◆−魔槍伝承談4−CANARU(1/19-16:32)No.13221 ┗ちょいと小話(笑)−P.I(1/20-17:32)No.13230 ┗ナイスです〜!!−CANARU(1/21-10:38)No.13243
13221 | 魔槍伝承談4 | CANARU | 1/19-16:32 |
「いやだあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」 我侭お坊ちゃま・・・ガウリイの絶叫・・・。 日常茶飯事な事である。あしからず。 すっかりその状況に慣れきった黒髪の整った顔の男と片目を眼帯で覆った 男はずずず・・と朝のお茶をすすり・・・・・。 「これ以上近づくとぶっ殺すううううううううううううううううううう!!!」 次の別人物の第二声に思いっきりお茶を噴出した・・・・・・。 「きったないですうううううう!!!二人そろって!!」 泣き出しそうな声で抗議するアメリア!! 「おい。一体全体ナンだったんだ?ガウリイの坊ちゃんはともかく・・。 リナまでぶっ殺すなんていう様な事は!!」 テントの外で大騒ぎするガウリイとリナに事態の説明を求める ゼル・・・・。 「・・ゼルゥゥゥゥゥ・・・俺・・殺されちゃうよおおおお〜〜〜・・。」 半ば泣き声でゼルに懇願するガウリイ。 かくいうリナは・・・・・・・・・・・・・・・。 「シ!!シ!!あたし、注射だけはいやなのよおおおおおおおおおお!!!」 と、唯ひたすら怒鳴り散らす。 「・・・なんだ・・・たかだか注射二人して嫌がってるだけか・・・・。」 状況を悟ったハンニバル・・・片目を眼帯で覆ったリナの従兄弟が仕方なさそうに テントから二人の側に歩み寄る。 「・・俺が押さえつけてる。アメリアはリナを押さえろ。」 そう言うなりやおらガウリイの両腕をゼルと二人掛かりで押さえつける。 「さ〜〜あ!!リナさん!!堪忍してください!!」 「やだああああああああああああああああああああ〜〜〜〜〜〜!!!」 そして・・・二人の絶叫が響き渡る中・・・部族の医者が・・・・・・・・・・。 ヒリヒリヒリヒリ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 未に酷い痛む上、血が僅かずつながら止まらない腕を脱脂綿で押さえながらいじける ガウリイ・・・・・。 逆にリナはテントの地面に敷いたマットの上に寝転びながら不機嫌な顔つきである。 「あ〜あ・・・。たかだか注射でよぉ〜〜〜・・・。」 半ば呆れた口調でリナ父が釣竿を磨いている。 「・・・そうよ・・・・・・リナちゃん・・・・・・ガウちゃん・・・・・。 ヴァノーなんてね・・・注射の前日・・・いっつもワクワクして・・・眠れないのよ? 一日中お家でごろごろしてても・・・誰も文句言わないんだもん・・。注射の後って・・・。」 「・・・姉さんは黙ってて。」 早速姉のヴァノッツァの問題発言に突っ込みを入れるハンニバル。 「そうはいいましてもね・・・ヴァノッツァさん。ガウリイさまは非常にデリケートな方なんですよ?針をブッ刺されて血がでる薬の投与方法など・・・・。耐えられるはずが ありません!!!」 聞き流せば良いようなヴァノッツァの一言になにやら抗議の御託を並べるのは・・。 言うまでも無い。王子様ガウリイの過保護な家庭教師兼世話役、ゼロスである!! 「・・・や〜ね・・・たかが血・・・じゃないの・・。ヴァノーなんてね・・・。 まだハスちゃんと結婚してたとき・・・おうちの近所で処刑とか見せしめがあるとね・・・もう・・・興奮して・・・その日と次の日と・・・そのまた次の日くらいまで・・・ 興奮して何も手につかなくって・・・・・・・・・・。」 (しかし・・。四日後にはすっかり何もかも忘れてる・・・。どうやら・・三日坊主の飽きっぽい性質でもあるらしい・・・。) 「・・・・○クロ○ィリアと思われないうちに・・・。さっさと興醒めしてくれるとあり難いんですけどね・・・・・。」 さしものゼロスもこ〜来るとは思わなかったらしい・・・。 半ば額に汗を浮かべながら辛うじてこの一言を言い終わる・・・が・・・。 「ねえ・・・リナちゃん・・・・下水道って偉いと思わない・・?