◆−魔槍伝承談シリーズ1−CANARU(1/3-20:24)No.13011
 ┗2001年の新シリーズ♪−P.I(1/4-00:50)No.13024
  ┗かなりギャグです〜♪−CANARU(1/4-10:24)No.13034


トップに戻る
13011魔槍伝承談シリーズ1CANARU 1/3-20:24


またまた新しいシリーズに手を出し始めました。
その第壱回目でっす〜〜♪
書いててすっごく楽しかったですわ〜〜〜♪

アモーロ帝国。
数々の属州、更には植民地や同盟諸国。
その帝国の首都にして帝都、帝国と同じ名を冠するこの町。
宮殿から見下ろす町並みには何が起こっているかすら分からない。
そんな思いを抱きながらガウリイはリュートを奏でながら町並みを凝視する。
静かに聞こえる衣擦れ・・・・。
廊下を通り過ぎる若さこそは既に失われているが変わらぬ美貌、そして冷酷を
湛えた一人の女が向かいの建物の廊下を通り過ぎる。
その次に・・年齢はガウリイよりも一つか二つ、上と言った所か。
茶色い髪の青年がその女の後ろを静かに通っていく。
正式的にはあの女は継母・・・・・・。
更に言えばあの青年は義理の兄弟と言ったところなのだが・・・。
血縁的に考えればそうではない。
あの女、アグリッピナは父皇帝、クラウディウスの後妻にあたり、したがってあの
青年・・ネロはアグリッピナに実子である。
しかし、ガウリイは父皇帝の先妻の子ではなく庶子にしか過ぎない。
こうして宮殿に住んでいながらも・・・。
「・・・あ〜〜あ・・・・。」
将来皇帝となるわけでもなく、要職に着くわけでもない。
母親が庶民階級の出身であった事がなによりもの遠因であるが・・・・。
日々、ガウリイの異母兄にして先妻の嫡子、ゲルマニクスと異母姉オクタヴィアを
廃してネロを皇帝にしようと日夜企むこの母子を尻目にガウリイは勉強、音楽
などで下らない日々を過ごしていた。
唯一の楽しみといえば剣術に昼寝くらい。
ついでに言えば、一度眠ったら最低9時間は地震が起ころうが火事が起ころうが
目覚めない。
唯一の特技はそんな所であったりする。
「あ〜〜あ・・・。面白くない。」
そうぼやきながらガウリイは手にしたリュートを放り投げる。
「寝るか・・・・・・・。」
毎度おなじみの言葉を呟いてガウリイは早速特技の昼寝の準備にかかる。
こうなれば・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

「陛下、ご同行お願いいたします・・・・。」
まったくけったいな夢である・・・・。
部屋住みの自分を『陛下』などと言う人間が居るなど・・。100%馬鹿げた夢だ!
「・・一寸・・起きないわね・・・。ナイフでつっついてみてよ?
え・・・?そりゃ〜まずいですって?い〜のよ!!別、悪人に人権は無いんだし!!」
・・・なんつ〜滅茶苦茶な理論だろう・・・。確かにこの宮廷の陰謀はそんな
甘い事を言っている暇はないほどのものなのだが・・・・。
「ええ〜〜!!手ぶらで帰れ?ですって!!ざっけんじゃね〜わよ!!運んででも
持って帰るわよ!!そ〜すれば!!身代金ガッポリ!!懐当分の間ホクホク!!
当たり前のことでしょ〜が!!え・・?何馬鹿言ってるのよ!!あんた達が運ぶに決まってるでしょ?コンぼけが〜〜〜〜!!」
・・・何だか・・滅茶苦茶痛そうな音がする・・・・・・。
それが・・今日の昼寝でガウリイが見た『夢』・・・。
・・・の『ハズ』だった・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


「・・・オマエ・・馬鹿か?」
不意に目覚めたガウリイの耳に見知らぬ男の声が飛び込んでくる・・・。
気付けば・・少なくともここは・・アモーロの帝都の宮殿では無い事は確実だった。
強いて言えば・・そう・・・・。
『属州』の人間が遊牧しつつ根城にしているテントと言ったところだろうか?
