◆−頑張れ!ゼロス君!3−神無月遊芽(1/4-12:37)No.13039
 ┗うわー・・・哀れ・・・−いちごみかん(1/10-16:52)No.13124
  ┗哀れですわ(^^)−神無月遊芽(1/10-19:26)No.13128


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13039頑張れ!ゼロス君!3神無月遊芽 E-mail URL1/4-12:37


 こんにちは、神無月です。
 一部の方に(笑)人気な頑張れ!ゼロス君第3弾です。
 本当はもっと昔に書いてたんですけどこっちに投稿するのをすっかり忘れてまして…。
 とりあえずゼロス君の不幸っぷりを存分にお楽しみください(笑)

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                続々・頑張れ!ゼロス君!!
              〜はっきり言って無謀なデート編〜

 1、相変わらず報われない男・ゼロス

今日、ゼロスはご機嫌だった。何故なら…
「♪今日っはっリっナさんっとデーっトっ」
「デートじゃないってば」
リナがすかさず拳を”グー”の形に握り締めてゼロスの額を思いっきり殴った。
ごん、という鈍い音が辺りに響き、それと同時にゼロスがしゃがみこむ。
「リナさぁぁぁん…ひどいですよお…」
瞳をうるうるさせて抗議するゼロスに、リナが呆れた視線を投げかける。
「あのねえ…あんたが今日一日つきあってくれって泣いて頼むから、しょうがなくついていってあげるだけでしょ」
そう、リナは朝、ゼロスに脅迫されて、デートを余儀なくさせられることになったのだ。それではデートとは言えまい。
どんな脅迫だったかは皆様のご想像にお任せということで…(いえ、単に考えるのが面倒とかそういうことはありませんよ)。
「ほら。どこに行くのよ。さっさとお言い」
女王様モードになってる…。
「なに?」
いえ、なんでも…。
「そうですねえ…スレイヤーズには遊園地なんてありませんからねえ…買い物でもしましょうか」
「………遊園地?」
「いえ、こっちの話です」
そう言うと、リナの手をひいてゼロスは歩きはじめた。
「ちょっ……もう……」
リナは、きっとあとでゼロスを殴ってやるとか思いつつ、ついていったのだった。


 2、悪魔の笑みの悪魔・リナ

「あんたがこんなとこ知ってるなんて意外ねー」
「そうですか?」
目の前に並べられた小さな宝石を眺めながら、リナが言った。
 露店が長く立ち並ぶ道の、丁度真ん中ほどだろうか。そこに2人はいた。
小物屋なのか、オルゴールから指輪までいろんな物が売ってある。
だがリナはそんなもの興味ないという感じで、呆けながら見ていた。
「なんでも買ってさし上げますから、自由に選んでいいですよ」
  ぴくっ
リナの耳が大きく反応した。
「あ、これリナさんに似合う…って、リナさん?」
ゼロスが指輪を片手にリナがいたはずの場所を見るが、そこには誰もいない。
「……っまさか!?」
嫌な予感にとらわれて、全速力で走る。
その額には、冷や汗が出ていた。
(リナさん…まさか!そんな……っ!!)
そんなことがあるんだろうか。いや、リナさんのことだ。あってもおかしくはない。
だが、そんな恐ろしいことが…!?
 そしてようやく見えてきた目標地点に、見慣れた後姿。
「おっちゃん、これ、なかなかいい物ねえ」
「お?解るかい?どうだい?金貨500で」
「買う買う!それとブラウディアの木の実を10個ちょうだい!あ、あとなんか珍しいマジックアイテムがあったら見せて!」
あ、ゼロスがリナの後ろで倒れてる。血の涙なんて初めて見たよ。
「リナさん…どうせこんなことだろうとは思ってましたけど…」
       マジックアイテムショップ
おごるから、と言って魔法道具屋さんに走るとは、リナは根っから魔導士だなー。
「感心してる場合ですか!」
はいはい。おい、リナ。後ろでゼロスが泣いてるぞ。
「あ、いたの」
「うっ…うう…」
今のはきっついなー…。ゼロス、心に1000のダメージって感じだぞ。
「いいの。ゼロスだし」
「ふっ…リナさん…貴方のその爽やかな笑みが恨めしいです…」
「まあとにかく、ゼロス、払ってね」
「え?」
よく見るとリナは両手一杯の荷物を抱えて店から出るところで、ゼロスの目の前には店の主人がいる。
「おっちゃん。勘定は連れが払うから」
「毎度ありー。えっと、金貨でこれだけになります」
そう言って差し出されたレシート(あるのか?)を見て、ゼロスは愕然とした。
「ちょ、ちょっと待ってください!どうやったらこんな値段になるんですか!?」
え?ちょっと見せて。1の、2の、3の…うわっ。7桁もある。しかも金貨で!?
「そうは言ってもねえ。
 ブラウディアの木の実にオリハルコンの短剣。魔法で強化されたショルダーガード。
 その他諸々両手一杯色々買っていきましたんで。これでも安い方ですよ」
「……払います」
…ゼロス、強く生きろよ。