何を放り込んでも・・終着点ではすっかり・・綺麗になってるのよ・・ええ・・・そりゃ〜〜もお・・綺麗さっぱりと・・・ねえ・・・・・?????」 「・・・・何かやらかしたら追求される前に自首しねて。ヴァノッツァ姉さま。」 淡々とこ〜ゆ〜突っ込みを入れられるリナも大した物である・・・。 やはり・・「類は友を呼ぶ」とはこのことだろ〜〜か・・・? そう思うに至り、ゼロスは未だにガウリイが不貞腐れたように座り込んでいる事に気付く。「さてっと・・・・。ガウリイさま。面白いお話をしてあげましょう〜〜。 今から四年くらい前の話なんですけどね・・・。本当に『ザマ〜見ろ!!』って言う出来事があったんですよ〜〜〜!!」 「・・へえ・・・?どんなだ〜?」 今まで項垂れていたガウリイだったらゼロスの急に話し出した世間話に興味を示す。 「ええ・・それがですねえ・・。僕達の故国、アモーロ帝国に逆らって攻め込んできた連中が居るんですよ!!けどね・・・その名称・・ええっと・・名前は聞き及びませんが。 なんと!!アモーロの『無名』の戦士指揮官に敗れたんですよ!!」 「ふ〜〜ん・・・アモーロじゃ戦争は日常だが・・。無名の奴が武勲を上げるって のは・・珍しいなあ・・・。で?で?」 更に興味を示してくるガウリイにゼロスは・・・・。 「はい〜〜♪その戦場の名前は『ザマ!!』以来、アモーロでは敗北者に対して『ザマ−見ろ!!』とからかうようになった・・・って・・?皆様・・どうしました?」 周囲の反応が・・・・・・なことにようやっと気付くゼロス。 「・・・ヴァノーなんだか・・・寒くなってきちゃった・・・・・。」 言うなり毛布に包まるヴァノッツァ。 厳しい顔のまま黙りこくるリナ、アメリア、ゼル。 「・・・なんだか俺・・ますます腕が痛くなってきちゃったよお〜〜〜なあ〜〜 ハンニバルぅ〜〜・・。」 情けない声でハンニバルの名前を呼ぶガウリイ。が・・・。 「・・・・すまんな・・・。下らんジョークで笑う気分には・・なれん・・・・。」 いつもなら真っ先にゼロスに突っ込みを入れるであろうハンニバルが・・・。 冷たい眼差し、そして冷ややかな態度の余韻を残し・・その場から多くを語らず背を向けて去っていく。 「・・・おい・・・?」 アイツ・・・変だぞ・・・? 疑問に思ったガウリイがその言葉を口にするよりも早く。 「・・・ハンちゃん・・・まだ『ハンちゃん』のこと・・きにしてるのかしら・・?」 ぼそり・・とヴァノッツァが言葉を漏らす。 「・・・・そうとしか考えられね〜な・・・。ったく・・。この兄ちゃんはよお!! アイツのプライド傷つける事いいやがって!!」 ジトめでゼロスを睨むリナ父。 「・・・まったくよ!!」 ここぞとばかりにこの態度に便乗するリナに・・・。 「おい!!おめぇ〜も人の事いえね〜だろうが!!この馬鹿娘!!あいつの事 『ハンニバル、半人前』とか・・傷つける事いっつもぬかしてやがるだろ〜がな!!」 ポカ!!!! 言うなりリナの頭を殴る父!! 「いっでぇわね!!あたしは顔ビンタされるよりも頭殴られるほ〜が999倍ムカつくって言ってるでしょ〜〜〜が!!」 まあ・・・・ハンニバルにある意味自覚を促したいが故に・・・。 あえて今までそう言ってたけど・・・。 年下の自分が言う事ではなかったかもしれないな・・と今更ながら痛感する。 「ば〜ろ〜。999倍ムカつくなんて今始めて聞いたぞ。いつも127倍つってやがっただろ〜が・・・・・・・・。」 一応突っ込みだけは入れども父はそれ以上追及はしない・・・。 「・・・・・??????」 当のガウリイはガウリイで・・・・・・・・・・・・。 まあ・・・ハンニバルが自分自身に引っかかってる過去でもあるのか? そう判断し、さしあたり再度、注射の跡を嘆く事に専念するのだった。 「この先はテバイの街だ・・・。最も・・・・。」 最近、この国に王位継承権の問題が生じて・・・・・。 この国の女王が自害する、というとんでもない事態に陥った一国である。 そして・・現在王位継承権をもつ二人の兄弟も・・今現在争いが生じかけていると 言われている・・・・・。 「まあ・・もともとその兄弟は自分の生まれた国を追われてなあ・・・。