◆−霧中(気まま2-22)−CANARU(12/25-10:45)No.12831 ┗絶対ワザとだ!(笑)−P.I(12/26-00:33)No.12848 ┗ワザトです〜〜!!−CANARU(12/26-10:47)No.12852
12831 | 霧中(気まま2-22) | CANARU | 12/25-10:45 |
隣の大工さんの音が煩い〜〜〜!! けど・・今回の場所はフランスでかいたでっす!! かなり錯誤がありますねえ・・トホホ・・・。 ********************** ナポリ、ヒチリアを取り仕切るまだしも合法的なマフィア組織「カタート」。 その若き総帥、ゼロスは実はルクセンブルク公国『ワルキューレの騎士団』 の副旅団長にしてリナの義兄、そしてそのリナはルクセンブルク公国の公女 だったりする・・・・・。 「ねえ・・ガウリイ・・・。何やってるのよ・・?」 「いや・・・・。」 なにやら仕切りに構え、突きの体制にかかる・・・・。 無我夢中に槍を突き、更には回転・・・・・・。 そんな様子でずっと・・恐らく訓練をしていたのだろうか。 思い詰めた様子でひたすら鍛錬に励んでいるガウリイにやっとの事でリナは ガウリイに声をかけたのだった・・・。 「いや・・・一寸な・・・・。今度フランスに行かなくちゃならなくなったんだ。」 片手に槍を持ち、汗を拭いながらリナの方を見下ろす。 「・・なんでまた急に?」 「・・・・馬鹿親父の代役。」 う〜〜んと一瞬考えながらガウリイはそうリナに告げる。 「・・・・・・???????」 「今度、フランスのパリのサン・・バルッザク・・バルデル・・・?」 「・・・サン・バルテルミー?」 「そうそう!!其処で騎士団の競技試合をするんだが・・・。親父があのザマだろ? 俺が今から代役しなくちゃなんないんだよなあ・・・。」 バツが悪いと言った口調でガウリイはリナに言う。 「そう。で、試合は何時なのよ?」 「・・・う〜〜ん・・。一週間後かな・・・?」 汗を拭いながらガウリイはリナに答える。 「・・・・・そ〜ですか・・・。それは都合が良いですねえ〜〜♪」 急に聞こえてくるゼロスの声。 「何よ。馬鹿兄・・・・・・・・・・・・・・・。」 相変わらずのニコニコ顔。さっきまでお気に入りのワイドショー見ながら飲んでいた のだろうか、その手にはココアが握り締められている。 「その馬鹿兄って言うの、やめてくれませんかね?リナさん・・。」 ジト目でリナの方を睨みつけゼロスは直ちにガウリイの方へ向き直り。 「フランスへ飛んで、ぜひとも調べていただきたい事柄が在るんですよ。ま、言わな くても分かっていると思いますが・・・。」 「『アースガルズ』のことでしょ?」 前回の事件の発信地はフランスであった事実もある。 そうなれば、今回は何やらフランスと関連のある事件を調べる必要も充分に考えられ るのだ。 「パリへ行って・・・。『カトリーヌ・ドゥ・メディシス』について調べて欲しい 事柄が在るんですよ。」 「カトリーヌ・・ねえ・・・・・・。」 16世紀フランスで権力を欲しいままに掌握した王妃・・と言うよりも『母后』 と言ったところであろうか? 息子たちを自在に操り、「サン・バルテルミー」の大虐殺をやってのけた権力に 全てを賭けた伝説上の女王と言っても過言でもない人物である。 「分かったわ・・・・。」 どうも・・今回は一寸は上手くガウリイ・・そしてこの馬鹿兄とも上手く 言葉が紡げ無いのは・・・・。 「ねえ・・ガウリイ・・。本当に良かったの?」 「何が・・・?」 自信が無いとは口が裂けても言えないのだが・・・・。 『必要』の為とはいえ。『自分自身』の意思ではないのか・・それとも・・・。 自分でも良く分からない上にガウリイの考えも良く分からないのである。 「酷くつかれてるみたいだな・・・。」 疲れてるだけなのかな・・・?ガウリイの言うとおり今は少し疲れているだけなのか も しれない・・・・。 