◆−夜桜−MIGU(4/15-01:13)No.14987
 ┗はじめまして−一坪(4/15-07:07)No.14991
  ┗Re:はじめまして−MIGU(4/23-12:55)No.15071


トップに戻る
14987夜桜MIGU E-mail URL4/15-01:13


はじめまして。初投稿のMIGUとゆーものです♪
え〜、ふつつかものですが(爆死)よろしくおねがいします♪
一応、ガウリナ←ゼロスなんですけど、ガウリイ君は出てきません。
そういえば、今年お花見行ってないです(遠い目)

〜夜桜〜




朧月。

月のやわらかで冷たい光がとろりとした深い闇を照らし、
薄く淡い色合いの桜の花がその花弁を散らす。
そんな幻想的で一種妖しささえも感じるような桜の木の下に白い着物を着た女性が1人佇んでいる。
月のかなり明るい夜だとはいえ、こんな夜更け、しかも市街から
かなり離れたこの場所は、最近では夜盗や山賊といった輩が出没する。
常識ある女性なら、いや女性でなくともこんなところに来たりはしないだろう。
では、この女性は一体何物なのか?
こんな月の夜には妖が出るという。その女性は儚げで優美で清らかな感じさえするが、
どこか、そうどこか冷たく淫らで…例えて言うなら桜の妖。
しかし、その女性の瞳は妖などには決して持ち得ない不思議な強さを持っていた。
闇の者である妖よりも尚深く混沌とした闇と自らの力で生き抜く生ある者だけが持ちえる
真直ぐな強い光、それらが万華鏡のように混じりあい揺らめいていた。
女性が僅かに身じろぎし、顔にかかったその艶やかな長い栗毛をかきあげ、
白いうなじがちらりと見える。
突然の突風。
桜の花を散らし、薄桃色の花弁が視界をうめる。
風がおさまるとその女性の髪には桜の花びらがまるでわざと散らしてあるかのように絡まっていた。
その女性―リナは、髪に絡まった花弁を気にするようでもなく、目の前に舞い落ちてきた花びらに手を伸ばす。

「きれい……」

薄く紅をはいたかのような紅い唇が僅かに動き、小さな呟きが洩れる。
「きれいですね。」
突然誰もいない闇の中から声がかけられる。
その闇が蠢き、闇その物のような青年が姿を現す。
その青年を見てリナが眉をしかめた。先ほどまでの桜の妖のごとき風情はどこにもない
……変わらぬのはその印象的な紅い強い瞳。
「ゼロス…。」
「そんな顔しないで下さいよ。」
「こんな顔もしたくなるわよ。せっかく人が夜桜を楽しんでたっていうの
 に…。」
そんなリナの態度を気にするようでもなくゼロスは言った。
「それにしても珍しいですね。リナさんがそんな服を着ていられるなん
 て。お似合いですよ。」
「それはどうも。」
ゼロスの誉め言葉に少々照れながらも、そっけなく答え、リナは自分の姿を眺めた。
限りなく白には近いが、白ではなく薄い桜色の一花衣の浴衣。
浴衣、というのはこの辺りの古い民族衣装らしく、祭りのときなどに
着るそうだ。今日泊まっている宿屋の女将さんが若いころに着ていた
物らしく、もう着ないし、着る娘もいないから、と言って
リナにくれたのだ。
確かに、最近は何時もの旅装束以外は着ていなかった。珍しい、と
言われるほどでもないが、確かにこういうものを着るのは久しぶりだ。
「で、一体何の用なのよ。用が無いんならさっさと帰ってよね。」
しっしっと犬でも追い払うようなリナの仕草に、少し傷ついたような
素振りを見せるゼロス。
―相変わらず芸の細かい奴…―

「リナさん。」

ゼロスが突然、真面目な声でリナの名を呼んだ。
「本当に…本当に、良かったんですか?ガウリイさんと別れて。
 後悔していないんですね?」
その言葉にリナの表情は一瞬、傷ついたような表情を見せ、険しくなるが
ふっと溜息をつくと穏やかに笑った。
その表情は、激しい戦いを勝ち抜いてきた者特有の鋭さと、
何百年も生き、全てを超越したかのようなやさしさを持っていた。
「魔族のあんたからそんな事を言われるなんてね。…でも、いいのよ。
後悔はしてないわ。これ以上一緒にいればガウリイは必ず命を落とす。それに……
これからの戦いは今まで以上に厳しくなる。そうなればガウリイは…」