母方の 血筋を辿ってこの国に亡命した訳だが・・・。」 「・・・運良く(?)王位継承権が回ってきて更に内輪割れって訳ね・・・・。」 父の説明にリナがさらに付け足して言う。 「・・・で・・・・その兄は・・・現在亡命先から更に亡命したとの話だ・・。」 感慨深げに言うゼルの言葉に・・・。 「まあ・・・それは・・楽しそうね・・・いいわねえ・・あっちこっち・・・。 沢山いろんな国に住めて・・・ヴァノーも・・・・・・。」 嫌な予感がしまくったのだろう・・・・。 「ヴァノッツァさん!!ペロペロキャンディー、食べます!!?」 「食べる〜食べるぅぅぅぅぅ〜〜〜〜・・・・。」 手っ取り早い手段を使って黙らせるアメリア!! 「リナ〜〜〜・・俺も飴食べたい・・・」 それを見ていたガウリイが・・リナのマントをツンツンと引っ張りながら言う。 「・・・アンタは其処の袋に入ってる喉飴でも舐めてなさい!!」 これ以上厄介なことになる事を避けたいリナはキッパリとガウリイに言い放つ・・。 もうじき国境だと言うのに・・・。 このまま自分が理性を失って切れたら・・・・・・・・・・・・・。 手にもったモノからして・・ついでに言えば自分の行動パターンは分かりきっている! が、そんな気持ちを知ってか知らずか、ガウリイは・・・・・・・。 「いやだ〜〜〜〜!!リナ〜〜〜!!喉飴苦くて不味いよおおお〜〜〜〜〜!! 何か甘いもの食わせて〜〜(はぁと)」 プッツン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 言わずと知れた・・俗に言う『堪忍袋』の緒が切れた音。 手にした獲物は・・・・・・・・『魔槍』ゲイボルグ・・・・・・・。 そして・・・国境は・・もはや目の前・・・・・・・・・・・・・・・・・。 かくして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 「なあ・・リナ・・・・なんで国境で暴れたんだ・・・?」 「・・あんたのせ〜〜でしょ!!あんたのおおおおお!!!!」 テバイの石の牢屋の中・・・・・・・・・・・・・・・・・。 国境警備隊に連行されたリナとガウリイがココにぶち込まれたのは。 切れたリナが見境無しに『魔槍』ゲイボルグを振り回しまくったから・・であった。 ちなみにリナ父達は全員リナとガウリイとは他人のフリをして国境を無事に 通り抜けたのもこれまた皮肉な事実である。 かくして、またまた切れたリナが魔槍を構え・・。 「うわああ〜〜〜!!リナ!!オマエ短気の気があるぞおおお!!ちょっと衝動的すぎね〜〜かあ!!?落ち着け!!頼む!!話せば分かる〜〜〜!!」 「ふふふ・・・成仏してね〜ガウリイちゃん〜〜〜♪」 そんなこんなで騒動がもう暫く続くかと思われたが・・不意にリナが動くを止める。 「・・どした・・?」 自然、顔を庇う体勢になりながら不意に何処へとも無く視線をさ迷わせるリナにガウリイが聞く。 「・・・・妙ねえ・・・・・・・。」 何か・・この地下牢には異様なものを感じる。 無論雰囲気の良好な石造りの地下牢なんぞと言うのもはまったくもって聞いたこと は無い・・・・・・・。 しかし、この違和感はナンだろう・・・? ふっとリナの視線は松明に止まる。赤々と燃える炎・・・。それに『異常』が 認められる筈は・・・あるはずも無いのだが・・・・。 そんな考えを巡らせているうちに不意に足音が地下牢いっぱいに響き・・・・。 高貴な身分である事は疑いの無い・・・一人の女性が姿をあらわす。 「・・・・・・ガウリイ・・・・・・貴方も無事だったのですね・・・・。」 虚ろな瞳・・・ともすればその声には感情を言うものが篭っていないようにすら 感じられてならない。 背筋が凍りつくような感覚に一瞬リナは捕らわれるが・・それはこの女性が発する 気配の為だけではないだろう・・・・・。 しかし、この女性はガウリイの名前を知っていた・・・。 ましてや『無事』と言う言葉が出た事に関しては・・間違っても命を狙う人間では 無いだろう。 ようやっとの事でリナはそう判断し、ガウリイの方を向き直り・・・・・。 