「ともかく・・オマエもコレでフランスに行くハメになったみたいだし。 ゆっくり休んどけよ?」 そうとだけ言ってガウリイはさっさと本部の方に一人で戻っていってしまう。 「・・・あ〜ゆ〜のって・・。無いんじゃありません・・?」 何時の間にか現れたアメリアが不意にリナの背後に現れプイっと去っていった ガウリイの背中を見ながら自分の事のように愚痴る。 「しょ〜がないわよ・・・。あの人だって・・。不本意なんでしょうし・・・。」 それが先程から気にかけていて・・ある意味疲れを催している原因の一つである。 「日頃あんだけ・・・・・・・・。」 まだ何やら口にしようとするアメリアを視線だけでそれ以上何を言わないようにと 遮る。 「偽装結婚???」 先日の事。不意に提示されたゼロスの言葉にさしものリナも言葉を濁す。 「ええ・・。『アースガルズ』の目的は・・。さしあたり『ワルキューレ』。そして 『ミッドガルズ』の残党の完全制圧にあるようです。このままでは・・。ルクセンブ ルクの当事機構に害を及ぼす事は必死ですしね・・・。其処で・・。前々から計画さ れていた『公女』そして『新生、フレイの騎士団』現旅団長マダム・オーリ=ガブリ エフとの なお更の結束が必要と成るわけですが・・・。先日、ガウリイさんの所属を『ワル キューレ』から一時的にですが・・。オーリさんの摂政として『新生フレイ』に戻し ておきました。」 にっこりと笑いながらゼロスは部屋に集まった一同・・・。 リナ、ガウリイ、アメリア、ゼルにそう宣告する。 「・・・アタシとガウリイが・・・???」 偽装結婚なんてそんな事、いきなり言われても混乱するだけの話である。 「ともあれ、正式披露は・・と、あるイベントの席上でです。その段取りは僕が 取っておきましたから。安心して普段どおり生きていてくださいね〜〜♪」 「・・死んでも死んでやるもんですか。」 スッコ〜〜〜ンと履いていた黒いヒール靴をゼロスの頭に当たるように脱ぎ捨てる。 とは言ったものの・・・。さしものリナもこれ以上何時もの馬鹿馬鹿しい攻防をゼロ スと繰り広げる気力すら無い・・それが正直言った所だった。 「リナお嬢様、フランスまであともう僅かですわ〜♪」 今まで一言もガウリイとリナが口をきいていない事を気まずく思ったのだろうか。 オーリ・ママが仕切りにその場を盛りたてるようにリナに話し掛けてくる。 「・・・そうですね・・・・。」 陸路、パリへ行きの道中、あの時ほどガウリイと目を合わせるのがつらいと言う訳で も 無くなったのだが・・・。 やはり何を話していいのかさえわからずリナも必然的に何時に無く寡黙になってしま う。 「・・どした?エリザベスに会えるから・・宿題もしなくって済むし・・。この遠征 嬉しいんじゃないのか?オマエ?」 隣に腰掛けたリナの方にも・・更に言えば今の話をフッたガストンの方向すら 見向きもせずガウリイはそう口にする。 「・・・知るかよ・・馬鹿・・・・・・・・。」 この兄が何を思っているのか知らないが・・さしものガストンにとっても今回の兄、 ガウリイの煮え切らない態度には何処か煮え切らないものを感じてしまう。 「ねえ、リナさん。無粋かもしれませんが・・・。ゼロスさんが段取りした・・。 その・・・。」 「偽装結婚の発表なら明後日よ・・。ついでに言えば・・。ガウリイが『競技試合』 の面子と顔合わせするときよ。」 やっぱりガウリイとは顔すらあわせないでリナはアメリアにそう答える。 「・・・まったくもって・・・・。」 此方は現実的な感傷論抜きでゼルがため息を漏らす。 「ねえ・・。ガウリイ。現実問題、今アンタの父親のことといい・・。 『ミッドガルズ』すら掌握した大悪党、『アースガルズ』の存在も気にかかるところ よ?些細な感情で状況を更に悪化させたくないわ・・。今は・・・・。」 「・・そ〜だな・・・。『カトリーヌ・ドゥ・メディシス』の宝物・・・。 