◆−いきなり再掲示、過去話−羅琴みつき (2002/1/15 22:49:38) No.19559
 ┣夢現  前−羅琴みつき (2002/1/15 22:51:50) No.19560
 ┣夢現  中−羅琴みつき (2002/1/15 22:53:57) No.19561
 ┗夢現  後−羅琴みつき (2002/1/15 22:56:43) No.19562
  ┗Re:夢現  後−とーゆ (2002/1/16 20:25:45) No.19570
   ┗はじめまして!!−羅琴みつき (2002/1/16 22:33:41) No.19573


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19559いきなり再掲示、過去話羅琴みつき E-mail 2002/1/15 22:49:38


こんばんは。みつきです。

夢現とは、あたしが去年の9月から10月にかけて投稿した、リナさんの過去話のことです。
今回は加筆修正したものをば。穴埋めでは……………………ないです(弱気)。

とりあえず再び注意
1、リナさんは小さいころから幸せなんじゃー!!
2、んでもって、もちろん、姉ちゃん除けば強いんじゃー!!
3、魔族はすぺしゃるで初めて出てくるんじゃー!!
4、つーか我、基本的に暗い話は嫌いなんじゃー!!

↑のうち、1つでも当てはまった方は、回れ右した方がのちのち不幸にならずに済みます(爆)。

では、問題だらけの問題作、一読いただけたなら、幸いです。

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19560夢現  前羅琴みつき E-mail 2002/1/15 22:51:50
記事番号19559へのコメント



―――愛してくれる人―――

―――期待してくれる人―――

―――認めてくれる人―――

―――厳しくしてくれる人―――

―――あなたは何を望みますか?―――


夢現     前


幼いながら、赤い瞳の少女の、大人を見る目は冷たい時があった。いつもではないが。決まって唇をかんで、視線を向けていた。

「姉ちゃんは何でそんなに強いの?」
赤い瞳の少女――リナは、両親が営んでいる店の手伝いから戻った姉に聞いた。
姉のルナと妹のリナとは3つ4つぐらいの年の差しか―『しか』と言ってもいいだろう―なかったが、外見に性格、どれをとっても正反対と言って差し支えなく、しっかり者のルナは今日も手伝いをしてきたのだ。
「あんたが弱いだけよ」
ルナは一言そう言った。話し方も子供らしくなかった。
ストレートな物の言いようだが、見下しているようには聞こえなかった。
「あー。姉ちゃん、そーゆーの『ケンソン』って言うんだよっ」
「片言でそんな言葉、どこで覚えてくんのよ」
実際リナは侮辱とは取らなかった。
「別にいいじゃん……。
 それより、ねぇ、あたし真面目に聞いてるの。力じゃ勝てないけど、ほかのことで勝ってるわけでもないんだよ。姉妹なのに、姉ちゃんだけが強いの?」
「……私だけが強いかどうかは、今後のリナの努力によっては、変わるわね」
少しの戸惑いを見せた後、もともと子供らしくないルナは、今までよりもえらく大人っぽい口調で言うと、部屋へと入っていった。
「努力なら………もう、たくさんしてるよ………」
妹のかすかな叫びは、姉に届いたのか。


「母ちゃん!姉ちゃんが魔道士協会に入るってホントッ!?」
あれから数日後、いきなりだった。
「そーよー」
母から返ってきた素っ気ない返事に放心する。
また、先を越された……。
そんな気持ちが広がった。
リナ自身は、強く魔道士になりたいと思っていたわけではなかった。ただ、強そうなイメージがあり、興味があった。そして考えた。

―――姉より先に魔道に手を出せば、
                    越えられるかもしれない―――

思いはしたが、まだ幼すぎる自分では、親に頼んでも行かせてもらえないと、半ば諦めていたのだった。
その矢先である。
「なんで!?なんでいきなり入るなんて言い出したの!?」
「さあ?でもまぁ、ルナはいつも手伝いとかしてくれるし別に問題ないかなー…と。お金以外は」
母よ。問題だろ、それは。充分。
「うそ………でしょ?」
「??」
リナはその場にぺたんと、座り込む。
ぎりっ・・・・・・!
唇を、強く噛んだ。
「ちょ…ちょっと……出かけてくるね」
少ししてから、リナは立ち上がると、無理矢理笑顔をつくって家を出ようとした。
「フィアちゃんトコ?あんまり遅くなるんじゃないわよ」
「うん。わかった…」
先ほどからいぶかしがって見ていた母、レアナに寂しげな笑みを向けると、外へ出ていった。