粗末な寝台に無造作に今まで寝かされていたためか、あちこちが痛い・・・。
「・・・そっかぁ・・。俺・・攫われちゃったんだぁ・・・・・。」
場違いなほど落ち着いた声を出しながらガウリイはふぁあ〜〜と欠伸をかみ殺す。
真坂自分の唯一の人に自慢の出来る平常心(て、ゆ〜か、この場合・・。単に一度寝たら世界が破滅しても起きない性分のだけだが・・・。)がこんなときに仇となるとは・・。
まあ、腰に剣もくっついてる事だし、別に不覚になるとは思わないけど・・・。
「何よ〜〜!!ハン兄ィ!!『暇なら何か仕事して来い!!』ってあたし追い出したのは
あんたでしょ!!あたしだって・・・・・。」
「でも・・リナさん・・・。よりによってなんで『あんな人』誘拐してきたんです?」
立て続けに二人の少女の声が聞こえる・・・。
ちなみに『あんな人』とは・・自分のことらしい・・・・・。
「・・・大方皇帝の後継ぎと目される後妻の子・・。ネロと間違えた・・・。
なんて馬鹿なことはないだろうな・・・?」
「う!!そ・・そんなわけ・・・・・・・・・・。」
「ゼルガディスさ〜〜ん・・・。図星みたいです・・。リナさん慌ててますし・・。」
・・・普通間違えるか??あのネロと俺を!!?
内心抗議をしつつもガウリイは更に会話に聞き耳を立ててみる。
「兎に角・・・。オマエの父上には報告する・・・。い〜な?リナ・・。」
はあ・・とため息交じりの男の声に、さっきからやたらと元気なガウリイを誘拐したであろう張本人・・リナは・・・・。
「だああ!!ざっけんな!!クソ、ハン兄ィ〜〜〜〜!!あのクソ親父にチクる
ですってぇぇぇ〜〜〜????ざっけんなああ!!そんな事してみなさいよ!!
ストロー・ドールと釘で呪い殺してやるううううううううううううう!!!!!!」
「何系の発想だ・・?そのストロー・ドールって・・・・?それに・・・。
俺には『ハンニバル』ってれっきとした名前があるんだ!!ハン兄ィ、ハン兄ィって・・。半人前みて〜に言うんじゃね〜よ!!!」
「・・・でも半人前」「・・・う・・・・・・・・・・(汗)」
・・・・ハンニバル・・・・???
そういえば聞いた事があるな・・・・。そうだ・・・・・・・・・・・・・。
そう思うに至ってガウリイの脳裏に一つの、つい最近まで自分にはまったく関係の無いと思っていたひとつの出来事が思い出される。
・・・反乱組織『大烏団』・・・・・・。
アモーロ帝国の属州化に反骨を抱く、ブリタニアの蛮族の組織するいわゆる『殺し屋』
集団である・・・・。
その首領には娘しかおらず・・従兄弟に当たる『ハンニバル』と言う男が最近
首領見習として頭角を現してきた、との話なのだが・・・・・。
「・・・あのリナって・・首領の娘のほ〜が・・首領に向いてるんじゃないか?」
それが・・自分の置かれた状況を理解しながらもガウリイの思った唯一の感想だった。
「とにかく・・。オマエのしでかした事だ・・。オマエが始末しろよ!!」
そうとだけ言い残してさっさとこのテントの近辺から男のものであろう、
足音がさっさと消え去って行くのが聞こえてくる。
それと同時に此方に近寄ってくる女の足音。
恐らく・・あの『リナ』とか言う首領の娘だろう・・・・。
「あ〜〜あ。もう。あのクソ馬鹿ハン兄ィ!!ど〜してアタシが・・・。」
逆光になっていてここからはあまり表情は確認出来ないが・・・。
かなり上等な生地の漆黒の服・・・・。
アモーロの帝国市民が好んで着るトーガとは違い、属州民の男性が着用する
ズボンを身につけている。
しかし、上衣の丈は長く、腰の辺りに軽く靡かせている。
更には手には巨大な槍を携えている・・・???
