◆−16小節のLOVE SONG−中田 珂南(2/5-02:10)No.13465 ┣あ、もしかして…−みてい(2/5-09:57)No.13468 ┃┗Re:あ、もしかして…−中田 珂南(2/10-00:03)No.13546 ┣初めましてっ!−あごん(2/5-20:09)No.13471 ┃┗Re:初めましてっ!−中田 珂南(2/10-00:11)No.13547 ┗私もやってみたかった・・・・・−ゆえ(2/8-00:01)No.13509 ┗Re:私もやってみたかった・・・・・−中田 珂南(2/10-00:23)No.13549 ┗ちょいと老婆心−ゆえ(2/10-01:12)No.13553
13465 | 16小節のLOVE SONG | 中田 珂南 E-mail URL | 2/5-02:10 |
久々の投稿です。しかも、本当に久々のガウリナです(笑) タイトルや文中の「手紙」の元ネタが分かる方、密かに笑って下さい。。。 :::::::::::::::::::::::::::: 「16小節のLOVE SONG」 ある小春日和の昼下がり。 あたし宛に、一通の手紙が来た。 差出人の名は、リナ=インバース。 あたしが、あたし自身に宛てて送ったものだった。 確か昔、故郷で『未来の自分に手紙を書こう』という企画みたいなもんがあって。 まだ子供だったあたしも、面白半分で書いたような覚えがある。 書かれた手紙は全て、王宮の専用保管庫でちゃんと保管して、15年後に届けることになっていたのだ。 ……ということは、もしかして。 この企画を立てたのは、ゼフィーリアの女王陛下自身だったんだろーか? 「……へえ、ちゃんと届いたんだ……」 古びた封筒は、ピンクの可愛らしい花柄模様で。表に書かれた宛名の文字も、一応丁寧に書いたつもりなんだろうが、どことなく稚拙でたどたどしい。 今のあたしとは全く違う、如何にも女の子らしい趣味に、思わず苦笑いなんかしながら。 あたしは適当に腰掛けると、そっと封を切り、中に入っていた手紙を広げた。 手紙は、こんな出だしで始まっていた。 『未来のリナ=インバース様。お元気でしょうか? もっとも、あたしのことだから。元気でないはずないだろうけど』 もっともらしい書き出しに、思わず噴き出しそうになりながら。 あたしは更に、続きの文章へと目を移す。 『あたしの究極の目標は、姉ちゃんと勝負して勝つこと……と思ったけど。 あたしが強くなっても、姉ちゃんは更に強くなってるだろうから、 大人になっても、やっぱり勝てないんだろうな。 だから「姉ちゃんに勝てた?」という質問は、虚しくなるので止めておく』 既に勝負を諦めている辺り、かなり先見の明を持っていたのだと誉めてやりたい。 確かに。大人になった今でも、あたしは一度も姉ちゃんに勝てた試しはないのだ。 しかし、子供のくせに生意気なことを……あたし自身が書いたんだけど。 『で。あたしの夢は、立派な魔道士になって、世界中を旅すること。 素敵な王子様かお金持ちと出会って、しっかり玉の輿に乗ること。 もしくは大きな研究成果を出して、誰からも認められる人になること。 未来のあたしは、どこまで夢を叶えていますか?』 便箋にはびっしりと、未来の夢が書き連ねられていて。 当時のあたしが思っていたこと、夢見ていたことが手に取るようによく分かった。 そういえば。どうしても魔道士になりたくて、父ちゃんや母ちゃんに一生懸命ねだって、姉ちゃんにも一緒に頼んでもらって。 魔法を習いに魔道士協会に通い始めたのも、ちょうどこの頃だったっけ。 魔法の持つ力の意味なんて、全然分かっていなくって。 ただ「いろんなことを知りたい、もっと強くなりたい」の一心で、魔道の勉強を続けていた。 勿論、そのこと自体は間違いではないけれど。 魔法を通じて世界を知り、いろんな目にも遭った今では。 そんな夢を語ることそのものが、如何にも子供だなぁ、とも思う。 もっとも。そんな小さな頃から、全てを知っていたりしたら。 夢も希望も持てなくなって、人生そのものもつまらなくなってただろうけど。 自分がやりたいこと、なりたいことを求めるのが子供。 自分がやれること、なれるものを見つけようと探すのが大人。 ……そんな言葉を、いつか何処かで聞いたような記憶がある。 