◆−金と銀の女神番外2−神無月遊芽(3/5-21:27)No.14075 ┣早速ですが(笑)−あごん(3/10-22:05)No.14189 ┃┗ありがとうございます−神無月遊芽(3/11-18:56)No.14210 ┣ども。−みてい(3/10-23:56)No.14196 ┃┗初めまして−神無月遊芽(3/11-19:05)No.14211 ┣ほっとしました−砂緒(3/12-23:17)NEWNo.14239 ┃┗お騒がせしました。−神無月遊芽(3/13-17:34)NEWNo.14243 ┗金と銀の女神17−神無月遊芽(3/13-17:41)NEWNo.14244 ┗あああああクロスが(泣)!−あごん(3/13-23:42)NEWNo.14255 ┗とりあえず作法を(笑)−神無月遊芽(3/14-20:36)NEWNo.14276
14075 | 金と銀の女神番外2 | 神無月遊芽 E-mail URL | 3/5-21:27 |
こんばんは。あう〜…日曜に間に合わなかった…。 そのうえまた番外編(爆) 許して〜。 **************************************** 金と銀の女神 〜世界が始まるとき〜 第二部番外編 剣と月 あの頃を思い出すなら、冷たい廊下と無機質な大人達しか思い出せない。 ここは一体どこにあるのか。窓の外を見てもどこまでも続く草原しか無くて。 空は灰色で…ううん。目の中に入るもの全て灰色だった。 変わらない景色。変わらない現実。 いるのは私と同じかそれ以下の、小さな子供達しかいなくて。闘うなんてことも出来なくて。 それでも逃げ出そうと思ったのは、何故だったのだろうか。 偶然、魔力検査とかいうものをされている時に、部屋の外で見張り達が「壁が崩れて穴が開いている」という噂をしていて。外に出ないなら出歩いてもよかったからそれを見に行ったんだ。 同じ噂を聞いた子供達は、誰も行かなかったけれど。行く気力もなかったけれど。 でも、皆が出歩かないのもわかる。 部屋の外に出れば、そこは冷たい廊下。皆の鳴き声が反響して、こっちが滅入ってしまいそう。 いつまでも続く泣き声。でも時々見かける見張りの人は顔色一つ変えずに自分を見つめていた。 だから、監視の視線を感じたくなくて。泣き声も聞きたくなくて、走り抜けた。 そこには小さな穴があった。でも、無理すれば子供は通れそうな程の大きさだった。 端っこの部屋だったから、壁の向こうがまた部屋でないことも解った。 その時思った。逃げ出せるかもしれないって。 私は周りに人がいないことを確認して逃げ出した。 見張りが噂をしていたということは、今日中にも修理されてしまうかもしれない。逃げ出すチャンスは今しかないのだから。 裸足で、かたい地面を必死に走った。 草原だから隠れるところもない。もし見回りでもされたら一発で見つかってしまう。 見張りがどれだけの時間ごとに見回りをするかは頭に入っていた。 だからその時間が来る前に見えない場所へ逃げなくては―!! 気が付いたら、知らない場所で眠っていた。 どうやら逃げ切れたのだろう。きっと必死に走っているうちに眠ってしまったに違いない。 どんなに目を凝らしても、研究所は見つからない。 でも代わりにあったものは、知らない、知りもしない荒野―。 何も無かった。研究所どころか、街も人も、植物さえもなくて。 研究所では質素な服しか与えられなかったので、寒さが身に染みる。 「……お腹減った…」 ふらりと立ち上がると、ふと足に痛みを感じた。 見てみると足は傷だらけで、足の裏は真っ赤に腫れていた。 一歩歩く事に激痛が走る。 それでも、それでも、まるで何かを求めるように私は歩いた。 何度も倒れそうになったけど、必死に堪えた。 一度倒れてしまったら、もう二度と起き上がる事が出来なそうで。 でも、倒れてしまった。 足が痛い。お腹減ったし、喉はからから。 もう、眠いよ…。 その時、目の前に足があった。 うつ伏せになっていた身体をひねり、上を見上げる。 『よう、行き倒れか?』 汚い目だった。 自分が生きるためなら何も厭わない。そんな瞳。 そう。親もおらず、家も無く。自分の身一つで生きる少年達。 