そんな成りと言う事もあり、一瞬ガウリイは彼女の声を聞きながらも『少年』
かと勘違いしてしまう。
しかし・・その疑いも顔が明らかになるにつれて消し飛んでいく。
「ったく・・・・・・・・。」
手にもった巨大な槍を壁に立てかけ、一瞬の隙をついて眠ったフリをしたガウリイを
しげしげと見詰めているのが良く分かる。
「・・あ〜・・。クソ親父に殺される・・・・・・。この前ミスって時は毒盛られて三日三晩、生死の境をさ迷ったし・・・。その前はあやうく崖から突き落とされるところ
だったし・・更にその前、暗黒大陸に移動した時は・・。あやうくライオンさんの餌に
なる所だったし・・・・・。」
ど〜ゆ〜親子だ・・ど〜ゆ〜・・・・・・・。
その突込みを喉の奥で飲み込んでガウリイは考える・・・・。
さて・・これからどうしよう・・っと・・・・。
正直言って宮殿から半径10キロ以上の町並みに、一人で出かけた事は・・・。
生まれてこの方一度も無い・・・・。
「あ〜あ・・・。何時もなら・・・・。」
ぼそり・・とガウリイがここに来て初めて愚痴を零しかけたその時だった・・・。
不意にリナと呼ばれた少女がけたたましい殺気を放ちながら立ち上がったのが分かる。
其処に至り、ガウリイもこの状況下、忘れかけていた感覚を研ぎ澄ます、という訓練で習った基本を思い出したのは。
ガバっと起き上がり、幸いにも腰に結わえたままだった剣を抜き放つ・・・・・。
が、既にその時には・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ガイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイインンンンンンン!!!!!!!!
既にリナは俊敏な動作で壁に立てかけてあった槍を手にし、黒い影と交戦している真っ最中だった!!
「ああ〜〜もう!!ウザい!!」
言いながら手早い槍捌きで更に黒い影の繰り出す攻撃を受けかわし、更には
自分らも連打のように早い技を仕掛けていく。
「・・・へえ・・・・。」
只者じゃないな・・リナも・・そして・・あの黒い影の人物も・・・・。
そう思うにいたり・・リナ・・そして彼女の戦っている相手に目を凝らし・・・。
目を凝らし・・・・・・・って!!!!!!!!!??
「ゼロス!!ゼロスぢゃね〜〜かあ!!オマエなあ!!何でこんなところにいるんだよ!」覆面こそ被っているが間違いない!!
口やかましいガウリイの監視役にして護衛隊長!!
オカッパ黒髪、黒ずくめの暇人神官、ゼロスである!!!
「・・・・いや〜。ガウリイさまにはバレてしまいましたか〜ははは〜♪」
片手で覆面を取り、更に上手くリナの槍での攻撃をかわしながらゼロスは此方に
愛想笑いとも地ともつかない微笑を送ってくる。
「だああああ〜〜〜〜!!!!!さっさと串刺しになりなさいよねえええ!!!!
この不法侵入者〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜(ごっちいいいいいいん!!)」
ガウリイの方をむいた為、僅かに隙が生まれたゼロスをここぞとばかりにリナ
は手にもった槍で串刺しにしようとる・・・が・・・・・・。
「・・・・・何馬鹿なこといってやがる・・。この馬鹿娘・・。
失敗やらかした上に無闇滅多に魔槍『ゲイボルグ』を持ち出してるんじゃね〜よ・・。」
黒髪の男が投げつけた釣竿が見事にリナの頭に直撃したのだった・・・。
「いだあああ〜〜〜!!何すんのよ!!このクソ親父!!ばか〜〜〜!!ピラニア
くっついた竿投げたわねええ!!ぎいいいいいいいいい!!!!!」
「・・・安心しろ。こんな所にピラニアはいね〜よ・・・。そいつぁ単なる人肉魚だ。」
・・・・・・似た世よ〜なモンだろうが・・どっちにしても・・・・。
そんな黒髪の父親と栗色の髪の娘のやりとりをガウリイは行き場の無い剣を持ったままの
手で眺めている・・・。
「・・あの〜・・。僕とガウリイさまの存在・・忘れられちゃ困るんですが・・。」
ポリポリと頭を掻きながらゼロスは二人に文句を言う。
「・・・ガウリイ・・・?あ、そのアホ面金髪の名前、ガウリイって言うの?」
やっとの事でゼロスの方向に向き直り、リナはそう口にする。
「・・・馬鹿娘、何言ってやがる。そいつぁ〜誰が何と言おうとボケ面だ!!」
「・・・言ってくれるじゃないの・・クソ親父・・。あ・ほよ、阿呆!!」
「・・・ボケだ!!呆け!!!!」
くくく・・・と乾いた笑い・・・・・・・・。そして・・・・。(略)
「あのぉ・・お話は済みましたか?」
先程よりも少々ぼろぼろになった気がしないでも無い父子にゼロスが再度声をかける。
「・・・俺の顔って・・親子喧嘩するほどひどいか・・?」
クイクイっとゼロスの黒いマントを引っ張りながらガウリイは泣きそうな声で言う。
「・・いっつもいつも・・。馬鹿見たいに寝てるからでっす!!さっさと顔洗ってきて
下さい!!まったく・・恥ずかしい・・・・・。」
「そんな事いったて・・・・・・」
と抗議の言葉を発そうとしたガウリイの頭に不意に衝撃が走り・・・・・。
そして・・再び深遠なる闇の中に意識は放り込まれる!!