「・・・オッタビア・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」 彼の口から出たその名前は・・・・・・。 彼の故国、アモーロの暗殺された皇帝クラウディウスの一人娘にしてガウリイの 異母姉の名前であった・・・・。 「リナさ〜〜〜ん!!無事だったんですか〜〜〜!!」 その部屋・・玉座の間に通された途端、リナに抱きついた来るアメリア!!が・・。 「・・・見捨てたくせに・・その酷い言い方は何かな〜〜?アメリアちゃ〜〜ん・・。」 ジロチ・・と蛙を睨む蛇の如く冷たい視線を差し向けるリナ。 「・・ううう〜〜〜・・お許しをおおお〜〜〜〜・・・。」 「・・まあ・・別に良いけど・・・・・・。」 今はアメリアをからかっている場合ではない、そう判断してリナは部屋の様子を つぶさに観察する事に専念する。 まず一番最初に目に入ったものは・・・あのゼロスの失言を聞いてからやはり思い詰めたような表情をしているハンニバル。 そして・・・・・・・・・・。 「ああ〜〜〜〜!!!ガウリイさま〜〜〜〜!!心配しましたよおおおお!!!」 手を擦り合わせ、ガウリイにそう言ってくるゼロスに当のガウリイは・・・。 「・・・なんだよおお〜〜裏切った癖に!!」 ・・・・・リナと同じような事を言うのだった・・・・・・・。 「如何言う事なのです?姉上?」 控えの間からこの玉座の間に現れた異母姉に対して開口一番、ガウリイはこう問いただす。あまりガウリイとは似たところの無い・・黒髪の小柄な・・それでいて何処か寂しげな緑色の瞳を持った女性である。 「・・何って・・何が・・・・・・・・?」 やはりこの女性の目の視線は何処と無く定まっていない。 「・・・ゲルマニクス・・・兄上との諍いのこと・・・・・・・・・・・。」 真摯な様子のガウリイに・・オッタビアの焦点は一瞬だけ集中し・・・。 だが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 堰を切ったようにクスクスと・・そして・・次第に大声でげたげたと大笑いを始める。 「・・・オッタビア様?」 ガウリイ以外の王族には無関心のゼロスもこの女性のこの行動には驚いたらしい。 大声で名前を叫び、次の言葉を求める。 「・・・馬鹿ね、馬鹿な子ね、ガウリイ!!ポッパイヤにネロ・・・あんな国に今まで住んでいたのよ?それに・・兄上はずるい人だったの・・・。テバイの王位は二人で一年交代でつこうねって約束になったんだけど・・。あの人ね、あたしを追放して王位を取ろうとおもってたのよ。そう。絶対にそう!!だからね・・・くじ引きで先に王位ついたアタシが・・追放したのよ!!ね、すごいでしょ!!」 クスクスクスクス・・・・・・・・・・・・・・・・・。 ひとしきり叫んだ後、やはり可笑しくて仕方が無いと言った様子で大笑いするオッタビア。「・・・狂ってやがる・・・・・・・。」 その様子に辛うじてガウリイはその言葉を紡ぎ出す・・・・・。 「そう・・狂ってるわ。ゲルマニクス兄上は・・。あの人、今まんまと隣国アルゴスのお姫様と結婚して・・テバイに攻め込んでくるつもりなのよ・・。あ〜イヤだイヤだ・・・。」 今まで何とか瞳に宿っていた光が・・再度虚ろと化し、オッタビアの表情も無気力なものと変わった。 しかし、そんな姉にもガウリイは言わずにいられなかったのだろう・・・・。 「・・・なら・・なぜ俺を牢屋から出したんです?姉上・・・。俺だって・・。 貴方の王位を奪うかもしれない・・・・。」 しかし、姉は答えず・・・・・・。 「・・・力なき貴方に何が出来ると言うのです?ガウリイ殿。それに・・・。 今こそアルゴスの軍勢に我らの力を示すときなのですぞ?そなたも『聖剣』エクスキャリバーを用いる者ならば・・・。姉上のご協力をなさっては如何なものですかな? 多少なりとも・・アルゴスの兄上よりかは褒美にありつけるはずですぞ?」 ・・・・・・確か・異母兄と異母姉の叔父にしてテバイの摂政・・・。 クレオンとか言う男だっただろうか? 姪であるオッタビアが何も答えないのを良い事に好き勝手言い放つ。 「・・・お断りする・・・・・・・・。」 