やってきたのは、人気のない、川沿いの土手。
無論、『フィア』に逢うためではない。――というより、別段何もここに来た理由はない。あえて言うなら、『なんとなく』。何もあえていないのが現実だが。
「はぁ……………」
土手に腰を下ろし、ため息をついた。
これも『なんとなく』が理由であったが、水面に石を投げたくなった。辺りを見回す。視界に入るのは、草ばかり。もう少し土手を下ると、石がたくさんあるのだが、わざわざ急な土手をおりてまでやりたいとは思わなかった。
「はぁぁ〜…………………」
もう一度ため息をついた。別に故意にやってるわけではないのだが。
世界中のいろんなものに拒絶されているような感じがした。
物心ついた時から―そう前のことではない―姉への対抗心、嫉妬心は確立していた。
何をやっても、文句なしに完璧な姉。周りの大人は彼女を褒め称えた。
何をやっても、ダメではないが、姉には劣る妹。周りの大人は彼女に興味を示さなかった。
それでも。両親はもともと、むやみやたらと誉める方ではなかったが、人並みには愛されていると思っている。
確かに、愛されている。
けれど、姉のように期待はされていない。
両親の姉を見る目だけで、何を言わなくても解る。
愛される。
期待される。
微妙で大きな違いが、幼い少女を苦しめた。
唇を噛む。
リナという人間は、『泣く』ことが大嫌いだった。負けを認めるようで。人前でも、1人の時でも。だからいつでも、泣きそうな時には唇を強く噛んで堪えていた。
「リナ?何やってんの?こんなとこで」
「っ!?って、フィア!?」
人の気配を感じはしたが、いきなりかけられた声に、慌てて振り向くと、そこには親友、フィア=ライヴァムがいた。
艶の光る黒い長髪に、曇りを知らない綺麗な緑色の瞳。リナと似て、血色は良いが色白の肌。ゼフィーリアの民族衣装を着た少女だった。
「ごきげんよう、親友」
フィアは丈の長いスカートの裾をつまんで、なかなかに変な挨拶をした。
恥ずかしげもなく、お互いを『親友』と呼べるのもそうだが、この2人は呼び捨てで呼ぶ。普通、4つ5つくらいの子供はいくら仲が良くてもほとんどの場合『ちゃん』を付けて呼ぶが、2人はお互いに、他とは区別したかったから呼び捨てにしたのだ。つまりリナはフィア以外―友達は『ちゃん』付けで呼び、フィアはリナ以外―友達は『ちゃん』付けで呼ぶ。
差別とは言うなかれ。子供とはそんなもんである。
しかしリナには、自分のことを大人だと思っている節があった。
子供っぽい外見。
子供っぽい口調。
子供っぽい仕草。
実際には大人な部分を探す方が難しかったのだが。
「―んで。何やってんの?レアナおばさんに叱られた?それともルナさんに?」
「・・・違うよ。フィアこそ、こんな町外れまで何しにきたの?」
「あたしはお使いの帰り」
「あっそ」
………………………………………………………。
………………………………………………………。
途切れる会話。
互いに続く沈黙。けれど、気まずい空気は感じられなかった。
リナの表情を見つめ、何か考えている素振りを見せるフィア。
「よっ…と」
フィアはリナの隣に座る。
「ねぇ、リナの夢は何?」
「え?何、いきなり………」
唐突な質問に戸惑うリナ。それでもフィアは続けてせかす。
「だから、あんたの夢、教えて。
 真面目に聞いてるからね。嘘は言わないでね。ホントの夢、言って」
ごくり。
いつになく、真剣な表情のフィアに、リナは思わず唾を飲んだ。
「……………う〜…。親友だから言うんだよ。親友にだけ言うんだよ」
微笑みを浮かべて頷くフィア。それを確認してから、大きな声でリナは続けた。
「あたしの夢はねっ、姉ちゃんを越えることっ!」
「それって、夢っていうか、目標っていうんじゃあ……?」
