◆−ゼルアメ話にむけて−森崎恭也 (2001/9/29 14:07:32) No.17292 ┣それがたぶん、はじまりだった。−森崎恭也 (2001/9/29 14:20:06) No.17293 ┣それがたぶん、はじまりだった。(2)−森崎恭也 (2001/9/29 14:53:22) No.17294 ┗それがたぶん、はじまりだった。(3)−森崎恭也 (2001/9/29 23:18:03) No.17302 ┣初めまして−たつき (2001/10/1 10:38:45) No.17319 ┃┗ありがたいことです(合掌)−森崎恭也 (2001/10/3 18:59:44) No.17378 ┗こんにちは−一坪 (2001/10/2 15:36:46) No.17345
17292 | ゼルアメ話にむけて | 森崎恭也 | 2001/9/29 14:07:32 |
どうも、『書き殴り』発足当初からお世話になっているにもかかわらず はじめて「投稿小説」に自作を投稿させていただきます。 ゼルアメ話は同人のほうで心血を注ぎましたが(笑)相変わらず 好きなカップリング特別賞って感じです。 しかしエロい系は絵で描くほうが燃えるので(ダメすぎ)らぶらぶの 萌芽みたいな話にしたいと思います。 |
17293 | それがたぶん、はじまりだった。 | 森崎恭也 | 2001/9/29 14:20:06 |
記事番号17292へのコメント 一坪さんに嫌がられても捧ぐ。 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ ゼルガディス=グレイワーズは協調性が欠如しているとよく言われる。 呆れたように苦笑する者もいるし、たまに本気で怒ってしまう奴もいるが、 そもそも言われている内容は同じなのでそこに込められた感情が好意的で あろうがなかろうが、彼にとってはどうでも良かった。 そもそも、今ここに存在する自分は<ゼルガディスという人間だった モノ>と呼ぶ方が正しいのだろうから。 人間ですら、ないのだから。 いささか自虐的なことを漠然と考えながら、ゼルガディスはテーブルの 木目に沿わせていた視線を上向けた。 まず、まっさきに栗毛の少女が眼に入る。 彼女はまさに、腰までの長い髪を盛大に揺らしながら、隣に座っている 金髪の男の頬へ強烈な右ストレートをたたきこもうとしているところ だった。 しかし相手もさるもの、ヒョイと小器用に首を傾げて避けながら左手で 拳を何気なくうけとめ、更に空いていた右手をすかさず大皿にのばして 見事最後の一きれとなったカルパッチョとサーモンの厚切りサンドを 手中にしたのである。 「あ゛ぁっ!!!あーたーしーのぉっっっ」 「まだまだ甘いなぁってオイ!!さっき早いもん勝ちって言いだしたのは リナのほうだろうがぁっ」 「甘いのはアンタよ!口の中にいれるまで勝負はついてないんだかんねっ」 金髪の男が口腔に放り込もうと気を抜いたスキを見逃さず、栗毛の少女 が横合いから厚切りサンドをかっさらったのである。 食に対して執着があるのは結構なことだがそこに至るまでにそれぞれ 5人前ずつたいらげておきながら、なぜそこまで厚切りサンドに拘るの だろうか。 少々げんなりしながら、ゼルガディスは眼球だけを動かして自分の 隣に座るもう一人の連れに目をやった。 こちらは既にとっくの昔に食事を終えて、優雅にお茶をすすっている。 目の前で繰り広げられる壮絶な闘いにも食欲を減退させることなく、 きっちり一人前を消化したらしい。 肩のあたりで黒髪をそろえた少女は、王族らしかった。 らしいというのは、彼女の王族らしい姿をいまだかつてゼルガディスは 一度として見たことがなかったからである。 しかし、ゼルガディスのおおざっぱなイメージでは、王族というものは 確か互いが豆粒にしかみえないほどの長さがあるテーブルの両端に座り、 出される料理をことごとく残すというものだったので、なるほどこの 程度の食事の量では驚くに値しないのかもしれないと思った。 結局、この中で一番常識的なのは人間ではないこの自分なのだ。 手に持ったスプーンをスープ皿に投げ出すと、からりという乾いた音 がした。 「ゼルガディスさん?もう召し上がらなくていいんですか」 「なにゼル?もういいの!?」 「なんだゼル、お前細っこいんだから飯はちゃんと喰ったほうがいいぞ」 黒髪の少女の一声を皮切りに、三者三様の科白が飛び交う。 誰のせいだ誰のと思いながらも、ゼルガディスは反論しなかった。 自分が食欲をなくした理由をイチから説明するのが面倒くさかったのである。 「旦那、やるよ。喰え」 まだ手をつけていない海鮮パスタを押しやると、金髪の男は年長者と 思えないような無邪気な笑顔を浮かべた。 「おおっさんきゅうっ!」 「………かくして愛が芽生えたのであった。って一人で食べる かなぁぁっ!!!ガウリイっ、よこしなさい!」 妙なナレーションをいれたばかりに強奪に出遅れた栗毛の少女は、 再び男に一騎打ちを挑みはじめる。 黒髪の少女は困ったように微笑みながら、しかしあくまでマイペース に食後のデザートへ手を延ばす。 この中で一番図太いのはいったい誰だろうか。 少なくとも自分ではないと確信しながら、ゼルガディスは早々に席を たった。 |
