◆−メギドの丘の物語−クリフォト (2001/12/17 00:36:55) No.18932
 ┣Re:メギドの丘の物語−華玉 むつき (2001/12/18 20:11:44) No.18974
 ┃┗初めまして−クリフォト (2001/12/19 16:55:50) No.18995
 ┗メギドの丘の物語 1−クリフォト (2001/12/19 16:50:41) No.18994


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18932メギドの丘の物語クリフォト 2001/12/17 00:36:55


序章


「何をしているの?」
緑の原っぱに座っていると、突然後ろから声をかけられた。
「月・・・」
振り向きもせずに、夜明け前の空を見上げながら呟く。
「えっ?」
声の感じからすると女の人らしい。
「月が泣いてるみたいなの・・・この星を見下ろしながら・・・」
僕は呟くように答えた。
「そう・・・」
声のしたすぐ後に白いものが視界を遮った。
「君は月の声が聞こえるんだ?」
白いものは、女の人が着ている白い服だった。
「そんなんじゃないけど・・・そんな感じがするだけ」
僕は苦笑しながら、そう答えた。
「そっか。」
そう言って女の人は僕の隣に腰掛けた。
その人は綺麗な長い金髪と不思議な色をした瞳をしていた。
<しろ>
服が白いからではなく、その人を一言で表すと<しろ>っていう感じだった。
なぜだかは分からない。
自分のまだ小さな右手の甲にある傷を月にかざした。
それは生まれた頃からあった傷痕。何年経っても消えない傷痕。
自分であることの証のように永遠に消えないと思う。
「ねぇ、神様って信じてる?」
唐突に女の人が聞いてきた。
「もちろん信じてるよ。」
女の人が厳しい表情になって言う。
「じゃあ、その神様が嘘つきだったら?」
びっくりしてそっちのほうを向くと、女の人は空を見ていた。
月でもなく、ただそこにある空間を。
「そんなぁ!神様はいい人じゃないの?悪い人をやっつけちゃうんじゃないの?」
しどろもどろになって答えると、女の人はきょとんとした後笑い始めてしまった。
「そうね。神様は正義と優しさを持ったえら〜〜〜〜い人だもんね。」
そう言って穏やかな表情になる。
ぼくはほっとした。さっき見せた顔がとてもつらそうだったから。
「でも」
急にまじめな顔になると
「正義は時に悪なのよ。優しさは暴力より傷つけることだってあるわ。」
言ってることがよく分からず、考え込んでいると
「今はまだいいの。そのうち嫌でも分かるようになるから。」
そう言って微笑む女の人の横顔がちょっぴり怖かった。
長い沈黙が二人を包み、いつしか日が昇っていた。
「さて、もう行きゃなきゃ。」
そう言うと立ち上がり、手でお尻に付いた草を払った。
「ねぇ。」
僕は女の人の方を見ずに言った。
「なぁに?」
雰囲気から察すると笑顔で僕の声に反応してくれたらしい。
「・・・話できてとってもうれしかった。僕の名前はアストロソス。お姉ちゃんは?」
女性の方を向きながら自分でも驚くぐらいの笑顔で言った。
「私?私はリリス。いずれ会えるでしょう。きっとね・・・。それじゃさようなら♪」
リリスはそう言って朝焼けの中を歩いていった。
その姿は光の中に溶け込んでいくようだった・・・

リリスは不思議な人だった。
笑顔がとっても綺麗だった。
素直にそう思える。
視線を空に戻すと、今度は目いっぱいの光に包まれた。
空はいつもと変わりなく穏やかで、今日という日がはじまった・・・





+++++++++++++++++++++++++++++++++++++
どうもクリフォトです。
読んでいただき大変ありがとうございます。
今回は詩ではなく、小説もどきに挑戦してみました。
長くなってしまったのでおかしなところもあるかもしれません。
あったら・・・見逃してください・・・
長編になりそうですが、お暇があったらよんでみてください。
ちなみにタイトルのメギドの丘というのはハルマゲドンの意味だそうです。多分。
天使や悪魔がでてくるのでこんな名前にしました。
なんと続きを書きますのでよろしくお願いします。
それでは

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18974Re:メギドの丘の物語華玉 むつき 2001/12/18 20:11:44
記事番号18932へのコメント

 初めましてクリフォトさん!私は華玉と申します。

 メキドの丘の物語・・・読みました!!!

 なんていうか、不思議な感じのお話ですね!!

 どんな展開になるのかとっても楽しみです。

 早く続きが読める事を祈っておりますので早く続きよろしくです!(自分がいえる事じゃあないんですけど・・・)

 かなり短いレスで悪いんですけど、時間がなくて・・・(爆

 それでは!!!!! 華玉

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18995初めましてクリフォト 2001/12/19 16:55:50
記事番号18974へのコメント

どうも初めまして!華玉さん!
クリフォトと申します。
このたびは読んで頂いた上に感想までいただけるとは・・・
クリフォト感激の極みでございます。
頑張って続きを書きまくるので、もしよければ読んでください。
ではこのへんで。
クリフォトでした。

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18994メギドの丘の物語 1クリフォト 2001/12/19 16:50:41
記事番号18932へのコメント


