◆−出会い‥ゼルとアメリアの場合−龍崎星海 (2002/1/9 01:49:00) No.19437 ┗なるほどっ−れい (2002/1/10 18:26:15) No.19448 ┗ふむふむっ!−龍崎星海 (2002/1/10 19:57:57) No.19453
19437 | 出会い‥ゼルとアメリアの場合 | 龍崎星海 | 2002/1/9 01:49:00 |
どうも、どうも、ここに投稿するのは久しぶりの龍崎です。 ‥なんだか、久しぶりすぎて忘れ去られていそうで怖いんですけど。 それはさておき。 今回の話は、スレイヤーズの第1巻の最初のリナとガウリイの出会いのシーン、あれがゼルとアメリアだったら、どうなっていたか。 それを小説にしてみました。 ありそうでなかった主題だと思います。 最初考えていた時は、ギャグだったのに、書いているうちに段々シリアスチックになって行っちゃって。 ‥とりあえず、少しでも楽しんでいただけたら、光栄です。 そうそう。ゼル×アメとは言え、カップリングはないですので、そういうのが苦手な人も大丈夫ですよ。‥たぶん。 それではどうぞ。 *********************************** 出会い‥ゼルガディスとアメリアの場合 俺の名前はゼルガディス。 俺はあてのない旅を続けていた。 ある奴に騙されて、合成獣にされた、この身体を元に戻すその方法を探し求める旅を。 ある日、俺が街道を歩いていると、前の方から人の声が聞こえてきた。 「‥‥!‥‥‥!!」 どうやら、何か言い争っているらしい。 あまり面倒な事には関わりあいになりたくないんだが‥ そう思いながらも、気配を殺して道の脇に生えている低木に隠れるようにして近づいて行く。 ガサガサッ! 茂みをかき分けて、行ってみるとそこに居たのは1人の少女と見るからに人相の悪い男達だった。 男達の方は‥あれは盗賊団だな。 旅人を襲っているんだな。 それにしても、あの娘‥1人のようだが、まさか、1人旅をしているのか? 街道沿いには沢山の盗賊達が巣くっているんだ。 女の1人旅なんて、そんなやつらに襲ってくれ、と言うようなもんなんだが。 ‥助けるか?あんな連中、何十人居たって、どうという事はない。 別に見殺しにしたって構わないのだが‥後味が悪そうだからな。 第一、通行の邪魔だしな。 そう思い、茂みの中から出てみると‥おや。さっきの娘が居ない。 どこへ行ったんだ?と思ったその時。 頭の上から、ひときわ大きな声が聞こえて来た。 「この世に悪のある限り、正義の怒りが私を呼ぶ!アメリア=ウィル=テスラ=セイルーン、ここに参上!」 なっ!! 驚いて声のした方を見てみると、近くの木の上に、先ほどの娘が立っているのが見えた。 ‥ウソだろう? あそこまでは20mはあるぞ。 いつの間に登ったんだ! 盗賊達も驚いたらしく、呆然としている。 その様子に満足したらしく、娘はもう1度口を開いた。 「人の金品を強奪する事、それすなわち悪!正義の鉄拳を受けるがいい!とうっ!!」 そう叫ぶと、木の上からいきなり飛び降りた。 おい!いくらなんでも、20mの高さから、レビテーションも使わずに飛び降りるヤツがいるかっ!? い、いや、ひょっとすると、上手く着地出来るのかも‥と思ったその瞬間。 ゴズッ!! という嫌な音と共に娘が地面に叩き付けられた。 首が折れ曲がっているのが見える。 ‥あれは、死んだな。 首の骨を折って即死ってトコだろう。 盗賊達も、あまりの事の成り行きに呆然と立ちつくしている。と・ スクッ!!と娘が立ち上がったではないか。 パタパタと、服に付いた埃を払っている。 オイ、ウソだろう。 あの高さからモロに落ちて、平気なのか!? 大体、首が変な方に曲がっているぞ! 何でアレで動けるんだっ!! と、娘はビシィッ!と目の前にいる盗賊を指さした。 「さあ!