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15558黎明に捧ぐ子守唄 [1]紫希 E-mail URL5/21-20:15


柔らかな月光の下、視界に見知った人影を認識して、彼女は思わず顔の筋肉が引き攣る
のを感じた。
木に背を預け、腕を組みながらこちらを見つめる彼の瞳は、その心情を雄弁に語っている。
呆れた、と。
「はあい♪」
無意識に口から漏れたのはそんな、何の意味もなさない言葉。
「あのなぁ・・・。」
疲れたようなため息と共に、リナの自称保護者であるガウリイは身体を起こした。
「お前さん、最近魔法を全く使わない所からして『あの日』なんだろ?そんな時に盗賊いぢめ
なんて、何考えてるんだよ。」
未だそれの意図することを理解していない上での発言だ、と分かっていても、たまらず
リナは頬を朱に染め叫ぶ。
「そーゆー事をさらり、と言うなぁあ〜〜!!そろそろ終るから、下見に来ただけよっ!
それにねガウリイ、女の子なら誰だって、ふと切ない気分になって盗賊いぢめに行きたくなる
日があるもんなのよっ。そんな時に大規模な盗賊団のアジトが近くにあると聞けば、
何がなんでも行かずにはいられないのが乙女心ってぇもんなの!」
「世間一般の女の子が皆、自分と同じだとは思わない方がいいぞ。と言うより、一緒に
されちゃ向こうが迷惑――。」
「どやかましい〜〜〜!!」
リナは何処からともなく手にしたスリッパを振り上げ――動きが空で止まる。
ガウリイの表情が、真剣味を帯びたものへと変化している事に気付いて。
彼の動作に従って、リナも神経を研ぎ澄まし耳を澄ますが、感じる夜風に乗って来るのは
草木の擦れる、寄せる波のような音のみ。
訝しげな表情を露にするリナをよそに、ガウリイは無言で、宿とは反対の、背の高い草が
生い茂る場所へと移動する。
辺りを探るように一・二度視線を巡らせると、腰を屈んで草を掻き分けはじめた。
暫くガサガサという音が静かな夜に響く。
「お、いたいた。」
気楽なその声に、リナはほっと息をつくと、やおらガウリイに喰って掛かる。
「ちょっと、何なのよ一体。てっきり敵襲かと――。」
なおも言い募ろうそして、再びリナの所へ戻って来た彼の抱えているものに気付き、
リナは目を瞬かせた。
「ウサギじゃない!どうしたのよ、この子。」
彼の腕の中には、薄汚れ震える一匹のウサギがいたのだ。
「微かに何かの気配がするな、と思って探してみたら、こいつがいたんだ。」
「気配って・・・なんかもぉ、野生のカン通り越して超能力の域に達してるわよ、あんた。」
極自然な事のように言う彼の台詞に、呆れとも感嘆ともつかぬ表情で応えるリナ。
「こいつ、足にケガしてるみたいでな。魔法はやっぱり無理か?」
言われて彼女はひょいっとウサギを覗き込むと、少し考える仕草をする。
「う〜ん、今のあたしじゃ弱い明かり(ライティング)が限度ね。それにこの魔法は体力を
代価にケガを治すものだから、どのみち止めておいた方がいかも。この子、だいぶ
体力を消耗してるみたいだし。」
「そうか。それじゃ、とりあえず部屋に戻って様子見るか。」
「そうね。」
意見が合致した所で宿へと帰ってゆく二人の頭からは、盗賊いぢめの件はきれい
さっぱり抜けていた。



