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12861 | 湖畔(気まま2-23) | CANARU | 12/27-10:15 |
ナポリ、ヒチリアを取り仕切るまだしも合法的なマフィア組織「カタート」。 その若き総帥、ゼロスは実はルクセンブルク公国『ワルキューレの騎士団』 の副旅団長にしてリナの義兄、そしてそのリナはルクセンブルク公国の公女 だったりする・・・・・。 そしてその日も何時もの如く・・・・・・。 総帥執務室兼、リビングルームで最近新調したデジタルハイビジョン放送の45インチ 壁掛けテレビで『ワイドショー』を見る下らないひと時・・・。 傍から見れば折角の高級テレビでそんなモノを指差して笑いながら・・・。 ついでに言えばお気に入りのココアが品切れにつき、今回だけは仕方なく思いっきり 甘ったるくしたカプチーノを飲んでるその姿は・・・・。 ま〜〜〜さ〜〜〜に、間抜け以外の何者でもないゼロス・・・・・。 しかし、本人に至っては至極ご満悦名ご様子・・・・。 「いや〜〜〜ワイドテレビでみるスキャンダルはこれまた最高ですね〜ははは〜♪」 そんなことを抜かしながらカプチーノをすする。 「・・・相変わらず悪趣味な奴だな・・・・・・・。」 「芸能人のスキャンダルならまだしも・・・。政界のお偉いさんのスキャンダル だもんなあ・・・。良く眠たくならないもんだぜ・・。」 その様子をブツブツと嘆き合うゼルとガウリイに対して・・・。 「何を言うんですか!!政治家とは世の鑑、人の鑑!!スキャンダルを起こすなんて とんでもない事です!!悪です!!ついでに言えば・・・そんなの喜んでみてる 人は・・・ええ・・っと・・。『生ごみ』でっす!!」 「・・・・ど〜せ僕は生ごみですよ・・・。」 アメリアの遠まわしの文句にぼそり・・・と呟くゼロス・・・・・。 と。その時である・・・・・。 バタン!!!!!!!!! 勢い良く開け放たれる扉!!そして・・・・・・・・・・・。 「はいはいはいはい!!どいてどいて!!馬鹿兄!!」 ゼロスの見ている壁・・すなわち壁にかかったテレビのまん前にドン!!っとダンボール の山を置くリナ。 「・・・新開発の嫌がらせですか・・??リナさん・・・・。」 ジト目でリナの方を見遣るが・・完全無視・・・。 それどころか・・である・・・。 「こら!!ガウリイ!!こんな所で寛いでるんじゃありません!!お母様とリナお嬢様のお手伝いをしたらどうなの!!!!!!!!!」 いきなり現れた金髪美人!!言うまでも無い最強無敵のオーリ・ママがメガフォンを 使ってガウリイの耳元で大声で怒鳴る!! 「うわ・・わわわ!!か・・か〜さん!!?それに・・ガストンも!!?」 大掃除の服装と言っても過言ではない、エプロン、軍手、三角巾と言った重装備。 両手いっぱいにダンボールを抱えたガストンが・・・。 『今のか〜ちゃんに逆らうとロクな事ね〜ぞ』 と無言の警告の眼差しをガウリイに送る。 そのオーリ・ママ自身、何時ものビシと決めた服装からは程遠い、トレーナーにジーンズ と言った井出達で大荷物を抱えている。 「・・リナおね〜様、トマスが今ダンボール運んでますけど・・何処に置きます?」 ひょっこりと今度はエリザベスが戸口から顔をのぞかせてリナに聞く。 「そ〜ね・・。ガスちゃんの荷物をココにい置いて・・。オーリさんの運んでるの この辺りに置くから・・。そね、馬鹿兄の座ってる隣に積んどくようにトマスさんに 伝えといて。」 「・・・ちょっと・・・リナさん・・・???」 「は〜い!!分かりました!!リナおね〜様〜♪」 「・・・ちょっと・・エリザベスお嬢さん・・・・・????」 「リナさま、では、ご指示通り、ココに置かせてもらいますな。」 「ちょっと・・(どさどさどさどさ・・)トマス殿・・・???(どさどさどさ)」 既に荷物を積む音にゼロスの抗議の声は掻き消されている・・・・・。 