今はソレに専念するべきかもな・・・・。」 苦笑しながらガウリイはやっとリナに向かって笑顔を向ける。 「そうですか・・・・・・。」 ふうっと二人のそんなやり取りをみながらそっとオーリ・ママは苦笑を浮かべる。 ・・・まったく・・馬鹿みたいに似ている笑顔だな・・・。 母親のそんな顔と窓にうつった自分の表情。 悲しいぐらいの酷似にガウリイも思わず頭を抱えてしまうのだった。 「カトリーヌ・ドゥ・メディシス。もともとは一介のフレンツェの貴族の娘・・・。 けどね、国王フランソワ一世の政略で国王の王子、アンリ(後のアンリ二世)と政略 結婚したのよ・・・。」 「と〜〜んだ玉の輿って訳か?」 未だに剣術、更には馬術・・槍の訓練に勤しんでいるガウリイの休憩事件を見計ら い。 ジュースの差し入れと共に今までの調査結果を報告にきたリナは一緒に木陰に座り、 冬の寒いパリの広場を眺める。 本番は鎧を身に纏うのに、今日は動きやすい軽装のガウリイは髪を軽く後ろに束ねて いる。「・・・でもないわ・・。アンリは20歳も年上の女性を愛妾にしてカトリー ヌはまるで無視。しかも『フレンツェのお店の娘』なんて意地の悪い宮廷の貴族には いじめられる 毎日だったのよ・・・。」 「・・・20歳も・・・?サイテーだな・・・・。」 ど〜〜やら・・ガウリイはこのテの話はどうも苦手らしいと見た。 「まあ、ね。もともとフランソワ一世は新生ローマ帝国皇帝にしてスペイン王のカル ロスと覇権を常々争ってたんだけど・・・。ある時の戦争で見事カルロスにとっつか まってイスパニア(スペイン)に連行されたのよ。で、その釈放の条件として・・ ・。長男である皇太子と当事単なる第二王子であったアンリをイスパニアに送ったの ・・・。 彼は少年時代を暗い牢獄ですごしてね・・・。しかもデキの良い兄と弟に挟まれ誰に も相手にされないで・・・。その上父にはカルロスの姉エレオノーラが後妻として嫁 ぐ。 心理的にマザコンじみたところがあったんでしょうね・・・。」 少し考えたようにリナは言う。 「・・そっか・・・・・。」 少なくとも自分は親離れしているが・・・・。 「でもさ・・。リナ・・。オマエだって・・。まだまだ肉親に甘えたい年齢って 事は確かだろ?」 ガウリイ自身は・・『騎士団』の息子として幼い頃から厳しく育てられてきた。 けれども・・・リナにいきなり『偽装』とはいえ・・。 そういった絆から引き離すのはあまりにも『酷』な気がする。 それが正直言って欝の症状を生んでいる原因なのだった。 「・・それは今は考えない約束。ま、あしたに〜様もココに来るし。たっぷりお小遣 い セビる予定は全然変えるつもりは無いけれど?」 「・・・オマエなあ・・・。ジョヴァンニ・・泣くぞ・・・?」 「・・今だけだよ。ジョヴァンニに〜さまだって・・・・。」 いずれは自分から離れて・・恐らくラウラと別の道を歩き始める。 そんな事はココ最近、自分でも痛いほど分かっていた事なのだし。 「・・その事は言わない約束・・だろ〜が!」 「そうでした・・・・。」 真坂、自分以上にこの事について悩んでいるガウリイにこう言われるとは思わなかっ た。「今回探すものは・・カトリーヌの紋章についてなの・・・。多分、アンリ二世 の無くなった後の事・・。『サン・バルテルミー』の虐殺時代についてだと思う。」 「・・・その・・サン・・サン農業・・虐殺って・・・?」 「・・・何度言わせるの?『サン・バルテルミー』の虐殺よ。」 説明をするため、ガウリイに隣に来るよう促したそのときだった・・・。 「そうそう!エレガントさの欠片も見当たらない!!そりゃ〜〜もう無粋な虐殺の 物語だね〜〜〜〜〜!!!」 不意に聞こえる・・良く見知った・・出来ればもう一生聞きたいとは思わなかった 声。 無論、それは言わずと誰か知れている。 ナルシスト、危な系、ロクデナシの自称超絶美形、銀髪の英国貴族と日本人のハーフ !! ついでに言えばリナの中学時代の同級生・・氷(ひょう)である!! 