「さあ。その煩い人はトイレのスリッパで沈黙させたわ。さっさと用件言ってそいつ持って帰って頂戴。」
たく・・・というようにリナはスリッパから魔槍『ゲイボルグ』に持ちかえる。
「・・ならば・・。単刀直入に言います・・。つい先程・・・。皇帝クラウディウス陛下が暗殺されたのですよ・・・。」
「・・暗殺・・・だと・・・?」
真っ先に黒髪の父親がその言葉に反応する。
「一体全体・・誰に・・・よ・・・?」
今度は娘のリナが眉根に皺を寄せながら尋ねる。
『馬鹿な事言った日にはこの槍で串刺しにするわよ・・・?』と
言わんばかりの剣幕にさしものゼロスも一瞬たじろぐのだが・・・・・。
「・・・とにかく・・・・・・。」
クイっと気絶をしたガウリイに喝を入れ再び意識を取り戻させる・・・・・。


「・・元々クラウディウス父上より・・・。異母兄のゲルマニクスの方が先に
あの女に暗殺されると思っていたんだが・・・・。兄上にも・・・充分注意するようには言っていた・・・。」
「・・・アグリッピナってそんな物凄い女なの?」
ゼロスと父親が退室し・・・。
『責任を取れ』という名目の為ガウリイと一緒にこの部屋に残されたリナは
初めてまじまじとガウリイに声をかける。
「ああ・・。息子のネロを帝位につけて・・。自分はそれを操る事しか能に無いような
女だ・・・・・・・。」
「・・なんでンなのさっさと殺っちゃわなかったわけ?」
チラリ・・とガウリイに不審そうな眼差しを送りながらリナはいうが・・・。
「・・・何でも『力押し』では解決しないと思うのだが・・。俺は・・・。」
「う・・・・・・・・・。」
さしものリナもこの反撃には返す言葉が無い・・・・。
「・・まあ・・別今更責めてるわけじゃないけど・・。異母兄上も異母姉上も今じゃアグリッピナに捕らえられてるって言うし・・・。結果的に俺は助かったって訳だし。」
ふう・・とため息をつきながらガウリイはそうリナに言う。
「・・・ま〜・・。兎も角さ・・・。今から行こうじゃないの!!」
ズイっとガウリイの方に顔を寄せながらリナはそう口にする。
「・・・おい・・行くって・・何処に?」
あまりにも急なリナの発言にさしものガウリイも戸惑いながらそう口にする。
「・・決まってるじゃないの・・。殺られる前に殺る。基本的なことじゃん?」
そう言いながらもリナは既に自分の獲物・・・。
確か『魔槍、ゲイボルグ』と言っただろうか?
怖い事に刃物の部分をぺロリ・・と舐めあげてガウリイの方に視線だけ送る。
「・・・だから・・・暴力じゃ解決しない・・・・」
はあ・・とため息を漏らしながらそう言うガウリイのトーガの上衣をグイっと掴み・・。
「・・・甘えたこと言ってるんじゃないわよ・・・・・・・・・。」
・・・目が・・・笑っていない・・・・・・・・・・・・・・。
半分泣きたい思いを堪えながらガウリイは辛うじてははは・・と曖昧に返答する。
「・・・ったく・・。コレだからお坊ちゃまはやってらんね〜のよ・・・。」
ふう・・・とため息を一つ・・・・。
が、やおらガウリイの胸倉を引っ掴んでいた手をポイっと引き離し・・・。
彼が何をするのか理解不能なうちに何処からとも無く純白の陶器を引きずり
出してくる。
「お・・おい!!」
彼が止める間もなくリナはそれを思いっきりグイっと上向けてラッパ飲みして・・。
顎から首筋に飲みきれなかった紫色の果汁のにおいを漂わせた水が零れ・・・。
お坊ちゃま育ちのガウリイが『ベタベタして気持ち悪そう』などと思った
その時だった・・・・・。
グイっと再度胸倉を捕まれ、リナによって強引に仰向かされ・・・。
「おお〜〜♪あんたもなかなか良い飲みっぷり〜〜♪」
・・・強引にさっきまでリナがらっぱ飲みしていた酒ビンを同じようにラッパのみ
させられてしまっている・・・・・・・・。
そうガウリイが気付いたときには時既に遅し!!