「いいの!目標でもいい!いつか絶対、越えてみせる。絶対、まわりに期待させてみせる!それまでは、何かになりたいとか、そんな事考えない。考えてる余裕なんてない」
思わず立ち上がり、拳を振り上げ熱く語るリナ。今は、ため息をついてたいさっきまでとは打って変わって、いきいきとした顔をしていた。
「強いなぁ。リナはっ」
驚いたように言いながらも、フィアの表情はどこか、リナの言うことを予想していて、満足したようにも見えた。
「……フィアの夢、は?」
座り直し、少し間をおいてからリナもフィアに聞いてみた。
するとフィアは、聞かれるのを待っていたように、間をおかず応えた。
「泣ける人」
「泣ける人?」
意味がわからず、リナはオウム返しに訪ねる。
「なーけーるーひーとっ!
 あたしも、これは夢とはまたちょっと違うかもしれないけど、泣きたい時に泣ける人になりたいな」
「………!?」
声こそ出さなかったが、リナは驚きに目を見開いてフィアを凝視した。
「泣くのって、自分の弱さを見せることだから、すっごく勇気のいることなんだよ。でもさ、弱い所もさらけ出さないと生きてけないんだよ。
 第一、たまには瞳のお掃除しないと―――綺麗な瞳が曇っちゃうでしょ?
 だから………」
真面目な顔して喋っていたフィアは、途中で言葉を区切って、一呼吸。眩しすぎるくらいの笑顔をリナに向けると、続けた。
「だからね、泣いてもいいよ。―親友」
「さすが………っ親友、やっぱ………………お見通しだね………あたしよりっ……フィアの方がずっと……ずっと強い…っていうか、凄いよ………」
フィアに言われた瞬間、今まで溜めていた涙がぽろぽろと溢れてきた。止まらない涙に困惑しつつ、リナは苦笑した。
「ううん。絶対リナの方が強いね。単に力だけじゃなくて。
 ―――――何があったか、言える?何の助言もしてあげられないかもしれないけど、聞くだけくらいならできるよ?………言いたくなかったらいいんだけどね」
「姉ちゃん………が………ひっく魔道士協会に………入るっ」
リナはそれだけ言った。事実それだけしかなかったのだが。リナはフィアに、姉へ対するコンプレックスを明確に話したことはなかった。けれどフィアは普段から何かを感じ取っていたのだろう、説明はそれで充分だった。
リナもまた、フィアが気付いていると思い、手短に話したのだ。
「リナも入ればいい」
「え?」
「スタートラインは一緒なんだから、リナがルナさんの2倍3倍頑張って、努力すればいい。きっと勝てるよ」
「無理だよっ!!!」
流れ落ちる涙も無視して、リナは声を荒げた。
「あたしに姉ちゃんと競い合えって言うの!?姉ちゃんの初めては、あたしの下積み100回より価値があるんだよ!?
 スタートが同じなんて意味ないよ………!」
「あたしは信じてる!」
弱さを見せろと言っておいて難だが、リナに苛立ちを覚えたフィアは、がしっ!っとリナの両肩を掴むと、大声で言った。
「リナは絶対、大きくなる。今よりもっと強くなる。高みの存在になる。
 あたしには手の届かないぐらいに偉くなっちゃうかもね………。
 ただね、言えるのはあたしの親友は、世界中で誰よりも強い心を持ってるの。上手く言えないけどね………だいたいそんな感じ」
よく解らなくて、よく解る。
「…………………………………………………………………ありがとう、親友」
まだまだ涙は止まらない。けれど今度は極上の笑顔になれた。
「こーらぁっ!」
フィアはリナの涙で濡れた頬を、ぱちんと軽く―むしろ優しく―叩いた。
「泣いてもいいけど、泣きっぱなしはダメ!泣きやまないとダメ!」
頷きはしたが、拭っても拭っても、嬉しさの混ざった涙は、やっぱりまだ止まりそうになかった。
「フィア………。あたし、魔道士協会、入ってみる!」
「それで良し」
思えばここから、彼女達の運命は変わりだした。