「・・・成仏してくださいね。ゼロスさん・・・・。」 まるで彼を埋めたダンボールが墓標でかのあるよに・・そっと祈りをささげるアメリアだった・・・・。 かくして・・・・・・・・・・・。 「・・リナ〜〜・・。オマエ。まだゼロスの保険金狙ってたのかよ?駄目だぞ。 コイツにかかってる些細な保険金の為に殺人侵して捕まっちゃ・・・。て、言うか。 殺るならバレないように殺ったらど〜だ?」 論点が違う事で、ダンボールを開封し、書類の山に目を通すリナにガウリイがお説教する。「あのね。ガウリイ。そりゃ〜馬鹿兄を上首尾で殺って・・。お金が入るに越した事は無いわよ?けど・・アタシの目当てはあくまで『ワルキューレ』の副旅団長の座。滅多な事で計画遂行は難しいわ。コレは単なる嫌がらせ。」 「・・・・まだ狙ってたんですか・・・。貴方は・・・・。」 いじけモードのゼロスが二人の会話に口を挟む。 「で、リナさん、この種類の山は何なんですか?」 アメリアが部屋中のダンボールを見回して尋ねる。 つかれきったトマスとガストンにエリザベスとオーリ・ママがお茶を入れている。 さっきまでこの段ボール箱の山を運ぶのをガウリイも手伝わされていたのだが・・。 男手三人で運んでもかなりの時間がかかるほどの大荷物の資料である。 それを・・リナは一枚一枚素早いスピードながら確実に目を通していく。 「最近・・原因不明の爆発事故が・・世界各地の『人気の無い場所』で連発してるのよ・・・。強いて言えば・・何か地下にあった証拠を『抹殺』してるかのような・・ね・・。」「で、この書類の山はそのデータって訳か?」 地震がきたら確実的に埋もれて死ぬぞ・・と言う様なこの紙切れの山を眺めながらゼル。 「なら・・パソコンで送ってもらえば良かったんじゃね〜か?データ・・。」 流石の彼もこの部屋の雑然とした有様は嫌なのだろう。 珍しくガウリイが鋭い意見を言う。 「・・・何度も言うけど、あたしは妙なところでアナログ・人間でね。滅多にデータ を通信すれば・・・。敵さんに調査に乗り出したってバレる事あるでしょ?だから オーリさんとトマスさんに協力してもらって・・イングランドとルクセンブルクから直に資料を運んで貰ったのよ・・・・。」 「・・・それで・・この荷物かよ・・・・。」 よくよく見れば庭にもオーリ・ママとワルキューレのイングランド支部の紋章 の入った自家用ジェット機が庭の格納庫に仕舞い込まれている。 「けれど・・すっごい爆発の形跡ですね・・。クレーターとタメが張れる位・・。」 写真の一枚を見ながらガストンが呟く。 「クレーター??」 不意にぴくり・・っとオーリママの綺麗な眉が動くのが分かる。 「・・・ガストン・・今・・クレーターといったわね・・・?」 「・・・言ったけど・・・?それが・・・?」 ドン!!!!!!!! 物凄い音を立てて、テーブルの上に置かれたソレは!!!! 「そっか・・。ガスちゃん、まだ冬休みの宿題やってなかったのね!!駄目じゃないの!!ちゃ〜〜んと宿題やってから遊びに来なくちゃ!!」 分厚い理科の・・(月面クレーター写真が表紙)の本を見るなりエリザベスがガストンに注意する!! 「さあ!!ガストン!!この人の机を借りて、お勉強ですよ!!!!」 言うが早いか・・オーリママはひょいっとガストンを摘み上げ・・ゼロスの総帥専用椅子に縛り付けて・・・・・・・。 「あの・・マダム・オーリ・・・。ソレは僕の席で・・・・・。」 「さあ〜〜〜!!お勉強ですよ!!ガストン!!!」 「いやだあああああああああああああああ〜〜〜〜〜〜〜〜(涙)」 「だから・・・僕の机なんですってば・・・・・・。」 「今日中にドリル一冊終わらせるのですよ!!さも無ければ!!遊びには行かせません!」「マダム、私もエリザベスお嬢様に害が及ばぬよう、ガストン様を監視させていただきまずぞ!!」 「まあ、頼もしいですわ。マダム・オーリにトマス〜♪ガスちゃんも頑張って!」 