17294 | それがたぶん、はじまりだった。(2) | 森崎恭也 | 2001/9/29 14:53:22 |
記事番号17292へのコメント 「ほんっと協調性ってもんがないわねえ」 大仰に上体をそらしながらリナが吐きだした科白はいかにも唐突で、 アメリアは一瞬眼前の少女が何を言いだしたのかわからなかった。 「ゼルのことか?」 食後の酒を水のように胃に流し込みながらあっさりと返したガウリイに 素直に感嘆する。やはり夫婦ともなれば以心伝心、あれと言えばこれ、 山ときたら川、ハッとしたらグウなのだ。 柔らかな外見とは裏腹にともすれば思考が暴走しがちなアメリアだが、 しかし感心したことには変わりない。 「そーなのよっ!あれではイカンと思うのよリナちゃんとしては」 「でもゼルが俺ら並の食欲になったら、もう残りモン分けてもらえなくなるぞ」 「………いや、そういうことじゃなくってさ」 「でも、前にくらべたらマシになったほうだろ」 「そりゃそうだけどねぇ……えええっ!?ガウリイっ!あんた憶えてるのっ!! くらげなのにぃっ?」 「お前さんなあ……」 傷ついたように溜息をつくガウリイを見ながら、アメリアは別のことに 驚いていた。 マシになったのか、あれで。 4人で旅をするようになってしばらく経つが、ゼルガディスが誰かに 合わせるところなどついぞ見たことがなかった。 一緒に行動するときも、大概はリナに押し切られる格好で渋々折れたと いうほうが適切で、協調なんて言葉とは程遠かったのである。 内心リナの科白に深く共感していたが、とりあえず弁護してみる。 正義のヒーローたるもの、常に公平でなければ。 「ゼルガディスさんは照れてるだけなんですよ」 本人が聞いたら悶絶しそうな科白だったが、アメリアは割と真剣だった。 「あれがそんな可愛いタマかしらねえ」 懐疑的な口調に、つい正義の血が熱くなる。 「きっとそうですよ!可哀想かつ悲惨このうえない生い立ちのせいで根性が ねじくれ曲がってるだけなんです!」 「結構さっくり言うわね……」 「正義の味方なんてそんなもんだろ」 「はいそこ!こそこそしないっ!!」 「へーい」 ふと、愉しげに眼を光らせてリナが手を叩いた。 「いいこと思いついた!」 「お、金儲けか」 「ちっがう!!」 小気味よい音をさせてリナがガウリイの頭をはたく。アメリアは密かに <言わなくて良かった>と安堵した。 「じゃあなんなんだよぉ」 「ゼルの人間性を試すのよ!」 リナの発案はこうだ。 まず架空の依頼を受けたといってゼルを誘う。当然付き合いの悪い彼は 蹴るだろう。そこが狙い目となる。 誰か一人、病人を置いていくのだ。 仕事の場所を一山越えたところに設定するので、当然仕事を受けた 2人はすぐに帰ってこられない。そんなときゼルは残された病人を どうするのか乞うご期待なのである。 「でもそれって単に盗賊いぢめしただけだろ」 「そしてついでにゼルガディスさんの行動を賭けの対象にするんですよね」 「うっさいよ!!」 アメリアは今度こそ、リナから頭突きを浴びせられたのだった。 |
17302 | それがたぶん、はじまりだった。(3) | 森崎恭也 | 2001/9/29 23:18:03 |
記事番号17292へのコメント またか、と思った。 栗毛の少女の言動はひどくわかりやすくてゼルガディスは呆れるより先に ちょっと感動してしまった。 「つまり、後腐れのない奴等を相手に思う存分ストレス発散できるうえに、 金がもらえるんだろう?良かったな」 自分なりに咀嚼して復唱すると金髪の男から感心された。 「おお相変わらず的確だなあ、ゼル」 「そこ!感心しないっ」 いつものように連れにツッコみをいれながらも、図星だったらしく少女は 気まずそうな顔をしている。 「とーにーかーくぅっ!旧街道の駅舎を根城にしてるらしいから、点在してて 殲滅に時間かかるから!!それまで頼んだかんねっ」 頷かないといつまでも耳元でわめかれそうだったので、ゼルガディスは曖昧に 顎をひいてみせた。 見ようによっては、承諾したともとれるように。 少女は胡散臭そうな表情で眉をしかめていたが、黙っていたらとうとう根負け したらしい。 「アメリア起きあがれないんだから、帰ってきて飢え死にしてたら、アンタ ブっとばすかんねえぇっっ」 ほとんど捨てゼリフのような勢いで叫ぶと、ようやく金と赤の鮮やかな一対は 陽炎の向こうに消えていった。 