「わ〜〜〜〜!!ガウリイさん!!格好いいですね〜〜〜〜!!」 ひょっこりとガウリイの隣に現れ、彼が練習用に持っていた武具をサワサワといじく る 一人の少年・・・。 「おお!!廻!!あ、滅多にいじるなよ!!かなりの重さがあるかななあ・・落とし たら 大変って・・ああ・・遅かったかぁ・・・・。」 ズガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンン!!! ガウリイの親友の日本人の高校生・・廻が面白がって振り回した重さ40キロ以上は あるであろう鋼鉄製品の競技用槍が・・・・・。 見事に彼に良く似た日本人女性の頭に直撃する・・・・。 「廻・・アンタさあ・・そりゃ〜〜まあ・・確かに馬鹿兄ゼロスを抹殺しようと良く 企むけど・・・。お姉さん・・いつか殺そうと思ってない???」 悲劇の人、いっつもいつも出歩くたびに事件、ないしはハプニングに見舞われる緋雨 裡が 見事にその槍にぶつかってぶっ倒れたのだった・・・・。 「ま〜〜ったく!!無粋な虐殺だよ〜〜!!フランス革命のような『エレガント』さ も『華』もないしね〜〜〜!!」 「・・・ギロチンの何処がエレガントで華なんだかね・・・・・・。」 ぼそり・・と漏らされてリナの突っ込みは・・完全無視・・・・。 「第一ね〜〜!!『均衡政策に敗れた』から虐殺!!血の雨だなんて!!ほ〜〜んっ と! 信じられないね!!」 すっかり自己陶酔に浸りながら何やら熱弁している氷・・・・・。 「ちょっと、廻・・。根性でおね〜さん、起こせないかしら・・・?」 さしものリナもこの状況には少々参ってしまったらしい。 「根性・・根性・・・根性ですか・・・よっし!!ガウリイさん、タバコ持ってます ?」「え・・あ・・ああ・・・。」 言うなりガウリイは普段は滅多に喫煙しないが、その時に限って持ってきたタバコを 廻に渡す。 「有難うございます〜〜!!ええっと・・。さっきくすねて来た喫茶店のサーヴィス の マッチで火をつけてっと・・よっし!!!」 やおら火のついたタバコを倒れ伏した姉、緋雨裡の腕に近づけて・・・・。 「おい・・真坂・・リナ・・アイツ・・・。」 「げげげげげげげげげげげげげ!!!!間違いないわよ!!アレ、絶対アレよ!」 「オマエさんが『根性』なんていうからだぞ!!!??」 「真坂本当にやらかすとは想像もしてなかったからよ!!それにガウリイ!!アンタ 禁煙してたんでしょうがああ!!何でタバコ持ち歩いてるのよ!!」 「いや・・そ・・それは・・・。」 ニコチンの中毒になってるわけではないが・・ど〜もやっぱり今ひとつバツが悪い。 そんなことを考えたガウリイは一瞬言葉に詰まったその瞬間にも・・・。 「あぢいいいいいいいいいいいいいいいいいい〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!! !」 やおら元ヤンモードの緋雨裡の意識が戻ったらしい・・・。 「廻〜〜〜!!てンめ〜〜なあああ!!おね〜様に根性焼きするたぁ〜!! ど〜ゆ〜了見だい!!!!」 「だって〜〜〜!!氷さまが・・『エレガントに緋雨裡なんかを起こす必要は無い ね〜♪』っていうもんだからああ〜〜〜!!姉ちゃん・・許して〜〜!!」 ・・・・廻・・やっぱりコイツは巨大なうそつきである。 「・・・へえ・・氷さまがねえ・・。ふ〜〜ん・・そうかい・・・。氷さまがねえ・ ・。 オイ!!氷!!てめぇ、一寸ツラかしな!!!」 言うが早いか嫌がる氷と廻を何処へとも無く・・強いて言えば物陰に連れ去っていく 緋雨裡。 「ひえええ・・。まるで喝上げ現場・・目撃してる気分だなあ・・・。」 最もな意見をガウリイが述べる。 「ま〜〜ね・・・。」 確かに、ここまでくればエレガントもへったくれもあったものじゃない・・・。 「ともあれね・・。この時代、カトリーヌはブルボン家とギーズ家。