                                 ――前・終――

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19561夢現  中羅琴みつき E-mail 2002/1/15 22:53:57
記事番号19559へのコメント



―――人はいつまで―――

―――夢を見続ける事が出来るのだろうか―――

―――人はいつまで―――

―――夢を描き続ける事が出来るのだろうか―――

―――夢と目標の違いとは?―――


夢現    中


これからは、店の手伝いでも何でもするから、と頼み込んで、リナはルナと共に魔道士協会の門を初めてくぐった。
門の外で待っている。
そう言ったフィアに、後ろ姿を見送られながら。


「―あー、リナ!終わった?………あれ、ルナさんは?」
あまり長くかかったわけではないが、それでも立って待っていれば充分疲れるほどして、リナは1人で戻ってきた。
ルナがいないことに気付いたフィアが聞くと、リナはぶっきらぼうに、
「先帰るって言って飛んでった」
と言うと、上空を指さした。
「っもう飛べるの!?」
リナの示す場所を追うと、なるほど確かに、かろうじて空の彼方に人影を確認できた。
ゆっくりとした速度を見ると、浮遊(レビテーション)を使っているようだ。
わりと簡単な術とはいえ、果たして〃呪文も知らないはずのうちから〃出来るものなのか。
「みたいだね」
驚きと興奮の入り交じるフィアとは反対に、リナは冷めた口調で相づちを打った。
「ぅあ。ごめん……。
 そ、それよりさぁ、どうだった?」
「それがさぁ!笑っちゃうんだよ!」
苦笑いしながらフィアが言ったとたん、リナは、ぱっ!と明るい表情になって笑い出した。
そしてそのまま―笑いながら勝手に続けた。
「姉ちゃんたら、どの審査項目でも、項目外――あ、もちろん良い方でね。っの、成績だったんだから!人並み外れたキャパシティだってあるしっ。
 ホント、どこまでも完璧を越えてるんだからー」
「…………………………………………………」
笑っているリナを見て、話を聞いても、フィアは笑わなかった。
それからため息をつくように言った。
「言い直すね。〃リナは〃、どうだったの?」
「………………………知識はあるけど、キャパシティが無いって。……『無い』っていう言い方は適当じゃないけど。まぁとにかく、あたしじゃあ、基本的な魔法しか使えないんだってさ」
流石に笑いながらではなかったが、口調もほとんど変えず、素直に話したリナにフィアは微妙に顔をしかめた。
「あのさぁ……、この前あたしが言ったこと聞いてなかったの?泣きたい時に泣けってやつ」
呆れたように、かつうんざりしたように。言った。
リナは泣かなかった。
少し、笑ったように見えた。
「やっぱりさ。フィアだけなんだよねー、いつでもあたしの本当の気持ちわかってくれてんのって。見抜かれてるだけなんだけどね。
 ありがと。嬉しいんだよ?
 でも、甘えてばっかじゃダメになっちゃうから。フィアの好きな、あたしじゃなくなるから。諦めてないからね、あたし。問題ばっかりたくさんあるけど、諦めたりしないから」
「やっぱ、あんたは強い」


夜。
全ての人が眠りに入りつつある時刻。
その日は、風の冷たい夜だった。
リナは自分の部屋から、ベランダへ出た。インバース家は一応商家、一般的な価値観から見て、裕福と言える家庭である。珍しいベランダがあった。
冷たい空気が頬を刺す。けれど寒くはなかった。心地よい冷たさ。
リナの身長ではベランダの柵まで手が届かなかったが、格子の間からゼフィール・シティを見渡した。―――といっても、見えるのは街灯と月の明かりのみ。あとは全て、漆黒の闇。もう、この時間になると明かりの灯る家は無い。そう、リナは起きていることがばれないように、明かりはつけていないのだ。
昼間、協会の人が姉に言っていた言葉を思い出す。
唇を噛んだ。
悲しくて泣きたいのか、怒りから泣きたいのか、あるいは―――
別に。先日フィアに言われたことを忘れているでも、無視しているでもない。
彼女なりに考えた行動なのだ。
フィアに言われて、泣いた自分に後悔はしていない。むしろ喜んでいたりする。けれど『泣き虫』にはなりたくない。そうそう毎日泣きたくないのだ。けれど、毎日泣きたくなるような日々を過ごすことの方が考え物であるのも、また事実。
「どんなもんかな………」
リナは小さく、独りごちた。
無意識のうちに声に出してしまっただけなのだが、気付いてから慌てて口を塞いだ。小さな声ではあったが、ルナの部屋は隣だ。壁はそんなに厚くない、もし起きていることが知れても、言い訳は考えていない。
リナは何故起きているのか。
それは、修業というか特訓というか、まぁそんなもの。正確に言えば〃今から〃なのだが。
リナは待っていたのだ。全ての人が眠りにつくのを。
『知識があってもキャパシティがない』それは充分すぎるほど致命的だった。けれどもリナはキャパシティを高める術を知らない。というかそれ以前に、どうにかなるものなのか。それでも。何かしないではいられない。例えば誰かに『滝に打たれて精神統一すれば良い』と言われたのなら、実行するだろう。第一精神統一も魔法を使う上で、重要な要素なのだから。―このさいそれは置いといて。
だから、とにかく練習しか、〃やることがない〃のだ。
「浮遊(レビテーション)』
リナは口の中で呪文を唱えると、ゆっくり空へと翔た。ちなみにリナはさっきまで暗い部屋の中、月明かりだけでほとんどの術の呪文を暗記していた。そのため、基本的な浮遊(レビテーション)くらいなら彼女にでも楽にできる。
「わぁ………!!」
それでも初めて空を翔た喜びはあった。
思わず声を出して、先程の繰り返し。
ゆっくりとしたペースはそのまま―というかこの術はペースをあげようとしても、あがらない―前進を始めた。外は、寒かった。

