◆−突然ですが、別物の開始です!!−猫斗犬 (2002/1/15 18:39:14) No.19548
 ┗『剣の〜』2-1−猫斗犬 (2002/1/15 18:40:27) No.19549


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19548突然ですが、別物の開始です!!猫斗犬 E-mail 2002/1/15 18:39:14


猫斗「こんにちはです。
   ご無沙汰です。
   猫斗犬です。
   では、さようなら(はあと)」
達也「我は放つ光の白刃!!」

 きゅどむっ!!ごう!!

猫斗「って!いきなり何するんですか!達也君は!!」
達也「あ…めらめら燃えてるくせにぴんぴんしてやがる…それにいきなりっ
   て言うが…お前さんのさよなら文もどうかと思うんだが…」
猫斗「しかも、さっきの攻撃魔法はオーフェンの…」
達也「ただ単に気孔弾で吹き飛ばすのも芸が無いんで…掛け声を一つやって
   みよっかなあ〜なんて…」
猫斗「待て…おい…掛け声って…」
達也「それよりも猫斗犬…STSの続きは?」
猫斗「というわけで皆さん…このようなつたない者の作品を呼んでいただき…」
達也「…眩く全てを照らす者…」
猫斗「にゃああああああぁぁぁーーーー!!
   ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめん
   なさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、
   全面的に降伏します!だから精王光輪(アスレイン・ファーリング)だ
   けはああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーー!!!!!!!」
達也「………ちっ……………で……………………………続きは?」
猫斗「…ごめんなさい…出来上がってないです…」
達也「どのぐらい?」
猫斗「…その………全然…てへ(はあと)」
達也「…眩く全てを照らす者…」
猫斗「にゃああああああぁぁぁーーーー!まってええええぇぇぇーーーー!
   はにゃしを聞いてくるえぇーーーーーーー!!!」
達也「続けろ…」
猫斗「は…はい…えーとですね…実は続きなんですけど…ある部分で詰まっ
   ちゃいまして…」
達也「ほう…どの辺?」
猫斗「どの辺って言うか…全体的になんですけどね…あの2人を出すかどう
   か?悩んでいまして…」
達也「あの2人?」
猫斗「ほら…恵美の…」
達也「ああ……んじゃあ…次で登場なのか?あの2人?」
猫斗「いいえ…その複線を敷くか?しかないか?なんですけど…」
達也「敷けばいいじゃないか…」
猫斗「そうなるとあの話も書きたいなあ〜…なんて…」
達也「あの話って…自英伝・『デモン・スレイヤー』?」
猫斗「…はい…スレイヤーズ世界でのフィクション物語…」
達也「それじゃあ書け」
猫斗「んな簡単に言わないで(泣)まだ、あの話は設定が中途半端なんです
   よ!!」
達也「んなん…オレの知ったこっちゃない…だから書け…」
猫斗「無理ですってばああああぁぁぁ…」
達也「…それじゃあ……眩く全てを照らす者…」
猫斗「んにゃあああああああぁぁぁ…解りました!解りました!解りました!
   解りました!書きますううううぅぅぅぅーーーーー!!!!」
達也「んじゃ…早速…パソコンに向かうように…」
猫斗「はいです…しくしくしく…」

********************************************************************
 …と…いうわけで…←何が?
 『スレイヤーズSTS』はしばしお休み………ごみん………………………
…………………………………………………………………………………………
……というか…これは旧『スレイヤーズSTS』第1話+αの続きと認識し
ていただけたらいいかと…αは舞とか恵美のこととか、旧作時点の設定と変
わったところなど…内容固まってないんですが…
 …まだ…他にも複線となる話あったりして…


 ちなみに、同じタイトルだとまぎらわしいので……

  『光と闇 悲しき竜と剣の鎮伝歌(レクレイム)…』

 …略名『剣の〜』としますです…はい…

 ついでに…今度からは、
  現在連載の新『スレイヤーズSTS』をそのままのタイトルで
  旧作の最連載や自英伝みたいな物をひとくくりにし『剣の〜』とします。

 つまり──
  自英伝・『デモン・スレイヤー』は
    ↓
  『剣の〜』:”デモン・スレイヤー”
 ──となります。

 タイトルはあまり意味がありません!!!!