『ちっ…何も持ってねえな……。まあ、殺せば食料の足しになるか?』 さーっと、血の気が引いた。 人肉を食うつもりなのか?この少年は。 冗談に、決まっている。そう、冗談に…。 『さあて、狩りの時間と行くかー』 ナイフを片手に持って、私の顎を掴む。 『まあ痛いようにはしねえよ。一瞬で終わる』 ……狂ってる。 その少年の、明らかに殺人に歓びを覚えている表情を見て、私は思わずともその言葉が浮かぶ。 『あばよ』 かっと振り上げたナイフが、太陽を飲み込んだ。 その光景が、妙に目に焼きつく。 時が、止まった。 絶対、生き延びてやる!! 「ああああああああああああああああああああああ!!」 気が付けば、少年の亡骸が転がっていた。 私の魔力が、私の身体の中で息づいた瞬間だったと思う。 そして私の中に残っていた感情は、罪悪感ではなく、ただ、生き延びる事だけ―。 人を殺して、身包みを剥いで。 野党と同じ生活をしてた。ううん、人を殺す分、何とも思わなかった分、もっとひどかったのかもしれない。 でも、そうしなきゃ生きていけなかった。 お金もなくて。私に手を差し伸べてくれる人もいなくて。 こうしなければ生きていけなかった! 何も思わず、ただ、生きてた。 生きる事だけが望み。どんなに誰かを不幸に追いやっても、自分は生きて―…。 その時、彼に会ったんだ。 「…俺と一緒に来るか?」 差し伸べられる手。 私を許してくれるの?優しくしてくれるの? 「…ぅ……」 今まで出なかった涙が、その瞬間に流れ出した。 私の手は、彼の手を握り締めていた。 「お前の名は…?」 無かった。名前なんて無かったの。 家族を殺された瞬間に、私の名前は意味をなさなくなっていたから。 そうして首を振ると、青年は少し考え込んだ。 「そうだな…ルナ、なんてどうだ? ”月”の意味を持つ」 「…え?」 青年の言ったことの意味が解らなくて、思わず聞き返す。 「…気に入らないか?」 「……ううん」 青年はふっと微笑むと、自分の名を告げた。 「……俺の名はソード。ルナ、俺と”生きよう”」 その時初めて解ったの。生きることの意味。 生きるために生きるんじゃなくて…。そんなのじゃなくて…。 「ありがとう。ソード」 私、やっと生きるということを知った気がする。 |
14189 | 早速ですが(笑) | あごん E-mail | 3/10-22:05 |
記事番号14075へのコメント こんばんは〜。あごんとゆー者です! 金銀(略してもいいでしょうか?)の番外2!読みました! うぅみゅ。ルナちゃんは本名では無かったのですね。 でも、ソードが付けてくれた名前だから、今ではこれが本名なのですよね。 生き抜くっていうのは難しい事ですよね。 実は、今書いている連載にて「生きる」についてを掘り下げてみようかと思案しております。 ちょっと神無月様と似ているかも、です(爆)。 ソードとルナちゃんがパーティーから外れませんように(笑)。 だって、クロスも外れる予定なんですよね、確か。 うぅ。クロスも結構お気に入りだったりするあごんでした! ではでは! 続きを楽しみにしております! |
14210 | ありがとうございます | 神無月遊芽 E-mail URL | 3/11-18:56 |
記事番号14189へのコメント >こんばんは〜。あごんとゆー者です! >金銀(略してもいいでしょうか?)の番外2!読みました! こんばんは、なんだか感想をせかしてしまったみたいで申し訳ありません。 ちなみに、金銀と略してくださって結構ですよ。私もそうしてますから(笑) >うぅみゅ。ルナちゃんは本名では無かったのですね。 >でも、ソードが付けてくれた名前だから、今ではこれが本名なのですよね。 そうですね。実を言うと本名の方は考えてなかったりするのですが(笑) >生き抜くっていうのは難しい事ですよね。 >実は、今書いている連載にて「生きる」についてを掘り下げてみようかと思案しております。 >ちょっと神無月様と似ているかも、です(爆)。 大丈夫です。似ないと思いますし(爆) 生きるって難しいですよね。その行為も、理解する事も。 >ソードとルナちゃんがパーティーから外れませんように(笑)。 >だって、クロスも外れる予定なんですよね、確か。 >うぅ。クロスも結構お気に入りだったりするあごんでした! ああ、そうだったんですか(笑)クロスお気に入りの方がいらっしゃるとは(爆) 大丈夫です、エンディングは皆出しますから。 ソードとルナは一応最後までついていく予定です。 >ではでは! >続きを楽しみにしております! ありがとうございます。 頑張って、最後まで書きたいと思います。 それでは。 神無月遊芽 |
