レッド・ローズ」 側の連中の命令で逮捕されたよ・・・。」 彼女について離れないエリザベスに聞こえないようにラウラは戻ってきたリナとガウリイに告げた。 「そして・・貴女が言ったもの・・。100本の赤い薔薇を・・ヤツは購入していた。」 メアリーに扮したままのガストンがリナにそっと耳打ちする。 そんな話をしているうちに不意に二つの足音が聞こえてくる・・・・。 「・・アーサーにいさま・・・イザベルねえさま・・・・。」 恐らくトマスの逮捕劇を目の当たりにしたのだろう。知っている二人を見ても怯えを隠せない様子でエリザベスはラウラの後ろに隠れながら言う。 「シャンデリアで貴女を殺そうとした人はもう捕まえたわ。もう安心よ。リーズ。」 優しげな口調でこちらへと来るようにイザベルはエリザベスを手招きする。 「さあ・・。いい子だからね。薬を飲んで寝よう・・・・。」 言いながらエリザベスの腕を掴みかかるアーサー。が・・・。 それを素早くガストンが払いのけることに成功する。 「何をする!!この小娘!!」 怒りの形相でアーサーがガストンを睨みつけるが・・。口を開いたのはリナだった。 「其処までよ、エドワード五世、ヨーク公暗殺の真犯人・・・。テューダーのヘンリー七世・・いいえ・・・。この場では・・・アーサー殿と言うべきかしらね?」 リナの唐突な一言にマトモにアーサーとイザベルに焦りの色が走る。 「何を・・そんなことを・・・????」 「・・・簡単な事よ。ヘンリー七世は自分の王位継承に邪魔となる・・。妻、エリザベスの兄弟を殺した。それを・・あたかもリチャード三世のせいに見せかけて・・ね・・・。 同様に貴方達は・・トマスのせいにして・・『ワルキューレ騎士団』支部長に成る為・・。邪魔なエリザベスを殺そうとした。それだけの話よ!!ついでに言えば・・。シャンデリアの事は・・トマスが保身の為に・・あなたたちに仕掛けたこと・・でしょうね・・。」冷たくリナは二人に向かって言い放つ・・・。あの『赤い薔薇』が何よりものトマスからのメッセージだろう・・。そして・・幽霊の噂を流し・・人にこの事実を伝えたのだ。 「無論、証拠もあがってるぜ!!」 何処からともなく現れたジョヴァンニが彼らの部屋から入手した計画の入っているFD。 ついでに言えばデーターをプリントアウトした紙切れをおおぴらに部屋にばらまく!! 「くっそ!!」 逆上し、リナに向かってかかってきたアーサーに、リナをかばうよな位置に立った ガウリイの凄まじい蹴りの一撃が直撃する!! 「が!!!!!!!」 勢いぶっ倒れたアーサーをラウラが踏みつけながら・・。 「ま、リナに襲い掛かったのがそもそもの間違いだね。あの金髪に〜ちゃん・・・。 アノ子の事となると。人が変わるからね。」 などと冷酷な台詞を投げかける。 「来るんじゃない!!!」 残されたエリザベスの首筋にナイフをつき立てながらイザベルが絶叫する!!が・・。 「ふざけんじゃね〜〜〜よ!!」 ガストンの投げつけた胡蝶蘭の植えてあった鉢植えが頭に激突し・・アッサリ意識を失う。 「あ〜〜あ・・・。兄弟そろって・・・・・・・。」 「おお〜〜!!それでこそ・・俺の弟だな〜〜〜♪」 そんなガストンの行動にリナとガウリイはまったくもって正反対な反応を示すのだった。「メアリー・・・。貴女・・・・・・。」 「・・・騙していて・・・すまない・・・・・。」 そう言いながら銀色の波打つ鬘を取り去り・・素顔をエリザベスに見せるガストン・・。 かくして・・・・・・。 ナポリのあまりガラのいい、上品とはいえない界隈・・・。 そこに蔓延る綺麗どころの誘惑、完全無視の・・美形の男が二人・・・。 「あははははははははははははは〜〜〜♪餓鬼に先越されたよおお〜〜〜♪」 「あははははははははははははは〜〜♪ガストンのヤツ〜〜〜!!兄より先に 幸せになりやがって〜〜〜〜〜〜!!!!」 アノ後・・・。一人幸せになりやがったガストン・・・。 それに引き換え・・リナとラウラに冷たくあしらわれっぱなしのガウリイとジョヴァンニ・・・。この二人が自棄を起こし・・こ〜して二人ムサく飲み明かしているのだ・・。 無論・・この馬鹿さ加減がリナとラウラに発覚し・・・。 手ひどくどやされた未来は・・言うまでも無い・・・(爆) (気が向いたらまた書きます) 最後に書いてるやつから一言!! うおおおおおお〜〜〜!!アタシのガスちゃんがああ〜〜〜〜(涙) はい・・可愛い子でしたわ・・・・大人になっていくのね・・トホホ・・・。 オーリママの心境のCANARUっした!! |