そんな所で斜めになってないで、かかってらっしゃい!」 ‥いや、盗賊達が斜めに立っているんじゃなくって、アンタの首が曲がっているんだが。 俺がそう突っ込む前に、盗賊達は我に返ったようだ。 「‥‥へ。じゃあ、お言葉に甘えさせてもらうぜ。野郎共!やっちまえ!」 首領とおぼしきヤツの号令一下、手下の盗賊達がバラバラと動き、娘の周りを取り囲む。 「な!たった1人に、そんな大勢で襲い掛かるなんて、そんなの卑怯です!」 「へ、卑怯だろーが何だろーが、勝ちゃそれでいーんだよ。さあ、覚悟しやがれ!」 一斉に剣を抜き放ち、飛びかかろうとする。マズイな。 「それぐらいにしておくんだな」 そう声をかけると、全員が一斉にこちらを振り向いた。 「コソ泥共が。とっとと消え失せろ。そうすれば、命だけは助けてやるが」 殺気を込めて、そう言ってやると。 「な、なんだ、キサマ、いきなり出やがってっ!キサマは一体何者なんだ!」 盗賊の頭は、俺の発した殺気にビビリながらも、問い質して来た。 フッ‥俺は薄く笑うと、こう答えてやった。 「‥‥キサマらに名乗る名前はないな。死に行く者に名乗ってやる必要などないからな」 「なっ‥死ぬのは、テメェの方だ!たった1人で何が出来る!野郎共!まずはこいつから血祭りに上げるぞ!やっちまえ!」 頭の一言で、盗賊共が一斉に斬りかかって来る。 フッ‥1人で何が出来るか、だと? しゃらくさい!この俺をキサマらクズ共と一緒にするな! キサマら相手に、魔法を使うまでもない! 俺は襲いかかって来る盗賊共を片っ端から切り捨てて行った。 ほんの十分かそこらの間に、その場に立っているのは、俺と娘の2人だけになった。 地面には盗賊共の死体が累々と横たわっている。 あたりには、強い血臭が漂っている。 「‥‥おい。あんた、大丈夫か」 俺は、呆然と立ちつくす娘に声を掛けた。 青白い顔をしているな。女の子には、少し刺激が強すぎたか。 と。娘が口を開いた。 「‥何も、殺す事はなかったんじゃないですか?説得すれば、きっと分かってくれた筈です!」 「甘いな。そんな物、聞き入れるようなヤツラだと思うのか。大体、そんな説得くらいで改心するようなら、ハナから盗賊などしとらんさ。それより、その首いい加減なんとかした方がいいんじゃないのか」 そう言ってやると、娘はやっと自分の首が曲がっている事に気が付いたらしい。 「道理で、世の中が全て斜めになっていると思いました!」 そう言うやいなや、 ゴキゴキゴキッ! と首を2〜3回、両手で曲げると、力ずくで治してしまった。 「‥オイ。大丈夫なのか。今、バキッって音がしたみたいだが」 「大丈夫ですっ!これくらい、正義の心があれば、何でもありませんっ!!」 ‥‥いや、そーいう問題ではないと思うが。 と。娘は、ニコリと笑うと、その手を俺に向かって差し出した。 「とにかく、助かりました。ありがとうございますっ!!」 満面の笑み。 俺に向けられる事は、決してない笑み。 俺には、その手を握る事は出来なかった。 「‥あんた、俺が怖くないのか。俺は、こんな姿なのに。しかも、盗賊達を皆殺しにしたのに‥」 今の俺は、いつも被っているフードを取り外している。 戦うのに邪魔だからだ。 だから、今、俺の姿は日の下にさらけ出されている。 岩の肌に、針金の髪の、俺の姿が。 なのに、笑い掛けるのか。握手を求めるのか。この俺に‥ 「姿なんて、関係ありませんっ!!人類みな兄弟、生きるとし生ける物全てみな兄弟ですっ!!」 「‥‥そうか。あんた、確かアメリアとか言っってたな。名前からすると、セイルーンの王族のようだが」 「ハイ!私はセイルーンの第2王女ですっ!15歳になったので、修業の旅に出たんですっ!!」 「修業の旅って‥セイルーンの王女ともあろう者が、そんな事をするのか!?」 「ハイッ!世の中を見て回って、見聞を広める必要がありますから!