14196 | ども。 | みてい | 3/10-23:56 |
記事番号14075へのコメント ども。書き込み順としては上の方が先なのですが、こちらを先に見られるかもしれないのではじめまして、みていと申します。 ソードがかっこええなぁと思ったのが第一印象、ルナ(月)かぁといろいろ思ったのが第二印象です。 『生きる』ってのは根本で同じなんでしょうけど感じ方は違うとみていは思ってます。難しいっす。 みていはゼロリナはちょっと苦手なので(読むこともある)こちらの小説を読ませていただいてました。 これまでにコメントをつけてませんでしたが、話がある程度見えてから感想とかつけたい性格してるので…(己のツリーには毎回欲しいかもと思う我侭者)。 今、自分の方が一区切りついたのであちこち回らせてもらってます。一度寄るとみていしつこいですよ♪(謎) ではでは、また寄らせてください。みていでした。 |
14211 | 初めまして | 神無月遊芽 E-mail URL | 3/11-19:05 |
記事番号14196へのコメント >ども。書き込み順としては上の方が先なのですが、こちらを先に見られるかもしれないのではじめまして、みていと申します。 初めまして。神無月です。 上のツリーでは、ありがとうございました。 >ソードがかっこええなぁと思ったのが第一印象、ルナ(月)かぁといろいろ思ったのが第二印象です。 >『生きる』ってのは根本で同じなんでしょうけど感じ方は違うとみていは思ってます。難しいっす。 そうですね。感じ方は皆違うと思います。 ですから、金銀(略称)は、私の感じていることを書いている作品なので、皆様がそれを見てどう感じるかというのがとっても気になるんですよ。 みてい様に感想を頂けて、とっても嬉しいです。 >みていはゼロリナはちょっと苦手なので(読むこともある)こちらの小説を読ませていただいてました。 そうなのですか、オリジナル小説だけでも読んでいただけて嬉しいです。 >これまでにコメントをつけてませんでしたが、話がある程度見えてから感想とかつけたい性格してるので…(己のツリーには毎回欲しいかもと思う我侭者)。 >今、自分の方が一区切りついたのであちこち回らせてもらってます。一度寄るとみていしつこいですよ♪(謎) 私は最近皆様の小説を読むこと自体無くなってきてしまって…。 しつこいのですか。では是非また寄って下さいね(笑) 感想は一言でもいいです(爆) >ではでは、また寄らせてください。みていでした。 はい、みてい様がよろしければ、是非また立ち寄ってくださいませ。 それでは。 神無月遊芽 |
14239 | ほっとしました | 砂緒 E-mail | 3/12-23:17 |
記事番号14075へのコメント はじめまして、砂緒と申します。 上のツリー読んで、あわててレスしました。 というのも、わたしも『金と銀の女神』読んでたからなんですが・・・・・・。 ともかく、続けるということで、ほっとしています! 頑張ってくださいね。 『ルナ』ってソードがつけた名前だったんですね〜。 どきどきしながら読みました。 ソードってかっこいいですね・・・・・・手を差し伸べられたら絶対ついていきますよ、わたし。(←そういう問題じゃないだろ) キャラの中では、わたしはサリラが好きです。理由はないけど。 でも、もう出番なさそうですね(笑) それでは、短いですが。 砂緒でした♪ |
14243 | お騒がせしました。 | 神無月遊芽 E-mail URL | 3/13-17:34 |