追伸:旧『スレイヤーズSTS』第1話=『剣の〜』第1話は、未来進行形
   (現在進行形ではない)で修正予定←いつになるやら…

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19549『剣の〜』2-1猫斗犬 E-mail 2002/1/15 18:40:27
記事番号19548へのコメント

 はいでは…始まりです…実は今回のは再利用です…

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 『剣の〜』第2話
  ”光と闇 悲しき竜と剣の鎮伝歌(レクレイム)…”1回目
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 ──生きてくれ──
 どんな姿になってでも。
 それが私のたった一つの願いだった。
 私のために失われそうになった、2つの小さな命。
 大事な我が息子。
 大事な我が娘。
 愛している。
 血はつながっていなくとも──
 種族が違えども──
 幸せでいてくれ。
 我が父の行いに苦悩せずに…生き続けてくれ──



**** LINA ****

<< ──この世の中には、あたし達が住んでいるこの世界とは別に、いく
  つもの世界が存在しているのよ。そのすべての世界は、遠い遠い昔、何
  者かの手によって、”混沌の海”に突き立てられた、無数の”杖”の上
  にあるのよ。それぞれの世界は丸く、平らで──そうね、地面に突っ立っ
  た棒の上にのっかっているパイか何か、そんなところを想像してもらっ
  たらいいわ。そんな世界の一つが、あたしたちが今住んでいる、ここよ
  ──
   ──そのそれぞれの世界をめぐって、遙かな昔から戦い続けている2
  つの存在があるの。
   1つは”神々”もう1つは”魔族”。
  ”神々”は世界を守ろうとするもの。”魔族”は世界を滅ぼし、それを
  支えている、”杖”を手に入れようとするものたち。
   ある世界では”神々”が勝利をおさめ、平和な世界が築かれ、ある世
  界では”魔族”が勝利をおさめ、その世界は滅び去った。そしてまたあ
  る世界では、戦いは今もなお続いている。
   ──あたしたちの住んでいるこの地では、”赤目の魔王”シャブラニ
  グドゥと”赤の竜神”スィーフィードとが派遣をめぐって争ってたの。
  戦いは幾百、幾千年にも及び、そしてついに、竜神は魔王の体を七つに
  断ち切り、それをこの世界のいたるところに封じ込めたのよ──>>


「へぇい、いらっしゃい、いらっしゃい。今日の品は安いよお!」
 そんな道を歩く人々達に声をかける、いろいろな店屋のおやじたち。
 どだだだだだだだだだだだだ…
 そんな音と共に少し先で砂煙が立ち上がり、どんどんとその店の方へと近
づいている。
 その中にあたしとガウリィもいた。
 あの不思議な日から数日…あたしたちはセイルーンのほぼ北西にあたる場
所で、
 どだだだだだだだだだだだだ…
「リナちゃあ〜ん」
「きゃあー!ガウリィさまあ〜(はーと)」
『どわわわああああぁぁぁーーー!!!』
 目をハートにした男や女達に追っかけられてたりして…
「…リ…リナ…何とかしてくれえー!」
「何とかって…この状況をどないせいちゅーのよ!!」
「姿を消す魔法かなにかないのか?」
「あるわけ無いでしょ!」
「いや…リナならできそうな気が…」
「んなもん…できるか!」
 数時間前の飯屋での一軒──
 少なからず、そこの飯屋で聞いたことは…あたし達4人(あたしにガウリィ、
アメリアにゼルガディス)のプロマイドに写真立て、ポスターにゴーレム印
の『ぴこぴこリナちゃん』シリーズ、リナちゃん・アメりん・ガウくん・ゼ
ルやんの各種大中小のぬいぐるみ、子供達に大人気・『爆裂戦隊・ドラグレ
ンジャー』の人形&変身セット(なんじゃ…そりは…)……etc,etc…
 がセイルーンで爆発的に売れているということだった…一体全体…
「と…とにかくとことん逃げるのよ!!」
「わかったーーーーーーー!!!」


