◆−スレイヤーズ!−デジタルワールドの冒険!−4−雪月花(1/5-11:06)No.13062
13062 | スレイヤーズ!−デジタルワールドの冒険!−4 | 雪月花 | 1/5-11:06 |
「うーん・・・暗くなってきたし、今夜はここで野宿としますか」 夕闇に染まった大平原を見回しつつ言うあたし。 「えっ・・・じゃあ夕飯はどうするんだよ?燃やせるようなものなんて・・・」 「あるじゃないそこに」 太一くんの言葉をさえぎりあたしが指差したのは、おっきな岩だった。 八人の子供達やデジモン達は、まだわかっていないようだが――・・・・。 「とにかく、近くに川があるでしょ?誰かあそこから魚とか獲ってきてよ」 「獲ってきたけど・・・一体どうやって焼くんだ?」 眉をひそめて問うヤマトくん。 そしてあたしは口の中で呪文を唱え――― 「炎の矢(フレア・アロー)!」 ぼひゅ! 小さな赤い炎を岩めがけてぶつける。 そしてお次は――― 「炎の槍(フレア・ランス)!」 紅蓮の炎が長槍(ロング・スピア)のような形をとり、またまた岩に食い込む。 「よし、それじゃあ魚を置いて・・・と」 じゅわぁぁぁ、と音を立て、やがて香ばしい匂いが漂ってくる。 「はい、味見してみて」 焼けた魚の一部を切り取り、空ちゃんに渡すあたし。 空ちゃんはそれを口に入れると同時に、唇を押さえ、 「・・・おいしい!」 「でしょ?こーやると余分な油とかが落ちてあっさりした味になるのよ」 「よーし僕達も!・・・ヘビーフレイム!」 「プチファイヤー!」「マジカルファイヤー!」 デジモン三匹も同じ岩に炎を食い込ませる。 「ち・・・ちょっと待った!あんまり熱しすぎると・・・・!」 しかしデジモン達は構わず魚を熱した岩に置く! しゅごぉぉぉぉぉぉ!! 炎の柱を立て炎上するお魚さん。 「・・・・いきなり料理が炎上することもある・・・って言おうと思ったんだけど・・・・」 頭をポリポリ掻きつつ言うあたし。 「にしても、リナさん旅してるからこういうこと詳しいの?」 ミミちゃんが好奇心を丸出しにした目で質問してくる。 「んー・・・まあね」 「そうそう。それにコイツ、都合が悪くなった時の無茶苦茶な屁理屈の言い方とか、悪知恵とか悪党から金品強奪する方法とかも・・・・」 ごん!! 無造作に、表情ひとつ変えずあたしが放った投石攻撃は、まともにガウリィの 顔面を直撃した。 「・・・・金品強奪・・・・?」 「あ、ああ!別に悪党にしかやってないから犯罪じゃないのよ!」 ジト目でつっこむ太一くんに、慌てて言い訳するあたし。 「いや・・・僕らの世界じゃ盗った相手がなんだろーが盗んだだけで立派な犯罪 ・・・・」 「さあ!とにかく引き続き調理開始!」 何やら言いかけた光子朗くんの言葉をさえぎり、あたしはその場を取り仕切るのだった。 『いっただっきまーす!』 その場の全員が元気良く言う。 「ねえねえ、リナさん達は目玉焼きには何かけて食べる?」 瞳を輝かせ、ミミちゃんが質問してきた。 「うーん、目玉焼きねぇ・・・」 「あたしはねえ、やっぱりお砂糖と納豆乗っけたのがいいと思うの!」 ・・・・ナットウとやらの意味はわからないが、おそらく前者の単語からして 目玉焼きとは不釣合いな言葉だろう。 「あたしは・・・そうねぇ、やっぱしぶどう汁をだくだくかけた奴かな」 「俺はライゼールトカゲの尻尾と一緒にだな」 「ラグド製の野菜汁・・・・・」 『・・・・・・・・』 何やらぞっとしたようにこちらを見る一同。 (作者注・この目玉焼きについて言っているリナ達は、あくまで私が勝手にそういう風に目玉焼きにかけるのかなー、と思ってるだけです、スイマセン) 「リ、リナさん・・・・そういう味付けの仕方、自分で思いついたんですか?」 おずおずと声をかける丈くん。 「ううん、あたしの郷里はぶどうの名産地だから、こういうのみんなやってる わよ。・・・ま、周囲からは変な目で見られたりするけど、みんな味には結構 鋭いのよ。あたしだって、口の中で噛んだだけで毒が入ってるかどうかわかるくらいだし」 「どっ・・・毒がわかるんですか!?」 「まあね。昔郷里のねーちゃんにみっちり仕込まれてたから」 『・・・・・・・・』 「あの・・・・リナさんの郷里のお姉さんって・・・一体・・・・・?」 「それは聞かないでお願いだから・・・・・」 あたしの瞳ににじむ恐怖の色に気付いたか、空ちゃんはそれ以上何も言わなかった。 そして、ふと料理の方に目をやれば―――って!? 「ちょっとガウリィ!何あたしの分まで食べてんのよ!?」 「え、いやあ、話し込んでるみたいだから、いらないのかと思って・・・・」 (注・この時ガウリィは毒がどーのこーのという話を聞いてなかったため、『ソラリア』で同じ質問をした) 「勝手な解釈するなぁぁぁぁ!!吐け!出しなさいよあたしの魚―――!!」 ―――一方。 なおも騒ぎ立てるリナ達を、遠くから見つめる影があったことに、気付く者は 誰一人としていなかった―――。 |