「………やれやれ」 本当にホッとしてゼルガディスは軽く首をふった。悪い奴等ではないのだが、 一緒にいると騒動に巻き込まれる頻度が極端に高くなる。たまにはわずらわされず に独りの時間を持ちたいと思っていたので、リナの悪趣味にも今度ばかりは感謝 していた。 「……ああ、そうか」 視線を空へと移すと、宿の、赤茶けた煉瓦造りの壁が視界に飛び込んでくる。 そっけない風景の中で白いものがフワリと揺れたのは、おそらく気のせいでは ない。 開け放たれた窓枠の中からオフホワイトのカーテンが揺れ出て、少女の在室を 告げているようだった。 黒髪の少女が倒れたのは、昨日の夜も更けてのことだったらしい。その場に いなかったので知らないし、興味もない。 ただ、お姫様が倒れたというのに栗毛の少女が「依頼が優先」と断言したのは 予想外だった。 なにも慈愛の塊などと言うつもりはないが、ああしてなかなか彼女は面倒見が 良いのだ。もっとも、道具が壊れたら使い物にならないので手入れをするぐらいの 気持ちだろうが。 「面倒だな………」 偽らざる本心を吐きだしたながら、それでもゼルガディスはほんの一瞬だけ躊躇した。 相手は病人だし。 なにかあったら、後始末のほうが大変だし。 しかし、結局その逡巡は長くは続かなかった。 くるりと踵をかえすと、ゼルガディスは足早に歩き始めた。 宿に背を向けて。 自分の意志を曲げようかと、わずかでもためらったことを恥じるように。 「あー、やっと行ってくれた」 行儀悪く床にぺたりと座りこんだまま、窓枠に顎をのせてぼそぼそと呟いた のは、くだんのお姫様である。 さきほど、いきなり彼の視線がこちらをとらえたときはヒヤリとした。ここで 勘の良い彼に気づかれてしまったら一巻の終わりである。 ゼルガディスには悪いと思ったが、自分も命が惜しい。どうやらバレずにすんだようだが。 ふと、昨夜の会話が鼓膜によみがえる。 <もちろん私は盗賊いぢ………もとい、退治に行くわよ> <リナが行くんだったら俺もついていかなきゃな> ふいに繰り出されたガウリイの保護者的らぶらぶ発言に、リナと二人して 固まっていたら、いつの間にか病人役という大役を仰せつかっていたのだった。 (こうなるんじゃないかとは思ってたけど………役者不足なんじゃないかなあ) とてもじゃないが、あの異形の青年を巧く騙し通せる自信はない。 「うやー……気が重いよう」 そもそも、どこも悪くないのだから。今も外に飛び出したくてうずうずしている。 しかし 『言うこと聞かなかったらセイルーン吹っ飛ばしちゃうぞ?』 と可愛らしく言われてイヤだと言える人間がいるだろうか。冗談ではないこと など、リナと少しでも行動を共にした者なら絶対わかってくれるだろう。 「でも、ちょっと冷たくないかな……少しぐらい顔、見せたって良いのに」 青年が行ってくれて安堵したばかりなのに、なんだかつまらない。 みんな、出かけてしまった。 自分はひとりで、こんな石で出来たひやりとした部屋の中にいる。 「…………ねよ」 路地を子供が駆け抜けていったらしい。歓声がおおきくなって、すぐに 遠ざかっていった。 喧噪が風に乗って、カーテンと一緒にくるくると舞ったようだ。 シーツに溜まった白い光が、閉じたまぶたの裏に灼きついてしまっている。 今日は晴れるなあと思いながら、アメリアは規則正しい呼吸をたてはじめた。 |
17319 | 初めまして | たつき | 2001/10/1 10:38:45 |
記事番号17302へのコメント 初めまして。たつきと申します。私もゼルアメが大好きなんです!!続き物とあって,とっても楽しみにしています。 仲良し4人組が登場していて,おもしろいですね。この先どうなってしまうんでしょうか。わくわくします。 がんばってくださいね。応援してま〜す!! |
17378 | ありがたいことです(合掌) | 森崎恭也 | 2001/10/3 18:59:44 |
記事番号17319へのコメント こんな場面展開急過ぎの話を通して読んでくださる方がいらっしゃるとは 夢のようです!(笑) なかなからぶらぶモードに移行してくれない、奥手な二人ですが 温かく見守ってくださると嬉しいですv |
17345 | こんにちは | 一坪 E-mail | 2001/10/2 15:36:46 |
記事番号17302へのコメント 投稿ありがとうございました! ホントは完結してから感想書こうと思ってたんですが、 最後まで読んだからと言って感想がよくなるわけでもないので。 >一坪さんに嫌がられても捧ぐ。 森崎恭也さんに嫌がられても頂く。 >ハッとしたらグウ さすがにコレは古すぎでしょう。 今は「ハレのちグゥ」の時代です。 これから、らぶらぶ話になるんですね。 楽しみにしてます。 |