それに、人々の生活も、直に見てみたいですしっ!!」 ‥なるほど。その為の修業、と言う訳か。 しかし‥女の子の1人旅は物騒すぎる。 しかも‥世間知らずの王女様の1人旅なんて‥おまけに、この人を疑う事を知らない姫さんじゃ、あっと言う間に騙されて、すってんてんにされるか、どこかに売り飛ばされるかするのがオチだな‥ 「で、あんた‥アメリア姫‥」 俺がそう言いかけた途端。 「どうぞ、アメリアと呼んで下さいっ!あなたは私の命の恩人なんですからっ!!」 「‥そうか。では、アメリア。あんた、どこに行くつもりだったんだ?」 「まずはアトラス・シティへ行こうと思っていますっ!!そこから先は、まだ決めてませんっ!!」 「‥なるほど、分かった。では、俺がアトラス・シティまで送っていってやろう」 「え?いいんですか?」 「ああ。あんたを1人で放ったらかしにして置いたら、とんでもない事になりそうだからな。道中で、世間の事を色々教えてやる」 「ひっどーい!私は、そんなに世間知らずじゃありません!」 娘‥アメリアが、プウッと両の頬を膨らませて俺に抗議する。 クックック‥‥‥ 俺は笑った。 それは、久しぶりに浮かべた笑みだった。 キメラの身体になってからと言うもの、すっかり忘れていた笑いだった。 この何気ない、ありふれたやりとりが、こんなにも心地いい‥ 「フン、十分に世間知らずだよ、あんたは。それじゃ、行くぞ!」 そう言て、俺が歩き出そうとすると。 「あ、ちょっと待って下さい。その前に、あなたの名前を教えてくれませんか?さもないと、どう呼んでいいのか、分かりません!」 ‥‥そう言えば、まだ名乗っていなかったな。 「俺の名はぜるがディス。ゼルガディス=グレイワーズだ」 「じゃ、ゼルガディスさんですね!どうぞ、よろしく!」 そう言って、アメリアは改めてその手を差し出して来た。 「‥ああ、よろしくな」 俺は、そう答えて、その手をぐっと握りしめた。 こうして、俺達の旅は始まった。 それが長い長い旅の始まりだったとは、その時の俺達には知るよしもなかった。 END |
19448 | なるほどっ | れい URL | 2002/1/10 18:26:15 |
記事番号19437へのコメント 今晩和。 読ませて頂きました〜。 アメリア、本当に何時上がったんでしょうね。不思議…。 ゼルはちょっと最初出てきた頃のゼルっぽいですね。出会った後ならスリーピングかけそうです。私の一人よがりな考えですが。 この2人がリナとガウリイに出会った話も読んでみたいです☆ では、短いですがこれにて。 かしこ。 |
19453 | ふむふむっ! | 龍崎星海 | 2002/1/10 19:57:57 |
記事番号19448へのコメント > 今晩和。 > 読ませて頂きました〜。 どうも、こんばんは。龍崎です。お久しぶりですね。れいさんはいいお正月でしたか? 私は寝正月でした(笑)。まあ、ああ寒くっちゃあ、おまけにああ雪が降ってはどこへも行けませんけどね。 > アメリア、本当に何時上がったんでしょうね。不思議…。 そりゃもう、「いつの間にやら登っている」のが正義の味方の正しい登場の仕方(笑)ですから。 > ゼルはちょっと最初出てきた頃のゼルっぽいですね。出会った後ならスリーピングかけそうです。私の一人よがりな考えですが。 そうですね。まだ、リナ達と出会う前のゼルガディスを意識して書いてみました。 だから、盗賊、みんな倒しちゃったんですね。 出会った後なら、最悪でも峰打ちにするでしょうから。 ‥まあ、「すまん。この剣、両刃だった‥‥」なんて事になってるかもしれませんが(アニメでありましたよね、確か) > この2人がリナとガウリイに出会った話も読んでみたいです☆ うむむ‥‥いや、実はこの後どうなるのか、全然考えてなかったりして(笑) > では、短いですがこれにて。 > かしこ。 はい、ではこれにて。 |