「だから・・・僕の机なんですってば!!もう!!こうなったら僕も監視して早く 終わらせていただきますよ!!宿題!」 かくして・・・泣き叫ぶガストンには4人もの監視がついてしまったのだった・・・。 「連中が何かを消去しようとしてるのは分かったんだけど・・。」 どうも今ひとつ考えが読めない・・・・。 爆弾を使ったこの一連の手口は間違いなく「アースガルズ」の連中の仕業に間違いは なずもって無いのだが・・・・。 「『何』を隠し通したいのか・・。共通点も手がかりも分からない限りはなあ〜・・。」 さしもの視力2.0以上のガウリイも殺風景な爆発風景の写真には飽きてきたらしい。 ポイっと資料のスクラップを投げ捨てふわ〜〜〜っとソファーに伸びをする。 「どだ?ガス。調子は〜?」 そのまま体を椅子の背もたれを使って反らさせ、真後ろで宿題をやらされてるガストンの方を見ながら声をかけるガウリイ。 「人をプロパンかメタンみたいに呼ぶんじゃね〜よ!!馬鹿兄!!」 半ば悪態をつきながらガストンは暢気なガウリイを睨みつけて答える。 「・・・プロパンガスちゃんよりメタンガスちゃんの方が可愛いかも・・・・。」 クスクス笑いながらエリザベス・・・・。 「・・・・いい事に気付いたわねガウリイ・・・。この爆発の手口はまずもって・・。 ガス爆発に違いないけど・・・。」 ちょっと気にかかることがある・・。ガス。そうくれば・・・・。 リナがそんなことを考えるに至ったその瞬間だった・・・。 チャラララ〜〜〜ランララ〜〜ランチャララ〜〜ランラララ〜〜〜〜〜〜・・・・。 手元の携帯電話が大音量で鳴り響き・・・・・・。 「最悪・・・。馬鹿兄!!あたしの携帯の着信音!!勝手に『ワルキューレの騎行』 の変えやがったわね!!」 ブツブツと文句を言いながらもリナは電話に出て・・・・。 「はい?もしもし・・・?」 『もしもし・・。リナかい?今すにミュンヘンに来てくれないかい?場所は・・・。 」 ・・・スタルンベルク湖畔・・・・・?????? 「ラウラ?もしもし?????」 スタルンベルク湖畔といえば!!何ですかい!!?『アレ』ぢゃないの!『アレ!!』 そんな事を思いながらリナはラウラの更に受話器越しに話し掛ける。 「話は湖畔に着いてから。明日・・昼の3時に待ってるよ。じゃあね。」 手短にそう告げるとさっさと電話を切ってしまうラウラ・・・。 「あ〜リナさん。スタルンベルクに行くんでしたらお土産に『ワルキューレの騎行』 のレコード、オペラバージョンで買ってきてくださいな〜♪」 ガストンの宿題を監視しながらゼロス。 「じゃ、あたしはノイシュバンシュタイン城の写真お願いします。」 「・・俺はバイエルンの地酒かな・・・?」 引き続きアメリアとゼルも資料を眺めながらリナにリクエストする。 「・・はいはい・・分かりました。で、ガウリイ、アンタのお土産リクエストは?」 「・・ン・・?俺か・・・・???」 かくして・・・・・・・・・・・・。 「だああああああ〜〜〜〜〜〜〜!!!何でアンタが一緒についてくるの〜〜〜!」 スタルンベルクの湖畔・・・。そっと水面を汚さない程度にボートで駆け巡りながら。 一緒に乗船しているガウリイに今更のようにリナは文句を言う。 「だって。(偽装とはいえ←ココは小声で)一応俺たち『婚約発表』してるだろ? 一緒に居ないと不審だろうが?」 「・・・スタルンベルク湖に突き落とすわよ・・・・???」 ラウラが指定してきた午後の三時まであと数時間の時間がある。 「・・・それだけは勘弁してくれ・・。で、さっきから気になるのだが・・・・。 あの墓標みたいなものはなんだ?」 湖の浅瀬に立てかけられた・・墓標ともモニュメントとも取れるもの。 流石に指差すのは気が引けたのか、ガウリイは顎でソレを示しながらリナに聞く。 「・・ああ・・あれね・・。アレは・・19世紀にこの湖で非業の水死を遂げた・・。 