◆-【オオカミとワルツを】 【3】-風林みつき (2002/1/8 17:54:31) No.19427
19427 | 【オオカミとワルツを】 【3】 | 風林みつき E-mail | 2002/1/8 17:54:31 |
【オオカミとワルツを】 【3】 イシアは動きやすい服装に着替えると、国の両親に連絡をとった。 「どうだった?」 フィリオネルの問いにイシアは、 「ええ・・・。何とか説得してきましたわ」 苦笑まじりに応えた。 「式から抜け出してきてしまったので・・・怒っているかと思ったんですが・・・その方が良かったのかもしれません」 悲しそうに微笑んだ。 何と言えばいいのだろう。 フィリオネルには、かける言葉が見つからなかった。 「どちらへ行きましょうか?」 「任せよう。縛られない旅がしたいのだろう?どこでも良い」 フィリオネルの言葉に、イシアは嬉しそうに顔を輝かせ、少しの間考える素振りを見せていた。 「そうですね・・・・・・ では、カルマート公国なんてどうでしょう?ここからそう遠くないですし」 「けっこうだ。早速行こう。 それに、すまないが私はそれほど長く、国を放っておくわけにもいかないのでな」 街道を歩き出すフィリオネル。 「わかってますって」 イシアは口元に手を当てて、キラキラ笑った。ドレスを着ていなくても、彼女はとても綺麗だった。 「フィルさん、ふふ・・・『フィルさん』って、何だかおじさんのことを呼んでるみたいですわ。あ、失礼・・・。別に悪気はなかったんですが、つい」 イシアは王族の中の上下関係をとても気にしてしまっている。仕方のないことだが。 彼女のように無名小国の王女ともなると、聖王都セイルーンの第一王位継承者に対して、言葉遣いにも気を使うのだ。言葉遣いはもとからだが。 「なら、フィルと呼べばいい」 「ですが・・・・・・」 ためらうイシア。 「縛らない旅に身分は関係ないだろうて」 そばを子供が走りすぎていく。 「そう・・・ですか。わかりました。 あ、でも私、敬語は抜けないと思いますので、ご了承ください」 フィリオネルは笑って返事をした。 イシアも、つられて笑った。 「よぉー、そこのお二人さん。命が惜しけりゃってやつだねー」 人通りもまばらな夕暮れ時の街道。珍しくない声がかけられた。 ごろつきのような風体の男が5、6人か。 ごろつきにからまれることは、しょっちゅうである。イシアは経験がないらしく―当然だが―、怯えている。 「イシアはさがっておれ」 「あ・・・はい」 フィリオネルはため息ひとつ。 「何だおっちゃん!?ため息なんかつきやがって!」 おっちゃん――その言葉に傷つきながらもフィリオネルは応えた。 「いや、また正義の前に、怪我をおわせなくてはならんのかと思うと・・・平和主義者の心が痛むのだ・・・」 「はあ?何わけわかんねぇこと言ってんだよ!?」 「やっちまおうぜ!」 誰かの声で全員がばらばらの動きながらに、向かってくる。 「しかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁし!!! 相手が悪人となれば、話は別!正義の鉄拳を受けてみよ!!」 走り来たいちばん手前の男の顎を思い切り殴り上げつつ! 「正義に平和!仲良しこよしアッパーーー!!!」 必殺技の名前もわすれない。 「夕日に向かってランニングキィィィィィクッ!」 「友情の平手打ちぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」 「汗と涙の結晶ストライク!!」 まぁ、こんな感じだった。 最後に残った1人は、フィリオネルにはかなわないと悟り、イシアへ向かってきた。 「イシア!!」 気づいたけれど、フィリオネルは彼女に離れているように言ったので、イシアにせまる男には追いつけそうにない! そのとき! 「私もやってみまーす。 平和のシンボル・鳩の舞いぃ」 言うとイシアは、鳩というより、さながら白鳥のような身のこなしで、くるくる踊り出し、丁寧に踊りながら定期的に男を蹴りつけている。 そして最後の仕上げに、顔面を殴り、ノックアウト!威力もなかなかあったらしい。 あっけにとられているフィリオネルに気づくと、イシアは笑って言った。 「私の国では、格闘には芸術が求められていたんです」 あとがきゃー って強いよイシア嬢(爆)!! やっとこさ著者別ツリーを作りました。 ものすごい長いツリーになって、結構おどろきました(笑)。ところで、あたしのツリーの表示法、間違ってたりしますか(不安)? 結局、みなな時代のも載せました。というかダークを。未完なんですねー(死)、あはは( ̄▽ ̄;) 詩はたくさんあるので選りすぐりましたが、連載ものとかは、ほとんどツリーに入れました。よくよく考えるとあたしって異世界設定が多い; ダークとか、初期の作品は見るのも恥ずかしいです(///)! 昔と比較したら、まだましになった方かもしれませんね。最近のは。 今あたしがダーク最終幕を書いたら、どうなるんでしょうね( ̄□ ̄)。 ちょっと長くなったので、退散~。 ワルツはすぐに終わらせられるかなー? |