雨が降っていた。
大地を叩き割ろうとするように。
空気が震え、天空が涙しているように。
そんな訳もなく泣いてしまいそうな夜だった・・・


             【メギドの丘の物語】
           第一部<廻りはじめる運命の歯車>
                第一章

「ふぁぁあああ」
今夜何回目かのあくびをすると、俺は漆黒の空を見上げた。
「ったく・・・よく降るなぁ・・・」
窓の外を見ると、闇色に染まった空からひどい雨が降っていた。
この何日間雨は一時もやんでいない。
ここはとある町の酒場。都会からそう遠くないが、はっきり言って田舎の町だ。
「おい、アストロソスお前に仕事だとよ。」
そう言って呼ぶのはこの酒場のマスター。
「なんだぁ?このうざったい雨の日に仕事?」
そう言うと俺は海よりも深ぁ〜〜いため息をついた。
「そんなこと言える立場か?貧乏傭兵サン?」
そう、俺は傭兵なのだ。まぁ傭兵と言ってもどっちかと言うと、何でも屋だが。
「分かったよ・・・仕事すればいいんだろ。」
そう言って立ち上がるとまっすぐカウンターへ行く。
「で、依頼内容は?ゴミ拾いか?それとも屋根の修理か?」
この頃はろくな依頼がきてない。まったく、傭兵の名が泣くぜ。
「いや、モンスター退治だ。」
マスターが髭で覆われた口からさらりと言う。
「・・・まじか。」
一応確認してみる。
「あぁまじだ。」
本当のようだ。
「久しぶりだな、この頃は大人しくしていたと思ったが。」
この大陸にはモンスターがいる。
それでもここら辺には動物に毛のはえた程度しかいないが。
「近頃は活発になっているらしいぞ。」
グラスをふきながら答える。
「やっと傭兵らしいことができるぜ。んで、場所は?」
そこに二人の男が店の中に入ってきた。
「ちーす、マスター。」
「こんちはー。」
二人の男がマスターに挨拶する。
「いいところに来た。キース、ジョシュア。」
マスターはグラスをふくのを止め、そちらに目をやった。
この二人は俺の傭兵仲間。貧乏ってことだ。
キースはブラウンの髪をしていて、かなりのガタイがいい。それに猪突猛進。
ジョシュアは金髪で、背が低く細身で優男。しかも無口。
傭兵なり立ての頃からの仲だ。
「マスター、俺の仕事のほうは〜?」
俺は途中で話がきれてしまったのでマスターに聞く。
「まあ、待てわしの説明も聞け。」
そう言ってまたキース達のほうへ視線を戻す。
「実はモンスター退治の依頼があるんだが、アスとお前たちに行ってほしい。」
俺達は頭に「?」マークを浮かべていた。
「どういうことだ?マスター。並みのモンスターなら俺ひとりで退治できるぞ。」
「そうだぜ。アス一人で十分じゃないか。」
キースの横でジョシュアも頷く。
マスターはまじめな顔で俺達を見ると、
「並じゃないんだよ今回のは。なんと大物ヒッポグリフ。」
一瞬三人の時が止まった。
「「「ヒ、ヒッポグリフ〜〜〜〜!!!」」」
仲良く三人一緒に叫んでしまった。
この人は大事な事を重要ではないかのようにサラッと言ってしまう。恐ろしい人だ・・・
「ヒッポグリフをたった三人で倒せって言うのかよ。このイカレジジィは!」
キースがマスターに向かってすんごいことを言う。
「・・・死にたいようだな、キース・・・」
ぎらっとキースを睨む。マスター、恐ぇよ・・・
「す、すいませんマスター・・・」
体が震えてるぞキースよ。
「大丈夫だ。お前らならやれるはずだ。」
この人の「大丈夫だ」は信用できる。昔からそうだった。
俺が小さい頃両親が逝ってしまい、泣いていた俺を拾ってくれた時も・・・

「おい、アス!きいてんのか!?」
キースが俺に話し掛けていたようだ。
「んぁ?わりぃ。聞いてなかった。なんだ?」
キースはむくれながら、
「どーすんだって聞いてたんだよ!受けるのか?この依頼」
ジョシュアが横で頷いている。・・・こいつ頷いてばっか。
「あぁ、受けようぜ。報酬はかなりいいはずだ。貧乏傭兵達にはちょうどいいんじゃねえのか?」
キースの顔が二ヤッっと笑い、
「それにヒッポグリフなんて大物と戦いたい。からだろ?」
「その通り!」
俺は心の中でまだ見ぬヒッポグリフを想っていた。
「そうか、引き受けてくれるか。頼むぞ、大金がかかってんだからな。」
マスターがそう言いながら、髭だらけの顔を笑顔で歪ませる。
「場所は・・・」



+++++++++++++++++++++++++++++++++++++
このたびは読んでいただきありがとうございます。
どうもクリフォトです。長編の二回目です。
二回目のくせに主要キャラクターが全然でてこない・・・
すいません、本当に長くなりそうです。頑張って書きます!
次は敵が出てきます。本格的に頑張らなくては!
ちなみにヒッポグリフというのは鷲の上半身に馬の下半身を持つモンスターです。
知っていたらごめんなさい。
では、このへんで。
クリフォトでした。