 その後、違う場所にて──
「へぇい、いらっしゃい、いらっしゃい。今日の品は安いよお!」
 そんな道を歩く人々達に声をかける、いろいろな店屋のおやじたち。
 そんな中にまざってあたしとガウリィも街中を歩いていた。のんびりと。
 あの死闘から5日…何とか逃げ切ったあたしたちはすぐさまセイルーン城
に駆け込みアメリアと再開したのである。
「なあ…リ…」
 ぱかあ!
 あたしの問答無用のアッパーが彼の顎をとらえる。
「…じゃなくてミリーナ…」
 ガウリィがあたしへと言いかけた名前を訂正した。
 これで既に11回目──
 あたしの目指す場所はここからもう少し先。
 あたしとガウリィは現在、変装をしている。その理由は言わなくてもわか
るであろう。ファンに追っかけられるからである。
 あたしとガウリィがここセイルーンへと足を運んできたのは5日前。
 あのダークスターとの一件がセイルーン内に広がり、あたしたちがアイド
ル的存在になっていたのだ。
 まあ…この美貌と魔道士として天才的な頭脳と実力を兼ね備えるあたしだ
からこそ、仕方がないのかもしれないけど…やはり、こう毎日毎日、追いか
けられるとさすがにうっとうしい…
 そこで変装と言うことになったのだが…
 変装と一言で言っても、生半可なことでファン達をごまかせないと、アメ
リアに言われ…つーか、ほとんど力説だったかも…たので、ここは徹底した
変装をあたしたちはおこなうこととした。
 まずあたしの格好はというと、街娘の装いである。バンダナは外し、茶色
のくせ毛は今やまったくなく、ポニーテールにした金色。そしていつもの赤
い瞳は淡いグリーン。
 一方ガウリィはというと、上から下まで黒一色。黒いシャツに黒いズボン。
黒色の軽鎧に後ろ手で縛る黒色の長い髪の毛。そしていつものブルーの瞳も
黒。
 ようするにあたし達の、体格以外の特徴は全て変わっていたのだ。
 服装や髪型はどうとでもなるが、いかんせん一番の特徴である髪と瞳の色
は、いかに天才魔道士のこのあたしと言えどどうすることも出来ない。
 そこで達也とアインが手伝ってくれることになる。
 まず髪の色は達也がしっている魔法を使った。なんでも光の精霊を使って
屈折を起こし、見た目の色を変化させるという方法らしい。何とも理解しに
くい簡単な説明だったが、虹が発生する原理と似たような物だ、とも言って
いたけど。
 ちなみにあたしのくせ毛はアインが持っていた『へあーすぷれ』…「女性
の必需品よ」とのこと…とか言う物で髪に吹き付けブラッシングすると、さ
らりとしたストレートに変化した。
 そして瞳の方だが、これはさすがに光で屈折させようとすると、視力をだ
めにするらしく別な方法をとることになる。
 それは色が付いた『こんたくとれんず』と言う物を目に入れると言うこと。
 これがまた、目に入れると何となくかゆいし、瞬きする時が痛いし…
 なれれば大丈夫っとアインは言ってくれたが…あたしもガウリィもあんま
しなれたくもないと言う意見が一致していた。
 さて、あたし達が何故こんな変装までして街へ繰り出したかというと、一
誌の雑誌『ドラゴン・マガジン』に掲載されているあたしの自英伝。
 それが事の発端である。
 毎週、掲載されているその小説はあたしたちが係わった事件をかなり詳し
く、正確に書かいており…そして何より読者達に楽しめるように作風が工夫
されていたりしている。もちろんあたしには身に覚えの無いこと。
 しかも、よっぽどあたしのことを知っている者でなければかけない事まで
載っている。そうなると、かなり犯人は絞られる。
 ゼルかアメリア、シルフィールにフィリア…そして…ゼロス…
 一番詳しく書けるだろう、ガウリィは…こいつに文彩としての才能がある
とは思えないし…まして書いていたとしても身近にいたあたしが気付かない
はずがない…と、言うわけで問題外。
 まず、連載されたのはダークスターとの事件。その連載が終了すると否や
ガーブとフィブリゾとの事件の連載が開始され、現在に至る。
 その2つの事件に係わっているとすれば、ゼル、アメリア、ゼロスの3人
だけになる。
 フィリアもガーブとフィブリゾとの事件を多少は知ってはいるだろうが、
いくらなんでも詳しく書けるほど知ってはいないだろう。
 シルフィールはダークスターとの事件には全然係わっていないし…
 その連載が大ブレイクすると、その連載にあわせてあたし達のグッツが出
回るようになったわけである…グッツシリーズの名称が『スレイヤーズ』シ
リーズだとか…
 そのグッツはもう…簡単に聞いただけでも覚えきれないほどだった…
 まず一般的だったのが、あたし達4人(あたしにガウリィ、アメリアにゼ
ルガディス)のプロマイドに写真立てにポスター。それが1人につき何十種
類もあるらしい。
 あたしやガウリィもここの道を通る前にそのようなグッツを売っている店
を見てきたが…なんじゃ、あの膨大な数は…
 しかもひっきりなしに客が溢れかえってたし…あたしのプロマイドを買っ
ていったちょっと小太りの兄ちゃんがそれにキスしていたのを見たときは背
筋に悪寒が走りまくったわい…正体をバラす訳にはいかないし…とにかくそ
の時の我慢する姿と言ったら…
 珍しく、そのことに気付いてくれたガウリィがその場からあたしを抱えて
去ってくれなければ、今頃どうなっていたことか…竜破斬の2つや3つ、ぽ
こぴこ発生したかもしれない…
 他のグッズにゴーレム印の『ぴこぴこリナちゃん』シリーズやリナちゃん・
アメりん・ガウくん・ゼルやんの各種大中小のぬいぐるみ、子供達に大人気・
『爆裂戦隊・ドラグレンジャー』の人形&変身セット(聞くとアメリアが広
めたグッツらしい)……etc,etc…
 それにしてもこのプロマイドどうやって撮ったのだろうか…撮られた覚え
は記憶に一度も無いのだが…
 てな訳で、原因の大元であるその雑誌社に乗り込みあたしの名をかったっ
て作品を載せているヤツをとっつかまえようとかんがえているのだ。
 その時、そいつをどうするのかはご想像に任せた方が無難だろう。
 ま…犯人のだいたいの検討はついてるんだけど…なにせ連載の中に決定的
な文があったし…