そうとだけ言い放ち、ガウリイは無言で廊下に飛び出していった・・・。 「・・・大人気なかったかな・・・・・・・。」 どうやら・・自分が衝動的な性格と言う事は確からしい。 ・・・実際一時的に切れても・・決してガウリイはそれが永続している事は無いのだから。 そう考えるとリナはこんな状況ながら苦笑せずにはいられなかった。 「・・あれは・・絶対に『ニガヨモギ』ね・・・・・・。さもなくば・・・。」 地下牢の中に居たときの違和感が再度蘇ってくる。 多分・・あまり長時間あの場所には居なかったし・・・。 リナ自身もガウリイも『害』は無いと思うのだが・・・・・・・・・・・。 「・・・ニガヨモギ・・・????」 リナの考えが読めず、ガウリイは質問を逆に返してくる。 「・・・精神の錯乱を来たす毒にもなる葉よ・・。それを・・何らかの形で 長期間投与されていたとしたら・・・。他にもジキタリスなんかの可能性もありそうね・・・。昔はあんな人じゃ無かったんでしょ?あんたのおね〜さん・・・。」 「・・・姉上は・・何者かに操られてる・・っと言う事か?」 「・・・確信は持てないけど・・十中八九そうね・・・・・・・。」 それが・・・・何を意味するのかはまったくもって分からないのだが。 恐らくあのスキピオが関与している事も否めない事実である。 そんな考えにリナが支配されていたその時である・・・・・・。 ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンン!!!!! ファンファーレとも、雑音ともつかない進軍ラッパの音!!?? 同時に廊下にアメリアとゼルが駆け込んできて・・・・・・。 「リナさん!!ガウリイさん!!大変です!!オッタビアさんと・・アルゴスの軍勢を率いたゲルマニクスさんが!!!!!!!一騎打ちの勝負をして勝敗を決定するそうです!!」 その言葉に流石にガウリイは固まったように動かなくなるが、それを許すようなリナではない!! 「固まってないで!!ガウリイ!!落ち着いて!!良い?今からアタシが指定するものを直ちに持ってくるのよ!!あんたの剣の力量なら・・陣中を突破して解毒効果の薬草を持ってこれる筈よ!!!」 「分かった!!!」 今は、何よりも姉を正気に戻す・・・・・・。それが先決だった。 ヘリボリ草を僅かにすすり・・・瞳にオッタビアは輝きを取り戻す・・・。 しかし・・・その顔や体は血に塗れ・・・既に息は止まったも同然な状態であった。 「・・・・帰ってきて・・くれたんだな・・・オッタビア・・・・・。」 同じような状態でありながらも妹を気遣うように声をかけるゲルマニクス。 「・・・にいさま・・・・・・・・ガウリイ・・・・・・・・・・・」 ごめんなさい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 聞き取られなかった彼女の言葉・・・・。そして・・ゲルマニクスも・・・・。 「・・・ガウリイ・・・・・・。」 今後の事を恐れてだろう・・・。後ろ髪を引かれる思いは良く分かるが。 その場を離れようとしないガウリイを引き離そうとするゼル。 が・・・・ガウリイは断固として応じない・・・・。 「・・・リナさん・・・・・・・・。」 倫理的に今、自分たちがガウリイにさせようとしている事が残酷な事・・。 そして、許されない事だと言う事はアメリア重々理解しながらも困ったようにリナ の方を仰ぎ見る。 「・・・・アタシが責任は取るわ・・・・・・・・。」 もう少し自分がオッタビアの異変に早く気付けば・・こんな事にはならなかったのかもしれないのだから・・・だ・・・・・・・。 自国の英雄、女丈夫としてオッタビアが壮大な葬列に送られているころ・・・。 王宮では一つの問題が起こったのだ・・・・・・・。 「・・・敵軍の将をこの地に葬ってはならない・・・。私はそう法令を出したはず なのだが・・・・?」 面白く無さそうに控えるガウリイを・・新たに国王となったクレオンは見下ろし、 不遜な口調でこう問い詰める。 「・・・罰したいのなら・・罰するがいい・・・・。」 重く、暗い口調でガウリイは歯向かうような視線をこの新たに即位した国王に向ける。 「無論な事。