聞いたその瞬間には『何を馬鹿な』と思ったりもしたのだが。 今なら分かる。人が子供から大人になる間には、いろいろなことを覚えたり捨てたりするのだと。 知識を得ることは、ある意味では限界を知ることにも似ていて。 力を得るということは、同じだけの責任を負うことと同義でもある。 何も知らなかった子供の頃には、どんな夢でも理想でも描けたけど。 現実には出来ないことも多くて。諦めることや、妥協することも多くて。 どんな夢でも描けたあの頃が、少し羨ましくもある。 だけど。 『どこまで夢を叶えてるのか、今のあたしには勿論分からないけど。 幸せには、なってるよね?』 この一文には、あたしはこう答えたい。 「勿論よ」と。 残念ながら、玉の輿には乗らなかったけど。 それなりの研究成果はあるけど、全然人前に出してないから。世間から「立派だ」と誉められることも、殆どないけど。 それでも。大切な仲間や友人を得ることも出来たし、大切な人と巡り逢ったりもした。 平穏とは程遠いかも知れないけど。なかなか波乱万丈な人生送ってるけど。 泣いたり怒ったり笑ったりしながら、充実した毎日を過ごしているもの。 子供の頃の夢や希望を諦めるのは、なかなか辛いことでもあるけれど。 それ以上に素敵な現実を見つけられたなら、それはそれで素晴らしいと思うから。 幸福なことだと、信じているから。 と、その時。 「おーい、リナ。何してるんだ?」 現実が……もといガウリイが、突然部屋に入ってきた。 こんなとこを見られたくなくて、あたしが慌てて手紙を隠すと。彼は心底不思議そうな顔をして、 「ん?今、何か隠したりしなかったか?」 「気のせいでしょ、気のせい」 あたしが笑って誤魔化しても、どうも納得してはいないようで。彼はしきりに首をかしげる。 が。それ以上追求することもなく、いつものように明るく笑って、 「そろそろ、メシにしないか? 久々に思いきり身体動かしたせいか、腹減ってさぁ……」 「はいはい。じゃ、急いで支度するわよ」 急いで立ち上がろうとすると、ガウリイが血相を変えてあたしを止めて、 「お、おいおい。そんな急に動いたりすると、身体に悪いんじゃないのか!? 無理しなくてもいいぞ。メシの準備くらい、オレにだって出来るんだからな」 「そんな、重病人じゃあるまいし……」 「いや、大事な身体だってのは変わらないだろ。 無理して後で何かあったら、悔やんでも悔やみ切れないじゃないか」 心配を絵に描いたような表情をして、ガウリイは懸命にあたしを止める。 そして。 「ここにもう一人、人間が生きてるんだからな。 どんなに大事にしても、し過ぎるってことはないだろ」 幸せそうに目を細めながら。 最近目立ち始めたあたしのお腹を、その手で心底愛しげに撫でた。 そう。 今のあたしは、子供の頃に夢見た「玉の輿」には乗らなかったけど。 大切な人とめぐり逢い、二人で新しい家庭を築いている。 そして。冬が過ぎて春が来る頃には、家族が増えることになっているのだ。 男の子か女の子かは分からないけど、あたしとガウリイの血を引いた子供が。 あたしの中に居る新しい命は、どんな夢を見るのだろう。 あの頃のあたしのように、沢山の夢を胸に抱いて。沢山の悲しみや喜びを知って。 時には頭を打ちながら、懸命に生きていくのだろうか。 久々に、手紙でも書こうかな。勿論ガウリイには内緒で。 宛先に書くべき名前は、まだないけれど。生まれてきてもいないけど。 今のあたしから、未来の我が子へ。ありったけの愛を込めて。 「……出だしは、どう書こうかな。 やっぱ、『お元気ですか?』と書くべきなのかな……?」 少し的外れな悩みを抱えつつ、あたしは未来へと思いをはせる。 その横でガウリイが、やはり怪訝な顔をしているけれど。今は教えないことにしよう。 やっぱり、照れくさいし。 手紙を受け取るこの子が、喜んでくれますように。 そんなことを、心の底から祈りながら。 取り敢えず夕食の支度に取り掛かるべく、あたしは椅子から立ち上がった。 ― The End ― |
13468 | あ、もしかして… | みてい | 2/5-09:57 |