 ──ドラゴン・マガジン セイルーン本社──
 その立て看板を横目にあたし達は建物の中へと入り込む。
「すみませ──」
 開口一番の挨拶をあたしは絶句しながら飲み込んだ。
 十数人の目。全てがあたし達にそそぎ込まれていた。
『…似てる…』
『…けど…髪が…』
『…目も違うし…』
 ……………………………ましゃか…こいつら…あたし達の…ファン…か…
「…あ…あの…」
 顔が引きつっているのがわかる。
「…ち…ちょっとお聞きしたいこと…」
「いやあ。すみません。お待たせしちゃいまして…リナ先生がお書きになら
れた…」
 と言う声と共に、あたしが先ほど通った戸から現れたやつは──
 どげしいぃっ!
「ぐうはああぁぁっー!」
 ──あたしのいきなりの蹴りに、おかしな声を上げて倒れるそれ。
 ふ、ふふふふふふ…やはり、あんたかい…
「あいたたたた…な、なにをなさるんですお嬢さん。もう少しレディはおし
とやかでいないと…」
 みしっ!
 言いながら立ち上がったところを今度はアッパーがきまる。
「…あ…あのですね…」
 おお…やっぱし立ち上がるか…なら…
「烈閃槍、10連発!」
「がはあっ!」
 一様、倒れる。
「…そ…そのですね…」
 …いやいや…ほんと丈夫なやつ…さて、お次は…
「崩霊裂っ」
 こうっ
 青い火柱が彼を包む。
 …火柱がやむと、少しぐしゃぐしゃになった髪のままよろよろ立ち上がり
彼はあたしへと指さし、
「…あ…あの…あなたは…もしかして…」
 …うむ…まだ立つか…じゃあ…最後に…ある呪文を唱える…そして…
「神滅斬っ」
 あたしの手から黒き刃が生まれる。
「ひいぃえええぇー!やっぱり、リナさん!!!!」
 そしてここ『ドラゴン・マガジン セイルーン本社』の屋内ではしばらく
はゼロスの悲鳴が響いた。


