◆−スレイ漫遊記 第二話(ゼロリナ?)−星月夜 葛葉(1/1-11:22)No.12956


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12956スレイ漫遊記 第二話(ゼロリナ?)星月夜 葛葉 E-mail URL1/1-11:22


 こんにちは、星月夜 葛葉です。うーん、あけましておめでとうございます!と言ったほうがよかったかなぁ?
まあそれはさておき、スレイ漫遊記の第二話が書き上げれました。相変わらず、ゼロリナ(たぶん、そうでしょう…)です。それでは、どうぞ〜。



スレイヤーズ漫遊記 〜人生って素晴らしい♪〜
第二話:目的地も定まって、新たな旅に出発!


 その次の日の朝。
「おはよう!」
 あたしは食堂に入って、アメリアの隣の椅子に腰掛けながらみんなに挨拶をする。
「よう、リナ」
 ガウリィはあっけらかんに笑う。
「リナさん、おはようござます!」
 アメリアは元気良く挨拶を返す。
「…リナか」
 ゼルはコーヒーを飲みながら、クールに言う。
 このテーブルには、ガウリィ、アメリア、ゼルしかいなかった。
 いつもなら、それが当たり前だからおかしいとは思わない。でも、今日からは違う。
 ゼロスがあたしの旅に同行するのである。それなのに、そのゼロスがいないのはどういう事?
 あたしは食堂内を見渡す。
 けど、ゼロスはどこにもいなかった。
 まっ、ゼロスがいないなら、それはそれで助かるし、今はこの時間を満喫しなくっちゃ。
「どうかしたんですか、リナさん?」
 アメリアがあたしの行動を不信に思ってか、あたしに尋ねてくる。
「別に何でもないわ。それより、おばちゃーん!A定食三人前、B定食二人前、お願いね!」
 あたしはアメリアにそう答えてから、食堂のおばちゃんに注文する。
 A定食はお魚がついた定食で、B定食はお肉がついた定食。
 どっちも美味しそうだから、両方頼む事にしたのである。
「あいよ!」
 おばちゃんは元気良く返事をする。
「お待たせ!」
 しばらくしてから、おばちゃんがあたしの注文した食事を持って来た。
 うーん、いいにおい。美味しそう(はあと)
「いただっきまーす(はあと)」
 あたしは箸を持って挨拶をしてから、自分の前に置かれた出来たてほかほかの食事を食べ始める。
 美味しい。まさに、幸せ(はあと)