「うわっ!」
ばむっ。
街を越え、さらにだいぶ―かなり街から離れた名もない海岸に降り立とうとしたが、術の解除の感覚を間違えて砂浜に落っこちた。
「痛ーい………。
 ふぅ。まぁ、ここなら何やっても平気かな?」
立ち上がり、体についた土をはらった後、リナはさっきまでより大きな声で独り言を言った。
夜は長い。
けれど短い。
「うし!目標、火炎球(ファイアー・ボール)」
リナは拳をつくって意気込んだ。
火炎球―――黒魔法としては町人にも名の知れた術で、基本的にはこれが操れるかどうかが、一人前の魔道士と言えるかの境目となる。
『・・・火炎球(ファイアー・ボール)!』
ぶしゅるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる…………る…………
呪文の暗記だけは完璧なため、いきなり唱えたものの、手のひらからは何とも情けない音と共に、少量の黒煙があがるのみ。
「やっぱ、いきなりメインにかかるのがダメなんだよね。もっと簡単なのからやらなくちゃ!」
街から離れているのを口実に、独り言の多くなってきたリナ。もしかしたら真夜中の海(いるのは海岸だが)―さすがに怖いのかもしれない。
まぁ、なにはともあれ、その後の彼女は、やるやるやる。
明かり(ライティング)やら、浄結水(アクア・クリエイト)やら、魔風(ディム・ウィン)やら……。それこそ初歩ではあったが、かえってこれくらいの方がいいのかもしれない。攻撃の初歩、炎の矢(フレア・アロー)も一般の半分以下の威力しか発揮できないわけだし。
「あ………。夜が明ける」
そんなこんなで、気付けばもう、朝日がのぼるころ。
リナは来たときと同じように、浮遊(レビテーション)で家へ向かう。帰ってから、起こされるまでに少し眠れるだろう。
とにかく。
自分の弱さを実感した夜だった。

次の日―正確には、その日―の夜も、その次の日の夜も、リナは家を抜け出し、人里離れた海岸に行った。それでも昼間寝ると周りに知れてしまう。リナは前と変わらず、協会や店の手伝いや遊んだりの日々を過ごしていた。フィアには図星を指されまくったが。あるときはルナについていって、某大国へ行き、とある知識を耳にした。魔力があがったようには、自分でも思えなかった。
そんな時、ちょっとした事件がちょっと起こった。

「何て…………言ったの?」
店の休憩中、ルナは『魔道士協会をやめる』と言い出した。
聞こえてはいたのだが、あえてリナは確認した。
そして同じ答えが返ってきた。
「何で!?姉ちゃんだったら、称号の服だってもう、予定されてるじゃん!早すぎて間に合ってないだけだし………それにあたし、姉ちゃんがスィーフィードナイトって呼ばれてるの知ってるんだから!」
「あそこで学ぶことがなくなったから、ね。独学で充分だわ。
 称号の服だって、あの評議長のことだもの。どんな色か知れたもんじゃない」
興奮して声を大きくしたリナとは違い、ルナはあくまでも冷静に、受け流す。―と、こんな表現だがルナとて相手にしていないわけではない。
「そんなの………!!」
自分の努力、その全てが踏みにじられたようだった。どれだけ努力を積み重ねてもできなかったことを、姉はいとも簡単にやってのける。そして、戦わないうちから―戦闘準備の整わないうちから、『協会』というステージから立ち去った。
別にルナは、協会を出ると言っただけで、魔道士をやめると言っているんじゃないが、『学ぶことがなくなった』この時点でリナの自尊心は倒壊したのかもしれない。
「リナはもうちょっと協会で勉強した方がいいかもしれな」
「姉ちゃんのせいじゃない!!」
ルナの言葉を遮って、リナは叫んでいた。思えば彼女が姉の話を最後まで聞かなかったのは初めてだ。
勢いをつけてしまったからには、続けて言うしかない。
「リナ…?」
「学ぶことがない………?あたしに学ぶことがあるのは、姉ちゃんのせいじゃない!姉ちゃんが………みんな持ってっちゃった。生まれた時、才能もなにもかも、独り占めして………あたしに何も残してくれなかった!!!」
八つ当たりが混じっているのは、充分わかったが、リナは生まれて初めて、本気でルナと喧嘩した。一方的に、だったが。
涙を堪えて唇を噛んでみたが、無理そうだ。
飛び出す形で家を出た。
唇から血が出ていることに気がついたのは、随分後のことだった。