「ちょっと!なんであんたまで全身ずぶ濡れになってんのよっ!!」
目の前の惨状にリナは顔を顰めると、部屋の奥へと踵を返し、大きめのタオルを数枚
持って来て彼に渡した。
怪我を見る前にまず洗おうと、ガウリイが風呂場へ向かって数十分。
始終聞こえてくる盛大な水音に彼女が抱いた不安は的中し、辛うじて滴り落ちる程では
ないものの、このままでは部屋まで汚しかねない。
「いやぁ、怪我に触れないよう色々と角度を変えて洗ってたら、何時の間にか。」
「どこををどーしたらそこまでになる訳!?ったく、やっぱりあたしが洗うんだったわ。
ホラ、貸して。」
彼女はウサギを受け取ると、怪我の様子を確かめながら、水分を吸い取るように
拭き始めた。小さく震えるその身体を、同色の真っ白なタオルで包み込む。
やがて、着替えの為に隣の部屋に行った彼が戻って来る頃には、ウサギはリナの
腕の中にその身を埋もらせて、微かな寝息を立てていた。
睡魔は、椅子に腰掛けゆっくりとウサギを撫でている彼女自身にも襲ってきているらしく、
時折頭の重心が定まらず揺れている。
何気なくその様子を眺めていた彼は、ふっと微笑みを浮かべる。
半ば夢の中、それでも自分へと向けられている視線に気付いたリナは
「どうしたの?」
と問い掛けた。彼は棚から備え付けの毛布を引き出し広げ
「・・・何だか母親みたいだな、と思ってさ。」
言って、ふわりと彼女に掛けてやった。
途端、何か気恥ずかしいような感覚に捕われ、リナは彼の瞳を直視出来なくなってしまう。
「あ、あたしはウサギの子を産む気はないっ!」
咄嗟に、慌てたような早口で言い放つが、それでも声量を抑えることは忘れない。
彼女の意外な、しかし何処か彼女らしい一面を垣間見た彼は笑みを深め、優しくその
栗色の髪を撫でた。
「そいつの世話は俺が代わるから、リナはそろそろ寝たらどうだ?」
「ん、平気よ。このままで眠れるわ。」
あんたが変な事言うから目が冴えちゃったけど、と心の中で一人ごちる。
「そうか。」
背を向けドアノブに手を掛けた所で、彼は頭だけ振り返る。
「おやすみ。」
そしてドアは静かに閉じられた。深夜を気にしてか、その開閉音は全くと言っても
差し支えが無い程だった。
リナは毛布を頭から被ると、瞬く間に眠りへと落ちていった。




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はい、ガウリナです!私的にガウリナは思い入れが強すぎて、書くのが難しいのですがι
前作とはうって変わってほのぼのさん♪と思いきや、後半はしっかりシリアスになりそうなヨ・カ・ン(死)
後味の悪い話には予定ですが。前も予定が途中で若干変わったりしたけど・・・でも
ほのぼのにする為に文体も軽い感じにしたから、たぶん平気・・・かな。
ってゆーか、小説書き始めてそんなに日が経ってないというのに、早速スランプに突入してます・・・う〜あ〜。
なんだか愚痴ばかりになって来た所で失礼します。


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15565うさぎ月夜に星の船♪あごん E-mail 5/22-03:37
記事番号15558へのコメント

こんばんわvあごんですvv

ああああ巷で噂が持ち切りの紫季さんの連載ですぅ(><)
しかもガウリナvv
それも兎付きでっvv
ああああああこれだけでほのぼのしちゃいますよぅvv

兎さんを抱っこしたままでうとうとするリナがっ!
可愛いですぅぅぅ(><)身悶えました(笑)。
わたしには書けないですね、こんなに可愛いリナはv

ガウリイも格好良いのにクラゲでっ!!
いかにもガウリイって感じですねvv

はてさて、一体このウサちゃんが二人にどんな影響をもたらせるのか!?
リナがあの日ってことは何かの伏線だろーか、と怪しみつつ(笑)。
続きが大変楽しみですぅvv

短いですがこの辺でv
あごんでしたぁvv

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15568日本酒片手に月見だんご♪(雰囲気台無し)紫希 E-mail URL5/22-14:42
記事番号15565へのコメント

ここで言う事じゃないんですが、小説の下のコメント、肝心な部分が
抜けてました。後味の悪い話には「しない」のでι

>こんばんわvあごんですvv
いつもレスありがとうございますvあーん嬉しいよ〜っ。

>兎さんを抱っこしたままでうとうとするリナがっ!
>可愛いですぅぅぅ(><)身悶えました(笑)。
なんだか妙に乙女ちっくで柄じゃないかなーとか思いましたが(苦笑)

>わたしには書けないですね、こんなに可愛いリナはv
あごんさんのリナって、リナらしい可愛さがさりげなく出てるじゃないですかっ。
「たまにはこんな・・・」なんて、見ててニヤけちゃいましたよぉ(アブナイ)
それに私って、できあがってるガウリナが書けないので、羨ましいです。

>ガウリイも格好良いのにクラゲでっ!!
>いかにもガウリイって感じですねvv
彼はクラゲっぷりと格好良さの微妙な加減が難しいです。

>はてさて、一体このウサちゃんが二人にどんな影響をもたらせるのか!?
>リナがあの日ってことは何かの伏線だろーか、と怪しみつつ(笑)。
取り合えず次回は不幸な影響を(死)あくまで次回は、ですが。
あの日というのは一応伏線のつもりですが、こじつけっぽいかもι

ではでは、続き頑張りますので、これからもよろしくお願いします☆