「おうらあ!…とっとと歩かんかい!!」
 どげしいっ
 後ろから、とぼとぼ歩くゼロスの背を蹴りつける。
「…しくしく…」
「…おいおい…それじゃあまるで、やくざのセリフじゃないか…リ…」
 ばきっ!
 頭へ肘鉄!
「…じゃなくてミリーナ…でした…しくしく…」
 ガウリィがあたしへと言いかけた名前をまたまた訂正する。
 これで12回目──
 なお、犯人がゼロスだと気付いたのは、セイルーンでの事件であたしがあ
の魔族マゼンダに魔力を封印された時。
 封印を解くためある賢者様のところへ向かう道中が事細かく書かれていた
から。つまりその時のことをしっているのはゼロス、またはあのマルチナだ
けになる。
 そして話の全体を考えれば、自動的に犯人はゼロス──
 さあって…みんなの所に戻ったらどういう風に料理してあげようかしらね
えぇ…うふふふふふふふ…
「…あの…その含み笑いがすごく怖いのですけど…リナさ…」
 どげしいぃぃっ!
 問答無用で蹴り飛ばす。
「…い…いたいです…リナ…」
 まだ言うか…手に魔力光を灯す。
「…………………」
 静かになるゼロス。
「…い〜い。ゼロス。今のあたしは、ミリーナよ。ミ・リー・ナ!」
 ゼロスに笑顔で親切に教えて上げる。
「…は、はひ…」
 それにしっかりと返事を返すゼロス…断じて…魔力光が灯る右手をかざし
て、殺気を携えながら引きつる笑顔が、怖かったと言うことでの返事ではな
いだろう。
「ちなみにこっちは……」
 ガウリィを指差す。
「クラゲよ(はあと)」
「…リ〜ナあぁ〜(泣)」
 げしっ!
 蹴り1発。
「…じゃなくてミリーナあ〜(泣)」
 ガウリィがあたしへと言いかけた名前をまたまた訂正した。
 これで13回目──
「ってーのは冗談で…こいつルークだから(はあと)覚えておきなさいよゼ
ロス」
「え?そういえばルークって…そういえばミリーナというのも…確か…」
「あの二人よ……これが…
 再び、あたしはガウリィを指差して、
「その場しのぎで考えた名前を、すらりと言えるとは思わなかったからね…
だったら知ってる名前のほうがまだいいんじゃないかってね(はーと)」
「なるほど!」
「…おい…泣かすぞ…お前ら…」
『無理(ですね)』
「…しくしく…」