強烈な酔いが頭の中をグルグルと駆け巡る・・・・・・。
「・・おい・・せめて・・水で・・割れよ・・・・・。」
やっとの事で水攻めから解放されたガウリイが見たモノは・・・・。
自分の顔より大きい酒ビンを片手に持ちにやり、と人の悪い笑みを浮かべているリナ。
「ば〜〜か。甘えた事言ってるんじゃないわよ〜♪」
ざっと宮殿で出される酒の数十倍はアルコールの度合いが強い、とみた・・・。
元々皇族はぶどう酒は割って飲む風習が古来からある・・・。
こんな荒っぽい飲まされ方は・・・・・・・・・。
う・・・と抗議の言葉を考えたガウリイであったが・・強烈な眩暈に意識を奪われる。
「・・リナさ〜ん・・。この人・・ど〜しちゃったんです・・・?」
ひょっこりと様子を見にやってきたリナにアメリアが聞く。
「う〜・・・。間接で飲ませてあげただけでフラついちゃったの〜♪」
「・・・王子様からかって遊ぶのはやめんかい・・・・・・。」
「いや〜〜♪参りましたねえ・・あはは〜〜♪」
更にゼルの軽い説教・・・・。あからさまに楽しんでるゼロス!!
違う・・・コイツら・・・基本的に何かが違っている!!!!!!!
しかもゼロスの馬鹿たれは馴染んでやがるしいいいいいいい〜〜(涙)
酔った頭を抱えながらお坊ちゃまガウリイは辛うじてそう思うのだった・・・・。


夜風の中、市内に忍び込む。
「・・ふい〜〜♪良い風ねえ〜〜♪」
「・・・俺は二日酔いだ・・・・・・・・・・・。」
未だにリナのせ〜でがんがんする頭を抱えながらガウリイは辛うじて一言そう言う。
「・・・だっらしない・・。」
「・・・オマエが頑丈すぎるんだよ!!・・ったく!!」
さしあたり今回アモーロ市内に侵入するのはガウリイとリナの二人だけと決定された。
もともと蛮族であるリナたちブリタニア一族にとってはガウリイの都市の心象は良いものではない。しかし・・リナの場合は誤認でガウリイを攫った引け目もあり・・・。
厭でも協力するよう父親と大喧嘩の末(と、言うかガウに馬鹿な事吹き込んだ手前もある)今回の陰謀に参加することとなったのだ。
一応この市内のクーデター劇の後の事もある。
どさまぎで属州ブリタニアの遊牧民が奇襲される事も考えられる状況である。
ゼロス、そしてリナの従兄弟のハンニバルや父親はキャンプの警護をすることとなっている。
「・・真坂と思うが・・俺を市内に捨てて・・さっさと逃走するんじゃね〜だろうな?」ギク・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
魔槍、ゲイボルグを持ったままリナの体が一瞬ドキリと跳ね上がったのが確認できる。
「・・・そ・・そんな事・・・(あるけど)・・無いわよ!!」
取り繕ってる、取り繕ってる・・。もっと焦れ!!(外道)・・・・。
「市内の門はクーデターが起こったせいかもしれんが既に閉まっている。ど〜する?」
「簡単よ。」
言うが早いかリナは手近にあった木に登りだし・・スルスルっと城壁の上に飛び乗る。
さして服の腰の辺りを縛っていたロープを解き、適当な場所に縛り付けてガウリイに道を作ってやる。
「・・俺って・・情けないかなあ〜〜〜?」
すっかりリナと出会ってから癖になってしまったのだろうか?
ガウリイは普段だったら「いやあ〜〜下品ですね。あはは〜♪」とゼロスに嫌味たらたらに注意されるであろう動作で髪を掻き揚げる。
「あんたはお坊ちゃま育ちのだけでしょ〜が・・・。ったく!!さっさとアグリッピナ殺ってあんたを宮殿に置いてあたしは帰るわよ!!?」
「・・・・ひでぇ・・・・・・・・・・・・・・・・。」
何だかそ〜ゆ〜言い方をすると見捨てられた気がするのは、自分の気のせいだろうか。
「行くわよ・・・・・・・・えっと・・宮殿は・・・・・。」
この帝都に住みながらまったく町並みから情景までを理解していないガウリイに
代わり、口うるさいお側御用のゼロスがパピルス紙にざっと書いてくれた地図を見ながら
リナは進もうとする・・・。
が・・・・・・・・・・・。
ガジ!!!!!!