二つの有力貴族 家系を適当に勢力均衡させ・・その上に上手く乗っかってヴァロアフランス王家を上 手く守り立てようとしたのよ。ちなみにヴァロアの血筋が絶えた後、王冠はブルボン 王家に結局渡るんだけど・・・・。」 「そんな事できるのか???」 「フランスでは女子が王位継承権を持つ事は許されないけど・・。もともとナヴァ− ルの王冠を持ったブルボン王家にはヴァロア家のフランソワ一世の姉が嫁いでいる わ。 女系と言う事を無視して血統だけから考えれば・・まあまあ正統性は否定出来ない わ。 ともあれ、話を戻して・・・。そのナヴァ−ル王アンリとカトリーヌの娘。マルグ リッド の結婚式・・ナヴァ−ルに『味方する』勢力を一掃したのが『サン・バルテルミー』 の虐殺なのよ。」 「・・・なんでまたそんなことをしたんだ・・・???」 政略結婚すらする相手に味方する者たちを情け容赦なく抹殺する。 そんな状況はガウリイには理解できなかったらしい。まあ・・それが普通なのだが。 「当事の国王はカトリーヌの息子、シャルル9世。その国王に取り入った一人の人 物。それがコリニー提督なんだけど・・。彼を邪魔に思ったギース家が・・・。この マルグリッドの結婚を機会にこのコリニーを抹殺しようと企んだのよ。そして・・・ 失敗をしたとはいえ・・。とんでもない大虐殺が繰り広げられたのよ・・・・・。」 「・・・・どんでもね〜〜事件だな・・・・・・。」 「先見性を持ったマキャヴェリスト的行動・・。それとも幼少時代から苦労のし通し だったカトリーヌの自制心の無さ・・。それがこういった形で爆発したという精神世 界的な考え方・・説はさまざまだけれども・・・・・。」 今回の事件は・・・真坂『大虐殺が起こる』というとてつもない暗示なのだろうか? もっとも・・今のリナにそんなことを考えられる余裕が残っているはずも無い・・。 その事も紛れも無い事実でもあるのだった。 「綺麗ですわ〜〜リナお姉さま〜〜!!」 ぼ〜っとしたようにリナの纏ったドレスを眺め・・エリザベスが感嘆の声をあげる。 「・・どうも・・肌の露出が気になるね・・。そ〜ゆ〜服は!!」 ラウラはたとえ何かの主役であったとしても・・・。 『女性』、ましたや可愛がっているリナが何かの『見世物』になる。 そう言った事態がとことん気に食わないらしい・・・・・・。 「当日はこんなの着ちゃいけないね。せいぜい・・着たとしてもあのガウリイの 競技会の時だけにするんだね・・・・。」 偽装結婚知っているとはいえ・・やっぱりラウラは面白くないらしい。 「・・ラウラ先輩って・・結構過保護ですね・・・・。」 今度はあきれたようにアメリアが言う。 「・・・・煩い!!ともかく・・明日は黒いスーツ、なに・・銀糸の刺繍が入ってい ればそんなに場違いでも無いだろうし・・。ソレを着るんだね・・・。」 「はいはい・・。分かりました・・・。」 事情が事情だけにリナとしてもあまり晴れがましい服装はしたい気分ではなかった。 発表は・・いよいよ明日に迫ってきている・・か・・・。 「嘘でもいい・・。明日はさあ・・泣いたりするか・・?」 やはり落ち着かないのだろうか? 何時もの競技場の訓練場所に剣と槍、そして珍しくライターを携えて・・。 一人佇んでいるガウリイが追ってきたのか・・それともこの場を発見したのか。 ジョヴァンニがやってくる気配を感じてそう呟く。 「・・あの馬鹿はオイオイ泣いてるぞ・・・?」 「ゼロスが・・?まあ・・確かにアイツは感情移入が激しいし・・・。娘を 嫁がせる父親の気持ちってか?」 苦笑しながらガウリイはタバコに火をつける。 「・・・禁煙したんじゃなかったのか・・・?」 ジトめでガウリイを見遣り。何故か片手にもっていた裁縫用のはさみで火のついたシ ガー の先をチョキンとちょん切るジョヴァンニ。 「・・リナと同じ事言うなよ・・。ついでに言えば・・そのハサミ・・何だよ?」 「ラウラが裁縫大嫌いなんだよ。