記事番号14239へのコメント >はじめまして、砂緒と申します。 > >上のツリー読んで、あわててレスしました。 >というのも、わたしも『金と銀の女神』読んでたからなんですが・・・・・・。 >ともかく、続けるということで、ほっとしています! >頑張ってくださいね。 はじめまして、神無月です。 本当、お騒がせしてしまって申し訳ありませんm(_ _)m 今は、とりあえず最後まで書き上げるつもりでいます。 >『ルナ』ってソードがつけた名前だったんですね〜。 >どきどきしながら読みました。 >ソードってかっこいいですね・・・・・・手を差し伸べられたら絶対ついていきますよ、わたし。(←そういう問題じゃないだろ) なるほど、砂緒さんはソードがタイプですか(笑) 私は…レイラとか(同性(爆)) かっこいいと言って頂けて嬉しいです。 >キャラの中では、わたしはサリラが好きです。理由はないけど。 >でも、もう出番なさそうですね(笑) きっとないです(笑) 意外にサリラ人気なんですねえ…。 >それでは、短いですが。 >砂緒でした♪ はい、よろしければ最後までお付き合いくださいませ。 それでは。 神無月遊芽 |
14244 | 金と銀の女神17 | 神無月遊芽 E-mail URL | 3/13-17:41 |
記事番号14075へのコメント こんにちは、神無月です。 お騒がせしました。金と銀の女神です! いやもう本当、皆様に1万回くらいお礼を言いたいです。 時々でいいですので、顔を出してやってくださいね。 しかし…ツリーの位置が微妙だなあ…。 *************************************** 金と銀の女神 〜世界が始まるとき〜 17章 自分の道を gold この世で最も恐ろしいもの それは 自らの心 それと向き合った時 自分に 心の傷に勝ち それから目を反らした時 自らに負ける 「さて。ナーサ国へレッツゴー!!」 ルナの高い声が、青空に染み渡る。 目の前には巨大な船が存在していた。 「本当にこれに乗るのか?ルナ」 不安げに聞くセリオスに、船に乗りかけていたルナは振り返りながら話す。 「当たり前じゃない!この島を救った勇者様なんだから」 実はあの魔族を倒した後、セリオス達は島の人々に大変なもてなしを受け、その上ナーサ国へ連絡を取り迎えを呼んでくれたのだ。 さすがにそこまでしてもらうのは気が引けたが、クロスの図々しさとルナ、ソードのすすめに結局この船に乗ることになった。 それに、ルナ達に自分が勇者であるかもしれないことも話した。 これから旅をするなら、知っていたほうがいいと思ったのだ。 2人とも、それを話した後もあまり変わらぬ態度で接してくれたから、言って正解だったと思う。 『セリオスさん達、ナーサ国までは2日ばかりかかりますが それまで船室でゆっくりしててください』 船長と思しき人が、礼儀正しく話し掛けてきた。 若くもなく、かといって老けてもいないが、落ち着いた雰囲気の人だ。 「ありがとうございます」 「…セリオス、部屋はこっちだそうだ」 ソードの後についていくと、質素な感じの部屋についた。 少し狭いが、作りはしっかりしているし、不自由はなさそうだ。 「ルナさんは?」 「ルナは隣りの部屋だ。何か用があるなら訪ねるといい」 どうやら男三人部屋とルナさん一人部屋らしい。まあ、当然と言えば当然なのだが。 ただ、食事の時などは一緒とはいえ2日間一人だと寂しいだろうし、1、2回は行ってみよう。 そう考えた時、ふと、心の中で声がする。 ―本当にルナのことを考えてそう思ったのか?― ―ただ、自分が寂しいだけではないのか?― ―妹の代わりにしたいだけではないのか?― 正直、ルナとソードがついてくると言った時は驚いた。 何の縁もないのに、旅についてくると言った時は。 だが、元々この島へは単に立ち寄っただけで、それまでも旅をしていたし、この島を救ってくれたのだから、恩返しの代わりもあって、同行したいと。 それは嬉しかったし、もちろんOKした。 でも本当は、ただ自分の周りにいる人間を増やすことで、少しでも自分の心を見つめてしまう時間が来るのを避けたのかもしれない。 ただ、自分の苦しみを見つめぬために。 『出港だ!!』 その時、船長の声が響いた。 