「おーいっ」
あてもなく歩いていると、後ろから声をかけられた。聞き慣れた声だった。
(何故か必ず、こーゆー時に逢うんだよねぇ………)
思いつつも、少量の涙の後は残っていない。血もふいた。気楽に振り向くと、そこにはやっぱりフィアがいた。
リナは何となく、今さっきあったことを全て話した。珍しく。
「へー。ルナさんに逆らったんだぁ」
「うん。最近はお仕置きも魔法になったからなぁ、怖いな〜………」
苦笑しながら言い合う。
「お仕置き魔法………でも、リナだってお手伝いの無い時とか、ウォーくん魔法でいぢめてるじゃん」
「あいつはいいの」
ちなみに『ウォーくん』とは、ウォルター=ハイランドのことである。
「あっ、そうだリナ」
フィアは思い出したように声をあげると、続けた。
「泣ける時に泣いとかないと、本当に大切な時、何もできなくなっちゃうよ?」
この後すぐに、リナはこの言葉どおりのことを、体験する。


                           ――中・終――


あとがきゃー
次回予告

ついに、ぐーたら小説も後編へ!つーかウォルター、影薄ぇっ!!
次回、お姉さまにあんなことを言ったリナに、明日はあるのか!?注意事項にはっきり『魔族』と書いたのに、いつになったら出てくるのか!?そして何より、この原作設定無視の原作設定小説(支離滅裂っv)を作者は無事に終わらせるこができるのか!?
作者は近いうちに仕上げたいと思ってる!
んじゃ、次回、夢現・後!すぺしゃる風味な予告に困惑しつつ、待て!(お前こそ、すみやかに待て)

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19562夢現  後羅琴みつき E-mail 2002/1/15 22:56:43
記事番号19559へのコメント



―――多くの人々が―――

―――自由に夢を持ち 夢を語り―――

―――多くの人々が―――

―――仕方なく夢を諦めて 仕方なく夢を捨てて―――

―――現を生きていく―――


夢現    後


リナとフィア。
2人は街から少し離れた、浜辺に来た。特に理由はないが。
季節柄、浜辺には2人以外誰もいない。今日は少し、寒かった。
「帰らなくて、いいの?」
ここには今来たばかりなのだが、浜辺に座り込んだフィアは無遠慮に訪ねた。
「帰りたくないんだもん。…………あたし、その場の勢いとはいえ、姉ちゃんに怒鳴っちゃったんだもんなあ…しかもほとんど八つ当たりで。ただ〃お仕置き〃ですむなら、まだしも………人情ドラマみたいな展開だしってイヤ、違うか」
フィアより少し遅れて座ると、ぶすっとした顔で、何やらぶつぶつぼやき続けるリナ。フィアは「いいけどね」と言った。

「前にもね、」
どれだけたったのか、ふいにリナが声をあげる。フィアの返事も待たずに先を続ける。
「いろんなことがあって、いろんなこと姉ちゃんに抜かされた。例えばさ、あたしは姉ちゃんが料理を作る所見たことなかったの」
フィアは相づちも打たず、目をつむり、黙って耳をかたむけていた。
「だからあたしは、必死になって料理の練習したんだ。ほら、家でやると見つかるから、毎日みたいにフィアの家のキッチン借りてたでしょ?」
フィアは覚えていた。年に似合わず、上達していったのに、いつだったか突然来なくなった。リナは「もう飽きちゃったから」と言っていたが、無論のこと、真意はフィアに見抜かれている。
「ある日ねー、母ちゃんが何の躊躇もなく、姉ちゃんに夕飯を頼んだの。そりゃあ、あたしはまだ小さいし、仕方なかったんだろうけど。
 余裕を持ってあたしがその様を眺めてたらね、よそ見しながら、もちろん何も見ないでフルコース級のもの作っちゃった。ホント、この人は人間か?って思ったね」
言い終わって、リナは満足したようだった。
「大丈夫だよ。
 あたしの親友はあんただから。
 流石にルナさんも、〃あたしの親友役〃は、越えられないでしょ?」
「…………………………………………………………………………………………そ、だね」
吹きゆく風は、戻らない。