「美味しかった(はあと)ごちそうさまっと」
 朝ご飯を食べ終えたあたしは、食後のレモンティーを飲む。
「皆さん、お久しぶりですね。お元気そうで何よりです」
 ちょうどその時に、ゼロスがあたし達に声をかけてきた。
 …やっぱり来るのね、このスットコ神官は。
「久しぶりだなぁ、ゼロス」
 あたしの内心の思いを知らずに、ガウリィは呑気にゼロスに挨拶する。
「………」
 ゼルは不機嫌そうにゼロスを一瞥した。
「お久しぶりですね、ゼロスさん。今日、私達の所へ来たという事は、やっと真人間なる決意ができたのですね!?」
 アメリアはゼロスに挨拶し、ほぼ断定の口調でゼロスに元気良く尋ねる。
「い、いえ、そういうワケでは…」
 ゼロスは汗を一筋垂らしながら答える。
 相変わらず、芸が細かい魔族である。人間そっくりの仕草じゃない。
 今、ゼロスをはたから見たら、普通の人間に見えるのだろうか?
 それとも…。
「それでは、今日ゼロスさんがここに来た用事は、リナさんを悪の企みに利用するためなんですか!?」
 ゼロスの返答を聞き、アメリアはびしっと勢い良くゼロスを指差す。
「あの、それも違うんですが…」
 ゼロスはハンカチで汗を拭き取りながら答える。
 この仕草もまた、人間そっくりである。と言うよりも、人間そのものの仕草じゃない。
 こうして見ていると、この世界を統べる魔王、赤眼の魔王シャブラニグドゥの五匹の腹心の内の一匹、獣王ゼラス=メタリオムの配下の獣神官にはとても思えないわ。せいぜい見えたとしても、怪しい神官のフリをした怪しい詐欺師ってところよ。
 こんなんでも、魔王と五匹の腹心を除けば一番強い魔族なのよね、ゼロスは。
「ゼロスさん、正義の名の許に白状して下さい!」
 アメリアはずいっとゼロスに詰め寄る。
 ゼロスはびくっと一歩下がる。
 このまま見物していたいところだけど、これじゃいつまで経っても話が進まないわ。…じゃなかった。埒があかないわ。
 ポン!
 あたしはアメリアの肩を軽く叩いた。
「落ち着いて、アメリア。よく聞きなさい。コイツがここに来たのは、あたしの旅に同行するためよ」
 肩を叩かれ振り向いたアメリアに、あたしはきちんと説明する。
「何のためにだ?」
 アメリアが尋ねるより先に、ゼルがあたしに尋ねる。
「暇つぶしだそうよ」
 あたしはゼルに答え、ゼロスをジト目で見る。
「リナさぁん、それは違いますって!僕は獣王様からいただいた休暇を有意義に過ごすために…」
 あたしの答えを聞いたゼロスは、涙目になってあたしに抗議する。
 男がこういう事をしてほしくないんだけど?
「そういうのを世の中では、暇つぶしって言うのよ」
 あたしはそんなゼロスに、きっぱりと言い放つ。
 ふぅ、少しはスッキリした♪
「…どうせ、僕はただの暇な中間管理職ですよぉ」
 ゼロスは暗くなってしゃがみ込み、床にのの字を書き始める。
 うっとうしい。
 よくも、食後の幸せな気分をぶち壊してくれたわね。
 覚悟なさい、ゼロス。この罪はすっごく重いんだから!
 バン!
 あたしはテーブルに手をついて椅子から立ち上がった。
「ガウリィ、アメリア、ゼル。生への賛歌を歌うわよ!」
 そして、あたしは優しい声で三人に声をかける。
「おう!」
 ガウリィは返事をして、椅子から立ち上がる。
「はい!」
 アメリアは勢い良く立ち上がってから、元気良く返事をする。
「何で俺が…」
 けど、ゼルだけは文句を言う。
「黄昏より暗きもの」
「お、落ち着け、リナ!分かったから、ちゃんとやるから、竜破斬はやめろ!」
 それを聞いたあたしが竜破斬の呪文を唱え始めると、ゼルは椅子から立ち上がって慌てて返事をする。
 ゼルはあたしが竜破斬の呪文を唱えるのをやめるのを見て、ホッと胸を撫で下ろしていた。
「と言う事で、いっせぇので!」
 みんなの了承が得られた事で、あたしはみんなに合図をする。
「「「「人生って、素晴らしい♪」」」」
 そして、あたし達は声をハモらせて生への賛歌を歌う。
「…な、なかなか、やりますね…」
 ゼロスはやや顔を引きつらせながら、感心したように言う。
 なかなか、しぶといわね。まっ、もうちょっと生への賛歌を歌えばゼロスも一ころね。
「生への賛歌だから『人生って素晴らしい♪』と言うのは、セオリーすぎたかしら?」
  あたしはふと思った事を口に出す。
「いいえ!こういう時は、セオリーを外さないのが正義の味方です!!」
 アメリアは椅子に片足をかけ、斜め四十五度の角度で天井を指差し、きっぱりと言い切る。
 あのねぇ、アメリア。あたしはアメリアと違って、正義の味方じゃないわよ。
「そんなの、別に気にしなくていいんじゃないのか?」
 ガウリィはのほほんとして言う。
「まっ、それもそうね。と言う事で、第二段!」
 あたしはガウリィの言葉に納得して、びしっとゼロスを指差した。
「リナさぁん、まだやるんですかぁ?」
 ゼロスは情けない声を上げる。
 こんなのでも、一応立派な高位魔族なのよね。全然、実感が沸かないわ。
「一番はこの私、アメリア=ウィル=テスラ=セイルーンが行きます!」
 アメリアは手を上げて、つかつかとゼロスの前まで歩み寄った。
「人生って、素晴らしい♪生きるって、最高♪」
 そして、アメリアは両手を前に差し出して、幸せそうに生への賛歌を歌う。
「さあ、ゼロスさん!魔族なんていう悪の職業から足を洗い、真人間という正義の職業に就きましょう!新しい世界が、あなたを待っています!私達、正義の仲良し四人組と一緒に人生を思いっきり謳歌し、あの光り輝く正義の星に向かって走りましょう!」
 生への賛歌を歌い終えたアメリアは、左手で拳を作り、右手を斜め四十五度上げて、びしっと天井を指差した。
 もちろん、そこにはアメリアの言う『光り輝く正義の星』などは何もない。