「おおぉ〜そんなとこにいたのか、おお〜い…リナっ!」
「ていっ!」
 ごっ!
「あう…」
 条件反射で手近にあった桶を投げ飛ばし、それが見事にあたしに声をかけ
てきた人物の顔面へとクリーンヒット…
 あっ…後ろの人にあたった…てめぇ、よけるな…
「何するんですかあ。いきなりいぃぃー!」
 桶をぶち当てられた20才前後の美女があたしに抗議する。
「あっ…なんだアインか…らっきい(はーと)」
「なんでラッキーなんですか?」
「…いや…その…」
「知り合いだから慰謝料払わなくて、ラッキー(はーと)ってとこじゃねぇ
の…」
 あたしの桶攻撃をよけた15才の美少年・達也がぶりっこポーズ…男の子
がそんなポーズをとるな…けど…似合いすぎる…で答える。
 …図星…達也なぜわかった…
 達也&アイン。実はこの2人、異界からやって来たでこぼこ漫才コンビ…
じゃなくて…国家認定・次元セキュリティ会社『S.T.S』──のトラブ
ルコンサルタント、という者達らしい。
 彼らの話では、あたし達の知るあと3つの異界の他にもまだまだ数多くの
世界が存在するそうだ。
 そのような数々の世界で犯罪を犯す者達を、取り締まるのが彼らの仕事。
 そんなある日、同じトラブルコンサルタント…略してトラコン…である仲
間がどうやら消息をたったらしく、最後の連絡場所であるこの世界に彼らと
あとこの場にいない2人がやってきたのである。
 だが──そのトラコンのうちの1人…名をゼオ…の作り上げたコピー人形
が達也たちを襲撃してきたのである。敵対するゼオの不可解な言葉と行動。
 そして、残りのトラコンたちは?
 どちらにしろ、彼が再び現れれば、そのいずれかの答えの一部が見れるか
もしれないだろう…
「ところでよ…そこに転がってるゼロス…どうしたんだ?鎖に繋がれて散歩
にさえ連れていってもらえない、子犬のような顔してるけど…」
「なによそれ」
「いや何となく…」
「いいんです…僕なんて…いつも獣王様の使いっ走りですし…リナさんには
言いようにあしらわれますし…しくしく…」
「あ〜こらこら…ゼロス。そんなとこで『の』の字書いてんじゃないの。あ
んたの上司、ゼラス=メタリオムも草葉の陰で泣いてるわよ」
「いいえ多分…この姿を見て指さして笑っていると思います…しくしく…」
 …おいおい…それって…どういう上司なんじゃい…
「…だいたい…僕がリナさんの自英伝を書くことになっちゃったのも獣王様
の…いじいじ…」
 なに…!
 あたしの目が光る。
「ゼロス。それってどういうこと。詳しく話しなさいよ」
「…実はですね…かくかくしかじか…」