バイエルン国王、ルートヴィッヒの慰霊碑よ・・・。別の名を・・・。『狂王』とも 呼ばれた人物なの・・・・。」 「狂王?」 自然と波に乗ってだろう。どんどんボートはガウリイが漕がなくとも深みに 向かって勝手に進んでいく。 「そう。この時代ドイツはね・・・。ここ南のバイエルン、ヴィッテルスバッハ家と北のベルリン・・・(ブランデンブルク)・・ホーフェンツォルレルン家が勢力が強かったの。しかし、ルートヴィッヒは夢想がちな今でいう『引きこもり』的な性格の王様でね。おりおりしもドイツを統一しようという強大なプロイセン王国・・。更に言えば其処の宰相、ヴィスマルクの権力に彼が敵うはずも無かったのよ。名目上の『国王』という称号は与えられながらもすべては北のプロイセンの思惑に従わねばならない日々。彼はね、ワーグナーの音楽と・・。巨費を費やす築城に没頭していったのよ。」 「・・単なる現実逃避じゃないのか・・・?」 「・・ルートヴィッヒかかりつけの医師・・。ついでに言えば彼と非業の最期を共にした医師のグッデンは・・。無理やり彼を『パラノイワ』という病気に仕立て上げて・・。 退位をさせたの・・。もっとも・・叔父のルイトポルト公かプロイセン王にバイエルン王国を売り払って・・。自分はその資金を元手に新しい絶対王政が可能の国を買おう、なんて考えたくらいの人ですもの・・・。そう思われてもしかたが無かったのしれないわね。 それに、ルイ14世やマリー.アントワネット彫像に親しく話し掛けて・・。家臣には『客人』を丁重に持成すようにとかいったらしいわ・・・。」 「・・・・よく分からないのだが・・・?」 「要は・・深く自分の世界に入りすぎた人って事・・。唯一彼を理解したオーストリア皇后、エリザベートもそう後に語っているわ・・・・。」 ルイトポルト公や国の将来を憂いた家臣に無理やり退位させられた国王。 ノイシュバンシュタインの城、『湖の騎士』のオペラを愛し・・・。 たった一人の為、真夜中にオペラを何度も上映させたという『狂王』ね・・・・。 そう思うに至って、この場の重さが更に感じられる・・・・・。 「あるいは・・・・・・。」 この王の事を更に語ろうと・・リナがそっと湖に手を浸したその時・・・。 グイ・・・・・・・・・・・・。 一瞬の出来事である・・・・・・・・・・・。 思いっきりボートが傾き・・・・・・・・。 「な!!!!」 短いリナの悲鳴を残して水面にかすかな余韻が見える??? 無論、ガウリイの目の前にさっきまで一緒に居たリナの姿は見当たらない!!? 「リナ!!!!」 あまりにも一瞬の事ながら、充分肉眼で何が起こったか理解できる範囲の出来事で ある!! 何者かに頭を押さえつけられ・・冬の湖畔の水中で必死でもがき、更に水面に 余韻をリナが暴れながらつけている!! 「このやろう!!!!」 無論、屈折や光の度合い・・という関連もある・・・・・。 咄嗟にガウリイが振り下ろした銛はリナを押さえつけている何者かの 腕に突き刺さるはずだったのだが・・・・・。 見事にはずれ、ダイビング・スーツの頬の部分・・・・・・。 更に言えば酸素のボンベのチューブ部分をさっくりと切り裂いた!!! 水面に流れ出す・・・その人物が頬から流した血が一面に広がる。 「がっふ・・げっふ・・げっふ!!!!」 戒めから解放されたリナがやおら水面に顔を出し。 起用に立ち泳ぎをしながら・・・はあはあ・・と軽く息をつく。 「・・大丈夫か?リナ!!!」 「・・・生きてるわよ・・・・・・・・・・・・・・。」 大急ぎでボートに引き揚げられ、リナに羽織っていた上着をガウリイは着せ掛ける。 「早く岸に戻って・・。このボートの底にも・・・多分穴が開けれれてる筈よ?」 「分かった・・。」 あくまで冷静なリナに少し呆れながらも忠告に従うガウリイ。 かくして・・・・・・・・・・・。 「ジョヴァンニのアホンダラが・・・・・・。どうやら『発狂』したらしいんだ・・。」 