それに・・其処に居る共犯者たちもな・・・。」 ククク・・と面白そうに微笑みながらクレオンはそう脅迫でもするかのようにリナを顎で指しそう告げる。 「・・・リナは関係ない事だ・・・・・・・・。万が一共犯者が居たとしても・・。 勝手に死ぬ道を選んだのは俺だ・・・・・・・・・・。」 さしものガウリイも・・・今回の事にはかなり自暴自棄になっているフシさえ伺える。 だが・・・・。 「それに・・兄も姉も・・あの世で弟の俺を喜んで迎え入れてくれる事だろう・・・・。」ハッタリとも本当ともつかない一言。 その言葉がクレオンの激怒を誘うのにさして時間は掛からなかった。 「この男を生きながら墓場の石の下に放り込め!!!!」 傷心の度合いが深すぎるのだろうか? そんなガウリイが抵抗する気配が今ひとつ伺えられない。 そう見て取ったリナは手にした『魔槍』、ゲイボルグをイザというときの為に強く握る。 が・・・・・・・・・・・・・・・・。その刹那・・・・・・。 「うが・・・ああああああああああああああああああああ!!!!!!」 玉座の両脇に掲げられた松明がより一層激しく燃え上がった瞬間であった。 悶え、苦しみ、全身をかきむしるクレオン・・・・・・・。 「な・・・・・・・・・・・・・???」 大声をあげようとしたガウリイの口を咄嗟にリナが押さえ込み、アメリアとゼルも リナの視線から気がついたのだろう。 クレオンが苦しみだしたその『元凶』の始末に取り掛かる!! じゅうううううううううううううううううううううううううう・・・・・・・。 僅かに石炭の急激に冷却されたときに発せられる音とタールの匂いが水蒸気に混じって ここまで届く。 アメリアとゼル、そしてガウリイの口を押さえたままのリナもその水蒸気と煙を 出来るだけ吸い込まないように心がける。 「・・なんなんだよ・・・・・・。」 ようやっと・・先程からのクレオンとのやり取りとこの騒動に至るまでの経過に呆然とした様子だったガウリイが我に帰る。 そんな彼の口を押さえつけたままリナは・・・・・。 「・・・あの松明に・・砒素が含まれていたのよ・・・。クレオンの奴がマトモに吸っちゃたらしいけど・・・まあ・・害はあっても命に別状は無いと思うわ・・・・・・・。けど、長時間吸うのは流石に一寸拙いわね。この部屋を出るわ。」 「けど・・・・・・。」 ガウリイにはこのクレオンの行方が気になるらしい。だが・・・・。 「・・・戦死した者たちを葬らない。こんな不条理がまかり通る筈は無いわ・・。 いずれ・・厳しい干渉を受ける事は必至よ。・・多分・・このロクデナシには死ぬより辛い生き地獄が待ってると思うわ・・・・。」 少し遠い目をしながらリナは小声でガウリイにそう説明する・・・。 「・・・けど・・・・・・・・。」 「・・・ガウリイ・・。裁きを死で償わせるのは簡単だけど・・・。生きて償う必要のある人間も居るの・・・。それに・・・・・・・・。」 「・・・・それに・・・・・・・?コイツは裁かれるって事か?」 「・・ええ・・・。それにね・・今回の事件・・・・。」 コレだけ手の込んだ『毒薬』事件が2つも重なったのだ・・・・・・・。 絶対に『裏』で手を引いてる奴が居る。それだけの事だ。 「ふ〜ん・・・・・・。今回は・・割と上首尾だったみたいだけど・・・・・。 よりによって一番の『腑抜け』王子様を取り逃がしてるとはね〜〜〜・・・。」 愉快そうでもあり、また棘を含んだ女の声が宮殿から非難したリナ達の耳に飛び込んでくる。 「・・・ま、あのオッタビアを消したのは褒めてあげるわ。あの女、名目上だけながらネロの妻だったし。これで・・名実ともにアタシがアモーロの正式なお妃になったってモンだわ・・・。」 クスクスと可笑しくて仕方が無い、と言った調子で控える一人の男に笑いかける女。 現、アモーロ皇帝、ネロを誑しこんだ悪女、ポッパイヤ・・・・・・・。 「・・・貴様・・・・・・・・・・・。」 唯でさえナーバスになっているガウリイの神経を逆撫でするようなその発言に、既に 彼は我を忘れ、『聖剣』エクスキャリバーを片手に抜き放って持っている。 リナもここまで言われてスゴスゴと見過ごす気持ちは毛頭持ち合わせていない。 