◆−GAME1−春祭あられ (2001/12/17 02:19:36) No.18934
18934 | GAME1 | 春祭あられ | 2001/12/17 02:19:36 |
まだセレナーデ終わってないのに新シリーズ登場! ごめんなさい! ◇◆◇◆◇◆◇ 朝。雲ひとつない空、快晴。 陽は燦々と大地を照りつけ、アスファルトに覆われた大地を焦がす。 とある夏の日。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― *GAME* act1:入り口に立った者達 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 一人の少女が、誰もいない美術室で寝そべっていた。窓という窓はすべて開けられ、扉も全開。 カーテンだけはきっちりと閉められ、陽射しを遮っている。そのせいで、風の出入りも少ない。 「琥珀、そんな地べたに寝そべんなよ」 アイスクリームの入ったビニール袋下げた少年が、言いながら教室に入ってくる。 「だって暑くて死にそうなんです」 「だったら扇風機使えば良いだろ。ここにあるんだから」 少年が教室の端っこを指す。そこには大型の、立派な扇風機がひとつ、ちょこんとただずんでいる。 「使い方が分かりません」 「相変わらずの機械音痴め」 「何とでも言ってください。・・・・・・アイス、食べましょう。せっかく買ってきたのに溶けちゃいますよ。ところで岳斗さんは?」 「あいつなら一呂を呼びに言ったよ。まあ、先に食べていよう。溶けるのだけは耐えられん」 「はい。あ、私バニラが良いです」 学生のくせにハーゲンダッツのアイスクリームなどを買ってきている。箱詰めなため、早い者勝ちで好きなものを選んでいく。男子生徒は“抹茶”を取り出した。 残るは、“クッキーアンドクリーム”と“ストロベリー”のみ。 「おまえらずりー。もう食べてやがんのか?!」 ひょっこりと教室に顔を出す者が2人。 「大丈夫です。岳斗さんの好きなものはとってありますよ」 琥珀がとって見せると、それに嬉しそうに駆け寄ってくる。まるで犬のようだ。 「あのー、僕のバニラはとってありますー?」 「残念。私が頂いてます。残ってるのはストロベリーだけですよ」 「皆の好み知ってるくせになかなかずるいですよっ琥珀さん!」 「早い者勝ちなんだから良いでしょう?」 食い物の恨みは怖いんですよ!と言いながらもう一人の少年はストロベリーに手を伸ばす。 名前はすでにわかっているであろうが、現在手にしているアイスクリームより、バニラは琥珀、クッキーアンドクリームは岳斗、ストロベリーは一呂、最後に抹茶は樹である。 この四人はいつも一緒であった。何かあると、このグループに固まって行動する。 幼いころから一緒にいるわけでもない。ましてや、3ヶ月前、この高校に入学して初めて会った者ばかりである。 よく理由を聞かれたりするが、彼らにはまったく分からなかった。自然に、共にいるのが普通なのだ。 あえて言うのならば、時々デジャヴのようなものを感じることぐらいで。 そう、今だってこの者達は感じていた。 四人は向かい合って座っている。目の前には食事の風景。 でもおかしい。一人足りない気がするのは何故?一番元気なのがいない気がする。 彼等の中心であった人物。強い力を持った、女性。 名前は―――――――――思い出せない。顔もおぼろげだ。あと少しで思い出せそうなのに。 「そういえば、俺、思い出したんだ」 岳斗が唐突に呟く。 「ほら、いつも言ってるあの女の人」 「ああ、あの人」 「あいつの名前・・・・・・確か“リナ”って言うんだぜ」 全員の手が止まった。 そうだ。何でこんな簡単なことが今まで思い出せなかったのだろう。彼女の名前はリナ。リナ=インバース。 自らを美少女魔道士と豪語し、自分勝手で、わがままで、でもやさしい女性。 その輪郭がはっきりと見えてくる。一枚の写真にかかったモザイクがはがされていく。 「どうして、彼女はここにいないんでしょう?」 一呂は不思議そうに呟いた。 彼ら四人の様子は、その場所に、まるでスクリーンに映し出されているかのように映像化されていた。 見ているのは金髪の女性と、銀髪の少年。金髪の女性はそれを見ながら奥歯を噛締めていた。 「おめでとう。君の子供たちはやっと入り口へ到着したよ。迷宮をたどってね」 くすくすと笑いながら少年は言う。 「今ならまだ間に合う。もうやめて。こんなの、道楽でやっていいことじゃない!」 「何を言っているの?これから面白くなっていくんじゃないか。君も気になるだろう?まったくの異界に転生した彼等のこれからを。しかも君の子供でありながら君の庇護下にいない。僕の庇護下にいるんだ。楽しみだなぁ。どうしてやろう」 少年はどんどんと笑いを大きくしながら、スクリーンの先に力をかざした。 「さぁ、招待しよう。君等のお目当ての女性は、ここにいる。さらなる迷宮を越えてここに来るがいい」 金髪の女性は静かに目を閉じた。 嗚呼、願わくば、彼らが再びむやみに殺されないことを。無事に生をまっとうできることを。願わくば・・・・・・ ◇◆◇◆◇◆◇ 意味不明です。でもスレイヤーズですんで、ぜひとも読んでください。 ごく普通の現代というのは、融通が利かなくて、私は嫌いです。 でも今回はがんばってかいてみたつもり。なってないけど・・・(汗) これは、セレナーデがうまく書けない時に代わりに書いているものなので、更新は早くなったり遅くなったりたぶんまちまちでしょう。付き合ってくれる方、よろしくお願いします♪ 誰か感想くれると嬉しいです! それでは、これを読んでくださってるありがたい人にまた出会えることを祈って。 春祭あられ |