予定の時刻になって現れたラウラが開口一番・・・。 ガウリイとリナにそう告げたのだった・・・・・・・。 「にいさまが・・・???」 そんな馬鹿な???? 「あたしだって信じられないよ・・。けどね・・・。医師の診断書・・・。更には ホーエンシュヴァンガウの城に・・。『危険人物』とみなされて・・。幽閉されている事は確かなようだね・・・・。」 「ホーエンシュヴァンガウって・・・・。」 これまた・・随分意外な場所である・・・・・。 「つまり・・。奴に何があったか知らないけど・・・。『アースガルズ』連中に手に落ちちまった事だけは・・。確かのようだね・・・・。」 半ば焦りを含んだ口調でラウラは二人に告げる。 「・・わかった・・。なら、決行は早いほうが良いな・・・。」 不意にガウリイがラウラとリナの会話に口を挟む。 「・・・名に考えてるのよ?ガウリイ・・・・・・・・。」 「その・・ホーヘンナンダカ・・・の城に今夜、忍び込んでジョヴァンニは取り戻す、 そ〜に決まってるだろ?」 何でそんな事が分からない?というように笑いながらガウリイ・・・・。 「・・・確かに・・だね・・・・・・。」 今ひとつ警戒したためか・・それとも『発狂』が真実だったら・・・。 そんな恐れからラウラは決行を戸惑ったのだろうか? 「なら、決定ね。」 そう言ってリナもラウラ、そしてガウリイに笑いかけるのだった。 「とは言った物の・・・・・。」 ひとまずラウラと別れ、適当に町を散策する。 やっぱりバイエルンといえばビールだろう・・と言う事もあり軽く夕食とかねて 口にしながらリナはガウリイにそう言う。 「・・何か毎度おなじみ・・『腑に落ちない』点でもあるのか?」 言いたい事は既に見抜かれてしまっている・・らしい。 浮かない顔のリナのグラスにビールを軽く注いでやりながらガウリイ。 「ええ・・。今『アースガルズ』の連中が熱心にしでかしてる事は・・。何らかの 『証拠』の隠滅じゃない・・。でも・・・。その作業を中断してまで・・。何でにいさまを誘拐したのか・・って事。それも『発狂した』なんて嘘まで仕立て上げて。」 ガウリイの注いでくれたビールをいっき飲みしながらリナ。 「・・・分からん・・・・・・・・。」 そういっておいしそうにガウリイもビールを飲み干す。 「聞いたあたしが馬鹿だった。さてっと・・にいさま救出の良い計画は・・」 もっともな意見をリナが言ったその時・・・・・・・。 ズダアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンン!! 不意に銃声があたり一面にとどろき・・・・。 狙いは・・・リナ!!!? そう察知したガウリイは咄嗟にテーブルをひっくり返し、リナを庇うような位置にまで 腕を引っ張って誘導する!! 「何なのよ!!!」 この位置からでは・・無論何処に銃を構えた奴が居るかなんか検討はつかない。 「・・そっか・・。この辺りは森だし・・・・。」 狩の最中の流れ弾に当たって・・とか適当な言い訳でリナを抹殺できる・・。 ついでに言えば・・・森の中と言う事もあり、客は他には見当たらない。 まさしく・・このままでは『的にしてください』と頼んでいるようなものである。 が・・・・・・・・・。 そんなガウリイの苦労を知ってかし知らずか・・・・・・・・・・・・・・・・。 やおらリナは安全な位置から立ち上がって・・・・。 「どうにでもしなさいよ!!良い?あたしを殺してもね・・・。あんた達が殺した!! ましてやそれは『暗殺』である!!そう手がかりがいくよう馬鹿兄・・とと・・。 『ワルキューレ』の副旅団長との手はずは整えてあるのよ!!」 額にかすかな汗が浮かんでいるところを見ると・・それはハッタリで在る事は 請合いである。 が・・・この一言には連中にとっても都合が悪い事だったらしい。 ハッタリに騙されたのかピタリ、と攻撃はやみ、殺気も四散していく。 「ど〜ゆ〜事だ?