不意にガウリイに腕を捕まれ、進行を阻まれ・・・・。
「何すんの!!!!」
とリナが文句を言おうとしたその刹那だった!!
「・・・く・・・ははは・・・・・・・。」
前方から現れた人影に・・・あと一歩進んでいたらリナの目に直撃したであろう・・。
鋭利なナイフがスっと掠めていく。
それと同時にリナの頬からたらり・・・と赤い色の筋が流れ出してくる・・・。
「・・・すまない・・・・・。」
鳥目の傾向があるリナと違い、どうやらガウリイは夜目が効くらしい。
頬の傷を悟られて不必要な同情をかけられたくないリナとして一寸不意打ちの不覚を食らってしまったような気がしてたまらないのだが・・・・・。
「・・気にすんじゃないわよ・・・。それに、あたしは頭ぶん殴られるほ〜が顔傷つけられるよりも126倍ムカつくタチだし・・・・。」
血を拭いながらリナはそうとだけガウリイに言い・・・。
「けどよ・・ナイフ投げたのは・・・・。」
「少なくとも・・この人じゃないわ・・・・。」
半ば半狂乱でリナたちの前に現れた・・・女性・・。その顔はベールに覆われ垣間見る事は叶わない状況にあるのだが・・・・。
そんなことを考えているうちにも無数の足音が此方に近づいて来る!!
その気配を察してリナとガウリイは足音の連中からは死角になっている部分に
身を潜める。そして・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「・・・殺すなら殺すがいいさ!!あの子は私の腹から生まれた『蝮』なのだから!!!」そのベールに顔を覆われた女の胸に一瞬にしてナイフが突き刺さり・・・・。
そして女は動かなくなる・・・・・。
「・・・な・・・・???」
リナが呆気にとらわれているその間に・・・・・・・・・・。
「・・・あれは・・アグリッピナだ・・・・・・・・・・・・・・・。」
その横でガウリイが誰にとも無くそう声を漏らす。
「・・・なんですって・・・????」
アレが・・ネロ・・いまや新しい皇帝となった男の母親・・・????
その事実が確認したくてリナは再度死角になっている部分から連中に気付かれないように
顔だけひょっこりと出してみる。
「・・・成功したのかい・・・???」
ハスっぽい声の女が兵士達のすぐ側に現れたのはその時だった・・・。
「・・は!!ポッパイヤ様!!」
これは・・聞いた事のある・・・。兵士が后妃に対する敬礼の仕方・・・。
「ふ〜〜ん・・・。ま、コレでネロのボ〜ヤはこのアタシが仕切れるってモンだね・・。
ま、色仕掛けで誑しこんだ甲斐があったってモンだよ・・・。」
ふ・・と妖しく微笑みながら女はそう兵士に言う。
「・・アレは・・・ローマ界隈一の娼婦・・。ポッパイヤだ・・・。
こ〜ゆ〜のには絶対に近づくな!!ってゼロスから手配書見せられたことがある・・。」「・・・・アレが・・・・????」
改めてリナはポッパイヤの顔を見遣る・・・・・。
「後は・・蛮族に庇護を求めて逃走した・・。間抜けな金髪王子様を抹殺する
だけだねえ・・・・。」
ククク・・と可笑しそうにポッパイヤは再度笑い・・・・・。
「・・・間抜けなって・・・・?」
「あんたの事よ!!あ・ん・た・の!!」
そんな突込みを電光石火で入れてみたものの・・こんな所でこんな事してる場合じゃない。
「今すぐキャンプに戻るわよ!!」
恐らく、今まで自分たちが遊牧していたテントは・・アモーロの正規兵団に襲われている事は必然である!!


無数の敵兵と自分の部族民は既に混戦状態に陥っていた!!
「・・圧倒的に押されてるなあ・・・・・。」
「・・ったく!!他人事だと思ってるんじゃないわよ!!このお坊ちゃま!!」
言うが早いかリナは手に持っていた魔槍『ゲイボルグ』を振りかざし・・・・・・。
見る見る間にも敵を迎撃していく!!!??
「リナさん〜〜〜〜!!」
何故かフランパンと箒を持って奮戦しているアメリアがその様子を見て嬉しそうに
手を振る!!