船体に微かに衝撃が走り、そしてゆっくりと窓の外で陸から海へと移り変わっていく。 そしてふいに、クロスがいないことを思い出した。 「ソード、クロスを知らないか?」 「…見ていないな。まだ甲板にいるんだろう」 セリオスが顎に手を当てた。 クロスのことなら心配要らないだろうが、あの性格のせいで暴走して迷惑をかけるかもしれない。 ソードと2人だとどこか気まずいし、とりあえず探しに行こうと扉に手をかける。 「ちょっとクロスを探してくる」 「ああ」 もう、レイラを殺した魔族とだぶったりはしない。 でも、あの静かな瞳に見つめられると、まるで責められているようで辛いのだ。 無言のプレッシャー。そんなものが感じられる瞳だった。 航海は何事もなく終わった。 途中、巨大なイカのような魔物に襲われたが、クロスの雷魔法で一発だった。 そのせいかクロスがなんだか船乗りに勧誘されていたが、僕たちは無事、ナーサ国の土を踏んでいる。 「だぁー。あのおっさん達結構しつこかったぜ」 「あはは、お疲れ様。でも船乗りも似合ってるかもよ?」 脱力しているクロスに、ルナがからかうように言った。 ソードは相変わらず無口だが、微かに笑みを浮かべている。 『最近は物騒ですから、皆、戦力になる船乗りが欲しいんですよ』 案内人の人が、苦笑いをしながら言った。 確かに、最近は以前に比べ魔物の数が増えてきたような気がする。 そんな中、一人でも戦える者が欲しいと言うのは当たり前のことだろう。 『では皆さん、これからお城までご案内しますね』 「はい、頼みます」 ぎこちない笑み。 案内の人はそれに気付いたのか気付かなかったのか、特に気にもせず歩き出す。 ナーサ国は噂に違わぬ場所だった。 皆艶やかな黒髪と深い黒水晶の瞳を持ち、その大地は清らかで。 ただ、ルナのことが気がかりだった。 ナーサ国出身と言うことは、この国には嫌な思い出があるはず。 魔力研究所というところがナーサ国にあるのかどうかは解らないが、親を殺された場所には違いないのだ。 そう、親と家と、そして希望を失った場所に…。 ガシャンッ! セリオスがぼーっとしているのを咎めるかのように、金属音が鳴り響いた。 はっとしてそちらを見ると、誰か―お城の兵士と、戦士のようだ―が戦っていた。 真剣ではないので、練習試合かなにかだろう。 「あれは何だ?」 『ああ、今この国では強い者を集めるために、ああやって城の兵士と兵士、騎士希望者が戦い、兵士希望者が勝つか、または引き分けにまで持ち込むと兵隊に入れるんですよ。 ただ、中には荒くれ者もいて、少々困る場合もありますけどね』 「へーえ…」 クロスの質問に丁寧に解説をする案内の人。 クロスは対して気にしていないようだが、こんなことをしてるということは余程魔物達が増えているのだろう。 でなければ、統率の悪い荒くれものを兵隊や騎士隊にいれるはずがない。 (そう。僕自身アリアやレイラのことばかり考えて、世界を救わなきゃいけないなんていつか忘れてたけど。世界は、救いを求めてるんだ。この世にはびこる魔物達の総元を倒さなくちゃいけない…―) あの、伝承の勇者のように。 でも、魔族と戦うということは、アリアとも…。 『行きましょう。王がお待ちかねです』 『よく来たな。クレスト王から話は聞いている。 また、この度はよき働きをしたな』 「恐れ入ります」 すっと頭を深く下げると、クロスも慌ててセリオスと同じ動作をした。 だが、ルナとソードは居心地が悪そうにしている。 当然だろうか。2人とも昔のこととはいえ人を殺めたことがあり、ルナに至っては故郷の国なのだから。城にいるというだけでも不安なことなのかもしれない。 でも、見た限りではナーサ王は、もしルナとソードの事を知っても許してしまいそうな優しさを秘めているように見えた。 深く落ち着いた色の瞳と、紳士的な態度のせいだろうか。 とても一般人―兵士ではないという意味で―の中から兵になる人材を集めている国の王とは思えない程だ。 『本当は、無茶なことはするな…と言いたいのだが、あの大陸を開放できるほどの力の持ち主。私も出来る限りの協力をしよう』 「っ!ありがとうございます」 王の言葉に胸を撫で下ろす。 本当は、今すぐにでも追い出されてしまうのではと心配していたのだ。 