だから俺がいつもやってる。」 ブ!!その姿を想像し、ガウリイは思わず笑いを堪える。 「・・・笑うな。ゼロスの馬鹿はともかく・・本当の親父はルクセンブルクで大喜び で祝宴挙げてるぜ・・???」 ・・・・・さしものガウリイもコレには少しあきれた顔をする。 「な〜〜に・・。そう悩む事じゃないだろ・・?」 「そうかもな・・・・・・・・・。」 そんな会話を軽くして・・・二人はそれぞれも持ち場に引き揚げて行った。 オーリに付き添われたガウリイ・・そして、ジョヴァンニを右、ラウラを左に従え・ ・しかしこの場合『守られて』と言った様子のほうが正しいのか・・。リナがガウリ イの隣に歩み寄っていく。 「・・凄い緊張感ですね・・・・・。」 この観客の中の歓声、そして冷やかしの混じった感覚の中・・。 何か『ただならない』気配を感じ取ったアメリアがゼルにこっそりという。 「・・ああ・・ヤバめな感じだな・・・・。」 ぎり・・ぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ・・・・・・。 先程までのざわめきを突き破り・・・・。 急に聞こえる・・無理に秒針を動かそうかとしているような・・歯車時計の音・・。 「しまった!!!」 ガストンがラウラとジョヴァンニに何らかの合図を送るが・・・。 時は既に遅いし!!!???? リナを囲むように・・炎の円が僅かに生まれか・・?見る見る彼女を飲み込む・・? そう思われた時であった・・・・・・。 手近なテーブルから皿や花瓶が落っこちるのもお構い無しにガウリイがクロスを引き 抜き・・。 更に隣のテーブルの水瓶をひっくり返し、頭から思いっきり水をかぶる!! その行動が終了したと思った途端、リナの囲まれかけた床から発生した炎の壁に 自ら飛び込んで・・・・。 力任せにテーブルクロスを叩きつけ、消化にかかる!! 「ガウリイ!!!???」 髪の毛が僅かに焦げる、嫌な音・・・・・・・・・・・。 が。そんな事もお構い無しにガウリイは問答無用で炎を一瞬で打ち消し・・。 リナを軽々と抱えてさっさとその焦げた場所から何事も無かったかのように立ち去 る。 「・・何度も言うようだが・・。『新生フレイの騎士団』旅団長摂政、ガウリイ=ガ ブリエフ。ルクセンブルク公女・・リナとの婚約を宣言する。」 そうとだけ言ってさっさとリナをつれてその室内から退室する。 「・・・ここ・・って・・・・。」 「ああ・・。この会場・・『サン・バルテルミー』の一角に一応位置するしな・・ ・。連中の計画が・・・・」 「・・・これで『失敗』に終わった・・。それならいいんだけど・・。」 言いながらリナはぴょんっと床に軽く着地して・・・・・。 「気にかかることがある・・。調べごとして来るね。無理しないで。それと、喫煙は 駄目だからね!!」 そう軽くガウリイに告げてリナはさっさと何処かに行く。 「・・・・別に・・無理なんかしてないんだけどな・・・・・。」 それが・・ガウリイの唯一いえる抗議の台詞だった。 「カトリーヌの紋章は・・二つあるんだけど・・・。」 そのもう一つの紋章が・・気にかかる・・・・。 昨日はラウラに着用する事を止められた白い、淡いデザインのドレスを着ながら・ ・。 リナは観客席からガウリイの出場する試合を眺める。 「・・・馬鹿兄・・大丈夫かなあ・・・。」 どうも思い詰めた様子だったガウリイにガストンも少々心配していたらしい。 エリザベスと一緒にガウリイの騎馬が現れたのを不安そうに観戦している。 「・・お嬢様・・何も其処まで心配なさらなくても・・・・。」 オーリさんはそう言ってはくれるが・・・。 やはりこの競技会・・何か起こりそうで・・そんな予感がして・・・。 既にガウリイと敵の騎馬が激しいぶつかり合いを見せている。 「・・ガウリイさん・・。馬に乗れたんですね・・・・。」 場違いなことで感心しているアメリアにゼルのゲンコが思いっきり炸裂する。 「いったいです!!