『魔槍』ゲイボルグを握り締め・・構え、ポッパイヤに切りかかろうとしたその時・・。 ビュ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 一陣の風がその間を走りぬけ・・ポッパイヤのすぐ脇・・・・・・・・。 彼女に跪いていた男に向かって切りかかっていく!!!? 目の前に広がる金髪が未だに怒りに打ち震えながらも動いてはいないところから察して。 それはガウリイではなく、ハンニバル・・・そして彼が切りかかって行った相手が スキピオである・・・・・・。 そう察するのには大した時間は必要とはしなかった。 「ハン兄ィ!!!!」 「待て!!!!」 ハンニバルに加勢しようとしたリナを咄嗟の判断でガウリイが静止に掛かる!! 「・・・あの男・・・今更かもしれないが・・・『只者』ではない・・・。」 額に汗を浮かべながらガウリイは辛うじてリナにそう言った・・・。 「そりゃ〜〜まあ・・並大抵の実力じゃあ・・・・」 そうリナが言いかけたのに答えるかのように・・・・・・・・・・。 「・・・何故貴様はここに居る・・・???」 驚愕か・・?それとも焦りか憎しみだろうか????? スキピオとの戦いの手を緩めないでハンニバルは食い入るような瞳でその質問を 投げかけてきた男を凝視する。 「・・何故貴様は俺の前から消えない・・・?その為に・・・・・。」 なおもスキピオはハンニバルに質問を投げかけるが・・・。 「俺も・・『スキピオ』はザマの・・アモーロの勝利の後・・。指揮官の地位を剥奪され・・。軍法裁判にかけられ・・死んだと聞いた!!」 言い放つと同時にスキピオの盾をハンニバルは弾き飛ばす!!! そのどさくさに紛れ、さっさとポッパイヤは姿を消したらしい。 チっとガウリイが舌打ちをするが、追跡をするよりも此方のスキピオとハンニバルの戦いを見届けるほうを先決としたらしい。 ・・・本人に自覚は無いだろうが・・明らかに下僕のフリをしつつも・・この一連の黒幕はポッパイヤではなく・・スキピオなのだからだ。 「・・・ああ・・・。『スキピオ・アフリカヌス』・・・・。兄は貴様とのザマでの戦いの後・・・・。軍法によって処刑された!!しかし・・・・。貴様は・・。『ハンニバル』も同じ年に『自殺』したと聞いている!!貴様は何故ここに居る?俺は・・・・。 その為に・・・・・・・・・。兄『スキピオ』を殺した貴様を・・・・。その為に・・。」 怒りの為に其処から先の言葉をスキピオは紡ぎ出せなかったのだろう・・。 だが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 「『禁断』の力を手に入れた・・のね・・・・。」 異様な雰囲気は毒の松明の為だけではなかったのだろう・・・。 今更ながらそう悟り、改めてリナは背筋に冷たい感覚が走る。 「・・・・・リナ・・どう言う事だ・・・?」 だが、ガウリイの問いかけにリナは答える気分にはなれない・・・・・。 その代わり、ありったけの大声を出す。 「もう良いよ!!『マゴーネ兄ィ!!』アンタは・・ハン兄ィじゃない!! もう・・無理はしないで!!!!!」 「・・・・マゴーネ・・・・・・・・・?????」 ハンニバルは・・とっくに自殺した・・・。しかし・・・。 彼の末弟のマゴーネが・・・自らの意思で『ハンニバル』の名前を継いだのだ・・・。 それなのに・・『半人前』だのなんだのと・・・・・・・・・・・・・・・。 今更ながらリナは自分の残酷さを痛感する。 だが・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 「リナ!!俺は自分で決めたことを覆したしたくない!!それに・・・。コイツもやり方こそ違えども!!!」 ガウイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!! 激しく剣と剣がぶつかり合い・・・・。 不利、と判断したのだろう・・。何時もと同様、闇の中に消え去っていくスキピオ。 其処には疲れ切ったマゴーネのみが残された・・・・・・・。 「なあ・・。リナ・・・。」 ボ〜〜っと空を眺めるリナにガウリイが声をかける。 「ん・・・なに?お馬鹿なこと聞いたらビンタよ・・・?」 さしものリナも今回の事には一寸疲れていた。 「・・・・俺も・・もうアモーロのことは考えない事にした・・・・。じゃあな・・・。」吹っ切れたように笑うガウリイ。 今回の事も、彼にとっては無駄な事ではなかったのかも知れない・・・・。 皮肉か、それとも運命か・・・・。 そんな事を考え久々にリナは錆付いた笑いを浮かべるのだった。 マゴーネ兄ィが無理にハンニバルと名乗った。そのときと同じように・・・。 (続きます) |