「ただのお荷物でしかない。」

言葉を濁したリナの後をゼロスが続ける。
いつも笑みを絶やさないその顔には、冷たく凍りついたかのような表情があった。
「残酷ですね、あなたは…。あなたは誰よりもガウリイさんを愛している。
そして、ガウリイさんがあなたをとても愛している事も知っていた。
それなのに、あなたはガウリイさんの為だと言って彼を切り捨てた。」
無表情のまま、責めるような言葉を紡ぎ出すゼロスに…
くっとリナが笑った。
その表情は冷たく瞳に宿る光は残酷な鋭さをたたえていた。
そのリナの表情を見た瞬間、ゼロスは感じるはずの無い寒気を感じた。
一瞬、彼女の紅い瞳が金色に光ったのは気のせいだろうか…。
「わざわざそんな事を言いに来たの?……それに…―わかっているでしょう?
 わたしの身体はすでに人間じゃないわ。異常に強い治癒力、歳をとらない身体。
今頃になってあれの副作用が出てきたのよ。」
そう言って自らを嘲るように笑う。
しかし、それはゼロスには泣いているように見えた。
―禁断の呪文ギガ・スレイブ―その副作用でリナの身体はすでに人でなかった。
そして、神でもなく魔でもない。
あえて言うとしたら、全てのものの母、金色の魔王、混沌の海にたゆたいし存在、
ロード・オブ・ナイトメア…彼の存在にもっとも近きモノ…
…金色の巫女…。
使う魔力もキャパシティも今までとは比べものにならないくらい桁違いに上がっている。
その身に彼の存在を受け入れたのだ。何もないほうがおかしいだろう。
そう言って黙り込んだ二人の間をはらり・はらりと桜の花弁が舞い落ちていく。
ふと、リナは遠くを眺めるような目をした。
きっと、彼女は、自らの全てと、この世界とを捨ててまで選んだ男の事を
想っているのだろう。
そう思うと、彼女と関わって知った感情が体の中を重く満たしていくのを感じた。

其れは・・・嫉妬と羨望。

彼女はゼロスのことなどもはや気にもとめず、その存在すら忘れ、
そこに誰もいないかのように桜の舞い散る中に佇んでいた。
その姿は女神。その儚げな様子は普段の彼女が、
ほんの時折見せるものだった。
紅い宝玉のようなその瞳はいつもであれば強い生命と意思の輝きに満ち、
くるくるとその目まぐるしく、彼女の感情にあわせて動いている。
しかし、今の彼女の瞳は不思議な光を宿している。
闇のもでさえが惹きつけられずにはいられない正反対の力を持つ彼女。
―まあ、ぼくも魅入られた一人なんですけどね…―
そう心中で呟き苦笑するゼロス。
朧月の柔らかな光がいつもより闇を際立たせているようだった。

「今日の闇はいつもより濃いようですね…。」

小さな呟きが風に攫われ、黒衣の神官はそっと闇の中へ溶け込んだ。





=COMENT=
すいません〜。お、お目汚しでっ…(逃亡)

トップに戻る
14991はじめまして一坪 E-mail 4/15-07:07
記事番号14987へのコメント

投稿ありがとうございました!!
あとゲストブックにも登録ありがとです!

幻想的ですごく素敵でした。
浴衣姿のリナさんも似合ってていいですねー。
ガウリイさん、出てないのに存在感がありまくりってのが素晴らしかったです。


よかったら、また投稿してくださいね。

トップに戻る
15071Re:はじめましてMIGU E-mail URL4/23-12:55
記事番号14991へのコメント


>幻想的ですごく素敵でした。
>浴衣姿のリナさんも似合ってていいですねー。
>ガウリイさん、出てないのに存在感がありまくりってのが素晴らしかったです。
ありがとうございます〜〜〜vvそう言っていただけるなんて…。嬉しいです。
このような駄文に感想をつけてくださってありがとうございました。
また、投稿させていただきますので、これからもよろしくお願いします。