記事番号13465へのコメント 珂南さん、はじめまして。みていといいます。 いいですね。リナ、幸せになってますv 昔の思い出を彷彿とさせるものが出てくるとなんとも気恥ずかしいのですが(掃除できるエリアが限られてくる)、 それでもやっぱ、いいですね。 ガウリイのことだから、リナが呆れそうなほど過保護にするのでしょうか? では、お邪魔しました。みていでした。 更なるお話、期待してます。 |
13546 | Re:あ、もしかして… | 中田 珂南 E-mail URL | 2/10-00:03 |
記事番号13468へのコメント はじめまして。レス遅くなってすみません(汗) 「もしかして…」とは。もしかして、タイトル等の元ネタ……お分かりになられたのでしょうか? あっはっはっはιきっと御想像が正解だと思います(汗笑) >いいですね。リナ、幸せになってますv >昔の思い出を彷彿とさせるものが出てくるとなんとも気恥ずかしいのですが(掃除できるエリアが限られてくる)、 >それでもやっぱ、いいですね。 昔の思い出って、確かに気恥ずかしいもんですよね。。。 「何で当時の私って、こんなんだったんだろう?」と首を傾げることも多くて。 とはいえ、私はこの数年間に頻繁に引越ししちゃって、その度にいろいろ捨ててるんでι 「昔のものを見て懐かしむ」ということは殆どないので、少し寂しかったり……。 >ガウリイのことだから、リナが呆れそうなほど過保護にするのでしょうか? ガウリイですから(笑) きっと子供が生まれたら、リナも呆れるほどの親ばかになりそーですね。 勿論奥さんであるリナも大切にするし。理想の旦那像じゃないでしょうか(笑) 御感想、本当にありがとうございました。 |
13471 | 初めましてっ! | あごん E-mail | 2/5-20:09 |
記事番号13465へのコメント 初めまして、こんばんは! あごんと云う者です!! 中田様の御作品は著者別にて全て読まさせて頂いております!! 中田様の新作が読めるなんて!! すごい嬉しいですぅっ!! しかもガウリナ!! それもほのぼの!! さり気にらぶらぶ!! とっても良かったです! リナがリナらしく、ガウリイがガイリイらしい! 中田様の文章がすごい好きなんです! 引き込まれるというのか、長編でもそうとは感じさせないさらりとした読感で、ああ、もう終わりなのかぁ、という気持ちにさせられてしまいます! この話も本当に素敵で。 また是非素敵なガウリナを読まさせてやって下さい!! ではでは、あごんでした!! |
13547 | Re:初めましてっ! | 中田 珂南 E-mail URL | 2/10-00:11 |
記事番号13471へのコメント 初めまして。レスが遅くなって申し訳ありませんです(激汗) 最近はこちらに殆ど投稿していなかったので、私の文章を知っている方も、もうそんなにいらっしゃらないと思ってたのですが……。 著者別リストでチェックされていたとは。。。嬉しいやら恥ずかしいやら。。。 >とっても良かったです! >リナがリナらしく、ガウリイがガイリイらしい! >中田様の文章がすごい好きなんです! >引き込まれるというのか、長編でもそうとは感じさせないさらりとした読感で、ああ、もう終わりなのかぁ、という気持ちにさせられてしまいます! >この話も本当に素敵で。 ありがとうございます。 内容がいつも無意味に重かったり説教臭かったりするんで(こら)、文章そのものは「さらりと読み流せるもの」になるよう、普段から果てしなくこだわっていますので(笑) そうおっしゃって頂けると、本当に嬉しいです。励みになります。 >また是非素敵なガウリナを読まさせてやって下さい!! ち、遅筆ではありますが。。。頑張って書きます。 これからも宜しくお願いしますね。御感想、本当にありがとうございました。 |
13509 | 私もやってみたかった・・・・・ | ゆえ | 2/8-00:01 |