いくら他の王の書状があるとはいえ「無理」の一言でたしなめられてしまうのではと。 『船の手配には少々時間がかかるが、それまで城に泊まっていくといい』 ルナがますます居心地悪そうな顔をした。 最も、一瞬だけの上、セリオスの後ろにいたので王には見えなかっただろうが。 クロスは今にも騒ぎだしそうなほど喜んでいる。 『使いの者に、部屋を用意させておいた。荷物ももう運んである。 部屋まで案内させるが、希望があれば城の中を見学するといい』 「はい、ありがとうございました」 セリオスはもう一度深くお辞儀をし、案内の者の後についていった。 心地の良い眠りが、遠く聞こえるざわめきによって遮られた。 薄く目を開くと、優しい光が自分と部屋の中を照らし出している。 どう見ても一般の宿ではない豪華な部屋を見て城に泊まったことを思い出すが、ざわめきで起こされたことによって少し気分を害された。 そっと窓から外を覗くと、騒音の原因と思われる人ごみがいた。 人ごみは丸く囲いのように作られ、その真ん中には2人の人物がいた。一人は騎士のようだが、あと一人は鎧を着てないので兵士ではないようだ。 だが、その人物を見てぎょっとする。 「…クロスっ!?」 野次馬に囲まれ、騎士と退治していたのは、他でもなくクロスだった。 クロスはうんざりしていた。 先程から、この騎士がクロスを離してくれないのだ。 なぜかというと・・・。 「おい!いい加減しろよ!」 『黙れ!私と勝負して勝ち逃げなど許さんぞ!』 「てめえが弱いだけだろうが!!」 『貴様!私を愚弄する気か!?』 そう、朝兵士達の練習を見学していた時、稽古に誘われて練習試合のようなものをしたのだ。 クロスが魔導師だと思って甘く見ていたのだろう。結果はクロスの圧勝だった。 それに腹をたてた騎士は何度もクロスに雪辱戦を挑んだが、結果は惨敗。 逆切れして、このようなことになっている…というわけだ。 「ああもう愚弄でもなんでもいいから離せ!」 『ええい!先程は手加減したに過ぎぬ!次こそ…!!』 「その台詞、さっきから10回は聞いたぞ!」 『待て』 ぎゃーぎゃーと喚く騎士を引き剥がしながら叫ぶクロスに、凛とした声が注がれた。 驚いてそちらの方を向くと、立派な鎧に身を包んだ男だ。 そして胸元にまたまた立派な紋章を持っている。どうやら騎士隊長らしい。 「お前がこいつらの隊長か?なんとかしてくれよこいつ」 『き、貴様!隊長にお前とは何事だ!しかも私をこいつなどと……!』 またまた騒ぎ出した騎士を、騎士隊長が睨みつける。 『見苦しいことはやめないか!!』 その一喝に、騎士の身がびくりと竦んだ。 『すまない。この度は私の部下が無礼をした』 「い、いや、いいんだけどよ…」 丁寧に謝られ、しかも頭を下げらて調子が狂ったのだろうか。歯切れ悪く言い返す。 『御客人。確かクロス殿でしたな。 無礼ついでに話を聞いていただきたいのですが…』 「あ?」 「えぇーーーーーーーーーーーーーー!?」 ルナの耳をつんざくばかりの声が城の中に響き渡った。 傍にいたクロスはやはりダメージを受けたらしく、涙目で耳をふさいでいる。 しかも廊下につっぷして、だ。 「おい、ルナ…。もうちょっと静かにしやがれ…」 「あ、ごめん」 さすがに悪いと思ったのだろう。ルナが小声で謝った。 今小声になったとて、先程の声のボリュームは下がらないのだが。 「でも、騎士に勧誘されたって本当?」 「勧誘なんて言うな!宗教みたいじゃねえか!!」 この世界に宗教があるのかは謎だが、クロスの怒鳴り声に今度はルナがダメージを受ける。 セリオスは2人をたしなめるように、話し出した。 「まあまあ。でもクロス、ここに残るのか…?」 「…まあ、な…」 クロスは、見習騎士を倒したことによって、兵隊へと入る条件をクリアした。 しかもその強さが騎士隊長の目に留まり、直々に「騎士隊に入らないか」と頼まれたのだ。 実力によっては、聖騎士にしてくれるとも。 聖騎士。それは、騎士隊の中で最も上の位に値する。 もちろんそれなりの業績がなくてはなれないが、クロスには充分その資格があると言ったのだ。 クロスは戦士になるのが夢だった。 