リナ・・・・???」 残りの生き残ったビールを気付け薬代わりにしつつガウリイはリナに聞く。 「・・・つまりね・・・。ルートヴィヒは・・・。自殺をしたんじゃなくて・・。 暗殺されたのかもしれないの・・・。」 「・・暗殺・・・?」 仮にも一国の国王が・・・?そんな事許されるのであろうか? 「証拠一に・・入水後の彼をしっかりと見たのは・・。バイエルンのルートヴィッヒに退位を迫った新政府連中だけだった・・。第二に・・・。ルートヴィッヒの時計と医師の グッデンの時計・・・。静止した時間にかなりのずれがあるの・・。 通説だと・・二人はほぼ同時刻・・入水したのに・・よ?」 「・・・成る程・・・。」 それをヒントに・・リナはさっきの連中が自分を暗殺した事がばれたらまずい・・。 そう判断することを予測したのである。 「来ないね・・・・。」 ホーエンシュヴァンガウ城に程近くの湖畔・・・・・・・・・。 一艘の船を浮かべ・・幽閉されたジョヴァンニがこの場所まで脱走して来るのを 待つ・・・・・。 無論、攻撃を仕掛けて彼を無理やり取り戻すという手段もあるのだが・・・。 そんな事をすればたちまち『アースガルズ』の思う壺。 此方が完全に『悪役』となるだけの話である。 すでに伝書はとでこの計画はジョヴァンニに知らせてはいるのだが・・・・・・・・。 「・・やっぱりリナ・・・。オマエのアナログ主義の伝書鳩がまずかったんじゃないか?」今度はガウリイが欠伸をかみ殺しながら言う。 「失礼ね!!はとはちゃんと帰ってきたし・・。手紙もなくなってたわ・・。 にいさまの事だから証拠の手紙はちゃんと焼いたとは思うけど・・・・・・。」 暫し考えたようにリナ・・・・。 が・・・・・・・・・・・・。 「どうしたんだい・・??」 たちまちそんな彼女の様子に変化が生じた事を見て取ったラウラがリナに尋ねる。 「・・・変な匂いがする!!」 ふっと壁と城内の空間から漂う、微妙なにおいに敏感にリナは何かを感じたらしい。 「・・・そういえば・・・ジョヴァンニが幽閉されてると言うのは・・・。 この上の上の階だよな・・・??」 ふっと一階の窓に長身のガウリイは手を触れ・・・・。 そっと三階の・・ジョヴァンニが幽閉されている筈の窓を見上げる・・・。 「ああ・・。けど・・三回は室内バルコニー式のつくりで・・。一回から三回まで は吹き抜け式になってるらしいんだけどね・・・・。」 苛立たしそうにラウラが答える。 「・・吹き抜け・・?それに・・密室空間でしょ・・?今でこそ一寸匂いが 漏れてるけど・・・。これ・・・・絶対ガスの匂いよ!!?」 ほぼ確信の掴んだリナが絶叫する!! 「ガスだって!!?じゃあ・・・・ジョヴァンニは!!」 その事実に気付いたガウリイが今度は大声をあげる!! 「いいや・・・。恐らく・・リナを『暗殺』したことを暗黙としようとした事と言い・・。 多分・・・・・・・。」 半ば顔に冷や汗を浮かべながらもそう口にするラウラ・・・・・・。 「行くよ・・・。スタルンベルク湖畔へ!!!!!」 「グ・・・・・・・・・・・・。」 未だに頭がボ〜っとする・・・・・。 「ジョヴァンニ!!!!!!」 ラウラの声が頭の奥底で聞こえたような気がしたが・・・。 幻聴か、実物なのか・・・。もはやそれですら今のジョヴァンニには定かではない・・。「ウチのに〜様になにすんの!!」 バシャバシャバシャバシャ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 水を跳ね上げながら顔面を水面に強引に漬けさせられたジョヴァンニをリナが 助けあげる!! が、そのリナの背後に敵の一人が持っていたボートのオールを振り下ろそうとし・・・。 ガキイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイインンン!! 重く、そして鈍い音があたり一面に聞こえる!! 「ガウリイ!!!」 