記事番号13465へのコメント こんにちは。はじめまして、ゆえともうします。 手紙の元ネタといいますか、これってあの、20世紀から21世紀に宛てた、つくば博のカプセル郵便ですね♪(正式名称不明・・・・・) ニュースなどで知ってから、もらった人達がちょっぴし羨ましかったりします。 さてさて、そんなことをゼフィーリアはやっていたんですねぇ。 なかなかにして、大した女王さまです。 リナが受け取った手紙は、とても彼女らしい内容でした。 どんどこ夢にあふれた手紙に、ちょっと照れたようにして読む今のリナがまた可愛い♪ しかも読んでいる時には、お腹まで大きいなんて。 幸せ全開です〜〜♪ リナは今度は手紙になんて書くのでしょうね。 それと、これがガウリイの場合だったら、どんな手紙になるのかなぁと・・・・・・・・いや、リクエストとかじゃぁないんですが・・・・・・・・ ちょこっと読んで見たいのも事実(ずうずうしいっ!) すてきなお話でした♪ 次作も楽しみにしています♪ |
13549 | Re:私もやってみたかった・・・・・ | 中田 珂南 E-mail URL | 2/10-00:23 |
記事番号13509へのコメント はじめまして。御感想、ありがとうございます。 >手紙の元ネタといいますか、これってあの、20世紀から21世紀に宛てた、つくば博のカプセル郵便ですね♪(正式名称不明・・・・・) >ニュースなどで知ってから、もらった人達がちょっぴし羨ましかったりします。 御名答(笑)その通り、某つくば博のタイムカプセル郵便です。 当時小学校高学年だった私も、夢を描きながら(笑)手紙を書いた一人でした。 もっとも。この16年の間に何度も引越しした上に、転居届(配達する直前に、「引っ越した方は申し出て下さい」という呼びかけがあったのです)を出し忘れてしまったのでι 当時と同じ住所な友人宛ての分は、ちゃんと届いたのに。自分自身には手紙は届かなくて、今も行方不明のままです(泣) >リナが受け取った手紙は、とても彼女らしい内容でした。 >どんどこ夢にあふれた手紙に、ちょっと照れたようにして読む今のリナがまた可愛い♪ >しかも読んでいる時には、お腹まで大きいなんて。 >幸せ全開です〜〜♪ 子供の頃の夢って、きっと今見たら凄く恥ずかしいもんなんでしょうね。。。 でも夢と現実が食い違ってても、幸福ならそれでよしっ!てなことで(笑) >リナは今度は手紙になんて書くのでしょうね。 >それと、これがガウリイの場合だったら、どんな手紙になるのかなぁと・・・・・・・・いや、リクエストとかじゃぁないんですが・・・・・・・・ >ちょこっと読んで見たいのも事実(ずうずうしいっ!) 今度の手紙……どうでしょうι今のところ、全然考えてないですι でもきっとリナのことだから、照れながらも愛情あふれたものになるんではないかと。そんな気がします。 「続きは貴方の心の中で……(某ゲームのEDのまね)」では、だめですか?(ぉ 御感想、本当にありがとうございました。 |
13553 | ちょいと老婆心 | ゆえ | 2/10-01:12 |
記事番号13549へのコメント ども。ゆえです♪ ちょいとお節介かなーとも思いつつ・・・・・・・ >もっとも。この16年の間に何度も引越しした上に、転居届(配達する直前に、「引っ越した方は申し出て下さい」という呼びかけがあったのです)を出し忘れてしまったのでι >当時と同じ住所な友人宛ての分は、ちゃんと届いたのに。自分自身には手紙は届かなくて、今も行方不明のままです(泣) これはちゃんと郵政局が保管してますので、住所変更の届け出をすれば今の住所にとどけてくれますよ。 普通の転居届は1年間のみしか有効ではないので・・・・・・ 詳しくは最寄りの郵便局か、こちら http://www.yusei.go.jp/pressrelease/japanese/yubin/001214j202.html で、ごらんになってから手続きをして、是非お受け取りください♪ >子供の頃の夢って、きっと今見たら凄く恥ずかしいもんなんでしょうね。。。 >でも夢と現実が食い違ってても、幸福ならそれでよしっ!てなことで(笑) そうなんですよね・・・自分もタイムカプセルで小学生の時の手紙よんで、鳥肌たつほど笑いました(笑) >今度の手紙……どうでしょうι今のところ、全然考えてないですι >でもきっとリナのことだから、照れながらも愛情あふれたものになるんではないかと。そんな気がします。 >「続きは貴方の心の中で……(某ゲームのEDのまね)」では、だめですか?(ぉ うううっ・・・・そうきましたか〜。心の中で考えて・・・・・ぱた(←甘甘で毒気を抜かれたらしい) 以上、失礼しましたっ! |