その上、城を護る騎士というものに憧れを抱いていた。 このような機会は滅多に無い。クロスは、速攻で首を縦に振った。 だが、それはこの旅の終わりを示す。 もう返事をしてしまった後とはいえ、セリオスの事が気に病むのだ。 その時、黙り込んでしまったクロスとセリオスに、今まで無口だったソードが呟いた。 「…悩むことなど無い。 お前の道は、セリオスと共に世界を救うことではなかっただけだ。 道が別れてしまった事で、自分を咎めることは無い」 「そうだよっ。クロスは自分のやりたいことをやればいいじゃない! 永遠のお別れでもないんだから!」 ソードに続いて、ルナが言う。 クロスは柄にもなく感動したのだろう。小さく首を縦に振った。 そしてセリオスは、一人思う。 ―ああ、だからなのだ― ―彼女には彼女の道があった― ―だから僕から離れてしまった― ―ただそれだけの話なのだ― でも、僕の行きたい道と行くべき道は違う。 君を連れ戻したいのに。今すぐにでも君を抱きしめたいのに。 アリア…―。 僕の道は、君を壊してしまう道なのに―。 後書(次からクロスは出ません♪) *セ=セリオス。ク=クロス。ル=ルナ。ソ=ソード ク「おい」 セ「ん?」 ク「なんで上の”次からクロスは出ません”に♪がついてるんだ!?」 *「だって主要キャラが一人減るごとに私の負担が減るんだもん」 ク「貴様ー…」 ル「それにしても、ますます暗くなってきたなー…」 ソ「全体的な事に関して言えば、二部が一番暗いらしいからな」 セ「だって…アリア……アリアぁ……」 ル「……………………女々しい…」 |
14255 | あああああクロスが(泣)! | あごん E-mail | 3/13-23:42 |
記事番号14244へのコメント こんばんは、あごんですぅ(泣)。 ううううう。とりあへず。 クゥロォスゥゥゥゥゥ!! な状態です(わからんわからん・笑)v いつかこうなる日がくるとは思ってましたが。 う〜みゅ、まさかいきなしこう来るとはっ! やりますねっ!神無月様っ! ソードとセリオスも気になりますねぇ(ヤヴァイ意味ではないですよ・笑)。 セリオスがソードが苦手なのはわかりましたが、ソードはどーなんでしょう。 ちょっと気になったりしてます。 ルナが大変そうですよねぇ(笑)。 セリオスとソードの間を行ったり来たり(笑)。 がんばれ!ルナ! 君の未来は明るい(と思う)ぞっ! ではではあごんでした! 続きをお待ちしております! |
14276 | とりあえず作法を(笑) | 神無月遊芽 E-mail URL | 3/14-20:36 |
記事番号14255へのコメント >こんばんは、あごんですぅ(泣)。 >ううううう。とりあへず。 こんばんは、神無月です。 ?どうかなさいました? >クゥロォスゥゥゥゥゥ!! >な状態です(わからんわからん・笑)v 解りました(笑) クロス良かったね。こんなに悲しんでくださる方がいて(笑) しかし作者的に、クロスは騎士にはなれなそうです。 とりあえず作法を学ぶとこから始めないと(笑) >いつかこうなる日がくるとは思ってましたが。 >う〜みゅ、まさかいきなしこう来るとはっ! >やりますねっ!神無月様っ! そうですか? ちなみに、クロスを外した理由の一つはギャグキャラだからです(笑) いまいちシリアスになりきれなくなるので。 >ソードとセリオスも気になりますねぇ(ヤヴァイ意味ではないですよ・笑)。 (爆) それ、フォローが墓穴掘ってる気が…(笑) >セリオスがソードが苦手なのはわかりましたが、ソードはどーなんでしょう。 >ちょっと気になったりしてます。 そうですねえ。今のところは特に何も思ってないようです。 彼は、ルナについてきただけですし(笑) >ルナが大変そうですよねぇ(笑)。 >セリオスとソードの間を行ったり来たり(笑)。 まるで中間管理職ですね(笑) >がんばれ!ルナ! >君の未来は明るい(と思う)ぞっ! 明るいです。私が好きだから未来は明るいです(笑) 逆に暗いのはパーティー抜けたどこかの誰かさん…。 >ではではあごんでした! >続きをお待ちしております! ありがとうございます。 頑張って続きを書きますね。 それでは。 |