 3、いないはずのいる人・ナレーター

「リナさん、おいしいですか?」
「ん、まあまあねー」
その台詞の割に、テーブルの上には何十皿というお皿が積み上げられていた。
ゼロスはその偉大な食欲に…いや、リナのかわいらしい顔に見惚れながら、泣いていた。
「(確かに僕はおごるって言いました。けど、普通おごるって言ったら小物とか、せいぜい高級な服までじゃないですか?
 マジックアイテムなんておごってたら僕の財布はすっからかんですよ)」
いいじゃん。まだ余裕あるんだし。
「…ナレーターさん?なんで僕の心の声が聞こえるんですか?」
ナレーターだから。
「ゼロス、何ぶつぶつ言ってるのよ」
「……なんでもありません」
ゼロスの前には、食べかけのお皿が2,3個。
よっぽどさっきの出来事がショックだったのだろう。
リナ、喜んでたのにねえ。
「(確かにリナさんの微笑みの価値は一億あっても足りませんけど、あれはそれ以上かかりました)」
お前、さりげなく恥ずかしいことを言うなあ。
「(放っておいてください)」
「あー食べた食べた」
リナは満足げにお腹をさすった。
「満足していただけましたか?」
「うん。あんた魔族のくせに結構おいしい店知ってるのねえ」
「そりゃあもう。リナさんのためですから(はあと)」
「んじゃ、ここの勘定もお願いね」
「え?」
ゼロスは思わずポケットに手をしのばせた。
そこには、もうほとんど中身の入っていない、財布が…。
でも、ぎりぎり足りそうだな。良かったな、ゼロス。
「うっ…うぅぅ…」
「ほらゼロス、さっさと行くわよー」
ゼロス…お店の人にお金を払うその後姿が、たまらなく寂しいぜ…。
「ほらっ早くっ」
でも、リナもただで食べ放題となるとさすがにさすがに嬉しそうだったな。
ゼロス、これだけでも収穫とするべきじゃないか?
「……そうですね」
でもやっぱり”おごる”発言はするべきではなかったと思う、ゼロスなのだった。


 4、告白!!…失敗

 夕日が山の谷間に沈んでいく。
空はまるで炎のように紅く染まり、少しだけ冷たい風が、2人の頬を撫でていった。
「リナさん…」
ゼロスの瞳が揺らいでいるように見えたのは、気のせいなのか…。
「何よ」
「あの…荷物、半分だけ持ってくれませんか?」
そう言うゼロスの両腕には、荷物が…いや、その表現は適当ではないだろう。
それはまるで洗濯物干しのように、荷物が腕に、肩までもかかっており、首からも荷物がかかってある。
それは哀れとしか言い様がなく、だがリナは冷たく突き放す。
「嫌よ。あんたが誘ってきたんだから、あんたが持つのが妥当でしょ」
「はあ…」
でも、これはリナさんの荷物なんですけど…という言葉をゼロスは飲み込んだ。
その言葉を言ってしまったら、今日一日の努力が水の泡になってしまうから。
 だから代わりに、ゼロスは口にした。
「今日は…楽しかったですか?」
「……そうね。まあまあだったわ」
かけられた優しい言葉に、ゼロスは少しだけ驚いた。
いつもだったら、ここで「んなわけあるか!インバースクラッシュ!」とか言われるところが、そんな言葉だったから。
 ゼロスは悩んだ。もしかしたら、ここでするべきなのかもしれない。
真剣に言ったら、真剣に受け止めてもらえるかもしれない。
無謀だ。そう言うナレーターをも無視して、ゼロスは意を決した。
「リナさん…好きです……」
「え…?」
リナの顔が紅潮した。
「僕のことをどう思っているか、教えてください…僕は本気です…」
リナは震えながら、ゆっくりと唇を開けた。
そして…
「便利なアイテム」
ゼロスは、砕け散った……。


 おーい。ゼロス、大丈夫か?
いかん。完璧に石になっている。
リナ、あそこまで言う必要はなかったんじゃないか?
「そう?あれでも言葉を選んだつもりだったんだけど?」
……あれでもいいほうだったのか?……そうか…。
「ま、これで少しはおとなしくなるでしょ」
リナ、まさか最初からそのつもりだったのか?
「もっちろん。じゃなきゃ最初からデートになんか来ないわよ」
ゼロス……哀れな。
「ま、ちょっとは楽しませてもらったわ。ゼロスにそう伝えといて」
…!?……解った。
荷物をひとまとめにして、レイウィングで飛んでいくリナを見ながら、ナレーターは呟いた。
 やれやれ。ゼロス。少しは努力が水の泡にならずに済んだみたいだぞ。
「…リナ…さぁん…」
石になったまま泣くゼロスを見て、ナレーターが微笑んだ。
 本当に少しだけ、だけどな。

 頑張れゼロス君。
少しは君の努力が報われる日が来るかもしれないがめちゃくちゃ遠い日であることは確かだ。
 頑張れゼロス君。
というかリナは金に釣られたんだがそんなこと言ってたらいつまでも便利なアイテムどまりだ。

 とりあえず、もっと頑張れ!ゼロス君!!

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 ちょっと進展?でもやっぱり不幸ですね(笑)
 とりあえず頑張れゼロス君シリーズはこれで終わりの予定です。
 ご愛読ありがとうございました(笑)

 それでは。
    神無月遊芽

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13124うわー・・・哀れ・・・いちごみかん E-mail 1/10-16:52
記事番号13039へのコメント


はじめまして、神無月遊芽さん
私はいちごみかんと申します
読ませていただきましたよー(喜)
・・・でもすごいですね
私には、こんな哀れなゼロス君がかけない
しかも笑える
他も、また頑張ってくださいねっっ!

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13128哀れですわ(^^)神無月遊芽 E-mail URL1/10-19:26
記事番号13124へのコメント

>はじめまして、神無月遊芽さん
>私はいちごみかんと申します
 初めまして。いちごみかん様。
 神無月と申します。

>読ませていただきましたよー(喜)
>・・・でもすごいですね
>私には、こんな哀れなゼロス君がかけない
>しかも笑える
 ありがとうございます。
 私の書く小説はダークシリアスかコメディかで両極端なので、こういう小説書いてるときは私も面白いです(笑)

>他も、また頑張ってくださいねっっ!
 はい、頑張りたいと思います。

 それでは。
    神無月遊芽