ゼルガディスさん!!ノ〜ミソ傷ついちゃったらどうするんです か!」目に涙をためながらアメリアが抗議する。 その間にもガウリイと敵、すでに勝負の様子は引き分けの気配を見せて・・・。 その判決が引き分けと下されたときである・・・・・。 槍を斜めに傾け・・・・・。 「ガウリイ・・???」 何を考えてるのよ・・・?再度勝負の申し込み・・ですって・・・? わあああああああああああああああああああああ!!!!!!! 会場の歓声につつまれて。既にそのリナの思いは声は届かない。 その機会を見計らったように・・曇天であった空の雲が晴れ・・日光が・・・。 「・・目に付き刺さるような光・・・・・・・・・・・・・・。」 目を細めながらエリザベスがふっとそんな一言を言う・・・が・・・・・。 「脳に・・・目に・・・????」 ふっとリナの中に・・一つのキーワードが完全な形となって蘇る!!! 「駄目!!ガウリイ!!!!」 凄まじいスピードでリナはその場からダッシュをかけ、柵を軽く乗り越えてガウリイ の居る競技場に乱入していく!! が、まさにガウリイの鎧の隙間・・・・。 強いて言えば『目』を狙っていた敵は・・・・。 たちまち進路を変更しリナに剣の狙いを定めてくる・・・???? 次の瞬間に聞こえたのは・・・・・・・・・・。 金属同士のぶつかり合う凄まじい轟音と・・・・・・・・・・・・・・・。 出入り口から風に乗ってここまで響く・・銃声のような弾けた音だけ・・であった。 「・・目が痛い・・・・。」 「そりゃ〜〜そうだろ・・。マトモに太陽の逆光を見た挙句・・・。その光で反射し た俺とあの男・・。俺の目を潰そうとした奴の鎧の反射光みちまったんだからな・ ・。」 しゃがみ込み・・精神的にまだ動揺していると言う事でガウリイと一緒に病院送りに なったリナ・・・・・・。 「目だけならまだ良いわよ・・。下手すりゃ脳髄突き抜けて・・。槍は真っ二つに折 れ曲がって頭蓋骨にまで達してたのよ・・???」 「・・そりゃ〜〜・・縁起悪いな・・。」 あの時・・もう少しでそうなる所であったガウリイを・・・。 咄嗟に乱入したリナが救った・・と言う事は確かである。 最も・・その後素手と素手の殴り合いになって・・・。 勝利こそしたもののガウリイもかなりの傷を負ってこのザマである。 「・・でもさ・・。何でわかったんだ・・・?」 「・・カトリーヌの紋章がそうなのよ。アンリ二世は・・。さっき言ったような状態 でね・・。非業の死を遂げた国王なのよ・・・・・。」 一瞬にして頭に浮かんだ・・恐ろしい過去の伝説の話・・かあ・・・。 「ラウラとジョヴァンニ・・。何だかんだいっても良いコンビだなあ・・・。」 カトリーヌの紋章も死守し・・出入り口を固めて完全にこの場の敵を鎮圧したのであ る。「そうね・・・・・。」 眠気を堪えながらリナはガウリイに相槌を打つ。 「なあ・・リナ・・・。『偽装』のことだけど・・『本当』には・・できないか?」 「・・・考えとく・・・・・・・・。」 希望のある返事・・?そう思ってガウリイがリナの方を見れば・・・・。 確実的に『聞いていない』・・適当に答えた眠気に支配されかけた顔である・・・。 「・・・ま・・真に受けとくか・・・・。」 そう思いながら・・オーリママ&ガストンの事後処理の苦労もイザ知らず・・。 ガウリイも居眠りモードに突入するのだった・・・。 (気が向いたらまた書きます) ****************** カトリーヌと言うと悪女関連の本にはほぼ確実に 出てくるのですよね・・。でっは!! 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12848 | 絶対ワザとだ!(笑) | P.I E-mail | 12/26-00:33 |