大急ぎで残りの雑魚を始末したリナは・・ジョヴァンニをラウラに預け・・・。 自分の手を思い切りオールで打たれながらもリナを庇ったガウリイの方へ 駆け寄っていく!! 「い・・・・・・・・・・・・。」 リナが近寄ったことを知っているのか知らないのか・・・・・。 長い髪に下を向いた顔・・視線を隠しながら・・・。そう一言ガウリイは言い。そして・・。 「ってええなあああああああああああああああああ!!!!!」 残りの言葉を絶叫するが早いか・・・・・・・・・・・。 バキイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!! 「・・ぎゃ・・逆切れ・・しちゃったようだね・・・・。」 飽きれるリナとラウラの見守る中・・・・・・・。 物凄い音を立てて、オールを左手一本で真っ二つに折り・・・・・・・・・。 よっぽど腹が立ったのだろう・・・。 蹴りの一撃で自分の腕に・・恐らく打撲傷くらいの傷を与えた相手をアッサリ倒すの だった・・・・。 かくして・・残りの逃げ腰雑魚も見事、ガウリイの怒りの八つ当たり攻撃の 犠牲となり・・・・・・・。 さしあたって今回の事件は事なきを得たようである・・・・・・・・・・・。 「すまんな・・・ビールの飲みすぎで酔っ払ったらあいつらに捕まった・・。」 未だに頭がボ〜〜っとしてるのだろうか・・・・。 ラウラ、そしてリナとガウリイに平謝りするジョヴァンニに・・・。 「このアホンダラ!!」 ラウラの半分の折れたオールの・・よりによってギザギザのある方でぶん殴った 攻撃がジョヴァンニの頭に炸裂するのだった・・・・。 「痛いよ〜〜〜!!リナ!!腕の骨が折れた〜〜!!摩ってくれえ〜!!」 「あんたね・・あんだけ派手に暴れといて・・。今更言う台詞?」 ガウリイの甘えもアレだけ逆キレした後じゃ・・流石通用しなかった事も付け足しておく。 「そういえば・・・あのロクデナシ・・。今日は出なかったなあ・・・。」 ナポリへの帰り道、リナのそっとガウリイは(ちゃっかり手当てはしてもらって)思い出したかのようにそう言う。 「やめてよ・・。あのナルシスト、ロクデナシ、危な系の銀髪、英国貴族と日本人のハーフ!!氷(ヒョウ)の話は!!」 ぞっとしたような身振りを見せ、リナはガウリイの腕を支えながら『カタート』の戸を開ける・・・。そして・・・・・・・。 「ど〜してそんな問題も分からないんだい!!君、ばっかじゃないのおお〜?」 不意に聞こえる・・聞きたくも無い氷(ひょう)の声!! 「だああああ〜〜〜!!一寸ばっかし年上だからって!!馬鹿に馬鹿って言われたくねえ〜〜〜〜!!」 ソレと同時に聞こえる・・ガストンの絶叫・・・・・。 「ガストン!!家庭教師の先生に『馬鹿』とは!!なんたる事です!!」 「ぎええええ〜〜〜!!許して!!おか〜ちゃん!!」 「・・ねえ・・馬鹿兄・・・。これ・・一体ど〜ゆ〜事よ?」 自己陶酔しながらガストンに勉強を教えている氷・・・・・・・・。 更にはその氷を甲斐甲斐しく世話する廻・・・・・・・・。 「ああ〜ガウリイさん!!お久しぶりです〜〜〜〜〜〜!!」 「おお!!廻!!今日は氷と二人だけか?」 「はい〜♪九死に一生を得たとはいえ・・。ね〜ちゃん・・・。人里はなれた山奥で バイク飛ばしてるとき・・。クレーター並の原因不明の大爆発に巻き込まれて、今 病院なんですよ〜ははは〜〜!!」 ・・・・・・『ミッドガルズ』にも・・巻き込まれたのか・・悲運の人緋雨裡さん・・。一瞬ながらリナの顔色が青くなる・・・・・・・。 「ガスちゃん〜〜〜!!頑張れ〜〜〜〜〜!!でも、爆発、怖いですね・・。」 事態を飲み込めてないエリザベス・・・・・。 「リナ〜〜?何処行こうって言うんだ・・?」 「・・・このど〜しょもない事態から逃げるため・・・しばらく駆け落ちよ・・。ガウリイ・・・・。」 いや・・正式には・・・単なる『現実逃避』というのだが・・・・・。 ガウリイの手をとり、何処へとも無く逃走するリナ・・・。 果たして・・・。二人の運命は・・・・・・・・・・・・・・??? (気が向いたらまた書きます) |