ズシュッ………!!!!
「うきゃっ……………………っっっっぁ!!!」
リナは自分の目を疑った。
信じられない。
信じられるはずがない。
信じたくない。
フィアが―親友がいきなり、虚空から現れたどす黒い矢に貫かれただなんて。
声が出ない。瞳は身をよじって苦しむフィアを見つめている。目を閉じて、もう一度あけると何もない――そんなオチを期待しているのに。
「…………………………………フィ、フィア………?」
やっと声が出るとリナは、フィアに手を伸ばし―
「スィーフィード・ナイトの妹だな?」
―伸ばそうとしたその時、聞こえた低い声と共に、矢と同じ虚空から黒い人影が現れた。
「誰っ!?」
「問いに答えろ。スィーフィード・ナイトの妹だな?」
別にリナは名前が知りたくて聞いたわけではないのだが。
「スィーフィード・ナイト………姉ちゃんのこと?それが何!?」
「ナイトは強くなりすぎた。我らの手にはおえん」
人型をとったそれは、極力短く話した。やはり、知る必要がないから、ということか。少し考えればわかることではあったが。
「つまり………、姉ちゃんはもう倒せないから、弱っちいあたしを、少なくとも、弱いうちに消しておくってこと………?」
それは、無言のまま頷いた。
「じゃあ、フィアは関係ないでしょう!?何で………何で、こんなこと………!」
「我らの存在を知る者は、少ないにこしたことはない」
「魔族か………」
今のリナでは、〃姉のかわりに〃狙われたみじめさよりも、関係のない親友を傷つけられた悔しさの方が勝っていた。
リナのとるべき行動は、戦って勝ち、一刻も早くフィアを魔法医の所へ連れていくことのみ。
魔族には、精神攻撃しか効かないらしい。魔道書で読んだ。
口の中で呪文を唱える。
―――お願い!!ちゃんと発動して!!!―――
「エルメキアランス!!」
じゅばびゅっ!!
夜中の修業中、いつも心許なかった魔法。音は限りなく頼りなかったが、威力はまあまあと言えるだろう。
「お前はまだ、よくわかっていないようだ。魔族とは、魔力が高ければ高いほど、人間に姿を似せることがでる。中にはあえて異形の姿を形どる奴もいるが。
 とにかく、私をそのへんのレッサーデーモンと一緒にしないことだな」
がしかし、ソレは避けもせず、攻撃をその身に受けて、悠々と喋った。
それと同時に、フィアを貫いていた黒い矢のようなものが、リナに向かってきた!
「くっ………!!」
慌てて身をひるがえしてよけようとしたが、完璧ではなかった。肩口に激痛が走り、真っ赤な血が溢れ出てきた。
―――フィアはもっと痛いんだ。あたしより痛いんだ―――
大量の血を流し、未だ苦しがっているフィアと、自分の傷口とを見比べたリナ。
黒い矢は、なおもリナに迫っていた。
肩の傷は思っているよりもずっと深い。痛みで体が思うように動かない。視界がぼやけていた。一撃目からこんなことでどうする。悔しい。
「悪く思うな。恨まれる者が居るとすれば、それは―、ナイトの妹でありながら、自分の身さえ、ろくに守れないお前だ」
迫り来る、黒い矢。本能的に避けるも、先程と同様に、矢がかすった。今度は左足。『かすった』とは言っても、それだけで充分殺傷能力がある。
リナはその場に膝をついた。そのまま、地べたを這うようにしてフィアの所まで行くと、ソレからフィアを庇うような体勢をとった。
「………………………………………リ………ナ………」
苦痛に顔をゆがめたフィアがリナに声をかける。
「どう、………したの?」
フィアが言った。
かすれてはいたが、はっきりと。自信を含んだ声で。



         

                     『大好きだよ』





死んでもいいかも。
最後まで希望を捨てずに、死に抗って立ち向かい、結果どちらかだけが生き残ったりしたらどうしよう?2人とも助かるか?もし自分が生き残った時、隣でフィアが笑っていない生活に耐えられるか?
いつでも一緒にいたい親友と一緒に死ぬなら、怖さはないんじゃないのか?

本気でリナは、死を受け入れようとした。
それでもすぐに、『らしくないぞ』とカツを入れる。効き目はほとんど無かったが。
それでも、フィアが死にたくて『大好き』だなどと言ったわけではないことぐらい、わかっている。
矢が、再びこちらに向かってくるのが解った。頭では、よけないと、と思っている。けれど動かない。本能にも、期待できそうにない。フィアを庇い、硬く目を閉じた。
フィアの言うとおりだった。泣きたいときに泣いておけば良かった。

ひゅんっ!がぢっっ。

顔のすぐ近くで、風がうなり、何かがこすれあうような、イヤな音が聞こえた。
数瞬の沈黙ののち、おそるおそるリナは目をあけた。
「ねっ、姉ちゃん!?」
リナに背を向け立っていたのは、ルナだった。おそらくさっきの音は、何かの術で矢をうち消したのだろう。あたりに矢は見あたらない。
「いきなり飛び出していったから、探しに来てみれば……。下級魔族相手に、何やってんのよ」
「下級…………って………」
「フィアちゃんは、わたしが魔法医の所に連れていくから、あんたはそこの魔族、さっさと片づけて来なさい」
ルナは血塗れのフィアを抱き上げると、もう呪文を唱えはじめていた。
「姉ちゃん!!」
リナは痛みも忘れて声をあげた。
そして言った。
はっきりと。
「ごめんなさい」
ルナは少しだけ笑った。フィアの笑顔と似ていた。