13230 | ちょいと小話(笑) | P.I E-mail | 1/20-17:32 |
記事番号13221へのコメント CANARUさん、こんばんは!センター入試当日、雪ばんばん降ってますよ〜! ま、それは置いといて(笑) 「下水道って偉い」のヴァノー姉ちゃんの発言で、昔聞いた小話をふと思い出して しまいました〜。これをヴァノーちゃん変換すると・・・・ ある男が下水道の側を通りかかると、その傍らで一人の美人がなにやら嬉しそうに呟いていました。 「に〜じゅ〜い〜ち♪ に〜じゅ〜い〜ち♪」 不審に思った男は彼女に声を掛けました。 「もしもしお嬢さん、なにを数えているんだね?」 娘は振り返ってニッコリ微笑み、おもむろに男の背中をどげしっ!と突き飛ばしました。 「あ〜〜れ〜〜っ!!」 下水道に転げ落ちる男。流れてゆくその姿を目で追いながら、娘はまた嬉しそうに呟きました。 「に〜じゅ〜にぃ〜♪ に〜じゅ〜にぃ〜♪」 ・・・・おそまつ!(^^;) ハン兄ちゃんとスキピオくんには、どっちも兄弟にまつわる因縁があったのですね〜! そんじゃ次はいよいよガウりんの出生の謎が明らかになるのかっ!? 楽しみに続きを待ってます〜♪ それではまた!! |
13243 | ナイスです〜!! | CANARU | 1/21-10:38 |
記事番号13230へのコメント >CANARUさん、こんばんは!センター入試当日、雪ばんばん降ってますよ〜! はい〜〜!! 昨日は富士山のある御殿場大雪でした〜〜!! ちなみにS市はミゾレでした!! ううう・・夏なら雹(爆笑)だっただろうになあ〜〜〜!! >ま、それは置いといて(笑) >「下水道って偉い」のヴァノー姉ちゃんの発言で、昔聞いた小話をふと思い出して >しまいました〜。これをヴァノーちゃん変換すると・・・・ おお!! ヴァノーさん変換!!う〜〜ん・・・。 あのね〜ちゃんなら色々「やらかして」くれそうですしねえ〜〜! >ある男が下水道の側を通りかかると、その傍らで一人の美人がなにやら嬉しそうに呟いていました。 > 「に〜じゅ〜い〜ち♪ に〜じゅ〜い〜ち♪」 ううう・・・。 この辺りから既にいやな予感が漂ってる所がツボです〜〜!! >不審に思った男は彼女に声を掛けました。 > 「もしもしお嬢さん、なにを数えているんだね?」 >娘は振り返ってニッコリ微笑み、おもむろに男の背中をどげしっ!と突き飛ばしました。 ああ〜〜!! やっぱり!!美人なのに何やるか本当にわからないですうう!! ヴァノーさん!! > 「あ〜〜れ〜〜っ!!」 >下水道に転げ落ちる男。流れてゆくその姿を目で追いながら、娘はまた嬉しそうに呟きました。 > 「に〜じゅ〜にぃ〜♪ に〜じゅ〜にぃ〜♪」 > >・・・・おそまつ!(^^;) いえいえ〜〜!! パソコンの前で大笑いさせていただきました!! ・・・そして・・その男はゼロスくんなのですねえ・・・・。 ちなみにこの下水道・・アタシとと、ある人の会話で思いついた 話なんですよ〜〜!! ううう・・かなりヴァノーさんと同族とかしてます!! >ハン兄ちゃんとスキピオくんには、どっちも兄弟にまつわる因縁があったのですね〜! >そんじゃ次はいよいよガウりんの出生の謎が明らかになるのかっ!? はい〜〜!! その辺りを次回は書いてみますね〜〜!! ハンニバル(マゴーネ)&スキピオ(弟)も実在だったらしいですし・・・。 ふっと思いついた次第です〜〜!! 今度はガウリイが主役になるように頑張りたいでっす!! >楽しみに続きを待ってます〜♪ >それではまた!! では〜〜!! |