12869 | 逃避行(にまっ♪) | P.I E-mail | 12/28-01:38 |
記事番号12861へのコメント CANARUさん、こんばんはです! ♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪(←大喜び) 今回はルートヴィヒネタですか〜!タイムリーだぁ嬉しい〜〜!! でもガスちゃん・・・今回はヒウリさんより不幸(^^;)3人の大人+殿下に ぎちぎち囲まれて宿題なんて・・・不幸すぎる〜〜!しかもエリザベスちゃんの 目の前で(汗) 殿下も、日頃自分の宿題を廻たちにやらせてるくせに態度デカいですね(笑) アースガルズの証拠隠滅連続爆破とリナ&ジョヴァンニ暗殺計画はなんか関係が あるんでしょーか?(次回を待て!ってやつ?・笑) でもそれよりPが気になるのはリナとガウリイの駆け落ちの行方だったりして! ガウリイ今頃きっと大喜びしてるでしょ〜ね(^0^)リナちん、無意識に 「駆け落ち」なんて言葉使ったのだとしたら、罪なお方だわ♪ 二人の恋の逃避行(笑・一体何から逃げてるんだか・・・)の行く先には、 はたしてどんな事件が待ちかまえているのか〜? わくわくしながら次回を楽しみにしていますっ!! 寒いですけどまた風邪なんか引かないよう気をつけて下さいね! それではでは! |
12870 | さしあたり「北」に? | CANARU | 12/28-09:30 |
記事番号12869へのコメント >CANARUさん、こんばんはです! >♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪(←大喜び) >今回はルートヴィヒネタですか〜!タイムリーだぁ嬉しい〜〜!! はい〜〜♪ 前から「書こう」とは思っていたネタだったりします〜〜〜!! で、急に話が思いついたので早速夜中にコソコソ書いた話 だったりします〜〜!! >でもガスちゃん・・・今回はヒウリさんより不幸(^^;)3人の大人+殿下に >ぎちぎち囲まれて宿題なんて・・・不幸すぎる〜〜!しかもエリザベスちゃんの >目の前で(汗) ・・・ですねえ〜〜(汗) ああ・・子供が宿題やりたくないのはもはや世の中の常ですねえ・・・。 ・・・(はい・・レポート書きたくないでっす!!) >殿下も、日頃自分の宿題を廻たちにやらせてるくせに態度デカいですね(笑) ふふふ・・・。 やっぱり年下にはデカイ態度で接しているんでしょうねえ〜(汗) 「君そんな問題も分からないのかい〜〜!!?」とか!! >アースガルズの証拠隠滅連続爆破とリナ&ジョヴァンニ暗殺計画はなんか関係が >あるんでしょーか?(次回を待て!ってやつ?・笑) はい〜〜!! 特にに〜ちゃんの方には関係アリでっす!! そのあたりもだんだん明らかにしていきますね!! >でもそれよりPが気になるのはリナとガウリイの駆け落ちの行方だったりして! ・・・・う〜〜みゅ・・・。 お約束通り「北」に向かったんじゃないかな?? などと思っております〜〜♪ >ガウリイ今頃きっと大喜びしてるでしょ〜ね(^0^)リナちん、無意識に >「駆け落ち」なんて言葉使ったのだとしたら、罪なお方だわ♪ ははは・・・。 我に返ったら「ナンでガウリイも居るのよ〜〜!!」 とか今更ながらパニックに陥っていたりして!! >二人の恋の逃避行(笑・一体何から逃げてるんだか・・・)の行く先には、 >はたしてどんな事件が待ちかまえているのか〜? >わくわくしながら次回を楽しみにしていますっ!! はい〜〜!! またネタ探しますね!! >寒いですけどまた風邪なんか引かないよう気をつけて下さいね! >それではでは! ではでっは!! |