 あるのは、木で作られた天井のみである。
「…やりますね、アメリアさん」
 ゼロスは顔を引きつらせていた。
「お次は、ガウリィよ!」
 あたしはガウリィに声をかける。
「なんか、よく分からないけど行くぜ!」
 ガウリィはそう言ってから、ゼロスの前まで歩いて行く。
 そして、ガウリィはゼロスの前で立ち止まった。
「ガウリィ、このお肉あげる!それ食べて、感想をゼロスに言うのよ!」
 あたしはちょうどその時に、隣のテーブルに置いてあったお肉をぶん取って、ガウリィにそのお肉を投げた。
「おい!」
 そのお肉を頼んだであろう持ち主があたしに文句を言おうとする。
 あたしがその人を優しくじっと見つめると、
「す、すみません。何でもないです…」
 怯えたようにあたしに謝って何も言わなくなった。
 きっと、あたしがあまりにも可愛い美少女だったから、許してあげたくなって許してくれたのね。ああ、美しいって罪な事だわ。
「おう!」
 ガウリィはあたしの投げたお肉を受け取って、ばくっと一口で食べた。
「美味い」
 その後、ガウリィは幸せそうに感想を一言ゼロスに言う。
「………うっ」
 ゼロスは少し固まった後、気持ち悪そうに口を押さえた。
「次はゼルの番よ!」
 あたしはゼルに声をかける。
「何で俺が…」
 ゼルはぶつぶつ文句を言いながらも、ゼロスの前まで歩いて行った。
「ゼロス。俺は今、生きていてよかったと猛烈に思っている!この喜びを受け取ってくれ!」
 そして、ゼルはゼロスにそう言った後、ゼロスの両手をがしっと握った。
「………………………ぐっ」
 ゼロスはしばし固まり、倒れそうになる体を何とか錫杖で支えた。
 よしっ!あと、もう一息ね。
「あと、もう一息ね。最後はあたしが行くわよ!覚悟なさい、ゼロス!」
 ポン!
 あたしがゼロスの前まで歩いて行こうとしたちょうどその時、あたしは後ろから誰かに肩を叩かれた。
 あたしがはっと振り向くと、そこには食堂のおばちゃんが呆れたように立っていた。
「あんた達、もうそろそろいい加減にしてくれない?他のお客さん達が迷惑しているんだよ。それに、そこのお兄ちゃんはもうボロボロじゃないか。それくらいにしといておやり」
 おばちゃんはあたし達にそれだけ言うと、またお仕事へと戻って行った。
 あ〜あ、今日はついてないかも…。あと、もう一息だったのに…。
「命拾いしたわね、ゼロス。今日のところはこれくらいにしといてあげる。次は、どうなるか分かってるでしょうね?」
 あたしはにっこりと笑ってゼロスに言う。
「リナさん、それじゃ悪役のセリフですよ。正義の味方とい…」
 それを見たアメリアが、あたしに正義の味方に関しての事を言い始めた。
 あたしはアメリアをジト目で見つめる。
「な、何でもないですぅ」
 それに気付いたアメリアは、蛇に睨まれた蛙のように縮こまった。
「さてと、朝ご飯も食べた事だし、これから出発ね。おばちゃーん、お勘定はここに置いとくね!」「あいよ!」
 あたしはお勘定をテーブルに置いて、扉まで歩き始める。
「出発って、どこに行くんだ?」
 あたしの隣で歩き始めたガウリィが、あたしに尋ねる。
「そうねぇ、…どこにしようかしら?」
 あたしはそう言いながら、扉を開けて食堂から出た。
 そこには、雲一つないキレイに晴れた青空が広がっている。
 今日は、絶好の旅日和な日ね。
「それなら、フィリアさんの所に行きませんか?ヴァル君も成長しているでしょうし」
 アメリアがあたしに提案する。
 フィリアかぁ。懐かしいわね。
「あの、それはちょっと…」
 ゼロスがイヤそうに何か言ってるのが聞こえるけど、あたしは無視する事に決めた。
「おもしろそうね。と言う事で、目的地はフィリアの骨董品屋さん!それでいい、ガウリィ、ゼル?」
 と言う事にして、あたしは目的地をフィリアの骨董品屋さんに決め、ガウリィとゼルに尋ねる。
「ですから、それはちょっと…」
 ゼロスが不満そうに何か言っているけど、問答無用!
 あんたの意見は誰も聞いてないわよ!
「俺は別に構わないぜ」
「俺もだ」
 二人ともあっさりと了承する。
「だからですねぇ…って、皆さん、僕の話を聞いてます?」
 ゼロスがまだ何か言おうとしているが、んな事あたしの知ったこっちゃない!
 もう、これは決まった事なんだから。
「さあ、みんな行くわよ!新しい目的に向かって、レッツゴー!」
 あたしはそう言ってから、フィリアの骨董品屋さんに向かって走り始めた。
「「「おう!」」」
 ゼロス以外のみんなも、そう返事をしてあたしの後を走り始めた。
 目指すは、フィリアの骨董品屋さん!
「待って下さいよ、皆さん!」
 ゼロスは慌てて、あたし達を追いかけて走り始めた。
「やれやれ…。あんまりお会いしたくないんですよ、フィリアさんには。でも、リナさんがそんなにもフィリアさんにお会いしたいのなら、しょうがないですね。まあ、僕は僕なりにこの旅でいろいろとやらせていただきますよ、リナさん」
 ゼロスが軽くため息をついて、小声で独り言のように呟いた。
 エルフ並みのあたしの耳だからこそ聞き取れたくらいの小さな呟き。
 あたしがこの言葉の意味を本当に知るのは、まだ先の事である。
 こうして、新たな旅の目的地も定まり、あたしの新しい旅は幕を開いたのであった。ゼロスというあたしの便利な魔法道具つきで♪



 いかがだったでしょうか?
今回は前回よりも長くなってしまいました。うーん、このまま行くと次はどれくらいの長さになるのかなぁ?まっいっか。書く時に決まるでしょう、きっと。(←無責任すぎたかも…。すみません)
ここまで読んで下さった方、どうもありがとうございます!できれば、次も見て下さるとありがたいです。では、これで失礼します。星月夜 葛葉でした。