「さて。」
今まで待っていてくれたソレ―魔族は改めてリナに向き合った。下級魔族呼ばわりされて何も言わなかった所を見ると、ルナが怖かっただけで、別に待って〃くれていた〃わけでもないのかも。
「やはり愚かなものだな。人間とは」
魔族の言葉に、リナは、痛みで途切れることなく、言った。
「愚かなのは、魔族さんだよ。親友どころか、友達だっていないんでしょ?それはね、すごく悲しいことなんだよ」
無理もないが、魔族は呆れたようだった。
「今度、生まれ変わったら、人間になれるといいね。魔族さん」
体中に力がみなぎっていく。リナはとある呪文を唱えだした。
この前ルナと行った王国で、偶然聞いた話。それを基に、オリジナルの呪文をつくっていたのだ。ため仕打ちすら、したことない。威力のほども、実はいまいちわからない。
けれど―――〃いけそう〃な気がした。


闇よりもなお暗きもの
夜よりもなお深きもの
混沌の海にたゆたいし
金色なりし闇の王
我ここに 汝に願う
我ここに 汝に誓う
我が前に立ち塞がりし
すべての愚かなるものに
我と汝が力もて
等しく滅びを与えんことを


『重破斬(ギガ・スレイブ)!』


リナの放った一撃は、魔族もろとも、浜辺に入り江を作り出してしまうほどの威力があった。






















『ねぇ、アメリア?あんたあたしのこと、何だと思ってる?』
『何?どうしたのよ、リナ』
『いいから。真面目に聞いてるのよ』
『そうね。仲間………かな?………あと、わたしだけ思ってたら虚しいけど、わたしはリナのこと、親友だと思ってるわよ?王族のわたしに、タメ口で話しかけてくれたのって、リナだけだったもの』
『………そう』
『リナは?』
『………………………そう、ね。あたしは―――――――――――――――』


                                 ――後・終――



あとがきゃー
最後がかなり謎ですねー。最初から、ぼやぼやしたものにしたい、というのはありましたが……。
フィア当初は死ぬ予定でしたが、情が移りました(おい)。
とりあえず、今残っている謎
・フィアの生死
・魔族の、刺客派遣その後
・リナはアメリアを、どう思っているのか

うわ、多っ!!
フィアが生きていたら、アメリアさんは、リナさんにとってどんな存在なのか?そのへんにモザイクをかけました(まて)。アメリアさんが原作版なのは、敬語だと友達っぽくなかったからですねー。

まぁ、そんな感じで、夢現。ここに完結です。
ここまで読んでくださった方、もしいたら、本当にありがとうございました!!
では、これにて!

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19570Re:夢現  後とーゆ 2002/1/16 20:25:45
記事番号19562へのコメント

初めまして。
以前、(前)だけ読んでいて、続きはどうなったのだろう?と思っていただけに今回の再掲示はとても嬉しかったです。感謝!
俺の持論として、物語の良し悪しは(シリアスであれば)ファーストシーンとラストシーンで大体決まるという気がしています。
今回の話は俺好みのラストでしたし、出だしとの繋がりも好きな感じでした。
俺もそのうち作品を投稿してみたい(有言不実行かも)と思っているので奇跡が起きたら目を通してみてください。
楽しい物語をありがとうございました。

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19573はじめまして!!羅琴みつき E-mail 2002/1/16 22:33:41
記事番号19570へのコメント

とーゆさんは No.19570「Re:夢現  後」で書きました。
>
>初めまして。
はじめまして、とーゆさん。

>以前、(前)だけ読んでいて、続きはどうなったのだろう?と思っていただけに今回の再掲示はとても嬉しかったです。感謝!
あああああああ!!!嬉しいです!こちらこそ感謝!

>俺の持論として、物語の良し悪しは(シリアスであれば)ファーストシーンとラストシーンで大体決まるという気がしています。
ほうほう。

>今回の話は俺好みのラストでしたし、出だしとの繋がりも好きな感じでした。
ありがとうございましたっっ!!!

>俺もそのうち作品を投稿してみたい(有言不実行かも)と思っているので奇跡が起きたら目を通してみてください。
はははー。あたしも最初はそうでした;

>楽しい物語をありがとうございました。
いえ、こちらこそ!
楽しい物語だなんて……!!もお嬉しすぎですよーー(>□<)!!!

では、レスありがとうございました!