12520 | ブラボ〜!タカラヅカ♪(^0^) | P.I E-mail | 12/2-21:52 |
記事番号12510へのコメント CANARUさん、こんばんは〜♪ ガスちゃん・・・ついに不幸と手を切ったのねぇ〜っ! 代わりにガウリイが・・・(大笑) 情けねーぞ酒場の二人!あのまま二人とも酔いつぶれちゃってお店のおねーちゃん にタクシーで送ってもらって、ついでに顔やシャツに口紅やら安香水の匂いつけて 帰ったりしたら・・・間違いなく二人まとめて海の藻屑ですね(^^;) しかしエリザベス姫、ガウリイもジョヴァンニも蹴飛ばして(笑)男装の麗人 ラウラおねーさまにダンス申し込むとは・・・実はヅカファン!?(爆) 女装の似合う美少年ガストンくんとくっついてしまったのも納得できますわっ! んでガストンくん、この後も姫のシュミでさんざん女装コスプレさせらりたりし て〜〜っ!!(爆笑) 今日タカラヅカ観てきたのでつい発想がそっちの方に行ってしまいます(笑) いや〜眩かったこと(^^;)ルードヴィッヒ殿下は死ぬまで美青年だったし、 グッデン博士は長い黒髪のこれまた美青年!(^0^)タカラヅカは乙女の夢 の世界です〜♪ ラウラおねーさまも女子学生に絶大な人気がありそうですね。ファンクラブとか あったりして(笑)バレンタインにはガウリイやジョヴァンニよりたくさんチョコ もらってそう(爆笑) それではまた次を楽しみにしてます〜!! |
12525 | 男装の麗人です〜♪ | CANARU | 12/3-10:46 |
記事番号12520へのコメント >CANARUさん、こんばんは〜♪ >ガスちゃん・・・ついに不幸と手を切ったのねぇ〜っ! はい〜〜〜!! 書き始めた頃はやっぱり「不幸」になる予定だったんですが・・・。 何故かラウラさん登場のあたりから歯車が狂って幸せになって しまいましたわ〜〜♪ >代わりにガウリイが・・・(大笑) >情けねーぞ酒場の二人!あのまま二人とも酔いつぶれちゃってお店のおねーちゃん >にタクシーで送ってもらって、ついでに顔やシャツに口紅やら安香水の匂いつけて >帰ったりしたら・・・間違いなく二人まとめて海の藻屑ですね(^^;) まったくです〜〜〜!! 「何やってたの〜〜〜!!このドアホ!!」 「・・・リナ・・まあ・・そう怒ったところでしょうがないよ・・」(にっこり) 「おお!!ラウラ〜〜!!許してくれるのか〜〜!!(ジョヴァンニ)!!」 「・・・今ここでぶちのめすよりも・・・。アマルフィ辺りの海岸に沈めた ほ〜が・・。コイツらには効果あるだろ〜しね(ニッコリ!!)」 「・・それもそ〜ね!!ラウラ!!さっすが大人!!」 『た〜〜〜す〜〜け〜〜〜て〜〜〜!!(男性陣!!)』な〜んて(苦笑) >しかしエリザベス姫、ガウリイもジョヴァンニも蹴飛ばして(笑)男装の麗人 >ラウラおねーさまにダンス申し込むとは・・・実はヅカファン!?(爆) はい〜〜♪ やっぱり小さな女の子の心理で「男装の麗人」に憧れるフシがあるように書いちゃいました!! >女装の似合う美少年ガストンくんとくっついてしまったのも納得できますわっ! >んでガストンくん、この後も姫のシュミでさんざん女装コスプレさせらりたりし >て〜〜っ!!(爆笑) ありえます〜〜〜!! 「ねえねえ、ガスちゃん!!今度こっち着て!!ね。このピンクの リボンしてみて〜〜♪」 とか・・もはや玩具ですね〜〜♪ >今日タカラヅカ観てきたのでつい発想がそっちの方に行ってしまいます(笑) >いや〜眩かったこと(^^;)ルードヴィッヒ殿下は死ぬまで美青年だったし、 >グッデン博士は長い黒髪のこれまた美青年!(^0^)タカラヅカは乙女の夢 >の世界です〜♪ う〜〜ん!! やっぱり男役は美形の女優さんというのもいいですね〜〜〜!! ルードヴィッヒ・・そういえばコミックスも売ってるようですね!! 2巻しか見かけなかったので買ってはいないんですけど(苦笑) >ラウラおねーさまも女子学生に絶大な人気がありそうですね。ファンクラブとか >あったりして(笑)バレンタインにはガウリイやジョヴァンニよりたくさんチョコ >もらってそう(爆笑) ありえます〜〜〜!! う〜ん・・今度その辺り、書いてみたいでっす!! (一応背丈もアタシのイメージでは凄く高い女性だったりします〜!!) やっぱり・・不幸なガウリイ&ジョヴァンニ!!? >それではまた次を楽しみにしてます〜!! ではでは〜〜〜♪ |