「なんつ〜武装してるんだ!!オマエは!!」
そんなアメリアを庇いながらゼルが剣を振りかざす。
「・・クソ親父はど〜したのよ!!ハン兄ィ!!」
実質上今回の指揮をとっている次期部族の長になるであろうこの従兄弟にリナは尋ねる。「・・・河に釣りに行って・・戻らん・・・・。あのゼロスとかゆ〜人も一緒だ。」
「・・・あんのクソ親父ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ〜〜〜〜〜!!!」
暫しの沈黙の後、怒り狂ったリナの八つ当たりの魔槍の猛攻撃が開始された・・・。
ついでに言えば『お坊ちゃま』と思い込んでいるガウリイを庇う事も忘れない。
「・・く・・この娘・・真坂・・・・・・・・・・・。」
そんなリナの勇姿に気付いたのだろう・・・。
一人の敵兵が間合いを詰めながらなにやら口の中で言う・・・・。
「ええ・・・そうよ・・・。あたしこそが・・・・・・。」
言いながらもリナの攻撃はなおも止まない。
「二大伝説を冠する冠具・・・・。・・・聖剣『エクスキャリバー』、に魔槍『ゲイボルグ』・・・。その『魔』の直系継承者たるリナ・インバースよ!!!」
さしもの大国アモーロ帝国の正規兵にも動揺が走る・・・。
が・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
さしものリナもそんな説明をしている間に油断が入ったらしい!!
「ぐあああああああああああああああ!!!!!」
隙を見透かして一人の男がリナの脳天目掛けて剣を振りかざしてくる!!?
「リナ!!!!!!!!」
避けられない・・そう判断して覚悟しかけたリナだが・・・・。
剣の攻撃は届かない・・・・???
咄嗟に閉じた瞼をリナが開いた瞬間・・目に飛び込んできた光景は・・・。
「ハン兄ィ!!!!!!!!!!!」
リナを庇ってのことだろう・・・・・・・。
片目から大量の血を流し・・その場に屈みこんでいるハンニバルの姿だった・・・?
「・・・リナ!!!!」
そんなハンニバルが止めるのも聞かず、リナはがむしゃらに魔槍を振るい・・・。
「あたしはね!!!顔を傷つけられるよりも頭ぶん殴られるほ〜が1267倍ムカつくのよ!!!」
しかし、力の差は圧倒的だった・・・。
魔槍もろとも弾き飛ばされ、辛うじて体勢をリナは整えるが・・・・。
敵わない・・と頭は冷静に状況を判断していた・・・・。
「リナ!!!!!!!!!」
リナが冷や汗を流しているその時・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ガイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイインンン”!!!!!!
突然脇を疾風が駆け抜けた・・・・・・・・・。
そう思い、目の前を見れば・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ずじゃあああああああああああああああああああああああああああああ・・・。
金属音、そしてその次は・・何かいとも簡単に・・金属を切り裂く音?
そして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「大丈夫か・??」
見えたものは金色の髪に・・差し出された手・・・・・・・・。そして・・・・・。
「・・聖剣・・エクスキャリバー・・・???」
間違いない・・ガウリイが今まで身に付けていたものは・・・・。
自分の魔槍『ゲイボルグ』と対極的な存在・・『エクスキャリバー』なのだ・・・。
「・・うそ・・・・???」
単なる『お坊ちゃま』だと思っていたのに・・・・・・・・・・・。
しかも・・この一族で(クソ親父除く)ナンバーワンの使い手のリナですら敵わなかった敵をアッサリと一撃で倒す腕前・・・・・。
「あ?これ?コレ・・俺以外使える奴いね〜から・・。貰っちゃったぜ。ははは・・。」
しかもこの聖剣についての認識の無さ・・・・・・・・・・。
やっぱり・・コイツ(ガウリイ)って分からない・・・。今のところは(汗)


「さ〜さ・・。用済んだわ。帰った、帰った。」
すっかり眼帯姿になったハン兄ィが苦笑してるのは知った事じゃない。
リナはシッシとガウリイを追っ払うような動作をしてあらぬ方向を見る。
「・・・そ〜はいきませんねぇ・・・。」
「そ〜そ・・・。そ〜はいかね〜んだよなあ・・・。」
そんなリナに不意にクソ親父とガウリイの家庭教師のゼロスが波状攻撃する。
「実はな〜〜。『ゲイボルグ』の後継者と『エクスキャリバー』の後継者が・・。
男女の代になった時・・・・。」
「無条件で婚約しなくっちゃいけないって伝説があるんですよ〜あははは〜〜♪」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。暫しの沈黙・・・そして・・・・・。
「ざっけんあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
一瞬にして状況を理解したリナの無条件無差別の魔槍攻撃が始った・・・。
「と、ゆ〜訳で、世話になるぜ〜♪リナ〜!!」
それに反し、ガウリイは妙に楽しそうである・・・・。
「・・か・え・れ!!」
怒ったようにリナはグイっと何時かのようにガウリイの胸元を掴む。
「なんだよ〜〜・・・。花嫁が花婿攫ったって出会いは不満か〜〜って!!