記事番号12831へのコメント CANARUさん、やほ〜♪(^0^)/ 連日あっぷ〜♪うふふ、たくさん読めてうれし〜♪♪ しかもしかも・・・偽装とはいえ、婚約ですってぇぇぇっっ!!!(大喜!) ふふふふふ・・・・戸惑ってぎこちなくなる二人がカワイイ〜〜(はぁと!) 必要に迫られてってこともあったんでしょーが、な〜んかこれ、ゼロスと オーリママの作為の匂いがかんじられますわ〜〜!(にやり) 偽装婚約はアースガルズに対する一種のデモンストレーションなわけですよね? ってことは、実態はともかく、敵さんの前ではこの二人、ずーっと婚約者同士の フリをしてなくちゃいけませんよねっ!(笑)さ〜大変だぁリナちん!敵の目が どこに光ってるか分からない以上、これから外出する時はガウリイと腕くらい 組んで歩かにゃ〜♪(わっはっは) それはそーとジョジョにーちゃん、いい旦那さんになれそーですね(^^;) 「ラウラ〜、ボタン取れかかってるぞ。つけてやろーか? ああ、服は脱がなくてもいいよ。だ〜いじょ〜ぶだって、まかせろ!」 なんて・・・(笑)ラウラねーさま、幸せモンだぁ〜♪ ラストでガウリイが重傷負わなくてほんとに良かったです〜!(実はちょっと 心配だったの・笑) それでは次回も楽しみにしてますよ♪ P.S ヴィスコンティの映画「ルートヴィヒ2世」が観たい!ビデオがどこにも見あた らないの〜(泣) |
12852 | ワザトです〜〜!! | CANARU | 12/26-10:47 |
記事番号12848へのコメント >CANARUさん、やほ〜♪(^0^)/ >連日あっぷ〜♪うふふ、たくさん読めてうれし〜♪♪ はい〜〜♪ また1段楽したらすぐに続編書きますね〜〜!! (昨日は年賀状、今日はバイトでっし〜〜!!) >しかもしかも・・・偽装とはいえ、婚約ですってぇぇぇっっ!!!(大喜!) はい〜〜!! パラパラとカトリーヌの載ってる悪女の本見ていたら・・・。 ちょうど「ルクレツィア・ボルジア」の項目に 「偽りの結婚」という文字が見えたんですよ!! そこで早速使いました!! >ふふふふふ・・・・戸惑ってぎこちなくなる二人がカワイイ〜〜(はぁと!) う〜〜ん・・・。 禁煙破りガウリイ書いてしまいました〜〜(汗) >必要に迫られてってこともあったんでしょーが、な〜んかこれ、ゼロスと >オーリママの作為の匂いがかんじられますわ〜〜!(にやり) ですね!! こ〜ゆ〜時はこの二人の意見は一致する?? でしょうかねえ・・・?普段は絶対に仲悪そうですし!! >偽装婚約はアースガルズに対する一種のデモンストレーションなわけですよね? >ってことは、実態はともかく、敵さんの前ではこの二人、ずーっと婚約者同士の >フリをしてなくちゃいけませんよねっ!(笑)さ〜大変だぁリナちん!敵の目が >どこに光ってるか分からない以上、これから外出する時はガウリイと腕くらい >組んで歩かにゃ〜♪(わっはっは) ははは〜〜♪ その通りです〜〜〜!! さあ・・これからどう書こうか・・・(汗) 書いてるヤツ自体、ハラハラしてまっす!! >それはそーとジョジョにーちゃん、いい旦那さんになれそーですね(^^;) ですねえ〜〜〜!! ああ・・裁縫道具、持ち歩き!!? > 「ラウラ〜、ボタン取れかかってるぞ。つけてやろーか? > ああ、服は脱がなくてもいいよ。だ〜いじょ〜ぶだって、まかせろ!」 >なんて・・・(笑)ラウラねーさま、幸せモンだぁ〜♪ ううう!! 裁縫苦手なオイラには・・・。 こんなに〜ちゃん欲しいなあ・・という欲望で性格 決まって行くお方、ジョヴァンニさんでした!! >ラストでガウリイが重傷負わなくてほんとに良かったです〜!(実はちょっと >心配だったの・笑) >それでは次回も楽しみにしてますよ♪ はい〜〜!! 早速ネタ探しますね!! >P.S >ヴィスコンティの映画「ルートヴィヒ2世」が観たい!ビデオがどこにも見あた >らないの〜(泣) う〜〜ん・・・。 アタシも「戦禍の花嫁」というアメリカのルクレツィア映画 みたいですうう!!ではあ!! |