 ゼロスの話だとこう言うことだった…
 獣王ゼラス=メタリオムは、ことあるごとにセイルーン印のソフトクリー
ムが食べたいとか、ゼフィーリアのぶどう酒が飲みたいとかだだをこねるら
しい。その数は尋常じゃなく、しかもお金は全部ゼロス持ち。
 つーわけで、懐もそこをついてきたゼロスは、あたしの話で盛り上がるこ
こセイルーンで出来心も手伝ったかちょこっとした事件を…どうやらフィリ
アと初めてであった港での事件、その時からゼロスはあたし達を見ていたら
しい…小説にして投稿したそうだ。
 ところがその小説が大当たり、あれよあれよと連載になって大人気をはく
してしまったと──そしてゼロスの懐は暖まった──
「…ゼロス…」
 ガウリィがつぶやきながら彼の肩を両手でぽんと軽くたたく。
「…おまえ、むちゃくちゃ苦労してたんだな…」
 …いや…まあ…苦労はしたんだろうけど…魔族の苦労話っていうのも…な
んか…
「…そんな苦労なんて顔に出さないから俺、全然知らなかったぜ…大変だっ
たな…」
「…はあ…どうも…」
 何と言ってしまえばいいのかわからない状態のゼロスくん。困った顔であ
たしの方に助けを求めてたりする。
「はいはい…感動はその辺にしてそろそろ戻るわよ…ほら…ゼロスも立つ」
「…はい…」
 再びとぼとぼと歩くゼロス。
 そんな彼に更に言葉をかける。
「ところでゼロス」
「…な…なんでしょうか…」
 多少、声が裏返っている。
「あたし達のキャラクターグッツ。あれもあんたが売り出したんでしょ」
「…え…」
 あたしの言葉にまともに顔色を変えるゼロス…当たりか…
「…な…何故…そのようなお考えを…」
 しばらくして、このすっとこ神官の口から出てきたセリフはふるえていた。
「そんなの簡単よ」
 指を一本おったてる。
「あの程度のアルバイトで懐が潤うわけないでしょ…だいたい…あたしはゼ
フィーリアの出身よ。ぶどう酒1本の金額、知ってるわ」
「…えっと…」
 頬の辺りをぽりぽりかくゼロス。
「獣王が買わせているその本数。はっきり言って、その程度の原稿料じゃと
ても補えるもんじゃないわ」
 それに…
「いや〜参りました、あの程度でぼろが出るとは僕もまだまだです」
「なにがまだまだなのかはしんないけど…言っとくけどねゼロス…あたしが
このことに気付いたのは雑誌社に向かう前からだから…」
 ぱたぱた、手を振り言ってやる。
「…またまたあ…そんなにはやくわかるわけないじゃないですか、リナさん」
 そのあたしのあっけらかんとしたセリフに、いつものにこにこ顔でゼロス
が言う。
「簡単よそこはそれ。あたしたちにはいつ撮られたのかだなんてさっぱりわ
からないあのプロマイドとか写真とかポスター。あんなに撮られておきなが
ら全員が全員、気付きもしなかったし…そこで考えてみたのよ。あたし達に
気付かれずに、なおかつあたし達4人、全員を知っている人はいないかって
ね…だいたい、この人がリナ=インバース。こいつがガウリィ=ガブリエフ
だ。って顔を知らなきゃ、こんなの売り出せないじゃない…で、全てから答
えを導き出すと…ゼロス…全部にあてはまんのは、あんたしかいないのよ…」
 あたしの説明を、にこにこ顔で黙ったまま聞いていたゼロス。
 お互いが黙ったまま見つめ合う。
 彼がふと口を開き、
「いやー、はっはっはっはっはっは…さすがわリナさん。名推理!」
 ぱちぱちと拍手までする。
「ミリーナだって言ってるでしょ……ま…この程度の推理たいしたことじゃ
ないわ。こんなん、ちょっと考えれば誰だって……クラゲは除くけど…とり
あえず…わかるわよ…」
「…なぜ俺が除かれるんだよお…」
「だったら…さっきのあたしの説明、ちゃんと間違えず言える自信ある?」
「…すまん…先、続けてくれ」
 素直でよろしい。
「さて、この落とし前の方はどうつけてくれるのかしらねぇ…ぜ・ろ・す!」
「そうですねぇ…」
 何かを考えるように頬に手を置き、
「それとではこんなのはどうでしょう…リ…ミリーナさんには今までの収入
の3分の1を、そしてそれ以降は収入の半分ほど…お払いする…それで機嫌
を直してもらうと言うことで…」
 …ほお〜う…3分の1ねぇ…
 …たしかあのグッツとかって、かなりの売上高のはずなのよね…相当な収
益か…むふ(はーと)
「…じゃあ…聞くだけ聞いて上げるけど…その収入…いったい、今、どんく
らいにまでなってんの?」
 わくわく…顔には表さずに胸を膨らまし、懐からそろばんを取り出す。
「ええ…実はこのくらい…」
 ぱちぱち…ゼロスがそろばんの弾をはじく…
 おおー!!!目がハート。
「きゃぴぃ!こんなにい(はーと×5)………許す!絶対、許す!!ゼロス。
あんた、これからも一生懸命頑張りなさい!!!」
『…おいおい……』
 そしてその場にいたガウリィと達也とアインの声がはもった。
                          <2−2へ続く>
********************************************************************
 次回はいつになるか解りません。
 現在の所、50%はできてるでしょうか…
 ではでは…