ごめんなさいいいいいいいいい〜〜〜〜(涙)」
すっかり鬼と化したリナに平謝りするガウリイ・・。もっとも帰り支度する気配は
全然見当たらないのだが・・・・。
「リナ。我侭はいい加減にしろ・・・。」
「そ〜ですよ。リナさん・・。それに・・まだポッパイヤやネロは未だ健在です・・。
そんな人をみすみす殺害される場所に帰れっていうのは・・非人道的です!」
ゼルがたしなめアメリアもビシっとリナの方を指差し・・・・。
「じゃ、そ〜ゆ〜訳だな〜〜♪」
一人ご満悦のガウリイ・・・・・。
「・・いつか絶対追い出してやるうううううう〜〜〜(涙)」
夕日の中、虚しく己の一世一代の大大大大大大だ〜〜〜〜〜〜〜〜〜い不覚を
呪うリナの声が響き渡るのだった・・・・・・・・。



(続きます。)

トップに戻る
130242001年の新シリーズ♪P.I E-mail 1/4-00:50
記事番号13011へのコメント

CANARUさん、こんばんは〜!
また面白そうなシリーズが始まりましたね〜♪♪
家庭環境はむっちゃ殺伐としてるのに、のほほん王子様のガウリイ(笑)
こ〜んなヤツと問答無用で婚約とは・・・・全部あんたが招いたことだからね、
リナちん!しっかり責任は取ろうね〜〜!(大笑)
しっかしチェーザレに続いて今回はハンニバル・・・・。
CANARUさんちのリナちんはみんなお兄さんが格好良くて羨ましいですわ〜(^0^)
しかも今回はおとーさまもご出演!(はぁと)ゼロスと釣り友達なんですか?
二人して魚釣りしながらろくでもないこと喋っていそう!(笑)
  「おや?あっちで戦闘が始まったよ〜ですよ」
  「ほっとけほっとけ。ガキどもがなんとかするだろ〜さ」
・・・なんて(爆)
続きが楽しみです。頑張ってくださいね〜!
それではまた!!

トップに戻る
13034かなりギャグです〜♪CANARU 1/4-10:24
記事番号13024へのコメント

>CANARUさん、こんばんは〜!
>また面白そうなシリーズが始まりましたね〜♪♪
はい〜〜♪
今度はかなりギャグな少年漫画風な話にしようかな〜〜?
と今から企んでおりまっす〜☆
>家庭環境はむっちゃ殺伐としてるのに、のほほん王子様のガウリイ(笑)
ですねえ〜〜♪
「野生のリナちゃん」と正反対な「お坊ちゃま」ガウリイを
ベースに話を進めていきたいな〜〜?
とと思ったらこうなりました!!
最初はガウ・・もっと目立たない予定だったのに・・きっちり目立って
良かったです〜〜(汗)
>こ〜んなヤツと問答無用で婚約とは・・・・全部あんたが招いたことだからね、
>リナちん!しっかり責任は取ろうね〜〜!(大笑)
ははは〜〜(汗)
さて、今後の攻防はいかに!!ですねえ〜♪
>しっかしチェーザレに続いて今回はハンニバル・・・・。
>CANARUさんちのリナちんはみんなお兄さんが格好良くて羨ましいですわ〜(^0^)
う〜〜ん・・・。
完璧に好みが入ってます(笑)
オリキャラの人名もこれから話の展開に関係アリな予定です!!
気長にお待ちください〜〜!!
>しかも今回はおとーさまもご出演!(はぁと)ゼロスと釣り友達なんですか?
はい〜!!
父上はリナちゃん、ゼロス君がガウ君のお守だったりします!!
>二人して魚釣りしながらろくでもないこと喋っていそう!(笑)
>  「おや?あっちで戦闘が始まったよ〜ですよ」
>  「ほっとけほっとけ。ガキどもがなんとかするだろ〜さ」
>・・・なんて(爆)
ははは・・ありえます〜〜!!
かなり無責任は共通していそうですしね!!
余談ですがリナちゃんの口癖は「串刺しになりたいワケ?」に
決定です〜〜!!
>続きが楽しみです。頑張ってくださいね〜!
>それではまた!!
では〜〜!!